荷蘭国民法

参考原資料

他言語・別版など

荷蘭国民法(総則)

第一篇 人事 第一巻 民権ヲ有スル事、民権ヲ失フ事 第一条 民権ヲ有スルハ政権ニ相管スルコト無シ但シ政権ハ憲法ニ因テノミ之ヲ有スルコトヲ得可シ(仏民法第七条) 第二条 売奴其他奴隷ノ取扱ハ其種質又ハ名義ノ如何ヲ問ハス王国内ニ於テハ都テ之ヲ廃止シ而シテ国内ニ在ル人民ハ総テ民権ヲ有スルコト自由ニシテ又之ヲ有スルノ権アリ 第三条 懐胎中ノ子ハ其子ノ有用ナル時ニ於テハ之ヲ産レタル者ト見做ス可シ 死シテ産レタル子ハ嘗テ生存セシコト無キ者ト見做ス可シ(仏民法第七百二十五条) 第四条 如何ナル刑ト強モ准死ニ優ル者無シ又此刑ニ因テ民権ヲ失フニ至ル可カラス 民権ヲ有スル事ハ天然ノ死去ニ因ルニ非サレハ停止ス可カラス(仏民法第二十二条、差異) 第二巻 内国人及ヒ外国人 第五条 荷蘭国人民タル者ハ左ニ列記ス 第一 両親ノ王国内又ハ属国内ニ住居シテ産ミタル子 第二 両親ハ荷蘭人ニシテ其外国ニ於テ産ミタル子(仏民法第十条) 第三 王国内ニ住所ヲ定メサル両親其王国内ニ於テ産ミタル者己レノ住所ヲ其王国内ニ定ムル時(仏民法第九条、差異) 第四 両親ハ素ト外国人ナルモ王国内又ハ其属国内ニ住所ヲ定メ一時ノ不在又ハ公務ノ為メ不在中外国ニ於テ産ミタル子 第五 荷蘭国ニ帰化シ又ハ土人タルノ権利ヲ得ル者 第六条 仏民法第十二条ニ同シ 第七条 第五条ト第六条ニ適セサル者又荷蘭人タルノ分限ヲ失ヒタル者ハ外国人タリ 第八条 左ニ列記シタル二箇ノ場合ニ於テハ外国人タリトモ荷蘭人ト見做ス可シ 第一 王ノ允許ヲ受ケ王国内ニ住所ヲ設ケテ邑庁ニ其允許ヲ証明セシ者 第二 王国ノ邑内ニ住所ヲ設ケテ其邑内ニ六年間住居シ其住所ノ邑庁ニ王国内ニ住所ヲ定ム可キノ意ヲ申述セシ者(仏民法第十一条及ヒ第十三条、差異) 第九条 荷蘭人民タルノ分限ヲ失フ者ハ左ノ如シ 第一 外国ノ戸籍ニ入ル者 第二 王ノ允許ナク外国政府ヨリ官職ヲ受ケ又ハ外国ニ於テ兵籍ニ入ル者 第三 帰国ノ意ナク外国ニ居住ヲ定ムル者但シ商業ノ為メ外国ニ居住スル者ハ帰国ノ意無クシテ外国ニ居住スル者ト看做ス可カラス(仏民法第十七条) 第十条 前条ノ原由ニ因テ荷蘭人タルノ分限ヲ失ヒシ者ハ本巻第八条ニ依遵スルニ非サレハ荷蘭人タルノ分限ヲ復スルコトヲ得ス 第十一条 仏民法第十九条第一項ニ同シ 婚姻解除ノ後其女既ニ王国ニ居住シ又ハ王国ニ住所ヲ定ム可キ旨ヲ邑庁ニ申述ヘテ王国ニ帰ル者ハ荷蘭人タルノ分限ヲ復ス可シ(仏民法第十九条第二項) 第十二条 荷蘭人タルノ分限ヲ復セント欲スル者ハ其帰国ノ後ニ得ル権利ニ非サレハ其分限ニ付キ利益ヲ得可カラス(仏民法第二十条) 第三巻 身分証書 第一款 一般ノ身分証書ノ簿冊 第十三条 各邑庁ニ於テハ出産、婚姻ノ申述、其公告及ヒ其執行、離婚、死去等ノ簿冊ヲ設ク可シ 此等ノ簿冊ハ各種ニ分チ其地方ノ官吏中ヨリ撰ヒタル身分証書ノ官吏一名又ハ数名ヲ以テ之ヲ担当ス 第十四条 簿冊ハ婚姻ノ申述及ヒ公告ノ簿冊ヲ除クノ外各々二冊ヲ備ヘ置ク可シ 第十五条 仏民法第四十一条及ヒ第四十二条ニ同シ 第十六条 仏民法第四十一条及ヒ第四十二条ニ同シ 第十七条 仏民法第三十五条及ヒ第三十四条ニ同シ 第十八条 仏民法第三十五条及ヒ第三十四条ニ同シ 第十九条 本人自カラ出頭スルニ及ハサル時ハ特別又ハ公正ノ証書ヲ以テ委任セシ名代人ヲ出タスコトヲ得可シ 第二十条 仏民法第三十条追加 証人ハ王国内ニ住居スル者ヲ要ス又本人ノ血属親ハ其証人ト為ルコトヲ得可シ 第二十一条 仏民法第三十八条第三十九条ニ同シ 第二十二条 仏民法第四十三条乃至第四十五条ニ同シ 第二十三条 仏民法第四十三条乃至第四十五条ニ同シ 第二十四条 仏民法第四十三条乃至第四十五条ニ同シ 第二十五条 仏民法第四十九条ニ同シ 第二十六条 若シ其簿冊ノ未タ備ハラサル時又ハ亡失セシ時ハ本人ヨリ証書又ハ証人ヲ以テ其旨ヲ証スルコトヲ得可シ 若シ身分証書ヲ贋造、変更、破損又ハ滅失セシニ因リ刑事ノ裁判言渡ヲ為ス時ハ其言渡ハ法律ニ因リ刑事裁判ニ属スル所ノ控訴ス可カラサルニ至リシ裁判ヲ経タルノ力アリ(蘭民法第千九百五十五条見合セ)(仏民法第四十六条) 第二十七条 仏民法第五十条乃至第五十二条ニ同シ但シ罰金ハ百「フローラン」ヨリ超過スルコトヲ得ス○訴訟手続ハ訴訟法第八百三十四条ニ因テ之ヲ規定ス○身分証書ノ官吏規則ニ背ク事アル時ハ註誤ノ裁判ヲ受ク可シ 第二十八条 仏民法第五十三条追加 又検事ハ邑庁ニ保蔵シタル二箇ノ簿冊ヲ検視ス可シ 第二款 出産ノ証書 第二十九条 仏民法第五十五条及ヒ第五十六条第二項ニ同シ但シ第五十五条ノ末項ヲ変更セシコト左ノ如シ 身分証書ノ官吏ハ其生レタル子ヲ己レニ示ス可シト要求スルコトヲ得可シ 第三十条 仏民法第五十六条第一項及ヒ第五十七条ニ同シ 第三十一条 仏民法第五十六条第一項及ヒ第五十七条ニ同シ 第三十二条 若シ未タ婚姻セスシテ子ヲ産ム時ハ出産証書ニ其父ノ姓名ヲ記ス可カラス但シ其父己レノ子ナリト認メタル時ハ格別ナリトス 第三十三条 仏民法第五十八条ニ同シ 第三十四条 若シ公舎ニ於テ棄児ヲ請取ル時ハ其公舎ノ長又ハ役員前条ノ申述ヲ為ス可シ 第三十五条 仏民法第五十九条乃至第六十一条ニ同シ 第三十六条 仏民法第五十九条乃至第六十一条ニ同シ 第三十七条 仏民法第五十九条乃至第六十一条ニ同シ 第三十八条 仏民法第六十二条追加 若シ公正ノ証書ヲ以テ我子ナリト認メタル時其本人ハ出産ノ証書ノ端ニ其認メシ旨ヲ記入センコトヲ求ムルヲ得可シ 如何ナル場合ヲ問ハス其出産ノ証書ノ端ニ子ヲ認メタルコトノ記載無シト強モ其認メタル子ノ身分ヲ確証スルノ妨ケト成ル可カラス(仏民法第三百三十四条) 第三款 婚姻ノ申述及ヒ公告 第三十九条 身分証書ノ官吏ハ婚姻ノ申述ノ為メニ備ヘタル簿冊中ニ第百五条及ヒ第百六条ニ照シテ為シタル婚姻ノ申述ヲ謄記ス可シ 第四十条 其申述ニハ夫婦タラント欲スル者ノ姓名、年齢、職業及ヒ住所ヲ示シ若シ筆記シテ申述ヲ為ス時ハ身分証書ノ官吏ハ之ヲ謄写シテ簿冊ニ添加セシ後其簿冊ニ姓名ヲ署ス可シ 第四十一条 若シ其申述ヲ為ス者ノ間ニ婚姻ヲ禁ス可キコト無キ時ハ身分証書ノ官吏ハ直ニ第百七条、第百八条及ヒ第百九条ニ規定シタル公告ヲ為ス可シ 第四十二条 仏民法第六十三条ノ終尾ニ同シ 第四十三条 仏民法第六十七条ニ同シ 第四款 婚姻及ヒ離婚ノ証書 第四十四条 仏民法第七十五条ノ終尾ニ同シ 第四十五条 仏民法第七十六条追加 必要ノ時ハ私生ノ子ヲ認メタル事 第四十六条 若シ検事ノ媒介ニ因テ婚姻ノ契約ヲ結ヒ又ハ自宅ニ於テ其婚姻ヲ行ヒタル時ハ婚姻ノ証書ニ其旨ヲ明載ス可シ 第四十七条 外国ニ於テ行ヒシ婚姻ノ証書ハ夫婦ノ其住所ノ地ノ簿冊ニ謄記ス可シ(仏民法第百七十一条) 第四十八条 離婚ノ証書ニハ離婚ヲ為シタル夫婦ノ姓名、住所、職業、離婚ノ裁判言渡又ハ法律上如何ナル方法ヲ以テスト雖モ其裁判言渡ヲ排撃シ得可カラサル旨ヲ確証セル裁判所附キノ書記ノ証書ヲ謄記ス可シ但シ裁判言渡ノ写ハ離婚ノ簿冊ニ添加ス可シ 第四十九条 婚姻ノ証拠ニ適用スルコトヲ得可キ仏民法第四十六条ニ同シ 第五款 死去ノ証書 第五十条 仏民法第七十八条第一項追加 若シ死者自己ノ住所外ニ於テ死去シタル時ハ其地ノ身分証書ノ官吏ハ其死者ノ最終ノ住所アル地ニ其死去ノ証書ノ写ヲ送達シ身分証書ノ簿冊ニ謄記セシム可シ(仏民法第八十条第二項) 第五十一条 仏民法第七十九条追加 死去ノ日及ヒ時ヲ記ス可シ 第五十二条 身分証書ノ官吏ハ出産ノ簿冊ニ其出産ノ記載有ルニ非サレハ棄児ノ死去ノ証書ヲ記ス可カラス○若シ其記載無キ時ハ既ニ死去セシ棄児ヲ検視セシ旨ヲ申告シ又其棄児ヲ己レニ示ス可キコトヲ求ムルヲ得可シ○其他両親ノ姓名、年齢、住所及ヒ其棄児ノ出産ノ時限ニ管シテ証人ノ申述ヲ受ク可シ 其証書ハ其子ノ生存シタルヤ否ヤヲ知ルニ誤謬ヲ生ス可キコト無ク其当日死去ノ簿冊ニ謄記ス可シ 第五十三条 身分証書ノ官吏ノ允許状有ルニ非サレハ埋葬ヲ為ス可カラス 身分証書ノ官吏ハ死去ヲ確証セシ後又ハ死去ノ後三十六時間ヲ経ルニ非サレハ其允許状ヲ渡ス可カラス但シ警察規則ニ予定シタル場合ニ於テハ此例ニ在ラス(仏民法第七十七条) 第五十四条 仏民法第八十条ニ同シ 第五十五条 仏民法第八十一条ニ同シ但シ取調ノ法ハ千八百十八年七月十五日ノ官令ニ規定アリ 第五十六条 仏民法第八十条、第八十三条及ヒ第八十五条乃至第八十七条ニ同シ 第五十七条 仏民法第八十条、第八十三条及ヒ第八十五条乃至第八十七条ニ同シ 第五十八条 仏民法第八十条、第八十三条及ヒ第八十五条乃至第八十七条ニ同シ 第五十九条 仏民法第八十条、第八十三条及ヒ第八十五条乃至第八十七条ニ同シ 第六十条 仏民法第八十条、第八十三条及ヒ第八十五条乃至第八十七条ニ同シ 第六十一条 軍人ノ死去ヲ通常ノ身分証書ノ簿冊ニ記載スル方法ハ特別ノ規則ヲ以テ之ヲ定ム(仏民法第二巻第五章) 第六十二条 死去ノ証書ニ適用スルコトヲ得可キ仏民法第四十六条ニ同シ 第六款 姓名ノ変更 第六十三条 何人ニ限ラス王ノ允許ヲ受クルニ非サレハ自已ノ姓ヲ変更シ又ハ自己ノ姓ニ他ノ姓ヲ添加スルコトヲ得ス(仏国共和第十一年「ゼルミナール」月十一日ノ法律) 第六十四条 其願ハ之ヲ公聞新紙ニ掲載セシ日ヨリ起算シ満一年ヲ経ルニ非サレハ許可セサル可シ 第六十五条 前条ノ時間ニ於テハ姓ヲ変更セサルヲ得サル故障ノ原因ヲ記シタル願書ヲ国王ニ奉呈スルコトヲ得可シ 第六十六条 名ノ変更ニ管スル官令ハ出産ノ証書ノ端ト其簿冊トニ記載ス可シ 第六十七条 国王ノ允許ヲ受ケタル名ノ変更又ハ添加ハ決シテ系統ヲ確証スル為メノ用ニ供スルコトヲ得ス 第六十八条 名ノ変更又ハ添加ヲ為スタメニハ裁判所ニ其願書ヲ出スヲ要トス 第六十九条 允許ヲ受ケタル時ハ第六十六条ニ於ケルカ如ク簿冊ニ記載ス可シ 第七款 身分証書ノ改正 第七十条 身分証書ノ簿冊無キ時或ハ其証書ヲ枉害セシ時或ハ其証書ニ誤謬、脱漏又ハ他ノ缺典有ル時ハ之ヲ改正ス可シ 第七十一条 証書ノ改正ハ裁判所ニ願出ス可シ裁判所ハ検察官又ハ必要ノ時ハ身分証書ニ管スル者ノ中立ヲ聴キシ後改正ノ言渡ヲ為ス可シ(仏民法第九十九条) 第七十二条 改正ノ裁判言渡ハ之ヲ改正スルコトヲ願出セシ者ノ為メ又ハ之カ為メ裁判所ノ呼出ヲ受ケタル者ノ為メニ非サレハ其効無キ者トス(仏民法第百条) 第七十三条 控訴ス可カラサルニ至リシ裁判ヲ経タルノ力アル改正ノ裁判言渡書ハ日用ノ身分証書ノ簿冊ニ謄記シ又改正セシ証書ノ端ニ附記ス可シ(仏民法第百一条) 第四巻 住所 第七十四条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第七十五条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第七十六条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第七十七条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第七十八条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第七十九条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第八十条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第八十一条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第八十二条 仏民法第百二条乃至第百六条及ヒ第百八条乃至第百十一条ニ同シ 第五巻 婚姻 総則 第八十三条 法律ニ於テハ婚姻ヲ以テ民法上ノ者ト看做ス可シ 第一款 婚姻ノ契約ヲ為スニ必要ナル諸件 第八十四条 男ハ唯々一人ノ女ト女ハ唯々一人ノ男トノミニ非サレハ婚姻ヲ為スヲ得ス(仏民法第百四十七条) 第八十五条 仏民法第百四十六条ニ同シ 第八十六条 満十八歳ニ至ラサル男満十六歳ニ至ラサル女ハ婚姻ノ契約ヲ為スヲ得ス(仏民法第百四十四条、差異)自余ハ仏民法第百四十五条ニ同シ 第八十七条 仏民法第百六十一条及ヒ第百六十二条ニ同シ 第八十八条 仏民法第百六十三条追加 前条ニ記シタル婚姻制禁ノ外義兄弟ト義姉妹トノ間ニ於テハ国王ヨリ其婚姻ヲ為スコトヲ許スヲ得可シ(千八百三十二年四月十六日ノ仏蘭西法律) 第八十九条 奸通ノ原由ニ因テ処刑ヲ受ケタル夫又ハ婦ハ其奸夫奸婦ト決シテ婚姻ヲ為スコトヲ得ス(仏民法第二百九十三条) 第九十条 仏民法第二百九十五条ニ同シ 第九十一条 仏民法第二百二十八条ニ同シ但シ十箇月ハ三百日トス 第九十二条 嫡出ノ子其幼年ノ間ハ以下仏民法第百四十八条及ヒ第百四十九条ニ同シ但シ婚姻ノ契約ヲ為ス可カラス以下追加スルコト下ノ如シ 異議アル場合ニ於テ其母己レノ所存ノ意ヲ表セサル時ハ其父許諾ノ証書ニ因リ或ハ身分証書ノ官吏ノ面前ニ於テ其母ニ一応許諾ヲ求メシコトヲ申述ス可シ 第九十三条 若シ父母共ニ既ニ死去シタル時又ハ其意ヲ表スルコト能ハサル時ハ父方ノ祖父之ニ代ル可シ又其父方ノ祖父無キ時ハ母方ノ祖父ノ許諾ヲ受ク可シ(仏民法第百五十条) 第九十四条 父方又ハ母方ノ祖父無キ時ハ父方ノ祖母ノ許諾ヲ要シ又父方ノ祖母無キ時ハ母方ノ祖母ノ許諾ヲ要ス 第九十五条 若シ父母又ハ祖父母無ク或ハ其父母又ハ祖父母其意ヲ表スルコト能ハサル場合ニテ未タ丁年ニ達セサル嫡出ノ子ハ後見人及ヒ後見人ノ監察者ノ允許ヲ得ルニ非サレハ婚姻ヲ契約スルヲ得ス○其後見人及ヒ後見人ノ監察者ハ或ハ其一方ノ者ニテモ之ヲ拒絶スルニ於テハ其允許ハ必ス治安裁判官ニ求ム可シ蓋シ治安裁判官ハ後見人及ヒ其最近ノ血属親四名ノ申立ヲ聴キシ後ニ非サレハ其允許ヲ為スヲ得可カラス而シテ其最近ノ血属親ハ王国内ニ居住スル丁年者ニシテ成ル可ク父方ヨリ二名母方ヨリ二名ヲ探ル可シ(仏民法第千六百条、差異) 第九十六条 治安裁判官ノ所為ニ管シテハ書面ヲ以テ初審裁判所ニ願訴スルコトヲ得可シ又初審裁判所ハ婚姻ヲ為サントスル双方ノ者及ヒ検察官ノ申立ヲ聴キシ後確然允許ヲ為シ又ハ拒絶スルコトヲ得可シ 第九十七条 私生ノ子幼年ノ時法律上ニ於テ其父ヨリ我子ナリト認メラレタル時ハ其父ノ允許ヲ受クルニ非サレハ婚姻ヲ契約スルヲ得ス若シ其父無キ時ハ母ノ許諾ヲ受クルヲ必要トス(仏民法第百五十八条) 第九十八条 私生ノ子ノ未タ我子ナリト認メラルヽコト無キ時或ハ既ニ其父母ヲ喪ヒシ時ハ満二十三歳ニ達セサル間ハ後見人及ヒ後見人ノ監察者ノ允許ヲ得或ハ其後見人等ノ者無キ時ハ治安裁判官ノ允許ヲ得ルニ非サレハ婚姻ヲ契約スルヲ得ス(仏民法第百五十九条、差異) 第九十九条 丁年ニ達セル嫡出ノ子モ満三十歳ニ達セサル者ハ必ス婚姻ノ契約ヲ為ス以前ニ父母ノ許諾ヲ求ム可キ者トス而シテ其許諾ヲ得サル時ハ次ニ記スル数条ニ依遵シ其父母ノ住所ヲ管轄スル治安裁判官ニ訴ルコトヲ得可シ(仏民法第百五十一条ヨリ第百五十四条ニ至ル差異) 第百条 其訴ヲ為セシ日ヨリ三週間ノ期限中ニハ治安裁判官其父ヲ呼出シ其父無キ時ハ母及ヒ子ヲ呼出シテ勧解ヲ為シ其呼出ノ調書ヲ簡略ニ製ス可シ但シ婚姻ヲ為サントスル双方ノ者ヨリ申出タル原由ハ之ヲ記載ス可カラス 第百一条 其父ヲ呼出シ又ハ其父無キ時ハ其母ヲ呼出シ若シ出頭セサル時ハ婚姻ヲ行フコトヲ得可シ 第百二条 若シ其子出頭セサルニ於テハ婚姻ヲ行フコトヲ得ス但シ更ニ和解ノ訴ヲ為ス時ハ格別ナリトス(和解ノ訴ハ治安裁判官ニ為ス可シ) 第百三条 若シ其父又ハ其母ノ許諾セサルニ於テハ裁判所ニ出頭セシ後三箇月ヲ経ルニ非サレハ婚姻ヲ行フコトヲ得ス 第百四条 前ニ列記シタル諸規則ハ第九十七条ニ因リ許諾ヲ得ルヲ要スル私生ノ子ニ適用スルコトヲ得可シ(仏民法第百五十八条) 第二款 婚姻ヲ行フ前ニ為ス可キ法式 第百五条 婚姻ヲ契約セント欲スル双方ノ者ハ其一方ノ者ノ住所ノ身分証書ノ官吏ニ婚姻ヲ為サントスル申述ヲ為ス可シ 第百六条 婚姻ヲ為スノ証書ハ身分証書ノ官吏之ヲ製ス 第百七条 仏民法第六十三条ニ同シ 第百八条 仏民法第百六十六条及ヒ第百六十七条ニ同シ 第百九条 仏民法第百六十六条及ヒ第百六十七条ニ同シ 第百十条 仏民法第六十四条ニ同シ但シ左ノ文ヲ減省ス 婚姻ハ後ニ公告ヲ為セシ日ヨリ三日ヲ過キサル前ニ行フ可カラス 第百十一条 仏民法第百六十九条ニ同シ 第百十二条 仏民法第六十五条ニ同シ 第百十三条 婚姻ヲ約束シテ之ヲ実行セサル時ト雖モ其婚姻ヲ実行ス可キ訴訟ヲ為シ又ハ損失ノ償ヲ求ムルコトヲ得ス而シテ右ニ反スル約条ハ其効無キ者トス 然レトモ身分証書ノ官吏ニ其婚姻ノ申述ヲ為シ且ツ其公告ヲ為シタル時ハ双方ノ中其一方ノ拒絶ニ因テ生シタル実際ノ損失ノ償ヲ受ク可キ訴訟ヲ為スコトヲ得可シ但シ其拒絶ニ因テ失ヒタル利得ハ決シテ之ヲ算入スルヲ得ス 此訴訟第一次ノ公告ノ日ヨリ十八箇月ヲ経ル時ハ期満免除ニ帰ス可シ 第三款 婚姻ノ故障 第百十四条 婚姻ノ故障ヲ申述語スルノ権ハ唯々左ノ数条ニ示シタル人及ヒ予定シタル場合ニ属ス可シ 第百十五条 仏民法第百七十二条追加 及ヒ其結婚ニ因テ生シタル子ニ属ス可シ 第百十六条 父又ハ父無キ時ハ其母左ノ諸件ニ因テ故障ヲ申述スルコトヲ得可シ 第一 幼年ノ子ニシテ必要ナル許諾ヲ得サル時 第二 未タ三十歳ニ達セサル丁年ノ子ノ第九十九条ニ規定シタル和解ノ訴ヲ治安裁判官ニ為サヽル時 第三 無能力ナルニ因リ治産ノ禁ヲ為ス可キ訴ヘアル時 第四 婚姻ヲ為サントスル双方ノ者ノ中一方ノ者此巻ノ第一款ニ原ツキ婚姻ノ契約ヲ為スニ必要ノ身分タラサル時 第五 其子ト婚姻ノ契約ヲ為サントスル者刑法上ノ訴ヲ受ケ又ハ処刑ヲ受ケタル時 第六 必要ノ公告ヲ為サヽル時 第七 浪費ヲ為シタルニ因リ治産ノ禁ヲ受ケタル子ノ其産ヲ傾ルニ至ル可キ婚姻ヲ為サントスル時 第百十七条 父母共ニ無キ時ハ其祖父母前条ノ第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七ノ諸項ニ記シタル原由ノ為メニハ其孫子ノ婚姻ニ故障ヲ申述スルコトヲ得可シ(仏民法第百七十三条)○右ノ原由ニ管スル故障ハ第九十三条及ヒ第九十四条ヲ循守シテ之ヲ為ス可シ 第百十八条 祖父母無キニ因リ其兄弟、姉妹、叔父、伯母、後見人及ヒ後見人ノ監察者等ノ其婚姻ノ故障ヲ申述スルコトヲ得可キ時ハ左ニ記列ス 第一 第九十五条及ヒ第九十八条ニ因テ為ス可キ法式ヲ循守セサル時 第二 第百十六条ノ第三、第四、第五、第六ノ諸項ニ記シタル場合ノ時 第百十九条 離婚シタル夫ハ其婚姻解除ノ後満十八箇月前ニ婦ノ再婚ヲ契約セントセハ其故障ヲ申述スルコトヲ得可シ 第百二十条 検察官ハ第八十四条ヨリ第九十一条ニ記シタル場合ニ於テハ婚姻ノ故障ヲ申述ス可シ 第百二十一条 婚姻ヲ行フ可キ邑ヲ管轄シタル初審裁判所ハ婚姻ノ故障ニ管スル裁判ヲ為ス可シ(仏民法第百七十七条) 第百二十二条 故障ノ証書ニハ其故障ヲ生セシ原由ヲ記ス可シ而シテ其故障ヲ申述セシ後ニ生シタル原由ハ之ヲ漸次申述スルコトヲ得可シ(仏民法第百七十六条) 第百二十三条 婚姻ノ故障及ヒ其故障ヲ除去セントスル訴訟ノ法式ハ訴訟法ニ詳カナリ 第百二十四条 若シ婚姻ノ故障ヲ申述シタル者ノ敗訴ト成リシ時ハ之ヲ申述シタル者ノ尊属親ヲ除クノ外卑属親及ヒ検察官ハ損害ヲ償フ可キ言渡ヲ受ク可シ(仏民法第百七十九条) 第百二十五条 仏民法第六十八条ニ同シ 第四款 婚姻ヲ行フ事 第百二十六条 身分証書ノ官吏ハ夫婦ト為ラント欲スル双方ノ者ヲシテ婚姻ヲ行ハシムル前ニ左ニ記シタル如キ証書ヲ差出サシム可シ 第一 仏民法第七十条第一項ニ同シ 第二 仏民法第七十三条追加 婚姻ノ許諾ノ事モ亦婚姻ノ証書中ニ記ス可シ 第三 必要ノ時ハ治安裁判官ノ勧解ヲ確証スル証書 第四 再婚ノ時ハ先ノ配偶者ノ死去ノ証書或ハ離婚ノ証書又ハ配偶者ノ失踪セシニ因リ裁判所ヨリ再婚ノ允許ヲ受ケタル時ハ其允許状ノ写 第五 婚姻ノ許諾ヲ為セシ者ノ死去ノ証書 第六 仏民法第七十六条ニ同シ 第百二十七条 仏民法第七十条第二項及ヒ第七十一条ニ同シ但シ七人ノ証人ハ五人トス又追加スルコト左ノ如シ 出産ノ証書無キ時ハ婚姻ノ証人又ハ婚姻ヲ為サント欲スル男子誓文ヲ作リテ出産ノ証書又ハ事実公認ノ証書ヲ得ルコト能ハサル旨ヲ確証スル申述ヲ為シ以テ其出産ノ証書ノ缺ヲ補フコトヲ得可シ 第百二十八条 婚姻ヲ為サント欲スル双方ノ者ノ許諾ヲ求メタル人ノ死去ノ証書ヲ差出スコト能ハサル時ハ前条ノ如キ申述ヲ為ス可シ 第百二十九条 若シ書類及ヒ証書ノ不足ニ因リ身分証書ノ官吏ヨリ婚姻ヲ行フコトヲ拒ム時ハ其婚姻ヲ為サントスル双方ノ者ヨリ願書ヲ作リテ初審裁判所ニ訴ルコトヲ得可シ而シテ此初審裁判所ハ検察官ノ申立ヲ聴キシ後簡略ノ裁判言渡ヲ為ス可シ但シ此言渡ハ之ヲ控訴スルコト能ハサル者トス 第百三十条 仏民法第六十四条第二項ニ同シ 第百三十一条 仏民法第七十五条第一項ニ同シ但シ書類ヲ読聞カスヲ婚姻ヲ行ハシムニ換フ可シ 第百三十二条 婚姻ヲ為サント欲スル双方ノ者ノ中一方ノ者正当ノ故障アルニ因リ邑庁ニ至ルコト能ハサル形情アル時ハ同邑内ノ自宅ニ証人六名ノ面前ニテ婚姻ヲ行フコトヲ得但シ其旨ヲ婚姻ノ証書ニ謄記ス可シ 第百三十三条 婚姻ヲ為ス夫婦ハ必ス其当人出頭ス可キ者トス 第百三十四条 国王ハ婚姻ヲ為ス双方ノ者ニ就テ重要ノ理由アル時ハ公正ノ証書ニ因リ特別ノ代人ヲ以テ婚姻ヲ為スヲ允スコトヲ得可シ 若シ代人ヲ出ス者其婚姻ヲ行フ前既ニ他ノ人ト適法ノ婚姻ヲ為セシ者タルニ於テハ代人ヲ以テ行ヒタル婚姻ハ無効ノ者ト看做ス可シ(仏民法第七十五条、差異) 第百三十五条 仏民法第七十五条第三項ニ同シ 第百三十六条 法教上ノ礼式ハ婚姻ヲ為ス双方ノ者其宗派ノ僧官ニ民法上ノ婚姻ノ礼式ヲ為シタル旨ヲ告証セシ後ニ非サレハ行フコトヲ得ス 第百三十七条 仏民法第五十条ニ同シ但シ百「フランク」ハ百「フローラン」ニ作ル可シ又損失ノ償ハ格別ナリトスヲ追加ス可シ 第五款 外国ニ於テ契約シタル婚姻 第百三十八条 仏民法第百七十条ニ同シ但シ仏蘭人ハ荷蘭人ト読ム可シ 第百三十九条 仏民法第百七十一条ニ同シ但シ簿冊ニ登記スル期限ハ三箇月ヲ一年内トス 第六款 婚姻ノ取消 第百四十条 裁判官ニ非サレハ婚姻ノ取消ヲ言渡スコトヲ得ス 第百四十一条 第八十四条ニ背キテ契約シタル婚姻ハ先ニ其夫又ハ婦ト婚姻ノ契約ヲ為シタル夫、婦、尊属親、婚姻ニ関係アル各人及ヒ検察官ヨリ其取消ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第百八十四条)自余ハ仏民法第百八十九条ニ同シ 第百四十二条 仏民法第百八十条及ヒ第百八十一条ニ同シ但シ六箇月ノ期限ヲ三箇月トス 第百四十三条 治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ契約シタル婚姻ハ其治産ノ禁ヲ受ケタル者、其父母、四等迄ノ傍系ノ親、管財人又ハ検察官ヨリ其取消ヲ訟求スルコトヲ得可シ○治産ノ禁ノ止ミシ後ニ於テハ其治産ノ禁ヲ受ケシ者ニ非サレハ其取消ヲ訟求スルコトヲ得ス但シ治産ノ禁止ミシ日ヨリ六箇月ノ間夫婦同室シタル後ハ其取消ヲ訟求スルコトヲ得ス 第百四十四条 仏民法第百八十四条及ヒ此民法第八十六条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 夫婦又ハ其一方ノ者婚姻ヲ為スニ必要ナル年齢ニ至リシ時又ハ其婦ノ未タ其年齢ニ至ラスト雖モ取消ヲ訟求スル前ニ懐胎シタル時ハ婚姻ノ取消ヲ訟求スルコトヲ得ス(仏民法第百八十五条) 第百四十五条 第八十七条、第八十八条、第八十九条、第九十条ニ背キテ契約シタル婚姻ハ夫婦又ハ其婚姻ニ管シタル者又ハ検察官ヨリ其取消ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ 第百四十六条 仏民法第百八十二条及ヒ第百八十三条第一項ニ同シ但シ仏民法第百八十三条ノ婚姻取消ノ訟求ヲ為スコトヲ得可キ一箇年ノ期限ヲ六箇月間トス又追加スルコト下ノ如シ 外国人ト契約シタル婚姻取消ノ訴ハ其婚姻ノ証書ヲ未タ簿冊ニ謄記セサル間ハ其血属親之ヲ為スコトヲ得可シ 第百四十七条 仏民法第百九十条及ヒ第百九十六条追加 若シ諸証人ノ第百三十一条ニ必要ナル身分ナキ時ハ婚姻ハ当然無効ト為ス可キ者ニ非ス即チ裁判所ニ於テ其時ノ模様ニ因リ其婚姻ノ効アルヤ否ヤヲ裁定ス可キ者トス 第百四十八条 仏民法第百八十七条ニ同シ 第百四十九条 婚姻ノ解ケタル時ハ最早検察官ハ其婚姻取消ノ訴ヲ為スコトヲ得ス 第百五十条 仏民法第二百一条ニ同シ 第百五十一条 仏民法第二百二条追加 夫婦中一方ノ者他ノ一方ノ者ヲ欺キタル時ハ損失ノ償ヲ為ス可キ裁判言渡ヲ受ク可キ者トス 第百五十二条 第百五十条及ヒ第百五十一条ノ場合ニ於テハ婚姻取消ノ言渡有リシ日ヨリ其婚姻ノ効ヲ生スルコト無シ 第百五十三条 婚姻ヲ取消スト雖モ其夫婦ト正意ヲ以テ契約ヲ結ヒタル第三ノ人ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス 第百五十四条 第九十一条、第九十九条、第百三条、第百七条、第百三十条ノ規則ニ背キタル場合ニ於テモ其婚姻ハ無効ノ者ニ非ス若又第百三十二条ニ基ツキテ未タ公ケニ婚姻ヲ行ハサル時ハ身分証書ノ官吏ニ管スル第百三十七条ノ規則ノミヲ適用ス可シ 第七款 婚姻ノ存立ノ証拠 第百五十五条 仏民法第百九十四条ニ同シ 第百五十六条 婚姻ノ簿冊無ク又ハ紛失セシ場合ニ於テモ若シ現ニ夫婦タルノ景状アル時ハ裁判官ノ裁判ヲ以テ其婚姻ノ証拠ニ充分ナリトス 第百五十七条 仏民法第百九十七条ニ同シ 第六巻 夫婦ノ権利及ヒ義務 第百五十八条 仏民法第二百十二条ニ同シ 第百五十九条 仏民法第二百三条ニ同シ 第百六十条 仏民法第二百十三条追加 夫ハ善良ノ家父ニ等シク其婦ノ財産ヲ管理シ又其婦ノ過失ノ責ニ任ス可シ○夫ハ其婦ノ許諾ヲ得ルニ非サレハ其婦ノ不動産ヲ売却シ又ハ抵当ト為スコトヲ得ス 第百六十一条 仏民法第二百十四条ニ同シ 第百六十二条 仏民法第二百十四条ニ同シ 第百六十三条 仏民法第二百十七条追加 若シ婦ハ其夫ヨリ或証書ヲ記シ或ハ契約シ為スノ許諾ヲ受ケタル時ト雖モ其夫ノ特定ノ許諾ヲ得ルニ非サレハ毫モ弁償ヲ受ケ或ハ請取証書ヲ与フルコトヲ得ス 第百六十四条 婦ノ毎日家事ニ管スル費用ノ為メ証書ヲ記シ或ハ契約ヲ為ス時ハ法律上ニ於テ其夫ノ許諾有リト思料ス 第百六十五条 仏民法第二百十五条ニ同シ 第百六十六条 仏民法第二百十六条ニ第二項ヲ追加ス 第二離婚或ハ夫婦分居或ハ財産分離ノ為メ其婦ノ訴訟ヲ受ケタル時 第百六十七条 仏民法第二百十八条ニ同シ 第百六十八条 仏民法第二百二十条追加 若シ夫自己ノ許諾ヲ取消ス時ハ(其婦ニ公ケノ商買タルヲ允シタル許諾ヲ云フ)則チ其取消ヲ公ケニス可シ 第百六十九条 若シ夫ノ其婦ニ允許ヲ与ヘス或ハ之カ為メニ損害ヲ蒙ル可キ時ニ於テ裁判所ハ其婦ニ他人ト契約ヲ為シ或ハ財産ヲ管理シ或ハ其他ノ証書ヲ記スルコトヲ裁判所ニ訴フルノ権利ヲ附与スルコトヲ得可シ(仏民法第二百十九条) 第百七十条 仏民法第二百二十三条ニ同シ 第百七十一条 仏民法第二百二十五条ニ同シ 第百七十二条 若シ婚姻ノ解ケタル後チ婦必要ナル允許無ク証書ヲ記セシ時ハ其証書ヲ取消サント求ムルコトヲ得ス 第百七十三条 仏民法第二百二十六条ニ同シ 第七巻 適法ノ財産共通及ヒ其効 第一款 適法ノ財産共通 第百七十四条 婚姻ノ契約ニ因リ特別ニ処分セシ財産ヲ除クノ外夫婦同室セシ日ヨリ其夫婦ノ間ニ適法ノ財産共通有リトス○婚姻ヲ行ヒシ後ハ契約ニ因リ其財産共通ヲ変更シ又ハ取消スコトヲ得ス(仏民法第千三百九十九条及ヒ第千三百九十五条) 第百七十五条 財産共通ノ利得トナル可キ物ハ恩恵ノ契約ニ因テ得タル物ト雖モ総テ現今又ハ将来ノ動産、不動産トス但シ恩恵ノ契約ヲ為ス時遺嘱者又ハ贈遺者ノ意ニ随テ財産共通ノ利得ト為ス可カラサル旨ヲ証書ニ記シタル時ハ格別ナリトス(仏民法第千四百一条ヨリ第千四百八条ニ至ル差異) 第百七十六条 共通財産ノ負債ト成ル物ハ婚姻ヲ為ス前又ハ其婚姻ヲ為ス時配偶者ノ為シタル諸負債トス(仏民法第千四百九条) 第百七十七条 利益、入額及ヒ損得ハ婚姻ノ永続スル間悉ク共通ノ財産中ニ算入ス可シ 第百七十八条 配偶者ノ死去ノ後ニ返済期限ニ至ル可キ負債ハ其財産相続人独リ之ヲ負担ス可シ 第二款 共通財産ノ管理 第百七十九条 仏民法第千四百二十一条及ヒ第千四百二十二条ニ同シ但シ仏民法第千四百二十二条第二項ノ「贈遺スルコトヲ得可シ」ヲ「得ス」トス(第百九十五条ヲ看ル可シ) 第百八十条 夫ノ失踪スル歟又ハ急速ヲ要スル時ニ於テハ其婦裁判所ノ允許ヲ得テ後共通ノ財産ヲ抵当ト為スコトヲ得可シ 第三款 財産共通ノ解除及ヒ其共通ヲ肯セサルノ権利 第百八十一条 財産共通ハ左ノ諸件ニ因テ当然ニ解除ス 第一 死去 第二 前配偶者ノ失踪セシ時裁判官ノ允許ヲ得タル再婚 第三 離婚 第四 夫婦分居 第五 財産分離 再婚、離婚又ハ財産分離ニ因リ財産共通ヲ解除スル特別ノ効ハ此等ノ事ニ管スル諸巻ニ定則アリ(仏民法第千四百四十一条) 第百八十二条 夫婦中一方ノ者死去シテ若シ幼年ノ子有ラハ一方ノ生存シタル者後見人ノ監察者ノ面前ニ於テ共通財産ノ目録ヲ記ス可シ○若シ共通財産ノ目録無キ時ハ其共通ハ幼者ノ利益ノ為メ継続スル者トス(仏民法第千四百四十二条、差異) 第百八十三条 財産共通ノ全部ヲ解除セシ後ハ総テ其財産ノ夫婦ノ間ニ何レヨリ来リシヲ問ハス其夫婦ノ間又ハ其財産相続人ノ間ニ折半ス可シ 財産分派ニ管シテ第二篇第十六巻ニ設ケタル規則ハ適法ノ共通財産ノ分派ニ適用スルコトヲ得可シ(仏民法第千四百七十六条) 第百八十四条 衣服、金銀宝玉類、夫婦中一人ノ職業ニ属スル器械、書庫、芸術又ハ理学ニ管スル諸物件ハ前条ノ規則ノ例外トス○夫婦ノ中後ニ生存シタル者ハ協議ニ因リ又ハ評価人ヲ以テ定ムル相当ノ代価ヲ要求スルコトヲ得可シ 第百八十五条 仏民法第千四百八十四条ニ同シ 第百八十六条 共通財産ノ全部ヲ分派セシ後夫婦中ノ一人ハ他ノ一人ト婚姻スル以前ニ契約シタル負債ノ為メニ其権利者ヨリ訴訟ヲ受クルコト無シ而シテ其負債ハ其契約ヲ為シタル夫婦中ノ一人又ハ其財産相続人之ヲ担任ス可シ但シ其負債ヲ担任ス可キ夫婦中ノ一人ハ他ノ一人又ハ其財産相続人ニ対シ半分ノ償還ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ 第百八十七条 婦ハ財産共通ヲ肯セサルノ権利ヲ有ス但シ之ニ反スル契約ハ其効ナカル可シ○其婦財産共通ヲ肯セサリシ後ハ嫁資ヲ取戻スヲ得ス然レトモ麻布類及ヒ衣服類ヲ自己ノ須用ノ為メニ所得ト為スコトヲ得可シ 財産共通ヲ肯セサル婦ハ共通ノ負債ヲ分担ス可キ義務ヲ免カル可シ但シ公ケノ商買タル時ハ格別ナリトス 財産共通ニ管シテ権利者ノ権利ヲ害セサル為メニ婦ハ公ケノ商賈タル名義ニ因リ又ハ婚姻ヲ為ス以前ニ契約シタル負債ヲ継続シテ之ヲ担当ス可シ但シ右二箇ノ場合ニ於テハ其夫又ハ其夫ノ財産相続人ニ対シ償還ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第千四百五十三条、第千四百九十二条、第千四百九十五条) 第百八十八条 財産共通ヲ肯セサルノ権利ヲ得ント欲スル婦ハ財産ヲ共通セシ最後ノ住所ヲ管轄シタル裁判所ノ書記局ニ婚姻ヲ解除セシ後一箇月以内ニ財産共通ヲ肯セサル証書ヲ出ス可シ但シ其夫ノ死去ニ因テ財産共通ヲ解除スル時ハ其権利ヲ失フ可シ○其権利ヲ失フノ期限ハ婦其夫ノ死去ヲ知リ得シ日ヨリ起算ス可シ(仏民法第千四百五十七条、差異) 第百八十九条 若シ婦ノ財産共通ヲ肯セサル証書ヲ出サスシテ前条ノ期限間ニ死去セシ時ハ其財産相続人ハ其死去ヲ知リ得シ後一箇月ノ期限間ニ其婦ニ代リ前条ニ記シタル方法ニ従ヒ財産共通ヲ肯セサル証書ヲ出スコトヲ得可シ 婦ノ財産相続人ハ其婦ノ衣服類及ヒ諸道具ヲ請求スルコトヲ得ス(仏民法第千四百六十一条) 第百九十条 若シ婦ノ財産相続人二人以上有リテ或ハ共通ノ財産ヲ受クルコトヲ肯シ或ハ之ヲ肯セサルコトニ付キ其意各々相同シカラサル時ハ之ヲ受クルコトヲ肯スル者自己ノ相続ス可キ部分ノミヲ収取スルコトヲ得可シ○残余ノ財産ハ皆之ヲ夫ニ属シ而シテ其夫又ハ其夫ノ財産相続人ハ婦ノ財産共通ヲ肯セサル財産相続人ニ対シ其婦ノ要求スルコトヲ得可キ弁償ヲ担任ス可キ者トス但シ其財産共通ヲ肯セサル者ノ得可キ部分ノミニ管ス可シ(仏民法第千四百七十五条) 第百九十一条 仏民法第千四百五十四条ニ同シ 第百九十二条 仏民法第千四百六十条ニ同シ 第百九十三条 仏民法第千四百六十六条ニ同シ 第八巻 婚姻ノ契約 第一款 一般ノ婚姻ノ契約 第百九十四条 婚姻ヲ為サント欲スル夫婦ハ国ノ風俗又ハ安寧ヲ乱ルコト無ク且ツ後ノ数条ニ列記シタル規則ニ循フ時ハ適法ノ財産共通ノ為メニ設ケタル規則ニ循フニ及ハス(仏民法第千三百八十七条) 第百九十五条 仏民法第千三百八十八条追加 夫婦ハ適法ノ財産共通ヲ為スト否トニ管セス婦ノ持参セシ不動産、公債証書歟又ハ結婚ノ間ニ得タル債券及ヒ動産ハ共通ノ財産ト為サス且ツ其婦ノ許諾無キ時ハ此等ヲ売却シ或ハ書入質ト為スコト能ハサル旨ヲ契約スルコトヲ得可シ 第百九十六条 婚姻ヲ為サント欲スル夫婦ハ婚姻ノ契約ニ因リ法律上其卑属親ノ財産相続ヲ為シ得可キ規則ヲ放棄シ又ハ其卑属親ノ財産相続ヲ規定スルコトヲ得ス(仏民法第千三百八十九条) 第百九十七条 婚姻ヲ為サント欲スル夫婦ハ其一方ノ者共通財産ノ利益ヲ得可キ部分ヨリ一層多量ノ負債ヲ担任ス可キコトヲ契約スルヲ得ス 第百九十八条 夫婦ハ外国ノ法律ニ循ヒ婚姻ノ契約ヲ為ス可キコトヲ泛博ニ定ムルコトヲ得ス○自余ハ仏民法第千三百九十条ニ同シ 第百九十九条 財産共通ヲ除去スルヲ以テ損得ノ共通ヲ除去セシ者ト為ス可カラス但シ損得ノ共通ハ別段ノ契約ヲ以テ除去ス可シ○損得ノ共通ハ本巻ノ第二款中ニ一定ノ規則アリ(仏民法第千三百九十二条) 第二百条 財産共通ヲ除去シ又ハ制限スルコトヲ契約スル時ハ更ニ又婦ノ毎歳家事ノ費用ト子ノ教育ノ費用トニ供ス可キ金額ヲ確定スルコトヲ得可シ 第二百一条 特別ノ契約無キ時ハ夫ハ総テ其婦ノ入額ヲ支配ス 第二百二条 仏民法第千三百九十四条追加 婚姻ノ契約ハ婚姻ヲ為セシ日ヨリ其効ヲ生スルコトヲ契約ス可カラス 第二百三条 仏民法第千三百九十六条ニ同シ 第二百四条 仏民法第千三百九十五条ニ同シ 第二百五条 適法ノ共通財産ヲ分派スルニ於テ公債証書又ハ法律上一定ノ価額アル証券ヲ除クノ外ニ共通ノ動産ヲ分派スル時ハ婚姻ノ契約書ニ共通ノ動産ヲ謄記シ或ハ夫婦ノ筆記シ且ツ公証人ノ姓名ヲ手署シタル目録ヲ契約書ノ写ニ附加シ以テ動産共通ノ証拠ト為ス可シ 第二百六条 仏民法第千三百九十八条追加 若シ第九十五条及ヒ第九十八条ノ規則ニ基ツキ婚姻ヲ為ス時ハ婚姻契約書ノ草案ヲ婚姻ノ願書ニ添加ス可シ 第二百七条 適法ノ財産共通ニ違戻ス可キ婚姻契約ノ条款ハ其婚姻ヲ行ヒシ地ヲ管轄シタル初審裁判所又ハ外国ニ於テ行ヒシ婚姻ノ証書ヲ謄記セシ地ヲ管轄シタル初審裁判所ノ書記局ニ於テ公ケノ簿冊ニ謄記セシ日ヨリ第三ノ人ノ為メニ其効ヲ生ス可シ 第二百八条 適法ノ財産共通ニ管スル規則ハ婚姻ノ契約ニ反セサル場合ニ於テハ常ニ適用スルコトヲ得可シ○如何ナル方法ヲ以テ財産共通ヲ為スヲ問ハス婦又ハ其財産相続人ハ前巻ノ規則ニ基ツキテ財産共通ヲ肯セサルノ権ヲ有ス可シ(仏民法第千三百九十三条、第千四百五十三条、第千五百二十八条) 第二百九条 婚姻ノ契約及ヒ総テ婚姻ノ為メニ為シタル贈遺ハ其婚姻ヲ実行セル時ハ其効ナカル可シ(仏民法第千八十八条) 第二款 損得、利益及ヒ入額ノ共通 第二百十条 婚姻ヲ為サント欲スル双方ノ者唯々損得ノミヲ共通ス可キ契約ヲ為シタル時ハ此契約ハ財産ノ全部ニ管スル共通ニ非ス而シテ婚姻離解ノ後ハ結婚中ニ生シタル損得ヲ以テ配偶者ニ分派ス可シ(仏民法第千四百九十八条) 第二百十一条 婚姻ノ契約書中ニ共通ノ契約無キ時ハ配偶者互ニ損得ヲ折半シテ之ヲ負担ス可シ 第二百十二条 得トハ夫婦ノ財産ノ利益及ヒ入額、夫婦ノ職業又ハ入額ノ払出ヲ節約セシニ因リ結婚中夫婦ノ資産ヲ増殖シタルヲ云ヒ損トハ出費ノ入額ニ超過スルニ因リ資産ヲ減却シタルヲ云フ(仏民法第千四百九十八条) 第二百十三条 結婚中ニ配偶者一方ノ者ノ財産相続、贈遺、又ハ遺嘱ニ因テ得タル財産ハ之ヲ得ト為ス可カラス但シ第二百二十二条ノ規則ハ格別ナリトス 第二百十四条 結婚中ニ購求シタル動産及ヒ不動産ハ縦令ヒ夫婦ノ中一方ノ名義ニ因ルト雖モ常ニ得ト看做ス可シ但シ反対ノ約束アル時ハ格別ナリトス 第二百十五条 夫婦ノ中一方ニ属スル財産ノ価額ノ高下ハ得又ハ損ト看做ス可カラス 第二百十六条 増成ノ地、流水ニ因ル漸積ノ地、建築及ヒ其他ノ物ニ因リ不動産ノ良好ニ赴キタル時モ亦之ヲ得ト看做ス可カラス 第二百十七条 火災洪水又ハ其他ノ事ニ因リテ生シタル損害ハ其不動産ヲ所有シタル夫又ハ婦之ヲ負担ス可シ 第二百十八条 結婚中ニ共通ノ負債ヲ為シタル時ハ総テ之ヲ共通シテ負担ス可シ○夫婦ノ中一方ノ者罪ヲ犯セシニ因テ償還ス可キ負債ハ共通ノ負債ト為ス可カラス 第二百十九条 夫婦ノ間ニ利益又ハ入額ヲ共通ス可キ契約ヲ為ス時ハ黙許シテ適法ノ財産共通及ヒ損得ノ共通ヲ除キタル者トス 第二百二十条 損得ノ共通及ヒ入額又ハ利益ノ共通ヲ為ス時ハ(第二百十条ヨリ第二百十九条ニ至ル)夫婦ニ属スル動産ハ婚姻ノ契約書中又ハ公証人及ヒ夫婦ノ姓名ヲ手署シタル目録ニシテ且ツ共通ノ事ヲ記載シタル契約書ノ写ニ添ヘシ目録中ニ示スヲ要トス而シテ若シ此法式無キ時ハ動産ハ得ト看做ス可シ(仏民法第千四百九十九条) 第二百二十一条 結婚中ニ夫婦ノ中一方ノ者財産相続、遺嘱又ハ贈遺ニ因テ得タル動産ハ目録ニ記載ス可シ若シ此目録又ハ他ニ充分ノ証拠無キ時ハ夫ハ其動産ヲ以テ己レニ属スル者ト為スコトヲ得スト雖モ婦又ハ其財産相続人ハ結婚中ニ得タル動産ニ管シテ証人又ハ所要ノ時ハ公証人ニ因テ己レノ所有タルコトヲ確証スルヲ得可シ 第二百二十二条 畢生間ノ年金、毎歳、毎日、毎週ノ入額、遺嘱及ヒ此種類ノ贈遺ハ利益及ヒ入額ト為ス可シ 第三款 婚姻ヲ為サント欲スル者ノ互ニ為ス贈遺 第二百二十三条 仏民法第千九十一条追加 但シ贈遺ノ財産其贈遺者ノ随意ニ為スコトヲ得可キ定分ニ過クル時ハ則チ其定分ニ減ス可シ(仏民法第千九十条) 第二百二十四条 証書中ニ確定シタル現在ノ財産又ハ贈遺者ノ財産ノ全部又ハ一部ハ此種類ノ贈遺ノ目的ト為スコトヲ得可シ(仏民法第千八十四条) 第二百二十五条 此種類ノ贈遺ハ之ヲ受クル者ノ別段ノ承諾無キ時ト雖モ有効ノ者タリ(仏民法第千八十七条) 第二百二十六条 此種類ノ贈遺ヲ為スト否トハ贈遺者ノ所好ニ任ス可キ約定ヲ以テ之ヲ行フコトヲ得可シ(仏民法第千八十六条) 第二百二十七条 証書中ニ確定シタル現在ノ財産ノ贈遺ハ如何ナル場合ヲ問ハス之ヲ取消スコトヲ得ス但シ贈遺ニ管スル約定ヲ行ハサル時ハ此限ニ在ラス(仏民法第千九十六条、差異) 第二百二十八条 贈遺者ノ其財産ノ全部又ハ其一部ヲ贈遺スル時ハ其贈遺ノ財産中ニテ些少ノ部分ヲ除クノ外総テ其財産ヲ償フヲ得スシテ更ニ他人ニ贈与スルコトヲ得サルニ付テハ其贈遺ハ之ヲ取消ス可カラサル者ト為ス可シト雖モ裁判官ノ処捌ニ因リ又ハ償ヲ為シテ其財産ヲ更ニ他人ニ売払ヒ又ハ質物ト為ス類ノ事由ナルニ付テハ其贈遺ヲ取消スコトヲ得可シ(仏民法第千八十三条) 約定シタル条件ヲ行ハサルニ於テハ此贈遺ヲ取消スコトヲ得可シ 第二百二十九条 仏民法第千九十二条ニ同シ但シ「且其贈遺」以下「法則ニ循フ可シ」迄ヲ省ク 第二百三十条 婚姻ノ契約書ニ因リ夫婦ノ中一方ヨリ一方ニ或ハ相互ニ財産ノ一部又ハ全部ヲ贈遺シテ其贈遺ヲ受ケシ夫又ハ婦ノ其贈遺ヲ為シタル者ヨリ先ニ死セシ時ハ其婚姻ニ因テ生レタル子ニ其贈遣ノ財産ヲ伝フ可カラス 第四款 婚姻ヲ為サント欲スル夫婦及ヒ其婚姻ニ因テ生ス可キ子ノ為メニ為ス所ノ贈遺 第二百三十一条 婚姻ヲ為サント欲スル双方ノ者己レノ財産ヲ随意ニ為スコトヲ得可キ時ハ婚姻ノ契約書又ハ其婚姻ヲ為ス以前公証人ニ出シタル他ノ証書ニ因リ自己ノ随意ノ贈遺ヲ為スコトヲ得可シ但シ随意ニ為スヲ得可キ財産ノ定分ニ過クル時ハ則チ其定分ニ減ス可シ(仏民法第千八十一条及ヒ第千九十条) 第二百三十二条 若シ此種類ノ贈遺ヲ婚姻ノ契約書ニ因テ為シタル時ハ贈遺ヲ受クル者ノ別段承諾無シト雖モ有効ノ者タリ又他ノ証書ニ因テ為シタル時ハ別段ノ承諾有ルノ後ニ非サレハ其効ヲ生セス(仏民法第千八十七条) 第二百三十三条 仏民法第千八十二条第二項追加 贈遺ヲ受ケタル者及ヒ婚姻ニ因リ生シタル子又ハ卑属親其贈遺者ヨリ先ニ死去セシ時ハ其贈遺ヲ無効ノ者トス(仏民法第千八十九条) 第二百三十四条 此巻ノ第二百二十四条、第二百六十六条、第二百二十七条、第二百二十八条ノ規則モ亦此款ニ記載シタル贈遺ニ適用スルコトヲ得可シ 第九巻 再婚ヲ為シタル時ノ財産共通及ヒ婚姻ノ契約 第二百三十五条 再婚ノ時モ亦夫婦ノ間財産ノ全部ノ共通ハ当然ニ在ル可キコトトス但シ之ニ反スル婚姻ノ契約アル時ハ格別ナリトス 第二百三十六条 仏民法第千九十八条追加 前婚ノ子ハ其財産相続ヲ始ムル時再婚ノ配偶者ニ贈与ス可キ財産ノ部分ヲ減センコトヲ求ムルヲ得可シ 第二百三十七条 仏民法第千九十八条追加 又婚姻ノ契約ニ因テモ 第二百三十八条 仏民法第千九十九条及ヒ第千百条ニ同シ 第二百三十九条 仏民法第千九十九条及ヒ第千百条ニ同シ 第二百四十条 前婚ノ子有ル時ハ共通ノ損得ハ配偶者ノ間ニ平頭ノ分派ヲ為ス可シ但シ婚姻ノ契約書ニ因リ損得ノ共通ヲ除キ又ハ更改セシ時ハ格別ナリトス 第十巻 財産分派 第二百四十一条 婦ハ左ニ列記シタル場合ニ非サレハ裁判所ニ財産分派ヲ訴フルコトヲ得ス 第一 夫ノ著キ不規則ナル所行ニ因リ共通ノ財産ヲ浪費シ又ハ家事ノ衰頽ノ恐レ有ル時 第二 夫ノ産業ノ衰敗セシニ因リ夫ノ一身ノ財産ヲ以テ婦其権利ヲ行ヒ且ツ其嫁資ヲ取戻スニ足ラサルノ恐レ有ル時(仏民法第千四百四十三条) 第二百四十二条 財産分派ノ請求ハ公ケニ之ヲ為ス可シ(仏民法第千四百四十七条) 第二百四十三条 夫ノ権利者ハ財産分派ノ訟求ヲ検証スル為メニ之ニ管渉スルコトヲ得可シ(仏民法第千四百四十七条) 第二百四十四条 財産分派ハ之ヲ公ケニセシ後ニ非サレハ行フコトヲ得ス但シ之ヲ公ケニセサル時ハ之ヲ行フモ其効無キ者トス 以下仏民法第千四百四十五条第二項ニ同シ 第二百四十五条 婦ハ財産分派ノ訴訟中裁判官ノ許可ヲ受ケ財産ノ減少及ヒ消失ヲ防ク為メ其財産保全ノ処置ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第二百七十条) 第二百四十六条 仏民法第千四百四十四条ニ同シ但シ裁判言渡ノ如ク執行フ為メニ手続ヲ為ス期限ハ一箇月トス 第二百四十七条 夫其権利者ノ権ヲ害センカ為メ裁判所ヨリ夫婦財産ヲ分ツ可キノ言渡ヲ得タル時ト既ニ其言渡ノ如ク執行ヒ始メタル時トノ別ナク権利者其言渡ノ執行ヲ止メシムルコトヲ訴フルヲ得可シ(仏民法第千四百四十七条第一項) 第二百四十八条 仏民法第千四百四十八条ニ同シ 第二百四十九条 夫ト財産ヲ分チタル婦ハ自由ニ其財産ヲ支配スルノ権ヲ復シ且ツ第百六十三条ノ規則ニ管セス自己ノ動産ヲ随意ニ為スコトニ付テハ裁判所ヨリ一般ノ許可ヲ得可シ(仏民法第四百四十九条) 第二百五十条 若シ夫其婦ノ承諾ニ因リ且ツ其婦ノ面前ニ於テ其婦ノ財産ヲ売却シ以テ其代金ヲ己レニ受取リ又ハ己レノ利益ト為シタルノ証アル時其代金ヲ利益トナル可キ方法ニ用ヒス或ハ更ニ他ノ財産ヲ買入レサルニ於テハ其責ニ任ス可シ(仏民法第千四百五十条第二項) 第二百五十一条 仏民法第千四百五十一条ニ同シ 第二百五十二条 仏民法第千四百五十一条ニ同シ 第二百五十三条 夫婦財産ノ共通ヲ復スル時ハ必ス之ヲ公布ス可シ而シテ其公布ヲ為サヽル間ハ第三ノ人ニ対シ共通ヲ復シタルノ効有リト為スコトヲ得ス(仏民法第千四百五十一条) 第十一巻 婚姻ヲ解ク事 第一款 一般ニ婚姻ヲ解ク事 第二百五十四条 婚姻ハ左ノ数件ニ因テ解除ス 第一 死去 第二 夫婦中一方ノ者十箇年間失踪シタル事及ヒ第十九巻第一款ノ規則ニ循ヒ更ニ他ノ人ト婚姻ヲ為ス事 第三 此巻第二款ノ規則ニ循ヒ夫婦分居又ハ財産分派ノ裁判言渡ヲ受ケシ事 第四 此巻第三款ニ循ヒ離婚ヲ為ス事(仏民法第二百二十七条) 第二款 夫婦分居ノ後ニ婚姻ヲ解ク事 第二百五十五条 第二百八十八条ニ記シタル原由中ノ一ニ因リ或ハ相互ノ訟求ニ因テ夫婦分居シ及ヒ財産分派ヲ為セシ時又ハ夫婦和解スルコト無ク五年間継続シテ分居シタル時ハ婚姻ヲ解ク可キ裁判言渡ヲ受ケンカ為メ夫婦ノ中一方ノ者他ノ一方ノ者ヲ裁判所ニ呼出スコトヲ得可シ(仏民法第三百十条) 第二百五十六条 夫又ハ婦ノ月ヲ追ヒテ三度呼出状ヲ受ケテ尚ホ出頭セサル時又ハ婚姻ヲ解ク可キ訟求ニ抗拒シ又ハ和解ヲ為ス可キ旨ヲ申述スル時ハ婚姻ヲ解ク可キ訟求書ハ却下セラルヽ者トス(仏民法第三百十条) 第二百五十七条 呼出ヲ受ケタル夫又ハ婦ノ婚姻ヲ解ク可キ訟求ヲ許容ス可キ旨ヲ承諾スル時ハ夫婦共ニ裁判所ニ於テ専任サレタル裁判官ノ面前ニ出頭ス可シ然ル時ハ該裁判官ハ夫婦ヲシテ和解セシメンコトヲ企謀ス可キ者トス(仏民法第二百八十二条)若シ該裁判官夫婦ヲ和解セシムルコト能ハサル時ハ其夫婦ハ初度裁判所ニ出頭セシヨリ三箇月乃至六箇月中ニ最近ノ尊属親ヲ同伴シ更ニ其裁判官ノ面前ニ出頭ス可シ 第二百五十八条 若シ夫婦再度出頭スト雖モ和解セサル時ハ裁判所ニ於テハ専任ノ裁判官及ヒ検察官ノ申立ヲ聴キシ後婚姻ヲ解ク可キ訟求ニ判決ヲ下ス可シ又裁判所ニ於テ若シ夫婦ヲ和解セシム可キ意見有ル時ハ六箇月間裁判言渡ヲ延期スルコトヲ得可シ 第二百五十九条 此裁判言渡ヲ控訴セントスル時ハ一箇月以内ニ之ヲ為ス可シ(仏民法第二百九十一条) 第二百六十条 裁判言渡書ハ第二百七十六条ニ循ヒ身分証書ノ簿冊ニ謄記ス可シ 第二百六十一条 第三百一条及ヒ第三百九十二条ノ規則ハ婚姻ヲ解キシ後ニ執行スルコトヲ得可シ 第三款 離婚 第二百六十二条 離婚ノ訟求ハ裁判上ニ於テ之ヲ為ス可キ者タレハ夫ノ住所ヲ管轄シタル初審裁判所ニ訴フ可シ但シ第二百六十六条ニ記シタル場合ニ於テハ格別ナリトス(仏民法第二百三十四条) 第二百六十三条 離婚ハ夫婦相互ノ承諾ニ因テ為ス可シ(仏民法第二百三十三条、差異) 第二百六十四条 離婚ノ原由ハ左ニ列記シタルカ如シ 第一 奸通(仏民法第二百三十条) 第二 夫又ハ婦ノ残忍ナル棄去○他ハ仏民法第二百三十一条及ヒ第二百三十二条ニ同シ蓋シ苛虐及ヒ不良ノ取扱ニ因テ一方ノ者生命ヲ失フノ恐レ有ル歟又ハ危険ノ負傷有ルヲ要ス 第二百六十五条 仏民法第二百六十一条追加 夫婦ノ中一方ノ者ノ奸通ヲ検証スル裁判ニ管スル時モ亦同様ノ法式ヲ以テス可シ 第二百六十六条 夫婦中一方ノ者ノ残忍ナル棄去ニ管スル離婚ノ訴訟ハ夫婦同居セシ最後ノ住所ニシテ其棄去ヲ為セシ時ノ住所ヲ管轄シタル裁判官ノ面前ニ於テ為ス可シ而シテ其離婚ノ訟求ハ同居セシ住所ヲ至当ノ原由無クシテ去リタル一方ノ者他ノ一方ノ者ト断然一致スルコトヲ拒ミタル場合ニ非サレハ許可スルコトヲ得ス 離婚ノ訴訟ハ如何ナル場合ヲ問ハス夫婦中一方ノ者ノ其同居セシ住所ヲ棄去セシ日ヨリ起算シ五箇年ヲ経過セシ後ニ非サレハ為スコトヲ得ス 若シ至当ノ原由有ルニ因テ夫婦離散セシ時ハ五箇年ノ期限ハ其原由ノ止ミシ時ヨリ起算ス可キ者トス 第二百六十七条 仏民法第二百六十八条及ヒ第二百六十九条ニ同シ 第二百六十八条 仏民法第二百六十八条及ヒ第二百六十九条ニ同シ 第二百六十九条 仏民法第二百六十七条ニ同シ 第二百七十条 仏民法第二百七十条及ヒ第二百七十一条ニ同シ 第二百七十一条 仏民法第二百七十二条追加 若シ婦ノ其夫ト同居セシ住所ヲ裁判所ノ許可ニ因テ去リタル後夫婦再ヒ同室セシ時ハ法律上ニ於テ夫婦和解セリト思料ス 第二百七十二条 仏民法第二百七十三条ニ同シ 第二百七十三条 残忍ナル棄去ヲ原由トシタル離婚ノ訴訟ハ其離婚ノ言渡アル前ニ夫又ハ婦ノ其住所ニ帰来スルニ因テ消滅ス可シ此訴訟ノ消滅スル期限ハ裁判中王国外ニ在リタル夫又ハ婦ノ帰来セシ日ヨリ起算ス可シ 又若シ夫婦中一方ノ至当ノ原由無クシテ再ヒ同居セシ住所ヲ棄去スル時ハ他ノ一方ノ者ハ其一方ノ者ノ失踪ノ後六箇月ヲ経テ更ニ離婚ノ訴訟ヲ為シ其訴訟ヲ維持スル為メニハ旧来ノ原由ヲ用フルコトヲ得可シ而シテ此場合ニ於テノ離婚ノ訴訟ハ縦令ヒ其一方ノ者再ヒ帰来スト雖モ消滅スルコト無シ 第二百七十四条 第二百六十五条ノ二箇ノ場合ニ於テ若シ夫婦中一方ノ者裁判言渡ニ控訴ス可カラサルノ力ヲ生セシ日ヨリ六箇月ヲ過クル時ハ離婚ノ訴訟ヲ為スコトヲ得ス 若シ夫婦中一方ノ者ノ離婚ノ裁判言渡ヲ受ケタル時他ノ一方ノ者ノ王国内ニ在ラサル時ハ六箇月ノ期限ハ其者ノ帰来セシ日ヨリ起算ス可シ 第二百七十五条 離婚ノ訴訟ハ離婚ノ裁判言渡アル前ニ夫婦ノ死去スルニ因テ消滅ス可シ 第二百七十六条 離婚ノ裁判言渡書ハ此裁判言渡ヲ最早控訴スルコトヲ得サルニ至リシ日ヨリ起算シ遅ク共六箇月以内ニ夫婦又ハ夫婦中一方ノ者ノ願ニ因テ其夫婦ノ住所アル場所ノ身分証書ノ簿冊ニ謄記スルヲ要トス○若シ然ラサレハ其裁判言渡ハ無効ニ属シ更ニ新ナル原由有ルニ非サレハ離婚ノ訴訟ヲ為スコトヲ得ス(仏民法第二百六十四条及ヒ第二百六十六条) 第二百七十七条 仏民法第三百条ニ同シ 第二百七十八条 離婚ヲ受ケシ被告ノ夫又ハ婦以下仏民法第二百九十九条ニ同シ 第二百七十九条 離婚ヲ為セシ時ハ夫又ハ婦タルヲ問ハス其一方ノ者ヨリ後ニ生存シタル者ノ得可キ権利ヲ行ヒ或ハ利得ヲ受クルコトヲ得ス然レトモ夫婦中離婚ヲ為シタル原告者ハ他ノ一方ノ者ノ死去セシ後ニ於テハ其権利ヲ行ヒ或ハ利得ヲ受クルコトヲ得可シ(仏民法第千四百五十二条) 第二百八十条 被告人ノ入額ノ三分ノ一ニ過ク可カラス迄仏民法第三百一条ニ同シ 第二百八十一条 養料ハ夫婦中一方ノ者ノ身分ト資産トニ準シテ其額ヲ定メ若シ其養料ヲ与フル一方ノ者ノ資産減却スルニ於テハ其養料モ亦減却シ又若シ其養料ノ必要ナラサル時ハ之ヲ停止スルコトヲ得可シ(仏民法第二百九条及ヒ第三百一条) 第二百八十二条 養料ヲ与フ可キ義務ハ夫婦中一方ノ者ノ死去スルニ因テ消滅ス可シ 第二百八十三条 第三ノ人婚姻ノ契約書中ニ約定シタル養料ハ離婚ノ後ト雖モ其約定ヲ受ケタル夫又ハ婦ノ用ニ供スルコトヲ得可シ 第二百八十四条 仏民法第三百二条追加 子ヲ養育スル所ノ夫又ハ婦ノ死去スル時ハ裁判所ヨリ其子ヲ養育スル為メニ他人ニ之ヲ託スルコトヲ得可シ 第二百八十五条 父母ハ親ノ権及ヒ後見ニ属スル権利ヲ保ツ可シ○他ハ仏民法第三百三条ニ同シ 第二百八十六条 仏民法第三百四条ニ同シ 第二百八十七条 財産共通ヲ為シタル夫婦ノ離婚スル時ハ適法ノ財産共通及ヒ其効ノ巻ニ依遵シテ其財産ヲ分派ス可シ 第十二巻 夫婦分居 第二百八十八条 仏民法第三百六条ニ同シ 第二百八十九条 夫婦分居ノ訴訟ハ離婚ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ為シ且ツ之ヲ吟味シテ其裁判ヲ為ス可シ(仏民法第三百七条) 第二百九十条 夫婦分居ノ訴訟ヲ為シタル夫又ハ婦ハ之ト同一ノ原由ヲ以テ離婚ノ訴訟ヲ為スコトヲ得ス 第二百九十一条 夫婦相共ニ分居ノ訟求ヲ為ス時ハ裁判官ハ確定ノ原由ヲ挙ケスシテ其裁判ヲ為スコトヲ得可シ 婚姻ヲ為セシヨリ二箇年ノ後ニ非サレハ此訟求ヲ許可セサル可シ 第二百九十二条 相共ニ夫婦分居ヲ訟求セント確定セシ夫婦ハ其分居ニ付キ先ツ公正ノ証書ニ因テ夫婦及ヒ其子ニ管スル約束ヲ予定ス可シ○夫婦分居ヲ訴訟スルヨリ裁判言渡迄ノ時間ノ為メニ夫婦ノ間ニ仮リニ定メタル処置ハ裁判官ノ言渡ノ如クニ為サヽルヲ得ス(仏民法第二百七十九条及ヒ第二百八十条) 第二百九十三条 夫婦分居ノ訟求ハ之ヲ願書ニ認メテ同居セシ住所ヲ管轄シタル初審裁判所ニ出タス可シ 第二百九十四条 裁判所ハ此裁判所附キノ裁判官一名又ハ数名ノ面前ニ夫婦相共ニ自カラ出頭ス可キ旨ヲ命令シ而シテ該裁判官ハ其相当ノ説諭ヲ為ス可シ 裁判官ハ六箇月ノ期限ヲ経テ其夫婦ニ再ヒ裁判所ニ出頭ス可キヲ命令ス(仏民法第二百八十一条及ヒ第二百八十二条) 第二百九十五条 夫婦ノ再ヒ裁判所ニ出頭セシヨリ六箇月ヲ経テ後ニ裁判所ハ其夫婦ノ最近ノ尊属親ヲ呼出シ且ツ検察官ノ申立ヲ聴キシ後訟求ノ裁判言渡ヲ為ス可シ 第二百九十六条 若シ其訟求ヲ却下セラルヽ時ハ夫婦ハ更ニ願書ヲ認メ遅ク共一箇月以内ニ控訴ス可シ 第二百九十七条 夫婦分居ハ敢テ婚姻ヲ解クコト無シト雖モ夫婦同室ヲ為スノ義務ヲ絶止ス 第二百九十八条 仏民法第三百十一条追加 夫婦分居ハ婚姻ヲ解ク場合ニ於ケルカ如ク共通ノ財産ヲ分派スルニ至ラシム可シ 第二百九十九条 婦ノ財産ヲ支配スル夫ノ権力ハ夫婦分居ニ因テ消滅ス可シ 婦ハ自由ニ其財産ヲ支配スル権ヲ復シ且ツ裁判官ヨリ自己ノ動産ヲ随意ニ為ス為メニ一般ノ允許ヲ受クルコトヲ得可シ(仏民法第千四百四十九条) 第三百条 夫婦分居ノ裁判言渡ハ必ス之ヲ公布ス可シ○此法式ヲ行ハサル間ハ夫婦分居ノ裁判言渡モ第三ノ人ニ対シテ其効ナカル可シ 第三百一条 婚姻ヲ解ク事ノ巻ノ第二百六十五条、第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十八条、第二百六十九条、第二百七十条、第二百七十一条、第二百七十二条、第二百七十三条、第二百七十四条、第二百七十五条、第二百七十七条、第二百七十八条、第二百七十九条、第二百八十条、第二百八十一条、第二百八十二条、第二百八十三条、第二百八十四条、第二百八十五条及ヒ第二百八十六条ノ規則ハ夫婦中一方ノ者ノ他ノ一方ノ者ニ対シテ訟求スル夫婦分居ニ適用スルコトヲ得可シ但シ離婚スルコトヲ得可キ数箇ノ原由中ノ一ニ由テ夫婦分居ヲ為ス時ノミトス○第三百七十二条モ亦適用スルコトヲ得可シ 第三百二条 第二百九十二条ノ規則ニ循ヒ夫婦ノ間ニ決定シタル約束ハ好意ニ因テ夫婦分居ヲ為ス可キ許可ヲ得シ時ニ執行スルコトヲ得可シ 第三百三条 夫婦分居ハ其夫婦ノ和解ニ因テ当然消滅シテ総テ婚姻ノ効ヲ再生ス可シ但シ夫婦分居セシ期限ノ間ニ第三ノ人ニ対シテ記シタル証書ノ効ハ此限ニ在ラス○又夫婦ノ意ニ反スル約束ハ無効タル可シ(仏民法第二百七十二条) 第三百四条 夫婦分居ノ裁判言渡ヲ公布セシ時ハ其夫婦ハ第三ノ人ニ対シテ和解ノ効アリト述ルコトヲ得ス又夫婦分居ヲ止メタル旨ヲ公布セサル時モ同然タル可シ 第十三巻 父タル事及ヒ子タル事 第一款 嫡出ノ子 第三百五条 夫婦結婚ノ間ニ懐胎シ又ハ生レタル子ハ其夫ヲ以テ父トス(仏民法第三百十二条第一項) 第三百六条 仏民法第三百十四条ニ同シ 第三百七条 仏民法第三百十二条第二項及ヒ第三百十三条第一項ニ同シ 第三百八条 仏民法第三百十三条第二項ニ同シ 第三百九条 夫婦分居ノ裁判言渡ニ控訴ス可カラサルノ力アル日ヨリ三百日ヲ経テ後ニ生レシ子ハ其夫ヨリ我子ニ非ストスルヲ得可シ但シ婦ハ其夫ノ其子ノ父タルコトヲ明証スルニ適当スル諸実事ヲ挙クルヲ得可シ 夫ハ其子ヲ以テ我子ニ非ストスルコトヲ得シ後ハ夫婦和解ノ後ト雖モ其子ヲ以テ嫡出ノ子ト為スコトヲ得ス 第三百十条 婚姻ヲ解キシ時ヨリ三百日ノ後ニ生レシ子ハ当然嫡出ノ子ニ非スト為ス可シ(仏民法第三百十五条、差異) 第三百十一条 仏民法第三百十六条、第三百十七条、第三百十八条ニ同シ但シ第三百十二条ノ期限ハ仏民法第三百十八条ノ一箇月ノ期限ヲ以テ二箇月トス又三百十三条ニ左ノ別項アリ 若シ夫ハ其子ヲ我子ニ非スト為スコトヲ訴フルヲ得可キ定期内ニ其訴ヲ為サスシテ死去セシ時ハ其財産相続人ハ第三百七条ニ記シタル場合ニ於テノミ嫡出ノ子ニ非サルコトヲ訴ヘ出ツルヲ得可シ 第三百十二条 仏民法第三百十六条、第三百十七条、第三百十八条ニ同シ但シ第三百十二条ノ期限ハ仏民法第三百十八条ノ一箇月ノ期限ヲ以テ二箇月トス又三百十三条ニ左ノ別項アリ 若シ夫ハ其子ヲ我子ニ非スト為スコトヲ訴フルヲ得可キ定期内ニ其訴ヲ為サスシテ死去セシ時ハ其財産相続人ハ第三百七条ニ記シタル場合ニ於テノミ嫡出ノ子ニ非サルコトヲ訴ヘ出ツルヲ得可シ 第三百十三条 仏民法第三百十六条、第三百十七条、第三百十八条ニ同シ但シ第三百十二条ノ期限ハ仏民法第三百十八条ノ一箇月ノ期限ヲ以テ二箇月トス又三百十三条ニ左ノ別項アリ 若シ夫ハ其子ヲ我子ニ非スト為スコトヲ訴フルヲ得可キ定期内ニ其訴ヲ為サスシテ死去セシ時ハ其財産相続人ハ第三百七条ニ記シタル場合ニ於テノミ嫡出ノ子ニ非サルコトヲ訴ヘ出ツルヲ得可シ 第三百十四条 若シ財産相続人中一人又ハ数人欧洲内王国外ノ国ニ住居シタル時ハ前条ノ訴ヲ為スコトヲ得可キ期限ヲ六箇月トス 又若シ其一人又ハ数人欧洲外ニ住居シタル時ハ其期限ヲ一箇年トス 海戦アル場合ニ於テハ其期限ヲ二倍ス 第三百十五条 夫ノ我子ニ非スト為スノ訴訟ハ其子ノ後見人ニ対シテ為シ而シテ其母モ亦当然呼出ヲ受ク可シ(仏民法第三百十八条) 第三百十六条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百十七条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百十八条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百十九条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百二十条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百二十一条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百二十二条 仏民法第三百十九条乃至第三百二十六条ニ同シ 第三百二十三条 仏民法第三百二十七条追加 出産ノ証書ヲ枉害シタル罪ニ付テノ刑事ノ訴訟ハ之ニ管スル者ニ秘シテ証拠ノ端緒ヲ記センカ為メニ検察官ハ之ヲ為スコトヲ得可シ 此場合ニ於テハ民事ノ訴訟ニ因テ刑事ノ訴訟ヲ停止スルコト無シ 第三百二十四条 仏民法第三百二十八条ニ同シ 第三百二十五条 仏民法第三百二十九条ニ同シ但シ五箇年ノ期限ハ三箇年トス 第三百二十六条 仏民法第三百三十条ニ同シ 第二款 私生ノ子ヲ嫡出ノ子ト為ス事 第三百二十七条 仏民法第三百三十一条ニ同シ 第三百二十八条 王ヨリ允許ヲ受クルニ非サレハ婚姻ヲ為スコトヲ得サル者ノ間ニ生レタル子ハ婚姻ヲ行フ証書ニ我子ナリト認メタル後ニ嫡出ノ子ト為ス可シ 第三百二十九条 若シ婚姻ヲ為ス以前又ハ婚姻ノ証書中ニ嫡出ノ子ト為サヽル時ハ嫡出ノ子ト為ス可キ書面ヲ王ヨリ受ケテ以テ嫡出ノ子ト為スコトヲ得可シ 第三百三十条 若シ父母ノ中一方ノ者ノ死去セシニ由リ婚姻ヲ為スコト能ハサル時ハ嫡出ノ子ト為ス可キ書面ヲ其子ニ付与スルコトヲ得可シ 第三百三十一条 右二箇ノ場合ニ於テ王ハ大審院ノ意見ニ因テ之ヲ処置シ大審院ハ最近ノ血属親ノ申立ヲ聴キ且ツ新聞紙上ニ嫡出ノ子ト為ス可キ旨ヲ公告ス可シ 第三百三十二条 仏民法第三百三十三条追加 第三百二十九条ノ場合ニ於テモ亦同シ 第三百三十三条 第三百三十条ノ場合ニ因リ嫡出ノ子ト為ス事ハ王ヨリ其書面ヲ受ケシ日ヨリ其効ヲ生ス可シ然レトモ嫡出ノ子ト為ス事ニ因リ第三ノ人ノ財産相続ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス且ツ嫡出ノ子ト為リタル者ハ其父ノ血属親ニシテ嫡出ノ子ト為スコトヲ承諾セシ者ノ財産相続ニ非サレハ之ヲ為スノ権利ヲ得可カラス 第三百三十四条 仏民法第三百三十二条ニ同シ 第三款 私生ノ子ヲ我子ナリト認ムル事 第三百三十五条 私生ノ子ヲ我子ナリト認ムル事ハ私生ノ子ト其父母トノ間ニ民法上ノ管係ヲ規定ス 第三百三十六条 私生ノ子ヲ我子ナリト認ムル事ハ公正ノ証書ノ諸種類ニ因テ為スコトヲ得可シ(仏民法第三百三十四条) 第三十八条ニ循ヒ身分証書ノ簿冊ニ謄記シタル証書ヲ身分証書ノ官吏ノ請取リタル時モ亦私生ノ子ヲ我子ナリト認ムルコトヲ得可シ 第三百三十七条 幼年ノ男子ニシテ私生ノ子ヲ我子ナリト認ムル事ハ満十九歳ノ年齢ニ達シ且ツ暴行、錯誤、詭欺又ハ騙術ニ出テサル時ニ非サレハ其効無キ者トス 幼年ノ女子ハ縦令ヒ其年齢十九歳ニ達セサル時ト雖モ私生ノ子ヲ我子ナリト認ムルコトヲ得可シ 第三百三十八条 仏民法第三百三十五条ニ同シ 第三百三十九条 母ノ生存中其母ノ承諾無キ時ハ其父ノミニテ私生ノ子ヲ我子ナリト認ムルコトヲ允サス 母ノ死後ニテ私生ノ子ヲ我子ナリト認ムル時ハ其父ノミニ付キ之ヲ認ムルノ効有リトス(仏民法第三百三十六条) 第三百四十条 仏民法第三百三十七条ニ同シ 第三百四十一条 仏民法第三百三十九条乃至第三百四十一条ニ同シ 第三百四十二条 仏民法第三百三十九条乃至第三百四十一条ニ同シ 第三百四十三条 仏民法第三百三十九条乃至第三百四十一条ニ同シ 第三百四十四条 仏民法第三百四十二条ニ同シ 第十四巻 血統及ヒ姻属親 第三百四十五条 血統トハ此一方又ハ彼一方ヨリ所出ノ者或ハ其所出ノ者ヨリ出タル者ノ管係ヲ云フ○爾余ハ仏民法第七百三十五条ニ同シ 第三百四十六条 仏民法第七百三十六条乃至第七百三十八条ニ同シ 第三百四十七条 仏民法第七百三十六条乃至第七百三十八条ニ同シ 第三百四十八条 仏民法第七百三十六条乃至第七百三十八条ニ同シ 第三百四十九条 仏民法第七百三十六条乃至第七百三十八条ニ同シ 第三百五十条 姻属親トハ婚姻ヲ結フニ因リ夫婦中ノ一方ト他ノ一方ノ血属親トノ間ニ互ニ生スル管係ヲ云フ○夫婦ノ血属親相互ヒノ間ニハ決シテ姻属親ノ管係無シ 第三百五十一条 姻属親ノ級ヲ算スルハ血統ノ級ヲ算スルノ方法ト異ナルコト無シ 第三百五十二条 婚姻ヲ解クトモ夫婦中ノ一方ト他ノ一方ノ血属親トノ間ノ姻属親ノ管係ハ止ムコト無シ 第十五巻 親ノ権 第一款 子タル者ニ対スル親ノ権ノ効 第三百五十三条 仏民法第三百七十一条追加 父母ハ其幼稚ノ子ヲ養育シ、保護シ及ヒ教育スルノ義務アリ○丁年ノ子ニ管シテハ此巻第三款ノ規則ニ依遵ス可シ(仏民法第二百三条) 第三百五十四条 子ハ丁年ニ至ル迄父母ノ権ニ従フ可シ(仏民法第三百七十二条) 第三百五十五条 仏民法第三百七十三条追加 若シ其父之ヲ行フコト能ハサル時ハ其母代リテ之ヲ行フ可シ 第三百五十六条 幼者ニシテ未タ後見ヲ免カレサル子ハ其父ノ允許ヲ得ルニ非サレハ親ノ家ヲ離去スルコトヲ得ス(仏民法第三百七十四条) 第三百五十七条 仏民法第三百七十六条乃至第三百七十八条ニ同シ但シ其子ノ年齢未タ満十三歳ニ達セサル時ハ其禁錮ヲ三箇月トシ又其年齢満十五歳以上ナル時ハ其禁錮ヲ一箇年トス 第三百五十八条 仏民法第三百八十一条ニ同シ 第三百五十九条 仏民法第三百七十九条第一項ニ同シ 第三百六十条 禁錮ヲ受ケタル子ハ上等裁判官ニ其禁錮ノ赦宥ヲ請フ書ヲ出タスコトヲ得可シ而シテ該裁判官ハ其父母及ヒ検察官ノ申立ヲ聴キシ後速カニ裁判ヲ為ス可シ(仏民法第三百八十二条第二項) 第三百六十一条 仏民法第三百八十三条ニ同シ 第二款 子ノ財産ニ管スル親ノ権ノ効 第三百六十二条 仏民法第三百八十九条第一項追加 此規則ハ父ノ支配ニ係ラス全ク特別ノ支配ニ係ル可キ確定ノ約定ヲ以テ其子ノ得タル財産ニ管シテ之ヲ適用スルコトヲ得ス○若シ其特別ノ支配ヲ止メタル時ハ其父其財産ヲ支配シ又ハ其子ノ幼年ノ間ニ財産ヲ支配セシ者ニ其財産ヲ還ス可キ求メヲ為スコトヲ得可シ 子ノ為メニ任セラレタル支配人ハ其子ノ幼年ノ間ノ財産ヲ其父ニ還ス可キ者トス 第三百六十三条 仏民法第三百八十九条第二項追加 法律上ニテ其父ノ所得ト為ス可キ財産ニ付テハ其所有ノ権ノミヲ還ス可シ 第三百六十四条 父ハ後見ノ巻ニ於テ幼者ノ財産ヲ売却スルコトニ管シテ設ケタル規則ヲ循守スルニ非サレハ自己ノ幼年ノ子ノ財産ヲ随意ニ為スコトヲ得ス 第三百六十五条 父ノ利益ト成リテ其幼年ノ子ノ利益ト成ラサル場合ニ於テハ初審裁判所ヨリ任セラレタル管財人ヲ以テ其子ノ代理ヲ為サシム可シ 第三百六十六条 仏民法第三百八十四条ヲ変更スル左ノ如シ 満二十歳ニ至ル迄又ハ婚姻ヲ為ス時迄 第三百六十七条 仏民法第三百八十五条ニ同シ 第三百六十八条 仏民法第三百八十七条ニ同シ 第三百六十九条 子ノ死去スル時ハ其父其子ノ財産ノ入額ヲ所得トスルコト無シ 第三百七十条 夫婦中ノ後ニ生存シタル者適法ノ財産共通ノ巻第三十六条ニ依遵シテ目録ヲ製スルコトヲ怠リタル時ハ其幼年ノ子ノ諸財産ノ入額ヲ得ル権ヲ失フ可シ 第三百七十一条 仏民法第三百八十六条追加 若シ父離婚ノ裁判言渡ヲ受ケタル時ハ其母ハ其父ノ死去セシ後ニ非サレハ子ノ財産ノ入額ヲ得ルコトヲ得ス 第三百七十二条 仏民法第三百八十六条追加 若シ父離婚ノ裁判言渡ヲ受ケタル時ハ其母ハ其父ノ死去セシ後ニ非サレハ子ノ財産ノ入額ヲ得ルコトヲ得ス 第三百七十三条 父母其子ノ財産ノ入額ヲ得ルノ権ナキ時ハ其父母ニ与フル為メ及ヒ其子ノ教育ニ充ツル為メニ裁判所ニ於テハ其子ノ財産中ヨリ取ル可キ年金ヲ確定スルコトヲ得可シ 第三百七十四条 法ニ適シテ我子ナリト認メラレタル私生ノ子ノ父母ハ其子ノ財産ノ入額ヲ得ルノ権無キ者トス 第三款 尊属親ト卑属親トノ間ノ相互ノ義務 第三百七十五条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百七十六条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百七十七条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百七十八条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百七十九条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百八十条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百八十一条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百八十二条 仏民法第二百四条乃至第二百十一条ニ同シ 第三百八十三条 法ニ適シテ我子ナリト認メラレタル私生ノ子ハ其父母ニ養料ヲ与フ可キノ義務アリトス(仏民法第七百六十二条) 此義務ハ親子相互ノ事ナリ 第三百八十四条 養料ヲ受クルヲ辞スル約束ハ都テ無効ニ属ス可シ 第十六巻 幼年ノ事及ヒ後見ノ事 第一款 幼年ノ事 第三百八十五条 年齢ノ未タ満二十三歳ニ達セサル者及ヒ此年齢ニ達スル以前ニ婚姻セサル者ハ幼者トス○若シ其幼者満二十三歳ニ達セスシテ婚姻ヲ解ク時ハ再ヒ幼者ノ身分トナル可カラス 父母無キ幼者ハ此巻ノ第三款、第四款及ヒ第五款ニ記載シタル方法ニ因リ後見ヲ受ク可キ者トス 第二款 一般ノ後見ノ事 第三百八十六条 後見ハ総テ一人ニテ為ス可キ者トス但シ此巻ノ第四百六条及ヒ第四百十八条ノ規則ハ格別ナリトス 第三百八十七条 後見ノ職ニ預カルコトヲ得可キ者又ハ後見人タルヲ免カレサル者ハ後見ノ職ヲ承諾ス可キ者タリ 若シ其後見人其職ヲ行フヲ拒ミ又ハ遅延スルニ於テハ初審裁判所ハ其後見人ノ代リニ其後見人ノ費用ヲ以テ管理人ヲ任シテ後見トス可シ 此場合ニ於テ後見人ハ其管理人ノ責ニ任ス可シ但シ管理人ヨリ其管理ヲ取戻スコトヲ得可シ 第三百八十八条 後見人ハ其管理ヲ安全ナラシメンカ為メニハ自己ノ管理ヲ任シタル財産ノ償額ニ平均スル迄ノ書入質ヲ出ス可キ者トス 治安裁判官ハ後見人ニ後見人ノ監察者及ヒ最近ノ血属親ノ申立ヲ聴キシ後チ幼者ノ財産ノ種質、其入額及ヒ後見人ノ任ス可キ責ニ管スル後見人ノ担保ヲ確定ス○治安裁判官ハ後見人ノ担保ニ管シテ其監察者ノ仮リニ執行シタル評議ノ調書ヲ製ス可シ但シ後見人ハ控訴スルコトヲ得可シ 若シ幼者ノ血属親又ハ姻属親ノ王国内ニ居住シタル人員不充分ナル時ハ治安裁判官ハ其王国内ニ居住シタル者ノミノ申立ヲ聴ク可シ(仏民法第二千百四十一条及ヒ第二千百三十五条、差異) 第三百八十九条 仏民法第四百十二条及ヒ第四百十三条ニ同シ 第三百九十条 後見人ハ都テ己レノ担任ス可キ財産ノ価額ニ充ツル迄自己ノ財産ヲ書入質ト為ス可シ 治安裁判官ハ後見人、後見人ノ監察者及ヒ最近ノ血属親ト評議シ後見人ノ出ス可キ書入質ノ高ヲ確定シテ其調書ヲ製ス可シ但シ其後見人ノ出ス可キ書入質ノ高ハ後見人ノ監察者主トシテ仮リニ之ヲ確定ス可シ 第三百九十一条 後見人ノ求メニ因テハ血属親ノ意見ヲ請ヒシ後チ幼者ヨリ預リタル財産ヲ預リ官署ニ預クルコトヲ得可シ而シテ此場合ニ於テハ後見人ノ差出シタル書入質モ亦官署ニ預ケタル財産ノ高ニ応シテ減却ス可シ 第三百九十二条 若シ後見人其職ヲ為スコトヲ承諾スト雖モ書入質ヲ出スニ充分ノ財産ヲ有セサル時ハ其財産ヲ得ル時ニ其書入質ヲ出ス可シ 第三百九十三条 第三百九十条ニ規定セル書入質ノ確定ヲ受ケタル人ハ治安裁判官ノ決裁ニ対シ初審裁判所ニ願訴スルコトヲ得可シ○初審裁判所ハ其願書ヲ会得シ検察官、後見人、後見人ノ監察者及ヒ血属親ノ申立ヲ聴キシ後チ抵当ト為ス可キ金額ニ付キ終審ノ判決ヲ為ス可シ 第三百九十四条 幼者ノ財産ヲ増加シ又ハ後見人ノ過失ニ因ルコト無クシテ其財産ヲ減却セシ場合ニ於テハ後見人ノ書入質モ亦同一ノ手続ニ因テ増加スルコトヲ得可シ 第三百九十五条 治安裁判官ハ第三百九十条ニ記シタル諸人ノ申立ヲ聴キシ後書入質ト為ス可キ財産ヲ確定ス可シ但シ此確定ニ管シテハ第三百九十三条ニ依遵シ初審裁判所ニ願訴スルハ格別ナリトス 第三百九十六条 書入質ハ後見人ヲ任スル時或ハ後見人ノ誓詞ヲ為ス時其他公正ノ証書ニ因テ設クルヲ要トス 第三百九十七条 後見人ハ幼者ノ為メ第三ノ人ノ財産又ハ公債証書ヲ以テ自己ノ抵当ト為シタル財産ニ換ヘテ書入質ト為スコトヲ得可シ 第三百九十八条 後見人ノ担保ハ其後見ヲ為シタル間ノ計算ヲ了リ後見人タルノ名義ヲ解キ計算ノ残額ヲ弁償セシ後ニ於テ止ム可シ而シテ書入質及ヒ公債証書ノ謄記ハ幼者ノ入費ヲ以テ之ヲ塗抺ス可キ者トス 第三百九十九条 前数条ニ因テ為シタル書入質ヲ設ケ或ハ解クコトニ管スル証書ヲ簿冊ニ謄記スルモ其謄記料ヲ得ルコト能ハス但シ幼者ヨリ其証書ヲ保存シタル者ニ謝金ヲ出スハ格別ナリトス 第三款 父母ノ後見 第四百条 仏民法第三百九十条乃至第三百九十二条ニ同シ 第四百一条 仏民法第三百九十条乃至第三百九十二条ニ同シ 第四百二条 仏民法第三百九十条乃至第三百九十二条ニ同シ 第四百三条 仏民法第三百九十三条及ヒ第三百九十四条ニ同シ 第四百四条 仏民法第三百九十三条及ヒ第三百九十四条ニ同シ 第四百五条 仏民法第三百九十五条追加 蓋シ此場合ニ於テ裁判官ハ再婚ノ夫ニ後見ヲ任スルヲ得可シ 第四百六条 仏民法第三百九十六条ニ同シ但シ此条ニ於テモ亦母ハ治安裁判官ヨリ後見ノ任ヲ受ケ敢テ親族会議ヨリ之ヲ受クルニ非ス且ツ左ノ一項ヲ追加ス 若シ母ノ後見ヲ止メシ時ハ其夫モ亦後見ヲ止ム可シ○其夫後見ヲ為スノ才力無ク又ハ後見ヲ為スヲ拒絶サレタル時ハ其母最早後見ヲ為スヲ得ス但シ幼者治産ノ禁ヲ受ケタル者ナル歟又ハ狂暴ノ者ナルニ因ル時ハ格別ナリトス○再婚ヲ解除セシ場合ニ於テハ母ハ後見ヲ為スノ権ヲ復ス可シ 第四百七条 父母ハ他ニ再婚ヲ契約スル前ニ於テ其幼年ノ子ノ資産タル財産ノ目録ヲ後見人ノ監察者ニ出ス可キ者トス 若シ其父母再婚ヲ為ス前ニ於テ右ノ法式ヲ行ハサル時ハ後見ヲ為スノ権ヲ失フカ為メ他ノ人ヲ以テ後見ニ任ス可シ 第四百八条 父又ハ父無キ時ハ其母法ニ適シテ我子ナリト認メタル私生ノ子ノ後見ヲ為スコトヲ得可シ○其父母幼者ナル時ハ治安裁判官仮リニ後見ヲ為ス可キ者ヲ択定ス 第四款 父母ヨリ任シタル後見 第四百九条 仏民法第三百九十七条追加 父母ノ中後ニ生存スル者ハ後見ノ必要ノ時其後見ヲ連続セシメンカ為メニ数人ノ後見ヲ任スルコトヲ得可シ 第四百十条 仏民法第三百九十八条ニ同シ 第四百十一条 仏民法第三百九十九条追加 若シ其父母第四百七条ニ因リ後見ノ任ヲ受ケサル時ハ其子ノ後見人ヲ撰ム可カラス 第四百十二条 仏民法第四百条ニ同シ 第五款 治安裁判官ヨリ任シタル後見 第四百十三条 仏民法第四百五条及ヒ第四百六条ニ同シ但シ此二条中ニハ親族会議ヲ治安裁判官ニ換ヘ且ツ仏民法第四百六条中ノ又ハ幼者住所ノ治安裁判役ヨリ其職務ヲ以テ求ムル所ニ従ヒヲ除ク可シ 第四百十四条 仏民法第四百五条及ヒ第四百六条ニ同シ但シ此二条中ニハ親族会議ヲ治安裁判官ニ換ヘ且ツ仏民法第四百六条中ノ又ハ幼者住所ノ治安裁判役ヨリ其職務ヲ以テ求ムル所ニ従ヒヲ除ク可シ 第四百十五条 若シ治安裁判官親族人員中ノ多数ニ因テ確定シタル人ヲ示ス時ハ則チ後見ヲ任シタル効アリ 若シ治安裁判官親族ノ多数ニ因テ確定セシ人ヨリ他ノ人ヲ撰定スル時ハ其席ニ列スル血属親又ハ姻属親ノ中一人ノ求メニ応シテ直ニ初審裁判所ニ其調書ヲ差出ス可シ又該裁判所ニ於テハ親族ノ同人員ヲ呼出シ其申立ヲ聴キシ後チ確定ノ後見人ヲ任ス可シ(仏民法第四百五条、差異) 第四百十六条 若シ王国内ニ血属親及ヒ姻属親無ク又ハ呼出ヲ受ケタル親族ノ人員中一人モ出頭セサルニ於テハ治安裁判官ハ独断ヲ以テ後見人ヲ任ス可シ 王国内ニ在ル血属親又ハ姻属親ノ申立ヲ聴キシ後ニ後見人ヲ任ス可シ(仏民法第四百九条、差異) 第四百十七条 仏民法第四百六条第一項ニ同シ但シ之ヲ集会ス可シヲ後見人ヲ任ス可シニ換ヘ又左ノ一項ヲ追加ス 身分証書ノ官吏ハ幼年ノ子ヲ残シタル者ノ死去セシ事又ハ幼年ノ子アル親ノ再婚セシ事ヲ治安裁判官ニ報道ス可キ者トス 第四百十八条 仏民法第四百十七条ニ同シ但シ仏蘭西ヲ荷蘭ニ換フ可シ 第四百十九条 仏民法第四百十八条追加 後見人ハ其職務ヲ行ヒ始ムル前ニ治安裁判官ニ対シテ躬カラ任セラレタル後見ノ職ヲ善良ニ及ヒ正実ニ担任ス可キ誓ヲ為ス可シ 第四百二十条 私生ノ子ノ後見人ヲ任スル時ハ治安裁判官ハ予メ他ノ意見ヲ請フコト無ク之ヲ任ス可シ(仏民法第四百五条、差異) 第六款 救育院ニ在ル子ノ後見 第四百二十一条 救育院ニ在ル子ハ其入院ノ期限中該院ノ事務ヲ管理スル委員ノ後見ヲ受ク可キ者トス○後見人ハ身元金ヲ出スコト無シ 第七款 後見人ノ監察者 第四百二十二条 前条ニ記シタル後見ヲ除クノ外如何ナル後見アル時ト雖モ治安裁判官ハ第五款ノ規則ニ原ツキ其監察者ヲ任ス可シ(仏民法第四百二十条) 第四百二十三条 此巻ノ第三款及ヒ第四款ニ因テ任セラレタル後見人ハ其職務ヲ行ヒ始ムル前ニ其監察者ヲ任セシメ又若シ後見人ニ或ル過失アル時ハ其職ヲ退カシム可シ但シ此規則ハ幼者ニ償額ヲ償フ可キコトト相触ルヽコト莫カル可シ(仏民法第四百二十一条) 第四百二十四条 仏民法第四百二十二条ニ同シ 第四百二十五条 法ニ適シテ後見人ノ監察者タルヲ免カレ又ハ辞セサル監察者ノ其職ヲ行フコトヲ承諾セサル時ハ第三百八十七条ニ規定シタル如ク監察者ノ費用ヲ以テ其代人ニ任ス可シ 第四百二十六条 後見人ノ監察者ハ其職務ヲ行ヒ始ムル前ニ治安裁判官ニ対シテ誓ヲ為ス可シ 第四百二十七条 仏民法第四百二十条第二項ニ同シ 第四百二十八条 監察者ハ後見人ノ其後見ヲナス為メ財産ヲ書入質ト為セシヤ否ヤヲ監督シ又ハ其書入質ヲ自カラ取ル可シ但シ此等ノ事ヲ為サヽルニ於テハ損失ノ償ヲ出ス可キ者トス 監察者ハ後見人ヲシテ幼者ノ得タル贈遺ノ財産ノ目録ヲ製セシム若シ之ヲ製セシメサル時亦損失ノ償ヲ出ス可シ(仏民法第四百五十一条) 第四百二十九条 後見人ノ監察者ハ父母ヲ除クノ外総テ後見人タル者ヲシテ二箇年毎ニ事務ヲ行ヒシニ付テノ計算ノ要略書ニ諸証書ヲ登写シテ差出サシム可シ(仏民法第四百七十条、差異) 第四百三十条 後見人ノ前条ニ記シタル諸事ヲ行フヲ拒ミ又ハ後見人ノ監察者其後見人ノ差出シタル計算ノ要略書中ニ不良ノ事或ハ至重ノ怠慢アルヲ発見スル時ハ後見人ヲ退職セシム可シ(仏民法第四百四十六条) 第四百三十一条 仏民法第四百二十四条及ヒ第四百二十五条ニ同シ 第四百三十二条 仏民法第四百二十四条及ヒ第四百二十五条ニ同シ 第八款 後見及ヒ後見人ノ監察者ノ職ヲ辞スルコトヲ得可キ原由 第四百三十三条 仏民法第四百三十二条ニ同シ但シ四「ミリヤメートル」ノ距離ヲ郡ニ換フ可シ 第四百三十四条 後見ノ職ヲ辞スルコトヲ得可キ者ハ左ノ如シ 第一及ヒ第二ハ仏民法第四百二十八条ニ同シ 第三住居シタル州ノ外ニ於テ公務ヲ掌ル人又ハ其公務ニ因リ確定ノ期限ニ其州ヲ離レサルヲ得サル人○他ハ仏民法第四百三十一条第一項ニ同シ但シ治安裁判官ヲシテ他ノ後見人ヲ撰ハシムルノ差異アリ 第四六十歳ノ年齢ニ達セシ人○若シ此年齢ニ達スル前ニ後見ヲ任セラレタル人ハ六十五歳ニテ後見ノ職ヲ解クコトヲ得可シ(仏民法第四百三十三条、差異)他ハ仏民法第四百三十四条乃至第四百三十六条ニ同シ 第四百三十五条 後見ノ任ヲ辞セントスル者ハ其住所ノ地ニ在ル時ハ後見ノ任ヲ受ケシ日ヨリ算シ又其地ニ在ラサル時ハ後見ノ職ニ任スルノ告知ヲ得シ日ヨリ算シ八日内ニ願書ヲ認メ自費ヲ以テ裁判所ニ願ヒ出ツ可シ○裁判所ハ其辞退ヲ允許シ又ハ拒絶ス可シ但シ後見人ハ控訴スルコトヲ得可シ(仏民法第四百三十九条、差異) 第二項ハ仏民法第四百四十条ニ同シ 第九款 後見ノ職ニ任スル能ハサル事、後見ノ職ニ参セシメサル事、後見ノ職ヲ退カシムル事 第四百三十六条 仏民法第四百四十二条ニ同シ 第四百三十七条 後見ノ職ニ参セシメス又其職ヲ退カシム可キ者ハ左ノ如シ 第一及ヒ第二ハ仏民法第四百四十三条、第四百四十四条及ヒ第四百四十五条ニ同シ但シ第四百四十五条 親族会議ノ員中ハ後見人ト作ス可シ又追加スルコト左ノ如シ 家資分産ノ身分資力ナキ確然タル身分ノ人 第四百三十八条 後見ノ職ヲ解クコトニ付テハ後見人ノ監察者、幼者ノ血属親又ハ第四級迄ノ姻属親ノ訟求又ハ検察官ノ依頼ニ従ヒ裁判所ヨリ其言渡ヲ為ス可シ但シ後見人ハ右ノ言渡ニ管シテ控訴スルコトヲ得可シ○後見ノ職ヲ退ク可キ裁判言渡アル時ハ後見人其職ヲ相続スル者ニ幼者ノ財産ヲ計算ス可シ(仏民法第四百四十六条、差異) 第四百三十九条 後見人ノ監察者ノ職ヲ退カシムルコトモ亦前条ノ法式ニ依遵ス可シ 第四百四十条 裁判所ハ其裁判中後見人又ハ後見人ノ監察者ノ其職ヲ行フヲ停止ス可シ 第十款 後見人幼者ノ身体ヲ監督スル事 第四百四十一条 仏民法第四百五十条第一項追加 幼者ハ其後見人ヲ尊敬ス可シ 第四百四十二条 若シ後見人幼者ノ行状ニ付キ至重ナル戻意ノ事アル時ハ其幼者ヲ禁錮セント訴フルコトヲ得可シ○裁判所ニ於テハ後見人ノ監察者、幼者ノ血属親又ハ姻属親ノ申立ヲ聴キシ後ニ非サレハ其禁錮ヲ允許スルコトヲ得ス(親ノ権ノ巻ヲ看ル可シ)(仏民法第四百六十八条) 裁判所ニ於テハ必ス後見人ノ監察者、幼者ノ血属親又ハ姻属親ノ申立ヲ聴ク可シ 第十一款 後見人ノ支配 第四百四十三条 仏民法第四百五十条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 若シ一人又ハ数人ノ管理ヲ受ケタル幼者財産ヲ得又ハ贈遺ヲ受クル時ハ第三百六十二条ノ規則ヲ適用ス可シ 第四百四十四条 仏民法第四百五十一条第一項ニ同シ追加スルコト左ノ如シ 目録ハ私ニ之ヲ製シ後見人及ヒ後見人ノ監察者之ニ手署シ治安裁判官ノ面前ニ於テ誓ヲ為シ其目録ノ公正確実ナル旨ヲ確証セシ後チ裁判所ノ書記局ニ置ク可シ 第四百四十五条 仏民法第四百五十一条第二項ヲ変更スルコト下ノ如シ 幼者ヨリ後見人ニ償フ可キ物件アル時若シ後見人証書人ノ問ニ荅ヘテ其幼者ヨリ得可キ物件アル旨ヲ述ヘサル時ハ幼者ノ丁年ニ至ル前ニ於テハ其物件ヲ要求スルコトヲ得ス且ツ幼者ノ丁年ニ至ル時間ニ其物件ニ付テ生シタル利益ヲ失フ可シ○期満得免ノ期限ハ幼者ノ丁年ニ至ル迄経過ス可カラス 第四百四十六条 仏民法第四百五十四条ニ同シ但シ親族会議ヲ治安裁判官ニ換フ 第四百四十七条 治安裁判官ヨリ後見人ノ監察者及ヒ血属親ノ意見ヲ聴キシ後チ品物ノ侭保チ置ク可キコトヲ允許セシ財産ヲ除クノ外後見人ハ其監察者ノ面前ニ於テ幼者ノ財産ヲ悉ク糶売スルコトヲ得可シ 裁判所ハ評価人ヲシテ物件ノ真価ヲ算定シ且ツ後見人ノ申立ヲ聴キシ後チ確定ノ物件及ヒ品物ノ侭保ヲ置ク可キ物件ヲ随意ニ売却スルヲ允スコトヲ得可シ 商品及ヒ穀物ハ株式取引所又ハ市場ノ相場ニ因テ売却ス可シ(仏民法第四百五十二条ニ同シ) 第四百四十八条 仏民法第四百五十三条ニ同シ 第四百四十九条 幼者ノ通常ノ入額其費用ノ額ヨリ多キコト四分ノ一ニ至ル時ハ後見人其過剰ノ金額ヲ幼者ノ資益トナル可キ方法ニ用ヒサルヲ得ス 後見人ハ王国ノ公債証書、不動産、不動産ヲ書入質トシ息銀ヲ生ス可キ義務ノ証券ヲ購求スル時ニ非サレハ幼者ノ金額ヲ用フルコトヲ得ス但シ其抵当ノ不動産ノ全部ハ書入質ヲ取リテ出ス可キ金額ニ比シテ三分ノ一ヨリ高価ナルヲ要トス 若シ後見人其金額ヲ幼者ノ資益トナル可キ方法ニ用ヒサル時ハ一箇年内ニ適法ノ息銀ヲ償フ可シ(仏民法第四百五十五条、差異) 第四百五十条 後見人ハ幼者ノ名義ヲ以テ公債証書ヲ其簿冊ニ謄記セシム可シ 第四百五十一条 仏民法第四百五十七条第一項、第二項及ヒ第四百五十八条ニ同シ但シ幼者ノ為メニ金額ヲ借受ケ或ハ幼者ノ不動産ヲ他人ニ売却スルニ付テハ親族会議ニ於テ其允許ヲ為スニ非ス荷蘭国ニ於テハ必ス裁判所ニ於テ後見人、其監察者及ヒ血属親ノ申立ヲ聴キシ後チ其允許ヲ為ス可キ者トス 第四百五十二条 幼者ノ財産ヲ売却スル場合ニ於テハ後見人其願書ニ幼者ノ財産ノ形状ヲ記シタル書面ヲ添ヘ且ツ売却セント欲スル財産ヲ示ス可シ○裁判所ニ於テハ書面中ニ示シタル財産又ハ売却高ノ一層少ナキ他ノ財産ヲ売却ス可キ允許ヲ為スコトヲ得可シ 第四百五十三条 仏民法第四百五十九条ニ同シ 第四百五十四条 必要ノ時ハ裁判所ニ於テハ幼者ノ不動産ヲ売却ス可キ原由ヲ記シタル後見人ノ願書ト其監察者及ヒ幼者ノ血属親又ハ姻属親ノ意見ト相同シキ時ハ其意見ニ循ヒ随意ニ幼者ノ不動産ヲ売却ス可キ允許ヲ為スヲ得可シ 三名ノ評価人ヲ以テ法律上ノ真価ヲ確定スルニ非サレハ売却ヲ行フコト能ハス 第四百五十五条 仏民法第四百六十条ニ同シ 第四百五十六条 裁判所ニ於テ第四百五十一条ニ原ツキ幼者ノ財産ヲ売却ス可キ允許ヲ為ス時相当ノ代価ニテ買主数多アル可キヲ確証スル時ハ売買世話人ヲ以テ其財産ヲ売却ス可キコトヲ命ス可シ 第四百五十七条 後見人ハ幼者ノ不動産ヲ公ケニ売却スル時ニ非サレハ之ヲ購求スルヲ得ス但シ此場合ニ於テモ第四百五十四条ニ原ツキ裁判所ヨリ許可ヲ得ルニ非サレハ売買ノ効ナカル可シ(仏民法第千五百九十六条、差異) 第四百五十八条 後見人ハ幼者ノ土地又ハ財産ヲ賃借スルコトヲ得ス但シ治安裁判官ノ其幼者ノ血属親又ハ姻属親及ヒ何事ニ拘ハラス後見人ト常ニ約定ヲ為スノ允許ヲ得タル監察者ノ申立ヲ聴キシ後チ土地又ハ財産ヲ賃借ス可キ条件ヲ認可スル時ハ格別ナリトス 又後見人ハ右ニ等シキ允許ヲ得ルニ非サレハ幼者ニ対スル権利ノ譲渡ヲ受クルヲ得ス 第四百五十九条 後見人ハ贈遺ノ財産ノ目録ヲ記シテ其贈遺ノ財産ノ償額ニ至ル迄ノ外負債及ヒ費用ヲ償ハサル特権ヲ以テスルニ非サレハ幼者ノ贈遺ノ財産相続ヲ承諾スルヲ得ス又裁判所ヨリ允許ヲ得ルニ非サレハ幼者ノ贈遺ノ財産相続ヲ受クルヲ拒ムコトヲ得ス(仏民法第四百六十一条) 第四百六十条 仏民法第四百六十三条ニ同シ 第四百六十一条 仏民法第四百六十四条ニ同シ但シ親族会議ヲ治安裁判官ニ換ヘ又追加スルコト下ノ如シ 若シ後見人充分ノ原由無クシテ治安裁判官ノ許諾ヲ得ルヲ怠リタルコト明亮ナル歟又ハ実事ヲ隠蔽シテ其許諾ヲ得タル時ハ訴訟入費ヲ負担シ且ツ損害ノ償ヲ為ス可キ言渡ヲ受ク可シ 第四百六十二条 仏民法第四百六十四条ニ同シ但シ親族会議ヲ治安裁判官ニ換ヘ又追加スルコト下ノ如シ 若シ後見人充分ノ原由無クシテ治安裁判官ノ許諾ヲ得ルヲ怠リタルコト明亮ナル歟又ハ実事ヲ隠蔽シテ其許諾ヲ得タル時ハ訴訟入費ヲ負担シ且ツ損害ノ償ヲ為ス可キ言渡ヲ受ク可シ 第四百六十三条 仏民法第四百六十五条ニ同シ 第四百六十四条 幼者ノ管係スル財産分派ノ規則ハ第二篇第十六巻ニ記シタル財産相続ノ分派ニ明亮ナリ 第四百六十五条 後見人ハ第四百五十一条ニ循ヒ裁判所ノ允許ヲ得ルニ非サレハ幼者ニ代リテ和解ヲ為シ又ハ判断人ト為ル可キヲ承諾スルヲ得ス(仏民法第四百六十七条、差異) 第四百六十六条 夫婦ノ中後ニ生存シタル者ハ其夫婦ノ中一方ノ者ト幼者トノ間ニ存立シタル所ノ商業上又ハ職業上ノ共通ヲ継続ス可キ訟求ヲ為スヲ得可シ○裁判所ニ於テハ其共通ノ有益ナルヤ否ヤヲ検証シ且ツ最近ノ血属親及ヒ検察官ノ申立ヲ聴キシ後チ其允許ヲ為ス可シ○但シ此允許ハ後見人、其監察者及ヒ検察官ノ訟求ニ因テ取消スコトヲ得可シ 第十二款 後見人ノ算計 第四百六十七条 仏民法第四百六十九条及ヒ第四百七十一条ニ同シ 第四百六十八条 仏民法第四百六十九条及ヒ第四百七十一条ニ同シ 第四百六十九条 後見人ハ幼者ノ金額ヲ毫モ謝金ノ名義ヲ以テ費ヤスコトヲ得ス但シ幼者ノ死後ニ効ヲ生ス可キ証書又ハ第四百十条ニ記シタル公正ノ証書ニ因テ金額ヲ得タル時ハ格別ナリトス 第四百七十条 仏民法第四百七十二条ニ同シ 第四百七十一条 仏民法第四百七十四条及ヒ第四百七十五条ニ同シ 第四百七十二条 仏民法第四百七十四条及ヒ第四百七十五条ニ同シ 第十七巻 幼者後見ヲ免カルヽ事 第四百七十三条 幼者後見ヲ免カルヽ時ハ丁年者ノ権利ノ一部又ハ全部ヲ得可シ 第四百七十四条 幼者後見ヲ免カレ丁年者トナレハ国王ノ認可セル後見ヲ免カルヽノ証書又ハ丁年ニ達シタル書面ヲ大審院ヨリ得テ後見ヲ免カルヽコトヲ得可シ(仏民法第四百七十七条及ヒ第四百七十九条、差異) 第四百七十五条 満二十歳ニ達シタル幼者ハ後見ヲ免カレント訟求スルコトヲ得可シ而シテ其訟求書ニハ出産ノ証書又ハ後見ヲ免カルルニ必要ノ年齢ヲ確証スル証書ヲ添フ可シ 第四百七十六条 大審院ニ於テハ其訟求ヲ裁定スル前ニ幼者ノ父、其父ナキ時ハ母、其母ナキ時ハ後見人、其監察者及ヒ血属親又ハ姻属親ノ申立ヲ聴ク可シ 第四百七十七条 大審院ハ初審裁判所又ハ治安裁判官ヲ以テ前条ノ裁定ヲ為サシムルコトヲ得可シ 第四百七十八条 幼者ハ後見ヲ免カレ丁年者トナルト雖モ其父母又ハ祖父母ノ許諾ヲ得ルニ非サレハ満二十三歳ニ達セサル前ニ婚姻ヲ結フヲ得ス(仏民法第百四十八条、差異) 第四百七十九条 大審院ハ幼者ニ後見ヲ免カルヽ事ヲ允スト雖モ裁判所ノ允許ヲ得ルニ非サレハ其不動産ヲ売却シ又ハ抵当ト為スコトヲ禁ス可シ(仏民法第四百八十四条、差異) 第四百八十条 仏民法第四百七十七条及ヒ第四百七十八条ニ同シ但シ仏民法第四百七十七条ノ十五歳ニ換ヘ又第四百七十八条ニ追加スル下ノ如シ 但シ治安裁判官ノ決議ニ対シテ控訴スルコトヲ得可シ○検察官ハ此事ニ管シテ申立ヲ為ス可シ 第四百八十一条 仏民法第四百七十七条及ヒ第四百七十八条ニ同シ但シ仏民法第四百七十七条ノ十五歳ニ換ヘ又第四百七十八条ニ追加スル下ノ如シ 但シ治安裁判官ノ決議ニ対シテ控訴スルコトヲ得可シ○検察官ハ此事ニ管シテ申立ヲ為ス可シ 第四百八十二条 後見ヲ免カレタル者ノ権利ハ特別ニ示指スルヲ要トス 第四百八十三条 仏民法第四百八十一条ニ同シ 第四百八十四条 後見ヲ免カレタル者ノ行フコトヲ得可キ権利ハ其入額ヲ自由ニ取扱フ事、不動産ヲ貸渡ス事、土地ヲ耕耘スル事、職業ヲ行フ事トス○此場合ニ於テ後見ヲ免カレタル者ハ職業ニ管スル条件ニ付テハ契約ヲ結フコトヲ得可シト雖モ自己ノ不動産ヲ売却シ又ハ書入質ト為スヲ得ス(仏民法第百八十一条乃至第四百八十四条) 第四百八十五条 裁判所ニ於テハ前条ノ権利ヲ行フ可キ允許ヲ取消スコトヲ得可シ而シテ此決議ハ控訴スルコトヲ得ス(仏民法第四百八十三条) 第四百八十六条 後見ヲ免カレシ事ハ幼者ノ住居スル地ノ公聞新紙上ニ掲載ス可シ 第十八巻 治産ノ禁ノ事 第四百八十七条 仏民法第四百八十九条追加 丁年者モ亦浪費ヲ原由トシテ治産ノ禁ヲ受ク可シ 第四百八十八条 仏民法第四百九十条追加 宗系ノ親又ハ第四級迄ノ傍系ノ親ニ非サレハ浪費ヲ原由トシテ治産ノ禁ヲ為スヲ得ス 自己ノ事務ヲ司ルノ力無キ者ハ管財ヲ受ク可キ訟求ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第五百十三条、差異) 第四百八十九条 仏民法第四百九十一条ニ同シ 第四百九十条 仏民法第四百九十二条追加 治産ノ禁ヲ受ク可キ者ノ住居スル地ノ初審裁判所ニ之ヲ為ス可シ 第四百九十一条 仏民法第四百九十三条ニ同シ 第四百九十二条 裁判所ニ於テ治産ノ禁ヲ受ケシム可キ訴訟ニ管スル事柄ノ治産ノ禁ヲ為メニ充分重大ナリト判決スル時ハ其訴訟ノ原由ニ付キ血属親又ハ姻属親ノ申立ヲ聴ク可シ(仏民法第四百九十四条) 第四百九十三条 仏民法第四百九十六条ニ同シ但シ親族会議ヲ血属親ニ換ヘ又追加スルコト下ノ如シ 治産ノ禁ヲ為ス可キ訴訟又ハ血属親ノ申立ヲ記セル調書ヲ治産ノ禁ヲ受ク可キ者ニ読聴カセシ後ニ非サレハ問糾ヲ為ス可カラス 第四百九十四条 若シ裁判所ニ於テ前条ノ法式ヲ行フト雖モ事実ノ明亮ニ至ラサル時ハ其訴訟ノ条目タル事柄ヲ確証スル為メニ証人吟味ヲ為ス可キヲ命ス可シ 第四百九十五条 仏民法第四百九十七条及ヒ第四百九十八条ニ同シ但シ仏民法第四百九十八条ノ一方ノ者呼出ヲ受ケテ猶ホ出席セサル上ノ下ニ及ヒ検察官ノ決議ノ上ヲ追加ス可シ(仏民法第五百十五条) 第四百九十六条 仏民法第四百九十七条及ヒ第四百九十八条ニ同シ但シ仏民法第四百九十八条ノ一方ノ者呼出ヲ受ケテ猶ホ出席セサル上ノ下ニ及ヒ検察官ノ決議ノ上ヲ追加ス可シ(仏民法第五百十五条) 第四百九十七条 仏民法第五百条及ヒ第五百一条ニ同シ 第四百九十八条 仏民法第五百条及ヒ第五百一条ニ同シ 第四百九十九条 若シ躬カラ他人ノ管財ヲ受ケンコトヲ訟求スル者アル時ハ裁判所ハ其血属親、姻属親及ヒ配偶者ノ申立ヲ聴キ且ツ第四百九十三条ヨリ第四百九十六条ニ至ル迄ノ規則ニ依遵ス可シ○検察官ハ其裁判言渡ヲ新聞紙上ニ掲載セシム可シ(仏民法第四百九十八条) 第五百条 仏民法第五百二条追加 但シ浪費ヲ為スヲ以テ治産ノ禁ヲ受ケタル者ハ自己ノ死後ニ至リ効テ生ス可キ証書ヲ記スルノ権ヲ保有ス可シ 第五百一条 仏民法第五百三条ニ同シ 第五百二条 仏民法第五百四条追加 死後ニ効ヲ生ス可キ規則ハ格別ナリトス 第五百三条 仏民法第五百五条ニ同シ但シ親族会議ヲ治安裁判官ニ換フ可シ而シテ該裁判官ハ第十六巻第五款ニ規定セル法式ニ循フヲ要トス 第五百四条 仏民法第五百六条ニ同シ 第五百五条 婦ハ其夫ノ管財人ノ職ニ任スルコトヲ得可シ○此場合ニ於テハ治安裁判官治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ血属親又ハ姻属親ヲ呼出シ又ハ其申立ヲ聴キシ後チ管財人ノ監察者ヲ任シ且ツ管財ノ方法又ハ条件ヲ規定ス可シ但シ婦ハ治安裁判官ノ判決ニ因テ損害ヲ受クルノ恐レ有ル時ハ初審裁判所ニ其旨ヲ訴フルコトヲ得可シ(仏民法第五百七条) 第五百六条 治産ノ禁ヲ受ケタル者ハ幼者ト同様ノ者タリ○浪費ヲ為シテ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ婚姻ヲ為サント欲スル時ハ第九十五条及ヒ第二百六条ヲ適用ス可シ又幼者ノ後見ニ管シテ第十六巻第十一款及ヒ第十二款ノ第三百八十六条ヨリ第三百九十九条迄、第四百二十四条ヨリ第四百四十六条迄、第四百四十九条以下数条ニ保含スル規則モ亦管財ヲ為ス事ニ適用ス可シ 第五百七条 若シ治産ノ禁ヲ受ケタル者ニ幼年ノ子有リテ其配偶者ノ死去シ又ハ後見ヲ行フコト能ハサル形情ナル時ハ幼者ノ後見人ヲ以テ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ管財人ヲ兼勤セシム可シ 第五百八条 癲疾、白痴、又ハ狂疾ニ因テ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ入額ハ其養生ノ方ヲ厚クシ且ツ其疾ヲ速カニ平愈セシムルノ用ニ供ス可シ(仏民法第五百十条) 第五百九条 仏民法第五百十条第二項追加 前条ノ病疾ニ因テ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ身分ト公ケノ安寧ニ管シテ必要ノ時ハ裁判所ヨリ(親族会議ニ非ス)其者ヲ一時又ハ一箇年ヨリ多カラサル期限間病院又ハ狂病院ニ送ル可キコトヲ命ス可シ 第五百十条 公ケノ安寧ニ管スル時ハ裁判所ヨリ血属親又ハ検察官ノ求メニ循ヒ治産ノ禁ヲ為ス可キ者ヲ一箇年間禁錮ス可キコトヲ命ス可シ○裁判所ハ管財人ノ訟求ニ循ヒ且ツ検察官ノ申立ヲ聴キシ後チ毎歳其禁錮ヲ延期スルノ権アリ 第五百十一条 浪費者ノ安全、其不行状又ハ一般ノ安寧ニ管シテ必要ノ時ハ裁判所ヨリ浪費者ニ管財人ヲ附ス可キ裁判言渡ヲ為ス時又ハ其年ノ中ニ浪費者ヲ懲治檻ニ禁錮ス可キ言渡ヲ為ス可シ○浪費者ノ糾問中必要ノ時ハ裁判所ヨリ其浪費者ニ管スル予防ノ処置ヲ為サシム可シ(仏民法第五百十三条、差異) 第五百十二条 浪費者ヲ禁錮セントスル訴訟ハ其浪費者ノ配偶者、尊属親、卑属親及ヒ第二級迄ノ傍系ノ親之ヲ裁判所ニ為スコトヲ得可シ○検察官ハ常ニ訴訟ニ管シテ事実ノ申立ヲ為ス可キ者トス而シテ右ニ列記シタル親族ハ悉ク控訴スルノ権アリ(仏民法第五百十五条) 第五百十三条 浪費者ヲ禁錮シ又ハ其禁錮ノ期限ヲ延サントスル訴状ハ其浪費者ニ読聴カス可シ但シ該浪費者ハ裁判所ニ於テ自己ノ意見ヲ述ヘ且ツ控訴スルコトヲ得可シ○裁判所ニ於テハ予メ其裁判言渡ノ如ク執行ス可キ旨ヲ言渡スコトヲ得可シ但シ浪費者ハ前条ニ循ヒ禁錮ノ訴訟ヲ為スノ権ヲ有スル者ト対審ノ上禁錮ヲ免カレント訴フルコトヲ得可ク又此決議ニ管シテハ控訴スルコトヲ得可シ 第五百十四条 治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ子ノ婚姻ヲ為サントスル時ハ第九十五条及ヒ第二百六条ニ依遵ス可キ者トス(仏民法第五百十一条、差異) 第五百十五条 夫婦、尊属親又ハ卑属親ヲ除クノ外何人ニ限ラス八箇年ヲ経過スル時ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ管財ヲ為スコトヲ免カルルヲ得可シ而シテ該八箇年ヲ経過スル時ハ管財人其交代ヲ得ント求ムルコトヲ得可シ(仏民法第五百八条、差異) 第五百十六条 仏民法第五百十二条ニ同シ 第五百十七条 治産ノ禁ヲ解ク時ハ第四百九十八条ニ原ツキ其旨ヲ公告ス可シ 最終ノ規則 第五百十八条 癪疾、白痴又狂疾ノ身分ナル幼者ハ其父母又ハ後見人ノ支配ヲ受ク可キ者トス但シ其父母又ハ後見人此巻ノ規則ニ循ヒ裁判所ヨリ允許ヲ得ルニ非サレハ其幼者ヲ救育院ニ送ルヲ得ス(千八百三十八年六月三十日布告ノ仏蘭西法律) 第十九巻 失踪 第一款 失踪ヲ思料スル事及ヒ失踪ヲ思料スル事ノ処置 第五百十九条 自己ノ住居ヨリ失踪セシ者名代人ヲ任セサルニ因リ其遺留シタル財産ノ全部又ハ一部ヲ支配ス可キ用意ヲ為スノ必要ナル時又ハ名代人ヲ任シタル時ト雖モ其名代ヲ為ス可キ期限ノ既ニ満チタルニ因リ其者ノ財産ノ全部又ハ一部ヲ支配ス可キ用意ヲ為シ或ハ名代人ヲ任スル事ノ必要ナル時ハ失踪者ニ管係スル者又ハ検察官ノ訴訟ノ上其失踪者ノ住所ヲ管轄シタル初審裁判所ヨリ管財人ヲ任ス可シ(仏民法第百十二条、差異)○失踪者ノ家資分産ヲ為シ又ハ負債ヲ償フノ資力無キコト確然タル時ハ特別ノ規則ヲ適用ス可シ 第五百二十条 管財人ハ己レノ支配ス可キ財産ノ目録ヲ製シ而シテ金銀貨ハ裁判上ノ預リ役所ニ之ヲ預ケ置ク可シ○向後管財人ハ幼者ノ財産ヲ支配スルコトニ管スル規則ヲ履行ス可シ 第五百二十一条 管財人ハ己レヲ管財ノ職ニ任シタル裁判所ニ毎歳計算ノ要略書ヲ差出ス可シ○若シ検察官失踪者ノ利益トナルコトヲ認ムルニ就テハ則チ其利益トナル可キ取計ヲ為ス可シ(仏民法第百十四条)而シテ裁判所ニ於テ右ノ計算書ヲ正確ノ者ト認ムト雖モ是ニ因テ失踪者又ハ管財人ニ管係ノ者ノ其管財人ニ対シテ行フコトヲ得可シ 第五百二十二条 管財人ハ其職ノ報謝トシテ入額百分ノ二分半及ヒ費用ノ価額百分ノ一分半ヲ得可シ 第二款 死去ヲ思料スル事ノ公告 第五百二十三条 若シ失踪者其名代人ヲ任スルコト無ク自己ノ住所ヲ棄去シテ失踪セシ時又ハ最終ノ消息有リシ時ヨリ五箇年ヲ経過スルニ於テハ有権者ノ訟求ト失踪者ノ住所ヲ管轄シタル裁判所ノ許可トニ因テ失踪者ノ配偶者ハ其失踪セシ配偶者ニ対シテ遅クトモ三箇月以内ニ裁判所ニ出頭ス可キ呼出ノ公告ヲ為ス可シ○若シ失踪者又ハ其名代人呼出ヲ為シタル定日ニ出頭セサルニ於テハ前ニ記シタル期限ヲ設ケテ第二回又ハ第三回ノ呼出ノ公告ヲ為ス可シ○呼出ノ公告ハ新聞紙上ニ掲載シ且ツ裁判所ノ入口又ハ失踪者ノ住居シタリシ家屋ノ表戸ニ貼附ス可シ(仏民法第百十五条、差異) 第五百二十四条 若シ第三回ノ呼出ノ公告ヲ為スモ失踪者又ハ其名代人ノ出頭セサル時ハ裁判所ニ於テハ検察官ノ申立ヲ聴キシ後チ失踪者ヲ死去セシ者ト思料ス可シ但シ死去セシ者ト思料ス可キ時日ハ失踪者ノ失踪セシ時又ハ其消息ノ止ミシ時ヨリ起算ス可シ○其起算ス可キ時日ハ裁判言渡書ニ確定ス可シ 第五百二十五条 裁判所ニ於テ裁判言渡ヲ為ス前ニ必要ノ時ハ検察官ノ面前ニ於テ吟味ヲ為ス可シ○裁判所ハ失踪ノ原由ト消息ノ送達ニ障碍アル所以トヲ穿鑿ス可シ○裁判所ハ第五百二十三条ニ確定セシ期限ノ外更ニ五箇年ヲ猶予シテ裁判言渡ヲ為シ且ツ新聞紙上ニ呼出ノ公告ヲ為ス可キ言渡ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第百十六条) 第五百二十六条 若シ失踪者其名代人ヲ任シ又ハ命令ヲ遺留シテ失踪セシ時ハ縦令ヒ其名代ヲ為ス可キ期限ノ十箇年以内ニ満ツ可キ時ト雖モ失踪者ノ失踪セシ時又ハ其消息ノ止ミシ時ヨリ十年ヲ経過セシ後チ前三箇条ニ記シタル規則ニ循ヒ死去ヲ思料スル事ノ裁判言渡ヲ為ス可キ者トス○名代人ノ其名代ヲ為ス可キ期限ノ十年以内ニ満ツ可キ時ハ此巻第一款ニ記載シタル方法ヲ以テ財産ヲ支配ス可キ用意ヲ為ス可シ(仏民法第百二十二条) 第五百二十七条 死去ヲ思料ス可キ事ノ公告ハ呼出ノ公告ヲ掲載セシ新聞紙ヲ以テ為ス可シ 第三款 死去ヲ思料スル事ヲ公告セシ後チ最親ノ財産相続人ノ行フ可キ権利及ヒ義務 第五百二十八条 失踪者ノ最親ノ財産相続人ハ第五百二十四条ニ確定セル時日ニ贈遺ノ名義又ハ相続ノ順序ニ因テ財産相続ヲ為ス可キ権利ヲ有スルカ為メ其財産ノ保育権ヲ得ント欲スルニ於テハ失踪者ノ管財人ニ対シテ財産ノ計算又ハ引渡ヲ訟求スルコトヲ得可シ○最親ノ財産相続人ハ其財産ヲ破損シ又ハ滅尽セシム可キコト無キ方法ヲ以テ之ヲ保有シ而シテ若シ失踪者ノ帰来シ又ハ自己ニ優ル権利ヲ有スル財産相続人アル時ハ其財産ヲ品物ノ侭ニテ返還シ又ハ財産ノ種類ニ因リ其代価ヲ渡サン為メ裁判所ヨリ認可セル保証人又ハ身元金ヲ出ス可キ者トス(仏民法第百二十条) 第五百二十九条 保証人又ハ身元金無キ時ハ他人ヲ以テ失踪者ノ財産ヲ管理セシメ不動産ハ第八百三十三条及ヒ第八百三十四条ノ規則ヲ循守シテ以テ之ヲ売却スルコトヲ得可シ(仏民法第百二十九条及ヒ第六百二条) 第五百三十条 失踪者ノ最親ノ財産相続人ハ入額ヲ所得ト為ス可キ権利ヲ有スル者タリ故ニ又之ニ管スル義務ヲ尽ス可キ者トス但シ此巻ニ記載シタル例外ハ格別ナリトス 第五百三十一条 前ノ三箇条ハ贈遺ヲ受ク可キ者及ヒ失踪者ノ死後其財産ニ付テ行フ可キ権利ヲ有スル者ニ適用スルコトヲ得可シ 第五百三十二条 失踪者ノ財産ヲ仮リニ保有シタル者ハ其失踪者ノ帰来スル歟若クハ己レニ優ル権利ヲ有スル財産相続人アル時ハ失踪者又ハ其財産相続人ニ財産ヲ管理シタル計算ヲ為シ又ハ曽テ受取リタル財産ヲ返還スルヲ要トス(仏民法第百三十条) 第五百三十三条 失踪者ノ財産ヲ仮リニ保有シタル者ハ財産ノ目録ヲ製ス可シ而シテ其財産ノ目録ヲ記シテ其財産ノ償額ニ至ル迄ノ外負債又ハ費用ヲ償ハサル特権ヲ得ルニ非サレハ財産ヲ仮リニ保有ス可キコトヲ承諾セサルヲ得可シ○財産ノ目録ナキ時又ハ第千七十七条ノ場合ニ於テ財産ヲ保有シタル者ハ財産ノ目録ヲ記シテ其財産ノ償額ニ至ル迄ノ外負債又ハ費用ヲ償ハサル特権ヲ失フカ為メ前条ニ規定セル義務ヲ尽サヽルヲ得ス(仏民法第百二十六条) 第五百三十四条 失踪者ノ最親ノ財産相続人ハ財産分派ニ管スル規則ニ循ヒ仮リニ財産ヲ分派スルコトヲ得可シ○然レトモ不動産ヲ売却スルコトヲ得ス但シ此不動産ハ双方相争フ物ヲ人ニ附託セシ者ト看做シ又ハ既ニ分配セシ入額ト看做ス可シ(仏民法第百三十条) 第五百三十五条 財産ノ目録、身元金及ヒ財産分派ノ証書ハ裁判所ノ書記局ニ保蔵ス可キ者トス 第五百三十六条 不動産ノ分配ヲ受ケタル者又ハ其不動産ヲ支配シタル者ハ其不動産ニ管スル特別ノ証書ヲ製センコトヲ裁判所ニ願フヲ得可シ而シテ此証書ハ裁判所ノ書記局ニ保蔵ス可シ(仏民法第百二十六条) 第五百三十七条 此不動産ハ至重ノ原因アルニ非サレハ第五百四十条ニ確定セル期限前ニ売却スルヲ得ス但シ裁判所ノ允許ヲ得ル時ハ格別ナリトス(仏民法第百二十八条) 第五百三十八条 若シ失踪者ノ第五百二十四条ニ確定セル日ヨリ起算シテ十五年以内ニ帰来スルニ於テハ其失踪者ノ財産ヨリ生シタル利益ノ半分ヲ失踪者ニ返還シ又十五年ヲ過クルトモ三十年以内ニ帰来スルニ於テハ四分ノ一ヲ返還ス可シ○若シ財産ノ価額僅少ナル時ハ裁判所ニ於テ失踪者ノ財産ヲ仮リニ保有シタル者ノ為メ此規則ヲ変更スルコトヲ得可シ(仏民法第百二十七条) 第五百三十九条 財産ヲ共通シタル失踪者ノ配偶者猶ホ其財産ノ共通ヲ継続セント欲スル時ハ裁判言渡書ニ示シタル死去ヲ思料ス可キ日ヨリ起算シ十年ノ間第五百三十三条ニ確定セル日ヨリ財産ノ目録ヲ製ス可キ約定ヲ以テ失踪者ノ相続人ノ仮リニ其財産ヲ保有スルヲ拒ムコトヲ得可シ○又其配偶者以下仏民法第百二十四条ニ同シ 第五百四十条 仏民法第百二十九条及ヒ第百三十条ニ同シ 第五百四十一条 仏民法第百二十九条及ヒ第百三十条ニ同シ 第五百四十二条 若シ失踪者ノ帰来スル時又ハ死去ヲ思料セシ日ヨリ三十年ヲ経テ其生存ノ証ヲ得タル時以下仏民法第百三十二条ニ同シ但シ失踪者ハ利益又ハ既ニ収入セシ入額ヲ取戻スノ権ナシヲ追加ス 第五百四十三条 前条ノ規則ハ第五百四十条ニ確定セル日ヨリ起算シテ三十年以内ニ失踪者ノ子及ヒ卑属親ノ帰着スル時モ亦適用スルコトヲ得可シ(仏民法第百三十三条) 第五百四十四条 若シ死去ヲ思料ス可キ事ノ裁判言渡アル時ハ失踪者ノ最親ノ財産相続人ニ対シテ訴訟ヲ為スコトヲ得可シ但シ其財産相続人ノ目録ヲ記シテ其相続スル財産ノ償額ニ至ル迄ノ外負債又ハ費用ヲ償ハサルノ特権ヲ得可キ訴ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第百三十四条) 第四款 生存ノ分明ナラサル失踪者ニ属ス可キ権利 第五百四十五条 仏民法第百三十五条ニ同シ 第五百四十六条 仏民法第百三十六条追加 生存ノ分明ナラサル失踪者ニ属ス可キ権利ヲ己レニ得ント訴フル者ハ其失踪者ノ死去ヲ確証スルニ及ハスト雖モ亦失踪者ノ住所ヲ管轄シタル裁判所ヨリ予メ訴ヲ為スコトヲ得可キ允許ヲ得ルヲ要トス而シテ裁判所ハ其権利ヲ保全ス可キ公告及ヒ其処置ヲ為ス可キヲ言渡ス可シ 第五百四十七条 仏民法第百三十七条 第五百四十八条 若シ失踪者ノ帰来スル時ハ第五百三十八条ノ期限中ニ財産ノ取戻ヲ訟求スルヲ得可シ 第五款 婚姻及ヒ子ニ管スル失踪ノ効 第五百四十九条 故意ヲ以テ失踪セシ場合ヲ除クノ外失踪者ノ配偶者ハ其失踪ノ時又ハ消息ノ止ミシ時ヨリ十年ノ後チ第五百二十三条及ヒ第五百二十四条ニ循ヒ失踪セシ配偶者ニ裁判所ニ出頭ス可キ呼出ノ公告ヲ三次ニ為スコトヲ得可シ 第五百五十条 若シ失踪者ノ帰来セス又ハ失踪者ノ生存ヲ確証ス可キ人無キ時ハ裁判所ニ於テ第五百二十五条ニ原ツキ失踪者ノ配偶者ニ再婚ヲ為ス可キ許可ヲ為スヲ得可シ(仏民法第百三十九条及ヒ第百四十条、差異) 第五百五十一条 若シ失踪者ノ配偶者ノ其再婚ヲ為ス前該失踪者ノ帰来シ又ハ生存ノ確証アルニ於テハ再婚ヲ許可スルノ裁判言渡ハ無効ニ属ス可シ○然レトモ若シ配偶者ノ再婚ヲ為セシ後チ失踪者ノ帰来スルニ於テハ其失踪者モ亦再婚ヲ為スコトヲ得可シ 第五百五十二条 若シ父ノ予メ処置ヲ為スコト無ク幼年ノ子ヲ遺留シテ失踪シタル時ハ其母其子ノ教育及ヒ財産ヲ支配スルニ付キ父ノ権ヲ行フ可シ○然レトモ父ノ最近ノ血属親ハ右ニ付キ故障ヲ述ルコトヲ得可ク而シテ治安裁判官ハ其故障ノ判決ヲ為ス可シ但シ血属親ハ之ヲ控訴スルコトヲ得可キ者トス(仏民法第百四十一条) 第五百五十三条 若シ一方ノ配偶者前婚ノ子ヲ遺留シ又ハ鰥夫或ハ寡婦ノ其幼年ノ子ヲ養育ス可キ手当ヲ為スコト無ク自己ノ住所ヲ去リシ時ハ治安裁判官ハ第十六巻第五款ノ規則ニ原ツキ仮リニ後見人ヲ任ス可シ(仏民法第百四十二条) 第五百五十四条 私生ノ子又ハ幼年ノ子ノ生存シタル時其父又ハ母失踪シ或ハ一方ノ配偶者其子ノ養育ノ処置ヲ為スコト無ク失踪セシ後チ他ノ一方ノ配偶者ノ死去スル時モ亦前条ノ如ク後見人ヲ任ス可シ 第二篇 財産 第一巻 財産及ヒ其区別 第一款 一般ノ財産 第五百五十五条 所有権ノ目的ト成ル可キ物ハ挙テ法律上ニ於テ財産ト云フ 第五百五十六条 主ニ因テ従ヲ併スノ権ニ因リ財産ニ属スル諸物及ヒ天然又ハ人工ニ因リ枝及ヒ根ヨリ生スル利益ハ財産ノ部分トス(仏民法第五百四十七条) 第五百五十七条 法律上ニテ財産ヨリ得可キ利益ハ人ヨリ之ヲ引渡ス可キ求メヲ受ク可カラサル間ハ財産ト看做ス可シ但シ反対ノ契約アル時ハ格別ナリトス 第五百五十八条 天然ノ利益ハ左ニ記シタルカ如シ 第一 自然ニ地ヨリ生スル利益 第二 入額及ヒ蕃殖シタル獣類 耕耘ニ因リ得可キ物ハ之ヲ人工ニ因リ生スル利益ト称フ 土地又ハ家ノ貸賃、金額ノ息銀及ヒ年金ハ之ヲ法律上ニテ財産ヨリ得可キ利益ト称フ(仏民法第五百四十七条) 第二款 財産ノ区別 第五百五十九条 財産ハ有形又ハ無形ノ者トス 第五百六十条 仏民法第五百十六条ニ同シ 第五百六十一条 動産ハ度量スルコトヲ得可キ物又ハ度量スルコトヲ得可カラサル物トス 度量スルコトヲ得可キ財産トハ人之ヲ使用スル時ハ耗尽ス可キ物ヲ云フ 第三款 不動産 第五百六十二条 仏民法第五百十八条乃至第五百二十三条ニ同シ 第五百六十三条 仏民法第五百二十四条及ヒ第五百二十五条追加 建家ヲ繙解セシ材料ヲ再ヒ建築ス可キ為メニ用フル時ハ用法ニ因テノ不動産トス 第五百六十四条 仏民法第五百二十六条追加 土地ノ表面使用ノ権、長期ノ賃借 第四款 動産 第五百六十五条 仏民法第五百二十八条ニ同シ 第五百六十六条 仏民法第五百三十一条ノ始メニ同シ 第五百六十七条 仏民法第五百二十九条ニ追加スルコト左ノ如シ 第五国債ニ付テノ権利即チ公債証書「セルチフヒカー、ド、レコン子ツサンス」自認ノ証書ノ意「ヲブリガーシヨン」義務ノ証券ノ意其他公債ニ管スル証券並ニ年金ノ「クーポン」小割証書ノ意又ハ年金ノ証書ハ総テ之ヲ動産トス 第六内外国ノ募集ニ応セシ募金ノ種類如何ヲ問ハス総テ「ヲブリガーシヨン」ノ株数及ヒ「クーポン」ハ之ヲ動産トス 第五百六十八条 「ビヤンミユウブル」動産ノ意ニテ其義ノ広キヲ云フ「モビリヱー」同上ノ意「エッフェー、モビリヱー」同上ノ意「ミユウブル」動産ノ意ニテ其義ノ狭キヲ云フ又ハ「メーゾン、アベツク、ツー、ス、キー、ス、トローブ」家屋及ヒ其附属品ヲ云フト云ヘル語意ハ相対スル語ナク且ツ添辞ヲ用フルコト無ク或ハ其語意ヲ拡張シ又ハ狭縮スルコト無ク之ヲ法律上又ハ公ケノ証書ニ付キ用フル時ハ総テ左ノ数条ニ記シタル者ヲ保含ス可シ(仏民法第五百三十五条) 第五百六十九条 「ビヤンミユフブル」ト云ヘル語ハ相対スル語ナク且ツ添辞ヲ用フルコト無ク之ヲ法律上又ハ人事ノ規則ニ付キ用フル時ハ既ニ前ニ設ケタル規則ニ循ヒ総テ動産ト看做ス可キ物ヲ保含ス可シ 第五百七十条 「モビリヱー」又ハ「エッフェー、モビリヱー」ト云ヘル語ハ金額、株敷、一般ノ権利又ハ第五百六十七条ニ記シタル権利、商品、未タ製造セサル物、製造、鋳造及ヒ耕作ニ属スル器械、建築ニ用フ可キ材料又ハ家ヲ解キタル木材ヲ除クノ外総テ前数条ノ規則ニ循ヒ動産ト看做ス可キ物ヲ保含ス可シ(仏民法第五百三十三条) 第五百七十一条 「ミユウブル」ト云ヘル語ハ前条ニ循ヒ「モビリヱー」ノ部分ニ属ス可キ諸物件ヲ保含ス可シ但シ馬匹及ヒ其他ノ獣類、馬車及ヒ馬具、宝石、書籍、刷版ノ図画、扁額、立像、賞牌、学芸ノ器械、其他貴重ス可ク及ヒ稀有ノ物件、麻布類、兵器、穀類、酒類其他ノ糧食ハ格別ナリトス(仏民法第五百三十三条) 第五百七十二条 「メーゾン、アベツク、ツー、ス、キー、ス、トローブ」ト云ヘル語ハ金額、貸金及ヒ家屋内ニ在ル其他ノ権利ヲ得可キ証券ヲ除クノ外第五百六十九条ニ循ヒ家屋内ニ在テ「ミユウブル」ト看做ス可キ物ヲ保含ス(仏民法第五百三十六条) 第五百七十三条 仏民法第五百三十四条ニ同シ 第五百七十四条 「メーゾン、ミユウブレー」室内等ヲ装飾セル家屋ヲ云フト云ヘル語ハ「ミユウブル、ミユウブラン」ノミヲ云フ(仏民法第五百三十五条) 第五款 財産ト之ヲ所有スル者トノ管係 第五百七十五条 財産中ニハ毫モ人ニ属セサル財産アリ或ハ政府ニ或ハ邑ニ或ハ私ノ所有ニ属スル財産アリ(仏民法第五百三十七条、第五百三十九条及ヒ第五百四十二条) 第五百七十六条 仏民法第五百三十九条及ヒ第五百三十八条追加 大小ノ島嶼及ヒ水面ニ冒出シタル洲ハ公領ノ属有トス但シ各人又ハ邑ニテ証書或ハ保有権ニ因リ得タル権利アル時ハ格別ナリトス 第五百七十七条 仏民法第五百三十九条及ヒ第五百三十八条追加 大小ノ島嶼及ヒ水面ニ冒出シタル洲ハ公領ノ属有トス但シ各人又ハ邑ニテ証書或ハ保有権ニ因リ得タル権利アル時ハ格別ナリトス 第五百七十八条 前条ニ記シタル舟楫ヲ通ス可キ河川ノ河岸トハ河川又ハ湖水ニ沿フ所ノ地ニシテ平素満水ノ時其水ノ浸ス所ト成ル可キ地ヲ云ヒ溢水ノ時水ニ沈ム可キ地ヲ云フニ非ス 第五百七十九条 仏民法第五百四十一条ニ同シ 第五百八十条 左ニ記シタルカ如キ政府ノ城堡中ニ在ル地面ハ軍事ニ属スル地ト為ス可シ 第一 覆道(シユマン、クーベル)及ヒ斜地(グラツシー)ノ設備アル城堡ニ於テハ重立チタル堡塁ノ内部ノ斜地ノ下ヨリ覆道ノ端ニ至ル迄ノ地 第二 覆道及ヒ斜地ノ設備ナキ城堡ニ於テハ重立チタル城壁(ミユール)ノ内部ノ下ヨリ要塞地(ブラス)ヲ囲繞シタル溝渠(フヲーヤー)ノ外部ノ岸ニ至ル迄ノ地但シ軍兵ノ駐屯スル城堡ニハ前条ノ規則ヲ適用スルコトヲ得可シ 第三 毫モ外部ノ土工(ウーブラージユ)ナキ城堡ニ於テハ台地(デールブラン)ノ内部ノ下ヨリ要塞地ヲ囲繞シタル溝渠ノ外部ノ岸ニ至ル迄ノ地 第四 台地ノ後部ニ塹壕(トランセー)又ハ台地ニ至ル可キ狭路(ベルム)等アル時ハ其土地ヲ以テ植附物又ハ建築物ト共ニ軍事ニ属スル土地ト看做ス可シ 第五百八十一条 軍兵ノ駐屯セサル城堡、前置ノ小堡(ロヅート)及ヒ前哨兵(ポストアバンセー)ヲ置ク可キ地ハ総テ軍事ニ属スル土地トス 第五百八十二条 邑ノ財産トハ一団結ニ属スル財産ヲ云フ(仏民法第五百四十二条 第五百八十三条 私有ニ属スル財産トハ一人又ハ数人ノ各自ニ所有スル財産ヲ云フ 第五百八十四条 人ハ財産ニ付キ其所有権又ハ其保有権ヲ有スルアリ或ハ其財産ヲ相続スルノ権又ハ其入額ヲ所得トスルノ権ヲ有スルアリ或ハ土地ノ義務ヲ得可キノ権又ハ質入、書入ノ権ヲ有スルアリ(仏民法第五百四十三条) 第二巻 保有権 第一款 保有権ノ種質及ヒ保有スルコトヲ得可キ物件 第五百八十五条 仏民法第二千二百二十八条ニ同シ 第五百八十六条 保有権ハ正実又ハ不正実ニ管スルコトアリ 第五百八十七条 人ヨリ財産ノ譲渡ヲ得シ証券ノ不良ナルヲ知ラスシテ其財産ヲ譲受ケ之ヲ己レノ有ト為シタル時ハ正実ニ之ヲ保有シタル者ト為ス可シ(仏民法第五百五十条) 第五百八十八条 物件ヲ保有シタル者其物件ノ己レニ属セサル事ヲ熟知シタル時ハ不正実ニ之ヲ保有シタル者ト做ス可シ 不正実ノ保有タルハ裁判所ニ訴ヘシ後チ其判決ニ因テ確定ス可シ 第五百八十九条 保有者ノ正実ハ常ニ思料スルコトヲ得可シト雖モ其不正実ハ証拠ヲ挙クルヲ要トス(仏民法第二千二百六十八条) 第五百九十条 仏民法第二千二百三十条及ヒ第二千二百三十一条ニ同シ 第五百九十一条 仏民法第二千二百三十条及ヒ第二千二百三十一条ニ同シ 第五百九十二条 仏民法第二千二百四十条ニ同シ 第五百九十三条 仏民法第二千二百二十六条ニ同シ 第二款 保有権ヲ得可キ事、之ヲ保存ス可キ事及ヒ失フ事ノ方法 第五百九十四条 保有権ハ物件ヲ保有ス可キ心意ヲ以テ其物件ヲ受ケタル所為ニ因テ之ヲ得可シ 第五百九十五条 道理ノ弁別ナキ者ハ自分ニ保有権ヲ得ルコトヲ得ス 道理ヲ弁別スルノ力アル幼者及ヒ夫ノ支配ヲ受ケタル婦ハ自分ノ所為ニ因テ保有権ヲ受クルコトヲ得可シ 第五百九十六条 人ハ自分又ハ自分ノ名義ヲ以テ物件ヲ受取ルコトヲ得可キ他ノ人之ヲ受取ルニ因テ保有権ヲ得可シ 自分ノ名義ヲ以テ物件ヲ受取ルコトヲ得可キ他ノ人之ヲ受取ルニ因テ保有権ヲ得可キ場合ニ於テハ自分ニテ其受取リタル旨ヲ知得スル以前ニ其保有権ヲ得可シ(仏民法第二千二百三十条及ヒ第二千二百三十一条) 第五百九十七条 死者ノ有セシ保有権ハ其死去ノ時ヨリ其死者ノ財産相続人ニ転移ス可シ○此保有権ハ之ニ管スル名義及ヒ過失ト共ニ転移ス可シ 第五百九十八条 人ハ保有権ヲ他人ニ移シ又ハ尋常ニ放棄スル迄之ヲ保存セサルヲ得ス 第五百九十九条 保有権ヲ他人ニ移ス時ハ己レノ所好ノ意ニ因テ之ヲ失フ者トス 第六百条 若シ人ノ尋常ニ保有権ヲ放棄スル時ハ他人ニ之ヲ転移スルノ意ニ出ルコト無ク之ヲ失フ者トス 第六百一条 人ハ己レノ所好ノ意ニ反シテ贈遺ノ財産ノ保有権ヲ失フ事アリ左ノ如シ 第一 保有権ヲ有シタル者ノ所好ノ意ニ反シテ他ノ人公ケノ安寧ヲ妨クルコト無ク一箇年間之ヲ所得ト為シタル時(仏民法第二千二百四十三条) 第二 贈遺ノ財産ノ偶生ノ事ニ因テ水ニ沈没セシ時 溢水一時土地ヲ覆浸スト雖モ其保有権ヲ失フ可キ者ニ非ス○此条ノ第一ニ示セシ方法ニ因テハ動産ノ全部ノ保有権ヲ失フ可シ 第六百二条 人ハ己レノ所欲ノ意ニ反シ動産ニ属スル物件ノ保有権ヲ失フコトアリ左ノ如シ 第一 欺詭又ハ盗取ニ因テ物件ヲ失フ時 第二 物件ヲ遺失シテ其所在ノ知レサル時 第六百三条 無形ニ属スル財産ノ保有権ヲ他ノ人ノ一箇年間平穏ニ所得ト為シタル時ハ其権ヲ失フ者トス 第三款 保有権ヨリ生スル権利 第六百四条 正実ニ物件ヲ保有スル者ハ左ニ記列シタルカ如キ権利アリ 第一 物件ヲ返還ス可キ時迄仮リニ其所有者ト看做サルヽ事 第二 期満得免ニ因テ物件ノ所有権ヲ得ル事 第三 物件ヲ返還ス可キ時迄其物件ヨリ生スル利益ヲ己レノ所得ト為ス事 第四 物件ノ保有権ヲ害セントスル者ニ対シテ其保有権ヲ維持スル事及ヒ其物件ヲ遺失セシ時取戻ノ請求ヲ為ス事(仏民法第五百四十九条) 第六百五条 不正実ニ物件ヲ保有シタル者ハ左ニ記列シタルカ如キ権利アリ 第一 物件返還ノ請求ヲ受クル迄仮リニ其所有者ト看做サルヽ事 第二 物件ヨリ生スル利益ヲ所得ト為ス事但シ正実ノ保有者ニ其利益ヲ返還ス可キノ責アリ 第三 前条ノ第四ニ記載シタルカ如ク物件ノ保有権ヲ維持シ及ヒ其物件ヲ遺失セシ時之ヲ取戻ス可キ請求ヲ為ス事 第六百六条 保有権ニ付テノ訴訟ハ土地、家屋又ハ建家、対物権及ヒ動産全部等ノ保有権ヲ妨クル者アル時ニ之ヲ為ス可シ 第六百七条 保有権ニ付テノ訴訟ハ現ニ物件ヲ保有シタル者ノ不正実ナル時モ亦之ヲ為ス可シ 第六百八条 土地ノ義務ヲ得可キ権利ヲ妨クル者ニ対シテハ其保有権ニ付テノ訴訟ヲ為スコトヲ得ス但シ間断ナク且ツ人目ニ触ル可キ土地ノ義務ニ管スル時ハ格別ナリトス 第六百九条 然レトモ若シ間断アルカ又ハ人目ニ触レサル土地ノ義務ヲ設立ス可キ証書ノ法ニ適シタルヤ否ヤニ管シテ紛議アル時ノ如キハ其土地ノ義務ヲ得可キ権利ヲ有スル者保有権ニ付テノ訴訟中其権利ヲ保有スルコトヲ得可シ 第六百十条 若シ原告人法ニ適シテ保有シ能ハサル物件ヲ目的トスル時ハ保有権ニ付テノ訴訟ヲ為スヲ得ス 第六百十一条 有形ノ動産ハ保有権ニ付テノ訴訟ノ目的ト為スコトヲ得ス 第六百十二条 借主及ヒ他人ノ為メ物件ヲ保有シタル者ハ保有権ニ付テノ訴訟ヲ為スヲ得ス 第六百十三条 保有権ニ付テノ訴訟ハ物件ヲ保有シタル者ノ権利ヲ害スル人及ヒ其物権ノ所有者ニ対シテ為ス可シ又所有者ハ其物件取戻ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ○又人ノ物件ヲ随意ニ又ハ法ニ違戻シ又ハ暴行ニ因テ保有シタル者ハ其保有権ヲ奪ハレタル者ニ対シテ保有権ニ付テノ訴訟ヲ為スコトヲ得ス(仏民法第二千二百三十三条) 第六百十四条 保有権ニ付テノ訴訟ハ物件ヲ保有シタル者其保有権ヲ妨ケラレシ日ヨリ起算シ一年ノ期限内ニ為スヲ要トス(仏訴訟法第二十三条) 第六百十五条 此訴訟ハ物件ヲ保有シタル者人ヨリ妨ケヲ受クルコトヲ防キ且ツ損害ノ償ヲ得テ保有権ヲ維持スル為メニ為ス者トス 第六百十六条 保有権ヲ失ハサル者及ヒ裁判官ノ判決ニ因リ之ヲ維持シタル者ハ常ニ保有権ヲ有シタル者ト看做ス可シ但シ保有権ヨリ生シタル利益ニ管スル事ハ格別ナリトス 第六百十七条 保有権ニ付テノ訴訟アルニ方リ其裁判官原被両造ノ間果シテ其保有権ノ何レニ属ス可キヤノ確証ヲ得サル時ニ於テハ保有権ニ付テ判決ヲ為ス前ニ先ツ其訴訟ノ目的タル物件ヲ他人ニ預ケ又ハ双方ノ者ニ所有権ニ付テノ取調ヲ為ス可キ旨ヲ言渡シ又ハ仮リニ其一方ノ者ニ保有権ヲ与フルコトヲ得可シ 仮リニ保有権ヲ得ル者ハ所有権ニ付テノ取調中唯々其訴訟ノ目的タル物件ヲ保有スルノ権利ノミヲ得シ者タレハ判決ノ後ハ其保有権ヨリ生シタル利益ヲ与フ可キ者トス 第六百十八条 若シ土地又ハ建家ノ保有者暴行ヲ受クルコト無ク其保有権ヲ失ヒシ時ハ之ヲ保有シタル者ニ対シテ其権ヲ取戻シ自己ノ保有権ヲ維持スルノ権利ヲ有ス可シ 第六百十九条 若シ物件ノ保有者暴行ニ因リ其保有権ヲ奪ハレシ時ハ其暴行ヲ為セシ者及ヒ其暴行ヲ為サシメシ者ニ対シテ物件取戻シ訴訟ヲ為ス可ク而シテ其暴行ヲ為セシ者等ハ総テ為メニ連帯ノ義務ヲ負フ者トス 此訴訟ヲ為スニハ原告人ヨリ其暴行ノ所為ヲ証スルヲ以テ足レリトス 第六百二十条 右取戻ノ訴訟ハ総テ不正実ニ物件ヲ保有スルコトヲ止ム可キ者ニ対シテ行フコトヲ得可シ 第六百二十一条 第六百十八条ニ記シタル取戻ノ訴訟及ヒ保有権ニ付テノ訴訟ハ保有権ヲ害セラレシ日ヨリ起算シテ一年ノ期限内ニ之ヲ為スヲ要シ又暴行ニ因リ物件ヲ奪ハレタル時其取戻ノ訴訟モ亦其暴行ノ止ミシ日ヨリ起算シテ一年ノ期限内ニ之ヲ為ス可キ者トス 所有権ニ付テノ訴訟アル時ハ取戻ノ訴訟及ヒ保有権ニ付テノ訴訟ヲ為スコトヲ得ス(仏訴訟法第二十六条) 第六百二十二条 取戻ノ訴訟ハ如何ナル場合ヲ問ハス従来ノ保有者ノ其保有権ヲ維持シ又ハ回復シ嘗テ之ヲ失ヒシコト無キ者ト看做ス為メニ為ス者トス 第六百二十三条 物件ヨリ生スル利益及ヒ費用ニ管シテハ第三巻ノ所有権ノ規則ヲ以テ保有者ニ適用スルコトヲ得可シ 第六百二十四条 取戻ノ訴訟期限ヲ経過セシ時ハ暴行ヲ受ケタル者ハ通常ノ訴訟ヲ為シ嘗テ暴行ヲ為セシ者ヲシテ其暴行ニ因リ奪ヒタル物件ヲ返還セシメ且ツ損害ノ償ヲ出ス可キ言渡ヲ受ケシムルコトヲ得可シ 第三巻 所有権 第一款 総則 第六百二十五条 仏民法第五百四十四条及ヒ第五百四十五条ニ同シ 第六百二十六条 仏民法第五百五十二条ニ同シ 第六百二十七条 所有権ハ総テ自由ニ之ヲ為スコトヲ得可キ者ト看做ス可シ○人ノ所有権ヲ得ント求ムル者ハ之ヲ求ム可キ権利有ルコトヲ証スルヲ要トス 第六百二十八条 数人ニ属シタル所有権ヲ分派スル時ハ贈遺ノ財産ニ管シテ設ケタル規則ニ依遵ス可シ(仏民法第千八百七十二条) 第六百二十九条 人ハ己レノ物件ヲ保有シタル者ヨリ其物件ノ有形ノ侭ニテ取戻スコトヲ得可シ 第六百三十条 正実ニ物件ヲ保有シタル者ノ其物件ヲ返還ス可キ求メヲ受クル時ハ其求メヲ受ケシ日ヨリ以後ニ於テ其物件ヨリ生スル利益ノミヲ返還シ又耕耘、労働、種子ノ費用及ヒ其物件ヲ保存シ又ハ使用スルニ付キ要セシ他ノ費用ヲ其利益ヨリ乗除ス可キ求メヲ為スヲ得可シ○物件ノ保有者ハ本条ニ記シタル費用ノ弁償ヲ得ル迄其物件ヲ留置クコトヲ得可シ(仏民法第五百四十八条及ヒ第五百四十九条) 第六百三十一条 又前条ノ保有者ノ其物件ヲ返還ス可キ求メヲ受ケタルニ因リ之ヲ返還スルニ於テハ入額ヲ得ル為メニ要シタル其時未タ地ヲ離レサル費用ノ弁償ヲ求ムルコトヲ得可シ(仏民法第五百四十八条) 第六百三十二条 正実ナル保有者ハ己レニ利益ヲ得ント欲シテ冗費セシ価額ノ弁償ヲ要求スルノ権ナシ 第六百三十三条 又其保有者ハ物件ヲ保存スル為メニ生セシ費用ヲ其物件ヲ返還スル時更メテ増加スルノ権ナシ(第六百三十条) 右ニ付キ紛議ノ生スル時ハ入額所得権ニ管スル規則ニ依遵ス可シ(第六百四十条) 第六百三十四条 不正実ナル保有者ノ行フ可キ義務ハ左ニ記列ス 第一 返還ス可キ求メヲ受ケタル物件ヨリ生シタル利益ヲ返還スル事及ヒ此保有者ノ得サル利益ト雖モ当ニ所有者ノ之ヲ得ヘキ時ハ其利益ヲ返還スル事但シ耕耘ニ付テ要シタル費用ヲ得ント求ムルコトヲ得可シ(第六百三十条) 第二 損失ノ償ヲ為ス事 第三 若シ物件ヲ返還シ能ハサル時ハ縦令ヒ其物件ニ滅尽セシ時ト雖モ其代価ヲ償フ事但シ其物件ノ所有者ノ手ニ在ル時モ亦滅尽ス可キ徴証アル時ハ格別ナリトス 第六百三十五条 暴行ニ因リ物件ヲ保有シタル者ハ其物件ニ付テ要セシ費用ヲ得ント求ムルコトヲ得ス 第六百三十六条 有要ニ管スル費用及ヒ贅沢ニ管スル費用ハ不正実ナル保有者ノ損失タル可シ但シ分ツコトヲ得可キ物ハ保有者之ヲ取ルコトヲ得可シ 第六百三十七条 仏民法第二千二百八十条ニ同シ 第六百三十八条 海中ニ沈没セシ物件ノ所有者ハ之ニ管スル法律ノ規則ニ循ヒ其物件取戻ノ求メヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第七百十七条) 第二款 所有権ヲ得ルノ方法 第六百三十九条 物件ヲ所有スルノ権ハ之ヲ己レノ所有ト為スコトヲ得可キノ権、連合ス可キヲ得ルノ権、適法及ヒ贈遺ノ財産相続、所有権ノ転移ニ因リ又ハ所有権ヲ随意ニ為スコトヲ得可キ権利ヲ有スル者ノ其所有権ヲ引渡ス可キ証書ヲ記シテ其所有権ヲ引渡スニ因リ得可キ者トス 第六百四十条 人ニ属セサル動産ハ第一ニ之ヲ占有セシ者ノ所有ニ属ス可シ(仏民法第七百十三条) 第六百四十一条 食ス可キ(ジビエー)野獣及ヒ魚類ヲ所有スルノ権ハ全ク其獣類及ヒ魚類ノ所在ノ地ヲ所有シタル者ニ属ス可シ但シ現ニ此等ノ物ヲ得可キ権利ヲ有シタル者アルカ又ハ法律或ハ至重ナル規則アル時ハ格別ナリトス(仏民法第七百十五条) 第六百四十二条 仏民法第七百十六条ニ同シ 第六百四十三条 仏民法第五百五十一条ニ同シ 第六百四十四条 仏民法第五百六十一条及ヒ第五百六十二条ニ同シ 第六百四十五条 仏民法第五百六十一条及ヒ第五百六十二条ニ同シ 第六百四十六条 河川ヲ所有スル者ノ権ハ其水ノ流下スル土地ヲ所有スル者ノ権ニ優ル者トス 第六百四十七条 仏民法第五百六十三条ニ同シ 第六百四十八条 河川ノ流水一時暴漲スレトモ所有権ニ変更ヲ生スルコト無シ 第六百四十九条 溢水ニ没シタル土地ハ尚ホ其溢水ノ前ニ所有シタリシ者ノ所有トス 然レトモ若シ国王ノ公ケノ利益ニ原由シ又ハ近傍ノ所有権ヲ安全ナラシムル為メ其土地ヲ乾カスコトヲ必要ナリト認ムルニ於テハ其所有者ニ其土地ヲ乾カシ及ヒ堤防ヲ築ク可キコトヲ命令シ又ハ河川ノ所有者ト連合シテ此等ノ事ヲ為ス可キヲ命令スルコトアリ然ルニ若シ双方ノ所有者之ヲ為スヲ拒ミ又ハ紛議ヲ生スルニ於テハ其所有権ヲ剥奪セラル可シ 其土地ノ代価ハ溢水ノ形況ニ由テ其真価ヲ定ム可シ 第六百五十条 砂阜(ヂユンヌ)ノ所有者ハ即チ土地ノ所有者タリ 砂阜(ヂユンヌ)ノ為メ覆ハレタル土地ハ其砂阜ノ所有者ニ属ス可シ但シ五箇年内ニ其限界ヲ定ムル時ハ格別ナリトス 第六百五十一条 仏民法第五百五十六条ニ同シ 第六百五十二条 漸積(アリユビヨン)ノ地ハ海又ハ舟ヲ泛フ可キ湖水又ハ潮ノ満干アル川ノ河岸ヲ所有シタル者ノ利益トス可シ(仏民法第五百五十七条) 第六百五十三条 仏民法第五百五十八条ニ同シ 第六百五十四条 仏民法第五百五十九条ニ同シ但シ河川ノ為メニ失ヒシ土地ハ三年ノ期限内ニ之ヲ訟求スルヲ要トス 第六百五十五条 種子、植附物及ヒ建築物ハ其土地ノ所有者ニ属ス可シ但シ第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ノ規則ハ格別ナリトス 第六百五十六条 種子、植附物及ヒ建築物ハ其土地ノ所有者ニ属ス可シ但シ第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ノ規則ハ格別ナリトス 第六百五十七条 仏民法第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ニ同シ(仏民法第五百五十三条) 第六百五十八条 仏民法第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ニ同シ(仏民法第五百五十三条) 第六百五十九条 仏民法第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ニ同シ(仏民法第五百五十三条) 第六百六十条 仏民法第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ニ同シ(仏民法第五百五十三条) 第六百六十一条 何人ヲ問ハス己レニ属セサル品物ヲ用ヒテ新ニ物ヲ造リタル時ハ其品物ノ代価ト時ニ因テハ必要ノ費用トヲ払ヒ其品物ヲ己レノ所有ト為スコトヲ得可シ(第五百七十条、差異) 第六百六十二条 一人ノ所為ニ因ルコト無ク新ニ物ヲ造リシ時ハ其物ノ所有者数人各々自己ニ属ス可キ価額ノ割合ヲ以テ其物ヲ共有ス可シ(仏民法第五百七十三条) 第六百六十三条 若シ数人ノ所有者ニ属スル物ヲ其中ノ一人ニテ使用シタル時ハ其物ヲ使用サレタル人ノ所有スル部分ニ応シテ各所有者ニ其物ヲ返還シ又ハ償ヲ為ス可シ 第六百六十四条 其物ヲ分派スルコトヲ得可キ時ハ其数人ノ所有者各自ニ其物ヲ分派ス可シ 第六百六十五条 所有権ハ第四篇第七巻ニ循ヒ期満得免ニ因テ得可シ(仏民法第二千二百十九条) 第六百六十六条 財産相続ニ因リ所有権ヲ移ス事ハ此篇ノ第十一巻及ヒ第十二巻ニ一定ノ規則アリ 第六百六十七条 有形動産ノ引渡ハ其動産ヲ引渡シ又ハ其動産ヲ入レ置キタル家屋ノ鑰ヲ渡スニ因テ之ヲ為了ス可シ○若シ動産ノ引渡ヲ受ク可キ者ノ既ニ他ノ名義ヲ以テ其動産ヲ所有シタル時ハ引渡ヲ為スニ及ハス(仏民法第千六百六条) 第六百六十八条 義務ヲ得可キ証書ヲ現ニ有シタル者ノ之ヲ使用スルモ其効ヲ生セサル証書及ヒ他ノ権利ニ管スル証書ハ公正ノ証書又ハ私ノ証書ニ因テ譲渡ス可シ○此譲渡ヲ為ス時ハ其旨ヲ義務者ニ申述シ又ハ義務者ノ承諾書ヲ送リシ時ヨリ其義務ヲ更改ス可シ○何人ニ限ラス現ニ証書ヲ有シタル者ノ得可キ権利ハ其譲渡ヲ為スニ及ハス(仏民法第千六百八十九条) 第六百六十九条 公債証書ノ譲渡ハ其規則ニ因テ之ヲ為シ又会社ノ規則ナキ時ハ商法ノ規則ニ因テ之ヲ為ス可シ 第六百七十条 右二箇条ノ規則ハ法律又ハ商業上ニ付テ執行スル慣例ニ抵触スルコト無シ 第六百七十一条 不動産ノ譲渡ハ公ケノ簿冊ニ謄記シテ之ヲ為ス可シ 第四巻 相隣スル土地ヲ所有スル者ノ間ノ権利及ヒ義務 第六百七十二条 仏民法第六百三十九条乃至第六百六十一条ニ同シ 第六百七十三条 仏民法第六百三十九条乃至第六百六十一条ニ同シ 第六百七十四条 仏民法第六百三十九条乃至第六百六十一条ニ同シ 第六百七十五条 仏民法第六百四十三条乃至第六百四十八条ニ同シ 第六百七十六条 仏民法第六百四十三条乃至第六百四十八条ニ同シ 第六百七十七条 仏民法第六百四十三条乃至第六百四十八条ニ同シ 第六百七十八条 仏民法第六百四十三条乃至第六百四十八条ニ同シ 第六百七十九条 仏民法第六百四十三条乃至第六百四十八条ニ同シ 第六百八十条 仏民法第六百四十三条乃至第六百四十八条ニ同シ 第六百八十一条 家屋、田野及ヒ庭園ヲ分界シタル墻壁ハ之ヲ双方ノ所有ニ属スル分界ノ墻壁ト看做ス可シ但シ之ニ反スル証書又ハ憑拠アル時ハ格別ナリトス 若シ家屋ニ高低アル時ハ其低キ家屋ノ棟上ニ至ル迄双方ノ所有ニ属スル分界ノ墻壁ト看做ス可シ 第六百八十二条 仏民法第六百五十四条追加 若シ家屋又ハ築山(テーラス)ヲ支持スル為メノ墻壁ノ一方ニ他ノ家屋又ハ造営ナキ時ハ双方ノ所有ニ属スル分界ノ墻壁ニ非サル憑拠ナリトス 第六百八十三条 仏民法第六百五十五条及ヒ第六百五十六条追加 又都府、都府ノ郭外(フォブール)又ハ村邑内ニ於テ家屋、庭園又ハ公園ヲ分界スル為メノ墻壁ニ管スル時ハ格別ナリトス 第六百八十四条 分界ノ墻壁ヲ所有スル双方ノ者ハ其墻壁ニ傍ヒテ物ヲ造作シ且ツ梁椽鉄鎹(アンクル)及ヒ其他鉄具又ハ木材ヲ鑿入スルコトヲ得可シ但シ其墻壁ヲ損フコト莫カラシメンカ為メ其厚サノ半ニ至ル迄ニ非サレハ穿ツコトヲ得ス(仏民法第六百五十七条) 第六百八十五条 仏民法第六百五十八条及ヒ第六百五十九条ニ同シ 第六百八十六条 双方ノ所有ニ属スル分界ノ墻壁ヲ所有スル者ハ己レニ属スル一方ニ承霤(グーチヱール)ヲ設ケ自宅又ハ公ケノ通路ニ其雨水ヲ流スコトヲ得可シ但シ之ヲ禁スル法律又ハ規則アル時ハ格別ナリトス 第六百八十七条 仏民法第六百六十条ニ同シ 第六百八十八条 墻壁ハ其所有者ノ承諾アルニ非サレハ双方ノ所有ニ属スル者ト為ス可カラス 第六百八十九条 仏民法第六百六十二条追加 新ニ造営ヲ為シテ隣人ノ権ヲ害スル時ハ其償ヲ為ス可シ但シ双方ノ所有ニ属スル分界ノ墻壁ヲ改良スルニ因リ生シタル損失ハ之ヲ償フニ及ハス 第六百九十条 仏民法第六百六十三条ノ始メニ同シ 第六百九十一条 格隣人ハ其分界ノ木製ノ囲繞ニ換フル為メ自費ヲ以テ墻壁ヲ築造スルコトヲ得可シ但シ木製ノ囲繞ヲ以テ墻壁ニ換フルコトヲ得ス 第六百九十二条 仏民法第六百七十五条追加 但シ隣人ノ自費ヲ以テ墻壁ヲ高ク為ス時ニハ其高ク為セシ墻壁ノ部分中ニ次ノ二箇条ニ記シタル方法ニ循ヒ自由ニ窓又ハ穴ヲ穿ツコトヲ得可シ 第六百九十三条 仏民法第六百七十六条乃至第六百八十条ニ同シ 第六百九十四条 仏民法第六百七十六条乃至第六百八十条ニ同シ 第六百九十五条 仏民法第六百七十六条乃至第六百八十条ニ同シ 第六百九十六条 仏民法第六百七十六条乃至第六百八十条ニ同シ 第六百九十七条 仏民法第六百七十六条乃至第六百八十条ニ同シ 第六百九十八条 第六百八十一条ヨリ第六百九十七条ニ保含シタル規則ハ家屋及ヒ庭園ノ分界トナル木製ノ囲繞ニ適用スルコトヲ得可シ 第六百九十九条 若シ家屋ヲ修繕スル為メ隣地ニ足場(ヱシヤフォダージュ)ヲ設ケ又ハ材料ヲ運搬スル為メ隣地ヲ通行セサルヲ得サル時ハ其隣地ノ所有者ハ償ヲ得テ此等ノコトヲ為スヲ許諾ス可キ者トス 第七百条 仏民法第六百八十一条ニ同シ 第七百一条 何人ニ限ラス他人ノ溝渠ニ自己ノ所有シタル土地ノ水又ハ穢物ヲ流スヲ得ス但シ之ヲ流スノ権利アル時ハ格別ナリトス 第七百二条 家屋、墻壁、板塀及ヒ其他ノ囲繞ノ年ヲ経タルニ因リ又ハ他ノ原由ニ因リ頽破ス可キ形状ニ至リ其隣地ノ危険ナル時又ハ其隣地ニ壊倒ス可キ時ハ其隣地ノ所有者ノ初メノ請求ニ応シ直ニ此等ノ物ヲ毀撒シテ更ニ建築シ又ハ修理スルヲ要トス(仏民法第千三百八十六条) 第七百三条 仏民法第六百七十四条 第七百四条 溜水、井、流水、厠㼚、溝渠及ヒ此等ニ類似ノ物ニシテ相隣スル双方ノ所有者ノ共通ニ属ス可キ物ハ双方ノ所有者ノ費用ヲ以テ之ヲ保持ス可シ 第七百五条 共通ノ厠㼚ヲ浚フコトハ双方ノ所有者相互ニ輪番ヲ以テ之ヲ為ス可シ 第七百六条 仏民法第六百六十六条乃至第六百六十九条ニ同シ 第七百七条 仏民法第六百六十六条乃至第六百六十九条ニ同シ 第七百八条 仏民法第六百六十六条乃至第六百六十九条ニ同シ 第七百九条 河岸ヲ所有スル双方ノ者ハ其河川ニ漁猟シ舟行シ又ハ自己ノ家畜ノ獣類ニ其水ヲ飲シメ或ハ自己ノ用ニ供センカ為メ其水ヲ汲ミ取ルコトヲ得可シ 第七百十条 仏民法第六百七十条及ヒ第六百七十三条ニ同シ 第七百十一条 相隣スル双方ノ所有者若シ従前ヨリ双方ニ属シタル生籬ヲ以テ所有地ノ分界ヲ画スル為メニ供シタル時其一方ノ者共通ノ費用ヲ以テ更ニ生籬ヲ植附ンコトヲ欲スルニ於テハ他ノ一方ノ者モ亦之ニ応ス可キ者トス 第七百十二条 若シ一方ノ所有地ノミノ囲繞トナル可キ時ハ其囲繞ヲ以テ双方ニ属スル者ト為ス可カラス 第七百十三条 仏民法第六百七十一条ニ同シ 第七百十四条 仏民法第六百七十二条追加 隣人ノ樹枝ヲ己レノ土地内ニ翳入セシメサランカ為メ一回ニ其樹枝ヲ伐ル可キ求メヲ為セシ時其隣人之ヲ伐ルコトヲ拒ム時ハ即チ之ヲ伐ルコトヲ得可シ 第七百十五条 仏民法第六百八十二条乃至第六百八十五条ニ同シ 第七百十六条 仏民法第六百八十二条乃至第六百八十五条ニ同シ 第七百十七条 仏民法第六百八十二条乃至第六百八十五条ニ同シ 第七百十八条 通行ノ権利ハ既ニ通行スルヲ要セサルニ至リシ時ニ非サレハ消滅ス可カラス而シテ期限ノ長短ヲ問ハス其権利ハ期満得免有ルコト無シ 第七百十九条 狭路(サンチエー)及ヒ数人ノ共通スル道路ニシテ且ツ公道ノ一端トナル可キ道路ハ其隣人共通ノ承諾アルニ非サレハ之ヲ滅尽スルコトヲ得ス 第七百二十条 舟艇ノ牽路、道路、堤防及ヒ公ケ又ハ共通ノ土工ニ管シテハ特別ノ規則アリ 第五巻 土地ノ義務 第一款 土地ノ義務ノ本義及ヒ諸種類 第七百二十一条 仏民法第六百三十七条追加 土地ノ義務ハ人ニ付キ之ヲ生スルコトヲ得ス(仏民法第六百八十六条) 第七百二十二条 土地ノ義務ハ総テ或事ヲ為シ或事ヲ為サヽルコトニ管ス 第七百二十三条 仏民法第六百三十八条ニ同シ 第七百二十四条 仏民法第六百八十八条及ヒ第六百八十九条ニ同シ 第七百二十五条 仏民法第六百八十八条及ヒ第六百八十九条ニ同シ 第七百二十六条 墻壁又ハ家屋ヲ改造スル時ハ其新造ノ墻壁又ハ家屋ニ付キ此地ヨリ彼地ニ対スル義務及ヒ彼地ヨリ此地ニ対スル義務ハ皆ナ以前ニ等シク継続ス可シ之ヲシテ前ヨリ重劇ナラシム可カラス然レトモ期満得免ノ権ヲ得シ後ニ其改造ヲ為ス時ハ格別ナリトス(仏民法第六百六十五条) 第七百二十七条 瞭望及ヒ窓ニ管スル土地ノ義務ヲ得可キ権利ヲ有スル者ハ己レノ欲スル所ニ窓又ハ穴ヲ穿明スルコトヲ得可シ但シ造営ヲ為セシ後チ又ハ既ニ権利ヲ行ヒシ後ハ引続キテ其窓等ノ数ヲ増加スルヲ得ス 窓ハ瞭望ニ管スルコト無ク専ラ光線ノミヲ延ク為メノ者トス 第七百二十八条 隣人ノ為メ家屋ヲ高ク造営スルコトノ禁止アル時ヲ除クノ外何人ニ限ラス己レノ欲スル高サニ造営スルコトヲ得可シ○若シ隣人ノ為メ家屋ヲ高ク造営スルコトノ禁止アル時ハ土地ノ義務ヲ得可キ隣地ノ所有者ハ証書ニ因テ禁シタル建築又ハ高造ヲ止メ或ハ除去セシムルコトヲ得可シ 第七百二十九条 水流ニ管シテ土地ノ義務ヲ得可キ権ハ全ク清水ノミニ管シ敢テ穢芥物ヲ流スノ権利ニ管スルコト無シ 第七百三十条 溝渠ニ管シテ土地ノ義務ヲ得可キ権トハ水及ヒ穢芥物ヲ其溝渠ニ流スコトヲ得可キ権ヲ云フ 第七百三十一条 他人ノ墻壁ニ梁椽又ハ鉄鎹ヲ鑿入スルノ権利ヲ有スル隣人ハ其梁椽又ハ鉄鎹ノ破損スル時之ヲ換フルコトヲ得可シ○然レトモ其数ヲ増加シ又ハ鑿入ス可キ場所ヲ変スルコトヲ得ス 第七百三十二条 隣地ノ河川ニ舟ヲ泛ヘテ通行スルノ権利ヲ有スル者ハ何レノ時ヲ問ハス其河川ヲシテ舟楫ヲ通スルコトヲ得可ク作ス為メニ必要ナル費用ヲ分担スルヲ要トス但シ通行ノ権利ヲ放棄スル時ハ格別ナリトス 第七百三十三条 「サンチヱー」狭路ノ意ニ管シテ土地ノ義務ヲ得可キ権利トハ徒歩ニテ他人ノ土地ヲ横キリ通行スルコトヲ得可キ権利ヲ云フ 「ウオワ」「サンチヱー」ノ大ナルヲ云フニ管シテ土地ノ義務ヲ得可キ権利トハ馬上ニテ通行シ且ツ家畜ノ獣類ヲ通行セシムルノ権利ヲ云フ 「シユマン」「ウオワ」ノ大ナルヲ云フニ管シテ土地ノ義務ヲ得可キ権利トハ馬車等ニテ通行スルコトヲ得可キ権利ヲ云フ 若シ「サンチヱー」、「ウオワ」、「シユマン」ノ幅土地ノ義務ノ証書ニ確定ナキ時ハ特別ノ規則又ハ地方ノ習慣ニ循ヒ之ヲ確定ス可シ 「ウオワ」ニ管スル土地ノ義務ハ当然ニ「サンチヱー」ニ管スル土地ノ義務ヲ保含シ又「サンチヱー」ニ管スル土地ノ義務ハ当然ニ「シユマン」ニ管スル土地ノ義務ヲ保含ス可シ 第七百三十四条 筧樋(アクワュク)ニ管シテ土地ノ義務ヲ得可キ権利トハ隣人ノ土地ヲ横キリ自己ノ土地ニ水ヲ引クコトヲ得可キ権利ヲ云フ 第七百三十五条 仏民法第六百九十七条乃至第七百条ニ同シ 第七百三十六条 仏民法第六百九十七条乃至第七百条ニ同シ 第七百三十七条 仏民法第六百九十七条乃至第七百条ニ同シ 第七百三十八条 仏民法第七百二条ニ同シ 第七百三十九条 仏民法第七百一条ニ同シ 第七百四十条 仏民法第六百九十六条ニ同シ 第七百四十一条 若シ土地ノ義務アル土地ヲ数人ノ所有者ニ分派スル時ハ土地ノ義務ヲ得可キ権利ヲ行フコトノ必要ナル時迄各所有者ノ分派セシ部分ニ応シテ土地ノ義務アリトス 第二款 土地ノ義務ヲ定ムル事 第七百四十二条 土地ノ義務ハ証書又ハ期満得免ニ因テ定ム可キ者トス 第七百四十三条 土地ノ義務ヲ設ク可キ証書ハ之カ為メニ備ヘタル公ケノ簿冊ニ謄記ス可シ 第七百四十四条 仏民法第六百九十条ニ同シ 第七百四十五条 高阜ノ地ノ水源ヲ使用シタル低下ノ地ノ所有者ハ自己ノ土地内ニ水ノ流下スルヲ便易ナラシムル為メ人目ニ触ル可キ造営土工ヲ為シ終リシ時ヨリ期満得免ノ権ヲ得可シ(仏民法第六百四十二条) 第七百四十六条 仏民法第六百九十一条ニ同シ但シ第二項ノ「然レトモ」ヨリ以下ヲ除ク 第七百四十七条 仏民法第六百九十二条乃至第六百九十四条ニ同シ 第七百四十八条 仏民法第六百九十二条乃至第六百九十四条ニ同シ 第七百四十九条 数人ニテ土地ヲ所有スルニ方リ其共通ノ土地ノ利益トナル可キ時ニ於テハ所有者中一人ノ所為ニテ他ノ所有者ニ通知スルコト無ク土地ノ義務ヲ受クルコトヲ得可シ 第三款 土地ノ義務ノ終ル方法 第七百五十条 仏民法第七百三条ニ同シ 第七百五十一条 土地ノ義務ヲ行ヒ或ハ受ク可キ土地ノ滅尽又ハ破壊セサル間ハ其土地ノ位地ニ循ヒ其義務ヲ継続ス可シ 第七百五十二条 仏民法第七百四条及ヒ第七百五条ニ同シ 第七百五十三条 仏民法第七百四条及ヒ第七百五条ニ同シ 第七百五十四条 仏民法第七百六条追加 三十年ノ期限ハ人目ニ触レ又ハ土地ノ義務ニ反スル所為アル時ヨリ起算ス可シ(仏民法第七百七条) 第七百五十五条 然レトモ若シ義務ヲ得可キ土地ノ其義務ヲ得ルコト能ハサル形状ト成リシニ因リ再ヒ其土地ヲシテ義務ヲ得可キ形状ニ復スル時ハ則チ其時ヨリ起算シ三十箇年ヲ経テ期満得免ノ権ヲ得可シ 第七百五十六条 仏民法第七百八条及ヒ第七百九条ニ同シ 第七百五十七条 仏民法第七百八条及ヒ第七百九条ニ同シ 第六巻 土地ノ表面使用ノ権 第七百五十八条 土地ノ表面使用ノ権トハ他人ニ属スル土地ニ家屋、土工及ヒ植附物ヲ有スルニ付テノ対物権トス 第七百五十九条 土地ノ表面使用ノ権ヲ有スル者ハ其権ヲ売却シ又ハ書入質ト為スコトヲ得可シ○又其権ノ目的トナル財産ヲ質入ト為スコトヲ得可シ但シ其権ノ継続スル時迄トス 第七百六十条 土地ノ表面使用ノ権ヲ設クル証書ハ之カ為メニ備ヘタル公ケノ簿冊ニ謄記ス可シ 第七百六十一条 土地ノ表面使用ノ権ヲ有スル者ノ其権ヲ得ル為メニ代価ヲ払ヒ或ハ躬カラ家屋ヲ建築シ又ハ植附物及ヒ土工ヲ為シ或ハ建築物又ハ植附物ナキ時ノ形状ニテ其土地ヲ返還ス可キ時ハ其権ノ継続スル時間其土地ノ所有者ハ其権ヲ害シテ家屋及ヒ土工ヲ破却セシメ又ハ植附物ヲ除去セシムルヲ得ス 第七百六十二条 土地ノ表面使用ノ権ヲ有シタル期限ノ経過スル時ハ其土地ノ所有者ハ該権ヲ有シタル者ニ家屋、土工及ヒ植附物ノ代価ヲ払ヒ此等ノ物ヲ己レノ所有ト為スコトヲ得可シ但シ該権ヲ有スル者ハ土地ノ所有者ヨリ代償ヲ得ル迄其家屋等ヲ引留ムルノ権アリ 第七百六十三条 若シ既ニ家屋、土工及ヒ植附物アル土地ノ表面ヲ使用スルノ権ヲ有シタル者其家屋等ノ代価ヲ払ハサルニ於テハ該権ヲ行フ可キ期限ノ経過セシ時土地ノ所有者ハ毫モ償ヲ為スコト無ク其土地ヲ取戻ス可シ 第七百六十四条 契約ニ触ルヽコト無キ間ハ此巻ノ規則ニ依遵ス可シ 第七百六十五条 土地ノ表面使用ノ権ハ左ノ諸件ニ因テ消滅ス可シ 第一 混同(コンフェジョン)権利ヲ有スル地ト義務ヲ行フ可キ地ト同人ノ所有者トナリ権利ト義務ト相混同スルヲ云フ 第二 土地ノ滅尽 第三 三十年ノ期満得免 第四 土地ノ表面使用ノ権ヲ行フ可キ期限ノ経過 第七百六十六条 土地ノ表面使用ノ権ヲ消滅ス可キ特定ノ契約ナキ時ハ其土地ノ所有者ハ三十年ヲ経テ後チ其権ヲ有スル者ニ予メ一年前ヨリ其権ヲ取戻ス可キ旨ヲ通報シテ其権ヲ行フコトヲ停止ス可シ 第七巻 長期ノ賃貸(アンフィテヲス) 第七百六十七条 長期ノ賃貸トハ他人ニ属シタル不動産ヲ当然ニ使用スルコトヲ得可キ対物権ヲ云フ此権利ヲ得ルニハ其不動産ヲ所有シタル者ニ対シ償ヲナス為メ金額又ハ天然ノ産物ヲ以テ毎歳借料ヲ出ス可キ約定ヲ為ス可シ 此権ヲ定ム可キ証書ハ之カ為メ備ヘタル公ケノ簿冊ノ謄記ス可シ 第七百六十八条 長期ノ賃借ヲ為シタル者ハ土地ノ所有者ニ属スル諸権利ヲ行フコトヲ得可シ但シ其土地ノ価額ヲ減ス可キ事ヲ為スヲ得ス 又長期ノ賃借ヲ為ス者ハ石類、石油、泥炭(ツールブ)、陶土(アルシル)及ヒ之ニ類似ノ物ニシテ土地ノ部分ヲ為ス物ヲ鑿取スルコトヲ得ス但シ長期ノ賃借ノ権利ヲ開始スル時既ニ開鑿シタル物ハ格別ナリトス 第七百六十九条 賃借主ハ枯木又ハ賃借ノ権アル間ニ偶生ノ事ニ因リ倒レタル木ヲ己レノ所得ト為スヲ得可シト雖モ亦其木ノ代リニ他ノ木ヲ植附ルノ義務アリ又自己ニテ植附タル物ハ随意ニ之ヲ取扱フコトヲ得可シ 第七百七十条 賃貸シタル不動産ノ所有者ハ毫モ其不動産ノ修繕等ニ管係スルコト無シ 賃借主ハ其賃借シタル不動産ヲ保持シ且ツ尋常ノ修繕ヲ為スノ義務アリ 又建築ヲ為シ、荒野ヲ墾耕シ又ハ植附物ヲ為シテ土地ヲ改良スルコトヲ得可シ 第七百七十一条 賃借主ハ其賃借ノ権利ヲ売却シ又ハ書入質ト為スコトヲ得可ク又賃貸ノ権利ノ継続スル間ハ賃借ノ土地ヲ質入ト為スコトヲ得可シ 第七百七十二条 賃借ノ権利ヲ行フ可キ期限ノ経過スルニ於テハ特別ノ契約ノ因ルコト無ク且ツ躬カラ為シタル建築物又ハ植附物ヲ除去スルコトヲ得可シト雖モ之ヲ除去スル時土地ニ損害ヲ加フルニ於テハ其修理ヲ為ス可シ 又土地ノ所有者ハ賃借主ヨリ義務ノ弁償ヲ得ル迄建築物又ハ植附物ヲ引留ムルコトヲ得可シ 第七百七十三条 賃借主ハ家屋、土工、建築物及ヒ自分ニテ植附タル物ニシテ賃借ノ権ヲ行フ可キ期限ノ経過セシ時現ニ其土地ニ在ル植附物等ノ代価ヲ強テ其土地ノ所有者ニ払ハシムルヲ得ス 第七百七十四条 賃借主ハ土地ニ付テ定マリタル通常、非常、毎歳又ハ一回ノミ払フ可キ税ヲ担任ス可シ 第七百七十五条 借賃ヲ払フ可キ義務ハ分ツ可カラサル義務トス故ニ賃貸セシ土地ノ各部ハ借賃ノ全部ノ抵当トス 第七百七十六条 賃借主ハ仮令ヒ其賃借ノ権ヲ減殺シ或ハ全ク之ヲ失ヒシ時ト雖モ借賃ノ釈放ヲ受クルノ権ナシ 然レトモ若シ五箇年間継続シテ賃借ノ権ヲ全ク失ヒタル時ハ其失ヒタル時間ノ借賃ノ釈放ヲ受ク可シ 第七百七十七条 長期ノ賃借ノ権ヲ変更スル時ハ又ハ共通ノ賃貸ノ土地ヲ分派スル時ハ尋常ニ超過スル借賃ヲ払フニ及ハス 第七百七十八条 若シ賃借主ノ怠リニ因リ又ハ保持セサルニ因リ土地ニ損害ヲ生シ或ハ期満得免ノ権ニ因リ其土地ニ管スル権利ヲ他人ニ取ラレシ時ハ賃借ノ権ヲ行フ可キ期限ノ経過セシ際ニ於テ其土地ノ所有者ハ其賃借主ニ対シテ損害ノ償ヲ受ク可キ訴訟ヲ為スノ権ヲ有ス可シ 第七百七十九条 賃借ノ権ヲ行フ可キ期限ノ既ニ経過セシニ因リ其賃借ヲ為ス可キ権ノ消滅スル時ハ黙許ヲ以テ其権ヲ更改スルコトヲ得ス但シ其権ヲ取消ス可キ旨ヲ申述セサル間ハ継続シテ存在ス可シ 第七百八十条 賃借主ノ著シク不動産ヲ損害シ又ハ賃借ノ権ヲ妄用スル時ハ其賃借ノ権ヲ失ヒ且ツ損害ノ償ヲ為ス可シ○五箇年間継続シテ借料ヲ払ハス而シテ六週間以前ヨリ怠リノ咎アル(ミーズ、アン、ドシュール)時モ亦其権ヲ失フ可シ 第七百八十一条 賃借主ハ物件ヲ損害シ又ハ自己ノ権利ヲ妄用セシ時ト雖モ其物件ヲ従来ノ形状ニ復シ且ツ後来ノ為メ担保ヲ為スニ於テハ賃借ノ権ヲ維持スルヲ得可シ 第七百八十二条 契約ヲ結フ双方ノ者ノ契約ニ牴触セサル間ハ此巻ノ規則ニ循フ可シ 第七百八十三条 賃借ノ権ハ土地ノ表面使用ノ権ニ等シキ方法ノ因テ消滅ス可シ(第七百六十五条及ヒ第七百六十六条) 第八巻 年金又ハ土地ノ貸税(ロドワンズ、フヲンシヱール) 第七百八十四条 年金又ハ土地ノ貸税トハ不動産ノ所有者其所有権ヲ他人ニ移ス時金額又ハ天然ノ産物ヲ以テ得可キ旨ヲ定ムル年税(プレスターシヨン)又ハ他人ノ不動産ニ付キ得可キ年税ヲ云フ○右ニ管スル証書ハ公ケノ簿冊ノ謄記ス可シ 第七百八十五条 年金又ハ土地ノ貸税ヲ受ク可キ旨ヲ定メ而シテ財産ノ所有権ヲ他人ニ転移セシ元所有者ハ仮令ヒ年税ノ弁償ヲ得サル時ト雖モ其財産ヲ取戻スノ権利ヲ有スルコト無シ 第七百八十六条 年金又ハ土地ノ貸税ノ抵当タル不動産ノ所有者ハ一人ニテ義務ヲ行フニ及ハス○年金又ハ土地ノ貸税ハ全ク不動産ニ附着スル者ナレハ其不動産ヲ分派スル時ニ於テハ其分派ヲ受ケシ各人ヨリ年金又ハ土地ノ貸税ヲ担任ス可キ者トス 第七百八十七条 若シ利益ノ分量ニ応シテ土地ノ貸税ヲ出ス可キ時ハ毎歳収穫ノ後チ其年税ヲ出ス可シ 第七百八十八条 利益ノ十分一(ヂーム)ノ税ニ付キ又ハ其分量ニ応シテ税ヲ出ス可キ入額ニ付キ特別ノ契約ナキ時ハ其土地ノ習慣ニ循ヒ天然ノ産物ノ十分一ヲ以テ年税ト為シ又之ニ換フルニ利益ノ十分一ノ金額ヲ以テ年税ト為ス可シ 第七百八十九条 土地ヲ無耕地(アンジヤセール)トシ或ハ貸税ヲ出サスシテ利益ヲ得可キ為メニ用ヒ或ハ秣草ニ用フル為メ麦ヲ作リシ時ハ毫モ年税ヲ出スニ及ハス 第七百九十条 土地ヲ無耕地(アンジヤセール)トシ或ハ貸税ヲ出サスシテ利益ヲ得可キ為メニ用ヒ或ハ秣草ニ用フル為メ麦ヲ作リシ時ハ毫モ年税ヲ出スニ及ハス 第七百九十一条 年税ヲ出ス可キ者ハ収穫ノ時其産物ヲ一様ノ層サニ積ミテ排列スルノ義務アリ○其産物ハ之ヲ収穫セシ侭ニテ毫モ減却スルコト無ク之ヲ積ミ置ク可シ 第七百九十二条 年税ヲ出ス可キ者ハ其産物ヲ積ミタル侭ニテ二十四時間自己ノ田野ニ置ク可シ 第七百九十三条 前条ノ時間ニ権利者ハ其積ミタル産物ヲ己レノ欲スル所ヨリ取去ルコトヲ得可ク但シ之ヲ排列シタル順序ニ従テ引去ル可シ 第七百九十四条 若シ権利者ノ其積ミタル産物中己レノ欲スル所ノ物ヲ示サヽルニ於テハ年税ヲ出ス可キ者其権利者ニ渡ス可キ部分ヲ確定シ之ヲ其侭ニテ残シ置キ権利者ノ随意ニ委ス可キノ権利アリ 第七百九十五条 若シ年税ヲ出ス可キ者其義務ヲ尽スコト無ク其産物ヲ取去ルニ於テハ其利益ニ応シテ払フ可キ年税ニ二倍ノ価額ヲ払フ可シ 第七百九十六条 若シ獣類ノ頭数又ハ其蕃殖ノ分量ニ応シテ年税ヲ出ス可キ時ハ之ヲ出ス可キ者ハ其権利者ニ渡ス可キ部分ノ獣類ヲ引渡シ又ハ其代価ヲ払フコトヲ得可シ但シ年税ヲ出ス可キ期限ヨリ六週間ヲ過クル時ハ一層貴キ代価ヲ払フ可キ者トス 右ノ如キ年税ハ常ニ特別ノ契約ヲ以テ之ヲ定ム可ク而シテ十分一ノ税ト同視ス可キ者ニ非ス 十分一ノ税ハ最良ノ産物又ハ最悪ノ産物ヲ以テ払フ可カラサル方法ヲ以テ之ヲ出ス可シ 第七百九十七条 第七百八十七条以下次条ニ記シタル年金ハ之ヲ要求スルコトヲ得可キ期限ニ至リシ日ヨリ起算シ一年ノ期限内ニ期満得免ト成ル可シ 第七百九十八条 不動産ノ所有権ヲ他人ニ移シテ年金又ハ土地ノ年税ヲ受ク可キ者ハ其不動産ヲ賠償スルコトヲ得可シ(仏民法第千九百十一条)○又契約ヲ結フ双方ノ者ハ賠償ノ契約又ハ其条件ヲ規定スルコトヲ得可シ 双方ノ者ハ或ル期限間即チ三十年ヲ経過セサル期限内ニ非サレハ年金ノ元資ヲ賠償スルコト能ハサル旨ヲ契約スルコトヲ得可シ但シ之ニ反スル契約ハ其効ナカル可シ(仏民法第五百三十条) 第七百九十九条 若シ契約書中ニ土地ノ年税等ノ元資賠償ノ代価ヲ確定シタルコト無ク且ツ契約ヲ結ヒタル双方ノ者ノ相互ニ其代価ヲ確定シ能ハサル時ハ左ノ規則ニ依遵ス可シ 金額ヲ以テ払フ可キ土地ノ年税ノ元資賠償スルニハ其年税ノ二十倍ノ価額ヲ払フ可シ○金額ヲ以テ払ハサル年税ノ元資ノ代価ハ其年税ノ最後ノ十箇年平均相場ニ二十倍ノ者トス 第八百条 若シ最後ノ十五箇年間土地ニ入額ヲ生セサル時ハ裁判官其賠償ノ代価ヲ確定ス可シ 第八百一条 土地ノ年税ヲ受ク可キ権利ハ左ノ諸件ニ因テ失フヘシ 第一 混同 第二 契約 第三 賠償 第四 十五年間権利ヲ行ハサル事 第五 土地ノ滅尽 第八百二条 此巻ノ規則ハ後来ニ定ム可キ土地ノ年税等ニ管スル時ノミ適用スルコトヲ得可シ 第九巻 入額所得ノ権 第一款 入額所得権ノ本義及ヒ之ヲ得可キ方法 第八百三条 仏民法第五百七十八条ニ同シ 第八百四条 仏民法第五百八十七条ニ同シ 第八百五条 入額所得権ハ一人又ハ定限アル数人ノ相連合シ又ハ相連続シテ之ヲ行フ為メニ設クルコトヲ得可シ 最初入額所得権ヲ得シ者ノ其権利ヲ開始セシ時存在シタル人ニ非サレハ相連続シテ入額所得権ヲ行フコトヲ得ス 第八百六条 仏民法第五百七十九条ニ同シ 第八百七条 不動産ニ付テノ入額所得権ノ証書ハ之カ為メニ備ヘタル公ケノ簿冊ニ謄記ス可シ 動産ニ付テ入額所得権ヲ得ルニハ其動産ノ引渡ヲ以テ対物権ヲ得可キ者トス 第二款 入額ヲ所得ト為ス者ノ権 第八百八条 仏民法第五百八十二条ニ同シ 第八百九条 仏民法第五百八十五条ニ同シ 第八百十条 仏民法第五百八十六条ノ始ニ同シ 第八百十一条 仏民法第五百八十八条追加 若シ畢生間ノ年金ノ前払ヒヲ為スヲ得可キ時ハ此年金ニ付キ入額所得ノ権ヲ得タル者ハ其入額ヲ所得ト為ス期限中ニ得可キ入額ノ全部ヲ所得ト為スノ権アリ 第八百十二条 仏民法第五百八十九条ニ同シ 第八百十三条 仏民法第五百九十九条第一項ニ同シ 第八百十四条 仏民法第五百九十一条及ヒ第五百九十二条ニ同シ 第八百十五条 仏民法第五百九十一条及ヒ第五百九十二条ニ同シ 第八百十六条 仏民法第五百九十三条追加 土地ノ入額ヲ所得ト為ス者ハ其土地ノ木ヲ伐リテ薪木ニ用フルノ権無シト雖モ其土地ノ習慣ト所有者ノ定則ニ循ヒ毎歳又ハ時々生スル物ヲ採収スルコトヲ得可シ 第八百十七条 仏民法第五百九十条第二項ニ同シ 第八百十八条 仏民法第五百九十四条ニ同シ 第八百十九条 入額ヲ所得ト為スノ権ヲ有スル者ハ其土地ノ習慣ト所有者ノ定則トニ循ヒ且ツ物権ノ用法ヲ変更シテ所有者ニ損害ヲ与フルカ如キコト無ク其権ヲ自カラ保有シ又ハ償ヲ得テ他人ニ貸与シ又ハ其権ヲ売払ヒ又ハ償ヲ得スシテ他人ニ譲与スルコトヲ得可ク又若シ其土地ノ習慣ナキ時ハ家屋ハ四箇年土地ハ七箇年ニ超過セサル期限ノ間貸与ス可シ(仏民法第五百九十五条、第千四百二十九条及ヒ第千四百三十条) 第八百二十条 土地又ハ家屋ノ入額ヲ所得ト為スノ権ヲ行ヒ始ムル二年前ノ其家屋又ハ土地ヲ借受ク可キ約定ヲ為シ若シ其入額ヲ所得ト為スノ権ヲ行フヲ得可キ期限ノ二年間ニテ終ル可キ時ハ所有者ノ求メニ因テ其約定ヲ取消スコトヲ得可シ(仏民法第五百九十九条、差異) 第八百二十一条 仏民法第五百九十六条及ヒ第五百九十七条ニ同シ 第八百二十二条 仏民法第五百九十八条ニ同シ但シ該条第一項「然レトモ官許」云々以下ヲ除ク 第八百二十三条 仏民法第五百九十八条ニ同シ但シ該条第一項「然レトモ官許」云々以下ヲ除ク 第八百二十四条 土地ノ入額ヲ所得ト為ス者ハ其権ヲ有スル時間ニ其土地ヨリ他人ノ発見セシ財貨ヲ己レノ益ト為スノ権ナシ(仏民法第五百九十八条第二項) 若シ入額ヲ所得ト為ス者自カラ其財貨ヲ発見スル時ハ第六百四十二条ニ循ヒ己レニ受ク可キ部分ヲ請求スルノ権アリ 第八百二十五条 仏民法第五百九十九条第一項ニ同シ 第八百二十六条 仏民法第五百九十九条第二項追加 又物件ヲ良好ニ為シ其価ノ増加セシト否トハ物件ニ損害ヲ加ヘタルニ因リ生セシ損失ヲ算当スル時ニ確定ス可シ 第八百二十七条 仏民法第五百九十九条第三項ニ同シ 第八百二十八条 入額ヲ所得ト為ス者ハ法律上ニ於テ所有者ノ行フ可キ諸対物権ヲ行フコトヲ得可シ 第三款 入額ヲ所得ト為ス者ノ義務 第八百二十九条 仏民法第六百条追加 入額ヲ所得ト為ス者ハ其権ヲ行フ可キ期限ノ経過セシ時物件ヲ其形状ノ侭ニテ還附ス可シ但シ第八百二十六条、第八百二十七条ノ規則及ヒ所有者ニ損害ヲ加ヘシニ因リ其償ヲ為ス可キ事ハ格別ナリトス 第八百三十条 仏民法第六百条追加 入額所得ノ権ヲ得ルノ証書ヲ記スト雖モ動産ノ目録及ヒ不動産ノ模様書ヲ記ス可キ義務ヲ免カルヽコトヲ得ス 此目録及ヒ模様書ハ所有者ノ面前ニ於テ私ニ之ヲ記スルヲ得可シ 第八百三十一条 入額ヲ所得ト為ス者ハ家族ノ良父(ボンベールト、フアミーユ)ノ如ク物件ヲ保有スルノ保証ヲ立ツ可シ(仏民法第六百一条) 使用スルニ従ヒ耗尽ス可キ物件ニ入額ヲ所得ト為ス者モ亦第八百四条ニ規定シタルカ如ク其物件ノ返還ヲ安全ナラシムル為メ保証ヲ立ツ可シ 第八百三十二条 入額ヲ所得ト為ス者ノ其権ヲ得可キ証書ヲ記スル時ハ前条ノ保証ヲ立ツルニ及ハス○自余ハ仏民法第六百一条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 他人ノ支配ス可キ物件ノ入額ヲ所得ト為ス者モ亦保証ヲ立ツルニ及ハス但シ其支配人ハ第八百三十六条ノ規則ニ依遵ス可シ 第八百三十三条 若シ入額ヲ所得ト為ス者保証ヲ立テサルニ於テハ所有者ハ自カラ保証ヲ立テ其入額所得ノ権ニ属スル財産ヲ支配スル権利アリト雖モ若シ保証ヲ立ツルコト能ハサル時ハ其財産ヲ賃貸シ又ハ他人ニ託シテ支配セシム可シ○自余ハ仏民法第六百二条ニ同シ 第八百三十四条 若シ入額所得ノ権ニ管スル物件ノ一部又ハ全部動産ニシテ之ヲ使用スルニ従ヒ減却ス可キ時ハ入額ヲ所得ト為ス者ノ仮令ヒ保証ヲ立ツルコト能ハスト雖モ其物件ノ入額ヲ所得ト為スノ権ヲ失フコト無シ但シ其入額ヲ所得ト為ス者ハ保証ヲ立ツルコト能ハサル誓ヲ為シ且ツ其権ヲ行フヲ得可キ期限ヲ経過セシ時其物件ノ代リヲ償フ可キ旨ヲ契約ス可シ 又所有者ハ入額ヲ所得ト為ス者ヲシテ其使用ニ必要ナル財産ノ部分ノミヲ残シ置キ其残余ヲ売却セシムルコトヲ得可ク而シテ其代価ハ前条ニ原ツキ之ヲ使用ス可シ 第八百三十五条 仏民法第六百四条ニ同シ 第八百三十六条 入額所得ノ権ニ属スル財産ヲ支配ス可キ任ヲ受クル者ハ其支配ヲ始ムル前ニ充分ノ保証ヲ立ツルヲ要トス而シテ其保証ナキ時ハ当然支配ヲ止ム可シ 第八百三十七条 財産ノ支配人ハ入額ヲ所得ト為ス者ニ毎歳計算ノ報告ヲ為シ且ツ過剰金ヲ引渡ス可シ 財産ノ支配人其支配ヲ止ムル時ハ所有者及ヒ入額ヲ所得ト為ス者ニ計算ノ報告ヲ為ス可シ 所有者ハ第八百二十一条第一項ニ記載シタルカ如ク財産ヲ支配シ且ツ前項ニ等シキ方法ヲ以テ入額ヲ所得ト為ス者ニ計算ノ報告ヲ為ス可シ 第八百三十八条 財産ヲ支配スル者ノ職ハ後見人ニ等シキ原由ヲ以テ之ヲ解ク可シ 第八百三十九条 若シ或ル原由ニ因リ財産ノ支配ヲ止ムル時ハ入額ヲ所得ト為ス者其権ヲ復ス可シ 第八百四十条 仏民法第六百五条乃至第六百九条ニ同シ 第八百四十一条 仏民法第六百五条乃至第六百九条ニ同シ 第八百四十二条 仏民法第六百五条乃至第六百九条ニ同シ 第八百四十三条 仏民法第六百五条乃至第六百九条ニ同シ 第八百四十四条 仏民法第六百五条乃至第六百九条ニ同シ 第八百四十五条 仏民法第六百十二条ニ同シ 第八百四十六条 仏民法第六百十一条ニ同シ 第八百四十七条 仏民法第六百十条ニ同シ 第八百四十八条 仏民法第六百十三条追加 若シ所有者入額ヲ所得ト為ス者ト共ニ訴訟ニ管係スル時ハ裁判官ノ定ムル権利即チ双方相互ニ得可キ権利ノ割合ヲ以テ訴訟入費ヲ分担ス可シ 第八百四十九条 仏民法第六百十四条ニ同シ 第八百五十条 財産ヲ支配スル者其財産ヲ支配スル時ハ其所有者及ヒ入額ヲ所得ト為ス者ノ権利ヲ保守スルノ義務アリ而シテ若シ其義務ヲ尽サヽルニ於テハ損害ノ償ヲ為サヽルヲ得ス 財産ヲ支配スル者ハ其所有者又ハ入額ヲ所得ト為ス者ノ許諾ヲ得ルニ非サレハ其名義ヲ以テ訴訟ノ原告又ハ被告ト為ルヲ得ス 第八百五十一条 仏民法第六百十六条ニ同シ 第八百五十二条 獣群ニ付キ入額所得ノ権ヲ得ルコト無ク唯々一頭又ハ数頭ノ獣ニ付キ入額所得ノ権ヲ得タル後チ其者ノ過失ニ非スシテ其獣ノ斃ルヽ時ハ其者ヨリ其所有者ニ其皮又ハ皮ノ価ヲ還与シ其獣ニ代ヘ他ノ獣ヲ還与シ又ハ其価ヲ償フニ及ハス(仏民法第六百十五条) 第八百五十三条 船舶ニ付キ入額ヲ所得ト為ス者ノ外国ニ旅行スル時ハ必ス保証ヲ立ツ可シ若シ其保証ヲ等閑ニ附スルニ於テハ其所有者ノ損失ノ償ヲ為サヽルヲ得ス 第四款 入額ヲ所得ト為ス権ノ終ル方法 第八百五十四条 仏民法第六百十七条ニ同シ 第八百五十五条 数人ノ利益ノ為メニ設ケタル入額所得ノ権ハ最後ニ生存シタル者ノ死去スル時ニ非サレハ終ル可カラス 団結(コール、モラル)ニ与ヘタル入額所得ノ権ハ其団結ノ解散スル時滅尽ス可シ 第八百五十六条 仏民法第六百二十条追加 但シ血属親ノ法ニ適シテ入額所得ノ権ヲ得ル事ニ管シ此民法第一篇第十五巻ニ設ケタル規則ハ格別ナリトス 第八百五十七条 団結ニ与ヘタル入額所得ノ権ハ其期限三十年ヨリ多カラサル可シ(仏民法第六百十九条) 第八百五十八条 仏民法第六百二十三条追加 入額所得ノ権ハ仮令ヒ土地ノ水中ニ没スル時ト雖モ消滅スルコト無キ者タレハ其入額ヲ所得ト為ス者ハ天然又ハ人工ヲ以テ其土地ヲ乾スニ於テ其権ヲ保存ス可シ但シ第六百四十九条ノ規則ハ格別ナリトス 第八百五十九条 仏民法第六百二十四条追加 頽壊シタル家屋ヲ再ヒ建築シ又ハ其土地内ニ在ル他ノ家屋ヲ修理スル為メニハ其土地及ヒ屋材ニ付キ入額ヲ得ルノ権アリ 第八百六十条 船舶ノ入額ヲ所得ト為スノ権ハ其船舶ノ修理ヲ加フルコト能ハサル形状ニ至リシ時消滅ス可シ 船舶ノ入額ヲ所得ト為ス者ハ破壊セシ其船舶ノ材具ヲ享有スルノ権ナシ 第八百六十一条 年金、権利又ハ義務ニ付キ入額ヲ所得ト為スノ権ハ仮令ヒ其元資ヲ弁償スト雖モ滅尽スルコト無シ 入額ヲ所得ト為ス者ハ其元資ヲ己レノ利益ノ為メニ用フ可キ求メヲ為スコトヲ得可シ 第八百六十二条 仏民法第六百十八条追加 裁判官ハ第三ノ人ヲ以テ財産ヲ支配ス可キ旨ヲ言渡スコトヲ得可シ 第八百六十三条 仏民法第六百十八条追加 裁判官ハ第三ノ人ヲ以テ財産ヲ支配ス可キ旨ヲ言渡スコトヲ得可シ 第八百六十四条 入額所得ノ権ノ消滅スル時ト雖モ第八百十九条ニ循ヒ約定シタル賃貸ハ停止スルコト無シ 第十巻 受用(ユサージュ)ノ権及ヒ居住(アビツターション)ノ権 第八百六十五条 仏民法第六百二十五条及ヒ第六百二十六条ニ同シ 第八百六十六条 仏民法第六百二十五条及ヒ第六百二十六条ニ同シ 第八百六十七条 仏民法第六百二十八条及ヒ第六百二十九条ニ同シ 第八百六十八条 仏民法第六百三十条第一項ニ同シ 第八百六十九条 度量ス可キ物ハ受用ノ権ノ目的ト為スコトヲ得ス○然レトモ若シ此権ヲ与フル時ハ入額所得ノ権ト同一ニ看做ス可シ 第八百七十条 仏民法第六百三十一条ニ同シ 第八百七十一条 獣類ヲ受用スルノ権利ヲ有スル者ハ其獣類ヲ使用シ又ハ其乳汁ヲ絞リ又ハ自己ノ用ニ必要ナル肥料ヲ取ルノ権ヲ有スルノミトス 第八百七十二条 土地ヲ受用スルノ権利ヲ有スル者ハ其土地内ニテ獣猟又ハ漁猟ヲ為スノ権無シト雖モ土地ノ義務ヲ得可キ権ヲ有ス可シ 第八百七十三条 仏民法第六百三十二条及ヒ第六百三十三条追加 居住ノ権ト家屋受用ノ権トハ相異ナルコト無シ 第八百七十四条 仏民法第六百三十四条及ヒ第六百三十五条ニ同シ 第八百七十五条 仏民法第六百三十四条及ヒ第六百三十五条ニ同シ 第八百七十六条 樹木又ハ植附物ヲ受用スル権ヲ有スル者ハ枯木ヲ所得ト為シ又ハ自己及ヒ其家族ノ用ニ必要ナル木ヲ截伐スルノ権ナシ 第十一巻 遺嘱ナキ(アブ、インテスター)財産相続 第一款 総則 第八百七十七条 財産相続ハ人ノ死去ニ因テ開発ス可シ 第八百七十八条 若シ互ニ財産相続ヲ為ス可キ者数人同日ニ又ハ同一ノ事ニテ死去シ其中何レノ者先ニ死去セシヤヲ知ルヲ得サル時ハ総テ同時ニ死去セシ者ト思料シ其中ノ一人ヨリ他ノ一人ノ利益ノ為メ財産相続ノ権ヲ移シタル者ト為ス可カラス(仏民法第七百二十条乃至第七百二十二条、差異) 第八百七十九条 法律上ニテ財産相続ヲ為スコトヲ得可キ者ハ左ノ如シ 第一 卑属親、尊属親又ハ次ノ数箇条ニ記載セル順序中ニ在ル嫡出及ヒ私生ノ傍系親 第二 卑属親、尊属親又ハ傍系ノ親ナキ時ハ夫婦中ノ生存シタル者又血属親及ヒ夫婦中生存シタル者ナキ時ハ其財産ヲ官署ノ徴収ス可シ但シ死去セシ者ノ負債アル時ハ其財産ノ代価ヲ以テ償フコトヲ得可キ価額ニ至ル迄官署ヨリ其負債ヲ償ハサルヲ得ス(仏民法第七百二十三条) 第八百八十条 仏民法第七百二十四条第一項ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 財産相続人タルノ身分ニ付キ紛議ヲ生スル時ハ裁判官ヨリ仮リニ其贈遺ノ財産ヲ支配ス可キ者ヲ撰任ス可シ 財産相続人タルノ身分ニ付キ訴訟ヲ為ス者ハ裁判上ニテ官署ニ其財産ノ保有権ヲ移シ或ハ其財産ヲ封印シ又ハ其相続スル財産ノ価ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権ヲ以テ財産相続ヲ為ス事ノ為メニ規定シタル方式ニ循ヒ其財産ノ目録ヲ記ス可ク但シ此等ノ事ヲ為サヽルニ於テハ損害ノ償ヲ為ス可シ 第八百八十一条 財産相続人ハ贈遺ノ財産ノ一部又ハ全部ヲ受ク可キ名義ヲ以テ財産ヲ保有シタル者又ハ其名義ナク財産ヲ保有シタル者或ハ詐偽ニ因テ財産ノ保有権ヲ放棄セシ者ニ対シ其贈遺ノ財産ノ所有権ニ付テノ訴訟ヲ為スコトヲ得可シ 財産相続ヲ為ス可キ者ノ己レ一人ナル時ハ其財産ノ全部ノ為メ又数人アル時ハ己レノ受ク可キ部分ノ為メ前記ノ訴訟ヲ為スコトヲ得可シ此訴訟ハ其名義如何ヲ問ハス総テ相続ス可キ財産ヲ取戻シ又ハ所有権ノ取戻ニ管シテ此篇ノ第三巻ニ設ケタル規則ニ循ヒ入額、利益及ヒ損害ノ償ヲ取戻スヲ以テ目的トス 第八百八十二条 贈遺ノ財産ノ所有権ニ付テノ訴訟ハ其財産相続ヲ開始セシ日ヨリ起算シ三十年ノ期限ヲ以テ期満得免ト為ル可シ 第八百八十三条 財産相続ヲ為ス者ハ其財産相続ヲ開始スル時現存スルヲ要トス(仏民法第七百二十五条) 第八百八十四条 仏民法第七百二十六条ニ同シ 第八百八十五条 仏民法第七百二十七条第一項及ヒ第二項ニ同シ但シ第三項ヲ変更スルコト左ノ如シ 暴威暴行ニ因リ死者ニ対シ其遺嘱書ヲ記シ又ハ取消スコトノ妨害ヲ為セシ者又ハ躬カラ其遺嘱書ヲ変更シ或ハ滅尽セシ者ハ財産相続ヲ為ス可カラサル者トス 第八百八十六条 仏民法第七百二十九条及ヒ第七百三十条ニ同シ 第八百八十七条 仏民法第七百二十九条及ヒ第七百三十条ニ同シ 第八百八十八条 仏民法第七百三十九条乃至第七百四十二条ニ同シ 第八百八十九条 仏民法第七百三十九条乃至第七百四十二条ニ同シ 第八百九十条 仏民法第七百三十九条乃至第七百四十二条ニ同シ 第八百九十一条 仏民法第七百三十九条乃至第七百四十二条ニ同シ 第八百九十二条 又死者ノ兄弟及ヒ姉妹ノ子又ハ卑属親ニシテ死者ノ血属親中最親ノ者タルニ因リ財産相続ヲ為ス可キ者ノ為メニハ之ニ代リテ傍系ノ親ノ財産相続ヲ為スコトヲ得可シ 第八百九十三条 仏民法第七百四十三条及ヒ第七百四十四条ニ同シ 第八百九十四条 仏民法第七百四十三条及ヒ第七百四十四条ニ同シ 第八百九十五条 仏民法第七百四十三条及ヒ第七百四十四条ニ同シ 第八百九十六条 仏民法第七百三十二条ニ同シ 第八百九十七条 仏民法第七百三十三条ニ同シ但シ該条ノ第二項ヲ除ク 第八百九十八条 仏民法第七百三十四条ニ同シ 第二款 卑属ノ親尊属ノ親及ヒ傍系ノ親ノ財産相続ヲ為ス事 第八百九十九条 仏民法第七百四十五条及ヒ第七百四十六条ニ同シ 第九百条 仏民法第七百四十五条及ヒ第七百四十六条ニ同シ 第九百一条 人子孫無クシテ死去セシ時其父母猶ホ生存シ且ツ其死者ノ兄弟又ハ姉妹ノ中一人生存シタルニ於テハ其父母ハ各自ニ死者ノ財産ノ三分ノ一ツヽヲ相続シ他ノ三分ノ一ハ其一人ノ兄弟又ハ姉妹之ヲ相続ス可シ 若シ死者ノ兄弟又ハ姉妹数人生存シタルニ於テハ其父母ハ各自ニ死者ノ財産ノ四分ノ一ツヽヲ相続シ他ノ四分ノ二ハ其兄弟又ハ姉妹之ヲ相続ス可シ(仏民法第七百四十八条) 第九百二条 子孫無クシテ死去シタル人ニ先タチ其父又ハ母死去シ其死者ノ兄弟又ハ姉妹一人生存シタルニ於テハ父母ノ中猶ホ生存シタル者ハ死者ノ財産ノ半ヲ相続シ其兄弟又ハ姉妹二人生存シタルニ於テハ三分ノ一ヲ相続シ又二人以上生存シタルニ於テハ四分ノ一ヲ相続シ他ノ部分ハ其兄弟又ハ姉妹之ヲ相続ス可シ(仏民法第七百四十九条及ヒ第七百五十一条) 第九百三条 仏民法第七百五十条第一項ニ同シ 第九百四条 右ニ記シタル数条ノ規則ニ循ヒ死者ノ兄弟又ハ姉妹ノ相続ス可キ財産ハ之ヲ相続スル者ノ間ニ平等ニ分派ス可シ○自余ハ仏民法第七百五十二条ニ同シ 第九百五条 仏民法第七百五十三条追加 兄弟姉妹又ハ父方母方ノ卑属親ナキ時ハ父方及ヒ母方ノ最親ノ血属親其死者ノ財産ヲ折半シテ之ヲ相続ス可シ 第九百六条 子孫ナク又ハ兄弟姉妹ナクシテ死去セシ者ノ父母猶ホ生存シタルニ於テハ其子ノ財産ノ全部ヲ相続ス可シ(仏民法第七百五十四条、差異) 第九百七条 此款ニ兄弟姉妹ト記シタル者ハ其兄弟姉妹ノ嫡出ノ卑属親モ亦毎子ニ含蓄スル者トス○仏民法第九百十四条ニ同シ 第九百八条 仏民法第七百五十五条ニ同シ 第三款 私生ノ子アル時ノ財産相続 第九百九条 仏民法第七百五十七条追加 若シ財産相続ヲ為ス可キ者死者ト同級ノ血属親ニ非サル時ハ其死者ノ父方又ハ母方ノ最親ノ血属親ヨリ他ノ一方ノ血属親ノ為メニモ亦私生ノ子ノ相続ス可キ財産ノ部分ヲ確定ス可シ 第九百十条 仏民法第七百五十七条追加 若シ財産相続ヲ為ス可キ者死者ト同級ノ血属親ニ非サル時ハ其死者ノ父方又ハ母方ノ最親ノ血属親ヨリ他ノ一方ノ血属親ノ為メニモ亦私生ノ子ノ相続ス可キ財産ノ部分ヲ確定ス可シ 第九百十一条 前条ニ記シタル場合ニ於テ尚ホ過剰セシ贈遺ノ財産ハ此巻ノ第二款ニ指示セシ方法ニ因リ嫡出ノ財産相続人ノ間ニ分派ス可シ 第九百十二条 仏民法第七百五十八条及ヒ第七百五十九条ニ同シ 第九百十三条 仏民法第七百五十八条及ヒ第七百五十九条ニ同シ 第九百十四条 仏民法第七百六十二条ニ同シ 第九百十五条 仏民法第七百六十三条乃至第七百六十六条ニ同シ 第九百十六条 仏民法第七百六十三条乃至第七百六十六条ニ同シ 第九百十七条 仏民法第七百六十三条乃至第七百六十六条ニ同シ 第九百十八条 仏民法第七百六十三条乃至第七百六十六条ニ同シ 第九百十九条 仏民法第七百五十六条第二項ニ同シ 第九百二十条 私生ノ子ノ血属親中ノ一人財産相続ヲ為ス可キ等級ノ血属親ナク且ツ夫婦中後ニ生存シタル者無クシテ死去スルニ於テハ其私生ノ子其財産ヲ得ント求ムルコトヲ得可シ而シテ其財産ハ官署ニ徴収ス可カラス 又若シ私生ノ子ノ子孫、父母、兄弟、姉妹、夫婦中ニ生存シタル者又ハ卑属親無クシテ死去セシ時ハ其財産ヲ官署ニ徴収スルコト無ク其子ヲ以テ己レノ子ナリト認メタル父又ハ母ノ最親ノ血属親之ヲ相続ス可シ又父母共ニ其子ヲ己レノ子ナリト認メタル時ハ其財産ノ半分ハ父方ノ最親ノ者ニ属シ他ノ半分ハ母方ノ最親ノ者ニ属ス可シ○父方及ヒ母方ノ間ニ財産ヲ分ツ時ハ一般ノ財産相続ヲ為ス方法ニ依遵ス可シ 第十二巻 遺嘱ノ贈遺書 第一款 総則 第九百二十一条 死者ノ遺留シタル財産ハ其死者ノ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ニ因テ法ニ適シ他ニ贈与シタル財産ヲ除クノ外総テ正当ノ財産相続人ニ属ス可シ 第九百二十二条 遺嘱贈遺ノ証書トハ遺嘱者ノ死去セシ後チ自己ノ財産ヲ人ニ贈与スル為メニ記シタル証書ヲ云フ但シ此遺嘱贈遺ノ証書ハ遺嘱者随意ノ之ヲ取消スコトヲ得可シ(仏民法第八百九十五条) 第九百二十三条 仏民法第千二条追加 遺嘱贈遺ノ証書ハ財産相続人ヲ選任スルノ名義又ハ遺嘱贈遺ノ名義ヲ以テ之ヲ為スヲ問ハス総テ本巻ノ規則ニ因テ之ヲ管理ス可シ 第九百二十四条 遺嘱者ノ最親ナル血属親ノ為メニ記シ其他ノ人ノ為メニ記セサル遺嘱贈遺ノ証書ハ法律上ニテ財産ヲ相続ス可キ者ノ為メニ記シタル者ト看做ス可シ 第九百二十五条 諸貧窮者ノ為メニ記シ其他ノ人ノ為メニ記セサル遺嘱贈遺ノ証書ハ其貧窮者ノ信向スル宗旨ノ教派ニ別ナク其財産相続ヲ開始セシ場所ニ於テ公ケノ救助ヲ受ク可キ貧窮者ノ為メニ記シタル者ト看做ス可シ 第九百二十六条 仏民法第八百九十六条第一項及ヒ第二項ニ同シ 第九百二十七条 本巻ノ第七款及ヒ第八款ニ認可セル「フヒデコンミッセール」他人ニ譲渡ス可キ黙許ノ約定ヲ以テ遺嘱ノ贈遺ヲ受クル者ヲ云フノ「シュブスチチュシヨン」贈遺ヲ受クル者其生存中其財産ヲ保有シ其死後ニ嘗テ其贈遺ヲ為シタル者ノ定メ置キタル者ニ其財産ヲ譲与フ可キ契約ヲ云フハ第九百二十六条ノ例外トス 第九百二十八条 人ノ死去スル時選任サレタル財産相続人ノ未タ其財産ヲ他人ニ譲渡シ又ハ耗尽セサル遺嘱贈遺ノ財産又ハ財産相続ノ一部或ハ全部ヲ受ク可キ人又ハ其嫡出ノ子ニシテ既ニ産レ或ハ産レ来ル可キ子ノ為メニハ「シュブスチチュシヨン」ヲ禁止ス可カラス 然レトモ法律上ニ因リ遺留ス可キ財産ノ部分ハ右ノ規則ニ因テ得ルコトヲ得ス 第九百二十九条 仏民法第八百九十八条及ヒ第八百九十九条ニ同シ 第九百三十条 仏民法第八百九十八条及ヒ第八百九十九条ニ同シ 第九百三十一条 贈遺ノ財産又ハ遺嘱贈遺ノ財産ノ所有権ヲ他ニ移スコトヲ得サル旨ヲ記シタル証書ハ無効ノ者トス 第九百三十二条 遺嘱贈遺ノ証書ノ意味明亮ナル時ハ他ニ解釈ヲ下シ却テ其意味ヲ迂遠ナラシムルコトヲ得ス 第九百三十三条 若シ其意味ノ曖昧ナルニ於テハ遺嘱贈遺ノ証書ノ文意ヲ採ルヨリ寧ロ其遺嘱ノ贈遺者ノ心意ニ循フ可シ(仏民法第千百五十六条) 第九百三十四条 前条ノ如キ時ハ遺嘱贈遺ノ証書ノ一言一語ヲ講究シ其証書ニ或ル効ヲ生ス可キ方法ヲ以テ之ヲ解釈ス可シ(仏民法第千百五十七条) 第九百三十五条 仏民法第九百条ニ同シ 第九百三十六条 未必ノ条件ノ如ク成ラサルニ付テ利益ヲ得可キ者ノ自カラ其条件ノ如ク成ル可キヲ妨ケシ時猶ホ其条件ノ如ク成リタルニ等シキ者ト看做ス可シ(仏民法第千百七十八条) 第九百三十七条 虚妄ノ原由ヲ記載シタル時ハ猶ホ之ヲ記載セサル者ト看做ス可シ但シ遺嘱ノ贈遺者ノ其原由ノ虚妄ナルヲ知ラスシテ遺嘱贈遺ノ証書ヲ記シタル時ハ格別ナリトス 第九百三十八条 其原由ノ誠実ナルト虚妄ナルトヲ問ハス法律又ハ一般ノ風儀ニ悖戻ス可キ原由ヲ遺嘱贈遺ノ証書ニ記シタル時ハ財産相続又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ無効ノ者トス 第九百三十九条 財産相続人又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受クル者数人ニテ担任ス可キ義務アル時其中ノ一人又ハ数人之ヲ行フコトヲ拒ミ或ハ之ヲ行フ可キ資力ナキニ因リ其義務ノ全部ヲ一人ニテ行ヒタル者ハ己レノ受ク可キ財産ヲ要求シ且ツ其他ノ人ノ為メニ行ヒタル義務ヲ取戻ス可キ権利アリ 第九百四十条 暴行又ハ詭欺ニ因リ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ハ其効無カル可シ(仏民法第千百九条) 第九百四十一条 若シ遺嘱ノ贈遺者及ヒ財産相続人又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ク可キ者又ハ其代理ヲ為ス可キ者ノ同日ニ或ハ同事件ニテ死去シ其中何レノ者先ニ死去シタルヤヲ知ルコトヲ得サル時ハ則チ同時ニ死去セシ者ト看做シ遺嘱ノ贈遺ニ付テノ権利ヲ転移セシ者ト為ス可カラス(仏民法第七百二十条以下次条、差異) 第二款 遺嘱ノ贈遺トシテ人ニ財産ヲ贈与シ又ハ之ヲ受収スルニ必要ナル要件 第九百四十二条 遺嘱贈遺ノ証書ヲ記シ又ハ之ヲ取消スニハ精神ノ惛迷セサルコトヲ必要トス(仏民法第九百一条) 第九百四十三条 仏民法第九百二条ニ同シ 第九百四十四条 十八歳未満ノ幼者ハ遺嘱贈遺ノ証書ヲ記スルヲ得ス(仏民法第九百三条、差異) 第九百四十五条 遺嘱贈遺者ノ之ヲ為スコトヲ得可キ能力有ルト否トハ其遺嘱贈遺ノ証書ヲ記セシ時ノ形状ヲ以テ之ヲ確定ス可シ 第九百四十六条 仏民法第九百六条第一項及ヒ第三項ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 此規則ハ恩恵ノ為メニ費ス可キ財産ヲ相続スル人ニ適用スルヲ得ス 第九百四十七条 仏民法第九百十条ニ同シ 第九百四十八条 若シ婚姻ヲ為スニ付キ必要ナル承諾ヲ受ケスシテ之ヲ為シ且ツ猶ホ其婚姻ニ付キ訴訟ヲ受ク可キ時其夫婦ノ中一方ノ者他ノ一方ノ者ニ遺嘱ノ贈遺ヲ為シ而シテ死去セシ時ニ於テハ其他ノ一方ノ者ハ其遺嘱贈遺ヲ受クルヲ得ス 第九百四十九条 仏民法第千九十八条ニ同シ 第九百五十条 仏民法第千四百二十三条ニ同シ但シ此規則ハ夫婦ニ管係ス可シ 第九百五十一条 仏民法第九百七条ニ同シ但シ仏民法ノ十六歳ハ十八歳ニ作ル 第九百五十二条 幼者ハ其住居ヲ共ニスル自己ノ訓導者師傅タル男(ブレセブトール、グーウエルノール、グーウエルナント)又ハ女又ハ幼者ノ入塾セシ所ノ教師タル男又ハ女ニハ遺嘱ノ贈遺ヲ為スヲ得ス(仏民法第九百七条) 然レトモ右等ノ者ノ労動ト贈遺者ノ権限トニ准シ其財産中別段指定メタル一部ヲ酬謝トシテ贈与スル約定ハ前項ニ記スル所ノ例外ナリトス 第九百五十三条 仏民法第九百九条ニ同シ但シ例外ヲ追加スルコト左ノ如シ 贈遺者ノ其配偶者ノ為メニ為シタル贈遺ハ例外ナリトス○仏民法第九百九条第三項ヲ除ク 第九百五十四条 公正ノ遺嘱贈遺ノ証書ヲ受取リシ公証人及ヒ其時ニ立会ヲ為セシ証人ハ其贈遺ヲ受クルヲ得ス 第九百五十五条 若シ嫡出ノ子及ヒ法ニ適シテ我子ナリト認メタル私生ノ子ヲ遺留シテ其父母ノ死去セシ時ハ其私生ノ子ハ財産相続ノ巻ニ其得可キ事ヲ記シタル財産ノ外遺嘱ノ贈遺トシテ其父母ノ財産ヲ受クルヲ得ス(仏民法第九百八条) 第九百五十六条 遺嘱ノ贈遺ヲ為ス者ノ死去スル以前裁判言渡ニ因テ奸通ヲ為セシ事ノ確証アル時ハ其奸夫奸婦ハ相互ニ遺嘱ノ贈遺ヲ受クルヲ得ス 第九百五十七条 仏民法第九百十二条ニ同シ 第九百五十八条 仏民法第九百十一条ニ同シ 第九百五十九条 遺嘱ノ贈遺者ヲシテ死ニ至ラシメシニ付キ其裁判言渡ヲ受ケシ者、遺嘱贈遺ノ証書ヲ盗取シ、滅尽シ又ハ変更セシ者、暴行ニ因リ遺嘱者ノ其遺嘱贈遺ノ証書ヲ取消シ又ハ変更スルコトヲ妨ケシ者及ヒ此等ノ者ノ配偶者及ヒ其子ハ遺嘱ノ贈遺トシテ死者ノ財産ヲ受クルヲ得ス(仏民法第千四十六条) 第三款 当然ニ相続ス可キ財産及ヒ贈遺ト為シタル財産ヲ減スル事 第九百六十条 当然ニ相続ス可キ財産トハ法律上ニ於テ宗系ノ財産相続人ノ受ク可キ財産ニシテ且ツ死者ノ生存中ノ贈遺又ハ遺嘱ノ贈遺ニ因リ他ノ人ニ贈与スルコト能ハサル財産ヲ云フ 第九百六十一条 仏民法第九百十三条及ヒ第九百十四条ニ同シ 第九百六十二条 各尊属親ノ当然ニ受ク可キ財産ノ部分ハ法律上ニ於テ常ニ贈遺ノ財産ト為スコトヲ得可キ財産ノ半トス(仏民法第九百十五条) 第九百六十三条 法ニ適シテ我子ナリト認メラレタル私生ノ子ノ各自当然ニ受ク可キ財産ノ部分ハ贈遺ナキ財産相続ニ因リ得可キ権利ヲ有スル部分ノ半トス(仏民法第九百八条) 第九百六十四条 仏民法第九百十六条及ヒ第九百十七条ニ同シ 第九百六十五条 仏民法第九百十六条及ヒ第九百十七条ニ同シ 第九百六十六条 贈遺ト為スヲ得可キ財産ノ定分ノ全部又ハ一部ハ生存中ノ贈遺又ハ遺嘱ノ贈遺トシテ死者ノ子或ハ其他ノ財産相続人又ハ其他ノ人ニ贈遺スルコトヲ得可シ但シ財産相続人ノ此篇ノ第十六巻ニ循ヒ其財産ヲ返還ス可キ時ハ格別ナリトス(仏民法第九百十九条) 第九百六十七条 仏民法第九百二十一条追加 又財産相続人ハ死者ノ権利者ノ権利ヲ害シテ贈遺ノ財産ヲ減スルコトヲ得ス 第九百六十八条 仏民法第九百二十二条ニ同シ 第九百六十九条 畢生間ノ年金ヲ受取ル可キ約束又ハ入額ヲ得可キ約束ヲ以テ其宗系ノ財産相続人中ノ一人ノ財産ノ所有権ヲ譲渡シタル時ハ之ヲ生存中ノ贈遺ト看做ス可シ(仏民法第九百十八条) 第九百七十条 贈遺ヲ為セシ者ノ生存中其贈遺ヲ受ケシ者ノ過失ニ因ルコト無ク其贈与セシ物件ノ滅尽スルニ於テハ其物件ヲ以テ当然ニ受ク可キ財産中ノ算入ス可カラス 若シ贈遺ヲ受ケシ者ノ其贈遺トシテ得タル物件ヲ他ノ人ニ譲渡シ之ヲ取戻スノ資力ナキ時ハ其物件ヲ当然ニ受ク可キ財産中ニ算入ス可シ 第九百七十一条 仏民法第九百二十三条ニ同シ 第九百七十二条 前条ノ場合ニ於テ不動産ヲ取戻ス可キ時ハ必ス其現物ヲ取戻ス可シ但シ反対ノ規則アル時ハ格別ナリトス 然レトモ容易ニ分ツコト能ハサル贈遺ノ財産ヲ減ス可キ時ハ仮令ヒ親族ニ在ラスシテ贈遺ヲ受ケタル者ト雖モ正当ノ財産相続人ノ受ク可キ財産ノ部分ヲ金額ヲ以テ償フコトヲ得可シ(仏民法第八百五十九条) 第九百七十三条 仏民法第九百二十六条乃至第九百二十九条ニ同シ 第九百七十四条 仏民法第九百二十六条乃至第九百二十九条ニ同シ 第九百七十五条 仏民法第九百二十六条乃至第九百二十九条ニ同シ 第九百七十六条 仏民法第九百三十条追加 買主ニ対スル不動産取戻ノ訴訟ハ其不動産ノ贈遺ヲ受ケシ者ノ其贈遺ノ財産中ノ保含スル他ノ財産ヲ保有セサル時又ハ財産相続人ノ当然ニ相続ス可キ財産ノ定分ニ充分ナル財産ヲ保有セサル時又ハ第三ノ人ニ譲渡シタル財産ノ価額ヲ自己ノ財産ヲ以テ償フコト能ハサル時ニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス 此訴訟権ハ如何ナル場合ノ管セス当然ニ財産相続ヲ為ス可キ者ノ其財産相続ヲ為ス可キ旨ヲ承諾セシ日ヨリ起算シ三年ノ期限ニ消滅ス可シ 第四款 遺嘱贈遺ノ法式 第九百七十七条 仏民法第九百六十八条及ヒ第九百六十九条ニ同シ 第九百七十八条 仏民法第九百六十八条及ヒ第九百六十九条ニ同シ 第九百七十九条 遺嘱贈遺ノ証書ハ遺嘱者ノ自筆ニテ其全部ヲ記シ且ツ之ニ姓名ヲ手署スルヲ要トス(仏民法第九百七十条、差異) 第九百八十条 遺嘱者ハ証人二人ノ立会ニテ其証書ヲ公証人ノ差出シ公証人ハ之ヲ諸証書類中ニ保蔵ス可シ 公証人ハ証人二人ノ面前ニ於テ直ニ受託ノ証書ヲ記ス可シ但シ其遺嘱ノ証書ヲ開キタル侭ニテ請取リシ時ハ遺嘱者ノ姓名ヲ手署セシ下ニ受託ノ証書ヲ記シ又封印ノ侭ニテ請取リシ時ハ別紙ニ証書ヲ記ス可ク而シテ遺嘱者ハ其公証人及ヒ証人ノ面前ニ於テ其証書ノ包紙ニ遺嘱ノ証書ヲ包含スル旨ヲ記シ之ニ姓名ヲ手署ス可シ 若シ遺嘱ノ贈遺者其遺嘱贈遺ノ証書又ハ其包紙ニ姓名ヲ手署セシ後チ公証人ノ受託ノ証書又ハ其包紙ノ手署シ能ハサル可キ故障アル時ハ公証人其故障ノ原由ヲ記ス可シ(仏民法第九百七十条) 第九百八十条 前条ニ因リ公証人ニ差出シタル自筆ノ遺嘱贈遺ノ証書ハ公正ノ証書ト同一ノ効アリ○遺嘱贈遺ノ証書ハ其日附ノ如何ニ管セス常ニ受託ノ証書ト同日ニ記シタル者ト看做ス可シ 第九百八十一条 遺嘱者ハ如何ナル時ヲ問ハス公正ノ証書ヲ以テ公証人ニ附託ヲ取消ス旨ヲ申述シテ其自筆ノ遺嘱贈遺ノ証書ヲ取戻スコトヲ得可シ○然ル時ハ遺嘱贈遺ノ証書ヲ取消シタル者ト看做ス可シ 第九百八十二条 遺嘱者ノ託ヲ受ケ遺嘱ノ諸事ヲ管理スル者ヲ任シ、葬式ノ費用及ヒ其方法ヲ規定シ、諸種ノ衣服及ヒ室内ノ装飾物等ヲ贈遺スルコトハ死者ノ自筆ノ証書ニシテ唯々日附ト姓名ノ手署ノミアル証書ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得可シ 此贈遺ヲ取消ス時モ亦私ノ証書ヲ以テスルコトヲ得可シ 第九百八十三条 前条ニ記シタル種類ノ証書ヲ遺嘱者ノ死去セシ後ニ看出タス時ハ治安裁判官ニ之ヲ差出シ治安裁判官ハ其証書ヲ開対シ而シテ之ニ管スル調書ヲ製シテ公証人ニ渡ス可シ又公証人ハ之ヲ証書類中ニ保蔵ス可シ(仏民法第千七条) 第九百八十四条 遺嘱者手記ノ遺嘱贈遺ノ証書ヲ封印シテ公証人ニ附託シタル時ハ其遺嘱者ノ死去セシ後チ之ヲ治安裁判官ニ差出シ治安裁判官ハ第九百八十九条ノ規則ニ依遵シ之ヲ取扱フ可シ(仏民法第千七条第一項) 第九百八十五条 公正ノ遺嘱贈遺ノ証書トハ証人二人ノ面前ニ於テ公証人ノ請取リタル証書ヲ云フ(仏民法第九百七十一条) 第九百八十六条 公証人ハ遺嘱者ノ申述セシ心意ヲ簡略且ツ明白ニ記載シ又ハ記載セシム可シ 若シ証人ノ面前ニ在ラサル時遺嘱者自己ノ心意ヲ申述シ公証人ノ既ニ之ヲ筆記セシ時ノ如キハ遺嘱者ハ公証人ノ其証書ヲ朗読スル前ニ再ヒ自己ノ心意ヲ申述ス可シ 次ニ公証人ハ其遺嘱贈遺ノ証書ヲ遺嘱者及ヒ証人ニ読聴カセシ後チ遺嘱者ノ心意ヲ全ク記シ了リ毫モ脱漏スル所ナキヤ否ヲ其遺嘱者ノ訊問ス可シ 証人ノ面前ニ於テ遺嘱ノ贈遺ヲ聴取リ直ニ之ヲ筆記セシ時モ亦前項ニ同シ 然シテ後チ遺嘱者、公証人及ヒ証人ハ遺嘱贈遺ノ証書ニ姓名ヲ手署ス可シ○若シ遺嘱者故障アリテ姓名ヲ手署スルコトヲ得サル時ハ其故障ノ申述ト其原由及ヒ遺嘱ノ贈遺ヲ為シ終リシ時ハ総テ諸般ノ法式ヲ行ヒシ旨トヲ遺嘱贈遺ノ証書ニ謄記ス可シ 第九百八十七条 仏民法第九百七十六条ニ同シ 第九百八十八条 仏民法第九百七十九条ニ同シ 第九百八十九条 秘密ノ遺嘱贈遺ノ証書ハ遺嘱者ノ死去セシ後チ其遺嘱ノ贈遺ヲ開始ス可キ土地ノ治安裁判官ニ差出ス可シ○治安裁判官ハ其証書ヲ開対シ而シテ其証書ヲ開対シタル事、之ヲ差出シタル事及ヒ遺嘱贈遺ノ模様トヲ調書ニ記シ其証書ヲ差出シタル公証人ニ還付ス可シ(仏民法第千七条第二項) 第九百九十条 或ル遺嘱贈遺ノ証書ヲ保有スル公証人ハ遺嘱者ノ死去セシ時其遺嘱ノ贈遺ヲ受ク可キ者ニ其死去ヲ通報ス可シ 第九百九十一条 遺嘱贈遺ノ証書ヲ記スル時其席ニ立会フ可キ証人ハ荷蘭人ニシテ且ツ丁年ニ至リシ男ニ限ル可シ○証人タルヲ得可キ者ハ遺嘱贈遺ノ証書、其表書及ヒ受託ノ証書ヲ記シタル国語ヲ解シ得可キヲ必要トス(仏民法第九百八十条)○財産相続又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ク可キ者、其者ノ第四級ニ至ル迄ノ血属及ヒ姻属親、其者ノ子又ハ孫及ヒ同級ノ姻属親、証書ヲ記シタル公証人ノ従僕、施体加辱ノ刑ヲ受ケシ者ハ公証人ト為ルヲ得ス(仏民法第九百七十五条及ヒ第九百八十条) 第九百九十二条 外国ニ在ル荷蘭人ハ其国ニテ用フル所ノ法式ノ循ヒ記シタル公正ノ証書ヲ以テ遺嘱ノ贈遺ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第九百九十九条) 外国ニ在ル者ハ第九百八十二条ニ記シタル諸件ト方法トニ付テハ私ノ証書ヲ以テ遺嘱ノ贈遺ヲ為スコトヲ得可シ 第九百九十三条 戦時(タン、ド、ゲール)ニ当リテ軍人及ヒ軍属ノ陣地(カンパンニュ)又ハ囲ヲ受ケタル要塞(プラス)地ニ在ル時ハ中尉以上ノ士官及ヒ証人二人ノ面前ニ於テ遺嘱贈遺ノ証書ヲ記スルコトヲ得可シ(仏民法第九百八十一条) 第九百九十四条 海上ニ在ル者ハ船長若シ有ラサル時ハ之ニ代ル可キ次官ノ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ヲ以テ証人二人ノ面前ニ於テ遺嘱ノ贈遺ヲ為スヲ得可シ(仏民法第九百八十八条) 第九百九十五条 仏民法第九百八十五条ニ同シ 第九百九十六条 前数条ニ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ニハ遺嘱者、遺嘱ノ贈遺ヲ受ク可キ者及ヒ少ナクモ証人中ノ一人ニテ姓名ヲ手署ス可シ 若シ遺嘱者及ヒ証人中ノ一人姓名ヲ手署スルコト能ハサル旨ヲ述ル時ハ其述ル所ト其手署スルコト能ハサル原由トヲ証書ニ附記ス可シ(仏民法第九百九十八条) 第九百九十七条 仏民法第九百八十四条ニ同シ 第九百九十八条 第九百九十三条第九百九十四条及ヒ第九百九十五条ニ記載シタル人ハ私ノ証書ヲ以テ遺嘱ノ贈遺ヲ為スヲ得可シ但シ手記ニテ其証書ノ全部ヲ記シ又ハ日附ヲ為シ且ツ姓名ヲ手署スルヲ要トス 第九百九十九条 若シ遺嘱者右三箇条ニ記シタル原由ナキニ至リシ後チ三箇月ノ期限内ニ死去スル時ハ其遺嘱贈遺ノ証書ハ其効ナカル可シ但シ第九百七十九条ニ循ヒ此証書ヲ公証人ニ附託シタル時ハ格別ナリトス(仏民法第九百九十六条) 第千条 仏民法第千一条ニ同シ 第五款 財産相続人ヲ選任スル事 第千一条 財産相続人ヲ選任スル証書トハ遺嘱者ノ死去スル時其遺留スル財産ノ全部又ハ半部或ハ三分ノ一ニ分ツ時ノ如キ其一部ヲ遺嘱者ヨリ一人又ハ数人ニ贈与スル遺嘱贈遺ノ証書ヲ云フ(仏民法第千三条及ヒ第千十条) 第千二条 選任ヲ受ケタル財産相続人ハ遺嘱者ノ死去スル時法律上ニ於テ正当ノ財産相続ヲ受ク可キ者ト共ニ当然ニ其財産ヲ所得ト為スヲ得可シ(仏民法第千四条) 第八百八十一条及ヒ第八百八十二条ハ選任ヲ受ケタル財産相続人ニ適用スルコトヲ得可シ 第千三条 財産相続人ヲ選任セシ事ノ法ニ適シタル確証アルニ方リ若シ其財産ニ付キ紛議ヲ生スル時ハ裁判官之ヲ第三ノ人ニ託シ置ク可キ言渡ヲ為スコトヲ得可シ 第六款 遺嘱贈遺ノ財産 第千四条 遺嘱贈遺ノ証書トハ財産中別段指定メタル一部ノ贈遺ノ証書ヲ云フ而シテ遺嘱者ハ此証書ニ因リ確定シタル財産又ハ財産中ノ一部又ハ全部ニ付テノ入額所得ノ権又ハ動産、不動産等ノ財産ヲ一人或ハ数人ニ贈与スルコトヲ得可シ(仏民法第千十条) 第千五条 仏民法第千十四条第一項ニ同シ 第千六条 遺嘱ノ贈遺ヲ受ケシ者ハ財産相続人又ハ贈遺ノ財産ヲ現ニ保有シタル他ノ贈遺ヲ受ケシ者ニ対シ其財産ヲ請取ラント求ムルコトヲ得可シ 遺嘱ノ贈遺ヲ受ケシ者ノ一箇年内ニ其財産ヲ請取ラント求メシ時ハ遺嘱者ノ死去セシ日ヨリ後チ一箇年内ニ其求メヲ為サヽリシ時ハ其求メヲ為セシ時ヨリ後ニ其財産ヨリ生スル利益又ハ入額ヲ所得ト為スノ権アリ(仏民法第千五条、第千十一条及ヒ第千十二条第二項) 第千七条 仏民法第千十五条ニ同シ 第千八条 遺嘱贈遺ノ財産中ヨリ政府ニ上納ス可キ税ハ其名義如何ヲ問ハス遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者之ヲ担任ス可シ但シ遺嘱贈遺ノ証書中ニ他ノ約定アル時ハ格別ナリトス(仏民法第千十六条) 第千九条 若シ遺嘱者ヨリ一箇ノ義務ヲ遺嘱ノ贈遺ヲ受クル数人ノ者ニ賦課スルニ於テハ其数人ノ者各々其得タル割合ヲ以テ其義務ヲ尽サヽルヲ得ス但シ遺嘱者ノ之ニ異ナル約定ヲ為シタル時ハ格別ナリトス(仏民法第千十七条) 第千十条 仏民法第千十八条及ヒ第千十九条ニ同シ 第千十一条 仏民法第千十八条及ヒ第千十九条ニ同シ 第千十二条 仏民法第千二十条追加 若シ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者嘗テ書入質ト成リタル義務ヲ弁償スルニ於テハ財産分派ニ巻ノ第千五十二条ニ循ヒ正当ノ財産相続人ニ対シ其義務取戻ノ訟求ヲ為スヲ得可シ 第千十三条 若シ遺嘱者他人ニ属スル財産ヲ遺嘱ト為シタル時ハ其財産ノ己レニ属セサルコトヲ知ラサリシ時ト雖モ其贈遺ノ効ナカル可シ(仏民法第千二十一条、差異) 第千十四条 前条ニ管スル財産ノ贈遺ヲ受ケシ者又ハ財産相続人ハ其贈遺ノ財産ニ付キ行フ可キ義務ヲ法律上自己ノ財産ヲ以テ弁償セサルヲ得ス 第千十五条 遺嘱者其贈遺ト為ス財産ノ種類ヲ定メ其品物ヲ定メサル時ハ仮令ヒ其種類ニ属スル物件ヲ贈遺ノ財産中ニ含蓄スルコト無キ時ト雖モ其贈遺ハ法ニ適シタル者ト為ス可シ 第千十六条 仏民法第千二十二条ニ同シ 第千十七条 若シ遺嘱者入額所得権又ハ受用ノ権ヲ贈与スル等ノ語ヲ用フルコト無ク入額又ハ年金ヲ人ニ贈与セシ時ハ其入額又ハ年金ノ元資タル財産ノ所有権ハ財産相続人ニ属シ而シテ此相続人ハ其贈遺ヲ受ケシ者ニ入額又ハ年金ヲ払フヘシ 第千十八条 仏民法第千二十三条ニ同シ 第千十九条 財産ノ不足ナルニ因リ其財産相続ノ一部又ハ全部ヲ受ク可キ承諾ヲ為ス者ナキ時又ハ其相続スル財産ノ価ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権ヲ以テ相続ヲ為ス可キ旨ヲ承諾スル者アル時又ハ死者ノ遺留セシ財産遺嘱贈遺ノ全部ヲ償フニ足ラサル時ハ遺嘱贈遺ヲ受ケシ者ノ各々其得タル財産ノ割合ヲ以テ遺嘱贈遺ノ財産ヲ減ス可シ但シ遺嘱者ノ此ニ異ナル約定ヲ為シタル時ハ格別ナリトス(仏民法第千十七条及ヒ第千十八条) 第七款 宗系ノ卑属親又ハ傍系ノ親ノ為メニ為スコトヲ得可キ「フヒデコンミッセール」ノ「シュブスチチェシヨン」此義解前ニ見ヘタリ 第千二十条 仏民法第千四十八条第一項ニ同シ但シ第二項ヲ追加スルコト左ノ如シ 其子遺嘱者ヨリ先ニ死去スル時ハ其孫一人又ハ数人ニ財産ヲ与ヘ其孫ノ生ミタル子及ヒ生ルヽ子ニ伝フ可キノ約定ヲ為スヲ得可シ 第千二十一条 仏民法第千四十九条追加 遺嘱者ヨリ先ニ死去セシ兄弟姉妹ノ子一人又ハ数人ニ財産ヲ与ヘ其兄弟姉妹ノ子ノ生ミタル子及ヒ生ルヽ子ニ伝フ可キ約定ヲ為スコトヲ得可シ 第千二十二条 仏民法第千五十一条追加 贈遺ヲ受ケタル者ノ子其者ヨリ先ニ死去シテ其孫ノミ有ル時モ亦同然タル可シ 第千二十三条 仏民法第千五十条ニ同シ 第千二十四条 仏民法第千五十三条ニ同シ但シ「債主」ノ下ニ「及ヒ其放棄セシ後ニ生ルヽ子ノ」ヲ加フ可シ 第千二十五条 仏民法第千五十五条追加 此場合ニ於テハ第八百三十六条、第八百三十七条第一項及ヒ第二項第八百三十八条ノ規則ヲ適用スルコトヲ得可シ○遺嘱ヲ管理スル者ハ遺嘱者ノ託ヲ受ケ遺嘱ノ諸事ヲ管理スル事ノ巻ニ記シタル方法ニ循ヒ謝金(サレール)ヲ得ント求ムルコトヲ得可シ 第千二十六条 若シ遺嘱ノ諸事ヲ管理シタル者ノ死去セシ時ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者又ハ有権者(エーヤン、ドロワー)又ハ検察官ノ求メニ因リ裁判所ヨリ其人ニ代ル可キ者ヲ任ス可シ(仏民法第千五十六条) 第千二十七条 遺嘱贈遺ヲ為シタル者ノ死去セシ時ハ其一箇月内ニ行政官又ハ有権者又ハ検察官ノ求メニ因リ通常ノ法式ヲ以テ其遺嘱贈遺ノ財産ノ目録ヲ記ス可シ○自余ハ仏民法第千五十八条ニ同シ 第千二十八条 仏民法第千五十九条ニ同シ但シ「管照者」ヲ「遺嘱ノ諸事ヲ管理スル者」ニ作リ又追加スルコト左ノ如シ 遺嘱贈遺ノ財産ノ目録ハ管財人ノ面前ニ於テハ私ノ証書ニ之ヲ製スルコトヲ得可ク而シテ此目録ハ治安裁判所ノ書記局ニ差出ス可シ 第千二十九条 若シ遺嘱者ノ其遺嘱ノ諸事ヲ管理スル者ヲ任セサル時ハ己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ財産ノ贈遺ヲ受ケタル者保証ヲ出シテ其財産ヲ管理ス可シ但シ遺嘱者ノ其保証ヲ出スニ及ハサル旨ヲ申述セシ時ハ格別ナリトス(仏民法第千五十六条) 第千三十条 若シ己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ財産ノ贈遺ヲ受ケタル者其保証ヲ出スコト能ハサル時ハ有権者又ハ検察官ノ求メニ因リ裁判所ニ於テ更ニ管理者ヲ任ス可シ○此管理者ノ為メニハ幼者ノ後見人ニ管スル諸規則及ヒ第千二十五条終尾ノ規則ヲ適用スルコトヲ得可シ 第千三十一条 己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受ケタル者其財産ヲ管理スル時ハ必ス家族ノ良夫タルカ如ク丁寧ニ之ヲ管理スルヲ要トス○其費用義務及ヒ修理等ニ管シテハ入額ヲ所得ト為ス者ト同一ニ看做ス可シ 第千三十二条 不動産「フヒデコンミッセール」中ニ保含スル年金及ヒ権利ハ己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受ケタル者ノ求メニ因リ及ヒ真実ノ利益又ハ缺ク可カラサル要件アルニ因リ「シュブスチチュシヨン」ヲ為ス者及ヒ検察官ヨリノ申立アリシ後チ初審裁判所ノ允許ヲ得ルニ因ルニ非サレハ他人ニ譲渡スコトヲ得ス 此譲渡ノ允許ハ缺ク可カラサル要件又ハ真実ノ利益アル時己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受ケタル者又ハ「フヒデコンミッセール」ヲ為スニ付キ保証ヲ出シ自カラ財産ヲ管理スル者ニシテ即チ「シュブスチチュシヨン」ヲ為ス者ノミニ為ス可シ 若シ管財人ノ其財産ヲ管理スル時ハ後見人ノ為メニ設ケタル方法ニ循ヒ其入額ヲ使用ス可シ(仏民法第千六十五条) 第千三十三条 本款ニ付テ為スコトヲ得可キ「フヒデコンミッセール」ノ「シュブスチチュシヨン」ハ幼者ヨリ第三ノ人ニ対シ之ヲ為スコトヲ拒ムヲ得ス「但シ不動産」云々以下ハ仏民法第千六十五条ニ同シ 第千三十四条 仏民法第千七十二条ニ同シ 第千三十五条 遺嘱ノ諸事ヲ管理スル者ハ第千三十三条ヲ行フニ付テ監督スルノ義務アリ而シテ若シ之ヲ怠ルニ於テハ損害ノ償ヲ為ス可キ者トス 諸有権人モ亦第千三十三条ヲ循守セント求ムルコトヲ得可シ(仏民法第千七十三条) 第八款 財産相続人又ハ遺嘱贈遺ヲ受ケタル者ノ相分離シ且ツ他ニ譲渡スコトヲ得可キ財産ノ「シュブスチチュシヨン」 第千三十六条 第九百二十八条ト同様ノ「シュブスチチュシヨン」ノ場合ニ於テハ己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受ケタル者又ハ財産相続人ハ遺嘱又ハ相続ノ財産ヲ他人ニ譲渡シ又ハ之ヲ費シ又ハ恩恵ニ因リ他人ニ贈与スルコトヲ得可シ但シ特定ノ禁止アル時ハ格別ナリトス 第千三十七条 己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受ケタル者又ハ財産相続人ハ第千二十七条及ヒ第千二十八条ニ循ヒ其財産ノ目録ヲ記セサルヲ得ス但シ其保証ヲ与フルニ及ハス 第千三十八条 己レノ子ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受ケタル者又ハ財産相続人ノ死去セシ時ハ「シュブスチチュシヨン」ヲ為ス者ハ天然ノ侭ニテ存在スル財産ヲ得ント求ムルコトヲ得可シ 他ニ譲渡シタル財産ノ種類及ヒ入額ノ目録ハ財産相続人又遺嘱贈遺ヲ受ケタル者ノ記録又ハ日用ノ帳簿又ハ贈遺或ハ相続ノ財産ニ管スル他ノ証拠ニ因テ記ス可シ 第九款 遺嘱贈遺ノ証書ヲ取消ス事及ヒ遺嘱贈遺ノ証書ノ効ナキ事 第千三十九条 仏民法第千三十五条ニ同シ 第千四十条 若シ後ニ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ニ前ニ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ヲ取消スコトヲ明白ニ記シタル時ト雖モ遺嘱贈遺ノ証書ヲ法ニ適シタル者ト為ス可キ法式ニ適セスシテ唯々公証人ノ記シタル証書ヲ法ニ適シタル者ト為ス可シ又法式ニノミ適スル時ハ後ニ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ヲ以テ前ニ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ヲ取消スノ効ナカル可シ 第千四十一条 仏民法第千三十六条追加 若シ前ニ記シタル遺嘱贈遺ノ証書ノ仮令ヒ公証人ノ記シタル証書ヲ法ニ適シタル者ト為スニハ其法式ニ適スト雖モ遺嘱贈遺ノ証書ヲ法ニ適シタル者ト為スノ法式ニ適セスシテ其効ナキ時ハ此条ヲ適用ス可カラス 第千四十二条 仏民法第千三十七条ニ同シ 第千四十三条 仏民法第千三十八条ニ同シ但シ「但シ其売払ノ効ナクシテ売払人之ヲ己レニ取戻シタル時モ亦同一ナリトス」ヲ「但シ遺嘱者其売渡シタル物件ヲ己レニ取戻シタル時ハ格別ナリトス」ニ作ル可シ 第千四十四条 仏民法第千四十条乃至第千四十二条ニ同シ 第千四十五条 仏民法第千四十条乃至第千四十二条ニ同シ 第千四十六条 仏民法第千四十条乃至第千四十二条ニ同シ 第千四十七条 第三ノ人ヨリ得可キ年金又ハ諸権利ノ遺嘱贈遺ハ其遺嘱者ノ生存中ニ第三ノ人ヨリ弁償ヲ得タル部分ニ付テハ其贈遺ノ効ナカル可シ 第千四十八条 仏民法第千四十三条追加 若シ遺嘱贈遺ノ証書中ニ第三ノ人ノ利益トナル可キ者アル時ハ選任サレタル財産相続人又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者ハ其利益ヲ払ハサルヲ得ス但シ此財産相続人又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者ハ第三ノ人ノ利益ノ為メ全ク其証書ヲ放棄スルノ権利アリ 第千四十九条 仏民法第千四十四条第一項ニ同シ但シ「又ハ之ヲ受クルコト能ハサル者アルニ於テハ」ノ下ニ「又ハ其数人中幾人歟ノ為メニ贈遺ノ効ナキ時ハ」ヲ加フ可シ 第二項 右ニ記スル仏民法第二項ニ同シ 第三項 部分ナル語意ハ本条ニ記載シタル所ノ連帯シテ遺嘱贈遺ヲ受ク可キ者ノ各人ニ指定メタル部分ヲ保含スル者ト看做ス可カラス 第千五十条 仏民法第千四十五条ニ同シ 第千五十一条 人ハ遺嘱者ノ死去セシ後チ未必ノ条件ノ如クナラサルヲ原由トシテ其遺嘱贈遺ノ証書ヲ効ナキ者ト為ス可キ求メヲ為スヲ得可シ○自余ハ仏民法第九百五十四条第二項及ヒ第三項ニ同シ 第十三巻 遺嘱者ノ託ヲ受ケ遺嘱ノ諸事ヲ管理スル者 第千五十二条 遺嘱者ハ第九百八十二条ニ原ツキ私ノ証書又ハ公証人ノ記シタル証書ヲ以テ遺嘱ノ管理者一人又ハ数人ヲ任スルコトヲ得可シ(仏民法第千二十五条) 遺嘱者ハ甲ノ遺嘱ノ管理者ナキ時乙ノ遺嘱ノ管理者ヲ以テ之ニ代フル為メ数人ノ遺嘱ノ管理者ヲ任スルコトヲ得可シ 第千五十三条 婚姻ヲ結ヒタル婦、後見ヲ免カレサル幼者、治産ノ禁ヲ受ケタル者及ヒ総テ契約ヲ結フ可キ能力ナキ者ハ遺嘱ノ管理者ト為ルヲ得ス(仏民法第千二十八条、第千二十九条及ヒ第千三十条) 第千五十四条 遺嘱者ハ其遺嘱ノ管理者ニ贈遺ノ財産ノ全部又ハ一部ノミヲ委託スルコトヲ得可シ○財産ノ全部ヲ委託スル時ハ動産又ハ不動産ノ全部トス 反対ノ規則ナキ時ハ其委託ハ遺嘱ノ管理者其財産ヲ保有セシ日ヨリ起算シ一箇年ノ期限ニ過ク可カラス(仏民法第千二十六条ニ同シ) 第千五十五条 仏民法第千二十七条ニ同シ但シ仏民法該条ノ始メ「遺物相続人」ハ「諸財産相続人同意ニテ」ニ作ル可シ 第千五十六条 仏民法第千三十一条第一項及ヒ第二項ニ同シ 第千五十七条 仏民法第千三十一条第一項及ヒ第二項ニ同シ 第千五十八条 仏民法第百三十一条第四項ニ同シ 第千五十九条 管理者ハ遺嘱贈遺ノ契約ノ如ク執行ノ為メ十分ナル金高ノ有ラサル時財産相続人又ハ裁判所ノ承諾ヲ得テ動産又ハ不動産ヲ売払ハシムルコトヲ得可シ(仏民法第千三十一条第三項) 諸財産相続人相互ニ財産ヲ売払フコトヲ承諾スル時ハ評価人ヲシテ其財産ノ真価ヲ評セシムルコト無ク之ヲ売払フ可シ但シ幼者又ハ後見人ノ規則ニ管スル時ハ格別ナリトス 第千六十条 遺嘱ノ管理者財産ノ委託ヲ受ケタル間ニ期限ノ経過セシ義務アル時ハ其義務ヲ得ント裁判所ニ出訴スルコトヲ得可シ 第千六十一条 遺嘱ノ管理者ハ贈遺ノ財産分派ヲ容易ニスルヲ目的トシテ其財産ヲ売払フコトヲ得ス○管理者ハ其財産相続人ノ求メニ因リ財産相続人ヲ扶ケテ財産分派ヲ容易ニス可シ○管理者ハ其管理ヲ為ス可キ期限ノ経過セシ時其行ヒタル諸事ノ計算ヲ為シ(仏民法第千三十一条)且ツ其過剰ヲ返付シ諸財産相続人ノ間ニ之ヲ分配セシム可シ 第千六十二条 仏民法第千三十二条乃至第千三十四条ニ同シ 第千六十三条 仏民法第千三十二条乃至第千三十四条ニ同シ 第千六十四条 仏民法第千三十二条乃至第千三十四条ニ同シ 第千六十五条 遺嘱者ヨリ其遺嘱ノ管理者ニ財産ノ目録ヲ記シ又ハ其行ヒタル諸事ノ計算ヲ為スニ及ハサル旨ヲ約定シタル証書ハ当然ニ其効ナカル可シ 第千六十六条 又入額所得ノ権、人ニ伝フ可キ約定ヲ以テ贈遺ヲ受クル者、幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者等ニ管係ナキ時ハ遺嘱者其財産相続人又ハ遺嘱贈遺ヲ受クル者ニ遺留セシ財産ヲ管理ス可キ者ヲ任スルコトヲ得可シ○但シ法ニ適シテ別段指定メタル管理ス可カラサル財産ニ管スル規則アル時ハ格別ナリトス 第千六十三条ノ規則ハ此管理者ニ適用スルコトヲ得可シ 第千六十七条 若シ遺嘱者ノ躬カラ選任セシ遺嘱ノ管理者ナキ時之ニ代フ可キ者ヲ指定メサレハ裁判所ヨリ之ヲ定ム可シ 第千六十八条 何人ニ限ラス遺嘱ノ管理者タル職務ヲ承諾ス可キノ義務無シト雖モ嘗テ其職務ヲ承諾シタル者ハ全ク其任ヲ尽サヽルヲ得ス 若シ遺嘱者其遺嘱ノ管理者ニ贈与スル為メ確定シタル謝金又ハ酬報トシテ贈遺ス可キ財産ヲ遺留セサルニ於テハ其遺嘱ノ管理者ハ第五百二十二条ニ於テ失踪者ノ財産ヲ管理スル者ニ付キ定メタル謝金ニ准シテ之ヲ得ント要ムルコトヲ得可シ 第千六十九条 遺嘱ノ管理者及ヒ第千六十六条ニ記シタル財産ノ管理者ハ後見人ト同様ノ原由ニ因テ其職ヲ退カサルヲ得ス 第十四巻 財産相続ノ事ニ付テ商議スルノ権及ヒ相続スル財産ノ価額ノ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権 第千七十条 何人ニ限ラス財産相続ヲ為ス可キ者ハ尋常ニ財産相続ヲ承諾シ又ハ相続スル財産ノ価額ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権ヲ以テ之ヲ承諾シ又ハ全ク之ヲ放棄スルコトヲ決定スル為メ評議スルノ権アリ 此評議ヲ為スニ付テノ申述ハ財産相続ヲ開始ス可キ地ノ初審裁判所ノ書記局ニ於テ之ヲ為シ且ツ此種類ノ証書ヲ記ス可キ為メ別段設ケタル簿冊ノ中ニ其由ヲ謄記ス可シ(仏民法第七百九十三条) 第千七十一条 財産相続人ハ其申述ヲ為セシ日ヨリ起算シ四箇月中ニ財産ノ目録ヲ記シ且ツ其相続ノ事ニ付テ評議ヲ為ス可シ○自余ハ仏民法第七百九十八条ニ同シ 第千七十二条 仏民法第七百九十七条ニ同シ但シ「此定期ノ終ル時」云々以下ヲ除キ「財産相続ヲ為ス可キ者ハ家族ノ良父タルカ如ク其財産ヲ管理スルノ義務アリ」ヲ追加ス 第千七十三条 財産相続ノ事ニ付テ評議スル財産相続人ハ保存シ能ハサル物件ヲ売却シ又相続ノ事ニ付キ評議ス可キ期限ニ触ルヽコト無キ所為ヲナス為メ其允許ヲ得ント求ムルコトヲ得可シ 物件売却ノ方法ハ其允許ヲ得ント求ムル証書ニ確定ス可シ(仏民法第七百九十六条) 第千七十四条 裁判官ハ財産相続ニ管係スル者ノ訟求ニ因リ財産相続ノ目的タル財産又ハ第三ノ人ノ利益ヲ保全スルニ必要ナリト認ムル処置ヲ制定スルコトヲ得可シ 第千七十五条 第千七十一条ニ記シタル期限ノ経過セシ後ハ財産相続ヲ為ス可キ者其財産相続ヲ放棄シ又ハ尋常ニ之ヲ承諾シ又ハ相続セシ財産ノ価額ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権ヲ以テ之ヲ承諾セサルヲ得ス而シテ同上ノ特権ヲ以テ承諾セシ時ハ第千七十条ニ記載シタル方法ニ因リ其由ヲ申述スルヲ要トス 第千七十六条 仏民法第八百条乃至第八百二条ニ同シ 第千七十七条 仏民法第八百条乃至第八百二条ニ同シ 第千七十八条 仏民法第八百条乃至第八百二条ニ同シ 第千七十九条 仏民法第八百三条第一項ニ同シ 第千八十条 仏民法第八百五条乃至第八百七条ニ同シ 第千八十一条 仏民法第八百五条乃至第八百七条ニ同シ 第千八十二条 第千七十一条ニ記シタル権利ヲ行フ可キ期限ノ経過セシ日ヨリ起算シ三箇月中ニ財産相続人ハ其所在分明又ハ不分明ナル権利者及ヒ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者ニ財産管理ノ報告ヲ為シ且ツ相続シタル財産ノ価額ニ至ル迄負債又ハ贈遺物ヲ弁償ス可キノ為メ官用新紙(ガゼツト、ヲツフヒシエル)又ハ州ノ新紙ヲ以テ其由ヲ公告ス可シ(仏民法第八百八条及ヒ第八百九条、差異) 第千八十三条 財産相続人ハ其財産ノ計算ヲ為シ終リシ後チ当時其所在分明ナル権利者ニ其相続シタル財産ノ高ニ応シテ負債ヲ弁償シ又ハ其負債ノ全部ヲ弁償ス可シ 財産相続人ハ既ニ其財産ヲ分派セシ後チ権利者タル旨ヲ申出ツル者アル時ハ其順序ニ循ヒ未タ売却セサル財産又ハ既ニ分派セシ財産ノ剰余ヲ以テ負債ヲ弁償ス可シ(仏民法第八百八条及ヒ第八百九条) 第千八十四条 仏民法第八百八条第一項ニ同シ 第千八十五条 遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者ハ第千八十二条ノ記載シタル期限ノ経過セシ後及ヒ第千八十三条ニ記載シタル負債弁償ノ後ニ非サレハ其遺嘱贈遺ノ財産ヲ得ント要ムルコトヲ得ス○自余ハ仏民法第八百九条ニ同シ 第千八十六条 仏民法第八百三条第二項ニ同シ 第千八十七条 仏民法第八百十条ニ同シ 第千八十八条 本巻ノ第千七十一条、第千七十七条以下次条ノ規則ハ財産相続ヲ承諾シ又ハ承諾セサルコトヲ評議スルノ権利ヲ行フコト無ク第千七十五条ノ終尾ニ記載シタル申述ヲ為シテ其相続スル財産ノ価額ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権ヲ以テ相続ヲ為ス者ニ適用スルコトヲ得可シ(仏民法第七百九十三条) 第千八十九条 財産相続ヲ承諾シ又ハ承諾セサルコトヲ評議スルノ権利ヲ行ヒ或ハ相続スル財産ノ価額ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル特権ヲ以テ相続ヲ為スコトヲ遺嘱者ノ禁止セシ遺嘱贈遺ノ証書ハ無効ニ属ス可シ 第十五巻 財産相続ヲ肯スル事及ヒ肯セサル事 第一款 財産相続ヲ肯スル事 第千九十条 仏民法第七百七十四条及ヒ第七百七十五条ニ同シ 第千九十一条 仏民法第七百七十四条及ヒ第七百七十五条ニ同シ 第千九十二条 仏民法第七百七十六条追加 貧院、貧者救助ノ倉庫(ケース、ド、ボシブル)其他公ケノ館舎(ヱタブリスベン、ブユプリツク)又ハ宗教上ノ館舎ノ為メニ為シタル遺嘱ノ贈遺ハ国王ノ允許ヲ受ケ且ツ相続スル財産ノ価額ノ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル約定ヲ以テ之ヲ承諾ス可キ者トス 第千九十三条 仏民法第七百七十七条乃至第七百七十九条ニ同シ 第千九十四条 仏民法第七百七十七条乃至第七百七十九条ニ同シ 第千九十五条 仏民法第七百七十七条乃至第七百七十九条ニ同シ 第千九十六条 数人ノ財産相続人有リテ財産相続ヲ肯シ又ハ肯セサル事ヲ協議セサル時ハ其中ノ数人ハ之ヲ肯シ他ノ数人ハ之ヲ肯セサルヲ得可シ(仏民法第七百八十二条、差異)○又財産相続ヲ肯シ又ハ肯セサル事ノ方法ニ付キ数人ノ財産相続人協議ヲ為サヽル時ハ其相続スル財産ノ価額ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル約定ヲ以テ其財産相続ヲ肯ス可シ(仏民法第七百八十二条) 第千九十七条 仏民法第七百八十一条ニ同シ 第千九十八条 己レノ受ク可キ財産ノ部分ノ為メ財産相続ヲ承諾セシ者ハ財産相続ヲ肯セサル者ノ受ク可キ財産ノ部分モ亦受ケサルヲ得ス但シ第千百条ニ予定シタル場合ニ於テハ格別ナリトス 第千九十九条 仏民法第七百八十三条ニ同シ 第千百条 一旦財産相続ヲ肯シ更ニ其相続ヲ肯セサル者ノ受ケタル財産ノ部分ハ其与ニ財産相続ヲ為ス可キ者ノ之ヲ分派シテ己レノ所有ト為スコトヲ肯スル部分ノミニ非サレハ其与ニ財産相続ヲ為ス可キ者ニ分派ス可カラス 第千百一条 財産相続ヲ肯スル権利ヲ行フニ付テノ期限ハ其財産相続ヲ開始セシ日ヨリ起算シ三十箇年ヲ経過シ而シテ其財産相続開始ノ以前又ハ以後ニ正当ノ財産相続人又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケシ者其財産相続ヲ肯シタル時ハ滅尽ス可シ然レトモ第三ノ人ノ一個ノ証書ニ因リ遺留ノ財産ヲ得可キ権利ヲ有シタル時ハ其権利ヲ害スルコト莫カル可シ(仏民法第七百八十九条及ヒ第七百九十条) 第千百二条 仏民法第七百九条ニ同シ 第二款 財産相続ヲ肯セサル事 第千百三条 仏民法第七百八十四条及ヒ第七百八十五条ニ同シ 第千百四条 仏民法第七百八十四条及ヒ第七百八十五条ニ同シ 第千百五条 仏民法第七百八十六条追加 若シ財産相続ヲ為ス可キ階級ノ血属親ナキ時ハ後ニ生存シタル配偶者其財産ヲ相続ス可シ○若シ前ニ記シタル諸人財産相続ヲ肯セサル時ハ官署ニ於テ其財産ヲ収続ス可シ 第千百六条 仏民法第七百八十七条及ヒ第七百八十八条ニ同シ 第千百七条 仏民法第七百八十七条及ヒ第七百八十八条ニ同シ 第千百八条 財産相続ヲ肯セサルノ権利ハ期満免除ト成ルコト無シ(仏民法第七百八十九条、差異) 第千百九条 仏民法第七百九十一条及ヒ第七百九十二条ニ同シ 第千百十条 仏民法第七百九十一条及ヒ第七百九十二条ニ同シ 第千百十一条 詭欺又ハ暴行ヲ受ケシニ因テ一旦財産相続ヲ肯セサリシ時ニ非サレハ再ヒ財産相続ヲ肯セント要ムルコトヲ得ス 第十六巻 財産相続ノ分派 第一款 分派、其効及ヒ財産相続人ノ分派シタル部分ヲ互ニ保証スル事 第千百十二条 仏民法第八百十五条及ヒ第八百十六条ニ同シ 第千百十三条 仏民法第八百十五条及ヒ第八百十六条ニ同シ 第千百十四条 若シ幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者財産相続ヲ為ス可キ時ハ自己ノ名義ヲ以テ其財産相続ノ分派ヲ訟求スルコトヲ得可シ但シ幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者ニ管スル巻ニ規定シタル規則ヲ循守ス可キ者トス(仏民法第八百十七条) 第千百十五条 仏民法第八百十八条ニ同シ但シ仏民法ノ「但シ夫婦共通ノ所有」云々ヨリ以下ヲ除キ「夫婦ノ間ニ財産ヲ共通セサル時ハ其婦ハ己レニ得可キ財産ヲ分派セント訟求スルコトヲ得可シ但シ其訟求ヲ為ス時ハ其夫又ハ裁判官ヨリ允許ヲ受クルヲ要トス」ヲ追加ス 第千百十六条 仏民法第八百十九条第一項ニ同シ 第千百十七条 死者及ヒ贈遺ヲ受ケシ者ノ権利者ハ己レノ得可キ財産ノ価額ニ至ル迄財産相続ノ分派ニ対シテ故障ヲ述ルコトヲ得可シ(仏民法第八百八十二条) 第千百十八条 仏民法第八百二十二条ニ同シ 第千百十九条 若シ相与ニ財産相続ヲ為ス可キ者ノ中ニ幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者アル時ハ左ノ五条ニ規定シタル規則ヲ循守スルニ非サレハ財産相続ノ分派ヲ為ストモ其効ナカル可シ(仏民法第八百十九条及ヒ第八百三十八条) 第千百二十条 相続ス可キ動産及ヒ不動産ハ一定ノ法式ニ循ヒ其目録ヲ記シ且ツ其評価ヲ為ス可キ者トス(仏民法第八百二十一条第八百二十四条及ヒ第八百二十五条) 第千百二十一条 仏民法第八百二十四条追加 公債証書ハ其日ノ相場ヲ以テ代価ヲ定ム可シ 第千百二十二条 若シ容易ニ不動産ヲ分派スルコト能ハサルカ又ハ財産相続ヲ為ス可キ部分ヲ定ムル時其不動産ノ価ニ等シキ動産ヲ以テ其不動産ニ換フルコト能ハサル時ハ後見人ノ監察者又ハ管財人ノ監察者ノ面前ニ於テ公売ニ(ワント、ヒュブリツク)掛ケ初審裁判所ヨリ任セラレタル検察官ノ意見ニ因リ又ハ其土地ノ慣習ニ因リ之ヲ糶売ス可シ(仏民法第八百二十七条) 若シ其与ニ財産相続ヲ為ス可キ者ノ中其不動産ノ買主ト為ル時ハ其売買ハ財産ノ分派ニ等シキ効アリトス 第千百二十三条 仏民法第八百三十一条ニ同シ 第千百二十四条 財産分派ハ擢籤ヲ以テ之ヲ為ス可シ 財産分派及ヒ其擢籤ハ諸財産相続人ノ任スル公証人又紛議アル時ハ裁判所ヨリ任スル公証人ノ面前ニ於テ治安裁判官ノ紹介(アンテルワンション)ヲ以テ之ヲ為ス可シ 分派ノ証書ハ同上ノ公証人之ヲ収領ス可シ○其与ニ財産ヲ分派セシ丁年者ノ間ニ於テ其財産ヲ交換スル時ハ分派ノ証書ニ其由ヲ謄記ス可シ而シテ其交換ハ他ノ契約ニ等シキ力アリトス(仏民法第八百三十四条) 第千百二十五条 当然ニ財産相続ヲ為ス可キ者不在ナル時又ハ其中ノ数人財産分派ニ臨席スルコトヲ否ム時ハ初審裁判所ヨリ其財産相続ニ管係ナキ人ヲ以テ其代人ト為ス可シ此場合ニ於テハ第千百二十条以下次条第千百二十四条ノ規則ヲ循守ス可シ(仏民法第百十三条、第八百十九条及ヒ第八百二十三条) 第千百二十六条 「分派ヲ為セシ後ハ各相続人ニ各々其所有ト為シタル財産ニ付テノ証書ヲ引渡ス可シ」以下仏民法第八百四十二条第二項ニ同シ 第千百二十七条 仏民法第八百四十二条三項追加 又各相続人ハ自己ノ費用ヲ以テ其証書ヲ写取ルノ権利ヲ有ス可シ 第千百二十八条 各財産相続人ハ己レノ相続シタル財産及ヒ第千百二十二条ノ場合ニ於テ得タル財産ヲ嘗テ財産相続ノ開始セシ時ヨリ己レ一人ニテ相続シタル者ト看做シ相続ス可キ財産中ノ他ノ財産ハ之ヲ所有シタルコト無シト看做ス可シ(仏民法第八百八十三条) 第千百二十九条 仏民法第八百八十四条及ヒ第八百八十五条ニ同シ 第千百三十条 仏民法第八百八十四条及ヒ第八百八十五条ニ同シ 第千百三十一条 仏民法第八百八十六条ニ同シ但シ五箇年ノ期限ヲ三箇年トス 第二款 返還ノ事 第千百三十二条 各財産相続人ノ其財産相続ニ付テノ負債ヲ弁償シ又ハ其負債ノ計算ヲ為スノ義務アル時ヲ除クノ外尚ホ左ニ記列シタルカ如ク死者ヨリ受ケタル生存中ノ贈遺ノ財産ヲ返還セサルヲ得ス 第一 嫡出又ハ私生ノ卑属親ニシテ尋常ニ財産相続ヲ承諾シタルト其相続スル財産ノ価額ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル約定ヲ以テ之ヲ承諾シタルトヲ問ハス唯々当然ニ受ク可キ贈遺ノ財産ヲ相続シタル者又ハ己レノ受ク可キ財産ノ分外ヲ相続シタル者ハ遺嘱者ノ生存中ニ為シタル贈遺ノ財産ヲ返還セサルヲ得ス但シ公正ノ証書又ハ遺嘱贈遺ノ証書ニ因テ其贈遺ノ財産ヲ返還スルニ及ハサル事ノ明白ナル時ハ格別ナリトス 第二 生存中ノ贈遺者又ハ遺嘱者ノ嘗テ其財産ヲ返還ス可キ旨ヲ明カニ定メ置キタル時ハ前項ニ記シタル他ノ財産相続人又ハ遺嘱ノ贈遺ヲ受ケタル者モ亦其贈遺ノ財産ヲ返還セサルヲ得ス(仏民法第八百四十三条) 第千百三十三条 仏民法第八百四十五条ニ同シ 第千百三十四条 若シ返還ス可キ物件相続ス可キ財産ノ部分ヨリ一層多量ナル時ハ其財産相続人ハ其過剰ノ価額ヲ返還スルニ及ハス但シ前条ニ記シタル事ニ付テハ格別ナリトス 第千百三十五条 仏民法第八百四十七条乃至第八百四十九条ニ同シ 第千百三十六条 仏民法第八百四十七条乃至第八百四十九条ニ同シ 第千百三十七条 仏民法第八百五十条及ヒ第八百五十七条ニ同シ 第千百三十八条 仏民法第八百五十八条ニ同シ 第千百三十九条 不動産ヲ返還ス可キ財産相続人ハ贈遺ノ時ノ相場ヲ以テ其不動産ノ代価ヲ返還シ又ハ返還ス可キ時ノ不動産ノ形状ニテ現物ヲ返還スルコトヲ得可シ但シ己レノ過失ニ因リ不動産ノ価ノ低下セシ時ハ其算計ヲ為シ或ハ其不動産ヲ抵当ト為シ又ハ書入質ト為シタル時ハ之ヲ請戻シテ返還スルヲ要トス○自余ハ仏民法第八百六十一条及ヒ第八百六十二条ニ同シ 第千百四十条 贈遺トシテ得タル金額ハ其贈遺ノ財産ノ金額ニテ之ヲ差引キテ返還ス可シ(仏民法第八百六十九条) 第千百四十一条 動産ノ贈遺ヲ受ケタル者ハ其贈遺ヲ受ケシ時ノ相場ニテ其動産ノ代価ヲ返還シ又ハ其現物ヲ返還スルコト自由タル可シ(仏民法第八百六十八条) 第千百四十二条 仏民法第八百五十一条及ヒ第八百五十二条ニ同シ 第千百四十三条 仏民法第八百五十一条及ヒ第八百五十二条ニ同シ 第千百四十四条 仏民法第八百五十六条ニ同シ 第千百四十五条 仏民法第八百五十五条ニ同シ 第三款 財産相続ニ付キ担当ス可キ負債ヲ払フ事 第千百四十六条 仏民法第八百七十条ニ同シ 第千百四十七条 各財産相続人ハ書入質ノ権ヲ有シタル権利者ノ権利又ハ財産ヲ分派スル前ニ其財産ノ全部ニ付キ有シタル権利者ノ権利ヲ害スルコト無ク各々己レニ得タル財産相続ノ割合ヲ以テ其財産相続ニ付テノ負債ヲ担当ス可シ(仏民法第八百七十三条) 第千百四十八条 仏民法第八百七十二条追加 若シ年金ヲ払フ可キノ受合トシテ不動産ノミヲ書入質ト為シ而シテ対人ノ義務ナキ時ハ各財産相続人其年金ノ元金ヲ皆済シテ其不動産書入質ノ義務ヲ滌掃ス可キ訴ヲ為スヲ得ス而シテ其不動産ハ其年金ノ元金高ヲ差引キ各自ニ分派シテ相続ス可キ財産中ニ算入ス可シ 第千百四十九条 財産相続人中ノ一人書入質ノ義務ヲ行ハンカ為メ己レノ担任ス可キ負債ノ余分ヲ払ヒタル時ハ其他ノ財産相続人ニ対シ各自ノ担任ス可キ負債ノ部分ヲ取戻ス可キ訴ヲ為スヲ得可シ 第千百五十条 仏民法第八百七十六条ニ同シ 第千百五十一条 仏民法第八百七十一条第二項ニ同シ 第千百五十二条 仏民法第八百七十四条ニ同シ 第千百五十三条 仏民法第八百七十八条ニ同シ 第千百五十四条 仏民法第二千百十一条第一項ニ同シ 第千百五十五条 仏民法第八百七十九条ニ同シ 第千百五十六条 相続ス可キ財産ヲ分派スル権利ヲ行フ可キ期限ハ三箇年ヲ以テ定限トス(仏民法第八百八十条) 第千百五十七条 仏民法第八百八十一条ニ同シ 第四款 相続ヲ為ス財産ノ分派ヲ取消ス事 第千百五十八条 仏民法第八百八十七条ニ同シ 第千百五十九条 仏民法第八百九条乃至第八百九十二条ニ同シ 第千百六十条 仏民法第八百九条乃至第八百九十二条ニ同シ 第千百六十一条 仏民法第八百九条乃至第八百九十二条ニ同シ 第千百六十二条 財産分派ヲ取消スニ付テノ訴訟期限ハ其財産ヲ分派セシ日ヨリ起算シ三箇年ヲ以テ定限トス 第千百六十三条 仏民法第八百八十八条ニ同シ 第千百六十四条 仏民法第八百八十九条ニ同シ 第千百六十五条 財産分派ノ取消ヲ為セシ後チ更ニ其財産ヲ分派スル時ハ法ニ適シテ第三ノ人ノ得タル権利ヲ害ス可カラス 第千百六十六条 財産分派ヲ取消スニ付テノ訴訟ヲ放棄スルモ其効ナカル可シ 第五款 父母又ハ其他ノ尊属ノ親其財産ヲ卑属ノ親ニ分派スル事 第千百六十七条 父母又ハ其他ノ尊属ノ親ハ其子又ハ卑属ノ親ニ其財産ヲ分派スルコトヲ得可シ(仏民法第千七十五条及ヒ第千七十六条) 第千百六十八条 仏民法第千七十七条及ヒ第千七十八条ニ同シ 第千百六十九条 仏民法第千七十七条及ヒ第千七十八条ニ同シ 第千百七十条 仏民法第千七十九条追加 此条ニ付テノ訴訟期限ハ遺嘱者ノ死去セシ日ヨリ起算シ三箇年ヲ以テ定限トス 第千百七十一条 仏民法第千八十条ニ同シ 第十七巻 財産相続人ノ虧缺シタル財産 第千百七十二条 仏民法第八百十一条ニ同シ 第千百七十三条 仏民法第八百十二条追加 若シ死者遺嘱ノ管理者ヲ任シタル時ハ其管理者ハ当然其財産ノ管財人ト為ル可シ但シ其死者他ニ管財人ヲ任セシコトヲ請求スル時ハ格別ナリトス 第千百七十四条 仏民法第八百十三条追加 管財人ニ任セラレタル者ハ新聞紙ヲ以テ其由ヲ諸財産相続人ニ報道ス可シ 第千百七十五条 財産相続ヲ開始セシ日ヨリ三年ノ期限間ニ財産相続人中一人モ現出セサルニ於テハ官署ニ其財産ノ計算ヲ為ス可シ而シテ官署ハ其財産ヲ仮リニ保有スルコトヲ得可シ(仏民法第七百七十条) 第千百七十六条 第五百二十二条、第千八十二条、第千八十三条、第千八十四条、第千八十五条及ヒ第千八十七条ノ規則ハ財産相続人ノ虧缺シタル財産ノ管財人ニ適用スルコトヲ得可シ(仏民法第八百十四条) 第十八巻 先取特権 第一款 総テノ先取特権 第千百七十七条 仏民法第二千九十二条乃至第二千九十四条ニ同シ但シ第二千九十四条ニ「質入ノ権」ヲ追加ス 第千百七十八条 仏民法第二千九十二条乃至第二千九十四条ニ同シ但シ第二千九十四条ニ「質入ノ権」ヲ追加ス 第千百七十九条 仏民法第二千九十二条乃至第二千九十四条ニ同シ但シ第二千九十四条ニ「質入ノ権」ヲ追加ス 第千百八十条 先取特権トハ義務ヲ得可キ一人其義務ノ種類ニ因リ他ノ義務ヲ得可キ者ニ先タチ其義務ヲ得可キコトヲ法律上ニ認定スル権利ヲ云フ 質入及ヒ書入質ノ権ハ先取特権ニ優ル者トス但シ之ニ反スル特定ノ法律アル時ハ格別ナリトス(仏民法第二千九十五条、差異) 第千百八十一条 仏民法第二千九十六条ニ同シ 第千百八十二条 仏民法第二千九十七条及ヒ第二千九十八条第一項ニ同シ 第千百八十三条 仏民法第二千九十七条及ヒ第二千九十八条第一項ニ同シ 第千百八十四条 先取特権ハ別段指定メタル財産又ハ動産及ヒ不動産ノ全部ニ付テ之ヲ行フコトヲ得可シ○別段指定メタル財産ニ付テノ先取特権ハ其財産ノ全部ニ付テノ先取特権ニ優ル者トス(仏民法第二千百条) 第二款 別段定マリタル財産ノ付テノ先取特権 第千百八十五条 別段定マリタル財産ニ付テノ先取特権ハ左ニ記列シタルカ如シ 第一 既ニ裁判ヲ経タル財産ノ代価ヲ以テ義務者ノ購求セントスル動産又ハ不動産ヲ奪フ事ニ付キ為シタル訴訟入費ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第二 不動産ノ賃貸家ノ補理ニ管スル権利及ヒ賃貸ノ執行ニ管スル諸権利ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第三 未タ代価ヲ得サル動産ノ代価ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第四 他人ノ品物ヲ保全スル為メ費用ヲ出シタル者ハ其費用ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第五 品物ヲ工作セシニ因リ其職工ノ得可キ工作ノ代価ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第六 旅舎ノ主人ハ旅客ニ供セシ品物ノ代価ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第七 馬車ニテ運搬セシ入費及ヒ之ニ附帯シタル費用ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ 第八 泥工(マソン)、木工(シャルバンチヱー)及ヒ他ノ職工長(メートル、フーブリエー)ノ不動産ヲ造営シ又ハ補理セシニ因リ得可キ代価ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ但シ其代価ヲ得可キ権利三十年ヲ経過シ且ツ其不動産義務者ノ所有ニ属セサル時ハ格別ナリトス 第九 官吏其職務ヲ行フニ付キ不正ノ所為アリシニ因リ償ヲ出ス可キ時ハ其償額ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ(仏民法第二千百二条) 第千百八十六条 土地及ヒ家屋ノ貸主ハ枝又ハ根ニ連ナル物ノ入額、既ニ収納セシ入額、飾具、器具、獣類及ヒ其土地内ニ在ル諸種ノ物件ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ又仮令ヒ其諸種ノ物件其借主ニ属セサル時ト雖モ先取特権ヲ行フコトヲ得可シ○若シ借主ヨリ法ニ適シテ其土地ノ一部ヲ他ニ転貸シタル時ハ土地ノ所有者ノ其土地ノ全部中転貸シタル土地ノ部内ノ在ル物件ヲ差押フルコトヲ得ス但シ転借主ノ其義務ヲ行ハサルニ於テハ其物件モ亦差押フルコトヲ得可シ 第千百八十七条 仏民法第二千百二条第一ノ第四項「然レトモ種子ノ費用ノ償」以下及ヒ第五項ニ同シ 第千百八十八条 仏民法第二千百二条第一ノ第四項「然レトモ種子ノ費用ノ償」以下及ヒ第五項ニ同シ 第千百八十九条 土地及ヒ家屋ノ貸主ハ三箇年以降払ヒ期限ノ過キタル土地及ヒ家屋ノ貸賃及ヒ総テ毎年中ニ得可キ金額ニ付キ先取特権ヲ行フ可シ(仏民法第二千百二条) 第千百九十条 仏民法第二千百二条第四ニ同シ但シ第四ノ第五項「此規則ヲ以テ商人ノ」以下ヲ除ク 第千百九十一条 仏民法第二千百二条第四ニ同シ但シ第四ノ第五項「此規則ヲ以テ商人ノ」以下ヲ除ク 第千百九十二条 仏民法第二千百二条第四ニ同シ但シ第四ノ第五項「此規則ヲ以テ商人ノ」以下ヲ除ク 第千百九十三条 第千百八十五条ニ記シタル第四、第五、第六、第七、第八、第九ノ先取特権ヲ行フハ左ノ如シ 第四ノ先取特権ハ保存スルニ因リ入費ヲ施用シタル物件ニ付キ之ヲ行ヒ、第五ハ工作セシ物件ニ付キ之ヲ行ヒ、第六ハ旅客ノ荷物ニ付キ之ヲ行ヒ、第七ハ運搬セシ物件ニ付キ之ヲ行ヒ(仏民法第二千百二条第六)第八ハ造営又ハ補理セシ不動産ノ代価ニ付キ之ヲ行ヒ、第九ハ官吏ノ其職ニ任スルニ付キ出シタル保証金ノ元資ト利子トニ付キ之ヲ行フ可シ(仏民法第二千百二条第七) 第千百九十四条 本款ニ記シタルカ如キ先取特権ヲ有スル諸権利者ノ会合セシ時物件ヲ保存スル為メニ施用シタル入費ニ付テノ先取特権ハ他ノ先取特権ヨリ後ニ発生スト雖モ優等ノ者トス(仏民法第二千百二条第三項) 第三款 動産及ヒ不動産ノ全部ニ付テノ先取特権 第千百九十五条 仏民法第二千百一条及ヒ第二千百四条追加 幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ権利者ハ其先取特権ヲ行フ可キ事其幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ後見人又ハ管財人ノ所為ヨリ生シ而シテ書入質又ハ担保ニ因テ其権利ヲ得ルコト能ハサル時ハ其後見人又ハ管財人ニ対シテ先取特権ヲ行フ可シ 第十九巻 質入ノ事 第千百九十六条 質入トハ権利者ノ其権利ヲ保全ナラシムル為メ義務者又ハ義務者ノ名義ヲ有スル者ヨリ動産ヲ受取ルニ付キ得ル権利ニシテ質入ヲ為ス前ノ訴訟入費及ヒ物件ヲ保存スル為メニ施用シタル入費ヲ除クノ外他ノ権利者ニ優ル先取特権ニ因リ其物件ヲ以テ義務ノ弁償ヲ得可キ権利ヲ云フ(仏民法第二千九十五条) 第千百九十七条 仏民法第二千七十四条乃至第二千七十六条ニ同シ 第千百九十八条 仏民法第二千七十四条乃至第二千七十六条ニ同シ 第千百九十九条 仏民法第二千七十四条乃至第二千七十六条ニ同シ 第千二百条 仏民法第二千七十八条第一項ニ同シ 第千二百一条 質入ノ契約ヲ結フ双方ノ者ハ特定ノ契約ヲ以テ質入ヲ為シタル義務者其負債ヲ弁償セサルニ於テハ権利者其義務者ニ弁償ノ催促ヲ為セシ後チ其土地ノ習慣ト常用ノ条件トニ因リ公ケニ其質物ヲ売却シ其価額ヲ以テ負債、諸入費及ヒ利足総計ヲ弁償セシムルニ付キ確乎タル権利ヲ有ス可キ旨ヲ約定スルコトヲ得可シ 第千二百二条 公債証書又ハ権利ノ証券ヲ質入ト為シタル時モ亦前条ニ等シク若シ義務者ノ其質入ノ証書ニ付テノ義務ヲ行ハサルニ於テハ其公債証書又ハ権利ノ証券ヲ売却スルコトヲ得可シ○株式取引所ニ於テ代価ヲ謄記シタル証書ハ其株式取引所ノ証券売買人二名ヨリ負債弁償ノ催促ヲ為セシ翌日ヨリ之ヲ売却スルコトヲ得可ク又代価ヲ謄記セサル証書ハ習慣ニ循ヒ公ケニ之ヲ売却スルコトヲ得可シ 第千二百三条 仏民法第二千八十条乃至第二千八十三条ニ同シ 第千二百四条 仏民法第二千八十条乃至第二千八十三条ニ同シ 第千二百五条 仏民法第二千八十条乃至第二千八十三条ニ同シ 第千二百六条 仏民法第二千八十条乃至第二千八十三条ニ同シ 第千二百七条 仏民法第二千八十四条ニ同シ但シ「但シ此等ノ事ニ付テハ」以下ヲ「但シ此典舗等ニ管スル商法又ハ規則中ニ別段設ケタル規則アル時ハ格別ナリトス」ニ作ル 第二十巻 書入質ノ権 第一款 総則 第千二百八条 仏民法第二千百十四条ニ同シ 第千二百九条 仏民法第二千百十四条ニ同シ 第千二百十条 仏民法第二千百十八条ニ追加スルコト左ノ如シ 第三土地ノ表面使用ノ権及ヒ長期賃貸ノ権 第四金額又ハ天然ノ産物ヲ以テ払フ可キ土地ノ貸賃 第五入額十分一ヲ得ルノ権 第六「ベクランマング」ノ権此権ハ土地ノ表面使用ノ権ニ類似スル者ニシテ全ク荷蘭国グロナンク州ノミニ用フル権ナリ 第千二百十一条 書入質ノ権ハ向来ニ至リ其書入質ト為シタル不動産ヲ良好ニ為シタル諸件又ハ不動産ニ附加スル物及ヒ造営物ニモ亦及ホス可シ(仏民法第二千三十三条) 第千二百十二条 未タ分タサル共通ノ不動産モ亦書入質ト為スコトヲ得可シ○不動産ヲ分派セシ後ハ第千三百七十七条ノ例外ヲ除クノ外義務者ノ受ク可キ不動産ノ部分ニ付テノミ書入質ノ権ヲ行フ可シ(仏民法第八百八十三条ノ初メ) 第千二百十三条 仏民法第二千百十九条ニ同シ 第千二百十四条 仏民法第二千百二十四条乃至第二千百二十六条ニ同シ 第千二百十五条 仏民法第二千百二十四条乃至第二千百二十六条ニ同シ 第千二百十六条 仏民法第二千百二十四条乃至第二千百二十六条ニ同シ 第千二百十七条 書入質ハ之ヲ為スタメ法律上ニ於テ別段設ケタル方法アル時ハ除クノ外公証人ノ記シタル証書ニ因テノミ之ヲ為ス可シ(仏民法第二千百二十七条) 書入質ノ権ハ公正ノ証書ニ因テ之ヲ得可シ 後見人、管財人、夫又ハ法律上或ハ契約上書入質ヲ為ス可キ者ハ質物トシテ其簿冊ニ謄記ス可キ財産ヲ別段指定メタル裁判言渡書ニ循ヒ其書入質ヲ為ス可シ 婚姻ヲ結ヒタル婦ノ其婚姻ノ契約書中ニ書入質ノ権ヲ得タル者ハ其夫ニ商議スルコト無ク又裁判官ノ允許ヲ受クルコト無ク其書入質ノ権ヲ簿冊ニ謄記シ又之ニ管スル訴訟ヲ為スコトヲ得可シ 第千二百十八条 仏民法第二千百二十八条ニ同シ 第千二百十九条 書入質ノ権ヲ行フニ付テノ証書ニハ書入質ト為シタル不動産、其種類及ヒ「カダストラル」土地ノ方域、種々ノ耕作物、必要ノ入費、収納額及ヒ賦税ヲ識得スル方法ノ意上ノ区分ニ循ヒ其所在ノ地ヲ別段記スルヲ要トス(仏民法第二千百二十九条) 書入質ト為シタル不動産ニ付テノ租税及ヒ入額ノ部分ヲ示スコト能ハサル時ハ証書中ニ書入質ト為シタル土地ノ部分ノ方域及ヒ其所在ノ州邑ヲ記スルヲ以テ足レリトス 第千二百二十条 現在ノ財産ニ非サレハ書入質ト為スヲ得ス○将来ノ財産ニ付テノ書入質ハ其効ナカル可シ(仏民法第二千百二十九条第二項) 然レトモ婦ノ婚姻ノ契約ニ因リ書入質ノ権ヲ得タル時又ハ義務者ノ其権利者ニ書入質ヲ為ス可キ義務アル時ハ其夫又ハ義務者ハ其義務ヲ尽シ且ツ書入質ノ契約ヲ結ヒシ後ニ得タル財産ヲ示スノ義務アリ 第千二百二十一条 仏民法第二千百三十二条ニ同シ 第千二百二十二条 権利者ハ如何ナル場合ヲ問ハス書入質ヲ増加セント要ムルヲ得ス但シ法律上之ニ反スル約定又ハ規則アル時ハ格別ナリトス 第千二百二十三条 権利者書入質ニ取リタル財産ヲ己レノ所有ト為スコトヲ得可キ約定ハ其効ナカル可シ○然レトモ第一ニ書入質ノ権ヲ得ル権利者ハ其書入質ノ権ヲ得ル証書中ニ若シ義務者ノ其元資及ヒ払フ可キ利息ヲ弁償セサルニ於テハ其書入質ト為シタル財産ヲ公ケニ売却シ其価額ヲ以テ元資、利息及ヒ諸入費ヲ払フ可キ旨ヲ別段契約スルコトヲ得可シ○此契約ハ公ケノ簿冊中ニ謄記シ而シテ其財産ノ売却ハ第百二十五条ニ規定シタル方法ニ循ヒ治安裁判官ノ臨場ヲ要スルコト無ク之ヲ為スコトヲ得可シ 第二款 書入質ノ権ノ記入及ヒ其法式 第千二百二十四条 書入質ノ権ハ之カ為メ備ヘタル公ケノ簿冊ニ記入ス可シ○記入ナキ時ハ仮令ヒ私ノ証書ヲ以テ書入質ノ権ヲ得タル権利者ニ対スト雖モ其効ナカル可シ(仏民法第二千百三十四条) 第千二百二十五条 若シ義務者ノ其書入質ト為シタル財産ニ付キ所有権ヲ失ヒシ時ハ書入質ノ権ノ記入ヲ為ストモ其効ナカル可シ 第千二百二十六条 書入質ノ権ヲ得タル権利者ノ順序ハ記入ノ時日ニ因テ定ム可シ但シ左ニ記シタル二箇条ノ例外ハ格別ナリトス(仏民法第二千百三十四条)自余ハ仏民法第二千百四十七条ニ同シ 第千二百二十七条 売却シタル不動産ノ代価ヲ保全スル為メノ証書ニ因リ得タル書入質ノ権ハ其不動産ノ所有権ヲ移ス証書ヲ謄記セシ後チ九日ノ時間ニ公ケノ簿冊ニ謄記ス可シ此書入質ノ権ハ不動産ノ買主ノ同上ノ時間ニ得タル書入質ノ権ニ優ル者トス(仏民法第二千百八条) 第千二百二十八条 前条ノ規則ハ財産分派ヲ為ス可キ者ノ中ノ一人財産分派ノ証書ニ循ヒ其財産ヲ分派ス可キ時、未タ之ヲ分派セサルニ因リ他ノ一人ニ対シ義務者タル時、其財産分派ヲ平等ナラシム可キ義務ノ弁償ヲ保全ナラシムル為メ又ハ分派シテ受ク可キ財産ノ部分ヲ担保スル為メ財産分派ノ証書ニ因リ得タル書入質ノ権ニ適用スルコトヲ得可シ 第千二百二十九条 仏民法第二千百五十条ニ同シ 第千二百三十条 不動産ニ管シテ義務者ノ権利ヲ制限スル特定ノ条件ニシテ且ツ書入質ノ証書中ニ保含スル諸条件即チ権利者ノ承諾ヲ得ルニ非サレハ義務者其不動産ヲ賃貸スルノ権利ヲ行フコト能ハサル事或ハ賃貸ノ方法又ハ時限ニ管スル事或ハ賃貸ノ前払ヒヲ受ケタル価額ニ管スル事ハ賃貸ノ契約ヲ結ヒシ双方ノ者必ス之ヲ執行ス可キノ義務有ルノミナラス尚ホ其不動産ヲ得タル第三ノ人ニ対シテモ亦此等ノ条件ヲ以テ妨碍ト為スコトヲ得可シ但シ権利者ノ其条件ヲ公ケノ簿冊ニ謄記セサル時ハ格別ナリトス 右ノ条件ハ第千三百七十七条ノ規則ニ触ルヽコト莫カル可シ 第千二百三十一条 仏民法第二千百四十八条ヲ変更スルコト左ノ如シ 権利者書入質ノ権ノ記入ヲ得ントスルニハ姓名ヲ手署シタル箇条書二通ヲ自身又ハ他ノ人ヲ以テ書入質ノ管轄者ニ出ス可ク但シ其一通ハ証書類ノ副本ニ附記スルコトヲ得可シ○箇条書ニハ左ノ諸件ヲ記ス可シ 第一 仏民法第二千百四十八条第一項及ヒ第二項追加 死去セシ者ノ書入質ノ権ノ記入ハ其死者ノ名義ヲ以テ為スコトヲ得可シ 第二 義務ノ証書ノ日附及ヒ本義、義務ノ証書ヲ記シタル官吏ノ姓名、第千二百十七条第三項ノ規則ニ依遵シ抵当ト為ス可キ財産ヲ指定メタル裁判官ノ姓名 第三 仏民法第二千百四十八条第三及ヒ第四ニ同シ 第四 「カダストラール」第千二百十九条ニ此語ノ義意アリ上ノ区別ニ循ヒ且ツ十分一ノ税及ヒ土地ニ付テノ年金ニ管シテ第千二百十九条第二項ニ設ケタル例外法ニ触ルヽコト無ク書入質ト為シタル財産ノ種類及ヒ其所在ノ地 第五 第千二百二十三条第二項及ヒ第千二百五十四条第二項ニ原ツキ権利者ト義務者トノ間ニ取結ヒタル約束 第千二百三十二条 書入質ノ管轄者ハ箇条書ヲ受取リシ日ニ其書入質ノ権ノ記入ヲ為ス為メ其一通ヲ保有シ他ノ一通ハ之ヲ受取リシ日ヲ其書ノ末ニ記シ其記入ヲ求メシ者ニ直ニ返還ス可シ又人ノ求メニ因テハ書入質ノ権ヲ記入シタル簿冊ノ番号ヲ二十四時間内ニ箇条書ニ附記セサルヲ得ス○書入質ノ管轄者ハ二通ノ箇条書ニ姓名ヲ手署ス可シ(仏民法第二千百五十条) 第千二百三十三条 第千百五十四条ニ記シタルカ如キ記入ヲ求ムル権利者及ヒ贈遺ヲ受クル者ハ(仏民法第二千百十一条第一項)書入質ノ管轄者ニ左ニ列記シタルカ如キ書類ヲ差出ス可シ 第一 財産ヲ分派ス可キ訟求ニ管スル公正ノ正本 第二 死者ノ死去ノ証書又ハ財産相続ヲ開始セシ日ヨリ起算シ六箇月以内ニ記シタル財産分派ノ訟求書ノ外正確ナル証書 第三 第千二百三十一条第四ノ規則ニ原ツキ財産ヲ掲載シタル箇条書二通○第千二百三十二条ノ規則ハ此箇条ニ付キ適用スルコトヲ得可シ 第千二百三十四条 仏民法第二千百五十二条ニ同シ 第千二百三十五条 書入質ノ権ノ記入ハ仮令ヒ前ニ規定セル法式ニ脱漏スル所アリト雖モ権利者ノ姓名、義務者ノ姓名、負債及ヒ書入質ト為シタル財産ヲ明白ニ記セサル時ニ非サレハ取消スコトヲ得ス 第千二百三十六条 書入質ノ権ハ仮令ヒ其記入ヲ改正スルコト無クトモ猶ホ存立ス可シ(仏民法第二千百五十四条、差異) 第千二百三十七条 書入質ノ権ヲ記入スルニ付テノ入費ハ義務者之ヲ担任ス可シ但シ反対ノ約束アル時ハ格別ナリトス(仏民法第二千百五十五条) 第千二百三十八条 仏民法第二千百五十六条ニ同シ 第三款 書入質ノ権ノ記入ヲ塗抹スル事 第千二百三十九条 仏民法第二千百五十七条乃至第二千百五十九条ニ同シ 第千二百四十条 仏民法第二千百五十七条乃至第二千百五十九条ニ同シ 第千二百四十一条 仏民法第二千百五十七条乃至第二千百五十九条ニ同シ 第四款 義務者ノ不動産ヲ所有ト為シタル者ニ付キ書入質ノ権ノ効 第千二百四十二条 仏民法第二千百六十六条ニ同シ 第千二百四十三条 権利者ノ其義務者ニ要決書ヲ送リシ後ニ於テハ義務者ヨリ第三ノ人ニ書入質ト為シタル不動産ヲ差押ヘ又ハ売却セシムルコトヲ得可シ○此等ノ事ニ管シテハ訴訟法ニ規定シタル法式即チ権利者其義務者ノ不動産ヲ抵償トシテ収取スル事及ヒ権利者ノ順序ニ管スル法式ヲ循守ス可シ(仏民法第二千百六十九条) 第千二百四十四条 仏民法第二千百七十条ニ同シ 第千二百四十五条 若シ不動産ノ一部又ハ其数部第三ノ人ノ手ニ渡リタル時ト雖モ権利者ハ其義務者ノ其不動産ヲ保有シテ分ツコト能ハサル時ニ於ケルカ如ク其不動産ノ全部又ハ其一部ニ付キ自己ノ権利ヲ行フコトヲ得可シ(仏民法第二千百十四条) 第千二百四十六条 義務者ノ負債ヲ弁償シタル第三ノ人ハ当然権利者ノ権利ニ代ルコトヲ得可シ而シテ書入質ノ権ヲ行フ事ノ外義務ヲ得可キ為メ他ノ不動産ノ全部又ハ其一部ニ付キ自己ノ権利ヲ行フコトヲ得可シ但シ此権利ヲ行フニ付テハ己レニ得可キ書入質ノ財産ノ代価ヲ減殺ス可シ 第千二百四十七条 前二箇条ニ記シタル場合ニ於テハ書入質トシテ記入シタル財産ニ付テノミ其書入質ノ権ノ記入ヲ塗抹ス可シ而シテ書入質ト為シタル他ノ財産ニ付テハ義務者ニ代リ其義務ヲ尽シタル第三ノ人又ハ権利者ヨリ義務者ノ不動産ヲ抵償トシテ収取セラレタル第三ノ人ノ前条ニ原ツキ自己ノ権利ヲ行ヒシ後チ又ハ書入質ノ記入ヲ塗抹ス可キ旨ヲ承諾セシ後ニ非サレハ其記入ヲ塗抹ス可カラス 第千二百四十八条 義務者ノ不動産ヲ保有シタル第三ノ人第千二百二十九条ニ循ヒ其書入質ノ不動産利息及ヒ入費ヲ弁償ス可キ旨ヲ確証スルニ於テハ其不動産ヲ糶売スル迄其保有権ヲ維持スルノ権アリ 第千二百四十九条 不動産ヲ糶売シタル代価書入質ニ管スル負債及ヒ其入費ノ価額ニ超過スルニ於テハ其過剰金ハ義務者ノ不動産ヲ保有シタル第三ノ人ニ属ス可シ 第千二百五十条 仏民法第二千百七十七条第一項ニ同シ 第千二百五十一条 仏民法第二千百七十五条ニ同シ 第千二百五十二条 仏民法第二千百七十八条ニ同シ 第五款 書入質ノ権ノ消滅スル事 第千二百五十三条 書入質ノ権ハ左ノ諸件ニ因リ消滅ス可シ 第一 主タル義務ノ消滅スル事 第二 権利者書入質ノ権ヲ放棄スル事 第三 裁判所ノ命令ニ因ル事(仏民法第二千百八十条) 第千二百五十四条 権利者ノ其義務ノ抵償トシテ義務者ヨリ収取ス可キ不動産ヲ購求シタル者又ハ流通貨幣ヲ以テノミ確定ス可キ代価ヲ以テ随意ニ売買スルコトヲ得可キ証書ニ因リ不動産ヲ購求シタル者ハ次ノ数条ニ規定シタル規則ニ循ヒ其不動産ノ売買ノ代価ニ超過スル書入質ノ義務ヲ滌除ス可キ訴ヲ為スコトヲ得可シ○然レトモ書入質ヲ為ス時其双方ノ者随意ニ不動産ヲ売却スルヲ得可キコトヲ約定シ且ツ其約定ヲ公ケノ簿冊ニ謄記シタル時随意ニ其不動産ヲ売却セシ後ハ其不動産ノ売買ノ代価ニ超過スル書入質ノ義務ヲ滌除ス可カラス○同上ノ約定ハ第一ニ書入質ノ権ヲ得タル権利者ニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス 第千二百五十五条 随意ニ不動産ヲ売却スル場合ニ管シテハ其土地ノ習慣ニ循ヒ検察官ノ面前及ヒ其不動産ノ全部又ハ其過半所在ノ地ノ治安裁判官ノ面前ニ於テ公ケニ売却セシ時及ヒ書入質ノ権ヲ記入シタル権利者ニ其不動産ノ糶売ヲ為ス可キ時ヨリ少ナクトモ三十日以前其糶売ヲ為ス可キ地ノ報知ヲ為シタル時ニ非サレハ書入質ノ権ヲ滌除ス可キ訴ヲ為ス可カラス 第千二百五十六条 第千二百五十四条ニ因リ利益ヲ得ント欲スル不動産ノ買主ハ其不動産ヲ糶売セシ月ノ中ニ訴訟法ニ制定シタル規則ニ循ヒ諸権利者ノ其義務ヲ得可キ順序ヲ定メント求ム可シ 第千二百五十七条 前条ノ順序ヲ定ムル時若シ其義務ヲ得可キ順序中ニ加ハラサル者ノ得タル書入質ノ権ノ記入アル時ハ裁判所ヨリ之ヲ塗抹ス可キ言渡ヲ為ス可シ○不動産ノ一部ニ付キ義務ヲ得可キ順序中ニ加ハリタル者ノ書入質ノ権ノ記入ハ其義務ノ払ヒ期限ニ至リタルト否トヲ問ハス権利者ノ直ニ負債ノ弁償ヲ得ント要ムルニ至ル迄依然トシテ之ヲ保持ス可シ○義務ノ全部ヲ得可キ者ノ書入質ノ権ノ記入モ亦無論依然トシテ之ヲ保持ス可シ而シテ其不動産ノ買主ハ従来ノ義務者ニ等シキ義務ヲ行ヒ又執行ノ期限及ヒ其猶予ヲ得可キ者トス(仏民法第二千百六十七条) 第千二百五十八条 書入質トシテ記入シタル不動産ノ価額ヲ算計スル時ハ無期ノ年金ヲ以テ書入質ノ証書中ニ記シタル元金ト為シ之ヲ算用シ又其証書中ニ元金ノ記載ナキ時ハ其年金ニ十倍シタル金額ニ之ヲ算用シ又畢生間ノ年金或ハ養老金ハ其年金ヲ得可キ者ノ年齢ニ等シキ年金ヲ合セタル元金トシテ算用シ又ハ畢生間ノ年金ニ付テノ通常ノ価額及ヒ評価人ノ評決セシ価額ニ循ヒ其年金ヲ受ク可キ者ノ猶ホ受ク可キ年数ニ等シキ年金ヲ合セタル元金トシテ算用ス可シ 第千二百五十九条 幼者及ヒ婚姻ヲ結ヒタル婦ノ利益ノ為メ後見人、管財人又ハ夫ノ財産ニ付キ為シタル書入質ノ権ノ記入ト未必ノ条件ニ管スル義務ヨリ生シ其総額不分明ナル負債ノ為メニ為シタル書入質ノ権ノ記入ニシテ其一部又ハ全部ニ付キ義務ヲ得可キ順序中ニ在ル書入質ノ権ノ記入トハ其後見ヲ終リ、婚姻ヲ解キ、未必ノ条件ノ如ク成就シ義務ヲ尽ス可キ時ニ至ル迄売却シタル財産ノ部分ニ付キ保存ス可シ 第千二百六十条 書入質ノ不動産ノ買主ハ前条ニ循ヒ書入質ト成リタル不動産ノ価額ニ平均スルニ至ル迄ノ売買ノ代価ヲ己レニ保有スルコトヲ得可シ而シテ反対ノ契約ナキ時ハ其不動産ノ売主又ハ其有権人ニ其代価ノ全部ヲ弁償スル迄適法ノ利息ヲ払フ可キノ義務アリ 第千二百六十一条 買主又ハ其相続人ノ怠慢ニ因リ其不動産ヲ破損シ有権人ノ不安心ヲ生スル時ノ如キハ其有権人其代価ヲ請取ル可キ求メヲ為シ或ハ最前ニ等シキ約定ヲ以テ他ノ不動産又ハ公債証書ヲ抵当ト為ス可キコトヲ要求スルコトヲ得可シ○又直ニ其不動産ノ代価ヲ払フ可キ旨ヲ言渡シタル裁判所ハ其代価ヲ受取リ更ニ他ノ不動産ヲ抵当トシテ之ヲ貸渡スコトヲ得可キ権アル者ヲ任ス可シ(仏民法第二千百三十一条) 第千二百六十二条 第千二百五十九条ニ記シタル場合ニ於テ未必ノ条件ノ如ク成就セサルニ因リ書入質ノ権ノ記入ヲ得タル者毫モ義務ヲ得ルコト能ハス又ハ書入質ノ不動産ノ価額ヨリ少ナキ義務ヲ得可キ時ハ其書入質ノ契約ヲ解キ其不動産ノ代価ハ義務ヲ得可キ順序中ニ加ハラサル権利者或ハ従来ノ不動産ノ所有者又ハ其他ノ有権人ニ引渡ス可シ 第千二百六十三条 第千二百五十九条ニ記シタルカ如キ書入質ノ権ノ記入義務ヲ得可キ順序中ニ加ハラサルニ因リ其記入ヲ塗抹ス可キ時ハ裁判所ニ於テ義務ヲ得可キ順序ヲ定ム可キ裁判言渡書ニ因リ書入質ノ管轄者ヲシテ其記入ヲ塗抹セシメタル側ラニ不動産ニ付テノ権利者ハ其不動産ヲ売却セシ代価ヲ得可キ権利ヲ有スル由ヲ簿冊ニ記載セシム可シ 第千二百六十四条 若シ糶売ヲ為ス時諸種ノ不動産中其一部ハ書入質ト成リ他ノ一部ハ書入質ト成ラサル不動産ヲ混合シテ売却セシ時ハ裁判官ハ評価人ノ報告ヲ得テ後チ其不動産ノ買主又ハ其財産相続人ニ属セシ時ニ於ケルカ如キ条件ヲ以テ其代価ノ総額ヲ算計シ其書入質ト成リタル不動産ノ代価ヲ確定シ書入質ノ権ノ記入ヲ得タル各権利者ニ分派ス可シ又其不動産ノ買主又ハ其財産相続人其代価ノ払ヒ期限ニ至リ義務ヲ尽サヽルニ於テハ損失ノ償ヲ為ス可シ 第六款 書入質ノ簿冊ヲ公ケニスル事及ヒ書入質ノ管轄者ノ責任 第千二百六十五条 仏民法第二千百九十六条追加 従前記入シタル書入質ノ権ヲ後ニ至リ塗抹セシコト有ル場合ニ於テハ書入質ノ管轄者ハ己レヨリ渡ス可キ書入質ノ権ノ記入ノ写又ハ証書中ニ其由ヲ簡易ニ記載ス可シ 第千二百六十六条 書入質ノ管轄者ハ左ニ記シタル損害ノ責ニ任ス可シ 第一 定期ノ時間精密ニ書入質ノ権ヲ記入シ又ハ記入ノ求メヲ受ケタル諸件及ヒ限制ス可キ条件ヲ記入スルコトヲ怠リタル時 第二 書入質ノ証書中ニ一箇又ハ数箇ノ書入質ノ権ノ記入アル旨ヲ謄記スルコトヲ怠リタル時但シ書入質ノ権ノ記入ヲ求メタル者ノ申術不充分ナルニ因リ錯誤ヲ生シタル時ハ其責ニ任スルコト無シ(仏民法第二千百九十七条) 第三 第千二百四十条ニ記シタル書類ヲ差出サシムルコト無ク書入質ノ権ノ記入ヲ塗抹セシ時 第四 前条第二項ニ制定セシ規則ヲ循守セサル時(仏民法第千二百四十条ニ第二項ヲ加フ) 第千二百六十七条 書入質ノ管轄者不動産ニ付テノ一箇又ハ数箇ノ書入質ノ権有ルコトヲ忘レ書入質ノ権記入ノ証書ニ其由ヲ記セサル時ト雖モ其不動産ヲ以テ書入質ノ権ヲ滌除セシ者ト為ス可カラス但シ書入質ノ管轄者ハ其由ヲ記セサル証書ヲ得タル者ニ対シ己レノ過失ノ責ニ任シ又己レニ受ク可カラサル義務ヲ得タル権利者ニ対シ其義務取戻ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ(仏民法第二千百九十八条、差異) 第千二百六十八条 如何ナル場合ヲ問ハス書入質ノ管轄者ハ所有権ヲ移ス可キ証書ノ謄記、書入質ノ権ノ記入、書入質ノ権ヲ記入シタル簿冊ノ送致、書入質ノ証書ノ交付等ヲ拒ミ又ハ遷延スルコトヲ得ス若シ右等ノ事ヲ拒ミ又ハ遷延スルニ於テハ損害ノ償ヲ為ス可シ○公証人又ハ使吏ハ証人二人ノ補助ヲ受ケ其拒絶又ハ遷延ノ調書ヲ記ス可シ(仏民法第二千百九十九条) 第三篇 義務 第一巻 総テノ義務 第一款 総則 第千二百六十九条 総テ義務ハ契約又ハ法律ヨリ生ス可シ 第千二百七十条 総テ義務ハ或事ヲ為ス可キ事又ハ為ス可カラサル事ヲ以テ生立ス(仏民法第千百二十六条) 第二款 物ヲ与フ可キ義務 第千二百七十一条 物ヲ与フ可キノ義務アル時ハ其物ヲ引渡ス可キ義務及ヒ其物ヲ引渡ス迄家族ノ良父タルカ如ク之ヲ保全ス可キノ義務アリトス(仏民法第千百三十六条) 同上ノ義務ハ契約ノ種類ニ因テ軽重アリ(仏民法第千百三十七条第二項) 第千二百七十二条 若シ義務者物ヲ引渡スコト能ハサルニ至リ又ハ法式ヲ循守シテ其物ヲ保全セサルニ於テハ権利者ニ対シ損失ノ償ヲ為ス可シ 第千二百七十三条 物ヲ引渡ス可キノ義務アル時ハ其義務ノ生セシ時ヨリ権利者其物ニ管スル損害ヲ負担ス可シ 若シ義務者其物ヲ引渡スコトヲ怠リタル時ハ義務者其物ニ管スル損害ヲ負担ス可シ(仏民法第千百三十八条) 第千二百七十四条 仏民法第千百三十九条ニ同シ 第三款 或事ヲ為シ又ハ為ス可カラサル義務 第千二百七十五条 仏民法第千百四十二条乃至第千百四十五条ニ同シ 第千二百七十六条 仏民法第千百四十二条乃至第千百四十五条ニ同シ 第千二百七十七条 仏民法第千百四十二条乃至第千百四十五条ニ同シ 第千二百七十八条 仏民法第千百四十二条乃至第千百四十五条ニ同シ 第四款 義務ヲ行ハサルヨリ生スル損失ノ償 第千二百七十九条 仏民法第千百四十六条ニ同シ 第千二百八十条 義務者ノ仮令ヒ不正ノ意アルニ非スト雖モ義務ヲ行ハサル時ハ其義務ヲ行ハサルニ付テノ償ヲ為シ又ハ其義務ヲ行フコトヲ遅延シタルニ付テノ償ヲ為ス可キ言渡ヲ受ク可シ但シ己レノ意ニ管セサル事故有リテ其義務ヲ行フコト能ハサリシ証又ハ其義務ヲ行フコトヲ遅延セシ証ヲ立ツル時ハ格別ナリトス(仏民法第千百四十七条) 第千二百八十一条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十二条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十三条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十四条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十五条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十六条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十七条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第千二百八十八条 仏民法第千百四十八条乃至第千百五十五条ニ同シ 第五款 未必ノ条件ニ管スル契約ノ義務 第千二百八十九条 仏民法第千百六十八条ニ同シ 第千二百九十条 仏民法第千百七十二条乃至第千百七十四条ニ同シ但シ此第千百七十四条ニ追加スルコト左ノ如シ 義務者ノ力ヲ以テ未必ノ条件ノ如ク成就スルコトヲ得可キ義務ニ管スル時若シ其条件ノ如ク成就スルニ於テハ義務者其義務ヲ尽サヽルヲ得ス 第千二百九十一条 仏民法第千百七十二条乃至第千百七十四条ニ同シ但シ此第千百七十四条ニ追加スルコト左ノ如シ 義務者ノ力ヲ以テ未必ノ条件ノ如ク成就スルコトヲ得可キ義務ニ管スル時若シ其条件ノ如ク成就スルニ於テハ義務者其義務ヲ尽サヽルヲ得ス 第千二百九十二条 仏民法第千百七十二条乃至第千百七十四条ニ同シ但シ此第千百七十四条ニ追加スルコト左ノ如シ 義務者ノ力ヲ以テ未必ノ条件ノ如ク成就スルコトヲ得可キ義務ニ管スル時若シ其条件ノ如ク成就スルニ於テハ義務者其義務ヲ尽サヽルヲ得ス 第千二百九十三条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千二百九十四条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千二百九十五条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千二百九十六条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千二百九十七条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千二百九十八条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千二百九十九条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千三百条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千三百一条 仏民法第千百七十五条乃至第千百八十三条ニ同シ 第千三百二条 仏民法第千百八十四条第一項及ヒ第三項ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 契約書中ニ義務ヲ行ハサルニ付キ其義務ヲ解除ス可キ未必ノ条件ヲ記載シタル時モ亦義務ヲ解除ス可キ訴ヲ為スコトヲ得可シ 若シ契約書中ニ義務ヲ解除ス可キ未必ノ条件ヲ記載セサルニ於テハ裁判官ハ被告人ノ求メニ従ヒ其義務ヲ行フニ付キ猶予ノ期限ヲ允ス可シ○此猶予ノ期限ハ一箇月ヨリ多カラサル可シ 第千三百三条 仏民法第千百八十四条第二項ニ同シ 第六款 執行ノ期限アル義務 第千三百四条 仏民法第千百八十五条乃至第千百八十八条ニ同シ 第千三百五条 仏民法第千百八十五条乃至第千百八十八条ニ同シ 第千三百六条 仏民法第千百八十五条乃至第千百八十八条ニ同シ 第千三百七条 仏民法第千百八十五条乃至第千百八十八条ニ同シ 第七款 二箇中ノ一ヲ択ムヲ得可キ義務 第千三百八条 仏民法第千百八十九条及ヒ第千百九十一条ニ同シ 第千三百九条 仏民法第千百九十条ニ同シ 第千三百十条 仏民法第千百九十二条乃至第千百九十四条ニ同シ 第千三百十一条 仏民法第千百九十二条乃至第千百九十四条ニ同シ 第千三百十二条 仏民法第千百九十二条乃至第千百九十四条ニ同シ 第千三百十三条 三箇以上ノ中其一ヲ択ム可キ義務又ハ或事ヲ為シ或ハ為ス可カラサル義務ニ付テモ亦前ニ記シタル所ノ規則ヲ循守ス可シ(仏民法第千百九十六条) 第八款 連帯ノ義務 第千三百十四条 仏民法第千百九十七条及ヒ第千百九十八条ニ同シ 第千三百十五条 仏民法第千百九十七条及ヒ第千百九十八条ニ同シ 第千三百十六条 仏民法第千二百条乃至第千二百五条ニ同シ 第千三百十七条 仏民法第千二百条乃至第千二百五条ニ同シ 第千三百十八条 仏民法第千二百条乃至第千二百五条ニ同シ 第千三百十九条 仏民法第千二百条乃至第千二百五条ニ同シ 第千三百二十条 仏民法第千二百条乃至第千二百五条ニ同シ 第千三百二十一条 仏民法第千二百条乃至第千二百五条ニ同シ 第千三百二十二条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十三条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十四条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十五条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十六条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十七条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十八条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百二十九条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百三十条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第千三百三十一条 仏民法第千二百七条乃至第千二百十六条ニ同シ 第九款 分ツ可キ義務及ヒ分ツ可カラサル義務 第千三百三十二条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十三条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十四条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十五条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十六条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十七条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十八条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第千三百三十九条 仏民法第千二百十七条乃至第千二百二十四条ニ同シ 第十款 契約ノ如ク行ハサル時ハ過代ヲ出ス可キ約束アル義務 第千三百四十条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十一条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十二条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十三条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十四条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十五条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十六条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十七条 仏民法第千二百二十六条乃至第千二百三十三条ニ同シ 第千三百四十八条 分ツコトヲ得可キ義務ト雖モ分ツ可カラサル義務ニ等シク之ヲ行フ可キ時若シ義務者ノ財産相続人其義務ヲ分チ其一部ヲ行フ時ハ損失ノ償ヲ為ス可シ 第二巻 契約上ノ義務又ハ約束 第一款 総則 第千三百四十九条 契約トハ一人又ハ数人ヨリ他ノ一人又ハ数人ニ対シ義務ヲ行フ可キ約則ヲ云フ(仏民法第千百一条) 第千三百五十条 仏民法第千百五条及ヒ第千百六条ニ同シ 第千三百五十一条 仏民法第千百十九条乃至第千百二十二条ニ同シ 第千三百五十二条 仏民法第千百十九条乃至第千百二十二条ニ同シ 第千三百五十三条 仏民法第千百十九条乃至第千百二十二条ニ同シ 第千三百五十四条 仏民法第千百十九条乃至第千百二十二条ニ同シ 第千三百五十五条 仏民法第千百七条ニ同シ 第二款 契約ヲ法ニ適スル者ト為スニ必要ナル条件 第千三百五十六条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百五十七条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百五十八条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百五十九条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百六十条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百六十一条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百六十二条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百六十三条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百六十四条 仏民法第千百八条乃至第千百十六条ニ同シ 第千三百六十五条 仏民法第千百二十三条及ヒ第千百二十四条ニ同シ 第千三百六十六条 仏民法第千百二十三条及ヒ第千百二十四条ニ同シ 第千三百六十七条 前条ニ因リ契約ヲ結フ権利ナキ者ト確定サレタル者ハ如何ナル場合ヲ問ハス契約ヲ結フ権利ナキヲ原由ト為シ其契約ヲ取消ス可キ訴ヲ為スコトヲ得可シ○自余ハ仏民法第千百二十五条第二項ニ同シ 第千三百六十八条 仏民法第千百二十八条及ヒ第千百二十九条ニ同シ 第千三百六十九条 仏民法第千百二十八条及ヒ第千百二十九条ニ同シ 第千三百七十条 仏民法第千百三十条追加 但シ夫婦間ノ贈遺ニ付キ第二百二十四条、第二百三十一条及ヒ第二百三十三条ニ記シタル規則ハ格別ナリトス 第千三百七十一条 仏民法第千百三十一条ニ同シ 第千三百七十二条 仏民法第千百三十二条追加 但シ契約書ニ記セサル他ノ適法又ハ不適法ノ原由ナキ時ハ格別ナリトス 第千三百七十三条 仏民法第千百三十三条ニ同シ 第三款 義務ノ効 第千三百七十四条 仏民法第千百三十四条及ヒ第千百三十五条ニ同シ 第千三百七十五条 仏民法第千百三十四条及ヒ第千百三十五条ニ同シ 第千三百七十六条 仏民法第千百六十五条ニ同シ但シ本条ニ付テハ第千三百五十三条ヲ参観ス可シ 第千三百七十七条 権利者ハ義務者其権利ヲ害シ他人ト結ヒタル契約ヲ法律上ノ規則ニ因リ且ツ其他人ト結ヒタル契約ノ種類ニ因リ取消サントスル訴ヲ為スコトヲ得可シ○若シ権利者要償ノ契約ヲ取消サントスル時ハ其契約ヲ結ヒタル双方ノ者ノ自己ノ権利ヲ害シタル旨ヲ証スルヲ要トシ又若シ恩恵ノ契約ヲ取消サントスル時ハ自己ノ権利ヲ其義務者ノ害シタル旨ヲ証スルヲ以テ足レリトス(仏民法第千百六十七条) 第四款 契約書ヲ解釈スル事 第千三百七十八条 若シ契約書ノ意味明亮ナル時ハ其解釈ヲ為シ却テ其意味ヲ迂遠ナラシム可カラス 第千三百七十九条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十一条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十二条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十三条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十四条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十五条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十六条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第千三百八十七条 仏民法第千百五十六条乃至第千百六十四条ニ同シ 第三巻 法律ヨリ生スル義務 第千三百八十八条 法律上ノ義務ハ全ク法律ニ因テノミ生シ又ハ人ノ所為ニ因リ法律上ヨリ生ス可シ 第千三百八十九条 人ノ所為ニ因リ法律上ヨリ生スル義務ハ適法又ハ不適法ノ所為ヨリ生ス可シ 第千三百九十条 仏民法第千三百七十二条乃至第千三百七十五条ニ同シ 第千三百九十一条 仏民法第千三百七十二条乃至第千三百七十五条ニ同シ 第千三百九十二条 仏民法第千三百七十二条乃至第千三百七十五条ニ同シ 第千三百九十三条 仏民法第千三百七十二条乃至第千三百七十五条ニ同シ 第千三百九十四条 委任状ヲ受クルコト無ク他人ノ事務ヲ管理セシ者ハ毫モ其謝金ヲ受クルノ権ナシ 第千三百九十五条 仏民法第千二百三十五条ニ同シ 第千三百九十六条 仏民法第千三百七十六条及ヒ第千三百七十七条ニ同シ 第千三百九十七条 仏民法第千三百七十六条及ヒ第千三百七十七条ニ同シ 第千三百九十八条 己レニ受ク可カラサル物ヲ不正ノ意ヲ以テ人ヨリ受取リタル者ハ其物ト其物ヲ受取リシ日ヨリ以来其物ヨリ生スル利益ヲ返還ス可シ而シテ若シ其物破壊セシ時ハ其損害ノ償ヲ為ス可シ(仏民法第千三百七十八条) 仮令ヒ其物抗拒ス可カラサル力ニ因テ破壊セシ時ト雖モ不正ノ意ヲ以テ之ヲ受取リタル者ハ其物ノ代価ト利益トヲ払フ可キノ義務アリ但シ其物ノ之ヲ取戻スコトヲ得可キ人ノ手ニ在リテモ猶ホ破壊ス可キ時ハ格別ナリトス 第千三百九十九条 仏民法第千三百八十条ニ左ノ一項ヲ追加ス 若シ恩恵ノ契約ニ因リ人ニ物件ヲ渡シタル時ハ之ヲ返還スルニ及ハス 第千四百条 仏民法第千三百八十一条ニ同シ但シ仏民法「有益ノ費用」云々ノ「有益」ヲ除キ又左ノ一項ヲ追加ス 物件ヲ収取シタル者ハ其物件ニ付テノ費用ヲ得ル迄其物件ヲ引留ムルノ権アリ 第千四百一条 仏民法第千三百八十二条ニ同シ但シ仏民法「何人ニ限ラス自己ノ所行」ヲ「何人ニ限ラス不適法ノ所行」ニ作ル以下異ナルコト無シ 第千四百二条 仏民法第千三百八十三条乃至第千三百八十六条ニ同シ 第千四百三条 仏民法第千三百八十三条乃至第千三百八十六条ニ同シ 第千四百四条 仏民法第千三百八十三条乃至第千三百八十六条ニ同シ 第千四百五条 仏民法第千三百八十三条乃至第千三百八十六条ニ同シ 第千四百六条 人ノ故意ニ因ルニ非スシテ枉死シ又ハ人ノ不注意ニ因リ傷ヲ受ケタル者ノ労動ニ因リ生活スル配偶者其子及ヒ父母ハ其損害ノ償ヲ受ク可キ訴ヲ為スヲ得可シ 第千四百七条 人ノ故意又ハ不注意ニ因リ傷ヲ受ケタル者ハ損害ノ償ノ外尚ホ治療ノ費用及ヒ損害ヲ受ケタル物ノ修理ヲ訟求スルノ権アリ 第千四百八条 苛虐ヲ受ケタル時モ亦損害ノ償ヲ得可シ○裁判官ハ其所行ノ軽重ト双方ノ者ノ資力ト其時ノ景況トニ循ヒ損害ノ償ノ価額ヲ確定ス可シ(千八百十九年五月十七日ノ仏蘭西法律) 第千四百九条 損害ノ償ヲ訟求スル者ハ又悪ム可キ所行ニ付テノ裁判言渡書ヲ懲戒ノ為メ公ケニ貼出ス可キコトヲ裁判官ヨリ命令センコトヲ要ムルヲ得可シ 第千四百十条 有罪人(アンキユルベー)ハ裁判官ノ面前ニ於テ宥免ノ訴ヲ為シテ己レニ対スル訴訟ヲ防クコトヲ得可シ 第千四百十一条 前条ノ訴ハ死者ノ卑属親、尊属親及ヒ配偶者ノ中後ニ生存シタル者ヨリ其死者ニ対シ誹毀ノコト有ル時之ヲ為ス可シ 第千四百十二条 自己ヲ防護スル為メ、正当ノ義務ヲ尽ス為メ、官吏ノ行フ可キ職務ヲ行フ為メ、適法ノ管係又ハ条理ノ為メ等ニ因テ難ス可キ所行ハ故意ヲ以テ苛虐ヲ行フ者ト為ス可カラス 第千四百十三条 裁判言渡シ又ハ公正ノ証書ニ因ルニ非サレハ実事明亮ナラサル時ハ民事上ノ訴訟トシテ之ヲ取上ク可カラス但シ人ニ損害ヲ加フルノ故意明確ナル時ハ格別ナリトス 第千四百十四条 明許又ハ黙許ノ和解アル時ハ前ニ記シタル六箇条ヲ適用ス可カラス 第千四百十五条 有罪人又ハ苛虐ヲ受ケタル者ノ死去セシ時ト雖モ第千四百八条ニ記シタル訴訟ヲ取消スコトヲ得ス 刑事ト為ス可カラサル所行ノ為メ損害ノ償ヲ得可キ民事ノ訴訟期限ハ刑事ノ訴訟期限ト同一ノ者トス(仏治罪法第六百三十七条、第六百四十条) 第千四百十六条 苛虐ニ付テノ民事ノ訴訟期限ハ其所行ノ発覚セシ日ヨリ起算シ一箇年トス 第四巻 義務ノ消滅スル事 第千四百十七条 仏民法第千二百三十四条ニ同シ 第一款 義務ヲ尽ス事 第千四百十八条 仏民法第千二百三十五条乃至第百二百三十八条ニ同シ 第千四百十九条 仏民法第千二百三十五条乃至第百二百三十八条ニ同シ 第千四百二十条 仏民法第千二百三十五条乃至第百二百三十八条ニ同シ 第千四百二十一条 仏民法第千二百三十九条追加 権利者ニ代リ物件ヲ受取ル可キノ権ナキ者ニ其物件ヲ渡シタル時ト雖モ権利者其事ヲ承諾シ又ハ其事ニ因リ利益ヲ得タルコト有ルニ於テハ其義務ノ執行ヲ有効ノ者トス 第千四百二十二条 仏民法第千二百四十条乃至第千二百四十四条第一項ニ同シ 第千四百二十三条 仏民法第千二百四十条乃至第千二百四十四条第一項ニ同シ 第千四百二十四条 仏民法第千二百四十条乃至第千二百四十四条第一項ニ同シ 第千四百二十五条 仏民法第千二百四十条乃至第千二百四十四条第一項ニ同シ 第千四百二十六条 仏民法第千二百四十条乃至第千二百四十四条第一項ニ同シ 第千四百二十七条 仏民法第千二百四十五条乃至第千二百四十七条ニ同シ但シ此第千二百四十七条第二項ヲ変更スルコト左ノ如シ 此二箇ノ場合ノ外ハ契約ヲ結ヒシ時住居セシ邑ニ権利者ノ尚ホ住居スルニ於テハ其権利者ノ住所ニ於テ義務ヲ尽シ又若シ既ニ転居セシ時ハ義務者ノ住所ニ於テ其義務ヲ尽ス可シ 第千四百二十八条 仏民法第千二百四十五条乃至第千二百四十七条ニ同シ但シ此第千二百四十七条第二項ヲ変更スルコト左ノ如シ 此二箇ノ場合ノ外ハ契約ヲ結ヒシ時住居セシ邑ニ権利者ノ尚ホ住居スルニ於テハ其権利者ノ住所ニ於テ義務ヲ尽シ又若シ既ニ転居セシ時ハ義務者ノ住所ニ於テ其義務ヲ尽ス可シ 第千四百二十九条 仏民法第千二百四十五条乃至第千二百四十七条ニ同シ但シ此第千二百四十七条第二項ヲ変更スルコト左ノ如シ 此二箇ノ場合ノ外ハ契約ヲ結ヒシ時住居セシ邑ニ権利者ノ尚ホ住居スルニ於テハ其権利者ノ住所ニ於テ義務ヲ尽シ又若シ既ニ転居セシ時ハ義務者ノ住所ニ於テ其義務ヲ尽ス可シ 第千四百三十条 土地、家屋ノ借賃、無期又ハ畢生間ノ年金、糧食金、貸金ノ利息及ヒ総テ一年毎トニ払フ可キ負債又ハ一年間中ノ定期ニ払フ可キ負債ニ付キ其義務ノ執行アルト否トヲ思料スルニハ順ヲ追テ三次ニ其払ヒ期限ニ至リ其義務ヲ尽シタルコトヲ確証スル三箇ノ請取証書ヲ以テ以前ノ義務ヲ尽シタルコトヲ思料スルヲ得可シ但シ之ニ反対ノ証拠アル時ハ格別ナリトス 第千四百三十一条 仏民法第千二百四十八条ニ同シ 第千四百三十二条 仏民法第千二百五十三条乃至第千二百五十六条ニ同シ但シ此第千四百三十五条ニ追加スルコト左ノ如シ 若シ数箇ノ義務中其一箇トシテ未タ払ヒ期限ニ至ラサル時ハ既ニ払ヒ期限ニ至リシ義務ニ等シク其義務ヲ尽スニ充テ用フ可シ 第千四百三十三条 仏民法第千二百五十三条乃至第千二百五十六条ニ同シ但シ此第千四百三十五条ニ追加スルコト左ノ如シ 若シ数箇ノ義務中其一箇トシテ未タ払ヒ期限ニ至ラサル時ハ既ニ払ヒ期限ニ至リシ義務ニ等シク其義務ヲ尽スニ充テ用フ可シ 第千四百三十四条 仏民法第千二百五十三条乃至第千二百五十六条ニ同シ但シ此第千四百三十五条ニ追加スルコト左ノ如シ 若シ数箇ノ義務中其一箇トシテ未タ払ヒ期限ニ至ラサル時ハ既ニ払ヒ期限ニ至リシ義務ニ等シク其義務ヲ尽スニ充テ用フ可シ 第千四百三十五条 仏民法第千二百五十三条乃至第千二百五十六条ニ同シ但シ此第千四百三十五条ニ追加スルコト左ノ如シ 若シ数箇ノ義務中其一箇トシテ未タ払ヒ期限ニ至ラサル時ハ既ニ払ヒ期限ニ至リシ義務ニ等シク其義務ヲ尽スニ充テ用フ可シ 第千四百三十六条 仏民法第千二百四十九条乃至第千二百五十二条ニ同シ 第千四百三十七条 仏民法第千二百四十九条乃至第千二百五十二条ニ同シ 第千四百三十八条 仏民法第千二百四十九条乃至第千二百五十二条ニ同シ 第千四百三十九条 仏民法第千二百四十九条乃至第千二百五十二条ニ同シ 第二款 物件ノ提供及ヒ之ヲ預リ役所ニ預クル事 第千四百四十条 仏民法第千二百五十七条乃至第千二百六十二条ニ同シ 物件ノ提供ハ第千四百四十一条第七及ヒ第千四百四十二条第三ニ循ヒ証人二名ノ立会ニテ公証人又ハ使吏之ヲ為ス可シ 第千四百四十一条 仏民法第千二百五十七条乃至第千二百六十二条ニ同シ 物件ノ提供ハ第千四百四十一条第七及ヒ第千四百四十二条第三ニ循ヒ証人二名ノ立会ニテ公証人又ハ使吏之ヲ為ス可シ 第千四百四十二条 仏民法第千二百五十七条乃至第千二百六十二条ニ同シ 物件ノ提供ハ第千四百四十一条第七及ヒ第千四百四十二条第三ニ循ヒ証人二名ノ立会ニテ公証人又ハ使吏之ヲ為ス可シ 第千四百四十三条 仏民法第千二百五十七条乃至第千二百六十二条ニ同シ 物件ノ提供ハ第千四百四十一条第七及ヒ第千四百四十二条第三ニ循ヒ証人二名ノ立会ニテ公証人又ハ使吏之ヲ為ス可シ 第千四百四十四条 仏民法第千二百五十七条乃至第千二百六十二条ニ同シ 物件ノ提供ハ第千四百四十一条第七及ヒ第千四百四十二条第三ニ循ヒ証人二名ノ立会ニテ公証人又ハ使吏之ヲ為ス可シ 第千四百四十五条 仏民法第千二百五十七条乃至第千二百六十二条ニ同シ 物件ノ提供ハ第千四百四十一条第七及ヒ第千四百四十二条第三ニ循ヒ証人二名ノ立会ニテ公証人又ハ使吏之ヲ為ス可シ 第千四百四十六条 若シ権利者物件ヲ預リ役所ニ預クル事ノ報道ヲ得シ日ヨリ以来其事ノ適法タルト否トヲ確証スルコト無ク一箇年ヲ経過スル時ハ其義務者及ヒ其保証人モ亦義務ノ釈放ヲ得可シ 第千四百四十七条 仏民法第千二百六十三条ニ同シ但シ「但シ其義務ヲ得可キ者」云々以下ヲ除ク 第千四百四十八条 仏民法第千二百六十四条ニ同シ但シ「義務ヲ行フ可キ者ノ為メ其物件所在ノ場所必要ナルコト有ルニ於テハ」ヲ除ク 第三款 義務ノ更改スル事 第千四百四十九条 仏民法第千二百七十一条乃至第千二百七十六条ニ同シ 第千四百五十条 仏民法第千二百七十一条乃至第千二百七十六条ニ同シ 第千四百五十一条 仏民法第千二百七十一条乃至第千二百七十六条ニ同シ 第千四百五十二条 仏民法第千二百七十一条乃至第千二百七十六条ニ同シ 第千四百五十三条 仏民法第千二百七十一条乃至第千二百七十六条ニ同シ 第千四百五十四条 仏民法第千二百七十一条乃至第千二百七十六条ニ同シ 第千四百五十五条 義務ノ更改ヲ承諾セシ義務者ハ従来ノ権利者ニ対シテ行フコトヲ得可キ抗拒(エキセブシヨン)ノ法ヲ有ス可ク而シテ仮令ヒ義務ヲ更改スルノ際之ヲ有スルコトヲ知ラサリシ時ト雖モ新タナル義務者ニ対シテ之ヲ行フコトヲ得ス但シ従来ノ権利者ニ対シテ之ヲ行フコトヲ得可シ 第千四百五十六条 仏民法第千二百七十七条乃至第千二百八十一条ニ同シ 第千四百五十七条 仏民法第千二百七十七条乃至第千二百八十一条ニ同シ 第千四百五十八条 仏民法第千二百七十七条乃至第千二百八十一条ニ同シ 第千四百五十九条 仏民法第千二百七十七条乃至第千二百八十一条ニ同シ 第千四百六十条 仏民法第千二百七十七条乃至第千二百八十一条ニ同シ 第四款 二箇ノ義務互ニ相殺スル事 第千四百六十一条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十二条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十三条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十四条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十五条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十六条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十七条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十八条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百六十九条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百七十条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第千四百七十一条 仏民法第千二百八十九条乃至第千二百九十九条ニ同シ 第五款 権利ト義務ト相渾同スル事 第千四百七十二条 仏民法第千三百条ニ同シ但シ仏民法ノ「其権利ト義務ト渾同シテ相殺ス可シ」ヲ「権利ヲ消滅ス可シ」ニ作ル 第千四百七十三条 仏民法第千三百一条ニ同シ但シ第三項ヲ変更スルコト左ノ如シ 連帯ノ義務者中ノ一人権利ト義務ト相殺スル時ハ其他ノ連帯ノ義務者ハ其一人ノ嘗テ負担セシ部分ノミニ付テ利益ヲ得可シ 第六款 権利者ノ意ヲ以テ其義務ヲ釈放スル事 第千四百七十四条 義務ノ釈放ハ人ノ思料ヲ以テ為スコトヲ得ス必ス証ヲ立テ之ヲ為ス可シ 第千四百七十五条 仏民法第千二百八十二条ニ同シ 第千四百七十六条 仏民法第千二百八十五条乃至第千二百八十八条ニ同シ 第千四百七十七条 仏民法第千二百八十五条乃至第千二百八十八条ニ同シ 第千四百七十八条 仏民法第千二百八十五条乃至第千二百八十八条ニ同シ 第千四百七十九条 仏民法第千二百八十五条乃至第千二百八十八条ニ同シ 第七款 引渡ス可キ物ノ滅尽スル事 第千四百八十条 仏民法第千三百二条追加 物件ヲ引渡ス可キノ義務ハ消散ス可シ 第千四百八十一条 仏民法第千三百三条ニ同シ 第八款 契約ヲ取消ス事 第千四百八十二条 幼者及ヒ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ結ヒタル契約ハ其幼者及ヒ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ己レノ名義ヲ以テ契約ヲ結フコトヲ禁止ス可キ訟求ニ因リ当然無効ニ属ス可シ○婚姻ヲ結ヒタル婦又ハ後見ヲ免カレタル幼者自己ノ権利ノ定限ニ過クル契約ヲ結ヒシ時ハ無効ニ属ス可シ(仏民法第千三百五条、差異) 第千四百八十三条 前条ノ規則ハ故意ニ非スシテ他人ニ損害ヲ加フル所行ヨリ生シタル義務又ハ第二百三条ニ原ツキ契約シタル義務ニ適用スルコトヲ得ス(仏民法第千三百九条) 第千四百八十四条 仏民法第千三百十四条追加 但シ後見人又ハ管財人ニ対シテ取戻ノ訴ヲ為スコトヲ得可シ 第千四百八十五条 錯誤、暴行又ハ詭欺ニ因テ結ヒタル契約ハ之ヲ取消サント求ムルコトヲ得可シ 第千四百八十六条 法律上規定シタル場合ニ非サレハ損害ニ因リ契約ヲ取消スコトヲ得ス(仏民法第千百十八条) 第千四百八十七条 第千三百六十六条ノ規則ニ循ヒ契約ヲ結フ可キ権利ナキヲ原由ト為シ其契約ヲ取消ス時ハ契約ヲ結ヒシ双方ノ者其契約ノ目的タル物件ヲ契約ヲ結ヒシ時ノ形状ニ復スルノ義務アリ但シ契約ヲ結フノ権利ナキ者其契約ニ因リ得タル物件ヲ保有セス又ハ其物件ヲ有益ノ方法ヲ以テ使用セサル時ハ格別ナリトス 第千四百八十八条 第千四百八十五条ニ記シタル契約ヲ取消ス時モ亦前条ニ同シ 第千四百八十九条 第千四百八十二条及ヒ第千四百八十五条ノ場合ニ於テ必要ノ時ハ其他損害ノ償ヲ為ス可キ言渡ヲ為ス可シ 第千四百九十条 仏民法第千三百四条ニ同シ但シ契約取消ノ訴ヲ為ス可キ期限ハ五箇年トス又追加スルコト左ノ如シ 契約取消ノ訴訟期限ハ抗拒ノ法アル時ニ適用ス可カラス 第千四百九十一条 数多ノ契約ヲ取消ス可キ訴訟ヲ為ス者ハ必ス同時ニ其数多ノ契約ヲ提供スルヲ要トス但シ他ノ一方ノ者ノ所為ニ因リ其取消ス可キ契約有ルコトヲ知ラサル時ハ格別ナリトス 第千四百九十二条 契約ヲ取消ス可キ訴訟権ハ其契約ヲ結フコトヲ得可キ権利ヲ生スル時其契約ヲ釐正スルニ因リ滅尽ス可シ(仏民法第千三百十一条) 第五巻 売買 第一款 総則 第千四百九十三条 仏民法第千五百八十二条第一項ニ同シ 第千四百九十四条 一方ヨリ未タ物件ヲ渡サス又他ノ一方ヨリ未タ其価ヲ払ハスト雖モ其物件ト其価トヲ互ニ議定シタル上ハ其双方ノ間ニ於テ売買ヲ為シ了リタル者ト為ス可シ(仏民法第千五百八十三条) 第千四百九十五条 第六百六十七条、第六百六十八条及ヒ第六百七十一条ニ原ツキ物件ヲ引渡スニ非サレハ其買主ハ其物件ニ付テ所有権ヲ得ルコトヲ得ス 第千四百九十六条 確定ノ物件ヲ売買スル時ハ仮令ヒ未タ其物件ヲ引渡サヽル時ト雖モ其売買ヲ為セシ時ヨリ買主ハ其物件ニ管スル損害ヲ負担シ売主ハ其代価ヲ請求スルノ権アリ(仏民法第千百三十八条) 第千四百九十七条 若シ一団ニ纏メテ売買スルコト無ク度量(ボリー)、算数(コーント)、尺度(ムシコル)ヲ以テ売買ス可キ物件ニ管スル時ハ之ヲ度量シ算数シ又ハ尺度スル迄売主ハ其損害ヲ負担ス可シ(仏民法第千五百八十五条) 第千四百九十八条 仏民法第千五百八十六条乃至第千五百八十八条ニ同シ 第千四百九十九条 仏民法第千五百八十六条乃至第千五百八十八条ニ同シ 第千五百条 手附金ヲ出シテ売買ノ契約ヲ結ヒシ双方ノ者ハ其手附金ヲ放棄シ又ハ返還スルニ非サレハ其契約ヲ取消スコトヲ得ス(仏民法第千五百九十条) 第千五百一条 仏民法第千五百九十一条乃至第千五百九十三条ニ同シ 第千五百二条 仏民法第千五百九十一条乃至第千五百九十三条ニ同シ 第千五百三条 仏民法第千五百九十五条ニ同シ 第千五百四条 仏民法第千五百九十七条ニ同シ但シ仏民法ノ「其職務ヲ行フ裁判所ノ所轄タル訴訟ヲ為スノ権ヲ買受クルコトヲ得ス」ヲ「其職務ヲ行フ裁判所ニ於テ審理中ノ訴訟ヲ為スノ権ヲ買受クルコトヲ得ス」ニ作ル 第千五百五条 仏民法第千五百九十六条ニ同シ但シ第四項ノ「官ニ属スル財産」云々ヲ「官ニ属スル物件」云々ニ作ル 第一項、第三項及ヒ第四項ニ云フカ如キ財産買入ノ禁止ハ公ケニ非サル売買ニ限ル者トス 国王ハ本条ニ記シタル物件買入ノ禁止ヲ解クコトヲ得可シ 後見人ハ第四百五十七条ノ規則ニ循ヒ幼者ニ属スル財産ヲ買入ルルコトヲ得可シ 第千五百六条 仏民法第千五百九十六条ニ同シ但シ第四項ノ「官ニ属スル財産」云々ヲ「官ニ属スル物件」云々ニ作ル 第一項、第三項及ヒ第四項ニ云フカ如キ財産買入ノ禁止ハ公ケニ非サル売買ニ限ル者トス 国王ハ本条ニ記シタル物件買入ノ禁止ヲ解クコトヲ得可シ 後見人ハ第四百五十七条ノ規則ニ循ヒ幼者ニ属スル財産ヲ買入ルルコトヲ得可シ 第千五百七条 仏民法第千五百九十九条ニ同シ 第千五百八条 仏民法第千六百一条ニ同シ 第二款 売主ノ義務 第千五百九条 仏民法第千六百二条乃至第千六百四条ニ同シ 第千五百十条 仏民法第千六百二条乃至第千六百四条ニ同シ 第千五百十一条 仏民法第千六百二条乃至第千六百四条ニ同シ 第千五百十二条 仏民法第千六百八条及ヒ第千六百九条ニ同シ 第千五百十三条 仏民法第千六百八条及ヒ第千六百九条ニ同シ 第千五百十四条 仏民法第千六百十二条及ヒ第千六百十三条ニ同シ 第千五百十五条 仏民法第千六百十二条及ヒ第千六百十三条ニ同シ 第千五百十六条 若シ売主物件ヲ引渡スコトヲ怠リタル時ハ其買主第千三百二条及ヒ第千三百三条ニ循ヒ売買ノ契約ヲ取消スコトヲ得可シ 第千五百十七条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百十八条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百十九条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百二十条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百二十一条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百二十二条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百二十三条 仏民法第千六百十四条乃至第千六百二十条ニ同シ 第千五百二十四条 仏民法第千六百二十一条ニ同シ但シ契約ヲ為スニ付テノ費用ニ物件引渡ノ費用ヲ加フ 第千五百二十五条 仏民法第千六百二十三条ニ同シ但シ仏民法ノ「其契約書ヲ記シタル日ヨリ」ヲ「物件ヲ引渡セシ日ヨリ」ニ作ル 第千五百二十六条 仏民法第千六百二十三条ニ同シ 第千五百二十七条 仏民法第千六百二十五条ニ同シ 第千五百二十八条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百二十九条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十一条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十二条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十三条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十四条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十五条 仏民法第千六百二十七条乃至第千六百三十五条ニ同シ 第千五百三十六条 仏民法第千六百三十六条追加 但シ其売買ノ契約取消ノ訴訟ハ物件ノ一部ヲ奪フ可キ裁判言渡ノ控訴ス可カラサル力ヲ生セシ日ヨリ起算シ一箇年内ニ為ス可キ者トス 第千五百三十七条 仏民法第千六百三十七条ニ同シ 第千五百三十八条 「売払ヒタル不動産ニ付キ土地ノ義務有リテ売買ノ時買主之ヲ知ルコト無ク且ツ其義務重劇ニシテ」云々以下仏民法第千六百三十八条ニ同シ 第千五百三十九条 仏民法第千六百四十条乃至第千六百四十三条ニ同シ 第千五百四十条 仏民法第千六百四十条乃至第千六百四十三条ニ同シ 第千五百四十一条 仏民法第千六百四十条乃至第千六百四十三条ニ同シ 第千五百四十二条 仏民法第千六百四十条乃至第千六百四十三条ニ同シ 第千五百四十三条 第千五百四十条及ヒ第千五百四十二条ノ場合ニ於テハ買主其買入レタル物件ヲ売主ニ返シテ其代金ヲ己レニ取戻ス事又ハ其物件ヲ己レニ保チ置キ評価ヲ為セシ後チ裁判官ノ定ムル所ニ循ヒ其代価ノ一部ヲ己レニ取戻ス事自由ナリトス(仏民法第千六百四十四条) 第千五百四十四条 仏民法第千六百四十五条乃至第千六百四十九条ニ同シ 第千五百四十五条 仏民法第千六百四十五条乃至第千六百四十九条ニ同シ 第千五百四十六条 仏民法第千六百四十五条乃至第千六百四十九条ニ同シ 第千五百四十七条 仏民法第千六百四十五条乃至第千六百四十九条ニ同シ 第千五百四十八条 仏民法第千六百四十五条乃至第千六百四十九条ニ同シ 第三款 買主ノ義務 第千五百四十九条 仏民法第千六百五十条及ヒ第千六百五十一条ニ同シ 第千五百五十条 仏民法第千六百五十条及ヒ第千六百五十一条ニ同シ 第千五百五十一条 仏民法第千六百五十二条ニ同シ但シ第二及ヒ第三ヲ除ク 第千五百五十二条 仏民法第千六百五十三条ニ同シ 第千五百五十三条 仏民法第千六百五十四条ニ同シ但シ仏民法「若シ買主代金ヲ払ハサル時ハ」ノ下ニ「第千三百二条及ヒ第千三百三条ニ循ヒ」ヲ加フ 第千五百五十四条 仏民法第千六百五十七条ニ同シ 第四款 買戻ノ権 第千五百五十五条 仏民法第千六百五十九条ニ同シ 第千五百五十六条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百五十七条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百五十八条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百五十九条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十一条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十二条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十三条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十四条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十五条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十六条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十七条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第千五百六十八条 仏民法第千六百六十条乃至第千六百七十三条ニ同シ 第五款 義務ヲ得可キノ権利及ヒ其他ノ権利ヲ人ニ移ス事 第千五百六十九条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十一条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十二条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十三条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十四条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十五条 仏民法第千六百九十二条乃至第千六百九十八条ニ同シ 第千五百七十六条 義務ヲ得可キノ権利又ハ其他ノ権利ヲ移ス以前既ニ義務者其権利ヲ移ス者ニ其義務ヲ尽シタル時ハ法ニ適シテ其義務ノ釈放ヲ得タル者トス 第六巻 交換ノ事 第千五百七十七条 仏民法第千七百二条ニ同シ 第千五百七十八条 売買スルコトヲ得可キ物ハ交換ノ目的ト為スコトヲ得可シ 第千五百七十九条 仏民法第千七百四条及ヒ第千七百五条ニ同シ 第千五百八十条 仏民法第千七百四条及ヒ第千七百五条ニ同シ 第千五百八十一条 交換ノ約定ヲ為セシ物件若シ之ヲ渡ス可キ一方ノ者ノ過失ニ限ラスシテ滅尽スルニ於テハ其交換ノ契約ハ未成ノ者ト看做シ既ニ物件ヲ交附セシ一方ノ者ハ其物件ノ取戻ヲ訟求スルコトヲ得可シ 第千五百八十二条 仏民法第千七百七条ニ同シ 第七巻 賃貸 第一款 総則 第千五百八十三条 仏民法第千七百八条ニ同シ但シ第三項ニ「及ヒ工業ノ賃貸」ヲ加フ 第千五百八十四条 仏民法第千七百九条及ヒ第千七百十三条ニ同シ 第千五百八十五条 仏民法第千七百十条ニ同シ 第二款 家屋及ヒ土地ノ賃貸ノ契約ニ通シ用フ可キ規則 第千五百八十六条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百八十七条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百八十八条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百八十九条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百九十条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百九十一条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百九十二条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百九十三条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百九十四条 仏民法第千七百十九条乃至第千七百二十七条ニ同シ 第千五百九十五条 仏民法第千七百十七条ニ同シ但シ第二項ニ追加スルコト左ノ如シ 家屋ノ借主ハ其家屋ノ一部ヲ更ニ他人ニ貸与ヘ自カラ其責ニ任スルコトヲ得可シ但シ貸主此等ノ事ヲ特ニ禁シタル時ハ格別ナリトス 第千五百九十六条 仏民法第千七百二十八条乃至第千七百三十二条ニ同シ 第千五百九十七条 仏民法第千七百二十八条乃至第千七百三十二条ニ同シ 第千五百九十八条 仏民法第千七百二十八条乃至第千七百三十二条ニ同シ 第千五百九十九条 仏民法第千七百二十八条乃至第千七百三十二条ニ同シ 第千六百条 仏民法第千七百二十八条乃至第千七百三十二条ニ同シ 第千六百一条 借主ハ火災ノ責ニ任スルコト無シ但シ貸主ヨリ借主ノ過失ニ因テ火災ヲ生セシ証拠ヲ挙クル時ハ格別ナリトス(仏民法第千七百三十三条及ヒ第千七百三十四条、差異) 第千六百二条 仏民法第千七百三十五条ニ同シ 第千六百三条 借主其場所ヲ去ル時ハ自己ノ費用ヲ以テ造営シタル物ヲ除去シ又ハ破壊スルコトヲ得可シ但シ土地ヲ破壊スルコトヲ得ス 第千六百四条 仏民法第千七百十五条ニ同シ 第千六百五条 仏民法第千七百十六条ニ同シ「但シ其評価シタル」云々以下ヲ除ク 第千六百六条 仏民法第千七百三十七条ニ同シ 第千六百七条 仏民法第千七百三十六条ニ同シ 第千六百八条 仏民法第千七百三十九条ニ同シ 第千六百九条 仏民法第千七百三十八条及ヒ第千七百四十条ニ同シ 第千六百十条 仏民法第千七百三十八条及ヒ第千七百四十条ニ同シ 第千六百十一条 仏民法第千七百四十二条ニ同シ 第千六百十二条 賃貸シタル不動産ヲ売却スト雖モ其賃貸ノ契約ヲ解除スルコトヲ得ス但シ貸主其賃貸ノ契約書中賃貸ノ契約ヲ解除スルコトヲ得可キ旨ヲ定メタル時ハ格別ナリトス○此契約ヲ解除スルニ付キ損害ノ償ヲ為ス可キ契約ナキ時ハ貸主其家屋又ハ土地ノ借主ニ其償ヲ為スニ及ハス○若シ其償ヲ為ス可キ契約アル時ハ借主其償ヲ得サル間離去セサルコトヲ得可シ(仏民法第千七百四十三条及ヒ第千七百五十条、差異) 第千六百十三条 仏民法第千七百五十一条ニ同シ 第千六百十四条 仏民法第千七百四十八条ニ同シ 第千六百十五条 仏民法第千七百六十一条及ヒ第千七百六十二条ニ同シ 第千六百十六条 仏民法第千七百六十一条及ヒ第千七百六十二条ニ同シ 第三款 家屋ノ賃貸ニ管スル別段ノ規則 第千六百十七条 仏民法第千七百五十二条ニ同シ 第千六百十八条 仏民法第千七百五十三条及ヒ第千七百五十五条ニ同シ 第千六百十九条 仏民法第千七百五十三条及ヒ第千七百五十五条ニ同シ 第千六百二十条 仏民法第千七百五十六条追加 煙筒ノ煤払ハ別段契約アル時ノ外借主之ヲ担任ス可シ 第千六百二十一条 仏民法第千七百五十六条乃至第千七百五十九条ニ同シ 第千六百二十二条 仏民法第千七百五十六条乃至第千七百五十九条ニ同シ 第千六百二十三条 仏民法第千七百五十六条乃至第千七百五十九条ニ同シ 第四款 土地ノ賃貸ニ管スル別段ノ規則 第千六百二十四条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百二十五条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百二十六条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百二十七条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百二十八条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百二十九条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百三十条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百三十一条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百三十二条 仏民法第千七百六十五条乃至第千七百七十三条ニ同シ 第千六百三十三条 仏民法第千七百七十四条ニ同シ 第千六百三十四条 仏民法第千七百七十六条乃至第千七百七十八条ニ同シ 第千六百三十五条 仏民法第千七百七十六条乃至第千七百七十八条ニ同シ 第千六百三十六条 仏民法第千七百七十六条乃至第千七百七十八条ニ同シ 第五款 僕婢及ヒ職工ヲ雇フ事 第千六百三十七条 仏民法第千七百八十条ニ同シ 第千六百三十八条 雇主ノ誓ニ従ヒ左ノ四件ヲ確的トス可シ 雇賃ノ分量 既ニ経過シタル一年間ノ雇賃ヲ払ヒタル事 当年分ノ雇賃中ニテ其一部ヲ算計シタル事 雇ノ期限(仏民法第千七百八十一条) 第千六百三十九条 僕婢及ヒ其他ノ期限アル雇ハレ人ハ正当ノ原由アルニ非サレハ其勤務ヲ去ルコトヲ得ス又其期限ノ経了セサル前ニハ放逐セラルヽコト無シ 若シ右等ノ者正当ノ原由ナク確定ノ時間又ハ通常ノ期限ノ経了スル前ニ其勤務ヲ去ル時ハ総テ雇賃ヲ得ルノ権利ヲ失フ可シ 但シ雇主ハ仮令ヒ前項ノ原由ナキ時ト雖モ僕婢等ノ勤務ヲ止ムル日ヨリ起算シ六週間ノ雇賃ヲ損失ノ償トシテ払フ時ハ其期限前ニ其僕婢等ヲ放逐スルコトヲ得可シ 若シ雇期限六週間ノ内ニ在テ六週間経了スル前ニ満期ニ至ル可キ時ハ其僕婢等ハ雇賃ノ全部ヲ得ルノ権アリ 第六款 工作ノ請負 第千六百四十条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十一条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十二条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十三条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十四条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十五条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十六条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十七条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十八条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百四十九条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百五十条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百五十一条 仏民法第千七百八十七条乃至第千七百九十九条ニ同シ 第千六百五十二条 職工ハ其賃銀及ヒ入費ノ弁償ヲ得ル迄工作シタル物ヲ留置クコトヲ得可シ但シ其所有者別ニ充分ノ担保ヲ為ス時ハ格別ナリトス 第千六百五十三条 水陸ノ運送ヲ為ス者ノ権利ト義務トハ商法第一篇第五巻第三款第九十一条ヨリ第九十九条中ニ確定アリ(仏民法第千七百八十二条乃至第千七百八十六条) 第八巻 「ベクランマン」ト称スル権利 第千六百五十四条 「ベクランマン」ト称スル権利ハ契約又ハ其他ノ適法ノ手続ニ因テ生スル一時又ハ無期ノ権利ニシテ別段ノ規則又ハ契約ヲ結フ双方ノ者ノ約定或ハ之レ無キ時ハ其土地ノ慣例ニ因テ管理ス可キ者トス(此民法ノ第五百六十四条第七及ヒ第千二百十条第六ヲ看ル可シ) 第九巻 会社ノ契約 第一款 総則 第千六百五十五条 仏民法第千八百三十二条及ヒ第千八百三十三条ニ同シ 第千六百五十六条 仏民法第千八百三十二条及ヒ第千八百三十三条ニ同シ 第千六百五十七条 仏民法第千八百三十五条ニ同シ 第千六百五十八条 法律上ニ於テハ諸般ノ利益ヲ共通スル者ニ非サレハ会社ト認定スルコト無シ而シテ其他ノ会社ハ財産ノ全部又ハ一部ヲ共通スルト否トヲ問ハス総テ法律ノ禁スル所タリ但シ此民法第一篇第七巻及ヒ婚姻ノ契約ニ管スル第八巻ニ記シタル規則ハ格別ナリトス(仏民法第千八百三十七条、差異) 第千六百五十九条 仏民法第千八百三十八条ニ同シ但シ「但シ其会社ニ加ハリシ各人」云々以下除ク 第千六百六十条 仏民法第千八百四十一条及ヒ第千八百四十二条ニ同シ 第二款 社中各人ノ間ニ互ニ行フ可キ義務 第千六百六十一条 仏民法第千八百四十三条ニ同シ 第千六百六十二条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十三条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十四条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十五条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十六条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十七条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十八条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百六十九条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百七十条 仏民法第千八百四十五条乃至第千八百五十三条ニ同シ 第千六百七十一条 会社中各人ノ得可キ利益及ヒ担当ス可キ損失ノ割合ヲ定ムルコトヲ其社中ノ一人又ハ会社外ノ者ノ判断ニ任カス可キコトヲ約定スルヲ得ス 同上ノ如キ約定ノ条件ハ之ヲ記シタル効ナキ者ト看做シ而シテ前条ノ規則ヲ循守ス可シ(仏民法第千八百五十四条、差異) 第千六百七十二条 仏民法第千八百五十五条第一項ニ同シ但シ第二項ヲ変更スルコト左ノ如シ(仏民法第千八百五十五条、差異) 然レトモ会社中ノ一人又ハ数人ニテ全ク損失ヲ負担ス可キ事ハ之ヲ契約スルコトヲ得可シ 第千六百七十三条 仏民法第千八百五十六条乃至第千八百六十一条ニ同シ 第千六百七十四条 仏民法第千八百五十六条乃至第千八百六十一条ニ同シ 第千六百七十五条 仏民法第千八百五十六条乃至第千八百六十一条ニ同シ 第千六百七十六条 仏民法第千八百五十六条乃至第千八百六十一条ニ同シ 第千六百七十七条 仏民法第千八百五十六条乃至第千八百六十一条ニ同シ 第千六百七十八条 仏民法第千八百五十六条乃至第千八百六十一条ニ同シ 第三款 会社中ノ者会社外ノ人ニ対シテ行フ可キ義務 第千六百七十九条 仏民法第千八百六十二条乃至第千八百六十四条ニ同シ 第千六百八十条 仏民法第千八百六十二条乃至第千八百六十四条ニ同シ 第千六百八十一条 仏民法第千八百六十二条乃至第千八百六十四条ニ同シ 第千六百八十二条 会社中ノ一人其会社ノ名義ヲ以テ契約ヲ結フ時ハ会社ヨリ其契約ヲ執行ス可キ求メヲ受ク可シ 第四款 会社ノ終ル可キ方法 第千六百八十三条 仏民法第千八百六十五条第一、第二及ヒ第五ニ同シ但シ仏民法ノ第三及ヒ第四ハ之ヲ合シテ左ニ記載スル第四ニ変更ス 第四 会社中ノ一人ノ死去セシ時又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル時又ハ義務ヲ行フ可キ資力無キコトノ明白ナル時(荷蘭訴訟法第三篇第七巻) 第千六百八十四条 仏民法第千八百七十一条ニ同シ 第千六百八十五条 仏民法第千八百六十七条ニ同シ 第千六百八十六条 仏民法第千八百六十九条及ヒ第千八百七十条ニ同シ 第千六百八十七条 仏民法第千八百六十九条及ヒ第千八百七十条ニ同シ 第千六百八十八条 仏民法第千八百六十八条ニ同シ 第千六百八十九条 仏民法第千八百七十二条ニ同シ 第十巻 団結(コルボラーシヨン、モラル) 第千六百九十条 誠実ノ会社ノ外法律上ニ於テ団結ト看做ス可キ結社アリ此団結ハ公署ノ権ニ因テ之ヲ設立シ又ハ之ヲ適法ト為シ又ハ法律及ヒ一般ノ風儀ニ違戻セサル確定ノ目的ノ為メ組成スル者トス 第千六百九十一条 法律上ニ於テ法ニ適シタル者ト認定スル団結ハ各人ノ一身上ニ於ケルカ如ク民法上ノ行為ヲ為スノ権利アリ但シ公ケノ規則ニ因リ其権利ヲ変更シ限制シ又ハ或ル法式ニ循ヒ之ヲ行フ可キコト有ル可シ 第千六百九十二条 団結ノ支配人ハ其団結ノ名義ヲ以テ第三ノ人ニ対シテ義務ヲ行ヒ或ハ其第三ノ人ヲシテ義務ヲ行ハシメ或ハ裁判所ニ於テ原告又ハ被告ト為ルコトヲ得可シ但シ法律、契約又ハ特別ノ規則ニ違戻ス可キ時ハ格別ナリトス 第千六百九十三条 団結ノ支配人ノ其権限ヲ乱リ記シタル証書ニ付テハ団結ノ利益トナル可キ部分又ハ支配人ノ法ニ適シテ証ヲ立ツルコトヲ得可キ部分ニ非サレハ其団結ニ管スルコト無シ 第千六百九十四条 団結中ノ人ハ其何人タルヲ論セス前条ニ記シタル方法ニ因ルニ非サレハ其団結ノ名義ヲ以テ或事ヲ為シ又ハ団結ニ義務ヲ負ハシムルコトヲ得ス但シ法律規則又ハ特別ノ契約ニ因リ反対ノ条件アル時ハ格別ナリトス 第千六百九十五条 特別ノ規則アル時ヲ除クノ外団結ノ支配人ハ其団結中ノ各員ニ対シテ算計ヲ為シ又其各員ハ数人ノ支配人中ヨリ其算計ヲ為ス可キ者ヲ撰ムコトヲ得可シ 第千六百九十六条 特別ノ規則アル時ヲ除クノ外団結ノ各員ハ投票スルノ権アリ而シテ其議決ハ投票ノ多数ニ因テ採ル可シ 第千六百九十七条 団結中各員ノ権利ト其職務トハ公署ノ権ト特別ノ規則トニ因リ之ヲ定ム又此等ノ者ナキ時ハ本巻ノ規則ニ因リ之ヲ定ム 第千六百九十八条 団結ノ各員ハ一人ニテ其義務ヲ行フニ及ハス 負債ノ弁償ハ必ス其団結ノ全員ノ財産ヲ以テ之ヲ為ス可シ 第千六百九十九条 公署ノ権ニ因リ設立シタル団結ハ各員中ノ死去又ハ退社ニ因リ解散スルコトヲ得ス必ス法ニ適シテ之ヲ解散スル迄依然トシテ存立ス可シ 団結ヲ解散セントスル場合ニ於テハ初審裁判所ニ於テ団結中ノ人ノ訟求ニ因リ且ツ検察官ノ申立ヲ聴キシ後チ其団結ノ利益ニ必要ナル処置ヲ為ス可シ 第千七百条 其他ノ団結ハ其規則及ヒ特別ノ法律ニ循ヒ之ヲ解散スル迄又ハ其団結ヲ設立セシ目的ニ達スル迄依然トシテ存立ス可シ 第千七百一条 特別ノ規則アル時ヲ除クノ外団結中各員ノ権利ハ専ラ其人ニ存シ其財産相続人ニ転移スルコトヲ得ス 第千七百二条 団結ヲ解散セシ時ハ其各員或ハ各員中後ニ生存シタル者己レニ得タル利益ノ高ニ平均スル迄団結共通ノ負債ヲ担任シ其過剰ノ利益ハ各員中ニ分派シテ各々之ヲ所得ト為スコトヲ得可シ 同上ノ各員ハ其権利者ニ対シテ精算ヲ為シ又ハ諸件ノ責ニ任シ又ハ財産相続人ノ其相続スル財産ノ高ニ至ル迄ノ外負債ヲ償ハサル約定ヲ以テ財産相続ヲ為セシ時ニ等シキ義務ヲ尽サヽルヲ得ス 若シ各員同上ノ要件ヲ尽サヽルニ於テハ一人又ハ連帯ニテ其義務ヲ尽シ或ハ其財産相続人ニ其義務ヲ転移ス可シ 第十一巻 贈遺 第一款 総則 第千七百三条 仏民法第八百九十四条追加 法律上ニ於テハ生存中ノ贈遺ニ非サレハ贈遺ト認定スルコト無シ 第千七百四条 仏民法第九百四十三条ニ同シ 第千七百五条 若シ贈遺者其贈遺ノ証書中ニ保含シタル物件ヲ随意ニ為スコトノ自由ヲ与ヘサル時ハ其贈遺ハ物件ニ管シテ其効ナカル可シ 第千七百六条 仏民法第九百四十九条ニ同シ 第千七百七条 仏民法第九百四十五条及ヒ第九百四十六条ニ同シ 第千七百八条 仏民法第九百四十五条及ヒ第九百四十六条ニ同シ 第千七百九条 仏民法第九百五十一条ニ同シ 第千七百十条 仏民法第九百五十二条ニ同シ但シ「然レトモ其贈遺」云々以下ヲ除ク 第千七百十一条 贈遺者ノ其贈遺物ニ付キ故障ヲ受クルコト有ル可キ場合ニ於テハ担保ヲ為スニ及ハス 第千七百十二条 第九百二十六条、第九百二十七条、第九百二十八条、第九百二十九条、第九百三十一条、第九百四十一条ノ規則ト第二篇第十二巻第七款及ヒ第八款ノ規則トハ贈遺ニ通シ用フルコトヲ得可シ 第二款 贈遺ヲ為シ又ハ之ヲ受クルコトヲ得可キコトニ必要ナル諸件 第千七百十三条 仏民法第九百二条ニ同シ 第千七百十四条 幼者ハ婚姻ノ契約ノ巻ニ記載スル所ノ外贈遺ヲ為スコトヲ得ス(仏民法第九百三条) 第千七百十五条 結婚中ハ夫婦ノ間ニ贈遺ヲ為スコトヲ得ス(仏民法第千九十六条) 有形ノ動産ニシテ且ツ其価値贈遺者ノ資産ニ比シテ度ニ過キサル動産ヲ夫婦相互ニ手自ラ贈与スル時ハ前項ノ規則ヲ通シ用フ可カラス 第千七百十六条 贈遺ヲ受クルコトヲ得可シトスルニハ其贈遺ヲ為ス時生存シタルヲ要トス(仏民法第九百六条) 第千七百十七条 仏民法第九百十条ニ同シ 第千七百十八条 第九百五十一条第二項及ヒ其末項ノ規則ト第九百五十三条ヨリ第九百五十八条ニ至ル箇条ハ贈遺ニ通シ用フルコトヲ得可シ 第三款 贈遺ヲ為スノ法式 第千七百十九条 仏民法第九百三十一条乃至第九百三十四条ニ同シ 第千七百二十条 仏民法第九百三十一条乃至第九百三十四条ニ同シ 第千七百二十一条 仏民法第九百三十一条乃至第九百三十四条ニ同シ 第千七百二十二条 幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者ニ為シタル贈遺ノ財産ハ裁判所ヨリ允許ヲ得タル後見人又ハ管財人之ヲ収取スルヲ要トス 幼者又ハ治産ノ禁ヲ受ケタル者ノ父モ亦贈遺ノ財産ヲ収取スルコトヲ得可シ(仏民法第九百三十五条) 第千七百二十三条 贈遺中ニ保含シタル財産ノ所有権ハ仮令ヒ其財産ヲ正当ニ収取セシ時ト雖モ所有権ノ巻ニ記シタル諸件ニ循ヒ其財産ヲ引渡シタル時ニ非サレハ贈遺ヲ受ケシ者其財産ノ所有権ヲ得ルコトヲ得ス(仏民法第九百三十八条、差異) 第千七百二十四条 有形ノ動産ヲ手自ラ贈与セシ時及ヒ現ニ保有シタル者ニ属スル物件ヲ贈与セシ時ハ仮令ヒ其贈与ノ証書無シト雖モ贈遺ヲ受ク可キ者又ハ之ニ代リ其贈遺ノ財産ヲ収取スル第三ノ人ニ其財産ヲ引渡セシニ因リ効アル者トス 第四款 贈遺ヲ取戻ス事及ヒ贈遺ニ効ナキ事 第千七百二十五条 贈遺ハ左ニ記シタル諸原由ニ因リ取消スコトヲ得可シ 第一 贈遺ヲ為シタルニ付キ行フ可キ条件ヲ行ハサル時 第二及ヒ第三 仏民法第九百五十五条第二項及ヒ第三項ニ同シ 第千七百二十六条 仏民法第九百五十四条ニ同シ 第千七百二十七条 仏民法第九百五十八条第一項ニ同シ但シ謄記ニ管スル事ハ所有権ノ巻第六百七十一条ヲ参観ス可シ 第千七百二十八条 仏民法第九百五十八条第二項追加 又同上ノ場合ニ於テハ未タ所有権ノ移ラサル財産ニ賦課セシ書入質ノ権又ハ其他ノ義務ヲ贈遺ヲ受ケタル者ヨリ贈遺ヲ為シタル者ニ償還ス可シ 第千七百二十九条 仏民法第九百五十七条ニ同シ 第千七百三十条 本巻ノ規則ハ婚姻ノ契約ノ巻ニ記シタル規則ニ牴触スルコト莫カル可シ 第十二巻 附託 第一款 総テノ附託及ヒ附託ノ種類 第千七百三十一条 仏民法第千九百十五条及ヒ第千九百十六条ニ同シ 第千七百三十二条 仏民法第千九百十五条及ヒ第千九百十六条ニ同シ 第二款 附託ノ契約ノ本義 第千七百三十三条 附託ノ契約ハ之ニ反スル契約アル時ノ外恩恵ノ契約タリ(仏民法第千九百十七条) 第千七百三十四条 仏民法第千九百十九条第一項ニ同シ 第千七百三十五条 仏民法第千九百二十条及ヒ第千九百二十一条ニ同シ 第千七百三十六条 仏民法第千九百二十条及ヒ第千九百二十一条ニ同シ 第千七百三十七条 証人有リテ其証ヲ立テサル附託ノ事ノ存立アル由ヲ訴フル者仮令ヒ其証書又ハ其証書ノ端緒ヲ挙ケスト雖モ受託者タル訴ヘヲ受ケシ者ノ申述ニ因テハ附託ヲ受ケシコトノ証拠又ハ其附託ノ目的タル物件ニ付テノ証拠又ハ其物件ヲ返還ス可キノ証拠有リトス(仏民法第千九百二十三条)又其他ノ証拠ハ第四篇ニ規定シタル証拠ニ管スルコト無ク総テ一定ノ誓ヲ以テ為ス可シ 第千七百三十八条 仏民法第千九百二十五条ニ同シ但シ「其附託ヲ為シタル者ノ後見人」云々以下ヲ除ク 第千七百三十九条 仏民法第千九百二十六条ニ同シ 第千七百四十条 仏民法第千九百四十九条乃至第千九百五十一条ニ同シ 第千七百四十一条 仏民法第千九百四十九条乃至第千九百五十一条ニ同シ 第千七百四十二条 仏民法第千九百四十九条乃至第千九百五十一条ニ同シ 第千七百四十三条 仏民法第千九百二十七条乃至第千九百二十九条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 第四ノ場合ニ於テ若シ其物件附託者ノ手ニ在テモ亦滅尽ス可キ時ハ受託者其過失ヲ担任ス可カラス 第千七百四十四条 仏民法第千九百二十七条乃至第千九百二十九条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 第四ノ場合ニ於テ若シ其物件附託者ノ手ニ在テモ亦滅尽ス可キ時ハ受託者其過失ヲ担任ス可カラス 第千七百四十五条 仏民法第千九百二十七条乃至第千九百二十九条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 第四ノ場合ニ於テ若シ其物件附託者ノ手ニ在テモ亦滅尽ス可キ時ハ受託者其過失ヲ担任ス可カラス 第千七百四十六条 仏民法第千九百五十二条ニ同シ 第千七百四十七条 仏民法第千九百五十三条ニ同シ但シ「其他其家ニ出入スル者」ヲ「其他ノ人」ニ作ル 第千七百四十八条 旅舎ノ主人抗拒ス可カラサル力ノ為メ又ハ旅客ニ他ノ旅客ノ物件ヲ奪ハレシ時ハ其責ニ任スルコト無シ(仏民法第千九百五十四条) 第千七百四十九条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十一条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十二条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十三条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十四条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十五条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十六条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十七条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十八条 仏民法第千九百三条乃至第千九百三十九条ニ同シ 第千七百五十九条 仏民法第千九百四十条追加 但シ受託者物件ヲ附託セシ者ノ身上ノ変シタルコトヲ知ルコト能ハサル正当ノ原由アル時ハ格別ナリトス 第千七百六十条 仏民法第千九百四十四条ニ同シ 第千七百六十一条 仏民法第千九百四十四条ニ同シ 第千七百六十二条 仏民法第千九百四十四条ニ同シ 第千七百六十三条 受託者其附託ヲ受ケタル物件ヲ返還セサルヲ得サル正当ノ原由アル時ハ仮令ヒ契約ニ因リ嘗テ定メタル期限ノ未タ経了セサル時ト雖モ附託者ニ其物件ヲ返還スルコトヲ得可ク又若シ附託者之ヲ請取ルコトヲ拒ム時ハ裁判官ヨリ其物件ヲ他ノ場所ニ移スコトヲ得可キ允許ヲ得可シ 第千七百六十四条 仏民法第千九百四十六条乃至第千九百四十八条ニ同シ 第千七百六十五条 仏民法第千九百四十六条乃至第千九百四十八条ニ同シ 第千七百六十六条 仏民法第千九百四十六条乃至第千九百四十八条ニ同シ 第三款 双方相争フ物ヲ人ニ附託スル事及ヒ其種類 第千七百六十七条 双方相争フ物ヲ人ニ附託スル事トハ其相争フ物ヲ他人ニ附託シ其附託ヲ受ケタル者其争ヒノ裁判言渡アリシ時其物ニ付テノ利益ト共ニ其物ヲ得可キノ言渡ヲ得シ者ニ之ヲ還ス可キコトヲ云フ 双方相争フ物ヲ人ニ附託スル事ハ契約ヲ以テ為ス者アリ裁判言渡ヲ以テ為ス者アリ(仏民法第千九百五十五条及ヒ第千九百五十六条) 第千七百六十八条 一人又ハ数人ノ意ニ随ヒ双方相争フ物ヲ人ニ附託スル時ハ之ヲ契約上ノ附託トス(仏民法第千九百五十八条) 第千七百六十九条 仏民法第千九百五十七条ニ同シ 第千七百七十条 双方相争フ物ヲ人ニ附託スル時ハ誠実ノ附託ニ管スル規則ニ依遵ス可シ但シ左ノ次条ニ記シタル差異アル可シ(仏民法第千九百五十八条) 第千七百七十一条 仏民法第千九百五十九条及ヒ第千九百六十条ニ同シ 第千七百七十二条 仏民法第千九百五十九条及ヒ第千九百六十条ニ同シ 第千七百七十三条 若シ双方相争フ物ヲ人ニ附託ス可キ裁判言渡アル時ハ之ヲ裁判上ノ附託トス 第千七百七十四条 仏民法第千九百六十三条追加 附託ヲ受ケタル者ハ其他検察官ノ求メニ循ヒ毎年其附託ヲ受ケタル財産ヲ管理スルニ付テノ簡易ナル計算書ト其利益及ヒ財産ノ種類トヲ報道スルノ義務アリ但シ其計算書ノ正不正ハ其物ヲ争フ双方ノ者ニ管スルコト無シ 第千七百七十五条 仏民法第千九百六十一条及ヒ第千九百六十二条ニ同シ 第千七百七十六条 仏民法第千九百六十一条及ヒ第千九百六十二条ニ同シ 第十三巻 耗尽セサル物ノ貸借 第一款 総則 第千七百七十七条 耗尽セサル物ノ貸借トハ貸主ヨリ借主ノ使用ノ為メ償ヲ得ルコト無ク物件ヲ引渡シ借主之ヲ使用セシ後チ又ハ確定ノ期限ニ至リ貸主ニ還ス可キ契約ヲ云フ(仏民法第千八百七十五条) 第千七百七十八条 仏民法第千八百七十七条乃至第千八百七十九条ニ同シ 第千七百七十九条 仏民法第千八百七十七条乃至第千八百七十九条ニ同シ 第千七百八十条 仏民法第千八百七十七条乃至第千八百七十九条ニ同シ 第二款 借主ノ義務 第千七百八十一条 仏民法第千八百八十条乃至第千八百八十四条ニ同シ又第千八百八十六条及ヒ第千八百八十七条ニ同シ 第千七百八十二条 仏民法第千八百八十条乃至第千八百八十四条ニ同シ又第千八百八十六条及ヒ第千八百八十七条ニ同シ 第千七百八十三条 仏民法第千八百八十条乃至第千八百八十四条ニ同シ又第千八百八十六条及ヒ第千八百八十七条ニ同シ 第千七百八十四条 仏民法第千八百八十条乃至第千八百八十四条ニ同シ又第千八百八十六条及ヒ第千八百八十七条ニ同シ 第千七百八十五条 仏民法第千八百八十条乃至第千八百八十四条ニ同シ又第千八百八十六条及ヒ第千八百八十七条ニ同シ 第千七百八十六条 仏民法第千八百八十条乃至第千八百八十四条ニ同シ又第千八百八十六条及ヒ第千八百八十七条ニ同シ 第三款 貸主ノ義務 第千七百八十七条 仏民法第千八百八十八条ニ同シ但シ「借主ノ之ヲ用ヒタル後ニ」ヲ「借主ノ之ヲ用ヒ得シ後ニ」ニ作ル 第千七百八十八条 仏民法第千八百八十九条乃至第千八百九十一条ニ同シ 第千七百八十九条 仏民法第千八百八十九条乃至第千八百九十一条ニ同シ 第千七百九十条 仏民法第千八百八十九条乃至第千八百九十一条ニ同シ 第十四巻 耗尽ス可キ物ノ貸借 第一款 総則 第千七百九十一条 仏民法第千八百九十二条及ヒ第千八百九十三条ニ同シ 第千七百九十二条 仏民法第千八百九十二条及ヒ第千八百九十三条ニ同シ 第千七百九十三条 仏民法第千八百九十五条第一項ニ同シ但シ第二項ヲ追加スルコト左ノ如シ 若シ貨幣ノ価ヒ低昂アルカ又ハ通用貨幣ノ変更アル時ハ義務者其金額ヲ還ス時現ニ通用スル貨幣ヲ以テ其時ノ価ニ因リ算計シ其金額ヲ以テ従前借用シタル金額ヲ還ス可キ者トス 第千七百九十四条 貨幣ノ員数ト其種類トヲ確定シテ貸借ノ契約ヲ結フ時其双方ノ者若シ其種類ノ価ニ管スルコト無ク其員数ヲ還ス可キ特定ノ契約ヲ為ス時ハ前条ノ規則ヲ通シ用フ可カラス此場合ニ於テハ借主其借リタル貨幣ノ員数ヲ返還スルヲ要トシ又若シ同種類ノ貨幣ノ員数不足ナル時ハ其不足ノ員数ハ同種ノ金質ニシテ且ツ同量ナル金質ヲ以テ還ス可シ(仏民法第千八百九十六条) 第千七百九十五条 仏民法第千八百九十七条ニ同シ 第二款 貸主ノ義務 第千七百九十六条 仏民法第千八百九十八条乃至第千九百一条ニ同シ 第千七百九十七条 仏民法第千八百九十八条乃至第千九百一条ニ同シ 第千七百九十八条 仏民法第千八百九十八条乃至第千九百一条ニ同シ 第千七百九十九条 仏民法第千八百九十八条乃至第千九百一条ニ同シ 第三款 借主ノ義務 第千八百条 仏民法第千九百二条及ヒ第千九百三条ニ同シ 第千八百一条 仏民法第千九百二条及ヒ第千九百三条ニ同シ 第四款 息銀アル貸借 第千八百二条 仏民法第千九百五条ニ同シ但シ仏民法ノ「其他動産ノ貸借ニ付キ」云々ヲ「耗尽ス可キ物件ノ貸借ニ付キ」云々ニ作ル 第千八百三条 若シ借主約定外ノ息銀ヲ払ヒシ時ハ其息銀ヲ取戻スコトヲ得スト雖モ元金ニ之ヲ充テ用フ可シ但シ其息銀適法ノ息銀ニ超過スル時ハ之ヲ取戻シ又ハ元金ニ充テ用フ可シ(仏民法第千九百六条、差異) 約定外ノ息銀ヲ払ヒタル借主ハ向後之ヲ払フノ義務無シト雖モ約定シタル息銀ハ仮令ヒ弁償ノ期限ノ経過セシ後ト雖モ元金ヲ弁償シ又ハ預リ役所ニ之ヲ預クル時ニ至ル迄生ス可シ 第千八百四条 仏民法第千九百七条ニ同シ 第千八百五条 若シ貸主息銀ヲ得可キ約定ノミヲ為シ其高ヲ確定セサル時ハ借主適法ノ息銀ヲ払フ可キノ義務アリ(千八百七年九月三日ノ仏蘭西法律) 第千八百六条 仏民法第千九百八条ニ同シ 第五款 無期ノ年金ヲ設定スル事 第千八百七条 無期ノ年金ヲ設定スル事トハ一方ノ者ヨリ他ノ一方ノ者ニ元金ヲ貸渡シ之ヲ取戻スコト無ク止タ其息銀ノミヲ得可キ契約ヲ云フ(仏民法第千九百九条) 第千八百八条 仏民法第千九百十一条追加 告知ス可キ期限ハ一年間ヨリ超過ス可カラス 第千八百九条 仏民法第千九百十二条及ヒ第千九百十三条ニ同シ 第千八百十条 第千八百九条ニ記シタル二箇ノ場合ニ於テ義務者訴訟ヲ受ケシ日ヨリ二十日以内ニ既ニ払ヒ期限ノ経過セシ年金ヲ払ヒ又ハ保証人ヲ立ツル時ハ元金ヲ払フ可キ義務ノ釈放ヲ得可シ 第十六巻 偶生ノ事ニ管スル契約 第一款 総則 第千八百十一条 仏民法第千九百六十四条ニ同シ 第二款 畢生間ノ年金ノ契約及ヒ其効 第千八百十二条 畢生間ノ年金ハ充償ノ年金不充償ノ年金トス○又遺嘱贈遺ノ証書ニ因リ畢生間ノ年金ヲ与フルコトヲ得可シ(仏民法第千九百六十八条及ヒ第千九百六十九条) 第千八百十三条 仏民法第千九百七十一条及ヒ第千九百七十二条ニ同シ 第千八百十四条 仏民法第千九百七十一条及ヒ第千九百七十二条ニ同シ 第千八百十五条 仏民法第千九百七十三条ニ同シ但シ仏民法ノ「但シ其年金ノ高ヲ減スル場合」云々以下ヲ除ク 第千八百十六条 仏民法第千九百七十四条ニ同シ 第千八百十七条 仏民法第千九百七十六条ニ同シ 第千八百十八条 仏民法第千九百七十七条追加 畢生間ノ年金ヲ払フ可キ契約ヲ取消ス時ハ其義務者其元資ヲ還ス可キ時ニ至ル迄嘗テ約定シタル年金ヲ払フ可キノ義務アリ 第千八百十九条 仏民法第千九百七十八条追加 畢生間ノ年金ヲ得可キ者ハ裁判所ニ訴ヘ義務者ヲシテ既ニ払ヒ期限ノ経過シタル年金ヲ払ハシメ且ツ義務者ノ向後払フ可キ年金ヲ得ルコトヲ確実ニスル為メ担保ヲ要求スルノ権利ヲ有ス可シ(仏民法第千九百七十八条) 第千八百二十条 義務者家資分産ヲ為シ又ハ著シク其義務ヲ尽スノ資力ナキニ至リシ時ハ畢生間ノ年金ハ其他ノ権利者ノ得可キ義務ノ高ニ平均シテ之ヲ減殺シ而シテ其他ノ権利者ハ其年金ヲ受ク可キ者ニ同上ノ如ク減殺セシ年金ヲ与フルコトヲ正確ナラシムルヲ要トス 第千八百二十一条 仏民法第千九百七十九条乃至第千九百八十一条ニ同シ 第千八百二十二条 仏民法第千九百七十九条乃至第千九百八十一条ニ同シ 第千八百二十三条 仏民法第千九百七十九条乃至第千九百八十一条ニ同シ 第千八百二十四条 仏民法第千九百八十三条ニ同シ 第三款 遊戯及ヒ賭博 第千八百二十五条 仏民法第千九百六十五条及ヒ第千九百六十六条ニ同シ 第千八百二十六条 仏民法第千九百六十五条及ヒ第千九百六十六条ニ同シ 第千八百二十七条 何人ニ限ラス義務ヲ更改シテ右ニ記シタル二箇条ノ規則ニ違戻スルコトヲ得ス 第千八百二十八条 仏民法第千九百六十七条ニ同シ 第十七巻 名代ノ証書 第一款 名代ノ証書ノ本義 第千八百二十九条 仏民法第千九百八十四条ニ同シ 第千八百三十条 仏民法第千九百八十五条ニ同シ但シ仏民法ノ証人ヲ以テ証ヲ立ツルコトニ付テノ規則ヲ除ク 第千八百三十一条 仏民法第千九百八十六条乃至第千九百九十条ニ同シ但シ此民法ノ第千八百三十五条ニ於テハ仏民法第千九百九十条中ノ「後見ヲ免カレタル」ノ語ヲ除ク 第千八百三十二条 仏民法第千九百八十六条乃至第千九百九十条ニ同シ但シ此民法ノ第千八百三十五条ニ於テハ仏民法第千九百九十条中ノ「後見ヲ免カレタル」ノ語ヲ除ク 第千八百三十三条 仏民法第千九百八十六条乃至第千九百九十条ニ同シ但シ此民法ノ第千八百三十五条ニ於テハ仏民法第千九百九十条中ノ「後見ヲ免カレタル」ノ語ヲ除ク 第千八百三十四条 仏民法第千九百八十六条乃至第千九百九十条ニ同シ但シ此民法ノ第千八百三十五条ニ於テハ仏民法第千九百九十条中ノ「後見ヲ免カレタル」ノ語ヲ除ク 第千八百三十五条 仏民法第千九百八十六条乃至第千九百九十条ニ同シ但シ此民法ノ第千八百三十五条ニ於テハ仏民法第千九百九十条中ノ「後見ヲ免カレタル」ノ語ヲ除ク 第千八百三十六条 名代人ヲ任シタル本人ハ名代人ノ其名義ヲ以テ契約ヲ結ヒタル人ニ対シ直接ニ訴訟ヲ為シ且ツ其契約ノ執行ヲ要求スルコトヲ得可シ 第二款 名代人ノ義務 第千八百三十七条 仏民法第千九百九十一条乃至第千九百九十四条ニ同シ但シ此第千九百九十四条ニ左ノ一項ヲ加フ 本人ハ常ニ其名代人ニ王国外ニ在ル財産ヲ管理スルニ付テ名代ノ権利ヲ与ヘタル者ト看做ス可シ 第千八百三十八条 仏民法第千九百九十一条乃至第千九百九十四条ニ同シ但シ此第千九百九十四条ニ左ノ一項ヲ加フ 本人ハ常ニ其名代人ニ王国外ニ在ル財産ヲ管理スルニ付テ名代ノ権利ヲ与ヘタル者ト看做ス可シ 第千八百三十九条 仏民法第千九百九十一条乃至第千九百九十四条ニ同シ但シ此第千九百九十四条ニ左ノ一項ヲ加フ 本人ハ常ニ其名代人ニ王国外ニ在ル財産ヲ管理スルニ付テ名代ノ権利ヲ与ヘタル者ト看做ス可シ 第千八百四十条 仏民法第千九百九十一条乃至第千九百九十四条ニ同シ但シ此第千九百九十四条ニ左ノ一項ヲ加フ 本人ハ常ニ其名代人ニ王国外ニ在ル財産ヲ管理スルニ付テ名代ノ権利ヲ与ヘタル者ト看做ス可シ 第千八百四十一条 仏民法第千九百九十五条乃至第千九百九十七条ニ同シ 第千八百四十二条 仏民法第千九百九十五条乃至第千九百九十七条ニ同シ 第千八百四十三条 仏民法第千九百九十五条乃至第千九百九十七条ニ同シ 第三款 本人ノ義務 第千八百四十四条 仏民法第千九百九十八条乃至第二千二条ニ同シ 第千八百四十五条 仏民法第千九百九十八条乃至第二千二条ニ同シ 第千八百四十六条 仏民法第千九百九十八条乃至第二千二条ニ同シ 第千八百四十七条 仏民法第千九百九十八条乃至第二千二条ニ同シ 第千八百四十八条 仏民法第千九百九十八条乃至第二千二条ニ同シ 第千八百四十九条 名代人ハ其名代ヲ為シタルニ付キ得可キ金額ヲ本人ヨリ受クル迄其本人ニ属スル物ヲ留置クコトヲ得可シ 第四款 名代ノ任ノ終ル方法 第千八百五十条 仏民法第二千三条ニ同シ但シ名代ノ任ノ終ル原由ニ左ノ一項ヲ加フ 名代ヲ任シ又ハ任セラレタル婦ノ婚姻スル事 第千八百五十一条 仏民法第二千四条乃至第二千九条ニ同シ 第千八百五十二条 仏民法第二千四条乃至第二千九条ニ同シ 第千八百五十三条 仏民法第二千四条乃至第二千九条ニ同シ 第千八百五十四条 仏民法第二千四条乃至第二千九条ニ同シ 第千八百五十五条 仏民法第二千四条乃至第二千九条ニ同シ 第千八百五十六条 名代人ノ死去セシ時其財産相続人死者ノ嘗テ名代ヲ任セラレタルコトヲ熟知シタル時ハ死去ノコトヲ本人ニ告知シ其相続人本人ヨリ其答詞ヲ得ルニ至ル迄ハ本人ノ為メ必要ナル諸事ヲ執行ヒ又時ニ因テハ損害ノ償ヲ為ス可キ者トス(仏民法第二千十条) 第十八巻 保証 第一款 保証ノ定限 第千八百五十七条 仏民法第二千十一条乃至第二千十六条ニ同シ 第千八百五十八条 仏民法第二千十一条乃至第二千十六条ニ同シ 第千八百五十九条 仏民法第二千十一条乃至第二千十六条ニ同シ 第千八百六十条 仏民法第二千十一条乃至第二千十六条ニ同シ 第千八百六十一条 仏民法第二千十一条乃至第二千十六条ニ同シ 第千八百六十二条 仏民法第二千十一条乃至第二千十六条ニ同シ 第千八百六十三条 保証人ノ義務ハ其財産相続人ニ之ヲ伝フ可シ(仏民法第二千十七条) 第千八百六十四条 仏民法第二千十八条ニ同シ但シ仏民法ノ「保証人ト為ル可キ者ノ住所ハ其保証ノ契約ヲ為ス地ノ控訴院ノ管轄内ニ在ルコトヲ要トス」ヲ「保証人ト為ル可キ者ノ住所ハ王国内ニ在ルコトヲ要トス」ニ作ル 第千八百六十五条 保証人ノ資力ハ其所有シタル不動産又ハ公債証書ヲ以テ計ル可シ○自余ハ仏民法第二千十九条ニ同シ 第千八百六十六条 仏民法第二千二十条ニ同シ 第千八百六十七条 法律又ハ裁判言渡ニ因リ保証人ヲ出サヽルヲ得サル者若シ其保証人ト為ル可キ者ヲ得サル時ハ之ニ代フルニ質入又ハ書入質ノ権ヲ以テスルコトヲ得可シ(仏民法第二千四十一条) 第二款 権利者ト保証人トノ間ニ生スル保証ノ効 第千八百六十八条 保証人ハ権利者ニ其義務ヲ行フ可キ本人ノ財産ヲ以テ先ツ其義務ニ充テシム可キコトヲ述ヘ其本人猶ホ其義務ヲ行ハサル時ノ外自カラ義務ヲ行フニ及ハス(仏民法第二千二十一条) 第千八百六十九条 「然レトモ保証人別段其権利ヲ」云々以下仏民法第二千二十一条第二千三十六条及ヒ第二千四十二条ニ同シ 第千八百七十条 仏民法第二千二十二条ニ同シ 第千八百七十一条 仏民法第二千二十三条追加 又ハ王国外ニ在ル財産ヲ指示ス可カラス 第千八百七十二条 仏民法第二千二十四条乃至第二千二十七条ニ同シ 第千八百七十三条 仏民法第二千二十四条乃至第二千二十七条ニ同シ 第千八百七十四条 仏民法第二千二十四条乃至第二千二十七条ニ同シ 第千八百七十五条 仏民法第二千二十四条乃至第二千二十七条ニ同シ 第三款 本人ト保証人トノ間及ヒ保証人数人ノ間ニ生スル保証ノ効 第千八百七十六条 仏民法第二千二十八条乃至第二千三十一条ニ同シ 第千八百七十七条 仏民法第二千二十八条乃至第二千三十一条ニ同シ 第千八百七十八条 仏民法第二千二十八条乃至第二千三十一条ニ同シ 第千八百七十九条 仏民法第二千二十八条乃至第二千三十一条ニ同シ 第千八百八十条 保証人ハ其本人ノ為メ義務ヲ行ハサル前ト雖モ償還又ハ釈放ヲ得可キ為メ本人ニ対シテ訴訟ヲ為スコトヲ得可シ○自余ハ仏民法第二千三十二条ニ同シ 第千八百八十一条 仏民法第二千三十三条ニ同シ但シ「前条ノ第一及ヒ第二ノ場合ニ於テ」ヲ追加ス又第二項ハ「第千三百二十九条第二項ノ規則ハ保証人ノ間ニ通シ用フルコトヲ得可シ」ニ作ル 第四款 保証ノ義務ノ消滅スル事 第千八百八十二条 仏民法第二千三十四条乃至第二千三十九条ニ同シ 第千八百八十三条 仏民法第二千三十四条乃至第二千三十九条ニ同シ 第千八百八十四条 仏民法第二千三十四条乃至第二千三十九条ニ同シ 第千八百八十五条 仏民法第二千三十四条乃至第二千三十九条ニ同シ 第千八百八十六条 仏民法第二千三十四条乃至第二千三十九条ニ同シ 第千八百八十七条 仏民法第二千三十四条乃至第二千三十九条ニ同シ 第十九巻 和解 第千八百八十八条 和解トハ双方ノ間ニ付与シ約定シ又ハ留置キタル物件ニ管シテ既ニ生シタル争ヒヲ完了シ又ハ生セントスル争ヒヲ予メ防ク契約ヲ云フ 此契約ハ書面ニ記シタル後チ又ハ証憑ヲ立ツルコトヲ得可キ物件ニ管スル時ニ非サレハ其効ナカル可シ(仏民法第二千四十四条) 第千八百八十九条 和解ヲ為サントスルニハ其和解ニ管シタル物件ヲ己レノ随意ニ取扱フノ権ヲ有スルコトヲ必要トス 後見人及ヒ管財人ハ民法第一篇第十七巻及ヒ第十八巻ニ設ケタル規則ニ循フニ非サレハ和解ヲ為スヲ得ス 邑及ヒ公舎ノ支配人ハ其邑及ヒ公舎ニ管スル法律ニ因リ定メタル法式ニ循フニ非サレハ和解ヲ為スヲ得ス(仏民法第二千四十五条) 第千八百九十条 仏民法第二千四十六条ニ同シ 第千八百九十一条 仏民法第二千四十八条乃至第二千五十三条ニ同シ 第千八百九十二条 仏民法第二千四十八条乃至第二千五十三条ニ同シ 第千八百九十三条 仏民法第二千四十八条乃至第二千五十三条ニ同シ 第千八百九十四条 仏民法第二千四十八条乃至第二千五十三条ニ同シ 第千八百九十五条 仏民法第二千四十八条乃至第二千五十三条ニ同シ 第千八百九十六条 仏民法第二千四十八条乃至第二千五十三条ニ同シ 第千八百九十七条 錯誤ニ因リ和解ヲ為セシ時ハ其和解ヲ取消ス可キ訴ヲ為スコトヲ得可シ 第千八百九十八条 仏民法第二千五十五条乃至第二千五十七条ニ同シ 第千八百九十九条 仏民法第二千五十五条乃至第二千五十七条ニ同シ 第千九百条 仏民法第二千五十五条乃至第二千五十七条ニ同シ 第千九百一条 仏民法第二千五十八条ニ同シ 第四篇 証憑及ヒ期満得免 第一巻 総テノ証憑 第千九百二条 権利ヲ得ント求ムル者或ハ其権利ノ補助ト為シ又ハ他人ノ権利ヲ争フ為メ或ル実事ヲ開陳スル者ハ必ス其権利又ハ其実事ヲ証ス可シ(仏民法第千三百十五条) 第千九百三条 証書、証人、思料、自認及ヒ誓詞ニ管スル規則ハ左ノ数巻ニ之ヲ記載ス 第二巻 証書 第千九百四条 証書ニ公正ノ証書私ノ証書有リトス 第千九百五条 仏民法第千三百十七条乃至第千三百十九条第一項ニ同シ 第千九百六条 仏民法第千三百十七条乃至第千三百十九条第一項ニ同シ 第千九百七条 仏民法第千三百十七条乃至第千三百十九条第一項ニ同シ 第千九百八条 仏民法第千三百二十条ニ同シ 第千九百九条 若シ公正ノ証書ノ偽造タル訴訟アル時ハ訴訟法ノ規則ニ循ヒ其証書ニ管スル諸件ノ執行ヲ中止ス可シ(訴訟法第一篇第三巻第五款第百七十六条乃至第百九十八条) 第千九百十条 仏民法第千三百二十一条ニ同シ 第千九百十一条 私ノ書類トハ私ノ証書、書状、簿冊、家事ノ簿冊及ヒ検察官ノ立合ナク記シタル書面ヲ云フ 第千九百十二条 仏民法第千三百二十二条ニ同シ 第千九百十三条 仏民法第千三百二十三条ニ同シ但シ第二項ヲ変更スルコト左ノ如シ 然レトモ其財産相続人及ヒ其代権人ハ本人ノ手記又ハ姓名ノ手署ト認定セサル旨ヲ申述スルコトヲ得可シ 第千九百十四条 仏民法第千三百二十四条ニ同シ 第千九百十五条 仏民法第千三百二十六条ニ同シ但シ第二項ヲ変更スルコト左ノ如シ 右ノ諸件ヲ記セサル証券ハ紛議ノ生シタルニ際リ書面ニ記シタル証拠ノ端緒トナス為メノミニ供ス可シ○此条ハ商業上ノ事務ニ通シ用フルコトヲ得ス 第千九百十六条 仏民法第千三百二十七条及ヒ第千三百二十八条ニ同シ但シ仏民法ニ追加スルコト左ノ如シ 又ハ第三ノ人ノ証書ヲ認可セシ日ヲ以テ他人ニ対スル其証書ノ日附ト定ム可シ 第千九百十七条 仏民法第千三百二十七条及ヒ第千三百二十八条ニ同シ但シ仏民法ニ追加スルコト左ノ如シ 又ハ第三ノ人ノ証書ヲ認可セシ日ヲ以テ他人ニ対スル其証書ノ日附ト定ム可シ 第千九百十八条 仏民法第千三百三十一条追加 其他ノ場合ニ於テハ裁判官ノ意見ニ循フ可シ 第千九百十九条 商賈ノ簿冊ハ商賈ニ非サル者ニ対シ其簿冊ニ記シタル物品ノ品位及ヒ分量ノ証ト為スコトヲ得可シ但シ其商賈ハ其一方ノ者ニ平素同一ノ品物ヲ売買シ或ハ其簿冊ヲ商法ニ規定シタル法式ニ因テ記シ且ツ其商賈出訴セシ条件ノ正確ナルコトヲ誓フヲ要トス 若シ其商賈ノ死去セシ時其財産相続人其死者ニ確タル負債有リテ未タ之カ弁償無キコトヲ正意ヲ以テ思料スル時ハ其誓ヒヲ為ス可シ○商賈ノ簿冊ハ仮令ヒ其保持善良ナラサル時ト雖モ其財産相続人ニ対シテ証ト為スコトヲ得可シ(仏民法第千三百二十九条) 第千九百二十条 仏民法第千三百三十二条ニ同シ 第千九百二十一条 証書ヲ所有シタル者ハ其証書ノ年数ヲ経シニ因リ又ハ其他ノ原由ニ因リ読ミ難ク成リタル時自費ヲ以テ之ヲ改製セント求ムルコトヲ得可シ(仏民法第二千二百六十三条) 第千九百二十二条 数人ニテ一箇ノ証書ヲ共有シタル時ハ其名代人之ヲ他ニ附託シ又ハ自費ヲ以テ其写ヲ取ル可キ求メヲ為スコトヲ得可ク又其数人中ノ一人必要ノ時其写ヲ取ル為メ之ヲ他ニ附託センコトヲ求ムルコトヲ得可シ 第千九百二十三条 其証書ニ管シテ紛議ヲ生スル場合ニ於テハ其一方ノ者裁判官ニ双方共通ノ証書ヲ保有スル他ノ一方ノ者ニ其紛議ニ管スル証書ヲ写ス可キノ裁判ヲ求ムルヲ得可シ 第千九百二十四条 仏民法第千三百三十三条及ヒ第千三百三十四条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 証書ノ力ハ其正本ニ存在スル者トス 第千九百二十五条 仏民法第千三百三十三条及ヒ第千三百三十四条ニ同シ但シ追加スルコト左ノ如シ 証書ノ力ハ其正本ニ存在スル者トス 第千九百二十六条 仏民法第千三百三十五条ニ同シ但シ第二ノ「其経旧ノ者タル時」ヲ除ク 又第四ヲ変更スル下ノ如シ 副本ヨリ写シタル公正ノ副本ハ証拠ノ端緒ト為スコトヲ得可シ 第千九百二十七条 証書ヲ公ケノ簿冊ニ謄記シタル時ハ証拠ノ端緒ト為スコトヲ得可シ(仏民法第千三百三十六条) 第千九百二十八条 義務ヲ認ムルノ書アル時ハ其義務ノ証書ノ正本ヲ出スニ及ハス但シ義務ヲ認ムル書ニ其義務ノ証書ノ文詞ヲ記入シタル時ノミトス(仏民法第千三百三十七条) 第千九百二十九条 仏民法第千三百三十八条及ヒ第千三百三十九条ニ同シ 第千九百三十条 仏民法第千三百三十八条及ヒ第千三百三十九条ニ同シ 第千九百三十一条 仏民法第千三百四十条ニ同シ但シ「又ハ其他ノ事故ヲ申述ヘ」ノ数語ヲ除ク 第三巻 証人 第千九百三十二条 法律ニ背カサル場合ニ於テハ人ヲ以テ証拠ト為スコトヲ得可シ 第千九百三十三条 証人ハ三百「フローラン」ノ価額ニ超過スル義務アル事又ハ其義務ノ釈放アル事ニ管スル約定ヲ証シ又ハ証書ノ存在スルト否トヲ証スルコトヲ得ス 第千九百三十四条 証人ハ証書中ニ記入シタル諸件又ハ記入セサル諸件或ハ証書ヲ記スル前、之ヲ記スル時、之ヲ記セシ後ト云フヲ証スル諸件或ハ三百「フローラン」以下ノ価額ニ管シテ証ヲ立ツルコトヲ得ス(仏民法第千三百四十一条) 第千九百三十五条 前ニ記シタル二箇条ノ規則ハ商業上ノ事務ニ通シ用フ可カラス 第千九百三十六条 仏民法第千三百四十二条乃至第千三百四十四条ニ同シ但シ百五十「フラン」ヲ三百「フローラン」ニ作ル 第千九百三十七条 仏民法第千三百四十二条乃至第千三百四十四条ニ同シ但シ百五十「フラン」ヲ三百「フローラン」ニ作ル 第千九百三十八条 仏民法第千三百四十二条乃至第千三百四十四条ニ同シ但シ百五十「フラン」ヲ三百「フローラン」ニ作ル 第千九百三十九条 仏民法第千三百四十七条ニ同シ 第千九百四十条 仏民法第千三百四十八条ニ同シ但シ仏民法ノ「第一」ニ追加スルコト左ノ如シ 義務ヲ得可キ者其義務ノ証書ノ種類ニ因リ之ヲ得ルコト能ハサル時 又仏民法ノ「第二」ヲ変更スルコト左ノ如シ 此第二ノ例外法ハ左ニ記列シタル場合ニ通シ用フ可シ 甲 人ノ所為アルニ因リ法律ヨリ生スル義務ニ通シ用フル事 乙 仏民法第千三百四十八条ニ同シ 第千九百四十一条 総テ証人ヲ立ツルコトヲ得可キ場合ニ於テハ左ノ規則ヲ循守ス可シ 第千九百四十二条 唯々一人ニテ証人ト為リ而シテ其他ノ諸種ノ証拠ニ因リ排斥セラルヽニ於テハ裁判所ニ於テ証人ト為ルコトヲ得ス 第千九百四十三条 種々ノ所為ヲ数人ノ者各自ニ証シ而シテ其数人ノ者一般ノ証拠ヲ設クル為メ連合スル時ハ裁判官其時ノ形況ニ注意シ其証拠ニ効力アルト否トヲ判決ス可シ 第千九百四十四条 証人ト為ル者ハ総テ諸種ノ所為ヲ熟知スルヲ要トス○道理上ヨリ引証スル意見及ヒ特別ノ推測ハ証拠ト為スコトヲ得ス 第千九百四十五条 裁判官ハ総テ証人数人ノ申述スル証拠ト既ニ存在スル他ノ証拠ト符合スルヤ否ヤヲ点検ス可シ○又裁判官ハ証人数人ノ其証拠ノ主眼トスル原由、其数人ノ生計上ノ信憑、其風俗及ヒ常ニ行フ所ノ職業等ヲ審査ス可シ 第千九百四十六条 証人ト為ル可キ能力アル者ハ総テ裁判所ニ於テ証人ト為ルヲ要トス但シ左ニ列記シタル者ハ証人ト為ルコトヲ得ス 第一 第二級ノ血属親及ヒ姻属親 第二 配偶者ノ連綿タル宗系ノ血属親及ヒ第二級ノ傍系ノ親 第三 己レノ身分ニ因リ任セラレタル事務ヲ秘密ニス可キ者 第千九百四十七条 原告又ハ被告人ノ宗系ノ血属親又ハ姻属親又ハ仮令ヒ離婚セシ後ト雖モ其配偶タリシ者ハ証人ト為ルコトヲ得ス 第千九百四十八条 証人ト為ル者ハ己レノ宗教ノ礼式ニ循ヒ実事ヲ陳述ス可キ旨ヲ誓約ス可シ 第千九百四十九条 満十五歳ニ達シタル者ハ証拠ヲ述ルコトヲ得可シ但シ誓詞ヲ為スニ及ハス又裁判官ハ其証拠ニ付キ注意スルヲ要トス 定期ノ時間治産ノ禁ヲ受ケタル者モ亦証拠ヲ述ルコトヲ得可シ但シ告知ノ名義ヲ以テスルニ非サレハ其証拠ヲ述ルコトヲ得ス 第千九百五十条 左ニ列記シタル者ハ証人ト為ルコトヲ得ス 第一 原告又ハ被告ノ傍系ノ血属親又ハ姻属親ニシテ第四級ニ至ル迄ノ者 第二 原告又ハ被告ノ配偶者ノ姻属親、但シ宗系ナル時ハ総テノ者、傍系ナル時ハ第四級ニ至ル迄ノ者 第三 財産相続人ト思料サルヽ者、贈遺ヲ受ケタル者、原告又ハ被告ノ家僕、訴訟ニ付キ直接又ハ間接ニ利益ヲ得可キ者 第四 告発ヲ受ケタル者、施体又ハ加辱ノ刑ヲ受ケシ者又ハ窃盗、詭欺ニ因リ違警ノ罪ヲ受ケシ者 第千九百五十一条 民事ニ管スル訴訟ニ付テハ原告又ハ被告ノ血属親、姻属親及ヒ家僕ハ証人ト為ルコトヲ得可シ 第四巻 思料ノ事 第千九百五十二条 仏民法第千三百四十九条追加 思料ニ二種アリ法ニ適スル思料、法律上一定ノ規則ナキ思料是ナリ 第千九百五十三条 仏民法第千三百五十条及ヒ第千三百五十一条ニ同シ 第千九百五十四条 仏民法第千三百五十条及ヒ第千三百五十一条ニ同シ 第千九百五十五条 重罪又ハ軽罪ニ管シテ執行シタル裁判言渡ハ民事ノ証拠ト為スコトヲ得可シ但シ之ニ反対スル証拠アル時ハ格別ナリトス 第千九百五十六条 重罪又ハ違警裁判所ニ於テ執行シタル無罪ノ裁判言渡ハ損害ノ償ヲ得可キ訴訟権ヲ消滅ス可キ者ニ非ス 第千九百五十七条 訴訟ニ付キ異議ヲ申述スル適法ノ権利アル者ニ対シ政府ニ管スル事件ノ裁判言渡ヲ為シタル時ハ其他ノ人ニ対シテモ亦有効ノ者トス 第千九百五十八条 仏民法第千三百五十二条及ヒ第千三百五十三条ニ同シ 第千九百五十九条 仏民法第千三百五十二条及ヒ第千三百五十三条ニ同シ 第五巻 自認 第千九百六十条 仏民法第千三百五十四条ニ同シ 第千九百六十一条 自認ハ之ヲ為シタル者ニ対シ甲部ヲ実トシ乙部ヲ虚トシテ之ヲ区別ス可カラス(仏民法第千三百五十六条) 然レトモ若シ義務者其義務ノ釈放ヲ得ンカ為メ詐偽ノ証タルコトヲ発見スルニ足ル事項ヲ証スル時ハ裁判官ノ意ニ因リ自認ヲ区別スルコトヲ得可シ 第千九百六十二条 裁判所ニ於テ為シタル自認ハ之ヲ為シタル者又ハ特別ノ名代人ニ対シテ確証ナリトス 第千九百六十三条 仏民法第千三百五十六条第四項ニ同シ 第千九百六十四条 仏民法第千三百五十五条ニ同シ 第千九百六十五条 証人ヲ立ツルコトヲ得可キ事件ニ付キ裁判所外ニ於テ為シタル自認ノ効アルト否トヲ確定スルハ裁判官ノ意見ニ任カス可シ 第六巻 裁判所ニ於テ為ス所ノ誓 第千九百六十六条 仏民法第千三百五十七条ニ同シ 第千九百六十七条 訴訟審判ノ誓ハ何レノ訴訟ニ付テモ之ヲ為ス可キノ求メヲ為スコトヲ得可シ但シ双方ノ者ノ熟和スルコト能ハサル訴訟又ハ一方ノ者ノ自認ヲ証ト為サヽル訴訟ニ付テハ格別ナリトス(仏民法第千三百五十八条、差異)自余ハ仏民法第千三百六十条ニ同シ 第千九百六十八条 仏民法第千三百五十九条ニ同シ 第千九百六十九条 仏民法第千三百六十一条及ヒ第千三百六十二条ニ同シ 第千九百七十条 仏民法第千三百六十一条及ヒ第千三百六十二条ニ同シ 第千九百七十一条 誓ハ原告又ハ被告人タル者又ハ其特別及ヒ公正ノ証書ヲ得タル名代人ニ非サレハ之ヲ為ス可キノ求メヲ為シ又ハ之ニ反シ為ス可キノ求メヲ為シ又ハ之ヲ了承スルコトヲ得ス 第千九百七十二条 仏民法第千三百六十四条ニ同シ 第千九百七十三条 仏民法第千三百六十三条ニ同シ 第千九百七十四条 仏民法第千三百六十五条及ヒ第千三百六十六条ニ同シ 第千九百七十五条 仏民法第千三百六十五条及ヒ第千三百六十六条ニ同シ 第千九百七十六条 仏民法第千三百六十五条及ヒ第千三百六十六条ニ同シ 第千九百七十七条 仏民法第千三百六十五条及ヒ第千三百六十六条ニ同シ 第千九百七十八条 仏民法第千三百六十七条ニ同シ但シ末項ノ「此二箇ノ場合ノ外ハ」ヲ除ク 第千九百七十九条 仏民法第千三百六十九条ニ同シ 第千九百八十条 仏民法第千三百六十八条ニ同シ 第千九百八十一条 誓ハ訴訟ヲ為シタル裁判所ニ於テ之ヲ為スヲ要トス 正当ノ原由アル時ハ裁判所ニ於テ其裁判所附ノ裁判官中ヨリ誓ヲ為ス可キ者ノ住所ニ出張ス可キ裁判官一名ヲ任スルコトヲ得可シ 若シ誓ヲ為ス可キ者ノ住所裁判所ヨリ遠隔ノ場所又ハ其裁判所ノ管轄外ニ在ル時ハ其住所ニ出張ス可キ裁判官ヲ他ノ裁判所ヨリ撰任ス可シ 第千九百八十二条 誓ハ必ス本人之ヲ為スヲ要トス○然レトモ重大ノ原由アル時ハ裁判所ヨリ公正ノ証書ヲ有シタル名代人ニ誓ヲ為サシムルコトヲ原告又ハ被告人ニ允許スルコトヲ得可シ○此公正ノ証書ニハ誓ニ管スル総テノ所為ヲ記入シタルヲ要トス 誓ハ総テ其相手方ノ面前又ハ法ニ適シテ呼出ヲ受ケタル者ノ面前ニ於テ之ヲ為ス可シ 第七巻 期満得免 第一款 一般ノ期満得免 第千九百八十三条 仏民法第二千二百十九条乃至第二千二百二十三条ニ同シ 第千九百八十四条 仏民法第二千二百十九条乃至第二千二百二十三条ニ同シ 第千九百八十五条 仏民法第二千二百十九条乃至第二千二百二十三条ニ同シ 第千九百八十六条 仏民法第二千二百十九条乃至第二千二百二十三条ニ同シ 第千九百八十七条 仏民法第二千二百十九条乃至第二千二百二十三条ニ同シ 第千九百八十八条 仏民法第二千二百二十四条ニ同シ但シ仏民法ノ「但シ期満得免ノ権アル」云々以下ヲ除ク 第千九百八十九条 仏民法第二千二百二十五条乃至第二千二百二十七条ニ同シ 第千九百九十条 仏民法第二千二百二十五条乃至第二千二百二十七条ニ同シ 第千九百九十一条 仏民法第二千二百二十五条乃至第二千二百二十七条ニ同シ 第千九百九十二条 仏民法第二千二百二十九条ニ同シ 第千九百九十三条 仏民法第二千二百三十二条及ヒ第二千二百三十三条ニ同シ 第千九百九十四条 仏民法第二千二百三十四条及ヒ第二千二百三十五条ニ同シ 第千九百九十五条 仏民法第二千二百三十四条及ヒ第二千二百三十五条ニ同シ 第千九百九十六条 仏民法第二千二百三十六条ニ同シ 第千九百九十七条 仏民法第二千二百三十八条及ヒ第二千二百三十九条ニ同シ 第千九百九十八条 仏民法第二千二百三十八条及ヒ第二千二百三十九条ニ同シ 第千九百九十九条 仏民法第二千二百六十条及ヒ第二千二百六十一条ニ同シ 第二款 所得権ヲ得ルノ方法ト看做ス可キ期満得免 第二千条 詐偽ナキ正シキ証書ニ因リ不動産、年金又ハ現ニ保有シタル者ニ属ス可カラサル総テノ権利ヲ二十年間保有シタル者ハ期満得免ニ因リ其所有権ヲ得可シ 正意ヲ以テ三十年間保有シタル者ハ所有者タルノ名義ヲ得スト雖モ期満得免ニ因リ所有権ヲ得可シ(仏民法第二千二百六十五条、差異) 第二千一条 仏民法第二千二百六十七条乃至第二千二百六十九条ニ同シ 第二千二条 仏民法第二千二百六十七条乃至第二千二百六十九条ニ同シ 第二千三条 仏民法第二千二百六十七条乃至第二千二百六十九条ニ同シ 第三款 義務ノ釈放ヲ得ルノ方法ト看做ス可キ期満得免 第二千四条 仏民法第二千二百六十二条ニ同シ 第二千五条 仏民法第二千二百七十一条第一項及ヒ第二項ニ同シ但シ第三項ヲ変更スル下ノ如シ 工丁及ヒ雇夫ノ其給料ヲ得ルニ付キ為ス可キ訴訟ハ一箇年ヲ以テ期満得免トス 第二千六条 仏民法第二千二百七十二条第一項及ヒ第二項ニ同シ但シ仏民法ノ第三項ヲ除ク○又第四項、第五項及ヒ第六項ヲ変更スル下ノ如シ 従僕ノ其給料ヲ得ルニ付キ為ス可キ訴訟ハ二箇年ヲ以テ期満得免トス 第二千七条 代言人及ヒ検察官ノ其入費ト謝金トヲ得ルニ付キ為ス可キ訴訟ハ裁判言渡有リシ日又ハ双方ノ者ノ和解セシ日又ハ検察官ノ其任ヲ解キシ日ヨリ起算シ二箇年ヲ以テ期満得免トス 代言人及ヒ検察官ハ未タ結局ニ至ラサル事件ニ付キ十年以上ニ係ル入費ト謝金トヲ得可キ訴訟ヲ為スヲ得ス 公証人ノ其入費ト謝金トヲ得ルニ付キ為ス可キ訴訟ハ其公証人ノ其証書ヲ記セシ日ヨリ起算シ二箇年ヲ以テ期満得免トス(仏民法第二千二百七十三条) 第二千八条 木工、泥工及ヒ其他ノ請負人其供用品ノ代価及ヒ給料ヲ得ルニ付キ為ス可キ訴訟或ハ商賈ヨリ通常ノ買主又ハ其商賈ト同一ノ物品ヲ売買セサル他ノ商賈ニ売渡シタル物品ノ代価ヲ得ルニ付キ為ス可キ訴訟ハ五箇年ヲ以テ期満得免トス 第二千九条 仏民法第二千二百七十四条追加 第二千十六条及ヒ第二千十七条ニ循ヒ 第二千十条 第二千五条乃至第二千八条ノ条中ニ記シタル「期満得免ノ権ニ罹ル者ハ」以下仏民法第二千二百七十五条ニ同シ 第二千十一条 仏民法第二千二百七十六条乃至第二千二百七十八条ニ同シ 第二千十二条 仏民法第二千二百七十六条乃至第二千二百七十八条ニ同シ 第二千十三条 仏民法第二千二百七十六条乃至第二千二百七十八条ニ同シ 第二千十四条 仏民法第二千二百七十九条追加 但シ第六百三十七条ニ管スル者ハ格別ナリトス 第四款 期満得免ノ権ヲ得可キ期限ノ既ニ経過シタル時間ヲ除棄スル原由 第二千十五条 仏民法第二千二百四十三条ニ同シ 第二千十六条 期満得免ノ権ヲ得ントスル者其保有シタル財産ニ付キ裁判所ニ呼出ヲ受ケ又ハ義務ヲ行フ可キ要決ノ書ヲ受ケ又ハ法ニ適シタル法式或ハ要件ニ因リ訟求ヲ受ケタル時モ亦期満得免ノ権ヲ得可キ期限ノ既ニ経過シタル時間ヲ除棄ス可シ(仏民法第二千二百四十四条) 第二千十七条 仏民法第二千二百四十六条及ヒ第二千二百四十七条ニ同シ 第二千十八条 仏民法第二千二百四十六条及ヒ第二千二百四十七条ニ同シ 第二千十九条 義務者又ハ財産ノ保有者口演又ハ文詞ヲ以テ権利者又ハ所有者ノ権ヲ認メタル時ハ期満得免ノ権ヲ得可キ期限ノ既ニ経過シタル時間ヲ除棄ス可シ 第二千二十条 仏民法第二千二百四十九条及ヒ第二千二百五十条ニ同シ 第二千二十一条 仏民法第二千二百四十九条及ヒ第二千二百五十条ニ同シ 第二千二十二条 仏民法第千二百六条ニ同シ 第五款 期満得免ノ権ヲ得可キ期限ノ経過ヲ一時停止スル原由 第二千二十三条 仏民法第二千二百五十一条乃至第二千二百五十三条ニ同シ 第二千二十四条 仏民法第二千二百五十一条乃至第二千二百五十三条ニ同シ 第二千二十五条 仏民法第二千二百五十一条乃至第二千二百五十三条ニ同シ 第二千二十六条 仏民法第二千二百五十六条乃至第二千二百五十八条ニ同シ 第二千二十七条 仏民法第二千二百五十六条乃至第二千二百五十八条ニ同シ 第二千二十八条 仏民法第二千二百五十六条乃至第二千二百五十八条ニ同シ 第二千二十九条 期満得免ノ権ヲ得可キ期限ハ財産相続人ノ其財産相続ニ付キ評議スル時間中モ亦経過ス可シ 総則 第二千三十条 此民法ヲ布告スル前ニ始マリタル期満得免ハ以前ノ法律ニ循ヒ処置ス可シ(仏民法第二千二百八十一条)