8 弁済の提供(民法第492条関係)
民法第492条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 債務者は,弁済の提供の時から,履行遅滞を理由とする損害賠償の責任その他の債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れるものとする。
(2) 前記第11,1によれば契約の解除をすることができる場合であっても, 債務者が弁済の提供をしたときは,債権者は,契約の解除をすることができないものとする。
(概要)
本文(1)は,弁済の提供の効果として履行遅滞を理由とする損害賠償の責任を免れることを,民法第492条に具体的に例示するものである。これによって,現在は不明確であるとされる受領(受取)遅滞の効果(前記第13)との関係を整理し,ルールの明確化を図るものである。
本文(2)は,弁済の提供によって,本文(1)の効果の他,契約の解除をすることができなくなるという一般的に認められている解釈を明文化するものである。