民法(~2019年)

制定

501条

前二条ノ規定ニ依リテ債権者ニ代位シタル者ハ自己ノ権利ニ基キ求償ヲ為スコトヲ得ヘキ範囲内ニ於テ債権ノ効力及ヒ担保トシテ其債権者カ有セシ一切ノ権利ヲ行フコトヲ得但左ノ規定ニ従フコトヲ要ス

保証人ハ予メ先取特権、不動産質権又ハ抵当権ノ登記ニ其代位ヲ附記シタルニ非サレハ其先取特権、不動産質権又ハ抵当権ノ目的タル不動産ノ第三取得者ニ対シテ債権者ニ代位セス

第三取得者ハ保証人ニ対シテ債権者ニ代位セス

第三取得者ノ一人ハ各不動産ノ価格ニ応スルニ非サレハ他ノ第三取得者ニ対シテ債権者ニ代位セス

前号ノ規定ハ自己ノ財産ヲ以テ他人ノ債務ノ担保ニ供シタル者ノ間ニ之ヲ準用ス

保証人ト自己ノ財産ヲ以テ他人ノ債務ノ担保ニ供シタル者トノ間ニ於テハ其頭数ニ応スルニ非サレハ債権者ニ代位セス但自己ノ財産ヲ以テ他人ノ債務ノ担保ニ供シタル者数人アルトキハ保証人ノ負担部分ヲ除キ其残額ニ付キ各財産ノ価格ニ応スルニ非サレハ之ニ対シテ代位ヲ為スコトヲ得ス

右ノ場合ニ於テ其財産カ不動産ナルトキハ第一号ノ規定ヲ準用ス

制定過程

明治民法501条

関連資料

梅謙次郎『民法要義』*未校正 資料全体表示

平成16年147号(現代語化)

501条

(弁済による代位の効果)

前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。

この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。

保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。

第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。

第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。

物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。

保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。

ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。

前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。

平成29年44号(債権法改正)

501条

(弁済による代位の効果)

前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。

前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。

第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。

第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。

第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。

前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。

保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。

第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。