2 使用貸借の終了(民法第597条関係)
民法第597条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 当事者が返還の時期を定めたときは,使用貸借は,その時期が到来した時に終了するものとする。
(2) 当事者が返還の時期を定めず,使用及び収益の目的を定めたときは,使用貸借は,借主がその目的に従い使用及び収益を終わった時に終了するものとする。
(3) 当事者が返還の時期を定めず,使用及び収益の目的を定めた場合において, 借主がその目的に従い使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは, 貸主は,契約の解除をすることができるものとする。
(4) 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは,貸主は,いつでも契約の解除をすることができるものとする。
(5) 借主は,借用物を受け取った後であっても,いつでも契約の解除をすることができるものとする。
(概要)
本文(1)から(4)までは,民法第597条の規律の内容を維持しつつ,同条のように目的物の返還時期という点に着目した規定ぶりではなく,存続期間の満了(本文(1)(2))や貸主による解除(本文(3)(4))という点に着目した規定ぶりに改めることによって,同条の規律の内容をより明確にすることを意図するものである。存続期間の満了や貸主による解除によって使用貸借が終了すると,これによって借主の目的物返還債務が生ずることになる。
本文(5)は,借主による解除について定めるものである。現行法では明文の規定はないが, 一般に,使用貸借の借主はいつでも目的物の返還をすることができると解されており,この理解を借主による解除という点に着目した規定ぶりによって明文化するものである。なお,目的物を受け取る前の借主による解除については,前記1(2)参照。