第百回商法委員會議事要錄
明治三十年九月十三日午後三時四十分開議
出席員
淸浦奎吾君
土方寧君
岸本辰雄君
阿部泰藏君
田部芳君
高木豐三君
穗積八束君
富谷鉎太郞君
河村讓三郞君
穗積陳重君
梅謙次郞君
元田肇君
南部甕男君
尾崎三良君
中村元嘉君
岡野敬次郞君
商修正原案
第三百四十三條第六號中「及ヒ振出地」ノ五字及ヒ第七號ヲ削ル
梅君ノ說明ニ曰ク玆ニ「振出地」ヲ削除スルノ理由ハ他ナシ曾テ本議場ニ於テ其必要ナルヤ否ヤニ付テハ議論アリタリシト雖モ要スルニ其必要ナルハ勿論ナレトモ然レトモ之ヲ記載セサルカ爲メ無數ナリトノ制裁ヲ附スルハ不可ナリトノコトナリ故ヲ以テ玆ニ手形上ノ必要事項タルコトヲ避ケンカ爲メ削除スル所以ナリ次ニ第七號「支拂地」ナル文字ヲ削除スル理由ハ本案第三百四十九條ニ「支拂地ヲ記載セサリシトキハ其手形ニ記載シタル支拂人ノ住所地ヲ以テ其支拂地トス」トノ法文アルヲ以テ足レリトスレハナリ曾テ約束手形ヲ議スルニ當リテモ同一ノ問題出テタリシカ同手形ニハ之ヲ記載セサリシ
右ノ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百四十四條中二个所ニ於テ「本文」ヲ「主タル部分」ト改ム
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ全ク議場ノ希望ニ從ヒタルモノニシテ「本文」トアリテハ意義不分明ナリトノコトナリシヲ以テ「主タル部分」ト改メタルニ過キス斯クスルトキハ他ノ部分ナル意義トノ區別明ラカナルニ至レハナリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百四十五條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百四十五條甲 振出人ハ爲替手形ニ豫備支拂人ヲ記載スルコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク本條ヲ新ニ設クルノ必要ヲ見ルニ至リタル所以ハ前回ニ於テ第三百四十條甲ナル規定ヲ設ケ卽チ「本章ノ規定ナキ事項ハ之ヲ爲替手形ニ記載スルモ手形上ノ效力ヲ生セス」トノ主義ヲ採用シタリシヲ以テナリ何トナレハ右ノ如キ一條ヲ設ケタル以上ハ本條ヲ設ケサレハ振出人ハ爲替手形ニ豫備支拂人ヲ記載スルコトヲ得ストノ結果ヲ見ルニ至レハナリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百四十九條ヲ左ノ如ク改ム
振出人カ特ニ爲替手形ニ支拂地ヲ記載セサリシトキハ其手形ニ記載シタル支拂人ノ住所地ヲ以テ其支拂地トス
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ單ニ「特ニ」ナル文字ノ追補セシニ過キスシテ全ク第四百十四條ニ同一ノ文字ナルヲ以テナリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百五十條中「手形」ノ上「爲替」ノ二字ヲ加フ
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ全ク起草ノ當時不注意ナリシカ爲メ他ノ規定ト不揃ニ至リシヲ以テ之ヲ追補セシニ過キスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百五十條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百五十條甲 振出人ハ爲替手形ニ其支拂地ニ於ケル支拂ノ場所ヲ記載スルコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ全ク議場ノ多數說ニ從ヒタルモノニシテ若シ規定ヲ設ケサルトキハ手形上ノ效力ヲ有スルコト能ハサルノ結果ヲ生スルニ至レハナリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百五十二條ト第三百五十三條トヲ顚倒シ第三百五十二條(舊第三百五十三條)ヲ左ノ如ク改ム
振出人、引受人又ハ裏書人カ裏書ニ依リテ爲替手形ヲ讓受ケタルトキハ更ニ裏書ニ依リテ之ヲ讓渡スコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク此第三百五十二條ト第三百五十三條トノ位置ヲ顧倒セシハ單ニ場所ノ宜敷ヲ得ルカ爲メニシテ而シテ第三百五十二條ノ文章ヲ修正セシハ當時議場ニ於テ法文ノ不備ヲ批難セラレタルヲ以テ其說ニ從ヒ玆ニ修正ヲ加ヘタルニ外ナラスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百五十三條(舊第三百五十二條)ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百五十三條甲 裏書人ハ裏書ヲ爲スニ當タリ豫備支拂人ヲ記載スルコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク本條ヲ新タニ設クルノ必要ヲ見ルニ至リタルハ振出ニ關シ先キニ述ヘタルト同一ノ理由ニテ若シ本條ヲ設ケサルトキハ手形上ノ效力ヲ爲スコト能ハサルノ結果ヲ見ルニ至レハナリ次ニ本條ニ「爲スニ當リ」トノ文字ヲ使用シタルハ單ニ文章上ノ都合ニ止リ他ニ理由アルニアラスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百五十六條中「何時ニテモ」ノ五字ヲ削ル
梅君ノ說明ニ曰ク此「何時ニテモ」トノ文字ハ之ヲ記入スルト否トニ因リ敢テ意味ヲ異ニスルモノニ非サルヲ以テ寧ロ削除スルコトトセリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百七十六條ヲ第三百五十八條甲トシ同條中「自己ニ至ルマテ」ノ七字ヲ削ル
梅君ノ說明ニ曰ク此第七百五十八條甲ハ原案ニ於テハ第六節支拂ヲ下シ規定シタリシト雖モ其當時議論ノ末裏書ノ所ニ顚置スルコトニ決シタリシヲ以テ其決議ニ從ヒタルモノナリ又同條中「自己ニ至ルマテ」ノ七字ヲ削除セシハ裏書ニ關スル第三百五十二條第二項ノ場合ト釣合上不必要ナリトノ理由ニ外ナラスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百五十九條第二項ヲ削ル
梅君ノ說明ニ曰ク此第三項ヲ削除スル所以ハ新ニ設ケタル第三百四十條甲ノ規定上ヨリ自ラ不必要ヲ感スルニ至リタレハナリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百六十條第二項ヲ左ノ如ク改ム
所持人カ前項ニ定メタル呈示ヲ爲ササリシトキハ振出人其他ノ前者ニ對スル手形上ノ權利ヲ失フ
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ文字ノ修正ニ、過キスト雖モ爲メニ適用ノ範圍ヲ擴張セリト
右ハ修正原案ニ可決シテ次ニ移リタリ
第三百六十一條第二項ヲ左ノ如ク改ム
所持人カ拒絕證書ヲ作成セシメサリシトキハ振出人其他ノ前者ニ對スル手形上ノ權利ヲ失フ
梅君曰ク本修正ハ先キニ述ヘタルト同一ノ理由ナルヲ以テ別ニ說明セスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百六十四條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百六十四條甲 引受人カ爲替手形ノ支拂ヲ爲ササリシ場合ニ於テ其所持人又ハ償還ヲ爲シタル裏書人若クハ振出人ニ對シテ支拂フヘキ金額ハ第三百八十三條又ハ第三百八十四條ノ規定ニ依リテ之ヲ定ム
梅君ノ說明ニ曰ク本條ヲ新タニ加フル所以ハ此引受人ヲ滿期日ニ至リ爲替手形ノ支拂ヲ爲ササリシトキハ其所持人又ハ償還ヲ爲シタル裏書人若クハ振出人ニ對シテ引受ノ義務ヲ盡ササル可カラス然ルニ其金額ハ果シテ如何ト云フニ恰モ第三百六十四條ニ於ケル「滿期日ニ於テ其引受ケタル金額ヲ支拂フ義務ヲ負フ」トノ規定ヲ適用スルモノノ如ク見ユ然ルニ引受人カ支拂ヲ拒絕スル場合ハ爲メニ費用ヲ要スルヲ以テ右ノ規定ヲ適用シテハ固ヨリ不可ナリトス是卽チ第三百八十三條又ハ第三百八十四條ノ償還請求ニ關スル規定ヲ此場合ニ適用スヘキモノト定メタル所以ナリト
富谷君ハ第四百三條ニ規定シタル者ノ償還請求ヲ爲ス場合ニ本條ヲ適用スルハ少シク迂廻ニ失スル嫌アリト難シ梅君ハ整理迄ニ再考スルコトヲ留保セラレタリ
右ノ外修正案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百六十五條第二項ヲ左ノ如ク改ム
振出人ハ手形ニ其引受ヲ求ムル爲メ之ヲ呈示スヘキ旨ヲ記載スルコトヲ得此場合ニ於テ所持人カ拒絕證書ニ依リ其呈示ヲ爲シタルコトヲ證明セサルトキハ振出人其他ノ前者ニ對スル手形上ノ權利ヲ失フ
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ全ク議場ノ決議ニ從ヒタルモノニシテ要スルニ此場合ハ拒絕證書ニ依リ其呈示ヲ爲シタルコトヲ證明セシムル方可ナリトノコトトナリシヲ以テ右ノ㸃ヲ補足セシニ過キスト右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百六十五條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百六十五條甲 支拂人ハ引受ヲ爲スニ當タリ爲替手形ニ其支拂地ニ於ケル支拂ノ場所ヲ記載スルコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク本條ヲ設クヘキ理由ハ第三百四十五條甲ニ關シテ述ヘタルト同一ナルヲ以テ玆ニ再陳セスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百六十六條第一項中「拒ミタル」ヲ「爲ササリシ」ト改ム
梅君曰ク此修正ハ前ニ同一ノ例アリシヲ以テ說明ヲ要セスト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百六十八條ヲ左ノ如ク改ム
裏書人ハ振出人其他ノ前者ニ對シ前二條ノ規定ニ從ヒテ擔保ノ請求ヲ爲スコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク第一ニ「所持人ノ前」ナル文字ヲ削除セシハ全ク議場ノ決議ニ從ヒタルモノニシテ第二ニ「前ニ條」ト改メタルハ拒絕證書ノ作成ヲ包含セシメンカ爲メナリ啻ニ然ルノミナラス如斯スルトキハ初メニ權利ノ規定アリテ後ニ義務ノ規定之レアルヲ以テ明白トナレリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百七十條ヲ左ノ如ク改ム
振出人其他ノ前者カ擔保ヲ供シ又ハ供託ヲ爲シタルトキハ其後者全員ノ爲メニシタルモノト看做ス所持人又ハ裏書人カ第三百六十七條ニ定メタル通知ヲ發シタルトキ亦同シ
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ハ全ク議場ノ決議ニ從ヒ提出シタルモノナリト雖モ尙ホ再考ノ必要ヲ見出セシヲ以テ延期セラレタシト
本條ハ未決ノ儘起草者ノ再考ニ付セラレ次ニ移リタリ
第三百七十一條ヲ左ノ如ク改ム
左ノ場合ニ於テハ第三百六十九條ノ規定ニ依リテ供シタル擔保ハ其效力ヲ失ヒ又供託シタル金額ハ之ヲ取戾スコトヲ得
一 後日ニ至リ爲替手形ノ單純ナル引受アリタルトキ
二 手形金額及ヒ費用ノ支拂アリタルトキ
三 擔保ヲ供シ若クハ供託ヲ爲シタル者又ハ其前者カ償還ヲ爲シタルトキ
四 手形上ノ權利カ時效又ハ手續ノ欠缺ニ因リテ消滅シタルトキ
五 擔保ヲ供シ又ハ供託ヲ爲シタル者カ滿期日ヨリ一年內ニ償還ノ請求ヲ受ケサリシトキ
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ヲ提出セシ所以ハ曾テ本條ヲ議スルニ當リ舊原案ニ於テハ第二號ニ「爲替手形ノ支拂アリタルトキ」トアルヲ以テ恰モ支拂人カ支拂ヲ爲セシ場合ノミニ限レルカ如キ嫌アルト又一ツハ爲替一手形タケト見ユルノ嫌アリトノ事ナリシヲ以テ本案ノ如ク改メ併セテ第三號ヲ設ケ償還ノ場合ヲ明白ニシタリ次ニ舊原案第三號ニハ「所持人力時效」云々ト之レアリシヲ以テ所持人以外ノ場合ニ適用スル能ハサル缺㸃アリトノコトナリシヲ以テ本修正案ニハ「手形上ノ權利力時效」云々ト改メ右ノ缺㸃ヲ追補シタルモノナリ,ト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百七十二條及ヒ第三百七十三條ヲ合セテ一條トシ之ヲ左ノ如ク改ム
引受人カ破產ノ宣吿ヲ受ケタル場合ニ於テ相當ノ擔保ヲ供セス且爲替手形ニ記載シタル豫備支拂人カ單純ナル引受ヲ爲ササリシトキハ所持人ハ振出人其他ノ前者ニ對シ相當ノ擔保ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ第三百六十六條乃至第三百七十條ノ規定ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テ豫備支拂人ノ引受ヲ求ムルニハ拒絕證書ヲ作成セシメ且遲滯ナク其通知ヲ發スルコトヲ要ス
梅君ノ說明ニ曰ク此修正案ヲ提出セシ理由ハ曾テ議事ノ際議論出テ再考ヲ約シタルヲ以テナリ舊原案ニハ「破產管財人ニ對シ」云々トアリシカ斯クスルトキハ個條自ラ不用ニ歸スルヲ以テ之ヲ改メ本案ニハ「相當ノ擔保ヲ供セス」云々トシタリ是蓋シ破產ノ終リシ後ハ財產ノ得ルコトアルヘキト又一ツハ協諾契約ニ因リ親族カ擔保ヲ供セシムル場合ト之レアルヘケレハナリ從テ玆ニ兩條ヲ併合シテ一個條トナシタリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百七十四條ヲ左ノ如ク改ム
左ノ場合ニ於テハ前條ノ規定ニ依リテ供シタル擔保ハ其效力ヲ失ヒ又供託シタル金額ハ之ヲ取戾スコトヲ得
一 豫備支拂人カ後日ニ至リ單純ナル引受ヲ爲シタルトキ
二 引受人カ後日ニ至リ相當ノ擔保ヲ供シタルトキ
三 第三百七十一條第二號乃至第五號ノ場合
梅君曰ク此修正ハ前ニ修正ヲ加ヘタル當然ノ結果故說明ヲ要セスト右ハ修正原案ニ決シ次ニ移リタリ
第三百七十五條第二項ヲ左ノ如ク改ム
所持人カ拒絕證書ニ依リ前項ニ定メタル呈示ヲ爲シタルコトヲ證明セサルトキハ手形上ノ權利ヲ失フ
梅君曰ク此修正ハ前ニ同一ノ例アルヲ以テ重ネテ說明スルノ必要ヲ見スト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百七十七條ヲ左ノ如ク改ム
支拂ハ爲替手形ト引換ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ要セス
支拂ヲ爲ス者ハ爲替手形ニ受取ノ旨ヲ記載セシメ且之ニ署名セシムルコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク此第一項ハ舊原案ニハ「求ムルコトヲ得ス」トアルヲ以テ恰モ禁止的規定ノ如ク見スル嫌アリトノコトナリシヲ以テ之ヲ改メタルモノニシテ第二項ヲ新ニ設ケタルハ全ク議場ノ決議ニ從ヒタルモノナリ尤モ法文ヲ「爲替手形ニ受取ノ旨ヲ」云々トセシハ民法ノ規定ト重複セサルコトヲ示サンカ爲メナリト
右ハ修正原案ニ決シ次ニ移リタリ
第三百七十九條中「滿期日ニ」ノ四字ヲ削ル
梅君ノ說明ニ曰ク此修正ノ理由ハ既ニ余輩カ議場ニ許可ヲ得タリシコトニテ第三百八十條ニ於テモ此文字ヲ削除シタリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百七十九條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百七十九條甲 爲替手形ノ所持人カ其手形ヲ喪失シタル場合ニ於テ其支拂地ノ裁判所ニ公示催吿ノ申立ヲ爲シタルトキハ引受人ヲシテ其引受ケタル金額ヲ供託セシメ又ハ相當ノ擔保ヲ供シテ其支拂ヲ爲サシムルコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク本條ヲ新ニ設クル理由ハ曾テ民法施行法ニ修正ノ個條ヲ設ケタリシモノト牽聯スルモノニシテ新ニ法文ヲ設ケサレハ「引受人ヲシテ其引受ケタル金額ヲ供託セシメ又ハ相當ノ擔保ヲ供シテ其支拂ヲ爲サシムルコトヲ得」ト云ヘル如キコトヲ爲シ得サレハナリト
右ハ修正原案ニ可決シ次ニ移リタリ
第三百八十條ノ前ニ左ノ一條ヲ加フ
第三百七十九條乙 支拂人カ爲替手形ノ支拂ヲ爲ササリシトキハ所持人ハ振出人其他ノ前者ニ對シ償還ノ請求ヲ爲スコトヲ得
梅君ノ說明ニ曰ク此支拂人カ爲替手形ノ支拂ヲ爲ササリシトキハ所持人ハ振出人其他ノ前者ニ對シ償還ノ請求ヲ爲スコトヲ得トノコトハ第三百八十條ノ規定ヨリ自ラ推知スルコトヲ得ヘシト雖モ既ニ第三百四十條甲ノ如キ大原則ヲ設ケタル以上ハ規定ヲ設ケ置クノ穩當ナルヲ信シ玆ニ本修正案ヲ提出シタリト
岡野君モ亦本修正案ヲ提出シタリシ理由ヲ述ヘテ曰ク既ニ第三百三十八條ヲ改メ「爲替手形ニ署名シタル者ハ其手形ノ文言ニ從ヒテ責任ヲ負フ」ト爲シタリシニ付キ其當時說明セシカ如ク支拂人カ爲替手形ノ支拂ヲ爲ササリシトキハ振出人其他ノ前者ハ所持人ニ對シ償還ノ責アルヤ固ヨリ當然ノコトナリ然ルニ何故本條ノ必要アリヤト云フニ第三百六十五條第一項ノ規定ト前後ノ釣合上必要ナレハナリト
右ハ修正原案ニ可決シ散會ヲ吿ケタリ
于時午後五時四十分