明治商法(明治32年)

法典調査会 商法委員会議事要録 第32回

参考原資料

備考

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第三十二回商法委員會議事要錄
出席員
箕作麟祥君
土方寧君
田部芳君
高木豐三君
橫田國臣君
井上正一君
都筑馨六君
梅謙次郞君
重岡薰五郞君
三浦安君
西源四郞君
長谷川喬君
岡野敬次郞君
第百二十六條 株金全額ノ拂込アリタルトキハ株主ハ其株券ヲ無記名式ト爲スコトヲ請求スルコトヲ得但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
(參照)佛千八百六十七年七月二十四日法三、一項、二四、同千八百九十三年八月一日法二、蘭四一、獨一七三、一七五、二〇七、二〇九、匈一五七、瑞六二一、伊一六六、一項、西一六一、一六三、一六四、五項、羅一六八、一項、葡一六六、二項、三項、白千八百七十三年五月十八日法三六、四〇、二項、英千八百六十七年八月二十日法二七乃至三一
岡野君ノ說明ニ曰ク本條ノ精神ハ先キニ豫定問題トシテ決定シタルモノニシテ卽チ株式會社カ無記名ノ株式ヲ出スコトニ關スル規定ナリ然ルニ株式會社カ無記名ノ株式ヲ出スニ付テハ株金ノ拂込ニツキ往々弊アルヲ免カレサルヲ以テ本條ニ於テハ株金全額ノ後ニ於テ無記名式ト爲スコトニシタリト
橫田君ハ本條但書削除ノ說ヲ提出シテ曰ク此但書アルトキハ恰モ定款ニ別段ノ定アランカ株金全額ノ拂込之レナクトモ可ナルカ如ク文章上ヨリ解セラルル恐アリ故ニ但書削除ニ起草者ノ贊成アランコトヲ希望スト
右ニ醬シ梅君答ヘテ曰ク法文ノ精神ハ株金全額ノ拂込ハ法律ノ規定ナルヲ以テ定款ノ定メニテハ動カスコト能ハサル主意ナリ故ニ但書ノ規定ハ本文後半ノ規定ヲ承ケタル考ナリ然レトモ文章上橫田君ノ如ク解セラルル恐アラハ削除ニ贊成スルモ可ナリト
本條但書ハ削除ニ決定セリ
橫田君曰ク本條ニハ「株主ハ其株劵ヲ無記名式ト爲スコトヲ請求スルコトヲ得」トアルカ若シ總テノ株主ヨリ右ノ請求ヲ爲スモ之ヲ許スノ精神ナルヤ
梅君答ヘテ曰ク理論上ハ斯クナルヘシ然レトモ實際上全株主ヨリ請求スルカ如キコトハナカルヘシト
本條ハ但書削除ノ外原案ニ可決シ次ノ修正案ニ移レリ
修正原按起草委員提出
舊第百二十六條第二項トシテ左ノ一項ヲ加フ
株主ハ何時ニテモ其無記名株ヲ記名式ト爲スコトヲ請求スルコトヲ得
岡野君ノ說明ニ曰ク此修正ハ別段說明ノ必要ナシ要スルニ第百二十六條ニ於テ無記名式ヲ許シタルヲ以テ其無記名式ヲ記名式ト爲スコトヲ請求スルコトヲ得ヘキ旨ヲ法文上明ニセンカ爲メニ外ナラスト右修正原按ハ原按ニ可決シ次ノ第三節ニ移レリ
第三節 會社ノ機關
岡野君ノ說明ニ曰ク本案ニ於テモ現行法ト同ク株主總會ト取締役及ヒ監査役トヲ以テ株式會社ニ必要ノ機關ト爲シタリ而シテ本按ニ於テハ以上ノ機關ニ對シ「第三節會社ノ機關」ト題シ其節ノ中ニ各款ヲ設ケ其款ニ於テ右機關ヲ各別ニ規定スルノ主義ヲ探リタリ蓋シ右ノ如ク特ニ機關ト爲シタルハ深キ理由アルニ非ラスシテ要スルニ何レモ會社ニ於テ必要缺ク可ラサルコトヲ示サンカ爲メナリ
右第三節標題ハ原按ニ可決シ第一款ニ移レリ
第一款 株主總會
岡野君ノ說明ニ曰ク現行法ハ第五款ニ取締役及ヒ監査役ヲ規定シ而シテ第六款ニ於テ株主總會ノ規定ヲ設ケタリ然ルニ右各款ニ於ケル規定ノ順序タルヤ何レヲ先キニシ又何レヲ後ニスヘキヤハ固ヨリ標準アルニ非ラス然レトモ本按ニ於テハ株主總會ヲ以テ第一款ニ規定シ而シテ取締役及ヒ監査役ヲ其次ニ規定セリ是蓋シ株主總會ハ株式會社カ意思ヲ發表スルニ付キ最高機關ナレハナリ殊ニ取締役及ヒ監査役ノ如キハ何レモ此株主總會ニテ選任スルモノナルヲ以テ此㸃ヨリ觀察スルトキハ會社ノ基礎トシテ第一位ニ置クヘキモノナレハナリ
右標題ハ原按ニ可決シ次條ニ移レリ
第百二十七條 總會ノ招集ハ會日ヨリ一週間前ニ之ヲ各株主ニ通知スルコトヲ要ス
前項ノ通知ニハ總會ノ目的及ヒ總會ニ於テ決議スヘキ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
會社カ無記名式ノ株券ヲ發行シタルトキハ會日ヨリ二週間前ニ總會ヲ招集スヘキ旨及ヒ前項ニ揭ケタル事項ヲ公吿スルコトヲ要ス
(參照)舊一九九、獨二三八、匈一七七、瑞六四六、伊一五五、羅一五七、葡一八一、白千八百七十三年五月十八日法六〇、三項乃至五項、英千八百六十二年八月七日法五二
岡野君ノ說明ニ曰ク本條大體ハ現行法第百九十九條ノ規定ト同一ナリ而シテ現行法第百九十八條ノ規定ハ之ヲ削除セリ是敢テ其精神ヲ不可ナリト云フニ非ラサレトモ固ヨリ當然ノコトニシテ特ニ規定スルノ必要ナケレハナリ次ニ本條第一項ハ現行法第百九十九條第一項ノ一部ト同一ナルモノニシテ畢竟株主總會ヲ招集スルニ付キ會日ヨリ一週間前ニ各株主ニ其旨ヲ通知スルコトヲ要スル所以ハ株式會社ヲ設立シ其意思ヲ發表スル爲メ豫メ株主總會ニ決議スヘキ事項ヲ通知スルニハ一週間前ナルコトヲ至當ト認メタレハナリ蓋シ現行法ト雖モ其發布以前ノ規定一一於テハ一週間力二週間ノ規定アリシト雖モ實施ノ際之ヲ削除シタリ是レ果シテ何等ノ理由ニ基クヤヲ發見スル能ハス若シ又假令理由アリトスルモ余輩ハ期間ヲ設クヘキヲ至當ナリト考フ又本條第二項ノ規定ナルカ之ニ付キ現行法第百九十九條ニ於テハ「總會ノ招集ハ會日前ニ其會議ノ目的及ヒ其事項ヲ示シ」云云ト規定シタリ然ルニ本按ハ之ヲ「總會ノ目的及ヒ總會ニ於テ決議スヘキ事項ヲ記載ス」云々ト改メタリ是他ナシ現行法ニ所謂會議ノ目的及ヒ其事項トハ果シテ如何ナル意味ニ解釋スヘキモノナルヤヲ知ラスト雖モ凡ソ總會ノ目的ハ會社ノ大體ヲ示シ決議スヘキ事項ハ細カキコトヲ示スモノナリト解釋スルヲ穩當ト考ヘタレハナリ若シ現行法ノ如ク會議ノ目的及ヒ其事項トセンカ決議ノ必要ナキ事項タリトモ通知セサル可ラストノ嫌アレハナリ又第三項ハ記名株式ノミヲ發行シタルトキハ固ヨリ株式名簿ニ因リ各株主ニ通知スルヲ以テ必要ナシト雖モ若シ會社カ第百二十六條ノ規定ニ從ヒ無記名株ヲ許セシ場合ノ如キハ株式名簿ニ記載無キ爲メ通知ヲ爲スコト能ハサルヲ以テ公吿ヲ爲スノ外ナキヲ以テ本項ノ規定ヲ必要トスル所以ナリ尤モ現行法ニ於テハ無記名株ヲ許ササルヲ以テ本項ニ類スル規定ハ之レナキナリ
井上君修正ノ意見ヲ提出シテ曰ク本條第三項ノ規定ニ因レハ無記名式ノ株劵ヲ發行シタルトキハ會日ヨリニ週前ニ公吿ストアリ而シテ後ノ第百三十二條第二項ノ規定ニハ無記名式ノ株劵ヲ有スル者ハ會日ヨリ一週間前ニ其株劵ヲ會社ニ供託セサレハ議決權ナキモノトセリ果シテ然レハ右ノ株劵ハ或ハ支店ニ供託スルモ可ナリトノ意ナルヤ何レニシテモ後ノ第百三十二條第二項一二週間トアル以上ハ本條第三項ノ二週間ハ短キニ失スルヲ以テ改メテハ如何ト
右ニ對シ岡野君辯シテ曰ク本條第三項ニ於テ二週間前ニ公吿ストシ而シテ第百三十二條第二項ノ期間ヲ一週間ト規定シタルニ付テハ頗ル攻窮ヲ爲シタルモノナリ勿論井上君ノ陳ヘラレタル如ク株主カ株劵ヲ支店ニ送リ屆クルコトアルヘシ凡ソ株主タル者ニシテ總會ニ出席スル者ハ大株主ノミナルヘシ何トナレハ極メテ少數ノ株劵ヲ有スル者ノ如キハ多額ノ費用ヲ抛棄シテ出席スルカ如キコトハ實際之レナキモノト看做スヘケレハナリ果シテ然リトスレハ出會者ノ數モ自ラ少數ナルヘク且ツ大株主ハ每ニ其會社ノコトニ關シ注目スヘキモノナレハ二週間前ニ公吿シ而シテ一週間前ニ株劵ヲ供託セシムルトモ敢テ不都合ナカルヘシト信シタレハナリト
長谷川君モ亦修正ノ意見トシテ陳ヘテ曰ク本條第三項ノ期間ニ付テハ聊力疑團ナキニ非ラス故ニ之ニ關スル外國ノ例ヲ起草委員ヨリ擧示セラレンコトヲ希望ス次ニ本條第一項ハ到着主義ナルヲ以テ原按ノ儘ナランカ却テ第一項ノ期間ハ第三項ノ期間ニ比スレハ短カキモノト云ハサル可ラス故ニ第一項ハ發信主義ニ改メテハ如何又第三項ノ二週間トアルハ短カキニ失スル故少シク長ク致シタシト
右ニ鉗シ岡野君辯シテ曰ク外國ノ法律ニ於テハ記名株劵ト無記名株劵トニ付キ區別ヲ設ケスシテ何レモ一週間力二週間カノ前ニ公吿スルコトニナリシト考フ然ルニ本按ハ記名株劵ニ付テハ現行法ニ倣ヒ通知スヘキモノトシ無記名株劵ニ付テハ外國ノ例ニ倣ツテ公吿スヘキモノトシタリ次ニ本條第三項ノ期間ハ長クスルトモ强テ反對セスト
梅君モ亦辯シテ曰ク本條第一項ハ民法總則ニ於テ受信主義ヲ採リタルヲ以テ本條ノ如ク規定スルノ外ナシ然レトモ實際此場合ニ於テハ發信主義ニ非ラサレハ困難ヲ生スル恐アルヲ以テ余一己ハ發信主義ト改ムルトモ敢テ異議ヲ有セス尤モ本條ノ儘タリトモ定款ニ於テ發信主義ヲ採ル旨ヲ規定セハ差支ヘナカルヘシト
本條第一項ハ長谷川君ノ修正意見卽チ發信主義ニ多數ノ贊成アリテ可決シ次ニ第一項ノ一週間ヲ二週間ト改ムル箕作君ノ說ニ贊成者多數ヲ占メ是亦可決セリ而シテ最後ニ第三項ノ二週間トアルヲ三週間トスル長谷川君ノ說ニ贊成アリテ採決ノ上是亦右ノ修正詭ニ可決シ他ハ原按ノ儘可決シテ次條ニ移レリ
第百二十八條 通常總會ハ每年一囘一定ノ時期ニ於テ取締役之ヲ招集スルコトヲ要ス
年二囘以上利益ノ配當ヲ爲ス會社ニ在リテハ其配當ヲ爲ス每ニ總會ヲ招集スルコトヲ要ス
(參照)二四、二五、舊二〇〇、一項、佛千八百六十七年七月二十四日法二七、獨二三九、二項、匈一七七、瑞六四四、二項、伊一五四、二項、羅一五六、二項、葡一七九、二項、白千八百七十三年五月十八日法六〇、一項、英千八百六十二年八月七日法四九
岡野君ノ說明ニ曰ク本條ハ本案第二十六條及ヒ第二十七條卽チ商業帳簿ニ關スル規定ノ精神ヲ採リタルモノナリ現行法第二百條第一項ニハ「通常總會ハ每年少ナクモ一回定款ニ定メタル時ニ於テ之ヲ開キ」云々トアリ余輩モ每年一回通常總會ヲ開クノ主義ニハ贊成ナリ元來株式會社カ一年ニ回ノ利益配當ヲ爲シ且ツニ回ノ總會ヲ開クカ如キハ尤モ採ラサル所ナリト雖モ如何セン日本今日ノ現況ニ於テハ一年一回ノ利益配當ヲ爲スモノヨリ寧ロニ回ノ配當爲スモノ多キヲ殊ニ又日本銀行條例及ヒ橫濱銀行條例ニ於テモ一年ニ回ノ利益配當ヲ爲スコトヲ許シ且ツニ回ノ株主總會ヲ開クヘキ旨ノ規定アリ是等ノ理由ニ因リ既ニ第二十七條ノ規定ヲ設ケタルヲ以テ其結果トシテ株式會社ニモ亦本條第二項ノ規定ヲ設ケサル可ラサルニ至レリト長谷川君ハ第二項ニ「其配當ヲ爲ス每ニ」トアルヲ批難シテ曰ク若シ原文ノ如クセハ恰モ配當ヲ爲ササルトキハ如何トノ疑ヲ存スヘシト
梅君答ヘテ曰ク「爲ス」ト「爲ス每ニ」トノ文例ハ他ヲ取調ヘタル上ニテ決定シタシ故ニ整理會迄一ニ應考ヘ見ント
右ハ梅君ノ讀ニ可決シ「爲ス每ニ」ノ文例ハ整理會迄ニ起草委員再考スルコトトナレリ
長谷川君曰ク現行法ニハ「定款ニ定メタル時」トアリ然ルニ本案ハ之ヲ「一定」ト修正シタルハ如何ナル理由ナルヤト
梅君答ヘテ曰ク若シ現行法ノ如ク定款ニ定メタルトキトセンカ必ス每モ定款ニ定メ置カサル可ラサル結果ト爲ルヘシ然ルニ本按ノ如ク一定トスルトキハ定款ニ定メナクモ一定シテ居ル以上ハ可ナルヘク且ツ總會ニ於テモ亦隨意ニ其時期ヲ定ムルコトヲ得ヘキ便利アレハナリト
本條ハ「爲ス每ニ」ノ文例ヲ起草者再考スルノ外ハ原按ニ可決シ次條ニ移レリ
第百二十九條 通常總會ハ取締役カ提出シタル書類及ヒ監查役ノ報吿書ヲ調查シ且利益ノ配當ヲ決議ス
前項ニ揭ケタル書類ノ當否ヲ調查セシムル爲メ總會ハ特ニ檢查役ヲ選任スルコトヲ得
(參照)舊一九二、二號、二〇〇、佛千八百六十七年七月二十四日法三二、獨二二五、一項、二三九、二項、二三九a、匈一七九、一九五、二項、瑞六四四、二項、六五九、六六一、伊一五四、二項、一八三、一項、一八四、羅一五六、二項、一八五、一項、一八六、葡一七六、一項、七號、一七九、二項、一八九、白千八百七十三年五月十八日法五五、二項、六四、英千八百六十二年八月七日法六〇、schedule I, Table A, Nos. 79-94
岡野君ノ說明ニ曰ク本條第一項ハ現行法第二百條第一項ノ一部ト同條第二項トヲ合併シタルモノナリ而シテ第二項ハ全ク新タニ加ヘタリ蓋シ取締役カ如何ナル書類ヲ提出スヘキカハ現行法ハ右第二百條ニ於テ規定シタリト雖モ本按ハ後ニ於テ右ト同一ノ規定ヲ設クルコトヲ豫期シ玆ニ之ヲ規定セス要スルニ取締役ハ總會ニ提出スヘキ書類ヲ先ツ監査役ニ示シ而シテ總會ニ提出スヘク又監査役ハ報吿書ヲ總會ニ提出スルコトトナルヘシ玆ニ利益ノ配當ヲ決議スル旨ノ規定ヲ特ニ設ケタル所以ハ總會ハ利益ノ配當ヲ爲スニ付キ當年丈ハ損益分明ナラストテ見合スヘキ決議ヲ爲スコト之レアルヘク又ハ利益ヲ準備金ニ繰込ムヘキ決議ヲ爲スコト之レアルヘク又配當ノ利益ハ何割ニスルヤ等ヲモ決議スヘキコト之レアルヲ以テナリ次ニ第二項ノ規定ハ現行法ニハ之レナシト雖モ果シテ正當ナルヤ否ヤノ疑アルトキハ總會ハ檢査役ヲ選任スルノ必要アルヲ以テ之ヲ法文ニ認メタルモノナリト
本條「當否」ノ文字ハ起草者整理迄ニ考フルコトトナリ他ハ原按ニ可決シ次條ニ移レリ
第百三十條 臨時總會ハ必要アル每ニ取締役之ヲ招集ス
(參照)舊二〇一、佛千八百六十七年七月二十四日法三一、獨二三六、二項、瑞六四四、四項、伊一五四、三項、羅一五六、三項、葡一七九、一項、一八〇、一項、英千八百六十二年八月七日法 Schedule I, Table A, Nos. 32-34
本條ハ現行法第二百一條ノ全文ト同一ナリ尤モ現行法ニハ取締役カ臨時總會ヲ招集スルコトハ法文上ニハ現ハレサルモ蓋シ本按ト同一ノ精神ト考フ次ニ現行法ノ「又ハ」以下ハ本按ニ於テハ之ヲ次條ニ於テ規定セリト
本條ハ原按ニ可決シ次條ニ移レリ
第百三十一條 資本ノ五分ノ一ニ當ル株主ハ會議ノ目的及ヒ其理由ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ總會ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
取締役カ前項ノ請求アリタル後二週間內ニ總會ノ招集ニ著手セサルトキハ其請求ヲ爲シタル株主ハ裁判所ノ許可ヲ得テ其招集ヲ爲スコトヲ得
(參照)舊二〇一、獨二三七、匈一七八、瑞六四五、伊一五九、羅一六一、葡一八〇、白千八百七十三年五月十八日法六〇、二項、英千八百六十二年八月七日法 Schedule I, Table A, Nos. 32-34
岡野君曰ク本條說明ノ前ニ訂正スヘキ所アリ其ハ「當ル」ヲ「當タル」ト改メ「タ」ノ字ヲ加ヘラレタシト、本條ハ現行法第二百一條ノ法文中「又ハ」以下ノ規定ト同一ノ精神ナリ唯タ聊力異ナルトコロハ現行法ニハ「總株金ノ少ナクトモ五分一ニ當ル株主ヨリ會議ノ目的ヲ示シテ申立ツルトキハ亦臨時總會ヲ招集セサルコトヲ得ス」トアリテ株主ノ請求ニ因リ取締役ハ招集ノ義務アルモノトシタリ然ルニ本案ハ取締役カ自由ニ招集スルコトヲ許シ若シ招集セサルトキハ請求者ハ裁判所ノ許可ヲ得テ其招集ヲ爲スコトヲ得ヘキモノト改メタリ蓋シ現行法ノ如ク絕對的ニ取締役ハ招集スヘキ義務アルモノトセンカ若シ招集セサルトキハ罰金ヲ科スルノ制裁ヲ設ケサル可ラス若シ如斯取締役ニ制裁ヲ加ヘンカ取締役ハ眞實其責任ヲ盡ササル弊アルヘシ殊ニ總株金ノ少ナクモ五分一ニ當ル株主ノ申立テニシテ果シテ正當ナルヤ否ヤノ疑モ之レアルヘキニ抅ハラス其者ヲシテ勝手ニ招集スルコトヲ得ヘキ權ヲ與フルカ如キハ穩當ナラサレハナリ故ニ本按ノ如キスルトキハ若シ取締役カ招集セサルトキハ請求者ハ之ヲ裁判所ニ願フヲ以テ裁判所ハ果シテ招集スヘキ理由アルヤ否ヤヲ判斷シ之カ許否ヲ決スルヲ以テ最モ穩當ナリト信ス現行法ハ一方ニ於テ取締役ニ義務ヲ負ハセタルニ抅ハラス又一方ニ於テ何等ノ制裁ニ關スル規定ナキハ頗ル缺㸃ト云ハサル可ラス凡ソ此招集ニ關シテハ外國ニ於テモニ主義アリテ其一ハ現行法ノ如ク取締役ニ義務ヲ負ハセ從テ罰金ノ制裁ヲ設ケタリ其ニハ株主カ取締役ニ請求スルモ之ニ應セサルトキハ裁判所ニ招集ヲ願フ然ルトキハ裁判所カ招集スヘキモノトセリ右第一ノ主義ニ於ケルカ如ク强制的ニスルトモ果シテ其申立正當ナルヤ否ヤニ付キ標準ナカルヘシ故ニ株主ハ自己ノ利益トナルコトニ限リ請求ヲ爲スノ弊アリ若又第二ノ主義ノ如クセンカ當事者自ラ爲スヘキコトニ對シ裁判所カ立チ入ルカ如キハ穩當ナラサルヘシ故ニ以上ノニ主義ハ本按ノ採ラサル所ナリ蓋シ本按ノ如クセハ裁判所ノ許可ヲ得タル上ニテ株主カ招集ヲ爲スヲ以テ最モ正當ノ方法ナルヘシト
議長(箕作君)曰ク本條第二項ニハ「招集ニ著手」云々トアルカ此「著手」ナル文字ハ穩カナラス何トナレハ著手ト云フトキハ招集狀ヲ發スル爲メ其招集狀ヲ印刷ニ付シ其儘荏苒スルモ可ナルカ如ク解セラルレハナリ故ニ「手續ヲ爲ササルトキハ」云々ト改メナハ原文ヨリカ可ナルヘシト
梅君答ヘテ曰ク此著手トハ例ヘハ招集狀ヲ發シタルカ如キモノヲ云フ然レトモ疑アラハ改ムルモ可ナリト
本條ハ「著手」ヲ「手續ヲ爲ササル」云々ト修正シ他ハ原按ニ可決シテ次條ニ移レリ
第百三十二條 總會ノ決議ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外出席シタル株主ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス
株主ハ代理人ヲ以テ其議決權ヲ行フコトヲ得但其代理人ハ委任狀ヲ會社ニ差出スコトヲ要ス
無記名式ノ株券ヲ有スル者ハ會日ヨリ一週間前ニ其株券ヲ會社ニ供託スルニ非サレハ其議決權ヲ行フコトヲ得ス
總會ノ決議ニ付キ利害ノ關係ヲ有スル者ハ其議決權ヲ行フコトヲ得ス
(參照)舊二〇二、佛千八百六十七年七月二十四日法二八、蘭五四、獨一九〇、二項、三項、二〇九a五號、二二一、二三八a、匈一五七、八號、瑞六一六、九號、六四八、六五五、二項、三項、伊八九、一〇號、一五七、一六〇、一六一、羅九〇、一〇號、一五九、一六二、一六三、西一五一、葡一一四、一項七號、白千八百七十三年五月十八日法六一、英千八百六十二年八月七日法 Schedule I, Table A, Nos. 37,48-51
岡野君ニ說明ニ曰ク本條ハ現行法第二百二條ニ該當ス現行法ハ總株金ノ少ナクモ四分一ニ當ル株主出席シ其議決權ノ過半數ニ依リ決議ヲ爲ストアルヲ以テ總株金ノ四分ノ一ニ當ル株主カ出席セサルトキハ總會ヲ開クコト能ハサルヘシ然ルニ現行法第二百三條第二項ニハ第百五十二條ノ假議決ヲ株式會社ニ適用スル旨ノ規定アリ此規定タルヤ同條而已ニ適用スヘキモノニ非ラスシテ第二百二條ニモ適用スルモノナルヘシ果シテ然ルトキハ若シ總株金ノ四分ノ一ニ當ル株主出席セサルトキハ假議決ヲ爲シ再ヒ總會ニ於テ議セサル可ラサル結果ヲ生スルモノト思フ然ルニ本按ハ之ヲ改メテ出席シタル株主ノ議決權ノ過半數ヲ以テ決議ヲ爲スコトヲ得ヘキモノトシタリ是蓋シ出席セサル株主ハ出席シタル株主多數ノ意見ニ從フヘキモノト看做シテ差支ナケレハナリ佛國ノ如キハ總株金ノ四分ノ一ニ當ル株主出席シテ決議スヘキモノトシ伊國ノ如キハニ分ノ一ニ當ルモノトシタリト雖モ若シ如斯センカ每ニ出席シタル株主其數ニ充タサル爲メ確定議ヲ爲スコト能ハサル結果ヲ生スル恐アルヘシ若シ又是非共總株金ノ四分ノ一ニ當ル株主ノ出席ヲ必要ナリトセハ特ニ通知スルモ可ナルヘシ必スシモ法文ニ明示スルノ必要ナキナリ次ニ第二項ハ現行法ノ解釋上ニ於テモ委任狀アルトキハ議決權ヲ行フコトヲ得ヘキモノト思フ然ルニ何故本按ニ於テ特ニ規定ヲ設ケタルヤト謂フニ法律上爭アランコトヲ豫期シ之カ斷定ヲ下サンカ爲メナリ法文中但書ヲ加ヘタルハ他ナシ若シ此但書ナキトキハ代理人ハ何人ノ代理ニシテ且ツ何レノ株ニ對スル議決權ヲ有スルヤ判然セサルト一ツハ會社ノ爲メ便利ナルトニ在リ而シテ此代理人ハ如何ナル人ニテモ差支ナキヤハ問題ナレ共本按ハ普通人ニテ可ナリトノ精神ナリ若シ其レ代理人ハ必ス株主ニ限ルトセンカ或ハ株主中ニ知人ナキ株主ノ如キハ逐ニ代理人ヲ出スコト能ハサル結果ヲ生シ穩當ナラサレハナリ若又取締役ハ代理人タルコトヲ得ストセンカ或ハ取締役ハ其職ヲ辭スルカ如キ場合ナキニアラサルヘシ尤モ本案ノ如ク規定スルトモ若シ取締役ハ代理人タルコトヲ得サルモノトスルノ必要アラハ之ヲ定款ニ規定セハ可ナルヘシ又第三項ハ嚢ニ第百二十七條第三項ノ說明中ニ述ヘタル如ク無記名株劵ヲ有スル者ハ株劵ヲ會社ニ供託シテ置カサレハ總會ノトキニ其株劵ハ最早他人ニ讓渡シアルヤモ保シ難ケレハナリ斯クテハ不都合ナルノミナラス無記名株劵ヲ有スルモノニハ本按ノ規定最モ適當ノ方法ナレハナリ法文中ニ期間ヲ一週間ニ限リタルハ若シ之ヲ長クセンカ實際爲メニ出席スル者極メテ少數ナル可ケレハナリ終リニ第四項ハ最モニ取締役ノ爲メニ適用多キモノナリ何トナレハ取締役ハ最モ利害ノ關係ヲ有スルモノナレハナリ蓋シ取締役而已ナラス實際會社ト大ナル取引ヲ爲シタル者モ亦玆ニ所謂利害關係ヲ有スル者ト云フヘキナリト
長谷川君曰ク本條第三項ノ「供託」トアルハ實際上甚タ困難ト思フ若シ强テ必要ナランカ成ルヘク供託ノ期間ヲ短カク致シタシ兎モ角之ニ關スル外國ノ立法例ヲ示サレタシ次ニ第四項ノ規定ハ必要ナリヤ若シ原文ノ如ク利害關係ヲ有スルモノトセハ極メテ其範圍廣キ爲メ何人モ關係ヲ有スル如ク解セラルル嫌アルヘシト
右ニ對シ岡野君辯シテ曰ク長谷川君カ陳ヘラレタル第一ノ㸃ハ株劵ノ融通上ニ於テハ不都合ナルコトハ豫期シタリ然レトモ之ニ優ルノ良法ナケレハナリ外國ノ立法例ハ本按ノ如ク供託スヘキ主義ヲ採レルモノ殆ト之レナシ獨逸ノ如キハ定款ニ於テ之ニ關スル規定ヲ設クヘキモノトナリ居レリ然レトモ先ツ本案ノ外ニハ良法ヲ見出ササルナリ蓋シ株劵ヲ一週間供託スルコトヲ嫌忌スル者ノ如キハ强テ總會ニ出席ヲ爲スノ希望ヲ有セサル者ト見テ可ナルヘシ次ニ第四項ノ規定ハ文字ニ於テ不可ナラハ之ヲ修正スルトモ其精神ハ保存セラレンコトヲ希望スト
梅君亦辯シテ曰ク假令此第四項ハ削除スルトモ當然此規定ノ如クナルヘシ何トナレハ實際利害ノ關係ヲ有スル者ハ總會ノ決議ニ付キ議決權ナキハ明白ナレハナリ要スルニ文字ハ修正スルモ精神ハ是非共存セラレタシ民法第六十六條ニ於テ是ニ類スル規定アレトモ若シ其規定ニ倣ハンカ株式會社ニ於テハ其範圍狹少ノ嫌アレハナリト
本條第四號ノ文章ハ起草者ニ於テ再考スルコトニ決定セリ又長谷川君ノ修正說ニ因リ第三項ノ「一週間」ハ「五日」ト修正スルコトニ可決シ而シテ井上君ノ修正設ニ因リ第二項ト第三項トノ位置ヲ顯倒スルコトニ可決シ他ハ原案ノ儘ニ決定シテ次條ニ移レリ
第百三十三條 各株主ハ一株ニ付キ一個ノ議決權ヲ有ス但十一株以上ヲ有スル株主ノ議決權ハ定款ヲ以テ之ヲ制限スルコトヲ得
(參照)舊二〇四、佛千八百六十七年七月二十四日法二七、二八、蘭五四、獨一九〇、二二一、二項、瑞六四〇、伊一五七、羅一五九、葡一八三、四項、五項、白千八百六十七年五月十八日法六一、二項、英千八百六十二年八月七日法五二、Schedule I, Table A, No. 44
岡野君ノ說明ニ曰ク本條ハ現行法第二百四條ノ精抻ト全ク同一ナリ要スルニ最少ノ株數ニ對シ議決權ナキモノトスルコトヲ禁スル爲メト一ツハ最多數ノ株數ヲ有スル者ニ對シ定款ニ於テ制限ヲ加フルコトヲ得ヘキ爲メトニ因リ設ケタルモノナリ唯現行法ヲ改メタル㸃ハ現行法ニハ「一株每[ニ個タルヲ通則トス」云々トアレトモ此法文ニテハ必ス一株ニ付キ一個ノ議決權アルコト判然セサルヲ以テ本按ニ於テハ「一株ニ付キ一個ノ議決權ヲ有ス」ト改メ其意味ヲ明瞭ニシタルニ過キスト
本條ハ原按ノ儘可決シ次條ニ移レリ
第百三十四條 總會ノ決議カ法律又ハ定款ニ違背スルトキハ裁判所ハ株主ノ請求ニ因リ其決議ノ無效ヲ宣吿スルコトヲ得但株主ハ決議ノ日ヨリ一个月內ニ之ヲ請求スルコトヲ要ス
前項ノ請求ヲ爲シタル株主ハ其株券ヲ供託シ且會社ノ請求ニ因リ相當ノ擔保ヲ供スルコトヲ要ス
株主カ惡意ニテ決議無效ノ請求ヲ爲シタルトキハ會社ニ對シテノミ損害賠償ノ責ニ任ス
(參照)佛千八百六十七年七月二十四日法一三、四五、獨一九〇a、二二二、匈一七四、伊一六三、二項、羅一六五、二項、葡一八六
岡野君ノ說明ニ曰ク本條ノ規定ハ現行法ニハ之ヲ見ス然ルニ株式會社ノ株主タル者ハ法律又ハ定款ニ從ヒ總會ニ於テ決議シタル事項ニ付テハ當然從ハサル可ラスト雖モ若シ總會ノ決議ニシテ法律又ハ定款ニ違背センカ尙ホ服從スヘキ義務アルモノニ非ラサルヲ以テ此場合ニ於テハ株主ハ決議ノ日ヨリ一个月內ニ其決議ノ無效ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得ヘキモノトシ而テ裁判所ハ其請求ニシテ正當ナルトキハ決議ノ無效ヲ宣吿スルコトヲ得ヘキカ爲メニ第一項ヲ設ケタルモノナリ若シ此規定ナカランカ其決議ノ有效又ハ無效ニ付キ判然セサル爲メ會社ノ業務自ラ澁滯スルノ恐アレハナリ又第二項ハ縱令ヒ第一項ノ如キ權利ヲ株主ニ與ヘタリトテ猥リニ自己ノ利益ニ基キ訴ヲ爲スカ如キハ穩ヤカナラサルヲ以テ其弊ヲ豫防センカ爲メ株劵ヲ供託シ且ツ會社ノ請求アルトキハ相當ノ擔保ヲ供スヘキモノトシタリ終リニ第三項ヲ設ケタル所以ハ若シ第一項ニ因リ請求ヲ爲シタル者カ惡意ナランカ會社ニ對シ損害賠償ノ責任ヲ負ハシメンカ爲メナリ何トナレハ右ノ如キ請求ヲ爲ストキハ自ラ會社ノ信用ニ影響ヲ及ホシ其會社ノ株劵下落シ各株主ハ損害ヲ被レハナリ然レハトテ各株主ニ對シ損害賠償ノ責任アルモノトセンカ是到底行フ可ラサルコトナルヲ以テ本按ノ如ク規定シタル所以ナリト
議長(箕作君)本條第一項ノ「法律」ハ「法令」ト改メテハ如何右ノ修正ニハ起草者同意ヲ表シ「法令」ト改マリタリ
長谷川君ハ第二項ノ規定ヲ批難シテ曰ク第二項ニハ株劵ノ供託ト相當ノ擔保ヲ供スヘキ旨トノ規定アリト雖モ既ニ相當ノ擔保ヲ供セシメハ株劵ノ供託ヲ爲サシムルニ及,ハサルヘシ余ハ原按ニ於テハ何等ノ理由ニ因リ株劵ヲ供託セシムルヤヲ發見スルコト能ハス元來株劵ハ日常融通ヲ爲シ居ルモノナルヲ以テ若シ之ヲ供託セシメンカ右ノ融通ヲ害スルニ至ルヘシ故ニ株劵ノ供託云々ノ文字ハ削除セラレンコトヲ希望スト
右ニ對シ岡野君辯シテ曰ク原按ニ於テ株劵ヲ供託スヘキモノト規定シタル精神ハ凡ソ總會ノ決議ヲ以テ法律又ハ定款ニ違背シタルモノトシ其無效ヲ請求スルカ如キハ其會社ニ於テ最モ重大ノ關係アルコトナレハ其株主ヲシテ斯カル義務ヲ負ハシムルハ固ヨリ至當ノコトナルヘシ殊ニ況ンヤ無記名ノ株主ニモ適用スヘキニ於テヲヤト
右ノ答辯ニ對シ長谷川君反駁シテ曰ク余ハ無記名ノ株主ニ適用スルトモ徇ホ株劵ヲ供託セシムヘキ必要ナキモノト信ス何トナレハ無記名ノ株主カ請求ヲ爲ス場合ニ於テハ其氏名ヲ呼ハセ且ツ相當ノ擔保ヲ供セシメハ可ナリ若シ又一步ヲ讓リ假令株主タルコトヲ證明セシムル爲メニ株劵ヲ供託セシムルノ必要アリトスルモ單ニ一枚ノ株劵ヲ供託セシメテ可ナルヘシ何ン必スシモ其株主カ有スル總テノ株劵ヲ供託セシムルノ必要アランヤ故ニ余ハ原按ノ規定ハ嚴酷ニ失スルモノト信スト
梅君辯シテ曰ク株劵ヲ總テ供託セシムルハ其責任ヲ鄭重ニスルモノナレハ原按ノ儘ニテ可ナリ苟モ一度ヒ請求センカ其落着迄ハ其株劵ノ所有者タラサル可ラス若シ不然シテ今日總會ノ決議ヲ無效ナリト請求シ未タ其請求ニ關シ事ノ落着セサルニ既ニ株劵ハ他ニ讓レル如キハ最モ穩當ナラサレハナリト
本條ハ以上ノ如ク長谷川君ノ批難說アリタリシト雖モ贊成者ナキヲ以テ採決ニ至ラス單ニ「法令」ト改ムルノ外ハ原按ニ可決シテ散會セリ