第二次法律取調委員会 商法中改正法律案 議事速記録 第26回
参考原資料
- 第二次法律取調委員会 商法中改正法律案 議事速記録 , 第拾壹卷 [国立国会図書館デジタルコレクシヨン]
備考
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法律取調委員總會
明治四十三年十二月七日午後三時開會
○會長(岡部長職君)
本日ハ曩ニ御通知ニ及ビ置キマシタ通リ、重ネテ玆ニ總會ヲ開クコトニナリマシタ、其理由ハ卽チ過日、通知書ヲ發シテ置キマシタ内ニ、記シテ御座イマスカラ、諸君モ御承知ト存ジマス、之カラ開會致シマス、起草委員カラ出マシタ修正ニ就テ、逐條審議ヲ開キマス
○四番(齋藤十一郞君)
本日議題トセラレマシタ議案ノ起リマシタコトニ就キマシテハ、唯今會長ノ宣言モ御座イマシタガ、爾私カラ大體ヲ申上ゲタイノデ御座イマス、總會ニ置キマシテハ商法中改正法律案ハ議了セラレマシタ其成案ヲバ司法大臣マデ報吿ニナツテ居リマスノデアリマスガ、未ダ確定ハ出來マセヌ爲メニ、内閣ノ方ニ内協議トシテ一先ヅ廻シタノデアリマス、然ルニ内閣ニ於キマシテ協議ヲ致シマシタ結果、多少、、、、尤モ新シキトコロノ法律文ノ文體ト合ハナイ㸃モアリ、夫カラ字句ノ㸃ニ此決議ニナリマシタ案ヨリ外ニ、文字ヲ少シ加ヘ或ハ外ノ文字ニ改ムル方ガ宜カロウト云フ御話ガ段々出マシテ、硏究ノ結果成程尤モデアルト思フノモアリマシテ、多少字句ノ修正ヲ致シマシタ次第デアリマス、御手許ニ廻シマシタモノハ法制局ト協議ノ結果ト致シマシテハ唯字句ノ修正ニ關スルモノデアリマス、而シテ此外ニモ、マタ字句ヲ修正シタ部分ガ御座イマスケレ共、夫レハ修正文其物ニ關係致シテ居ルノデ、御座イマスレバ、之レハ別ニ御覽ヲ願フ程ノ價値モアルマイト存ジマスカラ、印刷ニ附シマセヌノデ御座イマス、第百二十一條ニ置キマシテモ、第一項モ第二項モ共ニ同ジ文字ヲ使ヒマシテ、特ニ第一項ト書タノデアリマシテ、外ニハ同ジ工合ノ文例ニ基テアリマスカラ、別ニ爭フ程ノ必要モアリマセヌカラ、之ハ印刷ニハ載セマセヌ、印刷ニ載マシタ分ハ、此修正ガ通過シマスレバ、修正ノ根本丈ハ明カニ細大洩ラサズ印刷スル積デアリマス、故ニ此整理ノ範圍ニ屬スルモノトシマシテ、議場ニ上セマスコトハ、如何デアロウカト存ジマシテ、餘リ價値ノナイモノデ如何ニモ議案トシテ玆ニ提出致シマス事柄デモ御座イマセヌノデスカラ、序ヲ以テ、此所ニ附加ヘテ置ク次第デアリマス、起草委員ガ相當ノ整理ヲ致シマスニハ、種々硏究ヲ致シマシタ、其際ニハ、ドウモ修正ヲ要スル方ガ宜イト認メラレマシタ部分モ數ケ條アルノデアリマス、或ハ外ニ議題トシテ御硏究ヲ願フ部分ヲ主トシテ其部分ニ入レタノデ御座イマス、逐次審議ヲ下サイマスナレバ、其場所々々ニ參リマシテ、申上グルコトニ致シタイノデ御座イマス、大體其コト丈申上テ置キマス
(如何デス逐條デ願ツタ方ガ宜カロウト呼ブモノアリ)
○三十二番(松波仁一郞君)
伺マスガ唯今ノ御說明ニヨリマスト、殆ド整理ニ屬スベキモノモ、序ヲ以テ念ノ爲メニ此議案ノ内ニ加ヘタト聞マシタガ、隨分歲モ迫ツテ居マスカラ、可成ハ總會ニ於テハ其重要ノ所ニ重キヲ置キ討議ニカケテ其所ダケ鄭寧ニ審議致シタ方ガ宜カロウト思ヒマス、我々ハ起草委員諸君ガ充分ニ審議ニナツタコトヲ信ズルカラ、夫レハ殆ド形式ノミデ進メ、身ノアル所ニ重キヲ置テ討議スル樣ニ願ツテハ如何デ御座イマス
○四番(齋藤十一郞君)
私ノ方カラハ謙遜致シマシテ左樣ニハ申上マシタノデアリマシテ、全ク結構ナ御發議デアリマスカラ、無論御異議ハ御座イマスマイ、會長カラ次ギ々々ト宣言ノアッタ時ニシテ之ハ議題トスルト云フ御發議ガアツタ時ニ議題トシテ其次ニ移リマシタ方ガ宜イノデ、、、、
○會長(岡部長職君)
然ラバ其方針ヲ以テヤリマセウ、第百三十一條第三項中、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
之ハ悉ク同意デス
書記朗讀
第百三十一條中「第六十二條乃至第百六十三條ノ二及ヒ」ヲ「及ヒ第百六十二條乃至」ニ改ム
○四番(齋藤十一郞君)
之ハ内容ガ變ツテ居リマスカラ、鳥渡申上マスガ、第百三十一條ノ第三項デ御座イマスカ、之ハ株主總會ノ規定ヲバ創立總會ニ準用スベキ規定ヲ揭テアル箇條デアリマス、其中デ新ニ修正案ニ規定致シマシタ第百六十三條ノ第三項ト云ラ規定デアリマス、此規定ヲ準用致シマセヌノデアリマシタ、之ハ現行法ニ於キマシテモ、第百三十一條ニ於テ案ノ第百六十三條ノ第三項ニ相當致シマス所ノ現行法ノ第百六十三條ノ第三項デアリマス、第三項ノ規定ハ同樣ニナツテ居ラヌノデアリマス、夫故ニ修正案ノ形ニ置キマシテハ、現行法ニ一致シマスカラ、正シイノデアリマスケレドモ、現行法ノ第百六十三條ノ三項ヲ適用シナカツタ理由ハ、蓋シ創立總會ノ時ニハ、マダ株劵ガ出來テ居リマセヌ、カラ株劵ヲ供託スルコトガ準用出來ナカツタ結果、準用シナカツタノデアラウト思ヒマス、然ルニ第百六十三條ノ第三項ニハ株劵供託ノ規定ハアリマセヌノデ、唯擔保ニ供スル規定ノミト相成ツテ居ルノデアリマス、果シテ左樣ニナツタ以上ハ、株主ト株式引受人タルトヲ問ハズ擔保ヲ供セシムルコトヲ得ルノデ、擔保ヲ供セシメナイト云フ、規定デハナイノダロウト思ヒマス、故ニ第百六十三條ノ第三項ヲ準用スル趣意ヲ相當ト認メタ次第デアリマス、内容ガ變ツテ居リマスカラ御採決ヲ願イアス
○會長(岡部長職君)
第百三十一條第三項中ダケデセウ
○四番(齋藤十一郞君)
左樣デス
○會長(岡部長職君)
別ニ御意見ハナイノデスカ、意見ナイモノト認メマス、第百四十二條ノ四
書記朗讀
第百四十二條ノ四取締役又ハ監査役カ第百三十四條第一項ニ定メタル任務ヲ怠リタルニ因リ會社又ハ第三者ニ對シテ損害賠償ノ責ニ任スヘキ場合ニ於テ發起人モ亦其責ニ任スヘキ時ハ其取締役監査役及ヒ發起人ハ之ヲ連帶債務者トス
○四番(齋藤十一郞君)
之モ内容ガ變ツテ居リマスル規定デ御座イマス、修正案ノ舊ノ案ニ第百四十二條ノ四ハ取締役及ビ監査役ガ第百三十四條ノ任務ヲ怠リタルトキハ、會社ニ對シ發起人ト連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズト云フ規定トナツテ居リマシタノデス、夫レデ此中デニ㸃程足ラヌ樣ニ感ジマス、尤モ其一㸃ハ其趣意ニ於テハ改正案ト異ツテハ居リマセヌノデ、唯其書キ方ガ違ツタト云フ㸃デアリマス、其㸃ハ會社ニ對シ發起人ト連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズトアルノデ、發起人ト常ニ連帶スルカノ如ク見ユルト云フノデアリマス、案ノ趣意ハ發起人ト連帶スル意味デ無論舊ノ案ニ置キマシテモ、取締役ト監査役トガ連帶シテ此場合ノ責ニ任ズルコトハ、認メテ居ツタノデ、其㸃ガ發起人ト常ニ連帶スル如ク見ヘル、第三者ニ對シテ責ニ任ズル場合ハ發起人ト取締役、又ハ發起人ト取締役及ビ監査役、之等ノモノガ、凡テ連幣シテ責ニ任ズルト云フ場合ガ缺ケテ居リマス、此第百三十四條ノ第一項ノ場合ニ於テハ、取締役監査役ナドガ、或ハ第三者ニ樹シテ責ニ任ズル場合ハ無イコトハアリハシナイ、ナイノデハナイカ、ト云フ考デアツタカト記憶シテ居ルノデアリマス、然ルニ段々硏究致シテ見マスト、必ラズシモソウデナイ、矢張リ一方ノ任務ヲ怠リマスニヨツテ、第三者ニ對シテモ、有リ得ルト信ジマス、左樣致シマスルト第三者ニ對スル規定ガ、取締役相互間、監査役相互間、取締役ト監査役ノ間、夫丈ニ止ツテ、全體ノ規定ハアリマスガ、發起人ト連帶シテ第三者ニ醬スルノガ、睨ケテ居リマス、其㸃ヲ明カニシタノデアリマス
○二十一番(長谷川喬君)
此御修正ニナツタ、發起人ガ常ニ義務ヲ負フ事デナイ、發起人モ署名ノ結果ト思フノデアリマス、ガ、此案ニ極メル所ハ取締役ガ第百三十四條ニ定メタル任務ヲバ、怠ツタ時ニハ賠償ノ責ガアルシ、夫レハ會社ニ對シテ責ガアルト云フニ、今度ノ改正デ見ルト、損害賠償ノ責ニ任ズベキ場合ニ於テ父アツテ、ドウ云フ場合ニ其責ニ任ズルノデアルカ、假令ハ第百四十二條ノ二ノ如キ云々ノ場合ニハ、會社ニ對スル責ニ任ジ、第二項ノ云々ノ場合ニハ第三者ニ對シテモ責ニ任ズト極メテアル、本條ニ於テハ會社ニ對スル責ニ任ズト云フ立方ニナツテ居ルニ、此案ハ會社及ビ第三者ニ對シ責ニ任ズル場合ニハ唯連帶ガアルト云フコト丈ヲキメルコトニナル結果ニナルヨウニ思フノデアリマスガ、夫レハドウ云フ譯デアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
御答致シマス、取締役丈デモ其間ニ連幣シテ責任ガアリマスコトハ、第百七十七條ニ規定ガ御座イマス、夫カラ監査役ガ連帶責任ノ規定ハ、第百八十九條ニ於テ、第百七十七條ヲ準用致シテ御座イマスカラ、夫レモ明カデアロウト思イマス、取締役、監査役ガ連帶シマス規定ハ、第百八十六條ニ御座イマス、而シテ其第百四十二條ノ四ハ取締役ト監査役ト發起人トガ第三者ニ對シテ連帶スル規定デ、夫カラ取締役ト發起人、及ビ取締役ト監査役ガ連帶スル規定デアリマスカラ、其趣意ニ御覽ヲ願イタイノデアリマス、損害賠償ノ責ニ任ズベキ場合ニ發起人モ又、第百八十六條ノ書方ト全ク同ジデアリマス、監査役ト取締役ガ責ニ任ズルト、麼ウ云フテモ、違ナイノデ、ツマリ發起人ノ方ヲ先ニ書テモ宜イノデ、之ハ主客ガ違ツタノデ、斯樣ニ書タノデアリマス
○二十三番(磯部四郞君)
唯今ノ御說明ヲ承リマシテ能ク了解致シマシタヤウデスガ、其場合ニ適用上隨分面倒デアリマスカラ、其場合ヲ法文ニ示スト云フ譯ニハ行カンデセウカ、第何條ト明カニ示シタ方ガ、彼方此方ト調ベテ牽カナクツテ、其方ガ商人ニハ大分便利ノヨウデスガ
○四番(齋藤十一郞君)
唯今議題トナツテ居リマス、第百四十二條ノ四ノ場合ハ磯部サンノ御注文通リニ工合ガキマツテ居ルノデアリマス
(異議ナシト呼ブ者アリ)
○二十一番(長谷川喬君)
唯今ノ御說明デモウ少シ、、、、、引用一嚆ナツタ、第百七十七條ハ取締役ガ其任務ヲ怠リタル時ハ、會社ニ對シテ連帶シテ其賠償ノ責ニ任ズルト云フコトガアリマス、ガ、之カラ立テ丶責ニ任ズ云々ト書クノガ順序デアリマス、本條デ第百三十四條ノ第一項ニ定メタル任務ニ背ヒタル場合ニハ、責ニ任ズルト云フコトガ、腕ケテ居リマシテ、第百四十二條ノ二項ノ如キハ、或ル場合ニハ會社丈ケニ對シテ義務ヲ負ヒ、他ノ場合ニハ第三者ニ對シテ圭員ヲ召从フ區別ガシテアルニ抅ラズ、本條デハ會社又ハ第三者ニ對シテ任務ヲ負フト云フコトガアツテ、其場合ガ、ドウ云フ場合ニ任務ヲ負フノカト云フコトガ案ニ脫テ居ツタガ、夫ハドウデスカ
○四番(齋藤十一郞君)
御尤モナ御尋ネデアリマス、舊ノ案ニヨリマスト、唯今御示シノ第百三十四條ノ第一項ニ定メタル任務ヲ怠リタル責任ノ規定ガ舊ノ案ノ第百四十二條ノ四ニ因テ初メテ認メラレタカノ如ク見ヘルノデアリマスガ、舊ノ案ノ趣意モソウデハナカッタノデアリマス、第百四十二條ノ四ノ規定ハ發起人ト連帶スル場合デアルカラ、連帶シテ責ニ任ズル、卽チ附加ヘラレタヨウナ形ニ規定セラレテ、斯樣ニ規定シタモノデアリマスガ、實際ノ趣意ハ違ハナカッタノデアリマスカラ、左樣御承知ヲ願イマス「マア追々解ルデセウ」ト云フモノアリ(笑聲起ル)
○會長(岡部長職君)
他ニ御發言ハアリマセヌカ、他ニ無ケレバ異議ナイト認メマス、第百六十三條第二項中、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
字句ノ修正デスカラ、、、、
(異議ナシト呼ブモノアリ)
○會長(岡部長職君)
デハ次ニ移リマス、第百六十三條ノ二ニ左ノ一項ヲ加フ、、、、
書記朗讀
第百六十三條ノ二ニ左ノ一項ヲ加フ
訴ノ提起及ヒロ頭辯論ノ期日ハ取締役遲滯ナク之ヲ公吿スルコトヲ要ス
○四番(齋藤十一郞君)
之ハ決議無效ノ訴デアリマスガ、之ハ法律ノ規定ニヨリマスト、タツタ一人ノ株主カラデモ訴ガ出來、又タ取締役カラ他ノ會社ノ代表權ヲ對手トシテ、全ク内部ノ關係ニ於テモ出來ル、訴デアリマスノデ、此訴ノ方法ヲ害用致シマス目的ヲ持ツテ居リマスレバ、極ク祕密ノ間ニ訴ヲ起シテ、訴ガ確定スルト云フ虞ガアル、所謂馴合訴訟ヲ起ス虞ガアル、夫レデ獨逸ノ商法ニモ、之ト類シタ規定ガアリマスカラ、利害關係ノアル株主ヲシテ、其訴訟ニ參加スル途ヲ開イタノデ御座イマス、夫レデ其㸃ガ舊ノ案ニ置キマシテハ、缺テ居リマスカラ、適當ノ規定ト思イマシテ、追加シタ次第デアリマス
○二十一番(長谷川喬君)
此口頭辯論ノ期日迄モ公吿セネバナラヌト云フ必要ガアリマセウカ、勿論公吿スル必要ト、其煩雜ノ利害ハ如何デセウ、口頭辯論ハ之ヲ一々會社カラ、公吿セナケレバナラヌト云フコトニナツタナラバ、頗ル煩雜ダラウト思フ、其以後ノ注意ハ關係者ニ任シタラ宜カロウト思フ
○四番(齋藤十一郞君)
之ハ私共ノ間ニ置キマシテモ、唯今述ラレタヨウナ、話ガ出マシタノデアリマス、然ルニ獨逸ノ商法ニ於キマシテモ、斯樣ニ書イテアルノデアリマス、而シテ解釋ニ於テ一致シテ居ル㸃ハロ頭辯論ノ第一ノ期日ヲ云フノデアリマス、私ハ民事訴訟法ノ解釋カラ云ヒマスト、第一ノ期日ヲ指スモノト、自分ハ考テ居リマス、而シテ之ハ第一ノ期日ノミヲ公吿スルノミデ、差閊ナイト信ジテ居リマス
○二十一番(長谷川喬君)
口頭辯論ノ期日ト書テ居ツテ、夫レハ第一日ヲ土思味スルト云フナレバ、今拵ヘル場合ダカラ、ソウ云フ趣意ナレバ、最初ノ期日ト決メタラ宜カロウト思フガ、私ハ夫程迄ニスル必要ガアルダロウカ、第一期日ヲ公吿スルコトハ、將來ハ兎ニ角、現今デハ極メテ稀デアリマスカラ、第一日ダケシタ所ガ、夫程ノ益ハアルマイカト思フカラ、私ハ削除シタ方ガ、宜カロウト思イマス
○四番(齋藤十一郞君)
第一斯ウ云フコトハ、示サナケレバナラヌト云フコトハ、多數ノ意見デ御座イマスカラ、修正ヲ願フコトハ構ヒマセヌガ、削除スルコトニハ、反對デアリマス、御承知ノ通丿極ク窮迫ノ場合ニ於テハ、非常ニ口頭辯論ノ期間ヲ短縮致シマスノデアリマス、何時開カレルカ、其開カレル期日ニヨツテ、準備ノ方法モアルダロウト思イマス、之ハ參會致シマスモノ丶爲メニ、何ウセ公吿スルナレバ、期日モ揭ゲタ所ガ費用ノ關係モナイノデアリマスカラ、公吿サセル方ガ便利ダロウト思イマスカラ、削除ノコトハ御再考ヲ願イマス
○會長(岡部長職君)
二十一番ハ削除デスカ
○二十一番(長谷川喬君)
私ハ第一案トシテハ削除設、夫レガイカナケレバ、第二案トシテハ期日ノ上ニ、最初ノ意味ヲ加ヘルコトニ致シテ置キマス
○二十八番(高木豐三君)
訴ノ公吿ハドツチニシテモ、誰ガ出スノデスカ、裁判所ガ通知スルノカ取締役ガ遲滯ナクスルノカ
○十七番(阿部泰藏君)
此遲滯ナク云々ト云フノハ、訴ノ提出ガアツタ時ニ、先ヅ以テ公吿ヲサセ、更ニ期日ガ定ツタ時ニ遲滯ナク二度ヤラセル積リカ、期日ガ決ツテカラ始メテ公吿スル積リデスカ、私ハ削除說ニ贊成シテ居リマスガ、御答ニ因ツテハ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
此取締役ト申スノハ、被吿トナル會社ヲ代表スル取締役ノ意味デアロウト私ハ思イマス、被吿トナツテ訴ヲ受クル時ハ訴狀ノ送達ニヨツテ知ルカラ、一回ノ公吿デ足リル積リデアリマス
○會長(岡部長職君)
外ニ發議ガナケレバ、初メノ削除讀ハ成立ツテ居リマセヌ、第二案ノ期日ノ前ニ最初ノ意味ヲ入レル、、、、採決シマスガ、此口頭辯論ノ上ニ最初ノ意味ヲ入レルト云フ方ニ贊成ノ諸君ハ手ヲ擧ゲル、、、、
(手ヲ擧ゲシモノ少數)
少數デス、此修正案ニハ別ニ異議ガナイト認メマス、次ニ第百六十六條但書ヲ左ノ如ク改ム、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
之ハ全ク整理ノ問題デハ御座イマスガ、鳥渡申上ゲテ置キマス、此第百六十六條ノ第二項トナツテ居リマシタ、規定ヲ但書ニ致シ、之ハ整理デアリマス、之ハ原案ト致シマシテハ第二項トナツテ居リマスガ、第百六十六條ノ一項ノ但書ヲ削除シタノデアリマス、「但其任期滿了ノ後之ヲ再選スルヲ妨ケス」之ヲ削除セラレマシタ、若シ總會ノ決議案ノ通リ、但書ヲ削ツテ、修正案ヲ起草シマスナレバ、當然但書ニスルノガ、宜イガ但書ヲ活カシテ整理トシテ矢張リ第二項トシテ、但書ニ入レルノガ相當ダラウト思フ、卽チ念ノ入ツタ修正デアリマスカラ、特ニ申上ゲテ置キマス
○會長(岡部長職君)
之ハ別ニ討議スル程ノコトモ御座イマスマイ、第百八十九條中、、、、之モ整理デス、、、第百九十條ノ二中、、、、
書記朗讀
第百九十條ノ二中「財產目錄ニ揭クル」ノ下ニ「動產、不動產、債權其他ノ」ヲ加ヘ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ繼續シテ營業ノ用ニ供スル財產ニ付テハ其取得價額又ハ製作價額ヨリ相當ノ減損額ヲ控除シタル價額ヲ附スルコトヲ妨ケス
○四番(齋藤十一郞君)
第百九十條ノ二ニ就キマシテハ、御覽ノ通リ、二ツノ修正ガアルノデアリマス、夫レテ第一ノ方ハ、之ハ整理デアリマスガ、少シク理由ヲ申上ゲテ置カウト思フノデアリマス、第一項ノ規定ダケデハ、第二十六條ノ第一項ニ云フ所ノ財產ヲ指スノデアルカ、又ハ修正案ノ第二項ニ云フ所ノ財產ヲ指スノデアルカ、疑ガアルト云フ、疑問ガ起ッタノデアリマス、私ハ第二項ノ債務ヲ含マナイ財產ヲ指スモノデアルト云フコトニ疑ハナイノデアリマスケレ共、ドウモ疑ノアルト云フ以上ハ矢張リ第二十六條ノ書方ニ倣ッテ、動產、不動產、債權其他ノ財產トスル方ガ宜カラウト云フコトデ、之ヲ附ケ加ヘタノデ、意味ニ於テハ少シモ轍奬ツテ居ルコトハアリマセヌ、夫レカラ第二項ヲ加ヘタノハ、確カ斯樣ナ趣意ガ主査會デアリマシテ、此問題ガ出タヤウニ存ジテ居リマスガ、私ノ記憶違ヒカモ知レマセヌガ、ツマリ第百九十條ノ二ノ規定ハ取得價額又ハ製作價額ガ安イカ時價ガ安イカ、其安イ方ニ據ラシムルト云フ方ニ出來テ居ルガ、然ルニ機械類トカ或ハ船トカ、繼續シテ營業ノ用ニ供スル財產ガ會社ニアリマシテ、其財產ノ價額ヲ附シマスルノニハ、假令ハ其財產ガ二十ケ年ヲ以テ其用ヲ爲サンモノトスル時ハ、年々其價額ノ二十分ノ一宛減ラシテ、全ク二十年ノ後ニハ算定スル方法ガナイヤウニ承ツテ居リマス、現ニ獨逸ノ商法ニモ、斯樣ナ規定ガアルノデアリマス、ソコデモト私ノ考ハ取得價額カ製作價額カ時價カ、ドツチカ安イ方ニ付ケル規定ガアルナラバ、斯樣ナ趣意ヲ自カラ其中ニ含マシムルノデアッタ、價額ヲ附スルモノニ於テ斯樣ナ趣意ニ合フヨウニ出來ルダロウト、簡麗ニ思ツテ居ツタノデアリマス、所ガ段々考テ見マスルト、減損價額ヲ控除シマシタ價額ガ、時ニハ其財產ノ時價ヨリモ高イ、時價ガ非常ニ減ジタ場合ニハ、財產ガ時價ヨリモ高クナル、場合ガアルノデアリマス、左樣ノ場合ニハ舊ノ案ニヨリマスト、時價ヲ付ケナケレバナラヌ、トコロガ、先刻例ニ申シマシタ、機械類ノ如キモノハ、年々減損價額ヲ控除シタ所デ、財產目錄ヲ作リマシテ、算定シテモ、會社ノ財產ニ危險ヲ及ボス虞ハナイノデアリマス、夫レニモ抅ラズ、時價ノ安イ時ニ極端ナ時價ヲ付ケルノハ、折角會社ガ、計算ヲ立テ丶モ減損價額ノ標準ヲ守ルコトガ出來ナイデ、非常ニ迷惑デアロウト思フ、實際ノ時價ヲ付ケルト云フノモ、斯樣ナ機械類等ニ付ケルノハ、隨分混雜ヲ來タシマス、夫等ノ理由カラシテ、事實行ハレテ居ル方デ、而カモ便宜ノ方デ、ソウシテ會社ノ財產狀態ニ危險ヲ及ボサナイ方デアリマスカラ、ソウ云フ趣意カラ追加致シマシタ次第デアリマス
○二十一番(長谷川喬君)
鳥渡分ラヌカラ申マスガ、此第百九十條ノ二ハ、時價若クハ製作價額ヨリ以下ノモノヲ付ケルニハ、差閊ナイヨウニ思イマスガ、、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
時價若クハ製作價額以下ノモノニ付ケルノハ、一向差閊ナイ、時價ガ非常ニ下ツテ、假令ハ時價ガ五千圓致シマス、所ガ相當ノ減損價額ヲ引テ、七千圓デアルト云フ時ニハ、七千圓ヲ付ケサセタイノデアリマス、卽チ時價ヨリ以上ニ付ケサセタイ、以上ニ付ケタ所デ斯樣ナ方法デヤル以上ハ、會社ノ財產狀態ヲ紊ス虞ハ毫モナイノデアリマス、ソウ云フ趣意デアリマス
○十七番(阿部泰藏君)
私ハ此附加ヘタ項ハ要ラヌカト思イマス、今ノ說明デハ、船ノヨウナモノハ年々減ラシテ行ク、ソウスレバ或ハ時價ヨリ高イ時モアル、ケレドモ夫レハ法律上構ハヌト云フ話デアリマスガ、全體商法ノ精神ヲ見マストコロガ、時價以上ハナラヌト云フノガ、精神デアリマス、假令ハ船ノ如キモノガ法律ニヨリテ二十年デ價ノ減ルモノナレバ、五分宛年々減ラシテ行ツタトコロガ構ハヌ、或ハ三十年、四十年ト段々減價シテ行クト、其間價ノ無クナル場合ガアル、ソウスルト年々時價以上ノモノヲ財產目錄ニ揭ゲル疑ガ生ジマスカラ、二十年デ船ガ償却スルヨウナ減價法デアレバ、夫レハ時價ニ相當スルモノト見テ置ク方ガ宜カナカロウカ、時價以上デモ構ハヌト云フノハ、法律ノ精神上宜クナイト思フ、卽チ時價ニ相當スルモノダト見テ置ケバ、コソナ法律ハ要ラヌト思フ、全體此第百九十條ノ第一項ナドヲ見マスト、時價ニ超過シテハ、イカヌト云フコトニナツテ居ル
○四番(齋藤十一郞君)
私ハ時價ガ少ナイ方ニ方針ヲ置キマシタ、爲メニ、モウ一ツ極メテ必要デアル事柄ヲ說明トシテ睨カシタノデアリマス、鳥渡ハ申マシタガ、、、、、モウ少シ申上テ置タイ、先程長谷川サンノ御尋ネデ、時價ヨリ高ク見積ル場合ガアル、常ニ高ク見積ル必要ガアルト云フ趣意デハ無論ナイノデスカラ、左樣ニ御承知ヲ願イタイ、今阿部サンノ古同ク見積レル爲メニ付ケタカノ如ク、ソウ云フコトヲ土蘯トスルヨウナ御話デアリマシタガ、ソウ云フ趣意デハナイノデ、第一實際上必要ノアリマスノハ、時價ヲ算定スル勞ヲ省クノデアリマス、時價ヲ算定スルト云フコトハ、實際ノ上ニ置キマシテハ、夫レ程困難デハナイカモ知レマセヌガ、素人ガ機械ノ時價ヲ算定致シマスコトハ、餘程六ケ敷一ツノ仕事デアラウト思イマス、斯樣ノ方法ヲ認メマスナラバ、時價ノ算定モ要ラヌ、年々減損額ヲ引テ行ツテ、夫レヲ價額トシテ付ケルカラ、極ク實際ノ上カラ、尤モ實益ガアルダロウト思フ、唯理窟トシテ、安ク付ケル、安イ方ヲ付ケルデハ困ル場合ガアル、斯樣ナ場合ニハ、其方ノ趣意ガ變ジタ爲メニ、或ハ案ノ趣意ニ就テ疑ガアルトイケマセヌカラ、附加ヘテ申上ゲテ置キマス
○三十二番(松波仁一郞君)
私モ此ニ疑ヲ抱イテ居リマス、阿部サント同ジ考ヲ持ツテ居リマス、齋藤君ノ說明ハ必ラズ高イモノヲ付ケルト云フノデハナイ、斯ウ云フ場合ニハ時價ヨリ高クナツテモ弊害ガナイカラ差閊ナイ、其理由ノ一トシテ價額ノ計算ヲ容易ナラシムル利益ガアルト云フ趣意デアルガ、私ハ斯ウ云フ場合ヲ想像スル、普通ノ狀況ナレバ、夫レハ二十年シカ保タナイ船トスレパ、船齡ト比シテ減價シテ行ツテ二十年ノ後ニハゼロトナル、ト云フコトニナリマセウガ、併シ時價云々ト云フ以上ハ唯凡テノモノガ年數ニ因ツテ、同程度ニ減シテ行クト云フコトハ出來ヌ、出來ヌカラ、、、、當リ前ノ狀況ナレバ、來年ハ十九萬圓、來々年ハ十八萬圓ト云フ順ニ行クケレドモ、「バブリツシ」ガ發明サレタト云フコトニナツテ、急速ニ價ガ頓ト落ル、一年ノ後二十九萬圓ニナツタト云フ譯ニハ行カヌ、ソウスルト機械ノ變動ニヨリテ、十萬圓モ八萬圓モ一遍ニ減ツテ仕舞フ、段々改良ニ改良ガ出ルカラ、、、、、紡績機械ナドモ、新式々々ト段々改良サレテ、同ジ機械ナレバ年々減少シ、矢張リ機械ノ發明デ、一邊ニ時價ガ落テ仕舞フ、夫レヲ矢張リ一年一萬圓宛減シテ置タナラバ、時價ガ八萬圓九萬圓ニナツタ時モ、十八萬圓、十九萬圓ニ見積ルト云フコトニナツテ、趣意ト抅泥シテ幾分矛盾シバセヌカト思イマス、ノデ、矢張リ實業家ノコトヲ察シテ御作リニナツテ、舊ノヨウナ缺㸃ハアルケレドモ、時價ト云フコトニシテ置タ方ガ宜カラウト疑ヲ持ツテ居ルノデ、尙又營業ノ用ニ供スベキ財產殊ニ繼續スベキ船舶ノ如キ、或ハ機械類ノ如キ段々消磨シテ行ク物、假令ハ家ノ如キモノデモ、矢張リ家モ年々舊頺スルモノデアルカラ、鑑定者ニ鑑定サセル等、之モ建物ヲ營業ノ用ニ使ツテ居ルノデアリマスカラ、此例ニ倣フコトニナリマセ〃シ、其他ノ營業用ニ供スル財產等、種々疑ガ起ルダロウト思イマス、斯樣ナ疑ヲ持ツテ居ルノデ、矢張リ舊ノ印刷ノ案ノ儘ニシテ置タ方ガ宜カロウト思イマスノデ、又阿部サンノ削除說モ私ハ提出スルダケノ勇氣モアリマセヌケレドモ、唯疑ヲ存シテ置キマス
○二番(岡野敬次郞君)
第百九十條ノ二ニ一項ヲ加ヘ唯今松波君ガ述ベタ、船舶機械以外建物ノヤウナモノモ、這入ツテ、種々疑問ガ起ルト云フ話デスガ、私ハ矢張リ機械ヤ船舶ノミナラズ、營業用ニ供スル財產ノ中ニハ、家屋モ無論這入ル積リデアリマス、ソウ云フ疑問ハ起ルガ、種々ナ疑問ハ起ラヌ、疑問ハ一ツデス、卽チ場合ニヨリテハ時價ヨリモ高イ値段ヲ貸借對照表ノ上ニ其結果ヲ來タスデアラウ、夫レガ疑問ノ存スル所デ、夫レ以外ニハナイト思イマス、而シテ私ガ此第二項ニ贊成シタ理由ハ、先刻齋藤君カラ最後ニ述ラレタトコロデアリマシテ、此讓渡シノ爲メ或ハ轉費ノ爲メ、持ツテ居ル所ノ財產ト抅泥シテ營業用ニ供スル財產ハ、年々其矢張リ時價ニ見積ッテ行カネバナラヌト云フヤウニナツテハ、實業家ノ爲メニ、甚ダ不便デアロウト思フ、假令バ建物ノ如キ、工場ノ如キモノハ、著シキモノデアロウト思フ、相當ノ減損價額ヲ每年引テ行ツテ、必ズシモ賣ッタナラバ幾干、潰シ値段ナラバ何レダケノ金錢ガ、獲ラレルダロウト云フコトヲ考ルノデハナイ、之ヲ實際ニ考テ見マスト、若シ事實ニ於テ此家屋ハ五十年或ハ三十年間ニハ消磨スルコトデアロウト云フノデ、年々幾分宛積立ツテ行ツタナラバ、夫レデ宜シイ、斯ノ如キ規定ヲ置キ、市區改正ノ結果、其他新發明ノ場合ニ、偶々場合ニヨツテハ、時價ヨリモ高イ値段ニ上スト云フコトハ、私ハ起ラヌトハ申シマセヌガ、乍併其所謂弊ナルモノト、苺年々々營業用ニ供スル財產ヲ常ニ時價ニ見積ツテ、其時價ト比較シテ行カネバナラヌ、夫レガ誤ツタナラバ、其弊ノ方ガ多カロウト思フ、何ウセ幾分ノ弊ハアロウト云フコトハ、覺悟シテ居リマスカラ、私ハ宜カロウト此二項ニ贊成シタ譯デアリマス
○十二番(志村源太郞君)
私ハ十六番ノ親ニ贊成致シ冖、ス、唯自分等ノ考ハ相當ノ減損額ト云フコトガアリマスガ、此相當ト云フ字ノ疑ガ出テ參リマス、假令ハ紡績機械ノ如キ、十五ケ年或ハ二十ケ年デ償却ヲ計ルノガ相當デアルカ、フラツトノ紡績機械ヤトボソンハ十年デ相當デアルカト云フコトハ、中々ニ決メ難イコトデアロウト思フ、夫レカラ修繕ノ施シ方ニヨリテハ、十五年ノモノモ二十年ニ償却シテ相當トナルコトガアル、又極ク酷ク使フト、十年デモ全部滅却シテ仕舞フカラ、相當ト云フコトハ、造ツテ書クト問題ハ決シマスガ、實際ノ問題ニナリマスト誠ニ疑ヲ生ジ易イ問題ニナリマセウカト思イマス、却テ此疑ヲ起シマス規定ヲ置クヨリハ寧ロ御全廢ニナリマシテ、斯ウ云フ樣ナ場合ト云フモノハ、頗ル僅カダロウト思イマス、大體ガ此度ノ商法ハ餘程前ノ商法ヨリハ、私共ノ見マス時ハ緩カニナリマシタ、前ノ商法ハ解釋ガ種々アリマスガ、自分等ガ人カラ聞ク時ハ、必ラズ時價ヲ搜セト云フヨウナ、甚ダ窮屈ニ感ジマシタ、改正案ハ時價ノ範圍内ナレバ、餘程畭裕ガ付テ、充分運ガ付キマス、時價ノ方ナレバ規定ニナツタ以上ハ非常ニ財產目錄ノ作リ方ニ便宜ヲ得ラレマス、左スレバ第百九十條ノ趣意ヲ一貫サレタ方ガ宜カロウト思フ、心配ニナッタ場合ハ時價ガ製作價額ヨリ低クナツタ時デスガ、夫レハ餘リ多クナイ場合ダロウト思フ、却テ此相當ノ減損額ト云フコトニ就キマシテハ、餘程疑問ガ出來、或ハ株主ト重役ノ爭モ出來ヨウト思フ、家屋ニ於テハ、煉瓦ハ何年間ノ保存期間ナドト決メルヨリ、實際ニ置キマシテハ、却テ御掛酌ガ夫程ノ效能ハナイカト思イ弓、ス、ノデ、寧ロ時價主義ヲ一貫ニナツテ、其時價主義ノ範圍ガ緩マシテ居リマスカラ、私ハ追加個條ヲ削除ニナツタ方ガ宜カロウト思イマス
○二番(岡野敬次郞君)
唯今志村君ノ說ニ就テハ少シク商法ノ取リ所ヲ誤解サレテ居ルカト思イマスカラ、其㸃ヲ補ツテ置キタイト思イマス現行法ノ規定ノ解釋ノコトハ申シマセヌガ、第百九十條ノ二ト云フモノハ、時價以内ナラバ宜シイト云フノデハナイノデス、此第百九十條ノ二ハ時價ガアツテモ、其時價ガ財產ノ製作價額ニ超エテ居ッタナラバ、其低イ方ニシテ、取得價額又ハ製作價額ヲ超エテハナラヌト云フノヲ、規定シタノデアリマス、ダカラ時價ヲ標準トシテ居ルノデ、時價ナリ、製作價額ナリ、取得價額ナリアル場合ニハ、ニ者ヲ比較シテ、其低イ方ヲ財產目錄ニ揭ゲロト云フコトヲ規定シテ居ルノデ、而シテ取得價額、製作價額ヲ每年時價ト云フモノト比較シテ其相當價額ヲ財產目錄ニ載セネバナラヌト云フノデ、アリマスカラ、夫レデ營業用ニ供スル財產ノ如キハ、餘程時價ノ算定ニ困難デアル、斯ウ云フトコロデ第二項ヲ設ケタ譯デアリマス、而シテ此第二項ノ規定ノ次ニ之ハ私ノ解釋デアリマスガ、減損ト云フコトガ常ニ此取得價額カラ例ヲ以テ云ヘバ、價ヲ減ラシタル額ト云フモノガ、朗剛チ時價ニ相當スル、製作價額カラ減損額ヲ引去ッタモノガ、常ニ時價ニ相當スル場合ノミナレバ、此第二項ノ規定ハ要ラヌ、其減損シタル額ニ丁度相適當スル所ノ額ヲ控除スル意味デハナイ、卽チ凡ソ相當ノ減損額デアッテ、減損額ニ相當スル額ヲ控除スルノデハナイ、場合ニヨリテハ、、其財產目錄ニ揭グル所ノ價額ガ時價ニ比較シテ、高イ場合モ生ズルト云フコトモ申上タノデ、何ガ相當デアルカト云フコ昻ガ疑問ニナルト云フコトデアリマスガ、之ハ成程場合ニ就テ、一々標準ヲ定メテ居ツテ、ソウシテ之ハ相當、之ハ不相當ト云フコトガハツキリ到明シ得ルト云フコトハ申マセヌガ、、、、ケレドモ、之ヲ實際問題トシテ申マスナラバ、著シク不相當デナイ限リハ私ハ差閊ナイト解スルガ當然デアロウト思イマス、此凡テ相當トカ云ヒマス所ニ基テ居ルノデ、實際ノ適用カラ云ヘバ、遲滯シタノガ一日デアルカ、三日デアルカ、ハツキリ決メラレマセヌ、ガ、自カラ左程ノ不都合ハナイノデアロウト思イマス
○會長(岡部長職君)
之ハ別ニ採決ヲ決メマシテ、第二項ノ前項ノ規定ハ云々ト云フ方ハ削除設ガアリマスカラ、別ニ申シマス、初ノ方ハ異議アリマセヌカ、、、、、異議ナシト認メマス
前項ノ規定ハ云々ノ方ハ、削除讀ガアルヨウデスガ、削除ニ同意ノ諸君ハ手ヲ擧ゲテ、、、、
「擧手セシモノ七名」
少數デス、然ラバ修正案ノ通リデ異議ナイモノト認メマス
○四番(齋藤十一郞君)
次ノ第二百四條ノ二、之ハ整理、、、、其次ノ第二百十七條ノ第一項ハ次ノ修正ノ個條ノ爲メニ、引出シタモノデ、アリマシテ同條第一項ニ入リマス
書記朗讀
第二百十七條第一項第四號ヲ左ノ如ク改ム
四、 優先株ヲ發行シタルトキハ、其種類及ヒ其各種ノ株式ノ數(原案ノ儘)
同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ、第二項中「前項」ヲ「第一項」ニ改ム
第五十三條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○四番(齋藤十一郞君)
第二百十七條ノ規定ハ御覽ノ通リ、資本增加ノ場合ノ規定デアリマス、社債ノ登記、卽チ第二百四條ノ三デアリマス、第二百四條ノ三ニハ其第一項ニ置キマシテ、社債ノ登記事項ガ規定シテアリマス、第二項ニハ五十三條ノ規定ヲ準用スト規定シ、社債ノ登記事項ノ變更登記ノ規定ヲ玆ニ設ケタ積デアリマス、第二百四條ノ三ハ新規定デ御座イマシテ、若シ此社債ノ登記ニ第五十三條ノ規定ヲ準用致シマスナラバ、矢張リ資本增加ノ場合ニモ、此第五十三條ヲ準用スル必要ガアルノデアリマス、之ハ現行法ニ於テハ五十三條ノ準用ガアリマセヌ、故ニ此㸃ハ實ハ原案デハ看過シテ仕舞ッタノデアリマス、既ニ社債ノ方ニ準用シタ以上ハ之ヲ準用スル必要ガアリマスカラ、此一項ヲ加ヘタ次第デアリマス
○會長(岡部長職君)
別ニ御意見ハアリマセヌカ、然ラバ、御異議ガナイト認メマス、第二百二十五條ニ左ノ二項ヲ加フ
書記朗讀
第二百二十五條ニ左ノ二項ヲ加フ
第二百二十條ノ二乃至、第二百二十條ノ五ノ規定ハ會社ノ合併ニヨル株式併合ノ場合ニ之ヲ準用ス(原案ノ儘)
第二百二十條ノ五ノ規定ハ株式ヲ併合セサル場合ニ於テ合併ニ因リ滄滅スル會社ノ株式ヲ目的トスル質權ニ之ヲ準用ス
○四番(齋藤十一郞君)
此第二百二十五條ニハ舊ノ案ニ置キマシテハ、資本減少ノ場合ノ株式併合ノ規定ヲ、會社ノ合併ノ場合ニ於ケル株式併合ニ準用致シタノデ御座イマスガ、會社合併ノ場合ニ置キマシテ、必ラズシモ株式併合ガ同時ニ起ルトハ限ラナイノデ、合併ニ因リテ消滅シタル會社ノ株式ト云フモノガ、當然合併ニヨリテ滄滅致シマシテ、其代リニ合併ニヨリテ繼續スル所ノ會社ノ株式ト云フモノヲ、舊ノ株主ニ交付スルコト丶相成ルノデアリマス、其場合ニ置キマシテモ、第二百二十條ノ五ノ規定ハ矢張リ適用セラレネハナラヌ必要ガアルノデアリマス、卽ち從前ノ株式ヲ目的トスル質權ハ卽チ繼續スル會社ノ新株式トシテ、從前ノ株主ニ與ヘル株式ノ上ニ、存在スルト云フ、斯ウ云フ趣意ヲ規定致シマセヌケレバ、不都合デアルノデアリマス、夫故ニ第二百二十五條ニモウ一項加ヘマシテ、第二百二十條ノ五ノ規定ヲ、株式ヲ併合セサル會社ニ對シ斯樣ノ規定ヲ設ケタ方ガ、利益ト認メマシテ、之ヲ追加スルコトニ致シマシタ
(異議ナシト呼ブモノアリ)
○會長(岡部長職君)
異議ナイト認メマス、次ノ第二百三十二條
書記朗讀
第二百三十二條會社カ事業ニ着手シタル後、株主、取締役、又ハ監査役カ其設立ノ無效ナルコトヲ發見シタルトキハ訴ヲ以テノミ其無效ヲ主張スルコトヲ得
第九十九條ノ三乃至第九十九條ノ六ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
○四番(齋藤十一郞君)
株式會社ノ設立無效ノ訴デ御座イマスガ、舊ノ案ニ置キマシテハ、第二百三十四條ニ第九十九條ノ二ト云フモノヲ、準用シテ、御座イマスガ、此第九十九條ノ二ノ規定ハ御覽ノ通リ合名會社ノ規定デアリマシテ、會社ガ事業ニ着手シタル後、社員ガ其設立ノ無效ナルコトヲ發見シタルトキハ、訴ヲ以テノミ、其無效ヲ主張スルコトヲ得トアリマス、而シテ此規定ヲ株式會社ニ準用致シマスレバ、社員ハ株主ニ當リ、而シテ株式會社ニ置キマシテハ、設立無效ノ訴ハ、唯株主ガ之ヲ提出スルコトヲ得ル計リデ、アツテ、取締役ヤ監査役ハ之ヲ提起スルコトガ出來ナイ、結果トナルノデアリマス、然ルニ一方株主總會ノ決議ヲ無效ト致シマス訴ハ、株主モ、取締役モ、監査役モ皆提起スルコトガ出來ルヨウニナツテ居リマスカラ、權衡ノ上カラ申マシテモ、凡テ株主ニノミ許スベキ理由モナイノデアリマス、却テ取締役ヤ、監査役ニ許シタ方ガ、實際上必要デアル場合ガ多カロウト思イマス、第九十九條ノ二ヲ準用スルダケデハ、取締役監査役ハ這入リマセヌカラ、現行法ノ第二百三十二條ヲ削除シテ御座イマスノヲ、活カシテソウシテ此案ノ通リニ致シマス方ガ宜シイト認メマシタノデアリマス、從テ、第二項ノ第九十九條ノ三乃至第九十九條ノ六ノ規定ヲ準用スルノデアリマスガ、之ハ第二百三十四條ニ矢張リ準用ニナツテ居リマス、夫レヲ直接ニ訴ノ所ニ置キマス、訴ノ提起及ビロ頭辯論ノ期日ヲ公吿スル規定デアリマシテ、之モ準用スル方ガ相當デアロウト認メマシテ、併セテ準用致シマシタ次第デアリマス、此條ガ御決定ニナリマセヌト、從テ第二百三十四條ノ方モ變ツテ參ルヨウニナルノデアリマス
(異議ナシト呼ブモノアリ)
○會長(岡部長職君)
別ニ御發議ハアリマセヌカ、然ラバ之ハ異議ナイモノト認メマス、デハ次、、、、
書記朗讀
第二百三十四條中「乃至第九十九條ノ六」ヲ削リ「第百七十條」ノ下ニ「第百七十一條」ヲ加ヘ「第百七十八條」ヲ「第百七十九條」ニ改ム
○四番(齋藤十一郞君)
第二百三十四條中ノ修正デ御座イマスガ、乃至第九十九條ノ六ヲ削ルト云フノハ、前條ノ決議ニナリマシタ結果、此條カラ削ルコトニナルノデアリマス、夫カラ第百七十一條ト、第百七十九條ノ二ケ條ヲバ新ニ準用條文トシテ、第二百三十四條中ニ加ヘマシタノデアリマス、第百七十一條ノ規定ハ、御覽ノ通リ定款及ビ總會ノ決議錄、株主名簿、社債原簿ヲ備ヘ置クコトヲ要スト云フ規定デ、之ハ現行法ニ於テハ準用ノナイ規定デアリマスガ、精算會社ニ置キマシテモ、精算人ハ矢張リ、斯ウ云フ義務ヲ負フ必要ガアルノデアリマス、之ハ實ハ現行法ニナイタメニ、舊ノ案ニハ書テナイノデアリマスガ、ドウモ必要デアルコトヲ認メマシテ、新ニ加ヘマシタ、第百七十一條ノ方ハ取締役ノ報酬ニ關スル規定デアリマス、之モ現行法ノ精算人ニ準用シテハ御座イマセヌガ、株主總會ノ決議ヲ以テ、定ムルト云フ規定ヲ準用スル必要ガアルト思フ、之モ加ヘテ序ニ申上テ置キマスガ、精算人ヲ裁判所ガ選任シタ場合ニ於テハ、其報酬ノコトハ、非訟事件手續法ニアリマスカラ、從テ準用セラレマス方ガ、裁判所ガ選任セザル方ニ準用スルコトニナルノデアリマス、非訟事件手續法ニ出テ居ル問題デアリマスカラ念ノ爲メニ申上テ置キマス
○十九番(田部芳君)
裁判所ガ選任致シマシタ精算人ノ報酬、假令バ合名會社ノ總社員ガ選任シタトキニハ、ドウ云フコトニナリマ'スカ、夫モ規定ヲ置クモノデスカ、總社員ノ選任シタ、假令ハ其報酬ハ如何
○四番(齋藤十一郞君)
合名會社ノ場合ノコトハ非訟事件手續法ニアツテ、今度ノ方ニハ入レテアリマセヌ
○十九番(田部芳君)
定ツタ案モアリマセヌガ、權衡上、株式會社ノ精算人ニ就テ、精算人ノ規定ヲ置タナラバ、他ノ會社ニモ、精算人ノ報酬ヲ決メル方ガ、至當デハナイカト思イマス、其蠱ニシテ置ク御考デスカ、
○二番(岡野敬次郞君)
合名會社ニ就テ、社員ガ選任シタル精算人ニ報酬ヲ與ヘル場合ニハ、社員ノ過半數ヲ以テ、其報酬ヲ定ムルトカ、或ハ社員ノ一致ヲ以テ、其報酬ヲ定メルトカヲ入レルトシタナラバ、私ハ强チ反對セナケレパナラヌト云フ理由ハアリマセヌガ、合名會社ニ特ニ精算人ノ報酬ヲ定款ニ決メテ置クト云フ、必要ハ認メマセヌ
(異議ナシト呼ブモノアリ)
○會長(岡部長職君)
別ニ他ニ御發議ハアリマセヌカ、然ラバ可決ト認メマス、次ノ第二百五十九條中カラ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
第二百五十九條中カラ第五章マデ、此案ノ終リマデ凡テ整理デ御座イマスガ、、、、
「結構デスナト呼ブモノアリ(笑聲起ル)」
併シ若シ質問等ガ御座イマシタナラバ、、、、
凡テ此案ノ方ハ整理ダケデアリマスカラ、、、、
○會長(岡部長職君)
第五章ノ前迄ハ、別ニ討議ニカケル必要ハナイデセウ
○二番(岡野敬次郞君)
玆ニ修正意見ヲ提出スルノハ、無理トハ思イマスガ、修正案ニ就キマシテハ御承知ノ通リ、手形ノ謄本ノ寫シト云フノヲ、謄本ノ謄本トシテ、居ツタノハ、寫本ト云フコトニ改ムルコトニナリマスノデアリマシタ、所ガ玆 二ツノ問題ハ、現行法ノ第四百八十四條デス、第二項ニコ部ノ支拂アリタルトキハ所持人ハ其旨ヲ爲替手形ニ記載シ且其謄本ヲ作リ署名ノ後之ヲ交付スルコトヲ要ス」ト云フコトヲ第四百八十四條ノ二項ガ規定シテアリマス、此謄本ナルモノハ、先ノ五百十八條以下ノ謄本トハ違フノデ、之ハ矢張リ寫スト云フコトニナル譯デアリマス、夫レデ若シ寫本ト云フ文字ガ、宜シイナレバ、第四百八十四條ノ第二項ノ謄本モ又均シク、寫本トシタ方ガ、當然デアロウト思フ、之ハ先刻松波君ガ退席セラルルニ就テ其御注意ガアツタノデアリマス、至極適當ナル御注意デ、我々ガ之ヲ發見シ得ナカツタノハ、不注意デアリマシタ、第四百八十四條ノ第二項ノ謄本ヲ寫本ト云フコトニ改ムルト云フコトニ、御同意ヲ願フノデアリマス
(異議ナシト呼ブモノアリ)
○會長(岡部長職君)
二番ノ發議ノ通リデ宜シウ御座イマスカ、夫レデハ第五章ノ海難救助ノトコロニ移リマス
書記朗讀
第五章海難救助、第六百五十二條ノ十二中「引渡シタル後ハ」ノ下ニ「其積荷ニ付キ」ヲ加フ
○四番(齋藤十一郞君)
唯今朗讀ニナツタ案ニ就キ町、シテハ、別段說明ハ要スマイト思イマス、此前討議ガアッタ結果デ、御座イマスカラ、特ニ申上ゲマセヌ、唯其六百五十二條ノ十ヲ設ケマシタ理由ハ前回ノ會議ノ時ニ、平沼委員カラ說明ガアツタヨウニ記憶シテ居リマス、之ハ結局管海官廳ノ處分ニ凡テ一任スルト云フ主義ヲ採リマシテ、管海官廳ガ分配案ヲ作ル方ガ、實際ニ便宜デアルト思イマス、アトハ此前議了ニナツタ㸃ヲ補イマシタコトヤ、條ヲ分チマシタコトデアリマス
○會長(岡部長職君)
此追加案ノ第三十號ハ全部議題トナツテ居リマスカ
(五十二條ノ九マデハ、議題ガナイノデセウト呼ブモノアリ)
○二十一番(長谷川喬君)
第六百五十二條ノ十ノ管海官廳ト云フコトハ、ドノ管海 官廳デモ構ハヌノデスカ
○四番(齋藤十一郞君)
之ハ海員ガ請求致シマス所ノ管海官廳デアリマス、海員ガ請求ヲ爲シ得ル所ナラ、何處デモ宜シウ御座イマス
○二十一番(長谷川喬君)
爲シ得ルト云フノハ、前ノ六百五十二條ノ申立ヲナス最初ノ管海官廳デアルカ、爲スコトヲ得ルト云フト、廣ク云フト何處ノ官廳デモ構ハヌノデスカ
○四番(齋藤十一郞君)
結局ソウナロウト思イマス、航海ヲ終ルマデニ、分配案ヲ作ルノデアリマス、航海ヲ終ツテモ、分配案ヲ作ラナケレバ、海員ガ請求スルコトナルノデアリマス、何レ之ハ管海官廳カラノ提出モ御座イマセウシ、種々主務省ニ於テ細則モ作ルデアロウト思イマス、、、、
○十六番(石渡敏一君)
第六百五十二條ノ、八モ九モ、十モ、會議ニカ丶ツテ居ルノテアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
ミンナデス
○十六番(石渡敏一君)
異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得ル最初ノ管海官廳ト云フコトニ、シナカツタ場合ニハ、申立ノ權利ヲ失フト云フ見込デアルノデスカ
○四番(齋藤十一郞君)
其意味デス、失權ノ効力ヲ來タス意味デス
○十六番(石渡敏一君)
六百五十二條ノ十モ、矢張リ、ソウ云フ風ニナルノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
ソウデハアリマセヌ、六百五十二條ノ十ノ方ハ海員ノ請求ニハ制限ハナイノデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
六百五十二條ノ九ノ方ハ分配案ガ出來テ、ソウシテ此分配案ニ對スル異議ヲ述ブル機會ヲ海員ニ與ヘタモノデアリマス、其機會ヲ逸シテ異議ノ申立ヲシナカツタナラバ、船長ノ作ツタモノデ、分配セラレルノデス、六百五十二條ノ十ノ方ハ、作ラナイカラ、作ツテ吳レロト云フ請求ヲ爲スノデアツテ、前ノトハ意味ガ違フノデアリマス
○十六番(石渡敏一君)
六百五十二條ノ十ノ方ハ管海官廳ハ何處デモ宜イト云フノデハナイノデスカ
○四番(齋藤十一郞君)
結局何處デモ宜イノデス、海員ガ請求ノ出來ル場所ニ行ツテ、請求スルト云フ意味デアリマス
○會長(岡部長職君)
追加ニハ他ニ御發議ハアリマセヌカ、然ラバ可決ト認メマス、追加第三十一號ノ方ニ移リマス、三十一號全部ヲ問題ニシマス
○四番(齋藤十一郞君)
本日御決定ニナリマシタ、第百六十三條ノ三ト云フモノム規定ヲ、創立總會ノ決議無效ノ訴ニ準用スル規定トナツタ結果、之カラ次ノ條ハ會社合併ノ場合ニモ株式ヲ併合セザル場合ニ於テモ、質權ニ於テモ、此規定ヲ準用スル如クナリマシタ結果、之ニ就テ施行規定ヲ要スルコトニナツテ、第三十八條ヲ削ルノハ申上ルマデモナク、分配案ノ作製ヲ本法ニヨツテ、削除シタ譯デアリマス、曩ノ施行規定ノ趣意トシテハ御規定ニナリマシタ附則デ、認メラレテ居ル主義トハ異ツテ居リマセヌ
○會長(岡部長職君)
別ニ御意見ハナイデスカ、然ラバ三十一號ハ全部異議ナイモノト認メマス、從テ議案ハ結了シマシタガ、何カ起草委員カラ報吿スルコトハアリマセヌカ
○四番(齋藤十一郞君)
商法中改正法律案ノ修正ノ非訟事件手續法ノ改正案デ御座イマスガ、此案ハ一應起草會ヲ終リマシタノデアリマスガ、尙實際上ノ取扱振ニ就キマシテ、唯今頻リト調査中デアリマスカラ、尙ニ一回起草會ヲ開キマスナレバ、大槪決スルデアロウト思イマス、遠カラザル内ニ議案トシテ御廻シスルコトニ致シマス、其コトダケヲ報吿致シマス
○會長(岡部長職君)
本日ハ之ニテ散會
午後五時二十分閉會