1017条 (民法（～2019年）)

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制定

1119条

数人ノ遺言執行者アル場合ニ於テハ其任務ノ執行ハ過半数ヲ以テ之ヲ決ス但遺言者カ其遺言ニ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ従フ

各遺言執行者ハ前項ノ規定ニ拘ハラス保存行為ヲ為スコトヲ得

制定過程

明治民法1119条

関連資料

梅謙次郎『民法要義』*未校正資料全体表示

第千百十九條　數人ノ遺言執行者アル場合ニ於テハ其任務ノ執行ハ過半數ヲ以テ之ヲ決ス但遺言者カ其遺言ニ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ從フ

　各遺言執行者ハ前項ノ規定ニ拘ハラス保存行爲ヲ爲スコトヲ得（取三九八、二項）

遺言執行者ノ數人アル場合アルヘキコトハ既ニ屢屢論シタリ然ルニ此場合ニ於テ其任務ノ執行ニ付キ如何ナル主義ヲ取ルヘキカ或ハ其遺言執行者皆共同一致スルニ非サレハ一切其任務ヲ行フコトヲ得サルモノトスルカ或ハ各遺言執行者皆獨立シテ其任務ヲ行フコトヲ得ルモノトスルカ或ハ過半數ヲ以テ之ヲ決スヘキモノトスルカ是レ本條ニ於テ定メタル所ナリ而シテ此三主義皆外國ニ其例ヲ視ル所ナリト雖モ新民法ニ於テハ原則トシテ第三ノ主義ヲ取レリ是レ蓋シ最モ其當ヲ得タルモノト謂フヘシ其數人カ共同一致スルニ非サレハ行動ヲ爲シ難キモノトセハ往往ニシテ意見ノ合ハサルコトアリテ爲メニ如何トモスルコト能ハサル場合ヲ生スヘシ或ハ此場合ニ於テハ裁判所ニ於テ之ヲ決セシムルモ可ナリト曰ハンカ第一我邦ニ於テハ事事物物裁判所ニ訴フルカ如キコトハ最モ慣習ニ反スル所ニシテ殊ニ是レカ爲メ事務ノ澁滯ヲ來スヘキコト固ヨリ疑ヲ容レス然リト雖モ各自獨立シテ行爲ヲ爲スコトヲ得ルモノトセハ其各自ノ行爲動モスレハ相矛盾シテ其孰レヲ決行スヘキカヲ知ラサルコトアルヘシ故ニ過半數ヲ以テ之ヲ決スルハ文明國ノ通義ト謂フモ可ナリ唯本條ニ於テハ之ニ二個ノ例外ヲ認メタリ

第一　保存行爲ニ付テハ各遺言執行者獨立ニ之ヲ爲スコトヲ得ルモノトセリ蓋シ保存行爲ハ若シ之ヲ猶予スルトキハ爲メニ救ウヘカラサルノ損害ヲ生スル虞アルヲ以テナリ而シテ理論上ハ各遺言執行者ノ行爲ノ問ニ矛盾ヲ生スルノ虞ナシトセサレトモ蓋シ實際ニ於テハ其例ヲ視ルコト稀ナルヘク假ニ是レアリタリトスルモ其先ニ着手シタルモノ有效ナルカ故ニ後ニ爲シタル行爲ハ之ヲ決行スルコト能ハサルヘシ而シテ若シ是レカ爲メニ第三者ニ對シ義務ノ履行ヲ欠クカ如キコトアラハ其不履行ノ結果ハ相續財產之ヲ負担セサルヘカラス而モ遺言執行者ハ其權限內ニ於テ爲シタル行爲ナルカ故ニ苟モ過失ナキ以上ハ敢テ責任ナキモノトス例ヘハ遺言執行者ノ一人カ相續財產ニ屬スル建物ヲ修繕スル爲メ甲ノ工匠ト契約ヲ爲シタル後ホカノ一人ノ遺言執行者カ此事ヲ知ラスシテ更ニ乙ノ工匠ニ對シテ同樣ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ實際甲工匠ヲシテ修繕ヲ爲サシメルヘカラス而シテ乙工匠ニ對シテハ契約ヲ履行セサルカ爲メ損害賠償ヲ払ウヘキ場合アルヘシ此場合ニ於テハ相續財產ヲ以テ其賠償ヲ爲ササルヘカラサルノ類是ナリ

第二　遺言者カ其遺言ニ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ從フヘキモノトス例ヘハ遺言執行者皆共同一致スルニ非サレハ其任務ヲ行フコトヲ得サルモノトスルコトアルヘク或ハ各自ノ分担ヲ定メ甲地ニ在ル財產ニ付テハ太郞獨立シテ其任務ヲ行フヘク乙地ニ在ル財產ニ付テハ次郞獨立シテ其任務ヲ行フヘク丙地ニ在ル財產ニ付テハ三郞獨立シテ其任務ヲ行フヘキモノトスルコトアルヘシ但保存行爲ニ付キ各遺言執行者カ獨立シテ任務ヲ行フ權限ヲ有スルコトハ遺言ノ反對規定ヲ認メサルモノナリ是レ本條第二項ニ於テ「前項ノ規定ニ抅ラス」ト曰イ第一項ノ本文ヲ但書トヲ分カタサルヲ以テ明カナリ是レ蓋シ保存行爲ハ到底遺言執行者ノ會議ヲ開クノ暇ナク若シ此如キコトヲ必要トセハ爲メニ救ウヘカラサル損失ヲ招クヘキカ故ニ法律ハ絕對ニ之ヲ規定シタルモノナラン

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昭和22年222号（家族法改正）

1017条

数人の遺言執行者がある場合には、その任務の執行は、過半数でこれを決する。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

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平成16年147号（現代語化）

1017条

（遺言執行者が数人ある場合の任務の執行）

遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。

ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。