（書記朗讀）
第二節 取得時效
梅謙次郎君
旣成法典ニハ取得時效ニ不動產ノ取得時效ト動產ノ取得時效ト別々ニナツテ居リマス本節ニハ之ヲ含セテ規定シタノデアリマス其然ル所以ノモノハ旣ニ始メニ申シテ置キマシタ通リ所謂瞬間時效ナルモノハ之ヲ時效ノ部カラハ除テ他ニ入レルコトニシマシタ故ニ然ウ致シマスルト此瞬間時效ニ關スル所謂此處ニ云フ動產ノ取得時效ト云フモノハ此處カラナクナツテ仕舞ヒマスルシ後トノ部分ハ旣ニ旣成法典ノ第百四十八條竝ニ第百四十九條ノ第三項ニ依リマシテ不動產ノ取得時效ト同一ノ規定ニ依ルベキモノト相成リマスル故ニ之ヲ別ツ必要ハナクナリマスカラ夫レデ合セテ規定シタノデアリマス其百四十八條ニ於テ「上ノ場合ニ於テ回復者カ占有ノ無權原タリ又ハ惡意タルコトヲ證スルトキハ時效ハ三十ケ年ヲ經過スルニ非サレハ成就セス」トアリマス此三十ケ年ト云フモノハ不動產ノ取得時效デモ同ジコトニナリマスルシ、百四十九條ノ第三項ニ於テハ「又上ノ規定ハ記名債權ニモ包括動產ニモ之ヲ適用セス但此等ノ物ニ關スル時效ノ期間ハ第百三十八條以下ニ記載シタル區別ニ從ヒ不動產ニ關スルモノト同一ナリ」トアリマスカラ夫レデ之ハ全ク不必要ニナリマシタカラ總テ一所ニ致シタノデアリマス
議長（西園寺侯）
表題ニ付テ別ニ御發議ガナクバ表題ハ決シテ置テ休憩致シマス