7 組合員の脱退(民法第678条から第681条まで関係)
組合員の脱退について,民法第678条から第681条までの規律を基本的に維持した上で,次のように改めるものとする。
(1) 民法第678条に付け加えて,やむを得ない事由があっても組合員が脱退することができないことを内容とする合意は,無効とするものとする。
(2) 脱退した組合員は,脱退前に生じた組合債務については,これを履行する責任を負うものとする。この場合において,脱退した組合員は,他の組合員に対し,この債務からの免責を得させること,又は相当な担保を供することを求めることができるものとする。
(概要)
本文(1)は,民法第678条について,やむを得ない事由がある場合には組合の存続期間の定めの有無に関わらず常に組合から任意に脱退することができるという限度で強行法規であるとする判例法理(最判平成11年2月23日民集53巻2号193頁)を明文化するものである。
本文(2)第1文は,組合員が脱退した場合であっても,その固有財産を引当てとする責任は存続することを定めるものである。組合の債権者は各組合員の固有財産に対してもその権利を行使することができるとする民法第675条との関係で,脱退した組合員が脱退前に生じた組合債務について自己の固有財産を引当てとする責任を負い続けるかどうかが明らかでなかったことから,この点に関する一般的な理解を明文化するものである。他方, 脱退した組合員が脱退前に生じた組合債務について自己の固有財産を引当てとする責任を負い続けるとしても,組合は,その組合債務を履行したり,債権者から免除を得たりするなどして,脱退した組合員の固有財産を引当てとする責任を免れさせるか,相当な担保を供して脱退した組合員が不利益を被らないようにしなければならないと解されている。本文(2)第2文はこれを明文化するものである。もっとも,脱退した組合員に対する持分の払戻しに際して,その組合員が固有財産を引当てとする責任を負うことを考慮した計算がされていたような場合には,別段の合意があると考えられるので,本文(2)第2文は適用されない。