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一切ノ法律ヲ公布シ解釈シ及ヒ擬施スル条則
第一条 国王ノ制可ヲ経タル法律ハ其公布スル本日ヨリ十五日ノ以後ハ全国一般ニ之ヲ遵奉セサル可カラス但々其制可ヲ経タル法律カ之ニ反スル法則ヲ規定スル有ル如キハ此限ニ在ラス
公布トハ制可ヲ経タル法律ヲ律令類纂ニ登録シ而シテ其登録セシコトヲ「ガゼツト、ヲフヒシエル、ヂユ、ロアイヨーム」王国公報ノ義ニ掲載スルヲ謂フ
第二条 法律ハ唯々之ヲ将来ノ事件ニ擬施ス可クシテ既往ノ事件ニ遡擬ス可キノ効力ヲ有セス
第三条 法律ヲ擬施スルニ当テハ其用語ノ正義及ヒ文辞ノ関係ト立法官ノ意思ヨリ明瞭ニ生スル所ノ意義トヲ除クノ外ハ復タ他ノ意義ヲ其法律ニ与フルコトヲ得ス
若シ一個ノ事件ノ法律ノ明文ニ依テ裁決ス可カラサル者有ルニ於テハ則チ同一ノ時会若クハ類似ノ事件ニ向テ擬施ス可キ条文ニ准拠シテ之ヲ裁決ス又若シ其事件ノ尚ホ疑義ニ渉レル者有ルニ於テハ則チ法学上ノ普通ノ原則ニ依テ之ヲ裁決ス
第四条 刑事ニ関スル法律及ヒ権理ノ自由ナル行用ヲ制限スル法律若クハ普通ノ原則及ヒ其他ノ法律ニ背反スル所ノ法律ハ特別ニ規定セル時会ト期間トノ外ニ向テ之ヲ推及スルコトヲ得可カラス
第五条 法律ノ廃止ハ他ノ一個ノ法律ヲ以テ立法官カ特別ニ公言スルニ因リ或ハ新定条則ト旧制条則トヲ比較スルヨリシテ抵触ヲ生スルニ因リ或ハ新定法律ニ於テ旧制条則ニ規定セル事件ヲ全然ニ改定スル有ルニ因テ以テ成ル者トス
第六条 人タル者ノ身位及ヒ権理ハ彼ノ親属ノ連結ト一般ニ其本国ノ法律ノ管知スル所ノ者トス
第七条 動産物件ハ其所有者ノ本国ノ法律ノ管知スル所ノ者トス然レトモ其所有者カ住居ヲ占定スル国地ニ於テ之ニ反スル条則ヲ設定セル有ル如キハ此限ニ在ラス
不動産物件ハ其所在ノ地方ニ現行スル法律ノ管知スル所ノ者トス
第八条 准規承産及ヒ遺嘱承産ハ其承産ノ順序若クハ承産権理ノ部分及ヒ行為ノ実価ニ関シテ其承産法ヲ開始スル本国ノ法律ニ依テ規定セラル可キ者トス而シテ其財産ノ品質及ヒ所在ハ復タ問フ所ニ非サルナリ
第九条 彼此存生ノ行為及ヒ臨終ノ行為ノ法式ハ其行為ヲ為ス地方ノ法律ニ准拠ス可キ者トス其行為ヲ為ス人及ヒ契約主ハ其本国ノ法律ニ規定セル法式ヲ施用スルノ自由ヲ有ス然レトモ各契約主ノ本国ノ法律ハ全ク同一ノ者タラサル可カラス
贈与及ヒ臨終行為ノ実価及ヒ其効力ハ贈与者及ヒ遺嘱者ノ本国ノ法律ニ依テ之ヲ判定ス可キ者トシ責務ノ実価及ヒ其効力ハ其行為ヲ為ス地方ノ法律ニ依テ判定セラル可キ者トス若シ二個ノ同国人カ外国ニ在テ契約ヲ締結スルニ当テハ必ス其本国ノ法律ニ准拠ス可キ者トス但契約主ニ他ノ意思アル如キハ此限ニ在ラス
第十条 訴訟ノ管轄及ヒ法式ハ其裁判ヲ宣告スル地方ノ法律ニ依テ管知セラル可キ者トス
責務ノ証憑ハ其契約ヲ締結セシ地方ノ法律ニ依テ規定セラル可キ者トス
外国ノ法衙ニ於テ宣告セシ民事ノ裁判ハ我カ訴訟法ニ規定セル法式ニ准拠シテ執行ス可シト公言セルニ於テハ則チ我カ国内ニ於テ之ヲ執行スルコトヲ得可シ但々此国ト彼国ト特別ノ条約アル如キハ此限ニ在ラス
契約及ヒ裁判ヲ決行スル方法ハ其訴訟ヲ搆起セシ地方ノ法律ニ准拠ス
第十一条 刑法、警察法及ヒ公同安寧ニ関スル法律ハ王国域内ニ在ル一切ノ人ニ向テ擬施ス可キ者トス
第十二条 前数条ノ条文アリト雖モ外国ノ法律及ヒ外国ニ於テ為セシ行為及ヒ外国ニ於テ宣告セシ裁判ハ私際ノ行為及ヒ契約ト共ニ人件、財産及ヒ契約ニ関スル我王国ノ禁法及ヒ公同ノ安寧及ヒ風化ニ関スル法律ニ悖戻スルコトヲ許サス