商法(~1951年)

第二次法律取調委員会 商法中改正法律案 議事速記録 第24回

参考原資料

備考

  • 未校正のテキストデータです.
法律取調委員會(商法中改正法律案附則ノ部)第二十四回議事速記錄
出席委員缺席委員
○議長(子爵岡部長職君)
是ヨリ開會致シマス、前回ノ引續キデ第三條ヨリ議シマス、第三條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
改正法ノ施行前ニ於キマシテ、會社ノ間ニ合併ノ決議ガゴザイマシタ場合ニハ、其決議ノ實行方法ニ付キマシテハ、前回ニ決議ニナリマシタ第二條ノ規定ニ依リマシテ改正案ノ第四十四條ノ三第二項及第三項ノ規定ノ適用ガアルコトニ相成ルノデアラウト思ヒマス、併ナガラ申上ゲルマデモナク現行法ニ於キマシテハ、會社ノ合併ノ決議ヲ實行致スニ付キマシテ、現行法ノ規定ノ範圍内ニ於テ之ヲ實行ヲ致スコトニ相成ルノデゴザイマシテ、設立行爲ヲナスベキ所謂被選任者ト申シマスカ、四十四條ノ三ノ第二項ノ此者共ガ共同シテ行爲ヲナスト云フコトハ現行ニナイノデアリマスカラ、其制度ノゴザイマセヌ現行法ノ下ニ於テソレゾレ計畵ヲ立テマシテ、合併ノ實行ヲ致スト云フ趣意デ合併ノ決議ヲ致スノデアリマスカラ、成ルベクハ合併決議ノ實行ノ計盡前カラノ計謹ノ趣旨ニ依ラシムルノガ至當デアル、併ナガラ又實行行爲ヲナスベキ者ヲ選任シテ、其行爲ヲナサシムル方ガ適當デアルト現ハス場合モアルカモ知レヌノデアリマスカラ、其場合ニハ是ニ依ルコトヲ得セシメマシテ原則ヲ變ヘルコトニナリマシテ、何方ニ致シテモ實行者ノ適當ト認メル方法ヲ執ルコトノ出來ル趣意ニ致ス方ガ宜カラウ、斯ウ云フ趣意カラ致シマシテ四十四條ノ三ノ二項三項ハ必ズシモ是ニ依ルコトハ要ラナイ、舊法ニ依ツテモ宜シイ、又新法ニ依ツテモ宜シイト云フ主義ヲ認メマシタ次第デアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
如何デス、質問或ハ御意見ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(子爵岡部長職君)
別ニ御發議ガゴザイマセヌケレバ是ハ御異議ガナイモノト認メテ第四條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
改正案ノ九十一條ノ二ノ規定ハ、附則ノ第二條ノ本文ニ依リマシテ改正案ノ施行前ニ會社ノ解散ガアリマシテ、淸算ガ始リマシタ場合ニモ適用ニナル規定ト相成ルノデアリマス、總テ其㸃ノ經過ノ問題ニ關シマシテハ別段ニ規定ハ必要デナイト存ジマスガ、現行法ノ解釋ニ於キマシテ、會社ノ淸算ガ結了致シマシテ、其淸算結了ノ登記ヲ致シマシタ後ニ於キマシテモ、尙ホ會社ノ債務}ヲ辨濟スル場合モアルコトヲ朝隱メ得ルノデアリマス、左樣ナ場合ニハ卽チマダ返濟期ニ至ラナイ債權等ノ全額ヲ供託ヲ致シマシテ、而シテ淸算ヲ結了スル方法ニ相成ルノデアラウト思ヒマス、然ルニ九十一條ノ二ノ規定ハ左樣ナ場合ニモ尙ホ適用アルモノトスルノガ相當デアルカドウデアルカト云フ問題ニ到達致スノデゴザイマスガ、此案ニ依リマシテハ左樣ナ場合ニハ適用外ト云フコトニ致シマシタノデアリマス、詰リ淸算結了致サナイ中ニ限ツテ適用ノアル主義ヲ執リマシタ次第デアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
別ニ御發議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○二十一番(花井卓藏君)
規定ノ趣旨ハ分ツテ居リマスガ、經過法トシテ第四條ハ規定ノ必要ガアルノデアリマスカ、ドウ云フ場合ニ此適用ヲ爲シ得ルカ、本法施行前ニ淸算結了後ニ登記ヲ爲シ得ルカ、新法ノ適用ヲシナイト云フ趣旨デアリマスカ、經過法トシテ其關係ガドウ云フ場合デアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
御答致シ々スガ、附則ノ第二條ノ本文ニ於キマシテハ、本法ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ其施行前ニ生ジタル事項ニモ亦之ヲ適用スト云フ原則ヲ置キマシタ結果此規定ガゴザイマセヌケレバ、先程申シマシタ事例ノ場合ニモ適用サルル虞ガアルノデ、ソレ故ニ本條ガ必要ニナツテ參ルノデアリマス
○二十一番(花井卓藏君)
私ハ前回ニ缺席致シマシテニ條ノコトヲ能ク承リマセヌガ、唯今ノ御說明ニ卽チ但書ヲ見ズシテノ御說明デアリマスカ、但書ノ意義ハドウ云フノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
此但書ノ意義ニ付キマシテハ、前回ニ於テ十分御質問答辯モアリマシタコトデアリマスガ、葉繭リ本文ダケノ
○二十一番(花井卓藏君)
意義ト云ツテモ講釋ヲ聞クノデナイ、斯ウ云フコトデ宜シウゴザイマス、但書ト第四條トハ沒交涉デアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
但書ノ規定ガゴザイマシテモ、是ハ先程述ベマシタ事例ニ當嵌メテ見マスト、供託ノ効力ハアルデアリマセウガ、其返濟期ニ至ラナイ債務ヲ返濟スルト云フ規定ノ適用ヲ拒絕スルトコロノ、卽チ辨濟シナイ、辨濟期ガ至ル迄〈返濟セヌ、サウ云フ効力ヲ妨ゲナイト云フ意味デアラウト思ヒマス、アナタノ御言葉ニ依リマスト卽チ沒交涉ノ規定デアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
他ニ御發議ガアリマセヌカラ、第五條ニ移リマセウ
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ノ規定ハ會社ノ設立無效ノ訴ニ付イテノ規定デアリマスガ、改正案ノ施行前ニ於キマシテモ合名會社ノ設立無效ノ訴ヲ認メナイ方ノ主義デハゴザイマセヌノデ、其訴ハ認メラレテ居ルト思フノデアリマス、ソレ故ニ本法施行前ニ於キマシデ設立無效ノ訴ヲ提起致シマス場合ニ、其訴ヲドウ始末スルカト云フコトニ付キマシテ玆ニ書テゴザイマス是等ノ箇條ヲ適用スル方ガ相當デアルト云フ趣意デアリマス、但本法施行前ニ提起シタ訴ニ付イテノ判決ガ、既ニ本法施行前ニ確定致シマシタナラバ、ソレハ其處マデ新法ヲ適用スルノハ不適當デアル、卽チ確定當時ノ法律ニ依ツテ後ノ始末ヲ付ケル方ガ相當デアル、斯樣ナ趣意デ規定致シマシタ箇條デアリマス、、、、
○十七番(小山溫君)
チヨツト質問致シタイデスガ、現行商法ノ無效ノ訴ハ專屬管轄デナイカト思ヒマスガ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
唯今ノ御質問ハ結局民事訴訟法ノ第十四條冖第二項ノ裁判籍ガドウナルカ、蓴屬デアルカナイカト云フコトニ歸着シヤウト思ヒマスガ、此十四條ノ第二項ノ趣意ヲ以チマシテ、專屬裁判籍デアルト云フ考ヲ致ス人モアルノデアリマス、併ナガラ此案ニ於テハ此㸃ハ暫ク決セズニアリマシテモ、第十四條ノ第二項ニ依リマスルト矢張其一箇處ニ定ムル結果ニ相成ラウト思フノデアリマス、ソレデ二ツノ裁判所ニ跨リマシテ訴訟ノ繼續シテ居ルト云フコトハアリ得ナイコトデアラウト考ヘマス、結局其㸃ニ付イテノ規定ハ不必要ナモノト思フテ居ルノデアリマス
○十七番(小山溫君)
民事訴訟法ノ第十四條ノ二項ノ規定ガ專屬管轄デアルト云フ御解釋ナラバ宜シウゴザイマスガ、商法改正案ニ於キマシテ殊ニ專屬管轄ヲ定メテ居リマス以上ハ、民事訴訟法ハ專屬管轄デナイト解釋スルヤウニナルダラウト思ヒマス、ソレニ依リマスルト二ツ以上ニ跨ガル所ガアリ得ルト思ヒマスガ、能ク承リマセヌコトデゴザイマスガ、ドウシテ二ツ以上ニ跨ガラナイト云フノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
唯今ノ御尋ハ詰リ第十四條ノ第二項ニ依ラズシテ、外ノ規定ニ依ツテ裁判管轄權ガ或ル場合ニ在ルデハナイカ、斯ウ云フ御尋ト思ヒマスガ、實際ハ十四條ノ第二項ニ依ツテ訴ヲ起スコトニナルデアラウト思ヒマス、或ハ合意管轄ノ問題ガ生ジ得ルカ知リマセヌガ、恐クハ斯ヤウナ場合ニハ其問題ハ生ズマイト思ヒマス、唯其以外ノドノ條ニ當ルカ、當ルベキ條ガナイノデハナイカドウカト思ハレマス、此十四條ノ第二項ダケニ依ルト致シマスルト、文字コソ專屬ト云フ字ガ使ツテナイノデアリマスケレドモ、實際ハ矢張專屬ト同ジ結果ニナリマス
○議長(子爵岡部長職君)
別ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(子爵岡部長職君)
御異議ガナケレバ次ニ第六條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ別段說明ハ要シマイト思ヒマスガ、唯此文例ハ商法施行法ノ九十一條ノ文例ニ倣ヒマシタト云フ㸃ダケヲ申上ゲマス
○議長(子爵岡部長職君)
是モ御異議ガナイト見テ七條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ハ株式會社ノ設立ニ關スル規定デアリマスガ、改正案ノ施行前ニ株式會社ノ定款ヲ作リマシタ場合ニ於キマシテモ、其定款ノ効力ハ依然トシテ定款トシテ存スルコトニナルノデゴザイマスルガ、矢張第二條ノ規定カラ致シマシテ特別ノ規定ガゴザイマセヌケレバ、本法改正案施行ノ日カラ改正案ノ趣意ノ規定ヲ適用スルコトトナルノデアリマス、左樣相成リマシテハ隨分實際ニ於テ不都合ノ結果ヲ生ズルデアラウト思フノデアリマス、株式會社ヲ設立致シマスル場合ニ於テ、事實ニ於テ或ハ多數ノ株式ヲ引受ケルコトガ出來マシテ、サウシテ左樣ナモノト發起人トノ間ニ交涉ノ結果略ボ見込ヲ立テ、大體ニ付イテ纏メマシテ設立行爲ニ着手スル場合ガ隨分多カラウト思フノデス、ソレデ左樣ナ事實ノゴザイマス以上ハ本法施行前ノ法律デ定款ヲ作リ、サウシテ會社ノ設立ヲ企テヤウト云フ場合ニハ成ルベク從前ノ規定ニ據ラシムル方ガ相當デアル、實際ノ關係ニ於テ不都合ナ結果ヲ生ゼシメナイデ濟ムノデアリマスカラ、其場合ニハ從前ノ規定ヲ適用スル、但百二十六條ノ二デアリマスガ、是ハ通知債權ノ規定デアリマス、百四十二條ノ二乃至百四十二條ノ四、之ハ發起人ノ責任等ノ規定デゴザイマス、是等ノ規定ハ現行法ノ不備不利益ナル㸃ヲ補ヒマシタ規定デゴザイマスカラ、之ヲ適用サセルコトハ實際ニ於テ必要デアル、且ツ利益デアルト思ヒマシテ是ハ適用セシムル、又ハ定款ニ此取締役ガ有スベキ株式ノ數ト云フ事項ヲ記載スルコトガ要件トナツテ居リマス、其要件ヲ滿シマセヌ場合ニハ株主總會ヲ開イテ補足ヲシナケレバナラヌ規定ガアリマス、然ルニ今度ノ改正案ニ於テハ取締役ハ株主カラ選擧スルコトヲ必要トセナク相成リマシタ結果、其要件ヲ必要トセナイコトニナリマシタ、サウ致シテ見マスルト此法ニ依ツテ設立スル場合デモ必ズシモ定款ヲ補足スル必要ガナイ、唯取締役ヲ選擧スル場合ニ株式引受人又ハ株主デナイ者カラ選擧スルノデ足リルノデアル、斯ウ云フ趣意ノ但書ヲ加ヘタノデアリマス、結局ハ定款作成ガ施行前デアリマスレバ、施行前ノ規定ニ據ラシムルノデアルケレドモ、實際上ノ便宜ノ規定、實際上缺ケテ居ル規定デアツテ適用ハ相當デアルトシマシテ新法ノ規定ヲ適用セシムル、斯ウ云フ趣意ノ規定デアリマス
○三十五番(松波仁一郞君)
此定款ヲ本法ノ施行及現行法ノ施行卽チ兩方ノ施行ノ界ハ發起人ガ定款ヲ作ルト云フ一事ヲ以テ境界トシテアルヤウデアリマスガ、其理由ハ定款ヲ作ルニ付イテモ唯文字ヲ書クダケデナイ、イロイロ其他ノ者トモ相談ヲシテヤツテ或ル所マデ進ムデ居リマシテ、ソレニ直グニ本法ヲ適用スルト云フノハ酷イカラ、ソレニハ從前ノ規定ヲ適用スル、斯ウ云フコトニシテ彼等ノ便宜ヲ圖ツテヤツタ、斯ウ云フコトデ其御趣意ハ能ク分リマシタガ、固ヨリ實際ニイロイロノコトヲ考ヘテ居リマセウガ、併シ矢張此法律ガ出來タ以上ハ定款ヲ作ツテ居ルカ否ヤニ抅ラズ、初カラスツカリ斯ウ云フコトニ付イテハ本法ヲ悉ク適用シタラバ宜カラウ、唯定款ヲ作ルト云フ一事ガ施行前ニアツタガタメニ、舊法ヲ適用スルト云フノハ幾分カ姑息デハナイカ、便宜ヲ圖ルト云フ㸃ハ尤モデアルケレドモ、寧ロ斯ウ云フ良法ガ出タノデアルカラ、此法律ニ悉ク從ハシタラバ宜カラウ、斯ウ云フ考ガアリマスノト、ソレカラ第二項ニ「前項ノ規定ハ云々適用ヲ妨ケス」トアツテ、發起人ノ連幣責任或ハ任務ヲ怠ツタトキノ責任トカ、成立セザル場合ノ責任ト云フテ非常ニ發起人ノ責任ノ重イコトニ付イテハ、必ズ定款ヲ作ツタ如何ニ抅ラズ本法ヲ適用スルト云ツテ餘程時勢ニ應ズルヤウニシテアリマス、既ニ發起人ノ餘程責任ノ重イ㸃ハ定款ノ制限如何ニ抅ラズ本法ヲ適用スルト云フコトニナツテ居レバ、彼等ノ責任ノナイ者バ――輕イ者ハ卽チ發起人間ノ關係、主トシテ定款ヲ作ルノデアリマスカラ、發起人間ノ關係デアラウト思ヒマスガ、サウ云フ場合ニ寧ロ總テ本法ヲ適用シタラ宜カラウ、デ私ノ今申上ゲマシタノハ第七條ノ本文ガアッテ定款ヲ作ル時期ヲ以テ本法ヲ適用スルヤ否ヤヲ決シ、施行前ニ作ツテ置ケバ最早本法ヲ適用シナイト云ヒ、而シテ第二項ニ於テ併シ斯ウ云フ事柄ニ付イテハ矢張定款ヲ作ツテ、何デモ本法ヲ適用スルト云ツテ居ルノデアルガ、寧ロ總テノ場合ニ本法ヲ適用スルト云フコトニシテ卽チ第二項ノ諏菩心ヲ第一項ハニ及ボシ、隨ツテ本條ヲ無クシテ仕舞ツタラ總テ本法ガ適用サルルコトニナルデアラウ、幾分カ姑息ノヤウニ思ヒマス、殊ニ是ハ先刻カラ起草委員ノ御說明デ定款ヲ作ルト云フトキニハイロイロノコトガアツタラウト云フ御斟酌ガアルケレドモ、サウ云ブイロイロノコトヲ見ズシテ先ヅ一度彼等ニ相談ヲサセテ、矢張本法通リヤレト云フ方ガ會社法ヲ改メテ、新ナ時勢ニ應ズルト云フ趣意ニ適フヤウニ思ヒマス、チヨツト意見ヲ述ベマス
○二番(岡野敬次郞君)
唯今ノ三十五番ノ御說ハ一應御尤デアリマシテ、吾々モ相談致シタノデアリマスガ、格別此株式會社設立ノ部ニ於テ、大ナル修正ハ先ヅナイト云ッテ宜イ、大ナル修正ト見ルベキハ第百四十二條ノ二カラ百四十二條ノ四マデノ規定、是ガ主ナル問題デアリマス、併ナガラ此株式ナドノ金額ハ五十圓ヲ下ルコトヲ得ズ、但シ一時ニ株金ノ全額ヲ拂込ムベキ場合ニ限リ之ヲ二十圓マデニ下スコトヲ得ト云フノガ現行法ニアルノハ御承知ノ通リデアリマス、會社ヲ設立スル場合ニ株式ノ金額ヲ五十圓ニスルカ或ハ二十圓ニスルカト云フコトニ付イテハ、私共會社經營ノ任ニ當ツタコトガアリマセヌケレドモ、矢張定款ノ一ノ大ナル要件デアラウト思ヒマス、ソレデ株式ノ金額ヲ二十圓トスルト云フコトデ計畵ヲ定メテ、ソレニ依ッテ定款ヲ作ツタト云フ場合ニ新法ヲ全然適用スルト云フコトニナレバ、詰リ其定款ノ作成ヲ新法ニ合セルト云フバカリデナクシテ、塾岨リ計畵ノ全部ガ倒レルコトニナルデアラウト思ヒマス、二十圓ト云フ豫算デ詰リ株主ノ株ノ應募者モ大槪定ツテ居ル、之ヲ五十圓トスルコトニナレバ全然遣リ變ヘネバナラヌ結果ニナリマス、併ナガラ理窟カラ言ヘバ定款ノ作成ヲセヌデモ、ズット會社ノ計畵ハ立ツテ居ルノデアルカラ、定款ノ作成ト云フ事實ニ於テ舊法ノ適用ヲ許スナラバモツト以前ニ遡ツテモ舊法ニ據ラシムルコトヲ得セシメネバ工合ガ惡イト云フ、斯ウ云フ御論ガ確ニアラウト思ヒマス、其㸃カラ言ヘバ此七條ハ完全無缺デアルト思ハヌノデアリマスケレドモ、何レカ何處カ界ヲ付ケネバナラヌノデアリマスカラ、ソレデ丁度株式會社ニ關スル發起人達デ定款ヲ作成スルト云フコトガ法律ノ上ニ現ハレテ來ル確定ノ事實デアルカラ、此㸃ガ先ヅ適當デアルト云フノデ、定款ノ作成ト云フコトニ限リヲ付ケタ譯デアリマス、ソレカラ百四十二條ノ二カラ百四十二條ノ四マデノ規定ヲ適用スルノハ卽チ新法ヲ適用スルモノデアルカラ、是ト同ジヤウニ全然矢張新法ニ據ラシムル方ニナツタ方ガ宜イデハナイカ、權衡ノ御議論モアツタヤウデアリマスケレドモ、是等ハ私共ト趣意ガ違ウデアラウト思ヒマス、百四十二條ノ二ハ任務ヲ怠ツタト云フコトノアツタトキニ損害賠償ノ責ニ任ズルト云フコトヲ定メ、ソレカラ愈々會社ノ設立ヲ進行セシメテ、而シテ眞ニ成立シナカッタト云フコトノ最後ノ場合デアリマス、ソレカラ取締役監査役モ矢張任務ヲ怠ッタト云フトキニ、損害賠償ノ責ニ任ズルト云フノデアルカラ、是等ハ無論適用セネバナラヌノデアツテ、而モ定款ノ作成以後ニ起ルコトデアルノデアル、故ニ定款ノ作成前二百四十二條ノ二カラ百四十二條ノ四ト云フモノガドウシタッテ起リ得ナイ、ソレデ此定款ノ作成ヲ新舊ニ法適用ノ界ニシテ、サウシテ尙ホ舊法ヲ適用スル場合ト雖モ、百四十二條ノ二カラ適用スルトシテモ、一向主義ノ合ハヌコトハナイト思ヒマス、併ナガラ新ニ加ヘラレタ箇條ハ多ク適用スルノニ單リ定款ノ作成ト云フコトヲ時期ニスルノハイカヌデハナイカト云フ御議論ハ一應御尤デアリマスケレドモ、吾々ガ定款作成ト云フコトヲ一ノ時期ニ撰ンダノハサウ云フ譯デアリマス、而シテ更ニ進ンデ申セバ松波君ノ御說ニ依ルト、ドウ云フ所マデ進ムカ知リマセヌガ、例ヘバ株式ノ申込書ニハ百二十六條ノ二、一定ノ時期マデニ會社ガ設立セザルトキハ、株式ノ申込ヲ取消スコトヲ得ベキコトト云フコトヲ加ヘタノデアリマス、現行法ハ之ヲ必要トシテ居ラナイ、株式ノ申込書ヲ作ツテ應募者ガ確定シテシマッタト云フ時期マデニ株式ノ申込書カラ變ヘナイト全然水泡ニ歸スル譯ニナルノデアリマス、ソレハ餘リニ進ミ過ギタ話デアリマスカラ、ドウモ會社ノ成立ヲ來スマデハ縱令如何ナル所マデ進行シテ居ツテモ、皆遣リ返ヘサセルト云フコトハドウモ無理デハナイカ知ラヌト思ヒマス、何處デ界ヲ付ケネバナラヌ、其界ヲ付ケルニ付イテハ吾々ノ考ヘルトコロデハ定款ノ作成ト云フノガ宜イデアルマイカト云フ趣意カラ斯ノ如ク定メタ譯デアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
本條ニ付イテ他ニ御發議ハアリマセヌカ、――然ラバ第八條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ハ改正案ノ第百四十五條第二項ノ規定ニ依リマシテ株式ノ金額ハ五十圓ヲ下ルコトヲ得ズト云フコトニ致シマシタ結果、此規定ガ本法施行前ニ設立セラレタル會社ノ株式ノ金額ニマデ適用セラルルコトニナルノデアリマス、卽ち第二條ノ規定ニ依リマシテ左樣ニ相成ルノデアリマス、是ハ左樣ニ致シマスルコトハ甚ダ酷イコトハ申上ゲルマデモナイト思フノデアリマ界、ソレカラ又ハ發起人ハ定款ヲ作リタル場合ニ於テハ云々、此場合ハ先程岡野委員カラシテ御述ベニナリマシタ趣意デ御了解ニ相成ッタコトト思ヒマスカラ私ハ略シマス、兎ニ角薔法ニ依リマシテ定メラレタル株式ノ金額ト云フモノハ新法施行ノタメニ之ヲ變更セナイト云フ趣意ヲ執リマシタノデアリマス、定款ニ定ムル所ニ依ルコトヲ得、卽チ蕾法ニ依ツテ――奮法ノ規定ニ從ツテ定款ガ金額ヲ定メテアリマスルナラバ其定款ノ規定ヲ効力ヲ持タシムル――引續イテ効力ヲ持タシムル趣意デアリマス、ソレカラ唯末段ノ方ハ新株發行ノ場合デアリマスガ、是ハ或ハ理窟カラ申セバ新株ハ五十圓ヲ下ルコトヲ得ズト云フコトニ相成ルノデゴザイマセウガ、併ナガラサウ致シマスルト申上ゲルマデモナク株式ノ金額ハ均一ナルコトヲ要スト云フ規定ニ反シマスカラシテ、新法施行後ニ新株ヲ發行シマスル場合ニモ薔法ニ依ツテ認メラレテアリマス株金額、ソレヲ襲フコトガ出來ル、第二項ノ規定ハ本法施行後ニ株式ノ金額ヲ變更スル場合、卽チ舊法ノ時代ニ二十圓ト致シテアリマシタノヲ今度ハ三十圓トスルト云フコトガ出來ナイ、詰リ第一項ノ規定ハ既存會社ノ株式ノ金額ト云フモノヲ尊重スル、申サバ一時的ノ規定デアリマスルカラシテ其株式ノ金額ヲ變更スル場合ニハ必ズ新法ニ從ツテ五十圓ヲ下ツテハナラヌ宀斯ウ云フ原則ニ變ヘルノガ當然デアラウト思ヒマス、而シテ此主義ハ商法施行法ノ五十五條ニ於キマシテ認メラレテアル主義デゴザイマシテ、其通リニ規定致シタノデアリマス
○十七番(小山溫君)
チヨツト伺ヒタイノデスガ、此二項デアリマス、二項ハナクテモ當然サウ云フコトニナリハセヌカ、金一額ヲ變更スルト申シマスト今迄卽チ此改正法施行前ニ二十圓デアツタノヲ施行後ニ三十圓トスル、或ハ五十圓デアツタノヲ二十圓ニスルトカ云フコトハ、一方ニ於キマシタトコロガ何ガナイ、ドウ云フ性質ノモノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
第一項ニ於キマシテ本法施行前ニ設立シテアル會社、又ハ本法施行前ニ發起人ガ定款ヲ作リマシタ會社ニ於キマシテハ百四十五條第二項ノ規定ニ反スル株式ノ金額ヲ定款デ認メテ居リマシテモ、其定款ハ依然定款トシテ効力ヲ持タシメテ而シテ其金額ヲ適法ナルモノトスル、斯ウ云フコトヲ規定シテアルノデアリマスカラ、矢張舊法ノ規定ニ依ツテ其定款ヲ改正シテ舊法ノ金額ニ合フヤウニ改正スルコトモ適法デナイカト云フ最モ疑ガ起ルデアラウト思ヒマス、ソレ故ニ是ハ商法施行法ニモ例ノアル規定デアリマスカラ、此規定ガ設ケラレタノデアリマス
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(子爵岡部長職君)
他ニ御意見ガナケレバ九條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ株金拂込ノ催吿ヲ致シマシタル後ニ改正案ニ依リマシテ株主ノ失權ノ通知ヲスル場合ニハ先ヅ其旨ヲ報吿スル、ソレカラ又權利ヲ失ツタ場合ニハ其旨ヲモ報吿スルト云フ二ツノ事柄ガ附加ッタノデアリマスガ、是ハ此規定ヲ設ケマシタ趣意ガ卽チ現行法ニ依リマシテ改正案施行前ニ催吿ヲ發シマシタ其場合ニモ適用スル方ガ相當デアルト云フコトヲ認メタ結果ニ過ギナイノデアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
御發議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(子爵岡部長職君)
然ラバ第十條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此總會ノ決議無效ノ訴ニ付キマシテハ、御承知ノ通リニ現行法ハ株主ダケシカ出來ナイノデアル、而シテ其株主ハ株主デアルト云フ資格ダケデ訴ノ主體ニナル規定デゴザイマシタノヲ、改正案ニ於キマシテハ株主以外ニ取締役又監査役モ訴ガ出來ル、又株主ト雖モ或條件ノ存スル場合デナケレパ訴ガ出來ナイ、斯樣ナ趣意ニ致シタノデアリマス、ソレデ取締役又ハ監査役モ其訴ノ提起ヲ許スコトニ致シマシタ趣意ハ改正案ヲ討議致シマスル際ニ述ベタノデアリマス、ソレカラ又株主ニ或ル條件ノ下ニ訴ヲ起スコトヲ許スコトニ致シマシタ、其制限的ニ致シタ趣意モ其時ニ述ベテアルノデアリマス、デ何モ規定ガゴザイマセヌケレバ本法施行改正案施行後ニ適用セラルルベキ改正ノ規定ガ其施行後ニ適用セラルルベキコトト相成ルノデアリマスガ、併ナガラ又取締役又ハ監査役ニモ訴ヲ許スト云フ趣意、ソレカラ株主ニ付イテ訴ヲ提起スルコトヲ制限シタ趣意ハ既往ニ遡ラシメテ適用スルノガ相當デアルト認メタノデアリマス、株主ニ於キマシテハ改正案施行前ニ、私ハ無制限ト申シテハ語弊ガアルカ知リマセヌガ、何等ノ條件ノ制限ナシニ訴ノ出來タノデアリマスケレドモ、其時代ニ於テ總會ノ決議ガアリマシテ、其決議ニ對シテモ改正案ノ如キ制限ヲ加ヘルト云フノハ或ハ既得權ト云フ問題ヲ起スカモ知ツマセヌケレドモ、兎ニ角株主ノ條件ヲ制限致シマシタノハ所謂會社荒シト云フヤウナ、ア」云フ種類ノモノヲ防過スルト云フ趣意カラ出テ居ルノデアリマスカラシテ、其齡趣意ハ虹凱存ノ事嘗貝ニマデ遡ツテ適用スルハ相當ナルトコロノ趣意デアラウト思ヒマシテ、十條ノ施行規定ヲ設ケマシタ次第デアリマス
○三十五番(松波仁一郞君)
御趣意ハ能ク分リマシタ、詰リ株主ダケノ問題ニスルト如何ナル株主モ召集又ハ決議ノ違法ヲ原因トシテ無效宣吿ノ訴ヲ爲シ得ルト云フコトハ廣過ギル、故ニ殆ド無關係ナ株主モ會社荒シトナツテヤツテ來ルカラ、ソレヲ防グ爲メニ矢張本法ヲ適用スル、極ク權利ヲ直接ニ解サレタモノニ當嵌メルト云フ御趣意ニ受取リマシタガ、成程公益ニ關係ノアルコトデアルカラ、成ルベク外ノモノヲ除クト云フ御趣意ニハ贊成デアリマス、是ハ度々問題ノ起リサウナコトダト思ヒマス、ソレデチョット疑フノデアリマスガ、若シ其舊法ノ下ニ卽チ施行前ニ或ル總會ガアツテ、サウシテ召集ノ手續ガ違法デアルト云フコトデ、其場合ニハ如何ナル株主モ決議ノ目ヨリ一箇月内ニハ訴ヲ爲シ得ルト思フテ用意シテ居ル人間ガアル、或ハ會社荒シデ用意シテ居ル人モアリマセウ、又誠心誠意デ用意シテ居ル人ガアリマセウ、丁度一箇月ノ中ニヤラウト思フテ居ルト本法ガ施行ニナツタ、此十條ノタメニ其人ガ訴ヲ起スコトガ出來ナクナツタト假定スル、其場合ニ二條ニ戾ルノハ甚ダ恐縮ノ至リデアリマスガ、同ジク一箇月内ニ請求シ得ル權利ヲ得テ居ルノデアツテ、從前ノ規定ニ依ツテ卽チ奮法ト云ヒマスカ何ト云ヒマスカ、從前ノ規定ニ依テ爲シ得ルコトニナツテ居ルノデ、ソレヲ此法ノタメニ妨ゲラレナイト云フテ言フテ來タトキニ、明白ニサウデナイト云フコトガ分ルデアラウカ、恐クハ其場合ニハ起草委員ノ御方々ノ御辯解ハ大體ノコトヲ書イテアルノデ、十條ニ依ツテソレガ出來ナイコトニナルノダト云フハツキリ辯解ガ出來マセウカ、是ダケデハ既ニ生ジタモノダケハヤリ得ルノデ、無效ノ宣吿ヲ爲シ得ルト云フ趣意ハ分ル位デアルカラ生ジタル効力ハ妨ラレナイト言ヘサウニ思ヒマスカラ、十條デ防ギガ付ケバ宜シウゴザイマスガ、此文字ダケデハ足リナイヤウナ心持ガ致シマスガ、趣意ハ能ク分ツテ居リマスガ、施行後ニ訴ヲ提起スル場合、訴ノ權利ノ有無ト云フヨリモ、何トナシニ書方ガ出來ル有無ニ付イテハ所謂會社荒シナドガソレヲ根據トシテヤツテ來ハセナイカト思ツテ居リマスガ、私ノ解釋ガ間違ツテ居ルカ、若シ間違ツテ居ラナイトスルト十條ノ文字デハ少シ疑ガ起リハセナイカト云フ虞ガアリマスカラ御質問致シマス
○四番(齋藤十一郞君)
唯今御質問ノ御趣意ハ私ノ說明致シマシタ㸃ハ唯ニ條ニ規定ノアル㸃カラ、觀察ヲシテ或ハ誤ツテ居ルデハナイカト云フ結論ノミ御質問ノヤウデゴザイマスケレドモ、先程申上ゲマシタヤウニシカドウモ解釋ガ附クマイカト思ヒマス、百六十三條ノ第一項第二項ノ規定ハ私ガ申上ゲルマデモナク訴件ダケニ付イテノ規定デアリマス、此訴件ダケニ付イテノ規定ヲ適用スルト云フコトデアリマスレバ卽チ如何ナル場合ニ何程ノ訴件ガ生ズルト云フコトモ適用スルノデアッテ、理窟ハ別デアリマスガ、議論トシテハ違七ガナイコトデアラウト思ヒマス、唯其既得權ト申シマスカ、既ニ株主ニ生ジテ居ルトコロノ訴件ヲ奪フ如キ規定ニナルノガ不都合ダト斯ウ仰シヤルナラバ、ソレハ議論デアツテ別問題デアリマスガ、解釋トシテハ疑ヒノ餘地ハナカラウト思ヒマス
○三十五番(松波仁一郞君)
二條ノ二項デ生ジタ効力ヲ妨ゲナイト云フ攻擊ニ對シテ十條デ十分ニ御辯解ガ附クノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
從前ノ規定ニ依ツテ生ジタル効力ヲ妨ゲズトゴザイマス、ニ條ノ規定ハ申サバ原則デアリマシテ、第十條ノ規定ハソレニ對シマシテ或ル意味ニ於テ例外トナルデアラウト思フノテアリマス
○三十五番(松波仁一郞君)
私モサウ解シテ居ッタガ、少シ世間デ讀ミ惡イダラウト思ヒマス
○二番(岡野敬次郞君)
第百六十三條ノ二項ダケヲ讀メバ株主ガ斯々ノ場合デナケレバ決議無效ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ナイノデアル、斯ウ云フコトヲ規定シテアル、ソコデ之ヲ是カラシテ新法施行前ニ生ジタ、サウシテ新法施行後ニ始メテ訴ヲ提起スルト云フ場合ガアルカラ、ソコデ第百六十三條ノ二項ヲ適用スルト言ッタナラバ、ドウシテモ決議ニ對シテ異議ヲ言ヒ、正當ノ理由ナクシテ總會ニ出席スルコトヲ拒マレ、又出席セザル事項ニ對シテ總會召集ノ手續ガ法令又ハ定款ニ違反スルト云フコトガナイ限リハ外ニ讀、ミヤウガナイ、ニ條ノ原則ニ依ルハ百六十三條ノ二項ヲ適用スルト云フコトノ意味ガソレヨリ外ニハ解シヤウガナカラウト思ヒマス、私共ハ解シヤウガナイト思ヒマスガ、疑ヒノアルト云フノハ何處ニアルノデアリマスカ、百六十三條ノ二項ヲ適用スルゾト云フコトヲ言フテ置イテアルノニ、此二項ニ抅ラズ如何ナル理由デモ訴ヲ提起スルコトガ出亠來ルト云フ解釋冖ノ出テ來ル根據ガ私ハ分ラヌト思ヒマス
○議長(子爵岡部長職君)
他ニ御發議ハアリマセヌカ御發議ガナイヤウデアリマスカラ次ニ十一條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ニ依リマシテ本法施行前ニ提起シタル訴ニモ適用セラル丶コトニ相成リマスル箇條ハ現行法ノ規定ニ缺ケテ居リマスノデゴザイマシテ、是等ノ規定ハ現行法ノ不備ヲ補フ規定ト相成ルモノデゴザイマスルカラシテ、議論ハ兔モ角モト致シテ、施行前ニ提起シタル訴ニモ適用致シマスルコトハ便宜デアル、利益デアル、斯ウ云フ趣意カラ本條ヲ設ケマシタ次第デアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
御異議ハアリマセヌカナケレバ第十二條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
總會ノ決議無效ノ訴ニ關シマスル百六十三條二項ノ規定ハ創立總會ニ於ケル決議無效ノ訴ニ準用ニナツテ居リマスルノデ、卽チ商法ノ百三十一條第三項ニ依ツテ準用ニナツテ居リマシテ、其準用セラレテアリマス規定ノ施行規定ガ矢張創立總會ノ決議無效ノ訴ノ規定ニ準用セラルニノガ相當デアルト云フ規定デアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
別ニ御發議ガナイト認メマスカラ第十三條ニ移リマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此規定ハ趣意ニ於テハ別ニ說明ハ要サナイト思ヒマスルガ、兎ニ角百六十七條ノ二ノ規定ハ取締役ノ任務ガ終了致シタ場合ニ定足數ヲ缺クニ至リマシタトキハ、後任者ノ出來マスルマデハ、尙ホ取締役トシテノ權利義務ヲ有スル、斯ウ云フ規定デアリマス、此規定ガゴザイマセヌタメニ實際上非常ニ差支ヲ生ズルト云フコトハ本案討議ノ際ニモ申述ベテアリマス、此便宜ノ規定ヲパ本法施行前ニ任務ガ終了シタ場合ニモ適用スルト云フコトマデニ推及ボシタイ規定デアリマス
○十七番(小山溫君)
一ツ御說明ヲ願ヒタイデスガ、此十三條ノ規定ハ詰リ第二條ノ但書ノ規定ノ又例外ニナルノデアラウト思ヒマスガ、當然ニ施行前ニ任務ガ終了致シマスト、直ニ効力ヲ生ズルコトガナイノデアル、然ル二日ガ經チマシテカラ此改正商法ガ施行ニナリマスト、ソコニ間ガアリマス、其間モ尙ホ權利義務ヲ後カラシテ權利ヲ有シ義務ヲ負フト云フ譯ニナルノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
其㸃ニ付キマシテハ會社ト取締役トノ間ノ關係ガ何デアルカト云フ例ノムヅカシイ問題ニ關係致スノデアリマシテ、御承知ノ通リニ商法ノ百六十七條第二項ハ會社ト取締役トノ間ノ關係ハ委任ニ關スル規定ニ從フ、從フト云フ字ヲ用ヰマシテ適用ヲ委任關係デアルカ、委任ニ關スル規定ヲ適用シタノデアルカ、ソレハ學者ノ考ニ任セルト云フコトニナツタノデアリマスガ、私一個ノ考トシマシテハ詰リ會社ト取締役トノ關係ハ委任ノ關係デアラウト思ヒマス、ソレ故ニ此說明トシテハ餘程苦シイ說明デアリマスケレドモ、民法ノ委任ノ所ノ六百五十四條ノ規定ガ適用セラレベキモノデナイカト竊ニ思ツテ居ルノデアリマス、ソレデ空間ヲ生ジマス場合ニハ先以テ已ムヲ得マセヌカラ、六百五十四條ノ規定ノ適用ヲ見、而シテ本法施行ノトキカラシテ此十三條ノ規定ガ適用セラル≦ト云フヨリ外ニドウモ致方ガナイノデアリマス、ソレデ若シ其委任ノ規定ガ適用セラル丶ノデナイト云フコトニナリマスルト、矢張已ムヲ得マセヌ、其間ハ空位デ置クト云フ外ニハ仕方ガナカラウト思ヒマス、既往ニ遡ラセテマデ事務ヲヤルベキ者ノ地位ニ置クト云フコトハ餘程不當ナ規定ダト思ヒマス、尠クトモ施行ノ時カラシテ取締役トシテノ權利義務ヲ持タシムルコトニ致シマシテモ幾分缺㸃ヲ補フコトガ出來ルト思ヒマス
○十七番(小山溫君)
是ハ商法ガ施行サレルコトニナリマシテカラ隨分紛擾ヲ生ズルコトデアラウト思ヒマス、ソレデアリマスカラ今ノ御取調ノコトハ齋藤霜一個トシテハ宜シウゴザイマスガ、本法トシテハ容レラレナイ、本法ハ委任ノ規定ヲ直ニ適用スルト云フ趣意デナイ、デアリマスカラ前ノ御辯解ハ御辯解ニナルマイト思ヒマス、私ノ承ツテ置キタイコトハ十三條デ任務ノ終了致シマスル取締役ガ權利義務ヲ有スルノハ、本法施行後ニ限ルト云フコトヲ明言シテ置イテ戴ケレバソレデ宜イ
○四番(齋藤十一郞君)
本條ノ解釋ト致シマシテハ本法施行後ニ限ルト云フヨリ外ニハドウモ致方ガアルマイト思ヒマス
○二十八番(長谷川喬君)
私ハ今ノ答辯ニ依ツテ本案ノ御趣意ガ分リマシタガ、ドウモ此規定ハ少シ不備デナカラウカト思ヒマス、ナゼカト云フニ此百六十七條ノ二ノ規定ガナイ、卽チ現行法ダケノ施行ノコトニ於テハ、取締役又ハ監査役ノ任務ガ終了スルト同時ニ、モウ取締役監査役タル權利義務ト云フモノハ消滅シテ仕舞フノデアリマス、齋藤君ガ言ハレタ委任ダケノ責任ガアルトシテモ餘程性質ノ違ツタモノデアリマス、私ハ一般ニ解釋シテ全ク終了シタ、既ニ終了シテ仕舞ツテ殘ツタ取締役監査役デ之ヲ行ツテ居ツタ、其終了シタ人ガ無關係デ居ツタノニ、此法律ニ依ツテ新ニ又權利義務ト云フモノガ生ジテ來ルコトニナルダラウト思ヒマス、違ツタ權利義務ト云フモノガ生ジテ來ルコトニナリマスカラ、餘程法律トシテオカシイモノト思ヒマスカラ、是マデニシテ置カナクテモ既ニ業ニ權利義務ガ消滅シタモノナラバ、此法律ニ依ツテ新ニ權利義務ヲ生ゼシムルト云フコトマデニ行カナクテモ宜カラウト思ヒマスカラ、是ハ削除シタイ
○二番(岡野敬次郞君)
チョット私ガ退席ヲ致シマシタノデ能ク御議論ノ趣意ハ承リマセヌノデアリマスガ、現行法ノ解釋トシテ取締役一人々々ノ會社ニ對スル關係ガ委任デアルカ、或ハ委任ニアラザルモノモ委任ニ關スル規定ニ從フベキモノデアルカ、或ハ取締役ト云フ者ハ法定代理人ト稱スベキモノデアルカト云フコトハ私ガ申上ゲルマデモナク學設トシテハ議論ノアルコトデアリマス、裁判例トシテハ委任ノ方ハ取ラレナイノデアリマス、私ハ現行法ノ解釋ガ委任デアルトカ或ハ法定代理人デアルトカ云フヤウナ㸃カラ此十三條ノ適用ヲ論ズベキモノデアルマイト思ヒマス、何レデモ其㸃ハ宜シイノデアリマス、ソレヲ本法施行前ノ卽チ現行法ノ下ニ於テ取締役ト云フ者ガ委任ニ依ル代理人デアルナラバ民法ノ委任ニ關スル規定ニ依ッテ曲ッタナリニモ、兎モ角モ次ノ取締役ノ出來ルマデハ矢張重任者トシテ職務ヲ執行セネバナラヌト云フコトニナルノデアリマス、ソレカラ若シモ法定代理人デアルト云フコトニナルト、任期滿了ノ後ニ於テ如何ナル義務ガアルカト云フコトガ實ハ不明デアルノデアリマス、ソレデ兎ニ角何レニ致シマシタトコロデ任務ガ終了シタト云フ㸃ニ於テハ委任說ヲ綵ルモ、法定代理人ト云フ方ノ說ヲ採ルモ、委任ノ終了ト云フコトニ付イテハ同ジコトデアリマス、ソレデアリマスカラ私ハ其㸃ニ於テハ何レノ說ヲ採ツテモ一向差支ナイノデ、取締役又ハ監査役ノ任務ガ本法施行前ニ終了シテモ、尙ホ依然トシテ取締役ノ權利ヲ行ヒ又ハ取締役トシテノ義務ガアルト云フ意味ニ取ラネ、ハナラヌト私ハ思ヒ耳、ス、而シテ此取締役又ハ監査役ノ任務ガ本法施行前ニ終了スルト云フコトハ先ヅ通例ノ場合デアルナラバ、任期ノ滿了ト云フコトガ通例デアル、ソコデ本法施行前ニ取締役又ハ監査役ノ任務ガ終了シテ、卽ち取締役トシテナリ或ハ監査役トシテナリ義務ヲ終ツタモノガ、更ニ本法施行ノ時ニナツテ又取締役トシテ其職務ヲ行フト云フコトニナツテハ不都合デアル、斯ウ云フ㸃ノ御批難ハ御尤ノヤウニ思フノデアリマス、兎ニ角新法トシテハ終ツテ了ツタモノナラバ、新法施行ノ時ニナツタ新ニ又取締役トシテ權利義務ヲ有スルコトニナルト云フコトハ、ソレハ理窟モ或ハオカシイデセウ、或ハ必要モナイコトデアラウト思ヒマス、其㸃ハ此十三條ニ對スル御批難トシテハ私ハ御尤ナルコトデアルト思ヒマス、或ハ其㸃マデ態々施行法ヲ以テ世話ヲ燒ク必要ハナカラウト思ヒマス、若シ新法施行前ニ取締役又ハ監査役ノ任務ガ終了シテ最早取締役ト云フ資格ガナイト云フ時ニ於テモ、會社ノ營業ガ中止サル丶コトガナイノデアリマスカラ、其儘ニシテ置クト云フコトモ確一ニノ名案デアラウト思ヒマスカラ、或ハ十三條ハ削除シタ方ガ宜イカモ知レヌノデアリマス、唯本法施行前ニ選任セラレタル取締役又ハ監査役ノ任務ガ本法施行後ニ終了シタル場合ニ、第百六十二條ノ二ノ規定ヲ適用スルト云ツタ方ガ適當デアラウカト私ハ思ヒマス
○十七番(小山溫君)
私ハ前ニ質問ヲ致シマシテ實ハ案ヲ提出シタイト考ヘテ居ツタノデアリマス、削除シテシマヒマスト少シ都合ガ惡イ、ソレデ今ノ所名案ガ淨ビマセヌガ、兎ニ角今岡野委員カラ仰シヤイマシタヤウニ前ニ選任サレテ居ツテ商法施行後ニ任期終了スルト云フモノハ適用スル問ガアルヤウナ取締役ニ適用スル必要モゴザイマスマイシ、ドウモ變ダト思ヒマス、丁度此處ニ書イテアリマス通リニ施行前ニ任務ガ終了シタ場合ニハ施行後ニ必ズニ三十日ノ間ガ明イテ居ルダラウト思ヒマス、其間ニ明イテ居ル二十日ナリ三十日ナリハ法定代理人ノ任務ヲ終了シタルモノトシテノ義務カシカナイ、ソレデアリマスカラシテ案ハ持チマセヌガ、前ニ商法施行前ニ任務ノ盡キタルモノニ終了ノ場合ニ適用セラル丶ヤウニサウ云フ趣意ニ修正サレタイト云フ修正動議ヲ提出致シマシテ長谷川サンモドウゾ其方ニ御贊成下サルヤウニ願ヒマス
○二十八番(長谷川喬君)
私ハ施行後ニ終了シタモノニハ適用シタ方ガ宜カラウト思ヒマス貞要スルニ新法施行前ニ終了シ既ニ其權利義務ト云フモノガナクナリ或ハ變更シテ居ルニ抅ラズソレヲ新法施行ト共ニ新ニ權利義務ガ生ズルガ除キタイト云フノデアリマスカラ削ラネバナラヌト云フ譯デアリマセヌ、其趣意サヘ通レバ宜イノデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
文字ノコ十ハ吾々共モ修正意見トシテ御提出ニナレバ考ヘルコトエ致シマシテモ趣意ハ「第百六十七條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ選定シタル取締役監査役ノ任務カ本法施行後ニ終了シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス」ト云フコトニシタ方ガ御趣意ニ叶フマイカト思ヒマス
○三十五番(松波仁一郞君)
齋藤君ナリ岡野君ナリ先刻說明サレタ所ト今長谷川ト岡野君トノ御同意ノ所ト少シ範圍ガ違フヤウニ思ヒマスガ、私モ同ジヤウナ疑ヲ悽イテ居ル、若シ施行前ニ任務ノ終了スルモノニ付イテ云ヘバソレハ非常ナ混雜ヲ起スモノダラウト思ツテ居ッタ、任務ニ付イテハ少シ異論ガアリマスケレドモ、委任ノ關係デ齋藤君ノ說明デ宜カラウト思ヒマスケレドモ、權利ノ方ニ付イテ餘程爭ヒガ起ルダラウト心配シテ居ツタ、併ナガラ施行前ニ任務ノ終了スルモノヲ讀ソデ字ノ如クナラバ實ハ長谷川君ノ削除ニ贊成シテ居ツタ、併シ此文字デハドウモ施行前ニ終了スルト云フホカ讀メナイノデアリマスカラ今御話ニナルコトハ大分意味ガ違ツテ來ヤウト思ヒマスノデ、其違ツタ意味ニ於テハ私ハ贊成シタイ、文字通リノ意味ナラバ文字通リノ如ク施行前ニ任務ノ終了シタモノヲ施行後ニ權利義務ヲ生ゼシムルト云フコトニナッテ、取締役デナイモノニ取締役ノ權利義務ヲ生ゼシムルコトニナリマスカラ、文字通リノ趣意ナラバ削除スルト云フコトニ贊成シタイノデアリマスガ、長谷川君ガ今ノ削除說ヲ取消シテ妥協ノ御話ニナツタノハ違フ、之ヲ消シテシマツテ新タナルモノヲ御入レニナルヤウニ受取リマシタガ、是ハ修正シタノデアリマスカ、或ハ之ヲ廢メテ新タナルモノヲ御入レニナルト云フ意味デアリマスカ
○二十八番(長谷川喬君)
私ニ御尋ノヤウデアリマスカラ私カラ御答シマスガ、私ノ趣意ハ原案トハ全ク違フノデアリマス、齋藤君ト岡野君ト違フノハ私ノ考ヘルニハ齋藤君ハ原案ノ趣意ヲ以テ言明サレタ、岡野君ハ私ノ昌=ロフタ趣意ヲ抓休用サレタカラ說ガ違フノデアリマス、私ノ削除說ヲ申立テタノハ削除シタトコロデ此通リニナラウト思ヒマス、施行後ニ終了シタモノモ矢張改正法ヲ適用スルノダラウト思ヒマスカラ曩ニ言ハレタヤウニスレバ何等ノ疑ガナクナツテ、能クナラウト思ヒマス
○十七番(小山溫君)
長谷川サンバ御同意下サルノデアリマスカ
○二十八番(長谷川喬君)
同意シタノデアリマス
○十七番(小山溫君)
削除デ同ジヤウナ効力ヲ生ズルヤウニ長谷川サンガ仰シヤイマシタガ、私ハサウハ思ハヌ、私ハ長谷川サンガ法定代理人說ヲ執ツテ、ソレニ極メテ御イデニナルナラバサウナルカ知リマセヌガ、之ガ委任契約ダト致シマスト、委任契約ノ行爲ハ行爲ト同時ニ發生シテ居リマスカラニ條ニ依リマスト其効力ヲ妨ゲズ、ソレデアリマスカラ委任讀ヲ執ル方カラ致シマシテモ、ソレデモ說明ノ附クニ致シマシテモ疑ヒガアル、ソレデアリマスカラ改正法施行前ニ辭任シタモノニ付イテ、私ハ疑ヲ避ケル方ニモ宜イト思ヒマス
○二十八番(長谷川喬君)
私ハ成ルベク疑ノ少ナイ文章ニスルノガ宜シイカラ岡野君ノ言ハレタノハ痛切ニ同意ニシテ削除シテモ宜カラウト思ツテ居リマス
○三十五番(松波仁一郞君)
私ハ長谷川君ト岡野君ノ要協案ノ趣意ニナツテ本條ト趣意ガ變ツテ來タ、、、、
○二番(岡野敬次郞君)
私ハ先刻述ベマシタ通リ本法施行前ニ選任シタル取締役又ハ監査役ノ任務ガ本法施行後ニ終了シタ場合ニモ亦之ヲ適用スルト云フコトニ致シタナラバ小山君ノ修正ノ御趣意ニモ適フモノデアラウ、又斯ノ如キ意味ニ修正スルト云フコトハ、御尤デアルト云フコトモ私ハ述ベタノデアリマス、私一人ハ無論御同意致シテ宜シイノデアリマス、ソレヲ削除スルモ同樣ニナルデアラウト云フコトハ、私ハ一理アル御議論デアルト信ジテ居リマス、當然サウナルノデアルカラ十三條ヲ削除シテモ宜シイト云フコトモ確カニ一ツノ論デアル、併ナガラ私ハ其施行規定ト云フモノハ成ルベク明瞭ノ方ガ宜イノデ理窟カラドウモ論ズルコトノ出來ナイモノガ多イカラシテ矢張明瞭ニ書イテ置イタ方ガ私ハドチラカト云ヘバ宜イノデアリマスカラ、十三條ヲ削除シテモ同ジニナルデアリマセウガ、併シ御議論ガアルナラバ修正ヲシテ其趣意ヲ存シテ置イタ方ガ宜カラウト思フノデ私ハ同意ヲ致シタイノデアリマス
○三番(富谷鉎太郞君)
異議ハアリマセヌ
○二番(岡野敬次郞君)
御異議ガナケレバサウ云フコトニ改メタイ
○議長(子爵岡部長職君)
サウスルト諸君ニ御相談シマスガ、十七番ノ御說ガ起草委員ニ於テモサウ云フコトニナツテモ異讓ガナイト云フコトニ答ヘラレタヤウデアリマスカラ是ハ此意味ヲ以テ起草委員ニ於テ條文ヲ修正スルト云フコトニナリマシテ宜シウゴザイマスカ
○二十一番(花井卓藏君)
大切デアリマスカラ伺ヒマスガ、齋藤君ノ御說明ト云フモノハ第百六十七條ノ二ノ規定ハ本法施行前ニ選任セラレタル取締役又ハ監査役ニ於テ本法施行前ニ終了シタ場合ニモ亦適用スト云フ意味デ御說明ニナツタ
○四番(齋藤十一郞君)
サウデス
○二十一番(花井卓藏君)
ソレガ私ハ起草委員ノドナタノ御意見デアルカト云フコトヲ知リタイ、若シサウ云フコトナラバ何ノタメニ規定ノ必要ガアルカ、私ハ此十三條ノ意味ハ岡野委員ノ說ノ如ク施行法ノ經過法デアルト云フ頭ヲ以テ此條文ヲ讀ンダ、齋藤君ノ御說明ノヤウナ場合ガ生ジマイト思ヒマスガ、サウデアリマセヌカ
○二番(岡野敬次郞君)
チョット申上ゲマスガ、本法施行前ト云フノガ選任シタルト云フコトガナイノデアリマスカラ、本法施行前ニ終了シタルト讀ムヨリ外ハナイ、本法施行前ニ任務ガ終了スルモノナラバ申迄モナク、本法施行前ニ選任セラレタル取締役監査役デナケレバナラヌノデアリマス、ソレデアリマスト小山君ノ御非難ガ御尤デアリマスカラソレデ修正シタイト云フノデアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
修正ノ意味ヲ以テ條文ヲ變ヘルト云フコトニソレデハ致シマス
○四番(齋藤十一郞君)
唯今他ノ起草委員カラ申シマシタ條文ニ付テハ吾々モ同意ヲ致シマス、此形ニ於テ御決シアランコトヲ希望致シマス
○議長(子爵岡部長職君)
唯今四番カラ此條文デ宜シカラウト云フコトデアリマス、起草委員ニ於テハ皆ナ異議ガナイサウデアリマス
書記朗讀
○議長(子爵岡部長職君)
此通リニ修正シマシテ諸君ニ御異議ゴザイマセヌカ――異議ガナイト認メマス、第十四條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此十四條ノ規定デアリマスルガ、是モ趣意ト致シマシテハ本法施行前ニ選任シタル取締役又ハ監査役ノ行爲ガ本法施行後ニアリタル場合ニモ適用スル意味デアルト云フコトハ確カデアリマス、詰リ斯ノ如キ條文ガゴザイマセヌケレバ本法施行前ニ選任シタル取締役ガ法令又ハ定款ニ反スル行爲ヲ爲シタルトキハ、矢張舊法ニ依ツテ責任ヲ負フト云フコトニ相成リマシテ、本法ノ百七十七條ノ規定ガ適用セラレナイコトニナルデアラウト思ヒマス、又百八十六條ノ場合モ同樣デアルト思ヒマス、ソレ故ニ施行前ニ選任シタル取締役又ハ監査役ノ行爲ガ本法施行後ニアツタ場合ニ此規定ヲ其行爲ニ適用スル、斯ウ云フ趣意デゴザイマス
○二十八番(長谷川喬君)
是ハ何デモナイコトデアリマスガ、前條ニ於テ本法施行前ニ選任シタルト云フ字ヲ入レラレタ、此條ニモ文章トシテハ矢張ソレダケノ文字ガ這入ツタ方ガ宜クハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(子爵岡部長職君)
唯今二十八番カラノ注意ノアリマシタコトニ付イテ諸君御異議アリマセヌカ――御異議ナイト認メマス、第十五條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ノ規定ハ此趣意ヲ適當ナルモノトスルカ或ハ他ノ趣意ノ規定ヲ相當トスルカト云フコトニ付キマシテ實ハ起草會ニ於キマシテモ種々考究ヲ致シテ見タノデアリマス、起草委員ニ於キマシテモ必ズシモ此趣意ヲ以テ比較的ニ宜イモノトハ認メテ居リマスケレドモ、何處迄モ之ヲ維持セネバナラヌト云フ趣意トハ認メテ居ラヌノデアリマス、兎ニ角百九十條ノ二ノ規定ト云フモノハ商法施行ト同時ニ既存會社ノ財產目錄調製ニ直チニ適用スルト云フコトハ實際ノ事情ニ於テ不穩當デアルト思フノデアリマス、ソレ故ニ多少其間ニ適用ヲ緩メマスル規定ガ必要デアルト認メテ居リマス、タシカ此㸃ハ商法ノ總會ノ時ニモ起キマシタコトデゴザイマス、デ此案ノ趣意ハ御覽ノ通リニ本法施行前ノ最終ノ財產目錄ニ揭ゲタル財產ニ附シタル價額ハ取得價額製作價額ト看倣ス、實際ノ製作價額取得價額ヲ算出スルコトハ要ラヌ、斯ウ云フ趣意デアリマスルガ、尙此外ニモ起草委員ノ中ニ話トシテ現ハシマシタ趣意ハ百九十條ノ二ノ規定ヲバ詰リ或ハ五箇年トカ云フ年限ノ間ニ自然々々ニ財產ヲ減スト云フコトニナリマス、財產ノ價額ヲ減シテ參リマシテ結局五年目ノ終リニ至ツテ丁度製作價額取得價額ニ合フヤウニ作ルト云フ方法モ考出サレタノデアリマス、先ヅ此㸃ニ付キマシテハ御列席ノ實業家諸君モ居ラル丶コトデアリマスカラ、篤ト其御意見等ヲ承リマシテ互ニ硏究致シタイト云フ考ヲ持ツテ居ルノデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
唯今本條ニ付イテ齋藤君ノ說明セラレタ邇リノ實情デアリマス、百九十條ノ二ノ規定ソレ自身ニ付イテ既ニ當時大分御議論ノアツタコトデアリマスルガ、百九十條ノ二ハ申迄モナク新法施行後ニ適用セラルベキモノデアリマスケレドモ、併ナガラ百九十條ノ二ノ趣意ヲ可ナリトセバ、從來弊害ヲ見テノ修正デアルカラ從來ノ會社ニ蜀シテモ矢張百九十條ノ二ノ規定ヲ適用スルノガ適當デナイカ、タシカ此㸃ニ付イテ花井君カラ例外ノ既得權ガアッタト云フ御言葉ガアツタト記憶シテ居リマスガ、確一ニノ御議論デアルト私ハ認メルノデアリマス、併ナガラ現行法ノ下ニ於テ正當ナリト兎ニ角セラレテ居ツタトコロノ價額ガ新法施行ト共ニ無效ナモノニナツテ而モ取得價額或ハ製作價額ヲ甚ダシク超エテ居ルトコロノ時價ヲ附シテ居ッタモノガ俄ニ取得價額製作價額ニ引下ゲネバナラヌト云フコトニナツテハ從來設立シテ居ツタトコロノ會社ニ對シテ大ナル打擊デアルノデアル、故ニ從來ノ會社ニハ如何二百九十條ノ二ヲ適用スルカト云フ御尋ガアリマシタノデ、吾々ハ當時施行法ヲ以テ相當ノ規定ヲ設ケテ以テ從前ノ會社ニハ打擊ヲ與ヘザルコトヲ試ミルツモリデアルト云フコトヲ御答ヲ致シタノデアリマス、其趣意ヲ以テ第十五條ト云フモノハ立案セラレタノデアリマスケレドモ、併ナガラ此十五條ノ通リデアリマスト從來ノ會社ト云フモノハ何時迄經ツテモ卽チ永久ニ從來ノ財產目錄ニ附シタトコロノ價額ト云フモノハ百九十條ノ二ノ取得價額又ハ製作價額ト看做サレヌノデアリマス、新ニ設立スル會社ニハ嚴デアツテサウシテ從來ノ會社ニ對シテハ甚ダ寬デアル、卽チ權衡ヲ得ザルモノデアルト云フ御議論ガ或ハ生ズルデアラウト思ヒマス、ソレデ何トカ從前ノ會社ニハ甚シキ打擊ヲ與ヘヌデ而シテ此從來ノ會社ヲシテ百九十條ノ二ノ規定ニ漸次從ハシムルヤウナ方法ガアツタナラバ頗ル名案デアルト云フトコロカライロイロト考ヘテ見タノデアリマス、或ハ新法施行後カラ相當ノ年限ヲ附シテサウシテ百九十條ノ二ノ規定ニ依ラシムルコトニシタナラバ其十年ト云フ期間ニ會社モ漸次新法ノ規定ニ從フヤウニ段々ニ財產ノ價額ヲ下ゲテ行キ、サウシテ十年以後ニ至ツテハ新會社モ舊會社モ共二百九十條ノ二ノ同一規定ニ依ラシムルコトニナッタナラバ、或ハ宜カラウカト云フコトモ心附イタノデアリマス、割合ヲ定メテドウ云フヤウニト云フコトハ如何ニシテモ施行法ニ揭ゲルコトガ出來マセヌノデ、他ニ考ベタ案ト云フモノハ齋藤君ガ述ベラレタ通リ、又私ガ御話スル通リニ何カ新法施行後ノ年限ヲ定ムルト云フヨリ外ニハ致方ガアルマイト思フタノデアリマスガ、年限ト申シテモ矢張餘程人爲的ノコトニナルノデアリマスカラ、ソレデ新舊ニ會社ニ對シテ甚ダ寬嚴ノ差ガアリ、サウシテ不權衡デアルト云フ御非難ガアラウト思ヒマスケレドモ、別ニ名案モナイモノデアリマスカラ、ソレデ暫ク此案ヲ以テ起草委員ガ責任アルトコロノ案トシテ提出シタノデアリマス、實業家諸君バカリデアリマセヌ、他ノ諸君ニ於キマシテモ百九十條ノ二ノ規定ヲ從前ノ會社ニ適用スル上ニ於テ名案ガアルナラバ實ハ承ツテ其名案ニ從ツテ再ビ吾々モ考ヘテ見タイト思フノデアリマスケレドモ、名案ナキガ故ヲ以テ已ムヲ得ズ斯ノ如キ案ヲ提出シタノデアルト云フコトニ先ヅ御了解ヲ願ヒタイノデアリマス
○二十七番(若槻禮次郞君)
此商法ノ百九十條ノ二ノ修正ハ私當初ヨリ極ク贊成シテ居ツタ條文デアリマシテ、今度ノ修正ノ條項ノ中デハ私ノ方カラ言フト一番ノ修正ダト私ハ思ツテ居ツタノデアリマス、ソレト同時ニ此經過法ガナケレバ其儘デハ困ルト云フコトヲ當時申上ゲタ積リデアッタ、齋藤君カラ經過法ヲ作ルト云フ御報吿ニナリマシタ故ニ玆ニ當初ノ贊成ヲ强メタ次第デアリマスガ、丁度今是ニ對スル方法ハ種々アルケレドモ、先ヅ此處ラガ一番適當デアラウト云フテ、玆ニ施行後經過法ヲ御作リニナツテ、尙ホ異說ガアルナラバ聞キタイト云フ寬大ナ御說明ガアツタノデアリマスガ、私ハ修正案ガ一番宜イト思ヒマス、至極名案ヲ御書キニナッタト思フノデアッテ、是デアレバ一方現在ノモノノ取締ヲ附ケルト云フコトト同時ニ現在ノ財產ノ價ヲ餘リ多ク見ナイデ會社ノ基礎ヲ固メルト云フ其目的モ達シ、一方ニハ中ニハサウマデノ注意ヲ執ラヌデ居ツタノガ、今此改正案ニ依ツテ俄ニ大ニ打擊ヲ受ケルト云フコトモ避ケラル丶ノデアリマスカラ、ドウゾ是ニ對スル反對論ガ出ズ、修正論ガ出ズ原案ノ通リ通過サルルコトヲ希望致シマス
○三十一番(岡松參太郞君)
私モ此案ノ趣意ニハ極ク贊成デアリマス、一ツ伺ツテ見タイノガ、此取得價額又ハ製作價額ト看倣スト云ヒ切ツテアリマシテ、最終ノ財產目錄ニ揭ゲタ價額ガ咨ハ產ノアル會社ガアツテ途ニ財產ニ附セヌト致シマシタトキニ於テ、勿論百九十條ノ二ノ規定ハ超ヘルコトヲ得ズトアリマスカラ、其眞ノ價額ヲ作ルコトガ差支ナイ、併ナガラ此規定ガアルタメニ其價額ガ取得價額デナイ、取得價額以下ノ價額ヲ附ケタト云フコトニ見ラルル、ソレハ大シタ障リガナイカモ知リマセヌケレドモ、成ルベクナラバ眞ノ取得價額製作價額ヲ附ケシムルト云フコトガ法律ノ趣意デアリマスカラ、趣意ニ於テハ少シモ變ラナイノデアリマスガ、「看做ス」トアルノヲ「看做スコトヲ得ル」ト云フコトニナサツタナラバ如何デアリマセウカ、ソレヲ取得價額トシタイモノハソレヲ附ケテモ宜シイト云フヤウニシタ方ガ一層適切デアリハシナイカト考ヘマスガ如何デアリマスカ
○二番(岡野敬次郞君)
吾々ガ疑ヒヲ懷イテ提出シタ案ニ付イテ、却テエライ御贊成ガアリマシテ甚ダ滿足デアリマス、唯今岡松君ノ御話ノ御趣意ハ從來ノ會社ガ眞ノ取得價額又ハ製作價額ヲ附シテ居ツタノニ、ソレガ十五條ノ適用ニ依ツテ看做サルル取得又ハ製作價額ト云フコトニナツテハ甚ダ不都合デアル、、、、
○三十一番(岡松參太郞君)
イヤ少シ違ヒマス、今マデ附ケテ居ツタノヲ避ケヤウト云フノデアリマス、眞ノ取得價額ヲ附ケヤウト云フ會社ガアッタ場合ニ、其眞ノ取得價額ナルモノガ法律面ニ於テハ取得價額ニアラズシテ取得價額以下ノ價額ト云フコトニナリマス、ソレ以下ノ價額ヲ附ケレパソレハ實際ニ於テ眞ノ取得價額デアリマスケレドモ、法律上第三者ニ對シテ取得價額以下ノ價額ヲ附ケタト云フコトニ見ラル丶結果ニナリハシマセヌカ
○二番(岡野敬次郞君)
或ハ私ガ尙ホ誤解シテ居ルカ知レマセヌガ、一應私ノ解スルトコロニ依ツテ御話ヲシテ見タイト思ヒマス、此百九十條ノ二ノ規定ハ新法ガ行ハレタ後ニ於テ、會社ガ財產目錄ヲ附ケル場合ニ於テ、百九十條ノ二ノ規定ニ依ルコトハ妨ゲナイ、實際ノ取得價額又ハ製作價額ガアツテモ、ソレヨリ低イ價額ヲ附スルコトガ矢張百九十條ノ二ソレ自身ガ豫期シテ居ルノデアリマスカラ、ソレハ固ヨリ差支ナイ積リデアリマス、而シテサウ云フ趣意ハ十五條ノ本法施行前ノ最終ノ財產目錄ニ揭ゲタル財產ニ附シタル價額ハ取得價額又ハ製作價額ト看做スト云フノデアリマスカラ、新法施行後ニ於テ財產目錄ヲ作ル場合ニ於テ、百九十條ノ二ノ規定ニ依ルコトハ固ヨリ差支ナイ、卽チ取得價額製作價額ニ超ヘルコトヲ得ズトアリマスカラ、ソレヨリ低ク附ケテモ差支ナイ考デアリマス、若シソレガサウ云フコトヲスルノニ十五條ガ妨ゲニナリハセヌカト云フ御疑ヒカト解シタノデ、其稽ハリデ御答シタノデアリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
私ハ妨ゲナイト云フノデナイ、財產目錄價額以下ノ價額ヲ揭ゲルコトガ出來ルノデアリマス、其價額ガ最終ノ財產目錄價額以下ニ價額ヲ揭ゲタ場合ニ於テハ其價額ガ翼ノ價額デアルニ抅ラズ法律上ニ於テハ取得價額以下ノ價額ヲ附ケタコトニ看做サル丶ト云フ}疑ヒデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
尙ホ能ク分リマセヌガ、新法施行以後ニ於テ眞正ノ取得價額又ハ製作價額ヲ附スルト云フ場合ニ、其前ニ卽チ最終ノ財產目錄ニ揭ゲタ取得價額又ハ製作價額ト看倣スカラ、二ツノ取得價額製作價額ガ出來ルヤウニナツテ、ソレガ穩カデナイト云フ御趣意デアリマセウカ
○三十一番(岡松參太郞君)
眞ノ取得價額ヲ取得價額ナリトシテ財產目錄ニ揭ゲルコトガ不能ニナリハセヌカ、眞ノ取得價額ヲ揭ゲタ場合ニ於テ卽チソレハ取得價額以下ノモノヲ揭ゲタト云フコトニ見ラレハセヌカ
○一番(富井政章君)
私モ能ク分リマセヌガ、本法施行後ニ第一番ニ一番初メニ財產目錄二百九十條ノ二ニ依ツテ眞實ノ價額ヲ記載シヤウト思ヘバ無論出來ルコトデアリマス、サウスレバ其前ニ一期間ダケノ財產目錄ガソレデ違ツテ居ツタト云フダケノモノデ、短イ間ノ意味ダラウト思ヒマス、ソレナラバ看倣スノデアツテモソレガ長ク續クト云フコトデナイノデ、本法施行後ニ一番初メノ機會ニ作ルトキニ低イ安イ高ヲ附サウト思ヘパ出來ルコトデアリマス、唯一期間ノコトデアルカラ左迄不都合デナイ、其一期間モ此法律ガ發布セラレタナラバ、直グ一箇月カニ箇月ト云フコトデ實施スルコトニナラヌノデアラウト思ヒマス、イヅレ半期カ一年ノ間ハアルト思ヒマスカラ、其間モ事實ニ合ハナイコトヲシテ置キタクナイト思フ、會社デアレバ施行前ニ最終ノ財產目錄ヲ作ルトキニ此法律案ガ發布セラレテ居ル、施行セラレテ居ラヌケレドモ施行セラルニモノデ今カラ直シテ置カフト云フコトデヤルコトモ出來ル、一期間ダケ御述ベニナッタヤウナ狀態ガ生ズルノデ、施行後ニ最初ノ機會ニハ正シイモノニシヤウト思ヘバ出來ルノデアリマス、又法律モ望ムノデアリマスカラ何等不都合ガナイヤウニ思ヒマス
○二番(岡野敬次郞君)
岡松君ノ御尋ハ分ツタ積リデアリマス、十五條ノ規定ニ依ツテ法律ガ最終ノ財產目錄ニ揭ゲタ價額ヲ百九十條ノ二ノ適用ノ上カラ取得價額若クハ製作價額ト看做ス、最終ノ財產目錄ノ眞正ノ取得價額又ハ製作價額デナイ場合ニ於テモ取得價額製作價額トシテ從來ノ會社ガ眞正ノ取得價額又ハ製作價額ヲ記載スルトキニハ百九十條ノ二ノ規定通リニセヨ、折角眞正ノ製作價額取得價額ヲ揭ゲテモ十五條ノ規定ガアルト、二ツノ取得價額製作價額ガ出來ルヤウナ狀況ニナル、ソレデアルカラ尙冖ホ一步進ンデ言ヘバ從來ノ會社ニ付イテハ最近ノ財產目錄ノ價額ガ法律上ノ取得價額又ハ製作價額ニナルカラ、眞正ノ取得價額又ハ製作價額ト云フモノガ、從來ノ會社ニ付イテハヤリ得ナイト云フ虞ガアル、斯ウ云フ趣意カラノ御尋デアルト解シマシタガ、或ハサウ云フ嫌ハアルヤウデアリマスガ、併ナガラ取得價額又ハ製作價額ト看倣スコトヲ得デハ百九十條ノ二トノ關係ガ甚ダ面白クナイ、ドコ迄モ一定シテ仕舞ツタ方ガ宜カラウト思ヒマス、若シモ岡松君ノ御疑ヒガ實際ニ必要デアル、何トカ意味ヲ明カニスル必要ガ實際上アルト云フナラバ、斯ウ云フコトニナルノデセウ、前項ノ規定ガアツテモ從來會社ガ百九十條ノ二ノ規定ニ從フコトガ妨ゲナイ、斯ウ云フコトニナレバ或ハ岡松君ノ御議論ニ適フカ知ラヌト思ヒマス、唯私共ノ考デハ實ハ最終ノ財產目錄ニ揭ゲタル價額ハ是ハ一ノ「ヒクシヨソ」デ、斯ウ云フヤウニ看倣スノデアルカラ、眞正ノ製作價額取得價額ヲ記載シテ百九十條ノ二ニ從フコトハ全然差支ナイ、文字上疑ヒガアルナラバ修正スルモ亦可ナリデアリマスガ、百九十條ノ二ノ規定ニ從フコトヲ妨ゲナイト書クモオカシイヤウデアリマスガ、看做スコトヲ得モ工合ガ惡クナイカ知ラヌト思ヒマス
○三十一番(岡松參太郞君)
私ノ疑ヒバ其㸃デアリマス、何モ此㸃ニ於テ法律ガ「ヒクシヨソ」ヲ作ル必要ガナイ、百九十條ノ二ノ規定ヲ適用スル場合ニ於テ會社ハ從來ノ財產目錄ニ揭ゲタ價額ヲ以テ取得價額ナリ製作價額ナリトシテ記載スルコトヲ得ト云フ自由サイ認メレバ宜イ、殊ニ法律ノ「ヒクシヨン」ニ依ルトコロノ法律的取得價額製作價額ヲ拔イテ仕舞フ必要ガナイ、唯會社ガ其財產目錄ノ價額ヲ以テ法律ニ規定サレタル價額ト同ジヤウニ見ルコトヲ得ルト云フダケノ自由ヲ認メタ規定ト此規定ヲサレムコトヲ望ミマス
○二番(岡野敬次郞君)
サウスルト但書ハドウ云フコトニナリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
但書ハ或ハ必要ガナクナリマセウ
○四番(齋藤十一郞君)
唯今岡松君ノ御述ベニナリマシタコトニ付キマシテ私モ段々本條ノ起草ノ場合ノ事實ノ記憶ヲ喚起シタノデアリマスガ、吾々ノ間ニ於キマシテモ唯今ノ御趣意ノマウナ話モ曾テ出タコトガアルノデアリマス、併ナガラ財產目錄ニ記載スル財產ノ價額ヲ記載スルニ付キマシテ一樣ニ標準ガ極ツテ居リマセヌト、餘程財產目錄ヲ調査致シマスル場合ニ困難デアル結果ニナラウト云フ考ガ起ツタノデアリマス、詰リ取得價額又ハ製作價額ト看做スコトヲ得ト云フコトニナリマスト、其規定ハ解釋ノ仕樣ニ依ツテハ總括的ニモ解釋サレマス、或ハ一個々々ノ財產ニ付イテモ解釋ガ出來得ルト思ヒマス、ソレデアリマスカラ此會社ノ財產目錄ハ是ハ何ニ依ツテ價額附ケタノデアルカト云フコトノ判斷ガ餘程分リニククナリマス、又一ノ會社ニ於キ呷、シテ實際ノ取得價額ト、ソレカラ此所謂十五條ノ規定ニ依ツタ取得價額ト兩方混ジテ作リマシタ場合ニハ殊ニ判斷ニ苦ムノデアリマス、ソレデ兎ニ角法律ノ規定デ以テ價額ノ標準ヲ一定スル必要ガアラウ、斯ウ云フ考カラ致シマシテ看做スコトヲ得ト云フ規定ヲ設ケ、會社ノ撰擇ニ任セルト云フコトヲ止メマシテ絕對的ノ規定ト致シタノデアリマス、今記憶ヲ喚起シマシタカラソレダケノコトヲ申シマス
○三十一番(岡松參太郞君)
唯今ノ齋藤君ノ御說明ハ此十五條ノ規定、此通リデアツテモ同ジコトデアリマスマイカ、一定ノ價額ヲ極メテ、是以下デナケレバナラヌト云フノデナイ、是以下ニ價額ヲ作ルコトハ差支ナイ、縱令此通リニナツテ居ツテモ適用ナル財產目錄ニ付イテハ眞正ノモノヲ作ル、私ノ言フトコロト此案ガ少シモ違ヒナイノデアリマス、齋藤君ガ仰シヤルヤウナ趣意デ此案ヲ極メタト云フナラバ此案ガ間違ツテ居ル、此案デ齋藤君ノ仰シヤルコトハ勿論存スルノデアリマス、卽チ此結果ニ於テ私ノ申上ゲルトコロガ違ヒナイ、私ハ法律上ノ「ヒクシヨン」ニ依ル價額ヲ極メテ仕舞フト云フコトガ如何デアルカト云フノデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
岡松君ノ御疑念ハ御尤デアリマスガ、此案ニ付イテハドウモ「ヒクシヨソ」ガナイト如何デアラウカ、最終ノ財產目錄ニ書イタトコロノ價額ヲ取得價額又ハ製作價額ト看做スト云フコトデ、一ノ根本ガ定マツテ、ソレカラ百九十條ノ二ノ適用ニナリマスト、サウ云フ低イ値段ヲ付ケテ宜シイ斯ウ云フコトニナリマス、看做スコトヲ得ト云フコトニナリマスト、看做シタト云フコトガナイト分リマセヌ、例ヘバ新法施行後ニ初メテ財產目錄ヲ作ル場合ニ、此前ニ營業年度ノ作ツタ財產目錄ノ價額ヲ以テ會社ニ於テハ是ハ取得價額又ハ製作價額ト看倣スゾト云フコトニナラヌト、年々繰返シテ財產目錄ヲ作ツテ行ク上ニドレガ百九十條ノ二ノ取得價額又ハ製作價額デアルカト云フコトガ分ラヌノデアリマス、取得價額製作價額ガ低クテモ宜イト云フコトハドチラニシテモ同ジデアリマセウガ、取得價額製作價額ト云フ一ノ標準ガ極ラヌト、百九十條ノ二ノ適用上是ヨリ低イ價額ヲ附ケテモ宜イト云フコトガ分ラヌノデアリマス、取得價額又ハ製作價額ト看倣スト云フコトニナリマスト、新法施行後ニ第二ノ財產目錄ヲ作ル上ニ於テ百九十條ノ二ノ規定デ云フトコロノ取得價額製作價額ハドレニナルト云フコトガ分ラヌノデアリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
私ガ唯今ノ說明ガ能ク了解シナイノデアリマスガ、取得價額又ハ製作價額ガ幾ラデアルカト云フコトハ財產目錄ノ上デ知ル必要ガナイ、製作價額ガ取得價額ニ超ヘサヘシナケレバ宜イノデアリマス、製作價額モ取得價額モ一緖ニスル必要ガ幾ラ下ゲテモ宜イ、何ヲ以テ此會社ガ取得價額製作價額ヲ認メタカト云フコトガ明デアレバ宜イ
○二番(岡野敬次郞君)
若シ取得贋額製作價額ト云フモノガ眞正ノ取得價額製作價額デアルナラバ、ソレハ岡松君ノ仰シヤル通リデアリマス、財產目錄ノ取得價額ガ幾ラデアルカ、製作價額ガ幾ラデアルカト云フコトヲ揭ゲル要ガナイ、岡松君ノ言フヤウニ眞正ノ取得價額製作價額ニナラザルモノデモ、之ヲ取得價額製作價額ト看倣スコトヲ得ル途ヲ開カウト云フノデアリマス、サウスルト人爲的ノ取得價額製作價額ガ出來ルコトニナリマス、ソレヲ本ニシテ百九十條ノ二ヲ適用スルコトニナリマスト、人爲的ノ取得偕額製作價額デアルト云フコトガ何ニ依ツテ分ルカ、ソレヲ私ガ申スノデアリマス、取得價額製作價額ガ眞正ノモノデナイ、何等カ書類ノ上ニ於テ是ガ此會社ノ取得價額製作價額ト看做スゾト云フ標準ガナイ以上ハ行カヌト思ヒマス
○三十一番(岡松參太郞君)
製作價額若クハ取得價額ニナルノハ最終ノ財產目錄ニ揭ゲタモノヨリ以下ノモノニナラナケレバナラヌ、其趣意ハ本案ニ於テ少シモ疑ヒガナイト思ヒマス、結果ニ於テハ私共ハ本案ト變リガナイ、唯私ノ遺憾トスルトコロバ法律ニ依ツテ之ヲ取得價額デアルト確ニ極メルト云フコトハ宜シクナイ、唯製作價額ハ幾ラデ宜イカ、是以上ニ附ケテハナラヌト云フコトヲ法律ハ限ツテ置ケバ宜イ、是等ヲ取得價額又ハ製作價額ト看做スコトヲ得、其以上ハイケナイ、其以下ナラバ幾ラデモ宜イ、ソレデ目的ガ達セラルルト思ヒマス
○二十八番(長谷川喬君)
私ハ三十一番ノ說ガ宜イト思ヒマスカラ贊成致シマス、チョット富井君ノ先刻御說明ノ中ニ最終ニ附ケタ價額ハ一期間デアルト云フコトデアリマシタガ、私ノ聞違ヒデアリマシタカ
○一番(富井政章君)
後ニ正シイモノニ變ヘヤウト思ヘバ、ソレハ法律ガ禁ジテ居ルコトデナイ、齋藤君ガ先刻言ハレタ通リ今一ツノ案ハ五年ト云フ期間ヲ作リ、一遍々々違フ、ヂリヂリ新法ニ合フヤウニ致サウト云フ案マデアツタ位デアリマス、チヨツト一度デ新法ニ合フヤウニシテ仕舞フコトハ固ヨリ構ハヌノデアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
モウ他ニ御發議ハアリマセヌカーナケレバ修正說ガ出テ居リマスカラ是ニ付イテ採決ヲシマス、「看倣ス」ト云フノヲ「看做スコトヲ得」ト云フ修正說、是ニ同意ノ諸君ハ手ヲ御擧ゲ下サイ
擧手者少數
○議長(子爵岡部長職君)
少數デアリマス、サウスルト原案ノ通リ決定シマス、十六條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
十六條ノ趣意ハ改正案施行前ニ株式會社ガ社債募集ノ決議ヲ爲シマシタ場合ニハ其後ノ手續卽チ募集ノ實行ニ關シマシテハ新法ヲ適用セズシテ舊法ノ規定ヲ適用セシムルト云フノガ本文ノ趣意デアリマス、其趣意ハ前ノ第七條ヲ說明致シマシタルトキニ申上ゲマシタ通リ、會社ガ實際社債ヲ募集致シマスル場合ニハ最モ多クノ場合ハ雁置分者トノ間ニソレゾレ交涉ヲ途ゲマシテ、大槪ドレ位ノ應募者ガアツテ、ドレ位ノ價額デ應ズルト云フコトノ認メガ付キマシテカラ、一方ニ着手スル、或ハ決讓スルト云フコトニ相成ル場合ガ最モ普通デアラウト思フ、ソレ故ニ其場合ニハ先ヅ舊法ノ規定ヲ眼中ニ置キマシテ、會社ガ社債ノ募集ヲ爲サムトスルノデアリマスカラ、其計畵ニマデ新法ヲ適用スルコトハ餘リ適當デナカラウ、斯ウ云フ」趣意ナノデアリマス、併ナガラマダ此社債募集ノ公吿ヲ爲シテ居リマセヌ場合ニハ、二百三條等ノ規定ヲ適用シテ公吿ニ換ヘマスルニ社債申込書ヲ作ラシメ、其他所謂社債ノ一手引受又ハ間接募集、應募者、社債權者ニ對スル通知催吿ノ手續デアリマス、是等ノ便宜ナ手續ハ適用ヲ致ス、斯ウ云フ趣意ニ外ナラヌノデアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
本條ニ付イテ別ニ御發議ハアリマセヌカ――別ニ御發議ガナイト認メマス、第十七條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ヲ設ケマシタ趣意モ十六條ノ場合ト同ジ、或ハ却テ第七條ノ趣意ト同一デアルト申シタ方ガ適當デアラウト思ヒマス
○議長(子爵岡部長職君)
是モ別ニ御異議ガアリマセヌカ、――御異議ガナイト認メマス、第十八條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ニ依リマシテ適用セラル丶ベキ規定ハ申上ゲルマデモナク、株式併合ノ規定デアリマス、ソレデ此株式併合ノ規定ハ本法施行前ニ資本減少ノ決議ヲ爲シタル場合ニモ之ヲ適用ス、詰リ株式併合ニ關シマスル便宜ノ規定デアリマスカラ、此方ガ實際上都合ガ宜シイノデアラウ、斯ウ云フ趣意デアリマス、但シ株主總會ノ決議デ以テ斯樣ナ手續ヲスルコトヲ要セナイ場合ニハ、無論但書ニ依リマシテ適用サセナイ趣意デアリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
此十八條ノ規定ハ資本減少ニ着手中デアル場合ニモ勿論新シイ方ノ手續ヲサルルト云フ御趣意デアラウト思ヒマスルガ如何デアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
左樣デアリマス、施行前ニ資本減少ノ決議ヲ致シ、尙ホ其決議ニ基キマシテ實行致シテ居リマス場合ニ於テモ適用ノ出來ルレ趣意デアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
本條ノ趣意ハ齋藤君カラ說明セラレタ通リデアリマスガ、先ヅ以テ現行法カラ言ヒマスト、資本ノ減少ヲスルトキハ減少ノ決議ト同一ノ方法ヲ決議スルコトヲ要スト云フコトニナツテ居リマス、方法マデ併セテ決議ヲシナケレバナラヌ、併ナガラ是ガ實行ニ付イテハ議論ガアルシ、又私共ハ二百二條ノヤウナ方法ヲ執ルコトハ違法デアルト思ヒマス、若シ資本減少ノ方法トシテ株式併合ノ方法ヲ執ツテ、ソレガ實行ニ着手スルトキハ大槪總會ニ於テハ取締役ニ一任スルコトヲ決議シテ、取締役ニ對シテ斯ク迄ニ株主ニ對スル同意ヲ求メッ丶アルノガ今日ノ現狀デアリマス、サウ云フヤウナ場合ニ株式ヲ併合シテ資本ヲ減少スルト云フコトハ先ヅ實際ハナイ、ソレデアリマスカラ、先刻申シマシタ通リニ事實ハ岡松君ノ御尋ノヤウナ場合ガ起ルマイ、斯ウ云フコトヲ申シタノデアリマス
○議長(子爵岡部長職君)
本條モ別ニ御發議ハアリマセヌカ――次ニ第十九條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ハ御覽ノ通リニ經過法ト申セバ、經過法ニナラヌコトモナカラウト思ヒマス、詰リ二十圓ト云フ株金額ヲ先ヅ認メナイコトニナリマシタノデ、其規定ニ基イテ會社ガ五十圓ニ一株ノ金額ヲ增サウ、或ハ百圓デモ宜シウゴザイマスガ、兎ニ角五十圓以上ニ增サウ、其增シマスルニ從來ノ株式ヲ併合シテ五十圓以上ノ金額ニ增サウ、詰リ五十圓以下タルコトガ出來ナイト云フ原則ニ改メマシタ結果ト致シテ會社ガ株式ヲ併合スル企テヲ致シマスレバ、詰リ改正法ノ施行ニ俘フト云フコトモ、申スコトモ出來ナクモアリマセヌケレドモ、本條ハ全ク小サイ金額ノ株ヲ合セテ大キイ株ニスル、サウ云フ場合ニ株式併合ニ關スル規定ヲ準用スルト云フ規定ニ致シマシタ、是ハ實際上此規定ガゴザイマセヌト終了ガ附カナイノデアリマス、ソレ故ニ此所ニ入レマシタノデアリマス
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(子爵岡部長職君)
御異議ガゴザイマセヌカ――然ラバ是モ御異議ナイト認メマス、既ニ六時ニナリマシタカラ本日ハ是デ散會シマス