363条
債権ヲ以テ質権ノ目的ト為ス場合ニ於テ其債権ノ証書アルトキハ質権ノ設定ハ其証書ノ交付ヲ為スニ因リテ其効力ヲ生ス
第三百六十三條 債權ヲ以テ質權ノ目的ト爲ス場合ニ於テ其債權ノ證書アルトキハ質權ノ設定ハ其證書ノ交付ヲ爲スニ因リテ其效力ヲ生ス（擔一〇三、一項、四項）
本條以下ハ皆債權質ニ關スルモノナリ而シテ本條ハ債權ニ證書アル場合ニ於テ其證書ヲ交付スルニ因リテ質權ノ設定アルヘキコトヲ定メタルモノナリ蓋シ債權モ亦權利ニシテ無形ナルモノナルカ故ニ有體物ノ如ク之ヲ引渡スコトヲ得ス故ニ原則トシテハ債權質ハ目的物ノ引渡ヲ要セサルモノナリ然レトモ若シ債權ニ證書アルトキハ（而シテ實際ハ證書アルコト最モ多シ）其證書ノ引渡ヲ以テ物ノ引渡ニ代ヘ之ヲ質權設定ノ條件トスルハ外國ニ於テモ大抵皆然ルノミナラス苟モ普通ノ質權ニ物ノ引渡ヲ要スル以上ハ此引渡ヲ要スルモノトスルハ極メテ穩當ナルモノト謂フヘシ何トナレハ債務者ハ證書ノ返還ヲ受クルニ非サレハ辨濟ヲ爲ササルヲ通例トスルカ故ニ其證書ヲ質權者ニ交付スルハ殆ト債權其物ヲ交付シタルニ均シケレハナリ是レ指圖證券、株券、公債證書等ニ在リテハ殊ニ然リトスル所ナリ
無記名證券モ亦債權ノ證書ナリ故ニ純理ヨリ之ヲ言ヘハ本條以下ノ規定ニ依ルヘキコト固ヨリナリ然リト雖モ實際ノ便宜ニ基キ已ニ第八十六條第三項ニ於テ「無記名債權ハ之ヲ動產ト看做ス」旨ヲ規定セリ故ニ無記名債權ノ質入ハ之ニ動產質ノ規定ヲ適用スヘキモノトス（擔一〇二、三項、商三八六、一項、一卷一五九頁）
第三百六十三條 債權ヲ以テ質權ノ目的ト爲ス場合ニ於テ其債權ノ證書アルトキハ質權ノ設定ハ其證書ノ交付ヲ爲スニ因リテ其效力ヲ生ス（擔一〇三、一項、四項）
本條以下ハ皆債權質 ニ關スルモノナリ而シテ本條ハ債權ニ證書アル場合ニ於テ其證書ヲ交付スルニ因リテ質權ノ設定アルヘキコトヲ定メタルモノナリ蓋シ債權モ亦權利ニシテ無形ナルモノナルカ故ニ有體物ノ如ク之ヲ引渡スコトヲ得ス故ニ原則トシテハ債權質ハ目的物ノ引渡ヲ要セサルモノナリ然レトモ若シ債權ニ證書アルトキハ（而シテ實際ハ證書アルコト最モ多シ）其證書ノ引渡ヲ以テ物ノ引渡ニ代ヘ之ヲ質權設定ノ條件トスルハ外國ニ於テモ大抵皆然ルノミナラス苟モ普通ノ質權ニ物ノ引渡ヲ要スル以上ハ此引渡ヲ要スルモノトスルハ極メテ穩當ナルモノト謂フヘシ何トナレハ債務者ハ證書ノ返還ヲ受クルニ非サレハ辨濟ヲ爲ササルヲ通例トスルカ故ニ其證書ヲ質權者ニ交付スルハ殆ト債權其物ヲ交付シタルニ均シケレハナリ是レ指圖證券、株券、債券、公債證書等ニ在リテ殊ニ然リトス
動產質ヲ第三者ニ對抗スルニハ質物ノ占有ヲ繼續スルコトヲ要ス（三五二）債券質ヲ第三者ニ對抗スルニモ亦證書ノ占有ヲ繼續スルコトヲ要スルカ曰ク場合ヲ別チテ之ヲ論セサルヘカラス夫レ多數ノ債權ニ付テハ次條以下ニ於テ質權ヲ第三者ニ對抗スルノ要件ヲ定メタリ故ニ重複ニ第三百五十二條ヲ準用スヘカラサルコト固ヨリ明カナリ然リト雖モ次條第二項ニ於テ株式ニハ同條第一項ノ規定ヲ適用セサルモノトセルカ故ニ前條第二項ノ通則ニ反リ第三百五十二條ヲ準用シ證書ノ占有ノ繼續ヲ以テ質權ヲ第三者ニ對抗スルノ要件トナササルコトヲ得サルナリ
無記名證券モ亦債權ノ證書ナリ故ニ純理ヨリ之ヲ言ヘハ本條以下ノ規定ニ依ルヘキコト固ヨリナリ然リト雖モ實際ノ便宜ニ基キ已ニ第八十六條第三項ニ於テ「無記名債權ハ之ヲ動產ト看做ス」旨ヲ規定セリ故ニ無記名債權ノ質入ニハ全然動產質ノ規定ヲ適用スヘキモノトス（擔一〇二、三項、舊商三八六、一項、三十八年版一卷一八八頁）