旧民法・法例（明治23年）

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民法編纂局

785条

此節ニ定メタル所有者ノ負担及ヒ条件ハ能動、所動ヲ問ハス公ケノ無形人ノ私有財産ニ適用ス

此負担及ヒ条件ハ所動ニテハ公有財産ニ適用セスト雖其利益ノ為メ能動ニテ之ニ適用ス

参照

556.

Tout propriétaire d'un fonds joignant un mur a de même la faculté de le rendre mitoyen en tout ou en partie, pourvu qu'il le fasse pour toute la longueur de sa propriété, en payant au propriétaire du mur la moitié de la valeur de la portion qu'il veut rendre mitoyenne et la moitié de la valeur du sol sur lequel le mur est bâti, à la charge, en outre, de faire les ouvrages qui seraient nécessaires pour ne pas endommager le voisin.

Cette disposition n'est pas applicable aux bâtiments destinés à l'usage public.

第五百五十六条

墻壁ニ隣接セル土地ノ所有主ハ其墻壁ノ全部若クハ一部ニ向テ両属ノ権理ヲ有スルコトヲ得可シ此権理ヲ有スル為メニハ自己ノ所有地ノ広狭ニ応シテ其墻壁ヲ両属ト為シ而シテ墻壁ノ所有主ニ其全部ノ価直ノ半額若クハ其両属ト為サント欲スル部分ノ価直ノ半額及ヒ其墻壁ヲ築造シタル土地ノ価直ノ半額ヲ支付シ且ツ隣人ヲシテ何等ノ損害ヲモ被フラシメサル方法ヲ以テ必要ナル工事ヲ為ス可キコトヲ負担セサル可ラス

此条則ハ公同有益ノ使用ニ供充スル建築ニハ之ヲ擬施ス可ラス

556条テキスト未作成

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法取委原案

785条

此節ニ定メタル所有者ノ負担及ヒ条件ハ国「デパルトマン」又ハ「コンミユーヌム」ノ私有財産又ハ其資産ニ付キ働キ方ニテ又受方ニテ之ヲ適用スル事ヲ得

此負担及ヒ条件ハ受方ニテハ公有財産ニ適用セス然レトモ之ヲ利ス

議事録

民法草案議事筆記第21回 *未校正画像資料全体表示

○第七百八十五條朗讀ス

　前諸款ニ共通ノ通則

第七百八十五條　此節ニ定メタル所有者ノ負擔及ヒ條件ハ國「デパルトマン」又ハ「コンミユーヌム」ノ私有財產又ハ其資產ニ付キ働キ方ニテ又受方ニテ之ヲ適用スル事ヲ得

　此負擔及ヒ條件ハ受方ニテハ公有財產ニ適用セス然レトモ之ヲ利ス〔伊民第五百五十六條〕

（修正）　一行目條件ハノ下國「デパルトマン」又ハ「コンミユーム」ノ六字ヲ刪リ「公ノ無形人」ノ五字ヲ挿入又スノ下「ル事ヲ得」ノ四字ヲ刪ル

（工藤報吿委員）

「通則」ハ翻譯デ「條例」ト直リマシタ

（今村報吿委員）

本文ノ報吿致シマス、私有財產「又ハ」ハ「卽チ」ト改メマシタ、ソレカラ「働キ方ニテ」ヲ「及ヒ」ト直シマシタソレカラ終リハ「適用ス」トナリマシタ

（工藤報吿委員）

修正ガアリマス、「公ノ無形人」ト直リマス

（尾崎委員）

公有財產ハ五百何條デスカ

（今村報吿委員）

前置條例ノ内五百二十五條デアリマス

（鶴田委員）

要役スル方デ宜イト云フノデ、之デハ餘リ酷イガ何トカ仕樣ガアリソウナモノデス

（松岡委員）

隣リノ家ノ看望デモ勝手次第ニ義務ハ負セナイ、何デモ出來ル、其代ハリ隣リノ家カラモサセナイノダロウ

（鶴田委員）

「要役者ノ利益ニ於テ適用ス」デ宜イデシヨウ受方ハ收益ノ方デ働キ方ハ要役ノ方デアリマスカラ箇樣ナ別段ノ詞ハ使ハヌ方ガ宜シイ

（松岡委員）

穴ヲ掘テモ構ハヌト云フハ宜シイカネ

（南部委員）

ソレハ出來マセン、地役ヘハ當テ嵌メル事ハ出來ルガ、地役ヲ踰ヘテト云フ事ハ出來マセン、此方カラ地役ヲ向ウヘ向ケルトキハ出來ルノデス

（村田委員）

掘ラルル方ガ役デス

（松岡委員）

公有地ナレバ何尺ニシナケレバナラント云フ役ハナイノデシヨウ

（南部委員）

受方ニ於テハ持タナイノデス

（今村報吿委員）

人ノ家ハ威張ツテ行ク事ハ出來マセン

（松岡委員）

公有地ハ全デ宜イト云フ理窟ハ如何カ

（今村報吿委員）

私モ種々論ジテ見マシタガ、考ヘルニ公有ノ財產バカリデアリマス

（松岡委員）

役ヲ受ケヌト云フノハ此方ノ水ヲ汲マセヌト云テ止メテモ宜イデスカ

（南部委員）

併シドンドン這入ツテ來テハ困リマス

（松岡委員）

負擔條件ヲ守ラヌト、地役デ穴ヲ掘ルニ壁ハ地役線ダカラ構ハヌト云フハ酷イ

（南部委員）

仕方ガナイ、公衆ノ利益ニハ代ヘラレナイノデス

（今村報吿委員）

人民ノ害ニナル事ハサセヌト云フ條デス

（淸岡委員）

「利ス」トアルカラ害ヲ加フルノデシヨウ

（今村報吿委員）

害ヲ加フルト見テハ大變デス

（淸岡委員）

併シ遵奉スルニ及バヌトナレバ害デシヨウ

（南部委員）

公衆ノ爲メダカラデス

（淸岡委員）

公衆ノ爲メナレバ土地買上ゲ規則デスルノデス

（南部委員）

アレハ地役デアリマセンカラ混淆シテハナラヌ

（松岡委員）

水ヲ汲ムトカ云フハ左樣デモナイガ、間ニ井戶牆壁ガアルニ、當リ前ナレバ六尺ヲ避ケナケレバナランガ、公有地ハ構ハズ水ヲ流シテモ宜イトナツテハ酷イ話デアリマス

（今村報吿委員）

公平ヲ云フト酷イニハ相違ナイ

（淸岡委員）

之ハ裁判例ニ一切依テ宜イト思ヒマス

（南部委員）

地役ハ日本ニナクシテ始メテ置クノニハ愈公衆ノ用益ニ供シテ、ソレニ適用スルヤ否ハ大問題デ、適用シタ日ニハ此使用收益ハ刪除スルト見タトキハ公ノ財產ニハ適用セヌト云タ方ガ宜シイ、公有財產ハ五百二十五條ニアリマスガ此類例ヲ見タ所ガ、公有財產ニ適用シテモ差支ハアリマスマイ、況ンヤ公有財產ハ重モニ大キナモノデアリマスカラ、必ラズ穴ヲ掘ラナケレバナラン事ハ想像シテ始メテ起ル話デ、全クナイトハ云ハレマセンガ尠イ譯デ況ンヤ官タルモノハ人民ニ損害ヲ係ケヌ樣ニスルノハ當リ前デアリマスカラ、之ハ存シテ置イテ宜シイ

（鶴田委員）

之デ宜シイガ、書キ樣ヲ直シテ貰ヒタイ

（渡委員）

一寸分リ惡イ

（松岡委員）

文字ハ構ハヌ、事柄ガ官廳ノ建物ヲ拵ヘル時分穴ヲ掘テモ水溜ヲ拵ヘテモ池ヲ掘テモ構ハヌト云フハ酷イ話デス

（村田委員）

官廳ハソンナ事ハシナイ

（鶴田委員）

ソレハ公有ノ部分ニ於テハ仕方ガナイ、官有デ地役ガアツテモ地役ハ取ラレテ仕舞フカラ

（淸岡委員）

例ヘバ袋地ガアツテモ損害ヲ償ハセル事ハ出來マセンデシヨウ

（松岡委員）

地役ノ内穴ヤ溝ヤ井戶ヲ掘ルハ危險ト思ヒマス

（村田委員）

ケレドモ無理ナ事ハ出來マセン

（委員長）

事實品川ノ臺場ノ如キモノヲ築クトカ或ハ容假ノ衣類ヲ與ヘルトカ云フトキ、此理窟ヲ以テ始メシムル爲メデ、平常人民ノ爲メノ官廳ダカラ人民ノ害ニナル事ヲ爲スベキ旨意デハナイデシヨウ

（今村報吿委員）

臺場ノ如キヲ築ク時分ニハ近所ノ土地ヲ買上ゲマスカラ

（委員長）

買上ゲタ所ト接近シテ出來ルカラ、所有者ト爭ヒガアツテ此モノヲ以テ論ゼラレテハ困ルカモ知レヌ

（今村報吿委員）

臺場カラ人民ヘ害ヲ蒙ラセル事ハアリマセンデシヨウ

（鶴田委員）

分リ良イ樣ニ願ヒタイ

（尾崎委員）

分リマシヨウ

（今村報吿委員）

「然レトモ之ヲ利用ス」ト致シマスカ

（委員長）

ソウ書イテモ名文デモアリマスマイ

（淸岡委員）

上ノ働キ方ニテノ「ニテ」ノ二字ハ削除シヨウ

（委員長）

「ニテ」ハ削テモ宜シイ

（松岡委員）

宜シイ

（委員長）

宜ケレバ「ニテ」ヲ削ツテ、是レデ食事ニ致シマシヨウ

本條ハ報吿委員ノ修正ニ決シ其他「働方ニテ」ノ「ニテ」ヲ削ル

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民法草案議事筆記(要録) *未校正画像資料全体表示

前諸款ニ共通ノ通則

第七百八十五條　此節ニ定メタル所有者ノ負擔及ヒ條件ハ國「デパルトマン」又ハ「コンミユヌ」ノ私有財產又ハ其資產ニ付キ働方ニテ又ハ受方ニテ之ヲ適用スルコトヲ得

此負擔及ヒ條件ハ受方ニテハ公有財產ニ適用セス然レトモ之ヲ利ス〔伊民第五百五十六條〕

（松岡）

此條ハ公有地ニテ必要アルトキハ隣地ノ牆壁ニ接シテ穿窖スルヲ得ルカ

（今村）

然リ

（淸岡）

之ヲ利スト云ヘバ人民ニ害ヲ加ヘテモ可ナリト云フニ至ルト國デパルトマン云々ハ修正例ニヨリ公ノ無形人ノトス私有財產又ハヲ卽チト働方ニテ又ヲ及ビト反譯上ノ修正トス働方ニテノニテヲ刪ル

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参照

イタリア民法556条資料全体表示

556.

Cette disposition n'est pas applicable aux bâtiments destinés à l'usage public.

第五百五十六条

此条則ハ公同有益ノ使用ニ供充スル建築ニハ之ヲ擬施ス可ラス

556条テキスト未作成

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法取委再調査案

285条

本節ノ規定ハ公ノ無形人ノ私有及ヒ公有ノ財産ニ付キ働方及ヒ受方ニテ之ヲ適用ス

然レトモ公有財産ハ水樋及ヒ互有要求ノ権ニ服セス

議事録

民法草案再調査案議事筆記第7回甲 *未校正画像資料全体表示

第二百八十五條朗讀ス

第二百八十五條　本節ノ規定ハ公ノ無形人ノ私有及ヒ公有ノ財產ニ付キ働方及ヒ受方ニテ之ヲ適用ス

然レトモ公有財產ハ水樋及ヒ互有要求ノ權ニ服セス

（南部委員）

水樋ノ權トシテ「ノ權」ヲ入レント分リ惡クハナイカ

（元尾崎委員）

働方受方ヲ入レナケレバナランカ、之ハナクトモ適用スデ良ササウナモノデス

（村田委員）

公有財產ト云フモノハ私有財產ノミニ適用セントアルガ起案者ガ入レタノカ

（今村委員）

デハ修正ト致シマシヨウ

（村田委員）

元トノ方ガ良イト思フ

（委員長）

公有ノ財產ハ仕樣ガアリマスマイ

（南部委員）

「水樋」ハ權ヲ入レナクテモ良イカ

（今村委員）

「ノ權」ト入レテモ良シイ

（栗塚委員）

入レテ置ク方ガ良クハアリマセンカ

（委員長）

入レンデモ分ルダロウ

（栗塚委員）

水樋要求ノ權ト讀ミハセンカト云フキリデス

（今村委員）

「ノ」ノ字ガアレバダガ無イカラソウハ讀ムマイ

（槇村委員）

先ヘヤリマシヨウ

本條ハ原案ニ決ス

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民法草案再調査案議事筆記(要録) *未校正画像資料全体表示

前諸款ニ共通ナル規則

＜修正＞

第二百八十五條　本節ノ規定ハ公ノ無形人ノ私有及ヒ公有ノ財產ニ付キ働方及ヒ受方ニテ之ヲ適用ス

然レトモ公有財產ハ水樋及ヒ互有要求ノ權ニ服セス

（南部）

本條第二項水樋トアル下ニ「ノ權」ト云フ二字ヲ挿入シタシ

（三島）

互有要求ノ權トアルヲ以テ差支ナシ

（栗塚）

小樋要求ノ權ト誤認スルノ恐レアリ此儘ニ可決ス

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法取委上申案(1888)

265条

本節ノ規定ハ公ノ無形人ノ私有及ヒ公有ノ財産ニ付キ働方及ヒ受方ニテ之ヲ適用ス

然レトモ公有財産ハ水樋及ヒ互有ノ要求権ニ服セス

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元老院議定上奏案

264条

本節ノ規定ハ国、府県、市町村ノ私有及ヒ公有ノ財産ニ付キ働方及ヒ受方ニテ之ヲ適用ス

然レトモ公有財産ハ水ノ疏通及ヒ互有ノ要求権ニ服セス

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公布

265条

本節ノ規定ハ国、府県、市町村ノ私有及ヒ公有ノ財産ニ付キ働方及ヒ受方ニテ之ヲ適用ス

然レトモ公有財産ハ水ノ疏通及ヒ互有ノ要求権ニ服セス

CONCORDANCE

プロジェ新版285条資料全体表示

Art. 285. 条文沿革

(Domaine privé de l'Etat.)

Les charges et conditions imposées aux propriétaires par la présente Section sont applicables, activement et passivement, à l'Etat, aux départements et aux communes, pour leurs biens privés ou patrimoniaux et pour ceux du domaine public.[C. it., 556.]

(Domaine public.)

Toutefois, ces derniers ne sont pas soumis au droit d'aqueduc, à la réquisition de la mitoyenneté ni aux distances à observer pour les vues et les plantations.

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旧民法・法例（明治23年）

民法編纂局

785条

参照

法取委 原案

785条

議事録

参照

法取委 再調査案

285条

議事録

法取委 上申案(1888)

265条

元老院 議定上奏案

264条

公布

265条

関連資料

CONCORDANCE

法取委原案

法取委再調査案

法取委上申案(1888)

元老院議定上奏案