民法(~2019年)

制定

488条

債務者カ同一ノ債権者ニ対シテ同種ノ目的ヲ有スル数個ノ債務ヲ負担スル場合ニ於テ弁済トシテ提供シタル給付カ総債務ヲ消滅セシムルニ足ラサルトキハ弁済者ハ給付ノ時ニ於テ其弁済ヲ充当スヘキ債務ヲ指定スルコトヲ得

弁済者カ前項ノ指定ヲ為ササルトキハ弁済受領者ハ其受領ノ時ニ於テ其弁済ノ充当ヲ為スコトヲ得但弁済者カ其充当ニ対シテ直チニ異議ヲ述ヘタルトキハ此限ニ在ラス

前二項ノ場合ニ於テ弁済ノ充当ハ相手方ニ対スル意思表示ニ依リテ之ヲ為ス

制定過程

明治民法488条

関連資料

梅謙次郎『民法要義』*未校正 資料全体表示

平成16年147号(現代語化)

488条

(弁済の充当の指定)

債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

前二項の場合における弁済の充当の指定は、相手方に対する意思表示によってする。

平成29年44号(債権法改正)

488条

(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)

債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第一項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

前二項の場合における弁済の充当の指定は、相手方に対する意思表示によってする。

弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第二項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。

債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。

全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。

債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。

前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。