222条
水流地ノ所有者ハ堰ヲ設クル需要アルトキハ其堰ヲ対岸ニ附著セシムルコトヲ得但之ニ因リテ生シタル損害ニ対シテ償金ヲ払フコトヲ要ス
対岸ノ所有者ハ水流地ノ一部カ其所有ニ属スルトキハ右ノ堰ヲ使用スルコトヲ得但前条ノ規定ニ従ヒ費用ヲ分担スルコトヲ要ス
第二百二十二條 水流地ノ所有者ハ堰ヲ設クル需要アルトキハ其堰ヲ對岸ニ附著セシムルコトヲ得但之ニ因リテ生シタル損害ニ對シテ償金ヲ拂フコトヲ要ス
對岸ノ所有者ハ水流地ノ一部カ其所有ニ屬スルトキハ右ノ堰ヲ使用スルコトヲ得但前條ノ規定ニ從ヒ費用ヲ分擔スルコトヲ要ス（財二三八）
本條ノ規定ハ水流地ノ全部又ハ一部カ甲ノ所有ニ屬シ其對岸カ乙ノ所有ニ屬スル場合ニ關セリ此場合ニ於テ甲カ其流水ヲ利用スル爲メ堰ヲ設クル必要アリトセンニ之ヲ對岸ニ附著セシムルニ非サレハ充分其目的ヲ達スルコト能ハス然ルニ理論ヨリ言ヘハ對岸ハ他人ノ有ニ屬スルカ故ニ其承諾ヲ得ルニ非サレハ敢テ其堰ヲ對岸ニ附著セシムルコト能ハサルヘキハ固ヨリナリ然リト雖モ是レ經濟上頗ル不利益トスル所ナリ故ニ本條ニ於テハ特ニ甲ニ與フルニ其地ヲ對岸ニ附著セシムルノ權ヲ以テセリ但是レ乙ノ所有權ヲ害スルコト甚シキモノナルカ故ニ甲ヲシテ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償セシムルコトトセリ
甲カ水流地ノ全部ノ所有者ナル場合ニ於テハ乙カ其水ヲ使用スルコトヲ得サルハ固ヨリ言フヲ竢タスト雖モ若シ乙ニシテ亦其水流地ノ一部ヲ所有スル場合ニ於テハ乙モ亦堰ヲ設ケテ其水ヲ利用スルコトヲ得スンハアルヘカラス然ルニ今甲ハ自己ノ用ニ供スル爲メ乙ノ所有ニ屬スル對岸ニ堰ヲ附著セシメタルヲ以テ乙ハ幸ニ之ヲ利用シ以テ更ニ同樣ノ堰ヲ設クルノ費用ヲ省クコトヲ得ハ（更ニ堰ヲ設クルコト能ハサル場合尤モ多カルヘシ）其便利固ヨリ喋喋ヲ竢タスシテ明カナリ而シテ敢テ甲ノ利益ヲ害スルモノト謂フヘカラス故ニ本條第二項ニ於テ恰モ前條ニ於ケルカ如ク乙ヲシテ甲ノ設ケタル堰ヲ共ニ使用スルコトヲ得セシメ尙ホ前條ノ規定ニ從ヒ其費用ヲ分擔セシメタリ
第二百二十二條 水流地ノ所有者ハ堰ヲ設クル需要アルトキハ其堰ヲ對岸ニ附著セシムルコトヲ得但之ニ因リテ生シタル損害ニ對シテ償金ヲ拂フコトヲ要ス
對岸ノ所有者ハ水流地ノ一部カ其所有ニ屬スルトキハ右ノ堰ヲ使用スルコトヲ得但前條ノ規定ニ從ヒ費用ヲ分擔スルコトヲ要ス（財二三八）
本條ノ規定ハ水流地ノ全部又ハ一部カ甲ノ所有ニ屬シ其對岸カ乙ノ所有ニ屬スル場合ニ關セリ此場合ニ於テ甲カ其流水ヲ利用スル爲メ堰ヲ設クル必要アリトセンニ之ヲ對岸ニ附著セシムルニ非サレハ充分其目的ヲ達スルコト能ハス然ルニ理論ヨリ言ヘハ對岸ハ他人ノ有ニ屬スルカ故ニ其承諾ヲ得ルニ非サレハ敢テ其堰ヲ對岸ニ附着セシムルコト能ハサルヘシ然リト雖モ是レ經濟上頗ル不利益トスル所ナリ故ニ本條ニ於テハ特ニ甲ニ與フルニ其堰ヲ對岸ニ附著セシムルノ權ヲ以テセリ但是レ乙ノ所有權ヲ害スルモノナルカ故ニ甲ヲシテ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償セシムルコトトセリ
甲カ水流地ノ全部ノ所有者ナル場合ニ於テハ乙カ其水ヲ使用スルコトヲ得サルハ固ヨリ言フヲ竢タスト雖モ若シ乙ニシテ亦其水流地ノ一部ヲ所有スル場合ニ於テハ乙モ亦堰ヲ設ケテ其水ヲ使用スルコトヲ得スンハアルヘカラス然ルニ今甲ハ自己ノ用ニ供スル爲メ乙ノ所有ニ屬スル對岸ニ堰ヲ附着セシメタルヲ以テ乙ハ幸ニ之ヲ利用シ以テ更ニ同樣ノ堰ヲ設クルノ費用ヲ省クコトヲ得ハ（更ニ堰ヲ設クルコト能ハサル場合尤モ多カルヘシ）其便利固ヨリ喋喋ヲ竢タスシテ明カナリ而シテ敢テ甲ノ利益ヲ害スルモノト謂フヘカラス故ニ本條第二項ニ於テ恰モ前條ニ於ケルカ如ク乙ヲシテ甲ノ設ケタル堰ヲ共ニ使用スルコトヲ得セシメ尙ホ前條ノ規定ニ從ヒ其費用ヲ分擔セシメタリ