明治民法（明治29・31年）

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決議案

735条

他家ニ在ル戸主ノ親族ハ其承諾ヲ得テ其家族ト為ルコトヲ得但其親族カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戸主ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス

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整理案

737条(4/11案)

他家ニ在ル戸主ノ親族ハ其承諾ヲ得テ其家族ト為ルコトヲ得但其親族カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戸主ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス

前項ニ掲ケタル者カ未成年者ナルトキハ親権ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

議事録

法典調査会民法整理会第25回議事速記録 *未校正民整7巻73丁裏画像資料全体表示

第七百三十七條第二項トシテ左ノ一項ヲ加フ

　前項ニ掲ケタル者カ未成年者ナルトキハ親權ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

梅謙次郎君

第七百三十七條ノ第一項ノ趣意ハ是ハ原文ノ儘デアリマスルト云フト多少ノ疑ハアツタノデアリマスケレドモ正當ナル解釋トシテハ未成年者ト雖モ一己ノ意思デ以テ苟モ兩家ノ戸主ノ同意サヘアレバ家ヲ轉ズルコトガ出來ルト云フコトニナツタラウト思フ其譯ハ民法ノ原則ト致シマシテハ未成年者ハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ法律行爲ヲ爲スコトヲ得ズトアリマスケレドモ其法定代理人ト云フ者ハ抑モ何ニ付テ置テアルカト言ヘバ親族編ノ規定デハ親權ヲ行フ者デアラウトモ後見人デアラウトモ財產ニ付テデナケレバ未成年者ヲ代表スルコトハナイ其他ノ事ニ付テ代表セシムル場合ニハ別段ノ規定ガアルノデ別段ノ規定ガナケラネバ其他ノ事ニ付テハ代表スベキモノデハナイ、シテ見ルト人事ニ關スル問題ニ於テハ詰リ法定代理人ガナイカラ民法第四條ノ規定ハ嵌マラヌコトニナラウト思ヒマス、ガ併シソレハ隨分不明ナノデアリマス民法ノ第四條ヲ見ルト未成年者ハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ法律行爲ヲ爲スコトヲ得ズト書イテアルソレデ他ノ家ニ入リタイト云フ意思ヲ表示スレバ立派ナ法律行爲デアリマスカラ餘程分明ナンデス何ゼ家ヲ轉ズルニ付テ斯樣ニ同意ヲ要スルカト云フト先刻モ申上ゲマス通リ隨分重大ナ結果ヲ惹起スモノデアツテ先刻現ニ子ノ認知ト云フモノトハ餘程效力ノ違フト云フコトヲ申上ゲタ位デアル其重大ナル事ヲ未成年者ガ一己ノ意思デ以テ極メルト云フコトハ穩カデナカラウ、場合ニ依リマシテハ一方ノ戸主ハ邪魔ニナルカラト言ツテ容易ク他ノ家ニ入ルコトヲ許ス、他ノ家ノ戸主ハ丁度子ガナイトカ云フヤウナ場合デアリマスルト容易ク家族ニ爲ルコトヲ許ス、所ガ本人ノ利益カラ言ヘバ元ト居ツタ家ノ方ハ富家デアルカ其他利益ノアル家デアルト云フヤウナ事ガ毎度アル話デアリマス故ニ未成年者ガ自ラ判斷スルコトノ出來ヌ場合ニハ親權ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ル斯樣ニシタ方ガ宜カラウ斯ウ云フ明文ヲ置キマスルト未成年者ニ付テハ決セラレルシ、暗ニ禁治產者ニ付テハ後見人ノ同意ハ要ラナイト云フコトガ分ツテ來ル禁治產者ハ意思ノ不充分ナル場合デアリマスレバ則チ其法律行爲ガ成立致シマセヌカラ此時ニハ問題ニナラナイ意思ノ確カナル場合ニ於テハ斯樣ナ一身ノ屬スル家ヲ轉ズルト云フヤウナ事柄ニ付テ成年ノ者ガ後見人ノ同意ヲ得テヤル抔ト云フコトハ無論不穩當ノコトデアリマスソレハ事柄ニ於テイケナイ其イケナイト云フコトガ第二項ガアレバ明カニナル禁治產ト云フ文字カラ見テモ是ハ產ヲ治ムルヲ禁ズルノデアツテ身上ノ問題ニ付テ後見人ガ付テ居ルノデハナイ後見人ノ權限ノ所ヲ見テモソコニハ唯ダ財產ニ付テノミ書イテアル身上ニ付テハ唯ダ禁治產者ノ病氣ノ癒ルヤウニ看護療養ヲスルヤウニト云フコトガ書イテアル其外ハ財產ノ事ノミデアルサウスレバ其事ガ自ラ明瞭ニナルノデ旁々以テ此第二項ヲ入レルコトガ必要ト考ヘタノデアリマス

奧田義人君

異議ナシ

議長（曾禰荒助君）

別段ニ御異議ハゴザイマセヌカ、御異議ガナケレバ是ハ可ト認メラレタモノト見テ次ニ參リマセウ

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帝国議会

737条

戸主ノ親族ニシテ他家ニ在ル者ハ戸主ノ同意ヲ得テ其家族ト為ルコトヲ得但其者カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戸主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

前項ニ掲ケタル者カ未成年者ナルトキハ親権ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

原田真義『民法対照』

日本(その他)

太政官指令 (明治6年8月4日)
太政官指令 (明治7年8月18日)
太政官指令 (明治9年5月25日)
太政官指令 (明治17年3月8日)
内務省指令 (明治17年2月22日)
内務省指令 (明治17年3月22日)
内務省指令 (明治17年3月22日)
内務省指令 (明治17年4月12日)
内務省指令 (明治17年4月23日)
内務省指令 (明治17年6月9日)
内務省指令 (明治17年7月18日)
司法省指令 (明治20年4月2日)
司法省指令 (明治20年5月21日)
司法省指令 (明治20年8月22日)
司法省指令 (明治20年9月27日)
司法省指令 (明治20年11月17日)
司法省指令 (明治22年2月7日)
司法省指令 (明治23年11月26日)

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公布

737条

戸主ノ親族ニシテ他家ニ在ル者ハ戸主ノ同意ヲ得テ其家族ト為ルコトヲ得但其者カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戸主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

前項ニ掲ケタル者カ未成年者ナルトキハ親権ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

関連資料

梅謙次郎『民法要義』*未校正資料全体表示

第七百三十七條　戶主ノ親族ニシテ他家ニ在ル者ハ戶主ノ同意ヲ得テ其家族ト爲ルコトヲ得但其者カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戶主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

　前項ニ揭ケタル者カ未成年者ナルトキハ親權ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス（人二五六）

第七百三十二條ノ規定ニ依レハ戶主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者ハ之ヲ家族トセリ故ニ戶主ノ親族ト雖モ其家ニ在ラサル者ハ固ヨリ家族ニ非ス然リト雖モ一家ノ便利又ハ親族ノ愛情ヨリシテ其者ヲ家族ト爲サント欲スルコトアリ此場合ニ於テ（第一）本人ノ意思（第二）新ニ入ルヘキ家ノ戶主ノ意思（第三）現在ノ家ノ戶主ノ意思ノ一致アルトキハ之ヲ許セリ但其親族カ戶主ナル場合ニ於テハ其者ノ意思ト新ニ入ルヘキ家ノ戶主ノ意思トアレハ足レルコト固ヨリナリト雖モ戶主ハ或ハ隱居ヲ爲シ或ハ廢家ヲ爲スニ非サレハ他家ニ入ルコトヲ得ス而シテ第一ノ場合ニ於テハ隱居成立スルト同時ニ家族ト爲ルカ故ニ其家督相續人即チ現在ノ戶主ノ同意ヲ得ルコトヲ要スルハ固ヨリナリ又廢家ハ自己カ新ニ家ヲ立テタル場合ニ於テハ之ヲ爲スコト隨意ナリト雖モ（七六二、一項）家督相續ニ因リテ戶主ト爲リタル者ハ廢家ヲ爲スコトヲ得サルヲ原則トス故ニ自ラ本條ノ適用ヲ受ケサルコトト爲ルヘシ

右ニ述ヘタル如ク甲家ノ戶主ノ親族カ乙家ニ在ルトキハ先ツ其者ノ意思アルニ非サレハ移シテ甲家ノ家族ト爲スコトヲ得ス故ニ其者ニ意思能力ナキトキ即チ幼者、瘋癲、白癡等ノ如キハ到底本條ノ適用ヲ受クルコト能ハス唯意思能力アル者ハ何人ト雖モ本條ノ規定ニ依リテ他家ノ家族ト爲ルコトヲ得ヘシ而シテ準禁治產者ノ如ク完全ナル能力ヲ有セサル者ト雖モ自己ノ一存ニテ本條ノ規定ニ依リ其意思ヲ表示スルコトヲ得ヘシ（妻ハ七四五ノ規定ニ依リ本條ノ適用ヲ受クルコトナシ）唯未成年者ハ「親權ヲ行フ父若クハ母又ハ後見人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス」ルモノトシ以テ此㸃ニ於テハ財產ニ關スルト同一ノ能力ヲ要スルモノトセリ是レ他ナシ未成年者ハ其智能ノ發達未タ完カラスシテ單ニ財產ニ關スル事項ノミナラス其身上ノ事項ニ於テモ十分自己ノ利害ヲ較量シテ其意思ヲ決スルコト能ハス若シ今日輕輕シク他家ノ家族タルコトヲ承諾スルモ後日或ハ大ニ悔ユルコトナシトセス而シテ是レ單ニ其智能ノ發達未タ完カラサルカ故ナルヲ以テ其身上及ヒ財產上ノ保護者タル親權者又ハ後見人ノ同意ヲ必要トシタルナリ

或ハ曰ハン本條ノ場合ニ於テ準禁治產者カ保佐人ノ同意ヲ得ルコトヲ要セサルハ第十二條ニ本條ノ場合ヲ列擧セサルヲ以テ固ヨリ疑爲シト雖モ唯リ未成年者ニ至リテハ第四條ニ廣ク「法律行爲ヲ爲スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス」ル旨ヲ定メタルカ故ニ本條第二項ノ規定ナキモ必ス親權者又ハ後見人ノ同意ヲ得ヘキモノナルコト固ヨリ論ヲ竢タサルカ如シ然ルニ特ニ本條第二項ノ規定ヲ置キタルモノ果シテ如何ト余ハ之ニ答ヘテ曰ハン第四條ノ規定ノ槪括的ナルコト洵ニ或者ノ言ヘルカ如シト雖モ同條ノ意義ハ財產ニ關スル行爲ニ付テノミ規定シタルモノナルコトハ後ノ親權者及ヒ後見人ノ權限ヲ定メタル箇條ニ依リテ明カナリ乃チ第八百八十四條ニ於テ親權者ハ未成年者ノ財產ニ關スル法律行爲ニ付テノミ之ヲ代表スル者トシ又後見人ニ付テモ第九百二十三條ニ同一ノ規定ヲ設ケタリ故ニ親權者及ヒ後見人カ法定代理人タル場合ハ原則トシテハ財產ニ關スル場合ノ外是レアルコトナシ故ニ第四條ノ規定ハ自ラ財產ニ關スル行爲ニ其適用ヲ限ラレサルコトヲ得ス是レ特ニ本條第二項ノ規定ヲ必要トスル所以ナリ尙ホ準禁治產者ハ其名ノ示ス如ク產ヲ治ムルコトヲ禁スル者ニ準スル者ナルカ故ニ財產以外ニ於テ其能力ヲ制限シタル者ニ非サルコトハ固ヨリ明カナル所ナリ故ニ第十二條第二項ノ場合ニ於テモ裁判所ハ決シテ財產以外ノ行爲ニ付キ保佐人ノ同意ヲ受クヘキ旨ヲ宣吿スルコト能ハサルヤ蓋シ論ヲ竢タサル所ナリ

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Code civil de l'Empire du Japon 資料全体表示

737. Le parent d'un chef de famille qui appartient à une autre famille peut entrer dans la famille de son parent avec le consentement de celui-ci; mais s'il est membre de cette autre famille, il doit obtenir le consentement du chef de cette famille.

Si la personne en question est mineure, elle doit obtenir le consentement du père ou de la mère qui exerce la puissance paternelle ou de son tuteur.

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参照（梅謙次郎『民法要義』）

旧民法人事編256条資料全体表示

第二百五十六条条文沿革

他家ニ入リテ夫、婦又ハ養子ト為リタル者ハ配偶者又ハ養子ヲ為シタル者ト協議ノ上両家ノ戸主ノ許諾ヲ受ケテ実家ニ在ル卑属親ヲ自家ニ引取ルコトヲ得

婚姻若クハ養子縁組ノ無効又ハ離婚若クハ離縁ニ因リテ婚家又ハ縁家ヲ去リタル者ハ配偶者又ハ養子ヲ為セシ者ト協議ノ上両家ノ戸主ノ許諾ヲ受ケテ其家ニ在ル卑属親ヲ自家ニ引取ルコトヲ得

256. Any person who has become the husband or wife or been adopted by entering into the other house can, after the arrangement with his or her spouse or the adopter, take into his or her house those descendants who remain in his or her original house, by obtaining the permission of the koshu of the both houses.

Any person who has left the house, into which he or she entered by the marriage or adoption, on account of the nullity of such marriage or adoption or divorce or dissolution of adoption, can, after the arrangement with the person who was his or her spouse or adopter, take into his or her house those descendants who remain in such house, by obtaining the permission of the koshu of the both houses.

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公布後の改正

明治民法737条