1247条
売買廃斥ノ訴権及ヒ代価減下ノ訴権ハ左ノ期限内ニ行フコトヲ要ス
不動産ニ関シテハ十箇月
活動物ニ非サルノ動産ニ関シテハ三箇月又活動物ニ関シテハ一箇月
右ノ期限ハ物ノ引渡ノ日ヨリ起算ス然レトモ買主物ノ瑕疵ヲ知リタル証拠アルトキハ其瑕疵ヲ知リタル日ヨリ以後ノ残余期限ハ其半ニ減ス
又買主意外ノ変災又ハ難抗力ニ因リ右ノ期限内ニ其瑕疵ヲ発見スル能ハサリシコトヲ証スルニ於テハ期限経過ノ後ト雖其訴権ヲ受理スヘシ
（委員長）
ヤリマシヨウ
第七百四十六條朗讀ス
第七百四十六條 賣買廢却ノ訴及ヒ代價減少竝ニ損害賠償ノ訴ハ左ノ期間ニ於テ之ヲ起スコトヲ要ス
不動產ニ付テハ六ケ月
動物ニアラサル動產物ニ付テハ三ケ月動物ニ付テハ一ケ月〔第千六百四十八條〕
此期間ハ引渡ノ時ヨリ之ヲ計算ス
然レトモ此期間ハ買主カ瑕疵ヲ知リタルノ證アリタル日ヨリ其半ニ短縮セラル
若シ買主カ意外又ハ不可抗ノ情況ニ因リ右ノ期間内ニ隱レタル瑕疵ヲ發見スルコト能ハサリシコトヲ證スルトキハ其期間滿了ノ後ニ於テモ訴ヲ受理スルコトヲ得
（栗塚報吿委員）
第五項ノ「短縮セラル」ノ下ヘ「但其殘期カ此半ヲ超過スルトキニ限ル」ト起案者ガ入レマシタ
（松岡委員）
三日目ニスレバ六ケ月ノ半分外ヤラセヌト云フノデスカ
（栗塚報吿委員）
ソウデス、末項ノ終リヘ「此場合ニ於テハ瑕疵ノ發露シ得ヘキトキヨリ通常期間ノ三分ノ一ヲ以テ新期間トス」ト起案者ガ入レマシタ
（南部委員）
「發露」ハ「發見」デハナイカ
（栗塚報吿委員）
「發見」デス
（村田委員）
不可抗ノ下ヘ「力」ノ字ガ拔ケハシマセンカ
（栗塚報吿委員）
「力」ノ字ハアリマセン形容詞デス、不可抗ノ狀況以外ノ狀況ト云フノデス
（松岡委員）
瑕疵ノ發見シ得ベキトキト云フノハ分ラヌ
（南部委員）
水ガ被ツテ居タノガ、水ガ退イテ仕舞ヘバ發見シ得ベキダ
（松岡委員）
其コトガ分リ惡クイ
（西委員）
一體ガ引渡ノトキカラ計算スルノデス、其レカラ見付ケレバ短クシテ半分ニスル
（松岡委員）
ソウシテ後ノハ自分ガ不可抗ノ情況カラ見出スコトガ出來ナカツタトキハ事柄ヲ證明スレバ期間ガ滿了ノ後デモ出來ル其レハ何時迄モ出來ルト云フト困ルカラ後チニ追加ヲスル、其レヲ瑕疵ノ發見シ得ベキト云フノカ
（栗塚報吿委員）
瑕疵ヲ發見シ得デモアル時ヨリデス
（松岡委員）
コウ云フト新期間ヲ云ハナケレバナラヌガ瑕疵ノ發見シ得ベキハ認知スベキモノデアルト云フ事ヲ此處ヘ持テ來ルノハ變ダ
（栗塚報吿委員）
「意外又ハ不可抗ノ止ミタルトキヨリ」デス
（松岡委員）
其レハ宜シイ
（栗塚報吿委員）
之デモソウ讀メソウナモノダ
（松岡委員）
其レハ讀ミ惡クイ
（村田委員）
仕舞ガ止ンデカラ數ヘサセテ良イモノデハナイカ
（栗塚報吿委員）
之ハ廢却訴權ヲ短クスル旨意デス
（南部委員）
之ガ無クナルト何時迄モ訴ヘラレル樣ニナル
（村田委員）
假令バ六ケ月ノ期間ノモノモアレバ意外ノ事ノ爲メニ十日デ其レガ止ンダトキハ十日カラ算ヘルコトニナル、ソウスルト六ケ月貰ヘヌコトニナル
（松岡委員）
此期限ガ滿チタル後ダカラ其レハ差支ナイ
（南部委員）
不可抗ノ情況ノ止ミタルトキヨリ
（栗塚報吿委員）
情況ガ止ンデ瑕疵ヲ發見シタトキカラデス
（南部委員）
ソウデハナイ
（栗塚報吿委員）
發見シタルトキヨリト云フノデハナイカ
（村田委員）
ソウスルト爭ヒ掛ケテナケレバ五ケ月ヲ過ギテモ構ハヌ
（南部委員）
前ノ期間ガアレバ其レハ其レデ宜シイ
（松岡委員）
何時迄モ知ラズニ居レバ限リガナイ
（淸岡委員）
仕方ガナイトシテ切テ仕舞ヘバ三ケ月ノトキ二ケ月ト二十八日ノトキ不可抗ガ止メバ其トキハ二日ノ内ニ訴ヘナケレバ三ケ月ノ期間ト云フコトハ出來ナイ、其レガ三日過レバ三分ノ一ヲ貰フコトガ出來ル
（委員長）
不可抗ノ來リ樣デス、初メノ十日ナラ十日、二十日ナラ二十日濟ンデ來タトキハ
（淸岡委員）
三ケ月ト二ケ月二十八日目ニ不可抗ガ止ンダ
（松岡委員）
五ケ月ヲ經テ不可抗ガ起ツテ六ケ月行クト云フコトハ出來ナイ、此法文通リニ云フト期間内ニ發見スル能ハザルトキ期間ヲヤルト云フノダカラ期間内ナレバ一日デモ二日デモ仕方ガナイト見ヘル
（淸岡委員）
九十九日目ニ發見シタトキハ一日外ナイ、一日殘ツテモ仕方ガナイ
（栗塚報吿委員）
「意外又ハ不可抗ノ情況ノ止ミタルトキヨリ」ト致シマス
（委員長）
修正シテ先キヘ行キマス
本條ハ左ノ如ク決ス
第六項ニ「但其殘期カ此半ヲ超過スルトキニ限ル」ヲ起案者ニ於テ追加ス末項ノ終リヘ「此場合ニ於テハ意外又ハ不可抗ノ情況ノ止ミタルトキヨリ通常期間ノ三分一ヲ以テ新期間トス」ヲ加フ