商法(~1951年)

第二次法律取調委員会 商法中改正法律案 議事速記録 第8回

参考原資料

備考

  • 未校正のテキストデータです.
法律取調委員會(商法中改正案)第八回議事速記録
出席缺席
○議長(岡部長職君)
是ヨリ開會致シマス、第二百六條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ申上ゲルマデモナク既ニ此案ノ百五十條ヲ修正シマシタトキニ申上ゲマシタ趣意ト大體同ジデアリマシテ二百六條ハ社債ノ讓渡ノ規定デアリマス、讓渡デハアリマスルガ狹イカラソレヲ移轉ト改メ從テ讓受人ヲ取得者ト改ムルコトヲ相當ト認メマシタ左樣御承知ヲ、、、、
○議長(岡部長職君)
別ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ」者アリ)
○議長(岡部長職君)
御異議ガナケレバ可決ト認メマス第二百七條ノ二
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此百七十二條ノ二ノ規定ハ株主ニ對シマスル會社ノ通知催吿ハ株主名簿ノ記載ニ依ルト云フ趣意デアリマシテ其規定ガ株式申込人ニ對スル通知催吿ニモ準用サレマシタノデゴザイマスカラ社債權者ニ對シマシテモ社債原簿ノ記載ニ從テ爲スト云フコトハ相當デアラウ權衡ヲ得ルモノデアラウト云フ齢趣意カラシテ此新ラシイ修正ヲ設ケマシタ次第デアリマスーチヨツト會長、其前ニ志村委員ノ御提出ニナリマシタ二百七條ノ修正案ガアルノデアリマスガ是ハ曩ニ二百五條第一項ノ修正案ガ否決ニナリマシタ結果當然議スルコトヲ要サナイコトニナツタモノト必得テ宜シウゴザイマスカ
○議長(岡部長職君)
十二番如何デ
○十二番(志村源太郞君)
異議ハゴザイマセヌ
○議長(岡部長職君)
左樣ナラ志村君ノ二百七條ノ修正案ハ自然ノ結果議スルヲ要サズト云フコトニナリマシタ、御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
然ラバ可決ト認メマス、第二百八條ニ左ノ一項ヲ加フ
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此條ニ付キマシテハ曩二百五十六條ノ改正ノトキニ併セテ申上ゲテアツタト思ヒマスケレドモ尙ホ念ノタメニ申上ゲマスガ百五十六條ノ第二項ニ總會ノ目的及總會ニ於テ決議スベキ事項ヲバ總會召集ノ通知狀ニ記載スルコトガ必要デアルト斯ウ云フ規定ニナツテ居リマシタノヲ總會ノ目的タル事項ヲ記載スルノデアルト斯ウ云フ趣意ニ修正ヲシタノデアリマス此修正ノ理由ハ當時申上ゲマシタカラ繰返シマセヌガ若シ此修正ダケデゴザイマスルト總テノ議事ニ付テ會議ノ目的タル事項ノ通知ダケアレバ足ルト云フコトニナリマシテ定款變更ノ議事ノ場合ノ如キハ甚ダ其不安心ノ結果ニ相成ラウト思フ、株主ニ取リマシテハ此重大ナル事項デゴザイマスル定款變更ノ場合ニハ特ニ其議案ハ通知狀ニ書ク方ガ相當デアル斯ウ認メマシタカラ百五十六條ノ第二項ノ修正ニ拘ラズ此定款變更ニ關スル議案ダケハ通知及ビ公吿ニ之ヲ記載セシムルノガ相當デアルト云フ趣意ニ修正シマシタ唯ダ爰ニ要領ト云フ文字ヲ使ヒマシタノハ議案ト書キマスト議案ノ全文字一句其通リ記載スルト云フコトニナリマシテハ又其總會ノトキニ或ハ字句ヲ修正シテ出シマシテハ會議ノ規則ニ反スルト云フヤウナ批難冖モ起ラヌト限リマセヌノデスカラ議案ノ要領ト云フ字ヲ附加ヘマシテソレ程窮屈ナ記載事項デナクテモ宜シイト云フ趣意ヲ明カニ致シマシタ次第デアリマス
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
別ニ御發議ガナケレバ御異議ハナイト認メマス、第二百九條第一項
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
本條ニ付キマシテハ二ツノ點ニ於テ修正ガゴザイマスノデ先ヅ此一箇月ヲ下ラザル期間ノ修正ニ付テ申上ゲアスレバ一箇月ヲ下ラザル期間ト云フコトハ一箇月内ト云フ意味ニ解釋スルノカ或ハ其通說デアルマイカト思フノデアリマス併シナガラ反對ノ解釋ガアリマシテ少クトモ一箇月ノ期間ヲ置カネバナラヌト斯ウ云フヤウニ其解釋スル人ガアルサウデアリマスカラシテ此修正ヲ機ト致シマシテ一箇月内デアルト云フコトヲ明カニスル必要ガアラウト云フトコロカラ此一箇月ヲ下ラザル期間内ト云フノヲ一箇月内ト改メマシタ、ソレカラ第二項ヲ入レマシタノハ第一項ノ規定ニ依リマスト定款ノ變更ハ總株主ノ半數以上ノ株主ガ出席スルコトヲ要スルト云フ規定ニナツテ居リマスノデアリマスガ此記名株ノ場合ニハ總株主ノ數ガ明カニ分リマス從ツテ其半數以上ト云フ數ノ計算モ出テ參リマスノデアリマスガ無記名株ノ場合ニハ其會社ノ方デ常ニ總株主ノ數ガ分ツテ居ルト限リマセヌ、從テ此半數ト云フ數ノ算定ガ甚ダ困難ニナツテ參ル、デ現行法ノ解釋トシテハ吾々共ハ其無記名株ヲ會社ニ供託シナイ株式ノ數ハ此總株主ト云フモノニハ算入シナイ解釋ヲ執ッテ居ルノデアリマスケレドモドウモ文字ノ上カラシマスト疑ヒガ生ジ易イノデアリマス、デ結局若シ嚴格ニ解釋致シマスレパ無記名株ヲ持ツテ居ル株主ニシテ供託シナイ者ノ頭數ガ這入ツテ居ラナイ場合ニ其決議ガ無效デアルト云フヤウナ議論ガ生ズル虞レモゴザイマスカラ此點ヲ明カニスル必要ガアル、サウシテ其趣意ハ無記名式ノ株劵ヲ持ツテ居ル者ハ株主ノ權利ヲ行ウ場合ニハ株劵ヲ供託スルコトヲ要スト云フ規定ガアリマシテ尙ホ其總會ノ場合ニハ會日ヨリ一週間前ニ株劵ヲ會社ニ供託スルコトヲ要スト云フ規定ニナツテ居リマス此規定ニ依リマセヌデ株劵ヲ供託セザル株主ハ總株主ノ員數ニ算入シナイデ此半數ヲ割出スト云フヨリ外ニ仕方ガナイト思ヒマシテ斯樣ナ規定ヲ設ケタ――次第デアリマス、「前項」ト云フノヲ「前二項」ト改メマシタノハ一項這入リマシタ當然ノ結果デアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
私ハ第二百九條ノ此追加セラルル一項卽チ無記名ノ株劵ヲ供託シナイ者ハ株主ノ頭數ニ算入シナイト云フ此案ハ無論反對致ス譯デハアリマセヌガ、是ハ據ロナク私ハ贊成シテ居ルノデアリマス其據ナイト云フコトダケヲ私ハ御參考ニ申述ベテ見タイト思フノデアリマスガ申スマデモナク株式會社ニ在リマシテハ所謂資本ノ團體デアリマスカラ自ラ資本ヲ餘計出シテ居ル者ハ會社ノ内部ニ於テ大キク權利ヲ持ツ僅カシカ出シテ居ラナイ者ハ僅カノ權利シカ持タナイ者デアル卽チ株式ヲ多數持ツテ居ル者ハ多數ノ權利ヲ得少數ノ株式ヲ持ツテ居ル者ハ少數ノ權利シカ得ラレナイ、而シテ其株主ハ何デアルカト言ヘバ之ヲ金額ノ方カラ見レバ卽チ資本ヲ代表スルコトニナルノデアルソレデ之ニ付キマシテハ外國ノ例等モ調ベマスルト云フト大體ニ於テハ其原則ヲ貫イテ居ルノデアツテ株主ノ其頭數ヲ問フト云フ例ハドウモナイヤウデアリマス、議決スベキ事柄ノ輕重ニ依テハ其總會ニ代表セラルベキ資本ハ或ハ其半額以上デナケレバナラヌ或ハ四分ノ三以上デナケレバナラヌト云フノデ代表資本ノ額ヲ問フコトハソレハ珍ラシクナイ、アルノデアリマスケレドモ代表頭數ヲ問フト云フ例ハ餘リ私ハ見當ラヌノデアリマス、ソレデ外國ノ例ハ卽チサウ云フ譯デアリマスケレドモ併シナガラ又一方ニハ少數ノ株主ト云フモノガ多數ノ株主ノ壓制ヲ被フルト云フコトハ是ハ又多數團體ニ於テハ相當ノ途ヲ設ケテ其軋轢ノ甚ダシカラザルコトヲ期スルト云フコトモ是ハ確カニ一ツノ大ナル理由デアルト思フノデアリマシテ從テ此大多數ノ其株主ノ多クノ株式ヲ持ツテ居ル者ノ議決權ノ上ニ制限ヲ加ヘテ居ルト云フ例モアルノデアリマス例ヘバ幾ラ株ヲ持ッテ居ツテモ其株ノ幾ラ以上ノ議決權ヲ行フコトヲ得ズトスル卽チ株式相當ノ議決權ヲ持テナイヤウニスルト云フ例ガアルノデ殊ニ會社創立ノ際ニ在テハ或ハ總テノ者ガ株式ノ數ヲ問ハズ一個ノ議決權シカ持タナイモノデアルト云フヤウナコトヲ定メテ居ル例モアル、又五個ノ議決權ヨリ以上持ツコトハ出來ヌト云フコトヲ定メテアルノモアル、是ハ極圸粫ノコトデアリマシテ會社創立ノ際ニ限ツテ居ル、ソレハ會社創立ノ際ニ於テハ發起人ト云フ者ノ勢カガ大キクナツテ或ハ總テノ創立ニ關スルトコロノ決議ガ發起人ノ意ノ儘ニナルト云フコトニナツテハ全體ニ不利デアルト云フトコロカラ、サウ云フ制限ヲ置イタモノト思ヒマス、併シナガラ一度ビ會社ガ成立シタ後ニ於テハ多クハ皆代表資本ニ依テ原則ヲ立テ而シテ又議決スルニ付テモ其代表セラルル資本ノ半分以上ガ同意セネバナラヌ或ハ或重大ナルモノニ付テハ代表資本ノ四分ノ三ニ當ル株主ガ同意シナケレバナラヌト云フヤウナ例ハ珍シクナイノデアリマス、ソコデ現行商法ニ付キマシテハ第百六十二條ニ「各株主ハ一株ニ付テ一個ノ議決權ヲ有ス但十一株以上ヲ有スル株主ノ議決權ハ定款ヲ以テ之ヲ制限スルコトヲ得」ト云フ箇條ガアルノデアリマシテ之ヲ唯今申上ゲル趣意ニ基イテ卽チ大株主ノミニ、株ヲ持ツテ居ルガ故ニ一株ニ付テ必ズ一個ノ議決權ヲ與ヘルト云フコトニナッテハモウ小株主ナル者ガ或ハ其壓制ヲ受クルカモ知レヌト云フコトヲ法律ガ憂ヘタモノト私ハ見ルノデアリマス、而シテ實際ニ於テ此百六十二條ノ定款ニ規定シテ其運用ヲ爲シテ居ルト云フ例ハ私ハ聞カヌノデアリマスカラ此百六十二條ノ其趣意ハ實際ニハ行ハレテ居ラヌヤウデアリマス却テ古イ此商法施行前或ハ尙ホ進ンデハ舊商法施行前ノ會社ニ在リマシテハ小サイ株主ヲシテ權利ヲ行ハシメナイト云フ例ハアッタノデアリマスケレドモ百六十二條ハ實際ニ働イテ居ルコトヲ私ハ承知致シマセヌガ併シ法律ノ上カラ申セパ其大株主ノ何ト言ヒマスカ或ハ勢カノ大ナルコトヲ心配スルノ餘リニ設ケタトコロノ制限ハ卽ち百六十二條ノ規定トソレカラ今問題ニナツテ居ルトコロノモノニ關係スルトコロノ規定デ卽チ株主ノ半數以上ニ當ル者ガ出席セネパナラヌト云フコトノニツガアル譯デアリマス、此頭數ヲ間フト云フコトモ矢張其基クトコロニハ小サイ株主ヲ保護スルト云フコトニナルコトハ是ハ私ハ疑ヒハナイト思フノデアリマス蓋シ是ハ舊商法ガヤハリサウ云フ原則ヲ執ツテ居ツタノデアリマスデ之ニ倣ッタモノデアラウト思フノデアル併シ唯ダ外國ノ例ナドデ見マシテモ此株式會社ノ資本ノ團體ナルコトカラ見マスト云フト現行法ノ其頭數ヲ問フト云フ規定ハ或ハ私ハ穩當デアルマイカト思フノデアリマス、併シナガラ現行法ハ其點ニ於テ今日修正ノ必要ヲ認ムル譯デハナイノデアリマス、又之ガ修正ヲ建議シテ居ルト云フコトモナイノデアリマスカラ、偖テサウナリマスト云フトドウシテモ無記名ノ株ヲ發行スルト云フコトニナルト其頭數ノ計算ノ上ニ於テハ何トカ始末ヲ附ケナケレバ是ハ疑問ニナルベキ理窟デアルノデアリマス唯ダ曩キニ他ノ問題ニ付テモ申上ゲマシタ通リニ我國ノ株式會社ニ於テハ無記名式ノ株劵ヲ發行シテ居ルコトガ興業銀行ノ例ガアッテモ其他ハ殆ドナイヤウデアリマスカラ從ツテ此二百九條ニ加ハルベキトコロノ規定ガ左程實際ノ必要ニ基イテ居ルノデアルト云フコトハ申上ゲ兼ヤウト思ヒマス併シナガラ既ニ法律ガ無記名株ノ發行ヲ認メテソレヲ法律ニ規定シテ居ル以上ハ其始末ノ附クダケノ規定ハドウシテモ設ケネバナラヌノデアリマシテ卽チ此二百九條ニ一項ヲ加ヘルト云フコトニ致シタ譯デアリマス、私ノ之ニ贊成シテ居ル所以ハソコニ在ルノデアリマス
○十番(梅謙次郞君)
私ハ本條ニ付テ別ニ反對ノ意見ヲ持ツテ居ル譯デモ何デモアリマセヌガ先刻ノ齋藤君ノ御說明ノ中ニ前項ニ定メタル員數ノ株主トアルヲ前二項ニ定メテアルト直シタノハ詰リ一項殖エタカラデアル別ニ意味ハナイト言ハレマシタケレドモソレデアレバ定メタル員數ノ株主トナルベキ筈デアル員數ト云フ文字ヲ取ラレマシタノハ私ノ想像致シマストコ揖デハ二百九條ノ第一項ニ資本ノ半額以上ニ當ル株主ト云フ文字ガアル是ハ其株主ノ員數ヲ法律ガ定メタソデナイノデアルカラソレデ員數ト云フ文字ヨリモ直チニ株主トシタ方ガ宜イト云フ御意見デ斯ウ直サレタソデアラウト思フ、左樣ニ解シテ私ハ主査會ニ於テモ質問モ致シマセヌデアツタガ先刻ノ齋藤君ノ御說明ダト或ハ員數ト云フ字ガ漏レタカノヤウニモ聞エマスルデ私ハ實ハ此半額――資本ノ半額以上ニ當ル株主ト言ツテモ員數ヲ意味シテ居ルト思フ成程非常ノコトモアラウガ員數デ宜イト思フ、ケレドモ修正說ヲ出ス程ノ必要ハナイカラ出サナカツタガ若シヤ員數ト云フ文字ガ漏レタナラバ爰デ入レテ貰ウ方ヲ希望スル、其點ヲ伺ヒタイ、ソレカラ此コトハ辯明シテ置クニ止メマスケレドモ齋藤君ハ此第三項――今度ノ案ニスルト第三項ノ卽チ前二項ノ改正ハ意味ヲ明カニシタニ止マル同ジ意味デアルト云フノガ通說ノヤウデアルガ中ニハ一箇月ヲ下ラザルト云フコトハ一箇月ヨリモ長クテモ宜イト云フ意味ニ解スル者モアルカラソレデ改メタンデアルト斯ウ云フ御話デアリマシタガ私ハサウハ思ハヌ現行法ニ於テハ明カニ一个月ヲ下ラザルト云フノデアルカラ一箇月ヨリ短クテハ行カヌ一个月以上ト書イタノデ同ジ意味デナイト云フコトヲ信ジテ疑ハヌノデアル是ハ實質ヲ改メタ方デアルトシテ私ハ了解シテ居リマスノデ此事ハ唯ダ辯明ニ止メテ置キマス
○二番(岡野敬次郞君)
此一箇月ヲ下ラザル期間内ト云フコトニ付テハ私ハ梅君ノ御說明ニ反對スルノデハアリマセヌガ解釋上ニ於テ疑ヒガアルト思フテ居ルノデアリマスソレハ梅君ノ一箇月ヲ下ラザル期間ト云フコトヲ解シテ一个月以内ノ期間デアルト云フヤウニ解スルコトハ是ハ私モ其文字上無理ナルコトヲ認メテ居ルノデアツマスケレドモ私ガ此立法ノ趣意ヲ考ヘテ見マスト云フト假決議ヲシテ其假決議ナルモノガイッマデモ確定議ニナラヌト云フ卽チ不確定ノ狀態ニ在ルト云フコトハ或ハ會社ノ機關ガ其通從スルトコロニ迷フト云フヤウナコトニ立至ルカモ知レヌカラ果シテ其假決議ト云フモノガ否認セラルルデアルカ或ハ認メラレテ爰ニ決議ヲ實行スベキトキガ來ルカト云フコトヲ早ク極メルコトガ宜シ功ラウト云フ趣意ナリト私ハ解シテ居ルノデアリマス固ヨリ其解釋ノ當否ヲ茲ニ今申上ゲルノデハアリマセヌノミナラズ私ノ立法ノ趣意ナリト思フ所ニ付テ固ヨリ反對論ノアルコトモ認ムルシ又反對論ノ理由ノアルコトモ認メテ居ルノデアリマス、ケレドモ若シ私ノ記憶ガ誤ツテ居リマセヌナラバ大審院ノ判例ニ於テハヤハリ此一箇月以内ト云フ意味ヲ以テ解釋ヲシタ例ガアルト思ツテ居リマス、此大審院ノ判例ガ固ヨリ唯ダ法律ノ運用ノ上ニ於テサウ云フコトニナッタト云フダケデアリマシテ擧說ノ上ニ於テハ固ヨリ反對論ヲ爲スコトヲ妨ゲナイノデアリマスケレドモ併シ實際ハサウ云フ譯デアル、ソレデ私ハ之ヲ改正スル所以ハ何レデモ宜》イノデ實質ヲ變更スル意味三於テ改正スルトシテモ差支アリマセヌシ又從來ノ大審院ノ判例ヲ法文ニ現ハシタノデアルト云フコトニナツテモソレモ差支ナイノデ兎ニ角一个月以内トスル方ガ宜カラウト云フ意味ニ於テ修正ヲセラレタト云フコトニ御了解下スツタナラバソレデ原案ノ趣意ハ逹スル譯デアリマスカラ此解釋ノ當否ノコトハ別段ニ申上ゲマセヌノデアリマス
○四番(齋藤十一郞君)
此現行ノ第二項ノ初メノ所ニ前項ニ定メタル員數ノ株主ヲ前二項ニ定メタル株主ト改メタノハ一項加ヘタ結果デアルト私ハ說明ヲシタノデアリマスガ然ラバ員數ト云フ文字ヲ一』洛シタノデハナイカト云フ御疑ヒモアツタノデアリマスガ是ハ其第二項ニ前項ノ總株主ノ員數ト云フ字ヲ爰ニ使ヘマシタモノデスカラ前二項ニ定メタル員數ノ株主ト云フト解釋トシテハモウチツトモ疑ヒハナイノデアリマスケレドモ何ダカ文字ノ上ニ於テ員數ト云フノハ總株主ノ員數ト云フソレヲ引掛ケテ來タヤウニモ文字ノ上ニ於テ其疑ガアルノデアリマスカラソレデマア寧ロ員數ト云フ字ガナクテモ分カルト云フコトデ員數ヲ入レナイノデアリマシテ結局ハ第二項ヲ入レタ結果ニ過ギナイノデアリマス唯ダソレダケヲ明カニシテ置キマス
○二十五番(高木豐三君)
先刻岡野君カラ御說明デ其一个月ヲ下ラザルト云フコトヲ何カ判決例ニ依テ斯ウ云フ工合ニ書イタト云フ意味ニ說明セラレタヤウニ思ヒマスガサウ云フ例ガアルノデアリマスカモウ一度、、、、
○二番(岡野敬次郞君)
餘計ナコトヲ申上ゲタヤウニアリマスガ私今爰ニ確カリ記憶致シテ居リマセヌカラソレデ申上ゲ兼ネマスケレドモ私ノ記憶ガ誤リナクンバサウ云フ裁判例ガアルト云フ卽ち}箇月内ト解釋シタガ、尙ホ私ハ序デニ申上ゲテ見タイノハ卽チ私ガ唯今爰デ浮ソダトコロノ疑問デアツマスガ其疑問ハ此無記名式ノ株劵ヲ發行ツタル場合ニ於テハ其株劵ヲ供託シナイモノハ株主ノ頭數ニ算入シナイト云フコトハ二百九條ニ加ッテアリマス二百九條ニ加ツテ居ル所以ハ法律ニ於テ總株主ノ半數以上ニシテト云フコトヲ規定シテ居ルガ故ニ此場合ニ最モ其適用ヲ見ルベキ譯デアツテ而カモ此二百九條ニ對スル修正ノ建議トシテ出テ居ルガ故ニ之ヲ採用シタ匹デアリマスガ今私チョット爰ニ浮ソダ疑ヒト申スノハ若シ其會社ガ定款ニ此二百九條以外ニ於テ定款ニ其資本ノ額ノミナラズ株主ノ其頭數ヲ計算ニ入レテ本會社ノ總會ニ於テハ資本ノ半額ナリ或ハ四分ノ一ナリ又株主ノ頭數ノ上ニ於テ總數ノ四分ノ一ト云フモノガ出席シナケレバ定則數ヲ成サヌノデアルカラ決議ガ出來ナイト云フヤウナ意味ノ規定ヲ卽チ頭數ヲ入レテ定則數ヲ定款ニ定メタト云フ場合ニ於テサウ云フ場合ヲ想像シテ而シテ其會社ガ無記名式ノ株劵ヲ發行シタ場合ニ於テハ二百九條ニ附加ヘラレタル此箇條ノ趣意ヲ取ツテ供託セザル者ハ頭數ニ算入シナイト云フ解釋ヲ執リ得ルカドウカト云フコトハ疑問デアラウト私ハ思フ寧ロ此二百九條ニ附加ヘラレタルトコロノ箇條ハ卽チ二百九條ノ適用セラレ二百九條ノ準用セラルル場合ニ限ツテ居ルノデ定款ニ定則數ヲ定メタ場合ニハ之ガ適用スル場合ガナカラウト考ヘマスサウシマスルト又之ニ付テ何カ特別ノ規定ヲ要スルカ或ハ二百九條ニアルトコロノ此附加ヘヤウト云フコトヲ何處カ他ノ場所ニデモ動カシテサウシテ之ヲ獨立ノ條トシタ方ガ或ハ適當デハアルマイカト云フ疑ヒヲ私ハ此席デ唯今起シタノデアリマス、デ若シ孰レニカ此議場ニ於テ御議定ニナツタナラバ何トカソコニ相當ノ其修正ヲ加ヘルノ必要ガアリハシナイカト思フノデ心附イタコトヲ御參考ニ申上ゲテ見タイト思フノデアリ可、ス
○十番(梅謙次郞君)
岡野君ノ御疑ヒバ御尤モデアリマスケレドモ私ノ考ヘマスルニハ此定款ニ定メマスコトハ此事柄ニ限リマセズ法律ノ禁ジ得ナイコトハ色々ナコトヲ極メラレルコトニナツテ居リマスデ想像致シマスルト唯今岡野君ノ御虞レニナツタヤウナコトモ有リ得ルカサウ云フ定款ニ定メタトコロノ會社ノ基礎トナルベキ規定マデモ商法ノ中ニ置クト云フコトニナリマスルトナカ々々煩ハシイコトニナルデアラウシ、サウシテ今岡野君ノ御想像ニナツタヤウナ場合ハ成程アルデハアリマセウガ併シサウ頻繁ノ場合デハナカラウヤウニ想像致シマスサウ云フ定款ヲ作ルモノハ其解釋三付テ成ルベク疑ヒノナイヤウニ規定スル方ガ宜イデスケレドモソレハ定款ヲ書ク人ガ不注意デアレバ仕方ガナイ定款ニ他ノ規定ニ付テモ往々サウ云フコトノアルノハ已ムヲ得ナイコトデアラウト思ヒマス詰リ其定款ニ書ク問題ニナルノデアルカラ私ハ法律ヲ以テサウ株主ノ半數ト云フヤウニ總株主ト云フモノヲ標準トシテアル場合ダケヲ規定ヲ設ケテ置ケバ其他ハ定款デ如何ニモ定メ得ラルルモノデアルカラ必ズシモ定款ニ定ムル材料トナルベキ規定ヲ廣ク設ルマデノ必要ハナカラウト思ヒマスノデ私ハヤハリ此儘デ宜クハナイカト思ヒマス
○二番(岡野敬次郞君)
若シ梅君ノ御意見ノヤウニ此總會ノ御音伊同ガ定マリマスレバ敢テ私ハ修正ヲ加ヘルト云フ程ノ意見ヲ提出スル譯デハアリマセヌガ併シ定款ノ解釋問題トシテハドウモ私ハ解決ガ附カト思フ、ヤハリ頭數ニ於テ三分ノ一ナリ四分ノ一ノ株主ガ出席セネバナラヌト云フコトヲ定款ニ定メタナラバドウ解釋シテ宜シイカ若シソレガ定款ノ解釋デ附クナラパ二百九條モ亦タヤパリ解釋デ附ク譯デアル、何トナレバ頭數ヲ問フト云フコトニ於テハ卽チ一ツデアル譯デアリマセウ私ハ此修正ニ付テ前申上ゲタヤウナ意味ニ修正ヲ致シマシタトコロガ左程ニ難事デモ私ハナカラウト思ヒマス、又梅君ノ御話ノ加川クニ私ノ想像スルヤウナ場合ハ固ヨリ頻繁デハナイ或ハ實際ニハナイカモ知レマセヌケレドモ既ニ此無記名式ノ株劵ヲ發行スルト云フコトガ極メテ稀レナンデ今日マデノ所デハーソレデアリマスカラ今日ノ實際カラ考ヘテ見マスト云フト二百九條ニ附加ヘラルル所ノ規定ノ適用モ決シテ頻繁デハナイノデアル、寧ロ此修正ハ何トカ始末ヲ附ケネパナラヌト云フ理窟カラ出デタ所ノ修正ト私ハ思フ位デアリマスカラ或ハ双方ニモウ適用ノアルヤウニ廣メタ方ガ穩當デハアルマイカ且ツ固ヨリ定款ノ其解釋ヲ法律ガ極メルト云フヤウナ次第デハナイノデサウ云フ私ハ趣意ヲ以テ申上ゲルノデハアリマセヌガ既ニ爰ニ加ハルベキモノノ趣意ガ定款ニ定則數ヲ定メタル場合ニ孰レトモ解決ガ附カナイト云フコトデアルナラバヤハリ擴メタ方ガ却テ體裁ヲ得ルモノデハアルマイカト私ハ思フソレデ申上ゲタノデアリマス
○二十八番(長谷川喬君)
唯今岡野君カラ言ハレタノハ完全ニナツテ宜イ方法ダラウト思ヒマス功ラドウカ岡野君カラ獨立ノ條トシテ御出シニナルカ又ハ百六十一條ノ二項ニ附加ヘルトカシテ一ノ成案ヲ提出アランコトヲ望ミマス
○二番(岡野敬次郞君)
唯今ノ長谷川君ノ御說ニナリマシテハ今私ハ成案ハナイノデアリマス、チヨツト今爰デ心附イタト云フ――今チョット富井サンノ御注意デアリマスガ是ハ此儘ニシテ置イテ或ハ二百九條ノ第二項ヲ此百六十一條ノ場合ニデモ準用スルト云フヤウナ體裁ノ方ガ或ハ宜クハアルマイカト云フ是ハ又爰デノ話デアリマス、或ハソレガ適當カモ知レヌガ若シ擴メル方ガ宜イト云フ趣意ガ爰デ御議定ニナレバ其案ノコトハ吾々ガ重ネテ相談ヲ致シマシテ別ニ修正ノ案ヲ提出シテモ宜シウゴザイマスガ趣意ノ採否ダケヲ極ヌテ戴キタイト思フノデアリマス
○二十八番(長谷川喬君)
ソレデハ趣意ダケハ贊成シマス
○十番(梅謙次郞君)
私ハ事柄ニ於テ害ノナイコトデアリマスカラ大槪ナラバ贊成ヲ致シタイノデアリマスガ法文ノ體裁ノ上カラドウモ私ハ唯ダ今ノ案ニハ同意ガ出來兼ネル、定款若シ斯ウ云フコトヲ定メタナラバ其意味ハ何ウデアルト云フヤウナ規定ハドウモ商法中ニ外ニナイヤウニ思フ、所ガ只今岡野君ノ言ハレマシタ場合ハ詰リソレニ歸着スルノデ定款中ニ總株主ノ何分ノ一ト云フヤウナ其多數ヲ必要トスル場合ニハヤハリ此無記名株ヲ發行シタル場合ニ於テハ株劵ヲ供託シタ者ダケヲ其株主ノ員數ニ加ヘルノデアルト云フコトヲ、案ヲ詰リ書クノデ形ハドウ云フ形ニ書イテモサウ云フ意味ニ違ヒナイ、定款ノ解釋問題ヲ定ムルト云フコトニナルサウ云フコトヲ考ヘマシタナラバ外ニモアルカモ知レマセヌケレドモ商法中ニ其類ノ規定ハドウモ私ハ一箇條モナカッタヤウニ思フ外ニハソレガーソレトモ頻整{ノコトナレバ鉦試醐體裁ノタメニ實質ヲ犠牲ニ供スルト云フコトハ行ケマセヌカラ規定スルモ岡野君ガ認メラルル如ク頻繁ナルコトデハナイ、第一ニ今日デハ無記名株ガ少ナイト云フコトデアル、併シ是ハ段々增加スルカモ知レヌ、併シ總株主ノ何分ノ一ト云フコトヲ極メルト云フコトガ果シテサウ頻繁デアラウカドウモ私ハサウデハナカラウト思フノデアル、最モ譬ヘバ定款ノ變更ニ付テ商法ニハ總株主ノ半數以上ト云フカ之ヲ總株主ノ三分ノ二以下トスルト云フヤウナコトハ或ハアルカモ知レマセヌガサウ云フ場合ニハ私ハ解釋上自ラ本條ノ第二項ヲ適用シテ宜イデアラウト思フ詰リ定款ノ規定ハ不完全デアル其意味ハ多分商法ノ意味デ同ジ意味デ用ヰタンデアラウト解釋スルノガ當然デアルト思フ、デ稀レニサウ云フ場合ガアツテモ大抵ハ解釋ニ困ルコトハナイト思ヒマスカラ此所ハ唯ダ法律ヲ以テ總株主ト云フコトヲ極メテアル、總株主ノ半數ト云フコトヲ極メテアルカラ理窟上第二項ガナイト詰リ締括リガ附イテ居ラヌト云フコトニナルカラ誰カ御氣附ニナツタ人ガアッテ外カラ出タ改正意見デアツタカ内カラ出タ改正意見デアツタカ記憶致シマセヌガ誰カ氣ノ附イタ人ガアッテ斯ウ云フコトヲ考ヘラレタンデ折角考ヘラレタソデアルカラソレハ規定シタ方ガ宜カラウト思ヒマス此規定ソレ自身モ岡野君ノ言ハルル通リサウ實際ニ於テ必要デアルカ疑ハシイ定款ノ解釋ニ畢竟歸スルコトマデモ此處ニ揭ゲナクチヤナラヌト云フコトガ私ハ同意致シ兼ルノデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
私ハ豪ライ熱心ニ主張スル譯デアリマセヌガ定款ノ解釋ヲ法律ガ極メルト云フコトニ見ルノハ誤リデアルト思フ、サウデハナイ、此百六十一條ニ「總會ノ決議ハ本法又ハ定款ニ別段ノ定メアル場合ヲ除ク外出席シタル株主ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス」ト斯ウアルノデ既ニ法律其モノガ定款ニ別段ノ定メヲ爲スコトヲ認メテ居ルノデサウシテ隨分其マア考ヘレバ今私ハ實例ガアルト云フコトヲ申上ゲ兼ネマスガ併シ株主ノ頭數ヲ定メルト云フ場合モアルダラウ若シサウ云フコトヲ定メタナラバ何方ツチニナルカ何ウ頭數ヲ計算スルカト云フコトハ定款ニ疑問デハナイ矢張法律ノ解釋ノ上ニ於ケル疑問デアルト思フ、ソレデ若シソレガ二百九條ノ趣意ヲ執ルノデアルト云フコトナレバ私ノ思フ通リデアッテ一向差支ナイ併シナガラ二百九條ガ其場合ニ當嵌ルヤ否ヤト云フコトハ確カニ私ハ疑問デアルト思フ併シ疑問デアルニモ拘ラズ此二百九條ノヤウニ解釋スルノガ當然デアルト云フナラバ定款ノ解釋ト法律ノ解釋トニ依テ區別ハナイヤハリ半數トカ四分ノ一トカ云フコトヲ計算スル上ニ於テ私ハ同ジコトデアルト思フ敢テ私ハ豪ライ熱心ナ主張者デハアリマセヌケレドモ氣附イテ自分ノ疑問トスル所ヲ申上ゲナイノモ甚ダ遺憾デアリマスカラソレデ申上ゲタソデアリマス唯ダ定款ノ解釋定款ニドソナモノヲ書クカ分ラヌ其分ラヌモノヲ一々法律デ規定シテ置カウト云フコトデナイコトヲ明言シテ置クノデアリマス
○十番(梅謙次郞君)
御採決ヲ願ヒマセウ、餘リ大キナ問題デモナイカラ
○議長(岡部長職君)
ソレデ定款變更ノ場合以外ニモ第二百九條第二項ノ趣意ヲ擴メルノ可否
○二番(岡野敬次郞君)
サウデス定款變更ト言ヘバ二百九條ヲ適用スル、、、、
○二十七番(内田嘉吉君)
唯今御發議ノコトハ私モ多少疑ヒヲ實ハ持ツテ居リマスノデ幸ヒ御意見ガ出マシタカラ御調査ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、併シナガラ他ノ委員例ヘバ梅委員ガ如キハ別段必要ヲ認メヌト云フコトデアリマスカラ唯今此總會デ以テ必ズ其趣意ヲ採ルカ採ラヌカト云フコトヲ極メテシマウノモ聊カ調査上如何カト考ヘマス願クハ主査委員ニ於キマシテ一應御相談ヲ一ツ願ヒマシテ其結果必要デアルナラバアル無イナラバナイト云フコトヲ一ツ御報吿ヲ願ツテソレニ異議アル場合ニ決議スルト云フコトニシタナラバ完全デナイカト考ヘマスノデ御相談ヲ一ツ致シ"、ス
○二番(岡野敬次郞君)
是ハ無論起草委員トカ主査委員トカ云フ資格ニ於テ私ハ申上ゲタノデハナイ唯ダ委員ノ一人トシテ私ハ申上ゲタンデ固ヨリ其調ベルコトハ調ベテモ宜イノデアリマス併シ私一個ノ考ヘトシマシテハ趣意ハ能ク分ツテ居ルノデアリマスカラ法文ヲボウスルカト云フコトハ無論其考ヘナケレバナリマセヌケレドモ輙三恩ニ付テハ格別斯ウ云フ思ヒ當ラヌコトモアツタトカ或ハ尙ホ進ンデ大ニ調査ヲセネバナラヌモノガアルダラウトカ云フヤウナコトハ全ク私ハナイト思フノデアリマス孰レデモ直チニ茲デ採決セラレテ然ルベキモノト私ハ思フノデアリマス
○議長(岡部長職君)
二番ノ說明ニ依テ修正說ハ御承知下サル、ソレニ贊成モアリマスカラ採決シテ見マセウ二番ノ修正ニ同意ノ諸君手ヲ擧ゲテ、、、、
擧手者少數
○議長(岡部長職君)
少數デゴザイマス、サウスルト他ニ御異議モナイヤウダガ原案ニ付テ別ニ御異議ガゴザイマセヌケレバ可決致シテ宜カラウト思ヒマス、可決ト認メマス次、
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此條カラ以下六箇條バカリ會社ガ資本ヲ增加スル場合ノ規定ニ關スル修正デアリマシテ事柄ハ恰度三ツ程アルノデアリマス新株ノ募集ノ場合ニ申込證ニ關スルコト、ソレカラ數種ノ優先株ヲ發行スルコトノ出來ル趣意ヲ明カニシマシタモウ一ツハ唯今議題ニナツテ居リマス金錢以外ノ出資ニ蘭スル規定ノ修正デアリマス、申上ゲルマデモゴザイマセヌガ現行法ノ二百十四條第一項第三號ト二百十五條ノ規定トニ該當シマス修正デアルノデアリマス此現行法ノ二百十四條ノ第一項ノ第三號及二百十五條ニ依リマスレバ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者ガアリマシタ場合ニハ恰度會社ノ設立ノ場合ニ其物件出資ヲ爲ス者ノアル場合ニ同ジヤウニ先ヅ以テ取締役ガ誰カ如何ナル財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲スト而シテ其者ニ對シテハ何レダケノ株式ヲ與ヘルト云フコトヲ定メマシテ最モ設立ノ場合ニ發起人デアリマスガサウシテ監査役ニ提出ヲシテ監査役ノ調査報吿書ト共ニ設立ノ場合ニハ創立總會ソレカラ資本增加ノ場合ニハ株主總會ニ提出ヲシマシテ其決議ヲ採ルコトニナッテ居ルノデアリマス、ソレデ其資本增加ノ場合ノ二百十四條一項三號二百十五條ノ規定ハ全ク此創立總會ノ場合ニ準ジマシタ趣意デアルノデアリマスガ設立ノ場合ニ於キマシテハ未ダ其總會ト云フモノデアリマスカラ物件出資ヲ爲ス者ガアル場合ニドレダケノ株ヲ與ヘルカト云フコトハ創立總會ニ於テ初メテソレヲ決議スルト云フ必要ガアル其前ニハ其會社ノ總會ト云フモノハナイノデアリマスカラ是ハ已ムヲ得ナイ規定デアラウト思フノデアリマス、併シナガラ此資本增加ノ場合ハ會社ノ總會ト云フモノガ無論有リ得ルノデコザイマスカラ必ズシモ其設立ノ場合ニ準ジテ先ヅ以テ取締役ノ間デ極メテサウシテ後ニ總會ニ提出シテ決議ヲ求ムルト云フ必要ハナイ資本增加ノ決議ヲ爲シマスル總會ノ當時ニ物件出資ノ議案ヲ提出シテサウシテ其總會ノ決議ニ於テモ宜イノデアル同ジ總會ノ決議ヲ求ムルノデアリマスカラシテソレガ何方ラニシテモ結果ニ於テ同ジデアルト云フコトナレバ何ウデモ宜イノデアリマスケレドモ普通ノ總會ニ提出シテ決議ヲ經ルト云フコトニナリマスルト、却テ煩ハシイ結果ニナル總會ガ幸ニ取調役ト同一意見デアツテソレヲ是認シマスレバ宜シイノデアリマスガ是認シナイトキニハ色々ノ結果ヲ惹起ス詰リ物件出資ヲ廢メテシマウト云フコトニナルデアリマセウ詰リ株式ノ數ヲ一減ズト云フコトニナルノデアリマス、サウシマスルト又場合ニ依テ再ビ此物件出資ヲ爲スモノト取締役ト交渉ヲシテ更ニ議案ヲ作ツテ總會ニ提出スルト云フヤウナ必要モアルト云フヤウナコトニナルサウ云フ煩ハシイ手數ニナルノデアリマスカラ豫メ資本增加ノ決議ヲシマストキニ曩ニ取締役ト物件出資ヲ爲ス者トノ間ニ相談ヲ纏メテ置イテサウシテソレヲ同時ニ資本增加ノ決議ヲ爲ス冖總會ニ提由出シマシテソコデ極一メタラバ速ニ極冖マルニ煙俵ノ手數ヲ要スルト云フコトハナイノデアリマスカラ、デ旁々便宜ノタメニ前ニ議スル方ガ宜イト斯ウ云フ次第デ二百十二條ノ二ノ規定ヲ設クルコトニナッタノデアリマス、之ニ付キマシテ梅委員カラ御修正ノ案ガ出テ居リマスノデアリマスガ孰レ御說明モアラウト思ヒマスケレドモ大槪分ツテ居リマスカラチヨツト申上ゲテ置キマスガ内容ニ於キマシテハ唯ダ此案ノ「其者」ト云フ字ヲ削ルコトニナルノデアリマス、サウシテ跡ハ其文章ノ書改メルト云フコトニナルダラウト思ヒマス若シ誤ツテ居リマスレパ跡カラ御正シヲ願ヒタイ、所ガ「其者」ト云フ字ハ餘程議論ヲ致シマシタノデアリマスガ是ハ會社ノ設立ノ場合ニ於キマシテ百二十二條ノ規定ヲ御覽ニナリマスルト書イテアリマスガ「左ニ揭ケタル事項ヲ定メタルトキハ之ヲ定款ニ記載スルニアラサレハ其效ナシ」トアツテ其第四號ニ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者ノ氏名云々金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者ノ氏名ト云フコトハヤハリ其定款ニ書クト云フコトニナツテ居ル、ソレデ詰リ何ノ某ト云フ者ニ對シテ何ノ某ト云フ者ガ如何ナル財產ヲ出資シタソレニ對シテ何レ程ノ株ヲ與ヘルト云フコトヲ一人一人ニ付イテ定款ニ書クト斯ウ云フ趣意ニナツテ居ルソレト同一ノ趣意カラ致シマシテ此資本增加ノ場合ニ於テモ物件出資者ガ誰デアルカ斯ウ々々ノ人ニ對シテドレダケノモノヲ與ヘルト斯ウ云フ決議ヲセネバナラヌノデアッテ唯ダ財產ノ種粨酬トソレカラ齟パフル株式ノ數ヲ決議スルト云フコトニナルト何ノ某ニ對シテドレダケヲ與ヘルト云フコトノ委シイコトガ決議サレルカドウカト云フコトガ分ラナクナツテ來ルノデアリマス實際ニ於テハサウ云フコトハアリマスマイト思ヒマスガ兎ニ角百二十二條ノ第四號ノ權衡カラ申シマシテモ出資者ノ氏名ト云フモノヲ明カニスル必要ガアル、所ガ爰ニ氏名ト書ケナイノハ氏名ヲ決議スルコトヲ要スト云フコトニナツテ氏名ヲ決議スルト云フノハ甚ダドウモ形ニ於テ不味イノデアリマスカラ唯ダ單ニ「其者」ト云フ字デ現ハシマシタ次第デアリマス、デ成程梅委員ノ御提出ノ案モ此原案ノ意味ト意味ニ於テハ或ハ異ル所ハナイト思ヒマスガ如何ニモ讀ンデ見マスト云フト「者アルトキハ資本層加ノ決議ト同時ニ其財產ノ種類、價格及ヒ之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ付決議ヲ爲スコトヲ要ス」トアリマシテ之ニ對シテ與フルト云フト財產ニ對シテ與フルトモ讀メル、マサカサウデハナイ爲ス者ニ係ツテ居ルト云フコトニ御解釋ニナル譯デアリマセウガソレニ致シマシテモ總括的ニ是ト是トノ財產ソレカラ株式ハ全體ニ於テドレダケ與ヘルカ斯ウ云フ決議ヲシテモ宜イカノ如ク解釋セラルルデアルカラドレダケノモノヲ與ヘルンダト云フ趣意ガ明カナルタメニ少シ不味イノデアリマスケレドモ「其者」ト云フ字ヲ入レル方ガ宜シイト斯ウ云フ趣意デソレダケノコトヲ申上ゲテ置キマス
○十番(梅謙次郞君)
本條ニ對シテハ唯ダ字句ノ修正ヲ提出シテ置キマスガ是ハ諸君ノ御手許ニ廻ツテ居リマスケレドモ或ハ御持參ニナラヌ御方モアルカ知レマセヌガ一應朗讀致シマス、私ノ案ハ「會社カ其資本ヲ增加スル場合ニ於テ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者アルトキハ資本增加ノ決議ト同時ニ其財產ノ種類價格及ヒ之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ付決議ヲ爲スコトヲ要ス」斯ウ云フノデアリマス文章ハ何方ラガ宜イカ孰レ自分ハ自分ノ文止早ガ宜イト思フノハ當然デ惡ルイト思ヘバ出サヌノデアリマス私ハ文章ハ自分ノ案ノ方ガ此案ヨリモ宜イト思フノデアリマス意味ニハ違ヒハナイノデアリマス原案ヲ讀ンデ見マスルト唯今齋藤君ノ縷ニ御說明ニナッタ通リ「其者其財產ノ種類價格及ヒ之ニ對シテ與フル株式ノ數ハ資本ノ增加ノ決議ト同時ニ之ヲ決議スルコトヲ要ス」之トハ何デアルカ第一ハ其者デアツテ人間ヲ決議スルノデアル其老ヲ決議スル、其次ハ其財產ノ種類價格第三ニハ之ニ對シテ與フル株式ノ數、是ハ齋藤君ガ私ノ案ニ付テ餘程巧妙ナル讀方ヲナサレタケレドモ之ハ原案ニアル文字ヲ其儘用ヰタノデアリマシテ之ト云フ字ガ私ノ案ト原案トハ少シモ變ツテ居ラヌ而シテ是ハ原案ニ於テモ財產ニ對スル意味デアルダラウト私ハ思フ現行法ノ他ノ部分ニ在ル文字デモヤハリ其通リデアラウト私ハ思フソレデナケレバ之ニ與フル株式ノ數デ宜イ之ニ對シテト云フコトハ財產ニ對シテト云フ意味デアラウト思フ私ハソレデ宜イト思フ、齋藤君ハ「其者」ト云フ文字ガナイト云フト誰ガ其財產ヲ出スカト云フコトニ付テ何等ノ決議ヲ爲ナクテモ宜イヤウニナルサウ云フ趣意ヂヤナイノデアルト斯ウ云フコトデアリマス成程疑ツテ見ルトサウ云フ風ニ讀メルカモ知レマセヌ併シサウ云フ風ニ疑ヲ抱キマスト其者ト書イテアッテモマダ行ケナイ甲乙丙丁ガ金錢以外ニ出資ヲ爲スト云フコトヲ書イテソレカラ其甲乙丙丁ノ財產ハ何々デアル價格ハ幾ラデアル其全體ニ對シテ何株ヲ與ヘルデアルト書イテモヤハリ法文ニハ適合スル斯ウ云フコトハサウ器械的ニ解釋シテモ到底間ニ合ウモノデハナイソレハ實際法律ガ何故斯ウ云フコトヲ設ケタカト云フ趣意並ニ他ノ規定ナドト見較ベテ見ルト自ラ趣意ガ明カニナルデアラウト思ヒマス、齋藤君ガ御探用ニナリマシタ第百二十二條ノ第四號ノ如キハ是ハ其定款ニ記載スベキ事項ヲ列擧シタノデ記載スベキ事項トスレパ無論氏名トスルノガ當リ前デ是ハ吾々ガ起草シタノダカラ決シテ褒メテ言フノデハアリマセヌガ洵ニ都合宜グ書イテアルト思フ、ケレド決議ヲスルニモ氏名ヲ決議スルト云ツテモ無論可笑シイガ其者ヲ決議スルト言ッテモ可笑シイ、何ノ某ヲ決議スルト云フノハ如何ニモ可笑シイ、デ其者ト書イテ置キマセヌデモ、此上ニ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者アルトキ其財產ノ種類價格、ソレハ直グニサウ行クンデハアリマセヌケレドモ詰リ其財產ノ種類價格之ニ對シテ與フル株式ノ數ヲ決議セヨト斯ウ云フコトニナッテ居リマスレバ私ハヤハリ此決議ノ際ニ何ノ某ハ是々ノ財產ヲ出ストソレデ宜シイト云フコトヲ必ズ言フノデアルデアラウト私ハ思フ、況ンヤ此百二十二條ノ方ノ規定ト較ベテ考ヘテ見テモ法律ガ其趣意デアルト云フコトハ蓋シ一點ノ疑ヒハナカラウト思フ尙ホ此財產ノ種類價格及ビ之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ致シマシテモ之ヲ決議スル財產ノ種類ヲ決議スルト云フノハヤハリ是ハ穩當デナイト思フ財產ノ種類ハ決議スルノヂヤナイノデ或ル者ガ財產ヲ出スト云フソレヲ承諾スベキヤ否ヤト云フコトヲ決議スルノデアルカラソレデ財產ノ種類價格及ビ之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ付テ決議ヲ爲スコトヲ要スト言ツタ方ガ文章ガ穩カデアルヤウニ考ヘマス是ハ至テ些細ノコトデアリマスケレドモ說明致シマス
○二十八番(長谷川喬君)
唯今梅君ノ述ベラレタ文字ノ方ハ私ハ何方ラデモ宜シウゴザイマスガ趣意ニ付テ起草委員ノ說明ヲ承リ又幸ヒニ此實業家諸君ノ御出席デアルカラ併セテ其方等ノ御說明ヲ承ルト云フト此本條ニ據ルト云フト金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的トシタ場合ニハ資本增加ノ決議ト同時ニ決定スルト之ガマア重モナ趣意ノヤウニナルト思ヒマス同時ト云フコトガ果シテ實際上差支ナイモノデアルカドウカト云フコトハ實際家諸君ニ承リタイ、ソレカラ又起草委員ニ承リタイノハ此募集シタ先ヅ增加ト云フコトヲ決議シテソレカラ後ニ應ジタ所ノ株主中ニハヤハリ此金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的トスル者モアリハシナイカ其場合ニハ同時ニシヤウト云フコトハ出來ナイヤウニナリハシナイカト思フカ或ハ增資ノ決議ヲシタ後ニハ此ノ如キ應募者ハ許サヌト云フ考ヘカ或ハ許ス場合ニハドウスルカ是ダケヲ、、、、
○二番(岡野敬次郞君)
第一ニ其梅君ノ修正文ノ文章ノコトデアリマスガソレハ梅君ノ修正案ノ如ク其者ト云フモノヲ讀メレバ之ヲ削レバ孰レデモ私ハ宜シイト思ヒマスケレドモ其者ト云フモノハ文字ヲ存スルコトニナルト梅君ノ修正文ニ從テ書クコトハ餘程困難デアラウト思フ、「者アルトキハ其者」ト云フカラ大變ニ喰附イテ行クノデアリマスサウデナイト決議ト同時ニト云フ跡ヘ財產ノ種類等ヲ持ツテ來マスト又其老ダケデハ少シ遠クナリマスカラ何トカ爰ニ形容詞ヲ要スルコトニナラウト思フ併シ文章ノコトハ何ウデモ宜イガ原案ガ「其者」ト云フコトヲ上ヘ持ツテ來タノハ文字ヲ略スルガ爲メデアリマスソレカラ梅君ノ御話ノ點ハ御尤ノ所モアルノデ主査會デモ既ニ其議論ヲ承ツタノデアリマスガ其者ヲ決議スルコトヲ要スト云フコトヲ其文字通リ讀ミマスト云フト幾分カ其不穩當ナル文字デアルト云フコトハ認ムルノデアリマス併シナガラ其人ノ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者ハ誰デアル、ドウ云フ人ガ金錢以外ノ財產ヲ出シ其財產ノ種類ガ何デアルカト云フコトハヤハリ此總會ニ於テ決議スルコトノ方ガ穩當デアラウト思フノデアル、ソレデ文字ノコトハ多少ノ不穩當デアルト云フヌトヲ認メマスケレドモ趣意ハドウモ斯ウナラナクチヤナラヌト思フノデアリマス、ソレデ敢テ其惡ルイ例ヲ申上ゲルト云フ次第デハアリマセヌケレドモ現行法ノ百三十五條ニ「創立總會ニ於テ第百二十二條第三號乃至第五號ニ揭ケタル事項ヲ不當ト認メタルトキハ之ヲ變更スルコトヲ得」トアル此百二十二條ノ第三號及至第五號}ト云フ中ノ一ツハ「金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者ノ氏名其財產ノ種類價格及ヒ之ニ對シテ與フル株式ノ數」トアツテ之モ成程一括シテ書イテアルコ下ハ書イテアリマスケレドモ其字ヲ一々拾ツテ行カヌケレバドウモ其氏名ヲ認ムルト云フコトハ是ハヤハリ含ンデハ居リマセウケレドモガ意ニ於テ差障リノナイコトデアリマスカラ、ソレデ敢テ此惡ルイ例ニ倣ウガ宜イト云フ趣意デハアリマセヌケレドモ併シナガラ何人ガ出スカト云フコトハヤハリ決議シテ置ク方ガ宜シカラウト云フダケノ吾々ノ趣意ニ過ギナイノデアリマスソレカラ尙冖ホ他ニ牽連シテ梅君カラハ二百十二條ノ三ノ六項ノ所ニ一ツノ修正ガアリマスガ前條ノ規定ニ依リテ決議シタル事項形ノ上カラ申スト前條ト云フ、ニ「ノ規定」ノ三字ヲ加ヘタニ過ギナイノデアリマスケレドモ併シナガラ吾々ノ其趣意ハ二百十二條ノ三ノ六號ハ矢張株式申込證ニハ甲ト云フ者ガ――此甲ガ金錢以外ノ財產ヲ出資シタ誰ガ金錢以外ノ財產ヲ出咨ハシタト云フコトヲヤハリ書カセル積リデアル、若シ此本條ガ梅君ノ修正ノヤウニナリマスト從ツテ其結果トシテハ二百十二條ノ三ノ六號ノ意味ガ變ツテ來ナケレバナラヌト思フ、而シテ前條ノ規定ニ依テ決議シタル事項ト云フ中ニ甲何某乙何某ガ這入ルト云フコトハ梅君ノ修正文ニシテハ多少無理デハアルマイカ又ソレガ必要デナイト云フ御議論カモ知レマセヌガ少クトモ吾々ノ趣意ハサウデハナイノデアリマスカラソレハ後ニ至テ或ハ御說明モアリマセウケレドモ兎ニ角チヨツト拜見シタ所デハサウ云フ結果ニナラウカト私ハ思フノデアリマス、ソレカラ最後ニ長谷川君ノ御尋ニ付テハ起草委員ニ尋ネルト云フ點ダケニ樹シテ私ハ御答致シマスガ一體此金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的トスルト云フコトハ動酬モスレバ其敝萬ノ脈仟フモノデアル、殊ニ資本增加ノ場合ヨリハ此會社設立ノ場合ニ於テハ最モ弊害ノ俘フモノデアルノデ、デ此點ニ於テハ私ハ尙ホ現行法ノ規定ヲ不備ナリトマデニ實ハ思フテ居リマスケレドモ併シナガラ敢テ修正ノ意見ヲ提出スルト云フ譯デハアリマセヌ、マダ甘イ修正ノ意見モナイノデアリマスガドウモ此創立ノ上ニ於キマシテハ御承知ノ通リニ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス場合ハ定款ニ書カネバナラヌト云フコトニナルサウシテ其コトガアレバ株式申込證ニ其事實モ記載セネバナラヌト云フコトニナツテ居ルカラシテ株式申込ヲ爲ス者ハ豫メ何人ガ如何ナル財產ヲ供シテサウシテ其財產ニ對シテドレダケノ其株式ヲ取得スルモノデアルカト云フコトヲ極メル譯デアリマスカラ從テ株式ヲ募集スル場合ニハ金錢以外ノ財產ヲ出資ノ目的トスルコトハ許サヌノデアル會社創立ノ際ニハーソレデ資本增加ノ場合ニハ或ハ此金錢以外ノ財產ヲ出資ノ目的トシテドウシテモ設立ノ場合ニ於ケルガ如キ弊ハナイカモ知レヌ同ジ程度ニ於テノ弊ハナイカモ知レヌケレドモ併シナガラドウモ株式會社ニ在テハ金錢ヲ以テ株金ヲ所諷胴支拂ヲ爲スモノデアルト云フコトハ何處マデモ原則デアリマス金錢以外ノ財產ヲ以テスル場合ハ變則ノ場合デアルト云フコトハ是ハ論ノナイコトデアリマスソレデ或ハ弊害ガ必ズ之ニ俘フナシト云フコトハ斷言出來マセヌカラシテソレデヤハリ創立ノ場合ノ趣意ニ準ジテ此規定ヲ設ケタノデアリマス卽チ先ヅ株式ヲ募集スルニ先立ツテ此金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的トスルモ匹ナルヤ否ヤト云フコトヲ確メテ然ル後ニ株式ヲ募集スルト云フコトニナルノデスカラ從テ株式ヲ募集スル場合ニ於テハ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲スト云フコトハ認メナイノデアル又認メナイ方ガ私ハ宜シカラウト思フノデアリマス、且ツ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的トスル場合資本ヲ增加スルト云フ、是ハ私ヨリ說明ヲ申スマデモアリマセヌ、凡ソ資本ヲ增加スルノニ行キナリ議案ヲ總會ニ提出スルト云フヤウナコトハ極メテ實際ニハナイコトデアラウト思フ資本ヲ增加スルニ付テハ金錢以外ノ財宀庄ヲ以テ出資ノ目冖的ト爲ス立伯ガアル、例ヘバ俗ニ言ヲ換ヘテ言ヘバ彼ノ土地ヲ買ウトカ或ハ彼ノ地面ヲ買ウトカ或ハ斯ウ云フ特許權一ヲ買ウトカ云フヤウナコトガ卽チ會社ノ經營ヲ爲ス上ニ於テ必要ナノデアリマスカラ實際ソレニ基イテ資本ヲ增加スルト云フヤウナ場合モアラウト思フ、サウ云フトキニハ此議案ヲ總會ニ正式ニ提出スルノ前ニ於テ豫メ會社ノ資本增加ノ經營ト云フモノガ成ル順序デアラウト思ヒマスカラソレデ資本增加ノ決讓ト同時ニ斯ウ云フ事項ヲ決議スルトシテモ少シモ實際ニハ妨ゲアルマイト認メタノデアリマス最モ資本增加ノ決議ト同時ニト云フコトハ申スマデモナク必ズ一日ニ決シテシマハナクチヤナラヌト云フ意味デハアリマセヌガ兎ニ角其ノ總會ニ決議シテ居ル問ニ之ヲ確定スルコトヲ要スルト云フ意味デアリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
此原案ノ文字ガ多少不穩ナ所ガアルト云フコトハ唯今梅委員カラ御辯明ニナツタ通リデアリマス、起草委員モ多少不穩當ナコトガアルト云フコトヲ御認メニナツテ居ルヤウデアリマス唯ダ此梅委員ノ御修正ノヤウニシマスルト其者ト云フ字ガ拔ケルカラシテ恰モ氏名ハ決議ヲシナクテモ宜イヤウニ見エル其疑ヒガアルト云フ起草委員ノ說ガアリマシテ、成程疑ヘバ私ハ此案デ宜カラウト思ヒマスケレドモ疑ヘバ成程其疑ヒモ起ル譯デアリマスカラシテ此梅委員ノ御修正ノ案ニ尙ホ多少文字ヲ足シタナラバ明カニナリハシナイカト思ヒマス試ニソレヲ提出シテ見タイト思ヒマス、ソレハ資本增加ノ決議ト同時ニト云フ下ニ同時ニ其氏名ヲ指定シテ出資ノ目的タル財產ノ種類價格及ビ之ニ對スル云々ト其詰リ決議ト同時ニト云フ下ニ其氏名ヲ指定シテ出資ノ目的タルト云フダケ入レタラバドウデスカ、試ニソレヲ提出シテ見マス
(「贊成」ト言フ者アリ)
○二番(岡野敬次郞君)
事柄ハ私ハ反對致シマセヌケレドモ其氏名ヲ指定スルト云フノハ總會ガ指定スルト云フヤウニ讀メル「其者」ト云フコトガ稍々不穩當デアルト云フ意味ニ於テハヤハリ其氏名ヲ指定シテハ不穩當デアルト私ハ思フ
○二十二番(花井卓藏君)
餘リ此商法ノ用例等ハ存ジマセヌガ一般ノ立法例トシテ本條ノ如キ場合ニ用ヰル文字ニ其者ナドト云フヤウナ字ヲ使ツタ例ガアルノデアリマセウカ私ハ此斯法以外ノ立法例ヲ調メテ見タト云フ譯デハアリマセヌガ若シ穿鑿シテ見マスレバ本條ノ如キ場合ニ於テハ會社ガ其資本ヲ增加スル場合ニ於テ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者アルトキハ其財產ノ種類ト直グ書イテ分カルデアラウ又其ヤウニ書カレテ居ラルル例ハ乏シクナイト思フ刑法ナドニハ澤山アルヤウニ思ヒマスガ「其者」ト云フ文字ヲ削ツテハ行カヌノデアリマスカチョット伺ヒ帰、ス
○二番(岡野敬次郞君)
其者ト云フ字ヲ削リマシタ結果ガ吾々ノ思ツテ居ル通リノ趣意ニナレバ一向其削ラルルノハ反對ハナイノデアリマスケレドモ私共ノ其信ズル所ハ唯ダ此特定財產ヲ出資ノ目的トスル此特定財產ニ對シテ株式ノ數ヲドレダケ與ヘルト云フダケデハ足リナ牢ノデ卽ち甲ガ此不動產ヲ出ス乙ガ此譬ヘバ建物ヲ出ストカ丙ガ特許權ヲ出ストカ云フヤウナ此何人ト云フコトガ極マリサヘスレバ宜イ、ソレデ其意味ヲ言現ハス爲メニ「其者」ト云フ文字ヲ加ヘタノデアリマス唯ダ其者ト云フ文字ハ決シテ珍シクナイノデアリマス例ヘバ百三十四條ノ所ニモ創立總會ハ特ニ檢査役ヲ選任シ其者ニ代ハリテ前項ノ調査云々ト云フヤウナモノモアリマス探シタナラバマダ他ニアリマセウガ蓋シ珍シクナイ例デアラウト思ヒマス文字ダケハ――而シテ趣意ハ唯今申上ゲタ通リニ此特定財產等ニ對シテ與フル株式ノ數ダケデハマダ足リナイノデ何入ト云フコトモヤハリ一緒ニ明カニスル必要ガアルト斯ウ云フ趣意デアリマスカラサウ云フヤウニ御了解ヲ願ヒタイノデアリマス
○二十二番(花井卓藏君)
取ツテ其趣意ニ分カルダラウト思ヒマスカ分ラヌノデスカ
○二番(岡野敬次郞君)
サウハ難カシイト思フノデ
○二十二番(花井卓藏君)
私ハ原案、梅案ヲ對照シテ見マシテ文章ノ共通デアルト云フ趣意デアルサウデアリマスガ何方ラモ明文トハ心得マセヌ、寧ロ「其者」ト云フ文字ヲ割ツタ方ガ宜シカラウト思ヒマス削ツテ而シテ起案委員ノ申サレタ趣意ハ分カルト思ヒウ、ス、「其者」ト云フ文字ヲ削ル修正說ヲ出シマス
○二十番(小山溫君)
是ハ些細ナ爭ヒデコザイマスガ如何ニモ「其者」ト云フ文字ガ唯ダ面白クナイ、不穩當ト云フコトニモ思ヒマセヌガ面白クナイト云フ所カラ議論ガ出タンダラウト思ヒマスガ此財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲ス者アルトキハ其者ヲ一々格別ニ見マスルト云フト其者ト云フコトハナクテモ解釋デ行クノダラウト思フ甲乙丙ガアリマストキ甲ニモ之ヲ適用シ乙ニモ丙ニモ之ヲ適用スルト云フコトニナリマスレバ、ヤハリ一人々々ニ適用スルト云フコトニ見エルト思ヒマス唯ダ漠然ト甲乙丙アルトキニ唯ダ種類ダケ決議スルト云フコトハ手續ニ副ハヌコトト思ヒマスカラ花井君ニ贊成シマス
○四番(齋藤十一郞君)
先程岡野委員ガ百三十四條ヲ御引キニナリマシタガソレヨリモ丁度此場合ニ當リマスノハ百三十五條ナンデ丁度此百三十五條ノ但書ノ其者モ要ラナクナルダラウ
○二番(岡野敬次郞君)
其者ガナケレバ主客ガナイ
○二十番(小山溫君)
決議ト云フ文字ガ工合ガ惡ルイ
○議長(岡部長職君)
大抵諸君ノ御說モ分ツタヤウデスカラ修正說モアリマスカラシテ採決シマセウ三十一番ハ梅君ノ案ニ修正ヲ加ヘテ贊成ト云フノデスガ梅君ノ案ニハ未ダ贊成ガアリマセヌ
○三十一番(岡松參太郞君)
梅サンノ案ニモ贊成デス
○議長(岡部長職君)
梅君ノ案ハ贊成者ガアルト認メテ宜イ
○二十八番(長谷川喬君)
梅君ノ案ト花井君ノ案ト同一ニナラヌカ
○十九番(鵜澤總明君)
之ニ對シテト云フ所ヲ出資者ニ對シテトシテハ惡ルイノデスカ
○十番(梅謙次郞君)
私ハ唯今小山君カ何誰カ仰シヤツタヤウニ起草委員ノ御反對アルニ拘ラズ私ノ修正案デ實際ハ其何某ト云フコトマデ指示シテ決議スルコトニナルトハ存ジマスケレドモソレニ付テ御疑ガアルト云フ御考ヘノ人ガ多イヤウデアリマスルト残念デアリマスカラ斯ウ云フコトニシチヤドウデセウカ、會社ガ資本ヲ增加スル場合云々目的ト爲ス者アルトキハ資本增加ノ決議ト同時ニ其財產ノ種類價格及其者ニ與フル株式ノ數ニ付キト云フコトニ致シタラバドウデゴザイマセウ
○二番(岡野敬次郞君)
私ハドウゾ成ルタケ其斯ウ云フヤウナ文章ハ成ルベク其他ノ文例ト合ウヤウニ私ハ願ヒタイトソレハ第百二十二條ノ日ニ「之ニ對シテ」トアルノハ矢張財產ニ對シテノ意味デアル、ソレデアリマスカラ敢テ豪ライ立派ノ修正デアルナラバ格別デアリマスケレドモ茲ニ之ニ對シテト云フ所ヲ人ニ現ハスノハドウモ其文字上前ノト少シ釣合ガ取レヌヤウニ私ハ思フノデアリマスカラ遺憾ナガラ贊成ヲスル譯ニハ參リマセヌ
(「採決ヲ願ヒマス」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
サウスルト採決シマスカ梅君ノ修正案ニ付テ決ヲ採ツテソレカラ原案ノ中ノ「其者」ヲ削除スル方ノ修正說ニ付テ採リマス
(「岡松案ニモ贊成ガアル」ト言フ者アリ)
○二十九番(奧田義人君)
贊成スル
○二番(岡野敬次郞君)
指定シテ決議スルコトヲ要スデハ文章ヲ爲サナイ
○議長(岡部長職君)
サウスルト三十一番ノ修正說ガ一番先キニナツテソレカラ梅君ノ、、、、
○二十二番(花井卓藏君)
チヨツト伺ヒマスガ梅サンノ修正說ト云フノハ此前ノ文デスカ今御加ヘニナツタ分ガアルノデスカ
○十番(梅謙次郞君)
ソレハ贊成者ガナイヤウデスカラ此前ノ方ニシマス
○議長(岡部長職君)
サウスルト第一ニ岡松君ノ修正卽チ大體ニ付テ梅君ノ案デアルガソレニ岡松君ノ修正ソレハ一ツノ修正說ニナルニ付テ採決シマス、之ニ同意ノ諸君手ヲ擧ゲテ、、、、
擧手者少數
○議長(岡部長職君)
少數デアリマス、次ニ梅君ノ修正說ニ同意ノ諸君御手ヲ擧ゲテ、、、、
擧手者十二人
○議長(岡部長職君)
少數、サウスルト次ニ原案ノ中ノ「其者」ト云フニ字ヲ省クト云フ、之モ修正讀トシテ出テ居リマス之ニ同意ノ諸君御手ヲ擧ゲテ
擧手者十一人
○議長(岡部長職君)
少數デアリマス、然ラバ原案デ御異議アリマセヌカ
(「異議ハアルケレドモ仕方ガナイ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
皆少數ニナリマシタ結果トシテハ原案ヲ可決ト認メテ御異議アリマセヌカ――原案ヲ可決ト認メマス、次ヲ、、、、
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此現行法ノ二百十九條ニ依リマスト設立ノ場合ニ於ケル株式申込證ニ二百二十六條ノ規定ヲ準用スルト云フコトニナツテ居ラヌノデアリマス最モ此申込證ニ記載シマス事柄ヲ一々調ベテ見マスト直チニ準用ト云フコトモ困難デアリマスケレドモ兎ニ角其準用ガナイ而シテ設立ノ場合ノヤウナ株式申込證ヲ作ルト云フ規定ハ他ニゴザイマセヌノデアリマスカラ資本增加ノ場合ニ於ケル株式申込ト云フモノハ如何ナル手續ニ依ルベキカト云フコトニ付テ先ヅ以テ百二十六條ノヤウナ規定ガナイト斯ウ云フコトニナルノデ是ハ其設立ノ場合ノ株式申回込ノトキニ冖較ベマシテ甚ダ權衡ヲ得ナイコトデアラウト思フ、ソレ故三兎ニ角一箇條設ケマシテ資本增加ノ場合ニ於ケル株式申込證作成ノ規定ヲ新設致シマシタ次第デアリマス、デ此御承知デセウガ其二百十二條ノ之爰ニアリマスガ此外ニ原案ノ二百十九條ヲ御覽ニナリマスト分リマスガ百二十六條ノ一項ト三項ハ準用ニナツテ居ル準用スルコトニ改メタソデアリマスカラ設立ノ場合ノ株式申込證ニ關スル規定ノ中デ百二十六條ノ第一項ソレカラ第三項之ガ恰度其本條ノ二百十二條ノ三ノ頭ノ所ト尻尾ノ所ニ喰付クコトニナルノデアリマス其御積リデ御覽ヲ願ヒマスソレカラ記載事項デアリマスガ是ハ其勿論設立ノ場合ノ株式申込證ノ記載ト伺ジヤウニハ行キマセヌノデ百二十條百二十二條ソレカラ百二十六條等三書イテアリマスル事柄ソレカラ資本增加ノ登記ヲ爲シマスル其登記事項其中カラシテ必要デアルト云フコトヲ此處ニ集メマシテ列記致シマシタ次第デ是ダケノ事柄ガアレバ大體ニ於キマシテ此設立ノ場合ノ申込證ニ比シマシテ權衡ヲ得テ居ルト思フノデアリマス、ソレカラ此本條ノ第二項デアリマスガ是ハ其現行法ノ二百十一條ニ會社ハ其資本ヲ增加スル場合ニ限リ優先株ヲ發行スルコトヲ得トゴザイマスガ此解釋ガ數種ノ優先株ヲ發行スルコトガ出來ルノデアルカ出來ナイノデアルカ或ハ疑問ガアラウト思フノデアリマス本案ニ於キマシテハ數種ノ優先權ヲ發行スルコトヲ主義トシテ認メマシテ規定ヲ致シマシタノデアリマシテ數種ノ優先株ヲ發行スルコトヲ認ムル趣意ニ致シマスルトドウシテモ株式申込證ニ株式ノ種類ヲ書カセル必要ガアル又從テ各種ノ株式ノ數ヲ記載セシムル必要ガアルノデ第二項ガアル此外ニ先程申シマシタ通リ百六十八條ノ第二項ガ準用ニナリマシタ結果額面以上ノ發行ノアル場合ニ引受價格ヲ書カセルコトニナル、此箇條ニ付キマシテモ梅委員カラ御修正ガアリマスガ是ハモウ大體ニ於キマシテ強イテ反對ハ致シマセヌノデアリマスガ唯ダ其辯ジテ置キマスル「株式ノ額面以上ノ發行」ト云フ言葉ハ如何ニモ突出ノヤウデアリマスケレドモ是ハ百二十條ノ第二項ニ斯樣ナ言葉ガ使ツテアリマスカラソレニ依リマシテ用ヰマシタ事柄デアリマス「前條ニ依リテ」ト云フノハ成程商法ノ文例ハ或ハ「ノ規定」ト云フ字ガ這入ツテ居ルカモ知レマセヌケレドモ必ズシモ「前條ニ依リテ」ト云フノガ文例デナイト限ツテ居ラヌモノデスカラ斯樣ナ文字ヲ使ツタ次第デアリマス其點ダケハ辯ジテ里巨キ帰、ス
○十番(梅謙次郞君)
本條ノ修正案ハ實ハ主査會ノトキニ心附キマスレバ申スベキデアリマシタガ當時ハ殆ド氣ガ附キマセヌデ提出致シマセヌデアリマシタ、或ハ主査會デ起草委員ト御懇談ヲシタラバドウニカ纏ツテ居ツタカモ知レマセヌ意味ニ於テハ少シモ變ハラズ又攣【ハルダラウト云フ疑ヒモ起ラヌダラウト思ヒマス、全ク體裁ダケデハアリマスガ此先ヅ本條ノ第一項ノ第五號ノ原案デハ價格ノ額面以上ノ發行瓦アルノヲ額面以上ノ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ其旨ト云フコトニ改メタイト置云フノデ實ハ之ニ付テハ唯今齋藤君ノ言ハレマシタヤウ二百二十二條ニ其文字ガアルモノデスカラ、ソレデ此處モヤツパリソレデ差支ナイヤウニ感ジマスケレドモ段々調ベテ見ルト云フト少シ違ウノデアリマス百二十二條ハ「左ニ揭ケタル事項ヲ定メタルトキハ之ヲ定款ニ記載スルニ非サレハ其效ナシ」ト云フノデ詰リ確的ニ額面以上ノ發行ヲ定メタルトキト云フノデアリマス、此方ハ格別文字ガ當ラヌト云フ譏リハナカラウト思ヒマス、株式ノ額面以上ノ發行ヲ定ムルト云フコトハ決シテ文章ニナラヌト云フコトハ言ヒヌダラウト思フ、所ガ茲ニハドウ云フコトニナツテ居ルカト申シマスト「株式申込證ハ取締役之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス」是ハ株式申込證ノ記載事項デアル其記載事項ト致シマシテ株式ノ額面以上ノ發行ト云フノハ少シ此處ニ列擧シテアル、他ノモノト較ベテ見マシテ異例ノヤウデアリマスソレデ意味ハ少シモ變ラヌモノデアルカラマア私ノ文章ガ宜イカ惡イカ自分デ公平ナ到斷ガ出來ヌカモ知レマセヌケレドモ額面以上ノ價格ヲ以テ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ其旨ト云フコトニシタ方ガ穩カデハナイカ丁度其通リナル例ハ此第七號ニ在ル第七號ニ優先株ヲ發行スル場合ニ於テハ其種類及ビ其各種ノ株式ノ數ト云フコトガアル此方ラバサウ云フ風ニ書ケマセヌカラ其旨ト漠然ト書カウト云フダケノ違ヒデ大體同ジコトデ百二十二條ハ是ハ事項ヲ定メタルトキハト云フコトデアルカラ出シ拔ケニ株式ノ額面以上ノ發行ト書イテモ少シモ差支アリマセヌガ此方ラバ株式申込證ニハ必ズ是ダケノモノヲ書ケト云フノニイッデモ株式ノ額面以上ノ發行ガアルカノヤウニ文字ノ上デ見エマス大體ニ發行ヲ記載スルト云フコトガ穩カデナイト云フノミナラズ實際サウ云フ意味デナイコトハ解釋上疑ヒナシトハ言ヒナガラ單ニ文字ダケヲ見ルトイッモ株式申込證ニハ株式ノ額面以上ノ發行ト云フコトガ記載サレルヤウニ見エル、必ズ左ノ事項ヲ記數スルコトヲ要ストアリマスカラ、サウ云フ嫌ヒガアリマス、解釋上ハ疑ヒナイコトデアリマスケレドモ文章上其方ガ宜クハナイカト思ヒマス、願クバ御贊成ヲ請ヒタイノデソレカラ其次ノ六號ハ是ハ尙更大體ノコトデアリマスケレドモ齋藤君ノ御話ノ何條ニ依ルト云フ例ハソレハ他ノ法律ニハ幾ラモアリマスケレドモ商法ニハ何條ニ依ルト云フトキニハ「規定」ト云フ字ヲ入レル例ニナツテ居ル、今悉ク列擧シマセヌガ例ヘバ百八十四條ノ第二項ニ「前項ノ規定ニ依リテ」云々ト云フコトニナツテ居ル、是ハ岡野君ナドハ御記億ガアルデアリマセウガ第何條ニ依ルト云フ場合ハ規定ト云フ字ヲ入レルコトニ此民法商法デハ一般ノ例ヲ極メタト申シテ宜イノデ何條ヲ適用スルト云フ場合ニハ規定ト云フ字ヲ入レナイ併シナガラ何條ニ依ルト云フ場合ニハ規定ト云フ字ヲ入レルソレガ宜イカ惡ルイカ知レマセヌガサウ云フ例ヲ採用シ一シタコトハ民法商法ノ二ノ法典ニ於テハ一定シテ居ルト考ヘマスノデ願クバ「ノ規定」ノ三字ヲ吝マズシテ加ヘラレムコトヲ希望致シマス
○二番(岡野敬次郞君)
六號ノ修正ニ付キマシテハ私ハ御同意ヲ致シテ差支ナイト思フノデアリマス或ハ「ノ規定」ト云フ三字ヲ入レル方ガ却テ正シイカモ知レヌカラ私ハ之ニ贊成ヲ致シタイノデアリマス、此五號ノ修正ニ付キマシテハ之モ其エライ其重キヲ措イテ反對スル程ニモ思ヒマセヌ、又梅君ノ御主張モ左程重キヲ措カレテ居ル譯デハアリマスマイト思ヒマスガ唯ダ文例カラ申シマスト梅君ソレカラ齋藤ガ百七十二條ヲ引カレマシタケレドモ私ハ寧ロ百二十六條ノ第二項ヲ引キタイノデアリマス第百二十六條ノ第二項ニ「株式申込證ハ發起人之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス」其中ノ二ニ「第百二十條及ヒ第百二十二條ニ揭ケタル事項」ト斯ウアルノデ、卽チヤハリ株式ノ額面以上ノ發行ト云フコトニナルノデアリマス、ソレデ是トテモ額面以上デ發行スル場合ニハ其事ヲ壷曰クト云フ意味タルコトハ明瞭デアルノデアリマスソレカラ梅君ノ本條ノ二項ニ付テノ優先株ヲ發行スル場合ニ於テト云フ字ガアルカラ、、、、
○十番(梅謙次郞君)
ソレヂヤアリマセヌ第七號
○二番(岡野敬次郞君)
是モヤハリ書イテアリマセヌケレドモ額面以上ノ價格ヲ以テ株式ヲ發行スル場合ニ於テハト云フコトガ百二十六條ノ末項ニ在ル固ヨリ此百二十六條第二項ニハ格別ニ若シ之ヲ書イタナラバ或ハ額面以上ノ價格ヲ以テ株式ヲ發行スルトキハ其旨ト書クノガ宜イカモ知レマセヌガ併シソレハマアエライ大シタ重要ナ問題デハアリマセヌ第百二十二條並二百二十六條ノ文例ニ倣ツテ之ヲ書イタノデアリマス又必ズ其文字カラ言ツテモ、考ヘテ見マシテモイッモ額面以上ノ發行ト云フコトガアルヤウニ見エルト云フナンデアリマシタガ其論ハ第一回ノ拂込ノ金額デモ同ジデ全部拂ハセルト云フノハソレヲ稱シテ第一回ノ拂込ト云フカドウカ知レマセヌガ全部拂ハセルトキニハ必ズシモ第一回ノ拂込ト斷ハラナクテモ宜イ敢テエライ反對スル程デモアリマセヌガ又同時ニ贊成スル程デモアリマセヌ
○十番(梅謙次郞君)
第六號ノ修正ニ付テハ岡野君ガ御贊成ヲ下サレマシテ洵ニ有難イ第五號ノ修正ニ付キマシテハ未ダ贊成ヲ得マセヌノハ甚ダ逡憾ト思ヒマス私ハ此修正案ヲ作リマシタノハ最早一箇月バカリ前デアリマス或ハモツト前デアツタカ大體宜イト思フテ居ツタガ如何ニモ百二十六條ヲ見合セテ見テソレデ前ハ宜イト思ヒマシタガ尙ホ能ク考ヘテ見マスルト百二十六條ニ何ウ書イテアルカト云フト「第百二十條及ヒ第二十二條ニ揭ケタル事項」トアル所ガ百二十二條ニハ唯ダ事項ガ列擧シテアルノデナクシテ「左ニ揭ケタル事項ヲ定メタルトキハ之ヲ定款ニ記載スルニ非サレハ其效ナシ」トアルノデスカラ第百二十二條ニ揭ゲタル事項ト言ヘバ「無論定メタルトキハ」ト云フコトヲ含マシテ居ルト解スルノガ穩當デアル、所ガ本條ニ出拔ケニ株式ノ額面以上ノ發行トアルモノデスカライッモ是ハアルコトノヤウニ聞エル、之ヲ記載スルヲ要ストアルカラ、岡野君ハ全額拂込ナレバヤハリ嵌ラヌト言バレルガ嵌マル第一回カ終リノ何デアルカ知ラヌガ第一回ニ全額拂込マナケレバナラヌト云フコトヲ書カナクチヤナラヌ全額拂込ノ場合ニ書カナクテ宜イカト云フトヤハリ書カナクチヤナラヌソレガドノ號ニ當ルカト云フト第四號ニ當ル第四號ノ適用トシテ全額ヲ拂込ム場合ニハ全額ト云フコトヲ書カネバナラヌ、ダカラ私ノ案ニ對スル御論駁ニハナラヌト考ヘマス
○十四番(阿部泰藏君)
梅委員ノ修正說ニ贊成シマス
○三十四番(穗積陳重君)
私ハチョット伺ウコトトソレカラ一言申述ベテ置キタイ本條ニ株式申込證ト單ニ書イテアリマスガ此資本增加ノ場合ニ於ケル株式申込證デアラウト思ヒマスガ設立ノ際ニ株式申込證ヲ作ルト云フヤウナ、ニ通ヲ作ル、是ハ本條ノ法文ノ位置カラ分カルノデ別段ニ爰ニ其場合ヲ斷ラナクテモ一般ノ株式申込證ノ規定デナイト云フコトガ内容及ビ位置デ分カルカラ宜イト云フ御考ヘデ出來テ居ルノデアリマセウト思ヒマスガソレデ宜イノデアリマスカ、ソレカラモウ一ツ私ハ附加ヘテ是ハ其起草委員ニ願フテ置キタインデ前回ニ此二百三條ノ修正案ヲ議セラレマストキニ卽ちアレハ社債申込證、社債申込證ノトキニ此各號ノ中デ會社ノ商號ヲ第一ニ置キタイト云フコトヲ申シマシタ起草委員ニ於テ特ニ反對デモナイガ特ニ贊成スル程デモナイト云フコトデ會社ソ商號ト云フモノガ第二號ニナツテ居リマスソコデ他ノ金額ノコトデアルトカ社債ノ金額ダトカ色々サウ云フヤウナコトト又之ニ關聯シタ社債發行ノ額ダトカ斯ウ云フコトノ問ニ社ノ商號ト云フコトガ插ッテ居ル固ヨリ格別其關係モナイノデアリマスガ其時ニ立法ノ體裁トシテヤハリ會社ノ商號ガ第一號ニアツタ方ガ宜カラウト云フ位ノコトデ意見ヲ述ベテ置キマシタガソレガ成立チマセヌデアリマシタ本條ノ修正案ヲ見マスト同ジヤウナ場合ト思ヒマスガ會社ノ商號ガ一番初メニアツテソレカラ增加スベキ資本額ヤ何カノコトガズツト續イテ居ル是ハ今更ラ何デアリマセヌガ後ニ御修正ニデモナリマストキニ両ホ再應御考ヘヲ願フテ置キタイト云フダケヲ願フテ置キマス
○二番(岡野敬次郞君)
穗積サンノ御尋ノ第一點ニ付キマシテハ、或ハ一點ヂヤ總テノコトデ、斯ウ云フコトデ多分明ラカデアラウト思フテ居ルノデアリマス資本增加ノ場合ニ於ケル株式ノ申込デアルト云フモノハ二百十二條ノ三其モノガニ號ノ增加スベキ資本ノ總額三ニハ資本增加ノ決議ノ年月日ト云フコトモアル又優先株ヲ發行スル場合ニ於テハトアリマスノモ是ハ資本增加ノ場合デアルカラ優先株ヲ發行スルコトガ出來ナイト云フコトガ他ニアリマスノデ自ラ明ラカデアリマセウト思ヒマスノデ殊ニ定款變更ノ所ニアル所ノ規定デアリマシテ定款變更ノ中資本增加ノ場合デナケレバ新株ヲ發行スルコト新シク株式ヲ募集スルコトハ出來ヌト云フコトデアリマスカラ文字ガナクテモ自ラ明瞭デアラウト思ツテ居ルノデアリマス、又二百十九條ニ於テハ第百二十六條第一項第三項ヲヤハリ準用シテ居ルノデアリマス之レニモ終リニ新株發行ノ場合ニ於テ準用スト云フコトヲ書イテアル、此二百十二條ノ三ノ規定ハ百二十六條ノ例ヲ以テ申セバ第二項ニ當ル所デ第一項ト三項ハ準用シテアルノデソレデ此新株發行ノ場合ト云フコトガアルノデアリマシテ之レモヤハリ文字ヲ改メナイノデアリマス蓋シ今申シタヤウナ色々ナ關係カラ資本ノ增加ノ場合ニ於ケル株式ノ申込デアルト云フコトハ多分疑ヒヲ生ズル虞レハアルマイト斯ウ思フタノデアリマス、ソレカラ考ヘテ見ロト云フ御請求ノ點ハ尙ホ他ニ整理ヲ致スベキモノモ私ハアルヤウニ思ヒマスカラ考ヘルコトニハ致シテ宜シイノデアリマス、唯ダ此二百三條ノ三ノ所デ申上ゲマシタ、ソレハ二百三條ニ付テハ其當時モチョット申上ゲマシタノデ第何號ニ揭ゲタル事項ト云フノヲ先キニ一括シテ揭ゲタ例モアツテ其次ニ會社ノ商號モ來テ居ルモノモアリマスカラソレデソレニ倣ツタト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス併シ之レガ前後致シマシタ所デ固ヨリ趣意ニハ變リモナイコトデアリマスガ又會社ノ商號ト云フノヲ先キニ持ツテ行ツタ例モナイノデハアリマセヌ、尙ホ考ヘルコトハ考ヘテ見マセウガ若シ此修正ノコトガ此形ニ於テ決議セラレタ場合ニ此修正案ニ現ハレテ居ラナイ現行法ノ規定ト同ジ改メルト云フコトデアリマスト甚ダ困リマスカラ尙ホソレ等ノ關係モ併セテ考ヘルト云フ御趣意ナレバ考ヘルコトニ致シマス
○三十七番(松波仁一郞君)
私ノハ起草委員ニ對スル質問ト私ノ意見ハ同ジヤウナデアリマスガ此數種ノ優先株ヲ發行スル場合ノコトデアリマシテ是ハ一ツハ金額ノコトデアリマスガ現行法ニ據ツテモ一度優先株ヲ發行シ惡イデ又第二ノ優先株ヲ發行スルコトハ無論爲シ得ラルルノデ度々ニ至リマシテ其場合ニモ優先株トスレバ五十圓以外卽チ普通株ハ五十圓デ優先株ハ百圓トカ二百圓トカ金額ニ差ガアツテモ宜イノカト云フ問題ハ現行法ノ下デ起リ得ルコトデアリマセウガ併シ吾々ハソレハ假リニ起ルトシテモ均一ト云フコトデ金額ハイッデモ均一ダト解シテ居ルノデアリマス、爰デ數種ト云フコトガ出テ來ナケレバサウ云フ質問ハシナイ積リデアリマスケレドモ數種ト云フコトガ出テ來タカラ或ハ金額ノ差モ數種ノ中ニ這入ルノデアルカト云フ是ハ單純ノ御質問デアリマシテソレハ金額ノコト、モウ一ツハ稍々實質的ノ意見ニナリマスガ數種ノ優先株ト云フト恐クハ或ル者ニハ一割ノ配當ヲスル、一割ト極メラレナイケレドモ普通株ヨリモ倍額ノ配當ヲスルトカ普通株ヨリモ先キニ配當スル或ル部分ヲ先キニ配當シテ其殘リノ總テニ配當スルト云フヤウナ寧ロ特權ニ關スルコトデアラウト思ヒマス卽チ株式ニハ大キナ特權ヲ與ヘ或ル株式ニハ小ナル特權ヲ與ヘルノデ自ラ數種ト云フコトニナッタト思ヒマスガ若シ私ノ解スル所デ正シイトスレバ日本ノ今ノ狀況デサウ云フコトヲ許ルスノハ如何デアラウカ當事者ノ自由ダカラ會社ノ勝手ニ任カシテ行カウ、應ズル者ノ自由ダカラ勝手ニ應ジタラバ宜カラヴト云フ御意見カモ知レマセヌガ日本ノ今ノ狀況デハ早過ギハナイカ其自由ヲ認ムルノハ、卽チ幾ラカ混雜ガ起リハシナイカ混雜ガ起ツテ損スル人ガアレバ自業自得ダト言ヘバソレマデデアリマスガサウ云フ點ハ幾カ保留シテヤツテハ如何デアルカ自分ハ實際ノコトハ迂遠デアルノニ斯ルコトヲ申上ゲルノハ確カ二十六年ノ商法ノ修正ノ際ニ實業家ノ多數ノ意見ヲ聞イタトキニ私ノ記憶デハ地方ノ會議所デ此問題ヲ聞イテ見タ優先株ヲ今度ノ法律ニ設ケヤウト思フガドウデアルカ、ソレデハ優先株ハ日本ニナカツタノデアリマスガ其際ニ多數ト云フテモ田舍ノ商業會議所デアルカラ多數ト云フ頭ニナツタカ知レマセヌガ少クトモ商業會議所ノ其議員ハ優先株ト云フモノハ何ソナモノデスト云フ位デ何ニモ知ラナカッタ甚ダシイノハ日本郵船會社ノ株カト云フ位ニ解シタ者モアツタ、サウデナイ日本ニハ未ダナイノデアルガ斯ウ云フ風ニスルノデアルカラト云フコトヲ說明シテ初メテ分ツテ便宜デアルカラヤハリ置イテ貰ヒタイト云フヤウナ意見ガ多カツタノデスカラ出タノデアリマセウガ其後段々實際ニ見テ見マスト大分優先株ハ出テ來マスケレドモ日本ノ何方ト云フ會社ニ比シテハ千分ノ一何百分ノ一ノ會社ガ出シテ居ルデアラウト思フソレニ付テモ幾分ガ優先株ト云フコトカ分リ僭イノヲ今數種ト云フテ無闇ニ一ニ種モ四種モ出ス人モアリマスケレドモ假リニ二種ニシタ所ガ此株ニハ何ノ特權此株ニハ何ノ特權ト云フテ分リ憎クサスノモ如何デアラウカト思ヒマスカラ、ヤハリ一度ニハ一種ノモノヲ出ス又他日ヤルトキニハソレハ別ニヤルノデアリマスカラ払剛ト異ツタ所ノコ序ヲヤツテモ大分其事情ガ分ッテ居リマスカラ宜カラウト思ヒマスガ一時ニ數種ト云フコトハ如何デアラウカ英士口利ノ例ヲ調ベマシタガ十分ニ分リマセヌケレドモ既ニ許シテ居ルヤウナ風ニ思フノデス自由デアツタヤウニ思フノデス、併シ英吉利ヂヤ何事モ餘程自由ニナツテ居ルヤウニ思フ、英吉利人ノヤウニ餘程發逹シテ居レバドウカモ知レマセヌケレドモガ日本デハ少シ早過ギハシナイト云フ疑ヒヲ持ツテ居リマスノデ御意見ヲ一ツ伺ヒタイ
○二番(岡野敬次郞君)
第一ノ優先株ノ種類ニ付テ疑ヒガアルヤウニ御述ベニナリマシタガ是ハ私共ハ少シモ疑ハナイノデアリマスソレハ私ヨリ松波君ニ申上ゲルマデモナイコトデアリマスガ第百四十五條ニ「株式ノ金額ハ均一ナルコトヲ要ス」ト云フ規定ガアリマシテ此規定ハ凡ソ會社ノ株式ノ金額ハ均一デナケレパナラヌト云フノデ是ハ株式ニ關スル所ノ規定デアツテ會社設立ノ際ニ於ケル所ノ規定デハナイノデアリマス、優先株ヲ發行スル場合ニ於テモヤハリ其株式ハ會社ノ株式ニ違ヒナイカラ金額ハ均一デナケレバナラヌト云フコトハ第百四十五條ノ規定ノ當然ノ結果デアル殊ニ第二章ノ株式ト云フモノハ資本增加ノ場合ニ於ケル特別ノ規定ニアラザル限リハ總テ株式ニ適用セラルベキコトハ疑ヒナイ、ソレハ第百四十六條第百五十條第百五十一條皆株式ノ規定デアル、株劵ノ拂込ニ付テモ同ジデアル是ハ創立ノ際ニ於ケル株式デアル、資本塘加ノ伽除ニ於ケル其株ハ儻傑先株ト並日通株デアルトヲ私ハ問ハヌモノト私ハ解シテ居ルノデアリマス、ソレデ種類ト云フ文字ハドウ云フコトカト言ヘバ優先ト云フコトニ付テノ種類デアル優先株ヲ發行シタルトキハ其種類ト云フノハ其種類ハ優先權ノ種類デアルト云フコトモ是モ私ハ疑ヒナイト思フ、故ニ第一ノ點ハ吾々ノ疑問ト致シテ居ル所デハナイノデアリマス、ソレカラ第二ノ御尋ハ多分種類ト云フノハ優先權ノ種粨那ノコトデアラウト云フ御話デソレハ今日ノ實業社會ニハ畭リニ進ミ過ギテ居リハセヌカ却テ其混雜ヲ來シバセヌカト云フヤウナ御話デアリマスガ優先株ヲ唯ダ優先株ト言ヘバドウモ私モ唯ダチヨツト聞ケバ郵船會社ノ株トモ解スルノデ決シテ實業界ニ在ツテノミノ問題デハナイ、サウ私ハ思フ、是ハ定メシ串戲ニ仰シヤッタ言葉デアリマセウガ併シ優先株ノ發行ニ依テ實業界ガ色々混雜ヲ來シテ困ルデアラウト云フ程ニ私ハ實業界ヲ幼稚ナルトハ思ハヌノデアリマス決シテサウ云フ憂ヒハナイ、殊ニ現行法ノ解釋ノ下ニ於テ如何ト言ヘバ私ハヤハリ優先權ハ必ズ一種ニ限ルト云フコトノ解釋ヲ取ツテ居ラヌノデアリマス、ソレハ私ヨリ御話ヲ申スマデモナク利益ノ配當ニ付テノ優先權モアリマセウ、又殘餘財產ノ分配ニ付テノ優先權モアリマセウ、既ニ之モ優先權トシテハニ樣アルノデアリマス、而シテ優先株ヲ發行スル場合ニハ必ズ其一種ノ權利デナケレパナラヌト云フコトモナイ若シサウ解釋スレバ私ハ現行法ヲ餘リニ窮屈ニ解釋シタモノデハアルマイカト思フノデアリマス、又同ジク優先權上冒ヒマシテモ例ヘバ他ノ普通ノ株主ニ先立ツテ五朱ハ必ズヤル跡ハ平等ニヤルト云フヤウナノモアリマセウ併シ是ハ其一年度限リデ終ルモノモアレバ又一年度ニ於テハ唱五朱ダケノ配當モ出來ナカツタト云フコトガアレバ其次ノ年度ニ於テ其足ラザル分ヲ補ツテ行カウト云フヤウナ優先權モアル是モ現在ノ解釋ニ於テ無論出來ルコトデアラウト思フ、假リニ發行スル所ノ優先權ハソレニ限ツテ見タ所デ、ヤハリ翌年ノ利益ヲ以テ足ラザルヲ補フモノト然ラザルモノトガアル、サウ云フヤウナ譯デアリマスカラ此優先權ト云フコトハ廣ク解釋ヲシテ私ハ差支ナイモノト思フノデアル、ソレデナカ々々法律ノ規定ニ付テハソレ《法律家程ニ實業家ハ精通シテハ居リマスマイ又精通スルコトヲ希望スルノハ無理デアリマセウガ併シナガラ假リニ株ヲ拵ヘテ之ニ如何ナル優先權一ヲ與ヘルカト云フ算盤ノコトニ至テハ却テ吾々ヨリハ實業舮界ノ方ガ餘程能ク知ツテ居ラルルノデ、ソレガタメニ私ハ左程混雜ヲ來タストハ思ハヌノデアリマスソレデアリマスカラ要スルニ其邊ノ斟酌ハ能ク算盤ノ上カラ利害ヲ剣斷シ計算ヲ立ツル所ノ實業界ノ斟酌ニ任カシテ今日チツトモ差支ナイモノト信ズルノデアリマス
○議長(岡部長職君)
モウ採決シマセウ
○十番(梅謙次郞君)
チョット御採決ニ付テ希望ヲ述ベタイ私ノ修正ハ本條ノ第一項ノ第五號ト第六號トニ付テ存シテ居リマス、所デ双方併セテ御贊成下スツタ委員モアリ々スガ岡野君ノ如キ第六號ダケニ付テ御贊成下スッタ御方モアリマスカラ、ドウゾ二ツニ分ケテ決ヲ採ルコトニ願ヒタイ
○三十四番(穗積陳重君)
其修正案ニ付テ梅君ニ伺ウノデ全ク私ハ分ラヌカラ伺フノデ能ク分リナガラ聞ク人ガアリマスガ、額面以上ノ價格ヲ以テ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ其旨ト斯ウ致シマスト云フト之ヲ窮窟ニ讀ミマスレバ此額面以上ノ價格ヲ以テ發行スト此コトダケ書ク其旨ダケダトソレデ宜イノデアルカ是ハ其サウ言ヘバ最低價格ダケハ分カル兎ニ角額面全額ソレデ宜イノデアリマス功或ハ斯ウ云フ場合ニハ額面以上額面ガ五十圓デアレバ七十圓以上デナケレバ發行シナイ、ヤラナイト云フ斯ウ云フヤウナ其上ニモ最低價格ヲ極メルト云フヤウナコトモアルモノカ又ハ特ニ發行價格ヲ切出シテ五十五圓トカ何トカ切出スヤウナコトモアルモノデアルカソコハ私實際知ラヌノデ、若シサウ果シテ此値段附ケヲシテ發行價格ヲ定メテ其發行スルト云フヤウナコトガアルカ若クハ最低價格ガ額面ノ金額ヨリ尙ホ上ルコトデモアルト致シマスレパ或ル場合ニ於テハ其價格トカ又ハ其最低價格トカ何トカ云フ文字ニナラナクテハ行ケマイカト云フ疑ヒヲ持ツテ居ル、若シ其旨ト云フコトヲ其價格トカ或ハ其モノニ類シタ適當ノ字ガアルト第七號ト合ウ此所ハドウ云フ工合ニ書クモノカヲ全ク知ラヌカラチヨツト
○十番(梅謙次郞君)
私ハ起草委員カラ御答シテ戴ク方ガ適當カモ知レマセヌガ私ノ承知シテ居ルダケノコトヲ申上ゲル、穗積君ノ御質問ハ本條ダケ御覽ニナツテハ洵ニ御尤デアリマス、併シ先刻起草委員カラソレゾレ御話ノアツタ如クニ本條ハ第百二十六條ノ第一項及ピ第三項ト並ベテ讀マヌト本總ハ分ラヌノデ其第百二十六條ノ第三項ハ是ハヤハリ新株發行ノ場合ニ準用シテ居ル、此第三項ニ「額面以上ノ價格ヲ以テ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ株式曽申込人ハ株式申込證ニ引受價額ヲ記載スルコトヲ要ス」ト云フコトガアル、ソレデ此額面以上ノ發行ト云フコトハ新株發行ノ場合ニ限ルコトデアル會社ヲ新タニ創立致シマスル際ノコトデ先刻岡野君ガ引カレマシタ此第百二十六條ノ第二項ノ第二號中ニ含マレテ居ルノデアリマス、ソレデ設立ノ場合ニ於テモ其金額ヲ極メルト云フヤウナコトハ豫想シテ居ラヌ、金額ハ引受人ノ方デ極メルサウ致シマスルト此處ニモヤハリ單ニ額面以上ノ發行ヲ爲スト云フ旨シカ書ケヌノデ實ハソレガ實質ニ於テ出來ヌカラ左樣ナ旨ト云フコトヲ多分穗積君ガ御好キデナイ言葉ヲ用ヰルコトニナツタ
○二番(岡野敬次郞君)
私ハ此現行法ノ第百二十二條第百二十六條ニ付キマシテハ起草委員タルノ資格ニ於テ御說明ヲスルノ資格ハナイノデアリマス唯ダ私ガ現行法ヲ解スル上ニ於テ御參考マデニ申上ゲテ見タイノハ第百二十二條ニ於デハ株式ノ額面以上ノ發行ト云フモノハ全ク梅君ノ本條ニ對スル修正ノ御意見ト同ジ意味ニ私ハ解シテ居ルノデアリマス卽チ額面以上ノ發行ト云フコトハ定款ニ書カナケレバナラヌ然ラズンバ額面以上ノ發行ト云フコトガ出來ナイト云フコトニナルデアリマセウガ同ジ其文字ガ第百二十六條ニ用ヰテアリマスケレドモ是ハ私ハ文字カラ言ヘバ額面以上ノ發行ハ唯ダ發行スルゾト云フコトヲ書ケパ宜イト云フコトデアリマセウガ併シ精神カラ考ヘテ見レバヤハリ六十圓デナケレバナラヌトカ七十圓デナケレバナラヌト云フコトヲ書イタナラバ文字ハ拔ケルカモ知レマセヌ併シ趣意ニ於テハ株式ノ申込證ニ記載スルガ當然デアルト思フ、ソレカラ第二項ノ適用ニ於テハヤハリ額面以上云々ト云フノハ例ヘバ七十圓以上デヤルト云フヤウナトキニハヤハリ百二十六條ノ末項ノ適用ヲ受ケテ各申込人ガ引受價格ヲ書クト云フノガ穩當デアルヤウニ思フ、ソレデアリマスカラ此二百十二條ノ三ニ於テモ同樣デ第百二十六條ノ第二項ト同樣デ今穗積サンノ御尋ニナルヤウナコトガアレバ是ハヤハリ株式申込證ニ記載セシムル卽チ先刻第四號ニ付テ梅君ノ御話ニナツタ通リ全額ヲ拂込マシム、ル場合ニハヤハリ全額拂込ト云フコトニ解釋スルト同ジヤウニ是ハ緩ヤカニ取ルベキモノデアルト私ハ信ズルノデアリマス
○十番(梅謙次郞君)
チヨツト私ハ岡野君ニ伺ヒタイノデスガ成程固ヨリ最低額ヲ定ムルト云フコトハ禁ジテハナイガ最低額ヲ極メナクテモ宜イノデセウ
○二番(岡野敬次郞君)
無論極メナクテモ宜イ
○三十一番(岡松參太郞君)
チョット私ハ質問ヲシテ置キタウゴザイマス間違ツタ質問カ知レマセヌガ御說明ヲ願ヒタイ、ヤハリ第二項ニ關シテ居リマスガ數種ノ優先株ヲ發行シタ場合ニ付テ規定ガアリマスガ優先株ト普通ノ株ト同時ニ發行スルト云フヤウナ場合ハナイノデアリマスカ、若シアルトシタナラバ何方チニ應ズルカト云フコトヲ規定スル必要ガアルソデハナイカモウ一ツハ現行法デモ數種ノ優先株ヲ發行スルコトヲ許サレテアルト云フ御說明デアリマスガ此規定ニ依テ一層明カニナリマシタガサウナリマスト二百十二條ノ規定デアリマスガ優先株主ノ總會ノ決議アルコトヲ要スト云フ所トノ關係ガ數種ノ優先株ヲ發行シタ場合ニ於テ是ハドウ適用サレルカ多少疑ヒヲ起シタ何トカ其優先株主ノ總會トカ何トカ補ウ必要ハナイノデスカ其ニ點ヲ伺ヒタイ
○二番(岡野敬次郞君)
優先株ヲ發行スルト同時ニ普通株ヲ發行スルト云フコトハソレハ想像シ得ラルルコトデアリマス、得ラルルデアリマスガ極メテ實際ニハ行ヒ難イコトデアラウト私ハ思フノデアリマスソレハ獨逸ナドノ如クニ咨(本ノ額ヲ動カサズシテ優皿先權ヲ與ルト云フ方法ガ取レレバソレハアリマセウガソレデナケレバ極メテ實際ナイコトデアラウ併シ絕對ニ想像シ得ラレナイコトデハナイ若シアツタナラバドウスルカト言ヘバ成程二百十二條ノ三ノ二項ノ規定ハ或ハ足ラヌカ知レマセヌケレドモ自ラサウ云フヤウナ場合デアツタナラバ申込證ノ種類モ自ラ別ニナリマセウシ極端ナコトヲ法律的ニ言ヘバ優先株デナイト云フ――優先株デアルト云フコトヲ書カセレバソレハ普通株ノ申込ヲシタソダト云フコトニ取レナイコトハナイ、ヤハリ之ヲ補ハナイデモソレコソ運用ハ附クデアラウト思ヒマスソレカラ第二ノ御尋ノコトハ是ハドウモ其餘程難カシイ問題デアラウカト私ハ思フノデソレハ第二百十二條ノ其解釋ハ是ハ餘程私ハ難カシイト思ヒマス併シ唯ダ數種ノ優先株ヲ同時ニ發行シタル場合ノミニ起ル問題デハナイ第一回ニ或ル優先株ヲ發行シ其株劵ヲスッカリ拂込マシメタ後ニ更ニ第二回ニ又優先株ヲ發行シテサウシテ第一回ノ優先權ト第二回ノ優先權ガ異ナル場合ニハヤハリ二百十二條ノ適用ガ餘程難カシイコトニナルト云フコトハ私ハ認ムルノデアリマス、デアリマスルカラソレハ寧ロ第二百十二條ガソレハ獨逸ノ商法ニ倣ツタヤウナモノデアリマスガ此適用ハ餘程困難デアラウト思フノデアリマス唯ダ私ハ困難ナルコトハ解釋デヤルヨリ外致シ方ガアリマセヌガ唯ダ御尋ニナツタ點ノ數種ノ優先株ヲ發行シタ場合ニ限ルト云フ問題デハナイデスカラ其コトダケハ御答致シテ併セテソレハ運用ノ上ニ於テ解釋ヲ下スヨリ外ハ仕方ガナイト思ヒマス
○二十七番(内田嘉吉君)
私ハ此外ノ點デチョット御尋シタイノデスガ唯今此梅委員ノ御修正案ガ決議ニ際シテ居リマスカラ控ヘテ居リマシタガ其決議後デモ宜シイノデアリマス
○議長(岡部長職君)
外ノ點デアリマスカ
○二十七番(内田嘉吉君)
外ノ點デアリマス
○議長(岡部長職君)
ソンナラ之ヲ採決シマス、梅委員ノ修正ハ第五號第六號ニナツテ居リマシテ第六號ダケノ贊成ノ方モアリ又全部二ツトモ贊成ノ方モアリマスカラ先ヅ其一部ノ六號贊成ニ付テ決ヲ採リマス第六號ノ贊成ノ諸君手ヲ擧ゲテ、、、、
擧手者多數
○議長(岡部長職君)
多數デアリマス、ソレカラ第五號ニ付テ贊成ノ諸君手ヲ擧ゲテ、、、、
擧手者多數
○議長(岡部長職君)
之モ多數デアリマス、兩方ニ號共可決致シマシタ、スルト卽チ梅君ノ修正案ガ成立チマシタ暫ク休憩致シマス
午後六時二十六分休憩
○午後六時五十ニ分開議
出席
敏席
○議長(岡部長職君)
引續キ開會致シマス
○二十七番(内田嘉吉君)
私ハ此二百十二條ノ三ノ一項ノ八ノコトニ付テ伺ツテ置キタイノデゴザイマス此第八號ノ規定ハ會社ノ說立ノ場合ニ株式ヲ募集致シマスルトキト殆ド其趣意ヲ同ジウシテ居ルヤウニ伺ヒマスノデゴザイマス併シナガラ此八號ノ場合デゴザイマスト云フト多少株式ヲ募集スル場合卽ち設立ノ場合トハ多少趣ガ變ツテ居ルヤウニ考ヘラレマス、デ此增株ノ場合ニハ決議ニ依リマシテ一定ノ金額ガ定マリマシテ公ケニ募集スル若シ其募集ニ應ジマセヌ場合或ハ募集ガアツテモ拂込ミノナイ場合ニハ此取締役等ガ連帶シテ其責ヲ負フヤウニナツテ居リマス其點ハ最初ノ發起人ト稍々同樣デゴザイマスガ此八號ニ御極メニナツタ原案ノ意味デ見ルト登記ヲスルト云フコトヲ以テ時期ヲ副ラレテ居ルヤウデアリマスカラ若シ重役ガ自分ノ負フベキ所ノ責任ガ甚ダ重イ卽チ檜資ノ決議ハ致シマシタケレドモ世間ニ之ニ應ズル者ガ少ナイト云フ場合ニ自分ノ責任ガ重クナルト云フ場合ニハ或ル時期マデハ登記ヲ延期スルヤウナ虞レハナイノデアリマスカ其場合ニハ他ノ株主ガイッマデモ責任ヲ持ツト云フコトハ迷惑デアリマスカラ更ニ其決議ガ行バレルト云フコトニ又ナツテシマヘハシナイガト考ヘマス既ニ二百十六條ノ重役ノ責任ガ極ツテ居リマスル以上ハ此取消シヲ爲サシムルト云フコトガナイ方ガ宜クハナイカト云フ考ヘヲ持ツテ居リマス、其點ニ對シマシテ御伺ヒヲシタイト思ヒマス、而シテ若シサウ云フヤウナ場合ニハドノ箇條ニ依テ其重役ハ罰則ノ制裁ヲ詰リ受ケルコトニナルノデアリマスカ併セテソレモ伺ヒタイノデアリマス
○二番(岡野敬次郞君)
私ガ商法ヲ解釋スル所デハ唯今内田君ノ御尋ニナッタ所ト根本的ニ違ツテ居ルヤウニ思フノデアリマス、ソレハ比例ヘバ十萬圓ノ資本ヲ以テ會社ヲ設立スルト云フ場合ニ株式ヲ募集シテ見タ所ガ六萬圓シカ應募者ガナカツタト云フ場云ロニ跡ノ四萬圓ハ發起人ガ引受ケネパナラヌト云フノデハナイ、ソレハ發起人ハ株ノ募集ニ依ツテ會社ヲ設立スル積リデ己レノ引受ケタ株式ノ數ト云フモノガアッテソレヲ株式申込證ニ書シテ之ヲ見テ一般ノ者ガ株ノ募集ニ應ズル譯デアリマスソレデ唯ダ豫定ノ資本金額ノ應募者ガ足リナイカラ其銓リハ皆發起人ガ引受ケテシマハネバナラヌト云フノデハナイソレハ其百三十二條――設立ノ場合ニハ百三十二條カラ百三十六條ノ規定ガ牽連シテ居ル所カラ私ハサウ解釋ヲ致スノデアリマスシ又サウ云フコトデナケレバナラヌト思フノデアリマス、卽チ引受、總株ニ對シテノ引受ノアルコト並ニ其總株ノ一々ニ付テ第一回ノ拂込ノアルト云フコトハ會社ノ設立ニ必要ナルコトデアツテ而カモソレ等ノ事務ハ發起人ニ於テ扱ウノデアリマスカラソレデ先ヅ以テ其發起人ハ會社ノ成立ニ關スル事項ヲ創立總會ニ報吿スルコトヲ要スト云フノガ百三十二條ニ規定シテアルノデ卽チ總テノ額ニ對シテ應募者ガアツタト云フコト並ニ四分ノ一以上ノ拂込ノアツタト云フコトヲ調ベテ確カニ法定ノ手續ニ於テハ完全デアルト云フコトヲ創立總會ニ報吿スル譯デアルソコデ創立總會ガ其報吿ニ基イテ調査致シタ所ガ發起人ノ言フ所ガ誤リデアツテ總テノ株式ハ引受ガ確定シテ居ルト云フコトヲ言フタケレドモソレハ引受ケガナカッタ或ハ第一回ノ拂込ガ既ニ終ツテ居ルト云フコトヲ報吿シテ居ルノニ其アル所ニ付テ拂込ガナカツタト云フヤウナコトガアリマスレバソレハ發起人ガ或ハ過失デアルカ或ハ故意デアルカ兎ニ角モ創立總會ニ對シテ報吿シタ事實ノ責任ヲ負ハスコトニナルノデアリマスカラソレカタメニ此百三十六條ノ規定ト云フモノガアル譯デゴザイマスデアルカラ唯ダ豫定ノ株ニ逹シナカッタカラソレヲ皆其引受ケネバナラヌト云フ意味デハナイト思フノデアリマス從テ此資本ノ增加ノ場合ニ於キマシテモヤハリ同樣デ唯ダ二百十三條ニ於テ拂込ガアツタトキハ取締役ハ遲滯ナク株主總會ヲ召集シテ之ニ新株ノ募集ニ關スル事項ヲ報吿スル是ハ恰モ百三十二條デスカ是ト同ジコトデソレカラ第百三十四條ガ恰度二百十四條ニ相當スルノデソレデ新株總數ノ引受ケアリタルヤ否ヤ百二十九條ノ拂込アリタルヤ否ヤ斯ウ云フコトヲ果シテ亠事實デアルカト云フコトヲ調査シテソレガ取締役ノ云フ所ガ誤リデアツタト云フトキニ此二百十六條ノ規定ヲ適用シテ卽チ取締役ガ責任ヲ負フト云フコトニナルノデアリマス故ニサウ云フコトニ私ハ解釋シ又サウ云フコトデナケレバナラヌト思フノデアリマス、而シテサウ云フ譯デアリマスカラ從ツテ唯ダ豫定ノ額ニ應募者ガ逹シナイカラト言ツテ之ガ爲メニ或ハ刑事上ノ制裁ナリ或ハ科料ノ制裁モ固ヨリナイノデアリマスカラ其コトヲ御癬合シマス
○四番(齋藤十一郞君)
次ニ御尋ニナリマス前ニドウゾ二百十四條ノ一項ト二百十五條ヲ併セテ問題ニ、、、、
○議長(岡部長職君)
二百十四條ノ一項並ニ二百十五條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ申スマデモナク二百十四條ノ二ガ御採用ニナリマシタ當然ノ結果デアリマス
○議長(岡部長職君)
御異議アリマセヌカ
(「異讓ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(岡部長職君)
御異議ナイト認メマス次ニ二百十七條第一項四
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ二百十七條ノ登記事項中ノ變更デアリマシテ現行法ノ第四號ニハ優先株ヲ發行シタルトキハ其株主ノ權利トゴザイマシテ增資ノ優先株ヲ發行シタル場合ノ解釋ニ困ルノデアリマスカラ曩キノ其墸資ノ優先株ヲ發行スルト云フコトヲ明カニ規定スル趣意カラシテ登記事項トシテモ其種類ト各種ノ株式ノ數ヲ登記スル必要カラ改メルコトヲ相當ト認メマシタ
○議長(岡部長職君)
如何デス別ニ御異議モゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(岡部長職君)
然ラバ可決ト認メマス次ニ、、、、
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
現行法ノ二百十九條ノ規定ハ申上ゲルマデモナク會社ノ設立ノ場合ニ於ケル株式發行ノ場合ニ準用スル趣意ノ規定デゴザイマスガ其中デ其先程カラ御議シニナツテ居リマシタ問題ニモ關係シ外ニモ關係ガアリマシテ箇條ノ必要ガアリマシタ爲メニ此前條ヲ改正スル必要ガ起ツテ參ツタ、デ新タ一ニ這入リマシタノハ百二十六條ノ第二項ト第三項デアリマス、是ハ先キニ株式申込證ノ規定二百十二條ノ三ヲ說明致ストキニ申上ゲタ通リ二百二十六條ノ一項ト三項ヲ準用スル必要ガアルソレヲ加ヘマシテソレカラ百二十六條ノ二是モ加ヘマシタ是ハ例ノ通知公吿ハ株式申込證ニ記載シタル宛名ニ宛ツルヲ以テ足ルト云フ趣意ノ規定デアリマシテ、之モ當然準用スベキモノト思フノデアリマス、ソレカラ一箇條先キニナツタノガアリマシタソレハ百四十條デアリマスガ此百四十條ハ株式引受ノ取消シノコトヲ規定シテアルノデアリマス是ハ百四十條ガ削除ニナツテ居ル結果、其削除ニナリマシタ理由ハ申上ゲルマデモナク百二十六條ノトキニモ申上ゲタト思ヒマスガ第五號ヲ加ヘマシタ結果之ヲ削ツタノデアリマス其結果本條カラモウ準用スルコトガ出來ナクナツテシマツタノデ
○議長(岡部長職君)
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(岡部長職君)
御異議ナイト認メマス
○四番(齋藤十一郞君)
此次ノ二百二十條ノ二カラ二百二十條ノ四マデハドウゾ一括シテ議題ニ供サレマスコトニ、是ハ却テ其方ガ便宜ダラウト思ヒマスカラ
○議長(岡部長職君)
二百二十條ノ二カラ二百二十條ノ四マデ一括シテ問題ニ供シマス
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此規定ハ會社ノ株式ノ數ヲ減ジマシテ資本ノ減少ヲ致ス場合ニ實際ノ必要ガアリマシテ新タニ規定シマシタ規定デゴザイマス、ソレデ其現行法ノ二百二十條第一項ニハ株主總會ニ於テ資本減少ノ決議ヲ爲ストキハ同時ニ其減少ノ方法ヲ決議スルコトヲ要ストゴザイマスルガ此解釋ニ付テモ色々說モゴザイマセウガ先ヅ何ウ致シマシテモ各個ノ株主ノ株主權ヲ害シテマデモ總會ガ其減少ノ方法ヲ決議スルコトガ出來ルト云フ說ハドウウモ穩當デナイダラウソレ故ニ株數ヲ減ジテ資本ヲ減少スルト云フ場合ニハ勢ヒニ株若クハ三株ヲ併合シテ一株トスルト斯ウ云フ結果ニナルノデアリマスガ左樣致シマスト此併合ニ適セナイ端數ト云フモノガ生ズルノデ是ハ個々ノ株主ノ持ツテ居ル株ニ付テ端株ト云フモノガ生ズル其端株ノ處分ニ誠ニ困ルノデ會社ノ總會ノ決議デ端株ノ生ジタトキハ是ハ之ダケノ株主權ハ失ウトサウ云フ決議ノ方法ハ先キニ申シタ通リ其一株ナラ一株ダケニ付テ株主權ヲ喪失セシムルノデアリマスカラ總會ノ決議トシテハ商法上或ハ許サヌモノデハナカラウカト思フノデアリマス兎ニ角其是ダケノ規定デハ不備デアリマスソレデ總會ノ議事ニ於キマシテハ極ク圓滿ノ上ニ其現ハレマスナラバモウ殆ド問題ハナイ、然ラバソレヲ實行スレバソレデ宜イノデアリマス、ソレデ又總會ニ於テ會社ノ方ニ一任シテシマツテ一向皆異議ガナイト云フナラバソレデモ宜シイノデアリマセウ實際差支ナク併合ガ出來ルノデアリマセウト思ヒマスガ結局其タッタ一人ノ株主デモ自分ノ端株ヲ減ゼラルルト云フコトニ付テ反對ヲ致ス者ガアツタナラバソレヲ壓シテマデモ決議ノ通リニ或ハ多數ノ意見ノ通リニスルト云フコトハ出來ナイデアラウト思ヒマスノデ左樣致シマストドウシテモ爰ニ強制的ニ併合ヲ實行スルト云フ實行スルト云フ規定ヲ設ル必要ガアル其規定ノ方法モ色々アリマセウガヤハリ其株主ノ全體ノ手デ甘ク纏メテサウシテ結末ヲ附ケルト云フコトハ實行上困難ノコトデ到底出來ナイダラウト思ヒマスソレ故ニ結局ハ先ヅ會社ノ手ニ依テ併セ得ラルルモノハ併セル併セラレナイモノハ何トカ方法ヲ附ケルト云フヨリ外ニ方法ハナカラウト思フ最モ會社ノ手ヲ煩シマセヌデモ御互ニ知合ヒノ間デ圸粫株ヲ或ハ諦磯受ケル}讓渡スト云フコトニシテ併合ノ數ニ適スルダケニ充ツル方法モアリマセウガソレデスラモ結局ハ最後マデ甘ク行クト云フコトハ困難デアラウ何方ラニシテモ其會社ノ手ニ依テ多少其張制的ニ併合ヲ實行スルト云フ趣意ヲ認ムルコトガ必要デアルノデアリマス御覽ノ通リサウ云フ趣意カラシテ此規定ヲ設ケマシタ次第デアリマスモウ各條ニ付キマシテハ御覽ノ通リノ規定デアルカラ趣立息ガ能ク御分リノコトデアルト思ヒマスカラ申上ゲマセヌガ其會社ニ提供スル――提供スルト云フコトハ是ハ或ハドウデアラウカト云フ御疑ヒモゴザイマセウガ結局ハ其ニ株若クハ三株ヲ併合スル場合ハヤハリ新タナル株ヲ會社カラ取ルコトニナルノデアリマスカラシテ孰レ其一度ビバ提供スルコトニナルノデソレ故ニ其提供サセルト云フコトモソレ程無理ナコトデナカラウ、ソレカラモウ一ツ特ニ申上ゲテ置クノハ先程ノ說明カラモ自ヲ分ッテ居リマスガ此二百二十條ノ二ノ規定ニ株主ノ權利ヲ失フベキ旨ヲ通知スルコトヲ得トアリマス是ハ所謂通知スルコトヲ得デアツテ最終ノ手段デアルト云フコトヲ現ハシテアルノデアツテ初メカラ斯ウ云フ規定ヲ適用スル趣意デハナイ甘ク纏レバ其纏マル方法ニ據ラシムルコトハ賞然デアル併シナガラ最後ノ方法トシテ斯ウ云フコトモ出來ルト云フ規定デアルサウシテ此書方ハ二百二十條ノ四ニ引イテアリマスル百五十二條百五十三條等ノ文例ニ據リマシタノデ二百二十條ノ二ノ方ハ百五十二條ノ二項ノ規定ノ文字ニ依リマシタソレカラ二百二十條ノ三ハ百五十三條ノ一項ノ文字ニ依リマシタ次第デアリマス、卽チ株金ノ拂込ヲ怠ツタ場合ニ株主タルノ權利ヲ失ハシムル規定デアリマス、サウシテ尙ホ念ノタメニ申上ゲテ置キマスガ殆ド是ト同ジデハアリマセヌケレドモ之ニ類似シタ規定ハ獨逸商法ノ二百九十條ニアルノデアリマスカラソレモ念ノタメニ申上ゲテ置キマス
○三十七番(松波仁一郞君)
チヨツト御質問シマスガ是ハ資本減少ノ規定ノ所ニ御置キニナリマシタカラ資本減少ノ一方法トシテ御規定ニナツタト思ヒマス現行法ノ解釋トシテハ非常ニ困難デアルト云フコトハ私モ全ク齋藤君ト御同感デ同ジヤウニ解シテ居ツタヤツデスガソレデ困難デアルカラ株式ヲ併合スル少シ多數壓制ノヤウナ譯デアルケレドモ或ハ會社壓制ト言ヒマスカ或ル人ニ株式ヲ失ハシムルコトニシテモ其位ニシナケレバ資本減少ハ出來ナイト云フ御趣意デアリマセウカ或ル場合ニ斯ウ云フ必要ガ起リハシナイカト思フノデス株金ノ減少ト云フコトモ是ハマア爰ニ關係アリマセヌケレドモ一方法デ認メラルルダラウト思ヒマス、所ガ株式ヲ併合スル百萬圓ノモノヲ五十萬圓ニ資本ヲ減少スルコトニナツタ其場合ニ一ニ株持ツテ居ル或ハ一株持ツテ居ル者、奇數ヲ持ッテ居ル者ニ付テハ斯ウ云フ問題ガ起ルト思ヒマスガ時ニ依テ百萬圓ノモノヲ七十萬圓トカ八十萬ニスルトキニ併合ト云フ方法デ甘クヤレバ五株ヲ四株ニスルトカ十株ヲ九株トカ七株ニスレバ行ケナイコトモナイカト思ヒマスガサウスレバ何ウシテモ併合デハ甘ク行カヌヤウナコトガアリハシナイカサウ云フトキニ私ハ唯ダ何デモナイノデアリマスガ極端ナコトデアリマスケレドモ抽籤カ何カデ或ル人ノ株ヲ減ラスト云フコトガ御考ヘニナツタコトデアラウカ此處ニ關係ガアルカナイカ知リマセヌケレドモ資本減少ノ方法トシテ斯ウ云フ方法デ或ル株主ニ失權セシムル競賣シタ金ヲヤルカラ左程ノ損ヂヤアリマセヌカ失權セシムルト云フコトニナツテ居レバ一歩進メテ極ク已ムヲ得ヌ場合ニハ抽籤カ或ハ一株位持ツデ居ル者ハ斯ウ云フ方法ニ依ラズニ失權サセテ代金ヲヤルト云フヤウナ方法ハ如何デアラウカ資本減少ノ方法ヲ御考ヘニナルトキニサウ云フコトヲ御考ヘニナッタノデスカ今自分ガ迷ツテ居ルコトデスガ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
先程モ申シマシタ通リニ此幾ラ株主總會ノ決議デアリマシテモ株主權ヲ喪失セシムルコトガ出來ルト云フコトノ解釋ハ餘程酷ダラウト思フ、ソレデ總株主ガモウ異議ナシト云フコトデ抽籤デ宜シイト云フコトナレバ出來ルデアリマセウ是ハ最後ノ手段デアル一人リデモ株主ガ不服デアツテ權利ヲ主張スルト云フナレバ此方法ニ依ルヨリ外ニ仕方ガナイト思フ
○三十七番(松波仁一郞君)
私ハ多數決デ抽籤デト云フコトデ――今ノ御意見デ粗々分リマシタサウ云フ極端ナコトハ行ケナイ、是ガ最後ノ極端ナ方法ダト云フ御趣意ニ聞エタソダカラ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
此方法ヲ適當ト認メタノデス
○二十番(小山溫君)
私ハ御趣意ハ贊成デスガ提供ト云フ言葉ハチト励變ナヤウデアリマスガ外ノ言葉ヲ御考ヘニナツタコトハアリマセヌカ
○二番(岡野敬次郞君)
詰リ差出スト云フ意味ナソデ
○二十番(小山溫君)
其方ノ意味ダト都合ガ宜イト思ヒマス提供ト云フ言噛某ニ特別ノ意味ガアルヤウデスカラ是ハ取ツテシマウノデスカ
○二番(岡野敬次郞君)
別段異議モナイデセウ
○議長(岡部長職君)
御發議ガアリマスカ、御發議ガナイヤウデスカラ原案可決ト認メテ宜シウゴザイマスカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
可決ト認メマス次ニ、、、
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ新ラシク設ケマシタ規定デゴザイマスガ株式ヲ併合スル場合ニ新ラシイ株劵ヲ受ケマシテモ元ノ株ノ上ニ設立サレテアリマスル質權ハ當然新ラシイ株ノ方ニ移ルト云フコトノ解釋ハ餘程困難デアラウト思フ、要シマスルニ此民法ノ三百五十條從ツテ三百四條ノ規定ガ此場合ニ適用サレルモノデアルト云フコトハ餘程解釋困難デアルト思ヒマシテ先ヅ吾々共ノ考ヘデハ彼ノ規定ハ適用ナイ適用スルト云フ考ヘノ方ガ相當デナイト認メマシテ此一箇條ヲ新ラシク設ケマシタ次第デアリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
チョット質問ガシタインデアリマスガ此二百二十條ノ此規定ニ依リマスト前ニ株式ヲ會社ヘ提供シテソレニ依テ質權ハ提供スルトキニ既ニ其株ニ對スル質權ハ消滅スルモノト御認メニナツタノデアリマスカ
○四番(齋藤十一郞君)
問題デスナソレハ、、、、
○三十一番(岡松參太郞君)
併シ消滅シナケレバ跡ノ質權ガ起ル譯ハナイイッカ消滅シナケレバ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
ソレハ登記手續ニ於テ消滅スルカト云フコトハ問題デスナ
○三十一番(岡松參太郞君)
尙ホ伺ヒマスガ斯ウ致シマスト兎ニ角前ノ暫只權 ガ消滅[シテ跡ノ配耕タナ株式若クハ八笠錢ニ對刮シテ訴貝權一ガ新タニ生ズル其質權ハ本總ノ其質權ノ生ズルノハドウシテモ株式若クハ金錢ノ占有ヲ得タトキデナケレバナラヌト思フ其結果質權ガ一時消滅スルト云フ結果ヲ來スコトニナリハシナイカ、デ寧ロ斯ウヤルヨリカモ舊株劵ノ提供アルト同時ニ新株劵若クハ金錢ニ對スル請求權ノ上ニ質權ガ成立ツト云フヤウニシタ方ガ質權ノ消滅ナクシテ却テ宜クハナイカト思ヒマス
○十番(梅謙次郞君)
是ハ解釋問題デアリマス若シ之レガ此儘デ法文ニナツタト致シマスト或ハ岡野君ナリ又ハ齋藤君ナリノ解釋ハ私ト違ウカモ知レヌガ私ハ斯樣ニナツテ居ル前ノ株ガイッ消滅スルカト云フコトハ是ハ本條ノ解釋以外ノ又問題デアラウト思フ、兎ニ角前ノ株ガ消滅スルト同時ニ後ノ株、其劵ハ株劵トシテハ出來ナイコトガ多イデアリマセウガ後ノ株式又ハ株式ニ代ルベキ金紺韻ソレニ對スル卽チ債陣罹極ク委シク言ヘバソレニ對スル債劵ニ付テ債劵ト云フ字ガ或ハ此株式ノ方ニハ當リ兼ネルカモ知レヌガ此株式ヲ受クル權利マア請求權ト言ツテモ宜イガ兎ニ角其權利ニ付テ質權ヲ認ムルト云フコトニ本條ノ規定ニ依テナルンダラウト思フ普通ノ質權トハ多少趣ガ違ヒマスルガ是ガ恰度齋藤君ノ引カレマシタ第三百四條ノ場合モ同ジコトデアツテ此場合ニモ先取特權ノ目的物之ヲ準用シマスト質權ノ目的物ノ滅失シタ場合ニ其滅失ノ機會ニ於テソレニ代ツテ債務者ガ受取ルベキ金額ニ對シテ質權ヲ行フコトニナツテ居ル是ハ理論上カラ言ヒマスト其場合ニ債權ニ付テ質權ガ存シテ居ル一種ノ權利受授デアリマスケレドモ權利ガ存シテ居ルト斯ウ云フコトニナルダラウト思ヒマス中絕スルト云フコトハ斷ジテナイト思ヒマス
○三十一番(岡松參太郞君)
唯今梅サンカラ御說明モアリマシタガドウモ此條文デ以テ見マスルト將來受クベキ株式若クハ金錢ノ上ニ直チニ質權ガアルトハドウモ見ラレナイヤウニ思ヒマス、何故カト言ヒマスト株主ガ受クベキ株式及金錢ニ對シテ之ヲ行フコトヲ得デソレニ對シテノ外ハ行ハレナイ若シモ之ヲ梅サンノ御解釋ニナルヤウニ直ニ請求權ノ上ニ質權ガアルモノトシタナラバ此但書ノ如キハ全ク必要ガナイノデアリマシテ民法ノ三百六十七條ニ此債權受授ノ規定ガアリマスガ其場合ニ若シモ「債權ノ目的物カ金錢ナル時ハ質權者ハ自己ノ債權額ニ對スル部分ニ限リ取立テルコトヲ得」トアツテ當然金錢ハ質權ニ這入ツテ來ル之ヲ差押ヘヲスルト云フ必要ハ全クナイソレガ此株式デアル場合ニ於テハ三百六十七條ノ四項ガ適用サレマシテ債權ノ目的物ガ金錢ニアラザルトキハ質權ハ辨濟トシテ受ケタル物ノ上ニ質權ヲ有ストアル當然ノ話デアル卽チ若シモ梅サンノヤウニ御解釋ニナルナラバ但書ハ必要ハナイノデアル但書アル所ヲ以テ見マスレバドウシテモ是ハ權利受授デハナイ卽チ一種ノ動產受授デアル動產ニ見テ居ルモノデアルト斯ウ云フ結果ニナルデアリマセウ若シサウナレバドウモ前ノ質權ハヤハリ消滅シテ新タニ得ルモノト見ル外ハナイ若シモ請求權ノ質權ト云フヤウニ御認メニナツテ民法ノ參百六十七條ガ直チニ適用サレルト云フヤウナ結果ニナツタ方ガ結果ハ宜クハナイカト思フ
○二番(岡野敬次郞君)
私ハ但書ノ削除ト云フコトヲ書イテ此民法ノ一ノ論ハ何々ノ上ニ存在スト云フコトガ其物ノ引渡シヲ請求スル債劵ト云フモノガ其權利ノ問題デアルカ或ハ其債權ノ問題タルモノカ質權ノ問題デアルカト云フコトハ私ハ民法ノ解釋ニ於テモ疑問デアルト思ヒマス場合ニ依テハ――人ニ依テハ意見ヲ異ニスルト思ヒマス併シナガラ民法ノ解釋ハ別ト致シマシテ是ハ岡松君ハ確カ御承知デアラウト思ヒマスガ倉庫營業ノ所ニ於テ預リ證劵ノ責任ハ債權額及ビ辨濟期マデノ利息ヲ供託シテ寄託物ヲ持ツテ行クコトガ出來ル此場合ニ於テハ質入權ハ其供託權ノ上ニ存在スト云フコトヲ倉庫營業ノ所ニアツタノデソレデ御承知ノ通リ主査會デモ、主査會ニ於テ修正ニナツタヤウナ譯デ彼ノ主義ハ或ハ岡松君ノ御述ベニナツタトコロノ主義デアルカト私ハ想像スル解釋ハ別トシテ私ハ此併合ニ依テ株主ガ受クベキ株式及ビ債權ノ上ニ存在スト云フヤウニ改メテ從ツテ其但書ガナイト云フコトニシテモ宜カラウト思フヤハリ倉庫營業ノ所ガ跡カラサウ云フコトニナリマシタガソレト同ジ趣意ニ改メラレテ一向私ハ差支ナイト思フ
○一番(富井政章君)
私モ此條ニ付テハ初メカラ惑フテ居ルノデアリマス、起草委員會ニ於テモ隨分議論ガアリ主査會ニ於テモ大分ニ喧シカツタノデ主査會デモ確カ私ハ存在スノ方ガ或ハ宜クハナイカト云フコトヲ言ツテ居ツタノデ之レガ民法三百四條ニ同ジ趣意デアルトスレバ民法三百四條ノ場合ニハ質權ガ消滅スルコトモアリ消滅シナイコトモアルト思フ滅失シタト云フヤウナ場合ニハ當然消滅スルシ第三取得者ニ對シテ擔保權ヲ行フコトヲ得卽チ追求權ガアルト云フ場合ニモ尙ホ其代金ノ上ニ於テ行フテモ差支ナイト云フコトデアリマスカラソレハ場合ニ依テ消滅スル場合消滅シテ勢ヒ代表物ノ上ニ、詰リ變ハルト云フ場合トソレカラ兩方行ケルト云フ二ツアル此場合ハ株式又ハ金錢ノ上ニ質權ガ移リ變ハルトシタ方ガ或ハ宜クハナイカト云フ考ヘハ私モ初メカラ持ツテ居ルサウスレバ今岡野君ノ言ハレタヤウニ存在ストナツタ方ガ或ハ宜クハナイカト思フノデアリマスサウスレバ殊ニ質權ハ消滅シテサウシテ新タニ受クベキ株式又ハ金錢ノ上ニ質權ガ存在スルコトニナルノデアリマスサウスレバ差押ヘヲ爲スト云フヤウナコトモ必要デナクナル私ハ十分ニ利害ハ能ク分ラヌノデアリマスガ或ハ其方ガ宜イカト感ズルノデ
○十番(梅謙次郞君)
岡松君ノ議論ノ點ハ感服スル譯デハアリマセヌガ結論ハ唯今ノ岡松君ノ御意見ガ恰モ私ガ主査會デ述ベタ意見デアツテ當時不幸ニシテ主査會ノ多數ノ同意ヲ得ルコトガ出來マセヌデシタガ自分カラ同ジ案ヲ提出スル勇氣ハナカッタガ唯今岡松君カラ案ガ出マシタ今日デハ起草委員モ或ハ御同意ニナルカト云フ勢ヒデアリマスカラ私ハ無論贊成デアリマス但シ說明ニ付テハ先刻岡松君ガ言ハレマシタコトニ付テ少シク申サネバナラヌコトガアル岡松君ハ是ハヤハリ債權質ト云フコトニナルデアラウサウスレバ民法ノ債權質ニ嵌マルコトニナルデアラウサウスルト但圭ロニアルコトガ分ラヌト云フコトデアリマスガソレハ分ツテ居ル法律アル場合ニ特別ノ條件ヲ附スルト云フコトハ差支ナイソレデ民法ノ第三百四條ノ場合ニ於テ差押ヘノ條件ト云フモノガ附シテアル、之レガ果シテ宜イカ惡ルイカ多少問題デハアリマセウケレドモ私ハ民法ノ規定トシテハ此通リカ又ハ之ニ代ルベキ何等カノ制限ガナケレバ行ケナイト思ツテ居ル、ケレドモ此株式併合ノ場合ニハ必要ガナカラウト云フコトヲ主査會デモ述ベマシタガ到頭ソレハ採用サレナカッタヤウナ譯デアリマス、文字ニ付テハ或ハ岡野君ノ言ハレタヤウニ「ノ上ニ存在ス」ト云フヤウニナッタ方ガ一層宜イカモ知レヌ之レモ固ヨリ私ハ贊成スルノデ詰リ岡松君案兼岡野案ト云フヤウナ兩方ニ贊成スルノデアリマス
○三十一番(岡松參太郞君)
私ハ其倉庫營業ノ條文ニ付テ少シ意見ガ違ヒマスノデ、寧ロ根本的ニ違ウト云ツタ方ガ宜イカモ知レヌソレハ其條文ノ倉庫營業ノ所ニ行ツテ述ベル積リデアリマスガ倉庫營業ノ條文ガ改ツタカラ此條文モ改メルガ宜イト云フ理由ニ依テ提出スル譯デハナイノデ其方ガ結果ガ宜カラウト云フ譯デ主張スルノデアリマス事柄サヘサウナレバ敢テ差支ナイノデアリマシテ上ニ存在スト云フコトニナルナラバソレニ贊成ヲ表シテ差支ナイ
○一番(富井政章君)
チヨツト續キデスガ唯ダ私ノ疑ヒバ金錢ノ上ニ存在スト云フタ所ガ金錢ハ未ダ受取ツテ居ナイ受取ルベキ金錢デアルトスレバ其性質ハ債權 デアル金錢ニナツテシマヘバモウ外ノ金錢ト滅茶ニナツテシマウカラ何レガドノ金錢カ質權ノ目的トナルノカ分ラヌト云フノデ民法三百四條ノ場合ニ於テモ彼所ハ株式ト云フコトハナイ金錢其他ノモノトアルカラ外ノモノト混同シテシマウカラ差押ヘヲセネバナラヌ條件ガ附イテ居ルト思フ此處デモ金錢ニ付テハアルノデスガ其理由ガドウ見ルデアラウ金錢ノ上ニ存在スト云フタ所デソレデモ差押ヘガ要ラヌノデスカ
○三十一番(岡松參太郞君)
私ハ金錢ノ上ニ存在スト書イテソレハ株式若クハ金錢ニ對スル請求權ノ質デアルト斯ウ解釋シテ宜イト思フ金錢ノ上ニ動產質ガ行バレルト云フ意味デハナイ株式ノ請求權又ハ金錢ノ請求權ノ上ノ質デアルト斯ウ見ル存在スト云フ意味ヲサウ解釋スル
○一番(富井政章君)
ソレデハ金錢ノ上ニデハ少シドウモ、、、、
○三十一番(岡松參太郞君)
株式又ハ金錢ノ請求權ノ上ニト云フノハ具合ガ惡ルイノデスカサウ云フ意味ニ書イテモ宜イ
○三番(富谷鉎太郞君)
私ノ質問ヲシヤウト思ヒマシタノハ一番ノ御質問ニナツタノト同ジ意味デアリマスカラ別ニ必要ハアリマセヌ
○十番(梅謙次郞君)
「ノ上ニ存在ス」ト云フ言葉ハ理論カラ言ツテ正シイカドウカ分リマセヌケレドモ他ノ場合ニモ此債權ノ意味デヤハリ金錢ノ上ト云フヤウナ文字ガ使フテアル搜シタナラバマダアリマセウガ併シナガラ其民法ノ先取特權ノ所デ先取特權ハ保證金ノ上ニ存在スト云フコトニナッテ居ル是ハ金ノ上ニト云フコトデハナイヤハリソレニ對スル債權ト云フ上ニト云フコトハ疑ヒナイコトデソレデ金錢ト云フ場合ハ特定ノ金錢卽チ動產ニ見ルトコロノ金錢ト云フ場合ハ殆ドナイ寧ロ債權ノ意味ノ所ガ多イノデアリマスカラ此場合モ金錢ト申シタ所ガ矢張其意味ニナルコトハ疑ヒナイト思フノデヤハリ「ノ上」デモ宜イト思フ
○二番(岡野敬次郞君)
私ノ「ノ上ニ存在ス」トシタラ宜カラウト云フコトハ今梅君ガ述ベラレタト同ジコトデアル「上ニ存在ス」ト云フコトガアツテモ是ハ甲カラ供託セラレタモノデアルト云ツテ日本銀行ガ供託所トシテ取ッテ置ク是ハ質權ノ目的デアルト云フ譯デハナイ、デアリマスカラ若シ債權ト云フコトニ解釋シナイナラバ餘程妙ナモノデ丁度三百四條ニ付テ富井サンカラ御述ベニナツタヤウニ差押ヘヲシナケレバナラヌト云フコトニ解釋シナケレバナラヌコトニナリマス、サウ云フヤウニ私ハ解釋シテ居リマセヌ、ソレカラ序デニ申上ゲマスガ倉庫營業ノ所ニサウアツタカラ此所モサウシタラ宜イト云フコトハ唯ダ岡松君ガ御承知ノコトデアルト思フカラ私ハ申シタノデソレニ御同意デアルヤ否ヤハ別問題デアル、而カモ此總會ニ於テサウ云フコトヲ申上ゲタ所デ益ノナイコトデ之レニハドウアラウトモ此處ハ存在ストシタ方ガ宜イト云フ意味デ提議ヲ出シマシタノデスカラサウ云フコトニ御承知ヲ願ヒマス
○議長(岡部長職君)
三十一番ニチョット御尋シマスガ此「株式及ヒ金錢ノ上ニ存在ス」ト云フコトニナルソレデ但書ハ削ルーソレニ贊成ガアリマス此修正ニ付テ採決シマス、此修正ニ同意ノ諸君手ヲ御擧ゲ下サイ
擧手者多數
○議長(岡部長職君)
多數デアリマス、修正ノ通リニナリマシタ、次ニ二百二十三條
書記朗讀
○二番(岡野敬次郞君)
次ノ條ニ御移リニナル前ニ一ツ申上ゲテ見タイ先刻二百二十條ノ二ニ付テ齋藤君ガ說明セラレマシタ又獨逸ノ商法ノ規定ヲ引イテ參照トシテ御話ニナツタコトデ資本減少ノ場合ニ株式ヲ併合スル場合ハ二百二十條以下ノ規定ノ適用ノアル場合是ハ會社ノ株劵ノ額ガ法律卽チ現行商法ノ定ムル五十圓デアル場合ニ資本減少ヲ爲サズシテ株式ヲ併合スルト云フ場合ニ強制手段ヲ用ヰルノ必要モマア實際ニハナイノデアリマス故ニ資本減少ノ場合ニ限ツテ之ヲ適用スルト云フコトハ無論差支ナイノデス又其意味ニ於テ立案致シ又齋藤君カラモ立案ノ趣意トシテ說明セラレタノデアリマスガ唯ダ私ハ今日ノ問題トスル必要ハナイノデアリマスケレドモ此現行商法ノ施行前ニ或ハモツト其以前ニ於テ、會社ノ株劵ガ五十圓未滿ノガアル二十五圓デアルトカ云フコノガアルノデアリマスサウ云フ其二十五圓ノ株ヲ唯今小サ過ギルカラ之ヲ五十圓ト云フ法定額ノ所ニ持ツテ來タナラバ現行商法ノレ趣意ニモ副フ又會社ニ取ツテモ大變ニ便宜デアルト云フヤウナコトガ或ハアルカモ知レヌト思フノデアリマスソレデ現行商法ノ施行法ニハ株式會社ノ株式ノ金額ガ五十圓未滿ノモノガアツテモソレハ差支ナイ併シナガラ他日株式ノ金額ヲ動カストキニハ五十圓ニシナクテハナラヌト斯ウ云フコトニナツテ居ル卽チ二十五圓ヨリ五十圓ニ近ヅク所ノ金額卽チ四十圓ニスルトカ或ハ三十五圓ニスルトカ云フコトモ施行法ハ許シテ居ラヌノデアリマスガ併シソレハドウ云フ譯カト言ヘバ成ルタケ其法定ノ額ニスル方ガイヂル以上ハ法定ノ額ニシタ方ガ宜イト云フ趣意デサウ云フコトニナツタト申スヨリ外ナイノデアリマス此修正案其モノニハ關係ハアリマセヌカ或ハ施行法ヲ以テ今ノ現行商法ノ株式ノ金額ニ副ハナイモノヲ現行商法ノ株式ノ金額ニ直スト云フタメニ株ヲ併合スルト云フヤウナ必要ガ若シアルトシタナラバ或ハ株ノ如キ此本案ノ如キ規定ヲ適用スルノガ或ハ適當デハアルマイカト思フノデ心附イタコトダケヲ御話シテ置キタイト思フノデアリマス、敢テ之ニ付テ私ハ決議ヲ求ムルノ趣意デアリマセヌケレドモ現ニサウ云フ場合ガアルダラウト思ヒマスカラ唯ダ御參考マデニ私ノ思フ所ヲ爰ニ御話ダケシテ置キマス
○四番(齋藤十一郞君)
二百二十三條ヲ削除致シマシタ理由ハ此二百二十三條ハ會社ガ合併ヲ爲サントスルトキハ記名株ノ讓渡ヲ停止スルソレカラ合併ノ結果ノ登記ヲ爲シ又ハ法律ノ規定デ記名株ノ讓渡ヲ禁ズルト斯ウ云フ規定ガアリマスガ是ハ實際上必要ガナイノデアリマシテ特ニ此合併ノ場合ダケニ付テ斯樣ナ規定ノアルト云フコトハ如何ナル事情ノアルノカ却テ此規定ノアルガ爲メニ實際ノ取引ヲ阻害スルノデアリマスカラシテ此全條ヲ削除スル方ガ相當デアルト云フノデ削除ノ案ガ出來マシタ次第デアリマス
○議長(岡部長職君)
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
削除ト決シマス次ニ第二百二十五條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハモウ別ニ說明ハ要セヌト思ヒマスガ資本減少ノタメニ株式併合ノ規定ヲバ會社ノ合併ニ因ル株式併合ノ場合ニ準用スル必要ガアラウト思ヒマス
○議長(岡部長職君)
之レモ別ニ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
然ラバ可決ト認メマス、次、第二百二十七條第二項
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
此二百二十七條ノ第二項ニハ百五十八條ノ二項ト百九十二條ノ二項ノ規定ヲ準用スルト云フ規定ガアリマスガ此百五十八條ノ方ハ之ハ全條削除ニナツテ居リマスカラ當然ノ結果削除セラルルソレカラ百九十二條ノ二項ノ方ハ是ハ後ニ說明致シマスルガ二百三十四條ノ――此案ノ二百三十四條ノ中ニ入レマシタ爲メニ爰デハ必要ガナクナリマシタノデソレデ結局二項全部ヲ此場合ニハ削除スルノガ相當デアルト思フノデアリマス
○議長(岡部長職君)
是モ明瞭ノヤウデスカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
之レモ削除ト致シマス次ニ第二百二十七條ノ二
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハマア突然ノ規定デアリマスカラ少シ說明ヲ致シテ置キマス、御承知ノ通リニ現行法ニ於キマシテハ此二百三十四條ニ於テ百五十九條ト百六十條ト云フモノヲ精算ノ場合ニ準用シテアルノデアリマス百五十九條ハ此臨時總會ハ必要アル每ニ取締役ガ召集スルソレカラ百六十條ハ資本ノ十分ノ一以上ニ當ル株主ハ云々總會ノ召集ヲ請求スルコトガ出來ル此ニ箇條ガ準用ニナツテ居ル結果トシテ必要ガアレバ其精算人ガ總會ヲ召集スルコトガ出來ル又資本ノ十分ノ一以上ニ當ル株主モ召集ヲ請求スルコトガ出來ルト斯ウ云フコトニナリマスガ解散前ニ定時總會ノヤウナ總會ヲ精算ノ場合ニ法律デ認ムルト云フ規定ハナイノデアリマス其結果其法律上ノ規定ト致シマシテハ初メノトキノ總會トソレカラ精算結了ノトキノ總會ト二度シカ總會ガナイノデソレデハ甚ダ精算ノ狀況ト云フモノガ株主ニ取ツテ不明デアツテ精算人ガドンナコトヲシテ居ルカ分ラヌト云フ虞レモアルノデ無論唯今申上ゲタ規定ニ據レバ資本ノ十分ノ一以上ニ當ル株主ハ請求スルコトガ出來ルコトハ出來ルノデアリマスガ此規定ガアルカラト申シテ法律デモツテ此定時總會ヲ開クベキ義務ヲ命ジテアル其趣意ヨリハ劣ツテ居ルト思フソレ故ニ其精算ノ場合ニ於キマシテモ定時總會ト云フヤウナモノヲ開カシムル趣意ガ相當デアルト思ヒマシテソレヲ此案デハ認メテ居ルノデアリマス丁度二百三十四二百五十四條ノ規定ヲ準用シテアリマス、デ本條ハ恰度此定時總會ヲ開キマスル場合ニ精算人ガ總會ニ提出スル議案ニ關スル規定デアリマシテ恰度百九十條ニ於キマシテ取締役ガ定時總會ノ會日ヨリ一週間前ニ左ノ書類ヲ監査役ニ提出スルコトヲ要スト此規定ニ該當スル規定デアリマス定時總會ヲ精算ノ場合ニ認ムルカ認メヌカト云フコトニ付テハ議論モゴザイマセウガ若シソレヲ認ムルト云フコトニセズシテ二百三十四條二百五十七條ヲ引入レマシタ結果トシテハ是非此百二十七條ノ二ノヤウナ規定ガ必要トナツテ參ルノデアリマスソレダケヲ申上ゲマス
○八番(石渡敏一君)
二百二十七條ノ二ノ場合ノ財產目録ト云フコトハ此前ノ百九十條デ大分議論ガアリマシタガ百九十條ノ二ノ財產目録ノ調製ノ方法彼ノ規定ガ嵌マルノデスカ{嵌マラヌノデスカ
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ嵌マルマイト思フノデアリマス詰リ其會社ガ其精算ヲスル爲メノ財產目録デハナイノデ精算ノ目的デ財產目録ヲ作ルノデアリマスカラ實際ニ其眞ノ價値ヲソレニ現ハスト云フ必要ガアルノデ其百九十條ノ二ハ適用ハナイト思フノデアリマス
○十四番(阿部泰藏君)
質問ヲ致シテ置キマス此定時總會ト云フ會日ト云フコトハドウ云フ日ヲ云フノデアリマスカ解散ヲ決議ヲスル時分三アモヤハリ決議スル何月何日ニ一年一回トカ或ハ一年二度トカ定時總會ヲ開クト云フ決議ヲシマスノデアリマスカ解散以前ノ此會社ノ定時總會ヲ言フノデアリマスカ突然ニ定時總會ト云フモノガ出テ來マシタノデ例ヘバ一年ニ一度ダカ若クハ二度ダカサツパリ分ラヌコトニナリマス
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ丁度何デス二百三十四條ノ所ニ參リマシテカラ委シク申上ゲヤウト思ヒマシタガ百五十七條ノ規定ガ準用ニナツテ居ル定時總會ハ每年一回一定ノ時期ニ於テ精算人之ヲ召集スルコトヲ}要ス箇樣ナ形ニナルト思ヒマス
○二番(岡野敬次郞君)
齋藤君カラ說明セラレタ通リデアリマスガ尙ホ其會社ノ精算ノ目的ノ爲メニハヤハリ存在スルモノト看做スト云フ、ソレニヤハリ定時總會ハ恰モ解散前ニ於テ定時總會ヲ開クベキ時期ニヤハリ精算中デモ定時總會ヲ開クノデアル其期日ハヤハリ會社トシテ存在シテ居ル所ノ時期ニ從ウ趣意デアル
○議長(岡部長職君)
他ニ御發議ハアリマセヌカ御發議ガナケレバ可決ト認メテ御異議アリマセヌカ――可決ト認メマス次ニ、、、、第二百三十條二項
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是モ二百二十七條ノ第二項ヲ削リマシタト同ジ理由デゴザイマシテ此第二項中ニ準用スベキ規定トシテ引イテアリマス百五十八條ノ方ハ全部是ハ削除ニナッテソレカラ百九十三條ノ規定ノ方ハ二百三十四條ノ方ニ入レマシテ準用スルコトニナリマシタカラソレデ必要ガナクナリマシタ
○議長(岡部長職君)
之レモ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
○議長(岡部長職君)
可決ト認メマス次、第二百三十一條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ現行法ノ二百三十一條ノ修正デアリマシテ請求スルコトヲ要スト現行法ニナツテ居ルノヲ「得」ト直シタノデアリマスソレカラ其外ノ形ハ案ノ百六十三條ノ形ト同ジク致シマシテ是ハ必ズシモ要スト云フコトハアルマイト思フ若シ精算人トヅ」テ其任務、訴ヲ起スコトヲ適肯田トスルトキニ訴ヲ起サヌナラバソレハ別ナ方ノ制裁ガアルノダラウト思フ、是非訴ヲ起サンナラヌト云フ必要ハナイノデヤハリ百六十三條ノ規定ニ依リマシテ取締役ガ決議無效ノ訴ヲ起ス場合ト同ジ書方ノ方ガ相當デアルト思ヒマシテ改メマシタ次第デ、ソレカラ此規定ニ付キマシテ梅委員カラシテ修正ガアリマス「ノミ」ト云フ此ノ三ト云フノガ百六十三條ニモ這入リマシタガ是ハ私一個トシテハ反對デアリマスガ案ノ百六十三條ニ這入ツタ以上ハ自然ノ結果トシテ此所ニモ這入ルデアラウト思ヒマス
(「贊成」ト言フ者アリ)
○二番(岡野敬次郞君)
百六十三條ノ所ニ這入ラナケンバドウシタツテ釣合ガ取レナイ
○四番(齋藤十一郞君)
是ハモウ修正案トセズニ當然ノ結果トシテ宜シカラウト思ヒマス
○議長(岡部長職君)
ソンナラ字句ノ整理ト云フ意味デ梅君ノ案ノ方ハ其精神ニ付テ、、、、
○三十一番(岡松參太郞君)
唯今ノ御說明ニ付テデアリマスガ唯今ノ御說明ニ依リマスト二百三十一條ヲ修正サレタ所以ハ必ズシモ無效ヲ請求スルコトヲ要スルノデハナイ必ズシモ無效ヲ請求シナイデモ宜イカラシテ主張スルコトヲ得トサレタソデアルト斯ウ云フ御說明デアリマシタガ私ガ此修正ヲ解スル所ニ依ルト訴ヲ以テト云フ字ガ這入ツタカラ「得」ニナツタノデヤハリ要スルノデアル卽チ精算人ハ職務トシテハ善良ナル感情注意ヲ以テヤラナケレバナラヌノデアツテ決議ノ手續總會ノ手續若クハ決議ノ方法ガ法令若クハ定款ニ反シタル場合ニ於テハ必ズ無效ノ請求ヲシナケレバナラヌ、得ト云フノガ求メテモ宜イ、求メナクテモ宜イト云フノデハナクシテ訴ヘナケレバナラヌト云フノデ從テ訴ノミト云フ字ガ這入ツテ尙ホ一層其意味ガ明カニナルデハナイカト思ヒマスカ、、、、
○二番(岡野敬次郞君)
是ハ何レデモ私ハ何方ラデモ宜イノデスガ詰リ此百六十三條ノ方ノ――第百六十三條ト詰リ同ジ意味ナソデ精算人ガ之ヲ任務ニ背クト去フ所カラ任務ヲ盡スガ爲メニ訴ヘヲ起スノデアルト云フ解釋ヲ取ルノデアツテ必ズシモ此二百三十一條某モノニ基ギタト言ハヌデモ宜イノデアルト云フダケノ話デアリマス
○四番(齋藤十一郞君)
極ク小サイコトハドウデモ宜イデハナイカ訴ヲ起サナクテモ、、、、
○三十一番(岡松參太郞君)
理由ガ違ヒマスカラ理由ダケハ確カニシテ置キタイト思フ
○議長(岡部長職君)
サウスルト二百三十一條ニハ字句ノ整理ヲシテ卽チ原案ノ通リサウ極メマス次ニ、、、、第二百三十二條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ次ノ條文二百三十四條中ニ九十九條ノ二乃至九十九條ノ六ト云フ規定ガ這入リマシテ精算人ノ場合ニ準用スルト云フコトニナリマシタ結果二百三十二條ガ不必要トナツタンデアリマス
○議長(岡部長職君)
之レモ御異議ガナイト認メテ宜シウゴザイマスカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
次ニ二百三十四條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ其私御研究ノコトト思ヒマスガ念ノタメニ爰ニ新タニ這入リマシタ箇條ダケヲ申上ゲテ見マセウカ必要ガナケレバ廢メマスガ(「新タニ這入ツタ箇條ダケ」ト言フ者アリ)九十三條ノ第二項ソレカラ九十九條ノ二乃至九十九條ノ六、百五十七條、百六十條ノ二、百六十三條ノ二乃至百六十三條ノ四、百六十七條ノ二、二百七十條、百八十六條、百九十一條乃至百九十三條是ダケ這入リマシタソレカラ是ハ此條ニ付テハ梅委員ノ御修正ガアリマシテ是ハ私共モ至極贊成デアリマス
○十番(梅謙次郞君)
此意味ハ決シテ是ハ間違ツテ居ルデハナイノデスカラ直サソデモ宜イヤウナモノデスケレドモ此百五十八條ト云フモノハナクナツタ、ナクナツタンデアルカラ並ベテ書クト百五十七條百五十九條トシテハ間ガ拔ケマシタケレドモ併シナガラナイノデアルカラ百五十七條乃至百五十九條トシタ方ガ或ハ正シイヂヤナイカト思ヒマシタ若シ起草委員モ御同意下サルナレバ、、、、
○四番(齋藤十一郞君)
チヨツト辯ジテ置キマスガ是ハ氣ガ附イタノデアリマス併シナガラサウ云フ文例デアルカドウカ先ヅ試ニ斯ウ云フコトニシタノデ是ハ決シテ害ハナイカラト思ヒマシタ乃至ト云フト何ダカマダ準用ダケニ付テハ活キテ居ラヌカト思フヤウナ疑ヒモナキニシモアラズダラウト思ヒマスカラドウデセウナ文ロへ伊ノ、、、、
○十番(梅謙次郞君)
斯ウ云フノハ法典ニ倣ウ筈デハ途中デ削ッタリ加ヘタリスルカラ文例ハナイデセウ
○二番(岡野敬次郞君)
是ハドウデモ宜シイノデアリマスガ百五十七條第百五十九條ト書クト百五十八條ガアルモノヲ態々除イタヤウニ見エルノデスソレカラ梅君ノヤウニ致シマスト何ダカヤハリ此百五十八條ガ存在シテ居ルヤウナコトニナル何レモ餘リ例ノナイコトデアリマスカラ何方ラガ實ハ正シイノデアリマスカ兩方ニ私ハ理窟ガアルト思ヒマス是ハ他ニ何カ例モアルカモ知レヌト思ヒマスカラ併シナガラ法制局ノ如キハ斯ウ云フヤウナ例ニシテ居ルト云フヤウナ他ニ文例等ガアルカモ知レマセヌカラソレニ任カセルヤウナコトニ於テ御同意ヲ願ヒタイ
○議長(岡部長職君)
今二番ノ御發議ノ通リデ御異議アリマ七ヌカ
(「異議ナシ」ト言フ」者アリ)
○議長(岡部長職君)
サウスルトソレデ御異議ハナイト認メマス、次、第二百三十八條ノ第二項
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハ株式會社ノ株式申込證ノ百二十六條ノ第五號ト云フノガ新ラシク加ハリマシタカラシテ第五號ヲ加ヘマシタノデアリマス
○議長(岡部長職君)
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
御異議ハナイト認メマス、次、第二百四十二條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハモウ說明ハ要シナイト思ヒマス共同代表ノ規定ヲ登記事項ニ入レマスル必要ガアル
○議長(岡部長職君)
是モ宜シウゴザイマスカ別ニ御發議ガアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
別ニ御發議ガナケレバ御異議ガナイト認メマス
○四番(齋藤十一郞君)
會長、次ノ條デアリマスガ活版ノ誤リガアリマスカラ言ツテ置キマス第二百二十七條ノ二第二項トアリマス此第二項ハ是ハ餘計ナモノデアリマス第二百二十七條ノ二及ビ第二百三十條トナルノデ
○議長(岡部長職君)
第二項ト云フ三字ダケヲ是ハ削リマスコトニナリマス次、第二百五十一條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是ハモウ說明ハ要ラナイト思ヒマス
○議長(岡部長職君)
宜ウゴザイマスカ、御異議ナイト認メマス次、第二百五十三條二項
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是モ宜シウゴザイマスカ是ハ新ラシク七十九條ノ二ト八十三條ノ三項トガ這入リマシタソレデアリマスカラ此二百五十三條ノ二項ト二百五十四條ノ方ハ組織變更ニ關スル問題デアリマシテ或ハ其例ノ組織變更ノアノ問題ニ牽連シテ居ルカモ知レヌノデスガ
○二番(岡野敬次郞君)
假リニ決議シテ置イテ、、、、
○議長(岡部長職君)
ソレデハ今ノ四番カラノ組織變更ニ付テノ各條ト牽連シテ居ル場合モアルカラシテ或ハ之ヲ又更ニ修正スル必要モアルカモ知レヌト云フノデ是ハ條件附ニ決シテ置キタイト云フ、、、、
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
ソレニ御異議ガナケレバ次ニ百五十四條是ハ削除ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
御異議ナイト認メマス次第二百五十四條
書記朗讀
○四番(齋藤十一郞君)
是モ御覽ニナルト御分リニナツテ居リマス二百五條ノ一項ハ債劵ハ發行スルコトヲ得ズ外國ノ會社ノ債劵ニ付テモ此規定ヲ適用スルト云フコトニ致シタ趣意デアリマス御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト言フ者アリ)
○議長(岡部長職君)
御異議ナイト認メマス
○一番(富井政章君)
ソレカラ罰則デアリマス罰則ニ付テハ花井君カラ大分ニ大キナ修正案ガ出テ居ル今日出席シテ居ラレマセヌカ是ハ次回ニ御延バシヲ願ヒマシテ今晩ハ是デ散會スルカ早旧過ギルト云フ御考ヘデアリマスレバ組織變更ノ方ノ、、、、
○議長(岡部長職君)
大分本日ハ餘程長時間諸君モ御勉強デゴザイマシタカラ爰デ止メルコトニ致シマセウ次ハヤハリ豫定ノ如ク次ノ水曜日、