1121条
遺言執行者カ其任務ヲ怠リタルトキ其他正当ノ事由アルトキハ利害関係人ハ其解任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
遺言執行者ハ正当ノ事由アルトキハ就職ノ後ト雖モ其任務ヲ辞スルコトヲ得
第千百二十一條 遺言執行者カ其任務ヲ怠リタルトキ其他正當ノ事由アルトキハ利害關係人ハ其解任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
遺言執行者ハ正當ノ事由アルトキハ就職ノ後ト雖モ其任務ヲ辭スルコトヲ得（取三九八、二項）
本條ハ遺言執行者ノ解任ニ關シテ規定セリ遺言執行者カ遺言者又ハ第三者ニ因リテ指定セラレタルト裁判所ニ於テ選任セラレタルトニ抅ラス若シ其任務ヲ怠リ又ハ疾病其他ノ事由ニ因リ其任務ヲ執ルニ堪エサルトキ其他裁判所ニ於テ正當ト認ムル事由アルトキハ相續人、受遺者其他一切ノ利害關係人ハ其解任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得ルモノトセリ是レ當然ニシテ殆ト言フヲ俟タサルカ如シト雖モ遺言者又ハ第三者カ指定シタル遺言執行者ヲホカノ者ヨリ解任セント欲スルカ如キハ一般ノ原則ニ從ハサルモノアルカ故ニ特ニ本條ノ規定ヲ必要トシタルナリ（二六、七六參照）
遺言者又ハ第三者カ指定シタル遺言執行者ハ就職ヲ承諾スル義務ナキコトハ既ニ屢屢述ヘタルカ如シト雖モ一旦之ヲ承諾シタルトキハ半途ニシテ其任務ヲ抛棄スルコト能ハサルヲ本則トス（千百九條ニ據ル）又裁判所ニ於テ選任シタル遺言執行者ハ正當ノ事由アルニ非サレハ就職ヲ拒ムコトヲ得サルコトハ既ニ之ヲ言ヘリ（一一一二、二項）然リト雖モ右孰レノ場合ニ於テモ正當ノ事由アルトキハ其任務ヲ辭スルコトヲ得ルモノトセリ是レ固ヨリ當然ニシテ殆ト言フヲ俟タサル所ナリ唯「正當ノ事由」トハ是レ事實問題ニシテ若シ爭アルトキハ裁判所ノ認定ニ一任スルノ外爲シト雖モ例ヘハ疾病ノ爲メ多忙ナル公務ニ就キタル爲メ、公務又ハ營業上ノ都合ニ因リ遠隔ノ地ニ轉住スル必要アルカ爲メ其任務ヲ執ルコト能ハサルノ場合ノ如キハ蓋シ正當ノ事由アリト謂フヘキカ尙ホ裁判所ニ於テ選任シタル遺言執行者ハ必ス裁判所ニ辭任ノ申立ヲ爲スヘキモノナルカ故ニ若シ裁判所ニ於テ其事由ヲ正當ナラスト認ムルトキハ直チニ其申立ヲ却下スヘキモノトス（非訟事件手續法一〇七、一〇八）尙ホ遺言者又ハ第三者カ指定シタル遺言執行者ニ付テハ非訟事件手續法ニ是レカ規定ヲ設ケス故ニ其辭任ニ付キ別段ノ方式ヲ必要トセス唯實際ノ必要上ヨリ其辭任ノ旨ヲ相續人ニ通知スルコトト爲ルヘシ但立法論トシテハ或ハ此場合ニ於テモ裁判所ニ申立テシムルヲ可トスヘキカ