761条 (民法（～2019年）) - 法律情報基盤

●

制定

804条

日常ノ家事ニ付テハ妻ハ夫ノ代理人ト看做ス

夫ハ前項ノ代理権ノ全部又ハ一部ヲ否認スルコトヲ得但之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

制定過程

明治民法804条

関連資料

梅謙次郎『民法要義』*未校正資料全体表示

第八百四條　日常ノ家事ニ付テハ妻ハ夫ノ代理人ト看做ス

　夫ハ前項ノ代理權ノ全部又ハ一部ヲ否認スルコトヲ得但之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス（取四三四、一項）

本條ノ規定ハ殆ト當然言フヲ竢タサル所ニシテ外國ニ於テハ法律ノ明文ナキモ事實ニ於テ本條ノ原則ヲ認ムルカ如シ然レトモ嚴格ニ之ヲ論スルトキハ本條ノ明文ナキトキハ必スシモ妻ヲ以テ夫ノ代理人ト看做スコトヲ得ス且其權限ニ付テモ極メテ不明ナルコト多キヲ以テ本條ノ明文ヲ必要トシタルナリ

日常ノ家事ト云フハ衣食住ニ關シ何レノ家ニ於テモ通常必要トスル法律行爲ヲ謂フ例ヘハ米、鹽、薪、炭、油ノ買入、衣服ノ調製、家賃ノ支払等ノ如キ即チ是ナリ

本條第一項ノ原則ハ通常ノ場合ニ於テハ固ヨリ至當ナル所ナリト雖モ妻ノ性質等ニ因リ夫カ之ニ代理權ヲ与ウルコトヲ欲セサルコトアリ此場合ニ於テハ純然タル委任ノ場合ニ於ケルカ如ク夫ハ其代理權ノ全部又ハ一部ヲ否認スルコトヲ得ルモノトセリ例ヘハ全ク妻ヲ以テ自己ノ代理人トセサルコトヲ宣言シ又ハ一定ノ金額以下ニ限リ妻ニ代理權ヲ与ウル旨ヲ定メ又ハ日常ノ食品ノ買入ニ付テハ代理權ヲ与ウルモ其他ノ事項ニ付テハ一切代理權ヲ与エサル旨ヲ定ムル等是ナリ唯此制限ハ以テ第三者ヲ害スルコトアルヘカラス蓋シ法律ハ當然妻ヲ以テ夫ノ代理人ト看做スカ故ニ第三者ハ之ニ倚賴シテ妻ト取引ヲ爲スヘキハ固ヨリ當然ナリ然ルニ夫ハ曾テ妻ノ代理權ノ全部又ハ一部ヲ否認シタルコトアリト主張シ以テ第三者カ妻ト爲シタル取引ヲ承認セサルコトヲ得ルモノトセハ第三者ハ安ンシテ妻ト取引ヲ爲スコトヲ得ス從テ本條第一項ノ原則ハ實際ノ便利ヲ圖リタルモノナルニ拘ハラス其便利ノ大半ハ既ニ之ヲ失フモノト謂フヘシ故ニ善意ノ第三者ニ對シテハ夫ノ否認其效ナキモノトセリ故ニ夫カ妻ノ代理權ヲ否認セント欲スルトキハ通常ノ取引先ニ對シ其通知ヲ爲スコト必要ナルヘシ

▲ 閉じる

●

昭和22年222号（家族法改正）

761条

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによつて生じた債務について、連帯してその責に任ずる。但し、第三者に対し責に任じない旨を予告した場合は、この限りでない。

●

平成16年147号（現代語化）

761条

（日常の家事に関する債務の連帯責任）

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。

ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。