明治商法(明治32年)

法典調査会 商法委員会議事要録 第46回

参考原資料

備考

  • 未校正のテキストデータです.
第四十六回商法委員會議事要錄
出席員
淸浦奎吾君
土方寧君
田部芳君
高木豐三君
井上正一君
都筑馨六君
穗積陳重君
三浦安君
梅謙次郞君
長谷川喬君
磯部四郞君
中村元嘉君
岡野敬次郞君
第二百八條 會社ヲ代表スヘキ無限責任社員ニハ株式會社ノ取締役ニ關スル規定ヲ準用ス但第百四十一條乃至第百四十五條及ヒ第百五十四條ノ規定ハ此限ニ在ラス
(參照)獨草二九七
田部君ノ說明ニ目ク株式合資會社ハ無限責任社員ヲ以テ株式會社ノ取締役ト同一ナル業務ヲ爲サシムルヲ以テ合資會社及ヒ株式會社ノ無限責任社員ニ關スル規定ヲ準用セリ而シテ性質上以上ノ場合ニ規定ナキ事項ニ付キ本條ヲ以テ之ヲ補ヘリ例ヘハ株式會社ノ取締役ノ規定ヲ準用スルカ如キ畢竟業務擔當社員ハ本章ニハ其必要ナキヲ以テ省クコトトナルヘシ第百四十二條モ亦取締役ノ員數ヲ定メシモ株式合資會社ハ原則トシテ無限責任社員全部ヲ以テ業務ノ執行ヲ爲サシムルヲ以テ原則ト爲スト雖モ乍併其一小部分ノ者ヲシテ業務ヲ執行セシムルモ差支ヲ生セス然レトモ三人以下ト爲スコトハ得サルヘシ第百四十三條ハ取締役ノ任期ヲ定メタルモノナレハ社員タル以上ハ業務ノ執行ニ任期ヲ要セサルヲ以テ適用セス、第百四十四條ノ規定ハ取締役解任ノ規定ナルカ株式會社ハ無限責任社員ヲ以テ業務ヲ執行セシムルカ故ニ解任ノ規定ハ當然適用セス第百四十五條ハ取締役ハ株劵ヲ供託セシムル規定ナルカ株式合資會社ノ無限責任社員ハ特ニ擔保ニ供スルヲ以テ其必要ナシ第百五十四條ハ報酬ニ關スル規定ナルカ無限責任社員ハ取締役ノ行爲ヲ自ラ爲シ以テ勞務ニ服シ且其配當ヲ受クルカ故ニ其適用ナシト述ヘ引續キ長谷川、井上ノ兩君ハ本條ニ但書ヲ設ケタル所以幷ニ會社ヲ代表セサル無限責任社員ノ有無ニ付キ質問ト爲セシモ梅、田部、岡野ノ三君ハ交々起立シテ之ニ答ヘ終ニ原案ニ可決セリ
第二百九條 合資會社ニ於テ總社員ノ一致ヲ要スル事項二付テハ株主總會ノ決議ノ外無限責任社員ノ一致アルコトヲ要ス
第百六十四條ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
(參照)獨草二九八、二項、三〇一、三項
田部君ノ說明ニ曰ク株式合資會社ノ設立ハ前述セシカ如クニ種ノ要素ヨリ成立スヘシ師無限責任社員幷ニ株主トス而シテ以上ニ種ノ分子ヲシテ一致セシムルニ非サレハ會社ノ意思一定セス故ニニ種ノ者ヲシテ各別ニ決議ヲ爲シ一致セシメサレハ定ラス乍併株主ハ遞常多數ナルカ故ニ多數決ニ依ラサレハ如何トモスルコトヲ得ス然レトモ其一致ヲ要スルハ啻ニ第百六十五條ノ規定ヲ準用スルノミナラス其他無限責任社員ハ總テノ者ヲシテ之ヲ一致セシメサルヘカラス畢竟株式合資會社員全體ノ意思ヲシテ定ムルヲ要ス而シテ合資會社ニ於テ總社員ノ一致ヲ要スル定款變更ノ決議ト其場合ヲ同一ニセリト述ヘ次ニ土方君長谷川君ノ質問アリシモ田部、梅兩君ハ之ニ答辨セラレタリ本案ニハ別段ノ修正說モ無ク原案ニ可決セリ
第二百十條 監查役ハ株主總會ノ決議實行ノ責ニ任ス
(參照)佛千八百六十七年七月二十四日法一七、獨一九四、一九五、同草二九九、一項、二項、瑞六七六、五號、六號、伊一五二、羅一五四
田部君ノ說明ニ曰ク右監査役ハ株式會社ト株式合資會社トノ場合ニ依リテ差異アリ而シテ株式合資會社ノ監査役ハ會社ノ役員ニシテ其職務ハ株主全部ノ利益ヲ計ルモノトス是特ニ本條ヲ設ケタル所以ナリ而シテ株式合資會社ハ前述セルカ如クニ個ノ要素ヨリ成立シ且其株主ハ多人數ナルカ故ニ本條ニ於テ株主全體ノ業務ヲ執行スルコトヲ規定セリト述ヘラレタリ
穗積君ハ本條ノ頗ル解釋ニ苦シム㸃ヲ批難シ且其意見ヲ述ヘテ曰ク前例ニハ實行スル責ニ任ストノ用例モアルカ故ニ株主總會ノ決議實行ノ責ニ任ストアルヲ株主總會ノ決議ノ實行云々ト改メ「ノ」ノ一字ヲ加ヘテハ如何ト述ヘ梅君ハ其讀ノ採用シ難キ所以ヲ說明セラレタリ引續キ穗積君ハ修正讀ヲ提出シテ曰ク本條ノ趣旨ハ以下ノ如ク解釋スルヲ得ヘキ歟、本條ハ既ニ其趣旨ヲ前回ニ於テ說明セラレシ如ク監査役カ外部ニ對シテ發表スル會社ノ意思ハ株主總會ノ意思ト無限責任社員ノ意思トノニ種ナリ而シテ以上ノ意思ヲ併セテ株主總會ノ意思ト爲スモノナラン果シテ然ラハ監査役ノ業務ハ株主ノ意思ト無限責任社員ノ意思ト共通スヘシ然リ而シテ監査役ハ取締役ノ不法ノ行爲ヲ監視シ或ハ之カ實行ヲ監視シ以テ其業務ヲ執行セシムルナリ畢竟監査役ハ之ヲ監視シ幷ニ注意スルコトトナラン依之觀是監査役ハ株主總會ノ代表機關ナリ外部ニ對シテハ株主總會ヲ代表スト之ヲ規定シ第二ニ此規定ノミニテハ代表機關ト認ムルハ極メテ危險ナリ而シテ其實行ヲ監視スルト爲シ之カ機關ナシ以上ノ趣旨ヲ以テ一修正ヲ加ヘラレテハ如何ト述ヘラレタリ
田部君ノ答辨ニ曰ク監視スルト爲スハ極メテ不充分ナリ監覡ハ外部ニテ忙弓 ト云フカ如ク見ヘ少シク匠這烏ー ニ傾クヘシ株式總會ハ獨立ノ機關ナリトノ主義ハ本條ニ於テハ探ラサル所ナリ故ニ同意ヲ表スルヲ得スト同君ヲ駁シタリ
長谷川君ハ起草者ニ協議シテ曰ク無限責任社員ヲシテ決議實行ノ責ニ任ストノ趣旨ニ修正シテハ如何監査役カ無限責任社員ニ對シテ其責ニ任シ無限責任社員カ監査役ニ對シ實行ノ責ニ任スルトノ趣旨ニ歸着スヘシト述ヘラレタリ
引續キ土方君ハ意見ヲ陳述シテ曰ク第二百四條ニ於ケル監査役ヲ選任スルニハ創立總會ヲシテ之ヲ爲サシムルコトトナシ次ニ無限責任社員カ其意思ヲ述ヘントスルニハ株主ノ利益ヲ保護スル爲メ無限責任社員ヲ除ク外ト爲スヲ必要トス株式合資會社ハ合資會社ト合名會社トヲ併セタルカ如キ規定故縱令混雜スルモ其規定ヲ準用スルモノトナラン大體ヲ如斯セハ其趣旨ヲ推知スルコトヲ得ヘシ、第二百十條ニ至リテ此場合ノ準用ヲ變更セサレハ監査役ハ株式會社ニ於ケルト等シク選任ノ方法及ヒ選任ノ職務ヲ異ニスヘシ、而シテ第二百十條ハ此規定ノ儘ナレハ無限責任社員ヲモ株主ノ決議ト相俟チテ行ハルルコトナラン第二百九條ナレハ不可ナル㸃ナシト雖モ無限責任社員ニアラスシテ監査役ノ職一務ヲ爲スト云フトキハ株式會社ニ於ケル規定ト反醬ノ主義ニ見ユヘシ株主總會ノ決議ニ於テモ其效力ヲ生シ恰モ第三者ニ對シ代表者ノ如ク見ユヘシ無限責任社員ニ對スルト云フトキハ無限責任社員ト監査役トハ取締役ノ如ク見ヘ其名ヲ異ニスルハ疑團ノ基礎トナルノ虞アリト述ヘラレタリ
梅君ノ答辨ニ曰ク株式合資會社ノ監査役ハ恐ラクハ創立總會ニ於テ選任セラルヘシ第二百五條ハ單ニ創立總會ノ規定ナルカ如キモ株式會社ノ規定ヲ準用スルノ必要ヲ生スヘシ而シテ第二百五條ノ結果トシテ創立總會ニ於テモ株主總會ニ於テモ無限責任社員ハ之ヲ除クモノニシテ而シテ監査役ノ職ハ場合ヲ異ニスルカ如シト雖モ右規定ノ外株式會社ト同シク帳簿ノ檢査ノ如キハ株式會社ノ監査役ト異ナラス、第二百十條ノ文例ハ株式會社ノ取締役ト殆ント同一ナリ而シテ決議實行ノ責ト規定センカ此實行ノ文字ハ余輩ノ間ニ考フルモ可ナリ長谷川君ノ說ノ如ク無限責任社員ニ對シテ爲カ如ク規定スルハ極メテ困難ナリ、時トシテハ株式總會ノ決議アリシ爲メ自身ニテ手ヲ下スコトアリ又株主總會ノ決議ニテ會社ノ關係ヲ全部調査シタル場合ハ無限責任社員ニ實行セシムルノ責任ナカルヘシ本條ハ通常株式會社ノ監査役ノ如ク見ヘ且兩意義ヲ顯ハサンカ爲メ決議實行トナシタルナリ畢竟無限責任社員ト大差ナキモ「對スル」トセハ極メテ酷ナル結果ヲ來スヘシト述ヘラレタリ
長谷川君ハ起草者ニ協議シテ曰ク無限責任社員ヲシテ決議實行ノ責ニ任スル主義トナシテハ如何ト述ヘ梅君ハ整理マテニ考フルコトト爲サント約シ他ハ原案ニ可決セリ
第二百十一條 株式合資會社ハ合資會社ト同一ノ事由ニ因リテ解散ス但第七十二條ノ場合ハ此限ニ在ラス
(參照)瑞六七六、七號、葡二〇一、白千八百七十三年五月十八日法七六、八四、一項
田部君ノ說明ニ曰ク株式合資會社ノ規定ハ之ヲ合資會社ノ一種ト認ムル程ナルヲ以テ解散ノ原因ハ大體ニ付キ合資會社ト殆ント同一ナリ而シテ第七十二條但書ノ規定ハ株式合資會社ニ適用スルヲ得サル故帥已ムヲ得サル事由アルトキハ各社員ハ會社ノ解散ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得トアルモ此規定ハ株式合資會社ニハ不適當ナルヲ以テ採用セサリシナリト述ヘ本條ハ原案ニ可決セリ
第二百十二條 無限責任社員ノ全員カ退社シタル場合ニ於テ株主ハ第百六十四條ニ定メタル決議ニ依リ株式會社トシテ會社ヲ繼續スルコトヲ得此場合ニ於テハ株式會社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス
田部君ノ說明ニ曰ク本章ノ始メニ於テ明定セルカ如ク株式合資會社ハ無限責任社員ト株主トヲ以テ之ヲ組織スルカ故ニ無限責任社員ノ全員カ退社シタルトキハ會社ハ解散スルコトニ歸スヘシ乍併其場合ニ於テ總テノ社員ヲシテ退社セシムルハ極メテ不穩當ナルヲ以テ本條ノ規定ヲ設クルコトトセリ卽殘存セル株主ヨリ株式會社トシテ再ヒ繼續セシムルコトヲ得セシムルノ途ヲ開ケリ此場合ハ極メテ重大ナル事項ナルヲ以テ第百六十四條ニ於ケル定款變更ノ規定ト等シク故ラニ本條ニ於テ規定スルコトトセリ而シテ株式會社トシテ繼續スルトキハ此場合ニ其期間ナキトキハ會社ト爲スコトヲ得サルヲ以テ株式會社ノ規定ヲ適用シ其組織ニ必要ナル取締役ヲモ設クルコトト爲シ以テ是等ヲ選任スル方法ヲ定メタリト述ヘラレ本條ハ原案ニ可決セリ
第二百十三條 會社カ解散シタルトキハ合併、破產又ハ裁判所ノ命令ニ因リテ解散シタル場合ヲ除ク外淸算ハ無限責任社員ノ全員若クハ其選任シタル者及ヒ株主總會二於テ選任シタル者之ヲ爲ス但定款ニ別段ノ定アリタルトキハ此限ニ在ラス
無限責任社員カ淸算人ヲ選任スルトキハ其過半數ヲ以テ之ヲ決ス
(參照)獨二〇五、同草三〇二、伊二一〇、羅二一二
訂正本條第一項但書ニ於テ「定款ニ別段ノ定アリタルトキハ」トアルヲ「定款ニ別段ノ定アルトキ」ト改ム
田部君ノ說明ニ目ク本條ハ株式合資會社ノ淸算ニ關スルコトヲ定メタリ元來株式合資會社ハニ箇ノ要素ヨリ成立スルヲ以テ此淸算ノ場合ニ於テモ亦ニ個ノ要素ヨリ存在スヘシ而シテ單ニ無限責任社員ヲ以テセシムルハ不可ナルカ故ニ無限責任社員ト株主總會トヲ以テ選任シタル人帥株主ノ利益ヲ計ル者ヲシテ之ヲ爲サシメンカ爲メ以上ニ種ノ者ヲシテ一致シテ之ヲ爲サシムルコトトセリト述ヘラレタリ長谷川君ハ起草者ニ協議シテ曰ク裁判所ノ命令ハ無限責任社員ノ全員カ退社スルトキハ淸算ヲ爲スコト能ハサルコトトナルヘキ歟淸算ハ斯カル場合ニ爲スコトヲ得サルハ極メテ不便ナラン如何
梅君ハ答ヘテ曰ク其場合ハ不能ナルヲ以テ別ニ規定ヲ設クルノ必要アラン整理マテニ考ヘ置カント約シ他ハ原案ニ可決セリ
第二百十四條 無限責任社員ハ何時ニテモ其選任シタル淸算人ヲ解任スルコトヲ得此場合ニ於テハ前條第二項ノ規定ヲ準用ス
(參照)獨草三〇二、二項、伊二一〇、二項、羅二一二、二項
田部君ノ說明ニ曰ク本條ニ於ケル無限責任社員ノ淸算人ノ解任ニ付テハ前條ニ規定ナキカ爲メ無限責任社員自身ニテ選任シタル淸算人ヲ解任スル場合ヲ明瞭ニ爲スノ必要アリ卽本條ハ其解任セルコト幷ニ其方法ヲ定メタリ前條第二項ヲ準用ストアルカ故ニ其過半數ヲ以テ之ヲ決スルノ必要ヲ生スヘシト述ヘラレタリ
高木君ハ質問シテ曰ク合資會社ハ特別ノ事由アリテ改選スル場合筑非サレハ解任ヲ爲シ能ハサルカ如シ果シテ然ラハ本章ト權衡ヲ得サルカ如シ如何ント
梅君ノ答辨ニ曰ク前條ニ事業ノ性質ト規定セス加之第八十四條ヲ改メ社員ノ過半數ト修正ヲ加フルノ考ナリ畢竟此場合ト同一ニ爲スノ考ナリト述ヘラレタリ而シテ本案ハ異議ナク可決セラレタリ
第二百十五條 淸算人ハ其計算ニ付キ無限責任社員全員ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
(參照)伊二一二、二一四乃至二一六、羅二一四、二一六乃至二一八
田部君ノ說明ニ曰ク此規定モ亦前條ト同シク株式會社及ヒ合名會社ト雙方ノ規定ニ關係ヲ有スルヲ以テ其規定ト同一ニ爲ササレハ明瞭ナラス而シテ淸算人ハ株式總會ノ承諾ヲ經ルハ株式會社ノ規定ノ準用上ヨリ生スヘシ而シテ此場合ニ株主ノ㸃ノミニ付キテ之ヲ爲サス無限責任社員全員ノ承諾ヲ經ルコトヲ此場合ニ定メタリト述ヘラレタリ
長谷川君ハ起草者ニ協議シテ曰ク計算ニ付テハ恐ラクハ前後セル感ナキヤ加之此儘ニテハ漠然タル意義トナリ株式會社ニ付テハ其承認ヲ求ムルコトヲ得トアルカ故ニ明瞭ナルモ凡之本條ハ株式會社ノ如クナラサルカ故ニ判然セス第百八十三條及ヒ第百八十七條ノ場合ハ無限責任社員全員ノ承諾ヲ要スト改メテハ如何ト通ヘ
梅君ハ之ニ答ヘテ曰ク無限責任社員ノ承諾ヲ要ストノ解釋ニ歸スヘシ此㸃ハ其計算ヲ少シク簡單ニ爲シタシ卽チ本條ノ壗ニテハ判然セサルカ故ニ再考スヘシト述ヘ其他ハ原案ニ可決セリ
第二百十六條 株式合資會社ハ無限責任社員ノ一致及ヒ株主總會ノ決議ニ依リ其組織ヲ變更シテ株式會社ト爲スコトヲ得
第百六十四條ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
(參照)佛千八百六十七年七月二十四日法一九、獨二〇六a、同草三〇三
田部君ノ說明ニ曰ク會社ノ組織ヲ變更スルコトニ付キ大阪商業會議所、孰レノ會ニ於テモ廣ク變更ノ規定ヲ設ケタシトノコトナルモ右孰レノ會社ニモ併セテ必要ナルカ如キコトナカルヘシ反之株式合資會社ニ於テハ既ニ外國ニハ多クノ立法例モアリ恐ラクハ將來ニ於テハ其必要ノ起ルコトアルヘシ是株式合資會社ニ付キ變更ノ規定ヲ認メタル所以ナリト述ヘラレタリ
磯部君ハ本條ノ組織變更ニ付キ意見ヲ發表シテ曰ク最終ノ㸃ハ兔モ角一ト度解散シタル會社ヲ繼續セシムルハ法理上如何ナルモノニヤ一旦解散ヲ爲シ更ニ再ヒ組織スルト爲スカ便宜ナラント述ヘ田部君ハ本條ヲ設ケタルハ登記ノ帳簿上如斯爲ササレハ不便ナリトノ理由ヲ述ヘ且又權利義務ノ㸃ヨリ觀察シテ答辨セラレタリ梅君ハ田部君ノ說ヲ補フテ曰ク會社合併ノ登記ノミニテハ形式上其方法極メテ不十分ナリ會社ハ其儘繼スルカ故ニ此場合ハ合併ニ比スレハ却テ便宜ナリ畢竟定款變更ノ少シク大ナルモノト認レハ可ナリト述ヘ引續キ穗積長谷川兩君ヨリ質問アリ田部梅岡野ノ三君ハ交々之ニ答ヘラレタリ而シテ別段修正案ノ提出モナク原案ニ可決セリ
第二百十七條 前條ノ規定ニ依リテ會社ノ組織ヲ變更シタルトキハ株主總會ハ直チニ株式會社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ無限責任社員モ亦其引受クヘキ株式ノ數ニ應シテ議決ノ數ニ加ハルコトヲ得
(參照)獨二〇六a二項、同草三〇三、三項
田部君ノ說明ニ曰ク本條ハ前條ノ議事ニ於テ議論アリシカ畢竟文章ヲ修正セントセシニ過キス而シ其際少シク說明セシカ故ニ別段說明ヲ要セス唯其一ニノ㸃ニ付キテ述ヘン偖本條ハ前條ニ於ケル株式合資會社ヲ他ノ株式會社ト異ル㸃ヲ定メ且本條ニ於テ株式會社トシテ動作ヲ爲スニ必要ナル事項ヲ規定セリ此㸃ハ第二百十二條末段ト略ホ同一ナリ且又本條ニ於ケル第六十七條及ヒ第六十八條ハ將來無限責任社員モ株主トナリテ社員トナルコトアルカ故ニ株主ノ議決權ヲ加ヘサレハ不穩當ノ㸃アルヲ以テ第二項ヲ定メタリト述ヘ本條ハ原案ニ可決セリ
第二百十八條 第六十七條及ヒ第六十八條第一項、第二項ノ規定ハ前條ノ場合ニ之ヲ準用ス
(參照)獨二〇六a五項、同草三〇五
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
田部君ノ說明ニ曰ク株式合資會社ヲ通常ノ株式會社ニ變更スルニハ債權者保護ノ規定ヲ必要トスルヲ以テ合名會社合併ノ規定ヲ準用セリ第六十七條ハ債權者ニ對スル規定ナリ又第六十八條ハ債權者カ其期間內ニ辨濟ヲ爲スカ又ハ第一項ノ範圍內ニ於テ辨濟スルカ相當ノ額ヲ評定スルコトトナルヘシ其場合ニ於テハ斯ノ如クナスヘシト通常ノ株式會社ニ變更セシムルコトトナルヘシ而シテ合名會社ノ合併ニ付テハ若シ登記ヲ爲ササレハ再興スルコトヲ得サル制裁アリテ別段次條トハ關係セス而シテ其義務ヲ履行スル會社ハ株式會社ニ代ルモノトス假ニ其手續ニ漏レタリト爲スモ對抗スルコトヲ得サルモノトセリ此場合ハ前合名會社ニ於テハ甲會社カ乙會社ト合併シタルトキハ債權者ハ辨濟ヲ受クルコトヲ得サル場合アルモ本條ニ於テハ合議スルトキハ債權者ヲシテ辨濟ヲ受クルコトヲ得セシメタリ又合咨ハ會社ナルカ故ニ特ニ組織ヲ變更スル爲メ債權者ヲシテ影響ヲ蒙ラシメサル爲メ第六十七條及ヒ第六十八條ヲ準用スルコトトセリト述ヘ本條ハ原案ニ可決セリ
第二百十九條 會社ハ組織變更ニ付キ債權者ノ承認ヲ得又ハ第六十八條第二項ニ定メタル義務ヲ履行シタル後一週間內ニ其本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ株式合資會社ニ付テハ解散ノ登記ヲ爲シ株式會社ニ付テハ設立ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
(參照)獨二〇六a三項、同草三〇四
田部君ノ說明ニ曰ク本條ハ會社ノ組織變更ノ登記ノコトヲ定メタリ序ニ一言スヘキハ株式合資會社ニ付テハ解散ノ登記ヲ爲シ又株式會社ニ付テハ淸算ノ登記ヲ爲ストセシハ帳簿上ノ關係ナルカ爲メ此株式會社ハ解散ノ登記ヲ爲スヲ便宜トス而シテ株式會社ノ場合ハ其會社ヲシテ設立ノ場合ト同一ノ登記ヲ爲サシメタリト述ヘラレタリ磯部君ハ起草者ト數回ノ討議ヲ爲シ最後ニ修正說ヲ提出シテ曰ク株式合資會社ヲ眞ニ株式會社ニ改メ以テ之ヲ繼續シテ可ナリトセハ登記欄ハ可成公衆ヲシテ閱覽ニ便宜ヲ與ヘサルヘカラス此法文上ニ於テハ表面上登記簿ニ其事項顯ハレス第二百十六條ニ於テハ繼續ノコトアルモ其他ノ事項ナシ余輩ハ解散ノ場合ニ於テ株式合資會社ハ消滅シテ株式會社トシテ繼續スレハ別段不可ナリトハ爲サスト雖モ登記前會社ヨリ繼績シタリトノコトヲ知ルヲ得ス實際上種類ノ變更シタルニ抅ハラス如何ナル權利アリヤトノコトヲ曖昧ニ付シ解散ノ登記ヲ爲サス單ニ株式合資會社ヲ株式會社ニ改ムルハ不可ナルヲ以テ設立ノ場合ニ於テ前者ヲ繼續セシムルコトヲ明瞭ニ爲ス方便宜ナラン眞ニ解散セサルモノヲシテ解散セシ如クナスハ穩カナラス故ニ其趣旨ニテ修正セラレンコトヲ望ムト述ヘ右修正說ヲ採決セシニ少數ニテ消滅セリ他ハ原案ノ儘ニテ可決セリ