186条
占有者ハ所有ノ意思ヲ以テ善意、平穏且公然ニ占有ヲ為スモノト推定ス
前後両時ニ於テ占有ヲ為シタル証拠アルトキハ占有ハ其間継続シタルモノト推定ス
第百八十六條 占有者ハ所有ノ意思ヲ以テ善意、平穩且公然ニ占有ヲ爲スモノト推定ス
前後兩時ニ於テ占有ヲ爲シタル證據アルトキハ占有ハ其間繼續シタルモノト推定ス（財一八六乃至一八八）
占有ノ性質ハ種種ニ之ヲ分ツコトヲ得（第一）所有ノ意思 ヲ以テスル占有及ヒ所有ノ意思ヲ以テセサル占有（第二）善意占有 及ヒ惡意占有 （第三）平穩占有 及ヒ强暴占有 （第四）公然占有 及ヒ隱秘占有 （第五）繼續占有 及ヒ不繼續占有 ノ類是ナリ而シテ其性質ニ依リ法律ノ保護自ラ同シカラサルモノアリ其時效ニ關スル差別ニ付テハ前編既ニ之ヲ論シタルカ故ニ復之ヲ說カスト雖モ占有ノ他ノ效力ニ付テモ亦大ニ之ヲ區別スルノ必要アルコトハ既ニ前條ニ說明シタル事項ノ外次節ニ至リテ將ニ大ニ論述スル所アラントス然ルニ實際ニ於テハ占有カ果シテ如何ナル性質ヲ帶フルカハ之ヲ證明シ難キコト多シ是ニ於テカ本條ニハ法律ヲ以テ一應ノ推定ヲ設ケ別段ノ證明ナキ限ハ（第一）所有ノ意思ヲ以テスルモノトシ（第二）善意ナルモノトシ（第三）平穩ナルモノトシ（第四）公然ナルモノトシ（第五）繼續セルモノトセリ但此末ノ場合ニ於テハ占有ノ起初ト其最後ノ時トヲ證明スルコトヲ要ス然スルトキハ法律ハ其間ニ於テ占有カ常ニ繼續セシモノト推定スルナリ是レ他ナシ法律ハ最モ普通ノ場合ヲ以テ假ニ事實トシ之ニ異ナリタル例外ノ事實アルコトヲ主張スル者ハ須ラク其證據ヲ提出スヘキモノトセルナリ然ルニ占有ノ最多ノ場合ニ於テハ所有ノ意思ヲ以テ之ヲ爲スヘク又自ラ正當ニ權利ヲ行使スルモノト信スヘク又暴行、脅迫等ヲ用ヒスシテ占有ヲ爲スヘク又他人ニ隱サスシテ占有ヲ爲スヘク又一旦占有カ始マリタルトキハ爾後繼續スルモノナレハナリ
本條ノ規定ハ單ニ一應ノ推定 ニ止マリ敢テ絕對ニ之ヲ看做ス ニ非ス故ニ反對ノ證據ヲ以テ此推定ヲ擊破スルコトヲ得ヘシ新民法ニ於テハ看做ス ト云ヘル場合ニ於テハ別段ノ明文ナキ限ハ敢テ反證ヲ許サスト雖モ推定 ト云ヘル場合ニ於テハ常ニ反證ヲ以テ之ヲ擊破スルコトヲ得ルモノトス
第百八十六條 占有者ハ所有ノ意思ヲ以テ善意、平穩且公然ニ占有ヲ爲スモノト推定ス
前後兩時ニ於テ占有ヲ爲シタル證據アルトキハ占有ハ其間繼續シタルモノト推定ス（財一八六乃至一八八）
占有ノ性質ハ種種ニ之ヲ分ツコトヲ得（第一）所有ノ意思 ヲ以テスル占有及ヒ所有ノ意思ヲ以テセサル占有（第二）善意占有 及ヒ惡意占有 （第三）平穩占有 及ヒ强暴占有 （第四）公然占有 及ヒ穩秘占有 （第五）繼續占有 及ヒ不繼續占有 ノ類是ナリ而シテ其性質ニ依リ法律ノ保護自ラ同シカラサルモノアリ其時效ニ關スル差別ニ付テハ前編既ニ之ヲ論シタルカ故ニ復之ヲ說カスト雖モ占有ノ他ノ效力ニ付テモ亦大ニ之ヲ區別スルノ必要アルコトハ既ニ前條ニ說明シタル事項ノ外次節ニ至リテ將ニ大ニ論述スル所アラントス然ルニ實際ニ於テハ占有カ果シテ如何ナル性質ヲ有スルカハ之ヲ證明シ難キコト多シ是ニ於テカ本條ニハ法律ヲ以テ一應ノ推定ヲ設ケ反對ノ證明ナキ限ハ（第一）所有ノ意思ヲ以テスルモノトシ（第二）善意ナルモノトシ（第三）平穩ナルモノトシ（第四）公然ナルモノトシ（第五）繼續セルモノトセリ但此末ノ場合ニ於テハ占有ノ起初ト其最後ノ時トヲ證明スルコトヲ要ス然スルトキハ法律ハ其間ニ於テ占有カ常ニ繼續セシモノト推定スルナリ法律カ以上ノ推定ヲ設ケタルハ他ナシ法律ハ最モ普通ノ場合ヲ以テ假ニ事實トシ之ニ異ナリタル例外ノ事實アルコトヲ主張スル者ハ須ラク其證據ヲ提出スヘキモノトセルナリ然ルニ占有ノ最多ノ場合ニ於テハ所有ノ意思ヲ以テ之ヲ爲スヘク又正當ニ權利ヲ行使スルモノト信スヘク又暴行、脅迫等ヲ用ヒスシテ占有ヲ爲スヘク又他人ニ隱サスシテ占有ヲ爲スヘク又一旦占有カ始マリタルトキハ爾後其占有繼續スルモノナレハナリ
本條ノ規定ハ單ニ一應ノ推定 （præsumptio, présomption, uermuthung）ニ止マリ敢テ絕對ニ之ヲ看做ス ニ非ス故ニ反對ノ證據ヲ以テ此推定ヲ擊破スルコトヲ得ヘシ新民法ニ於テハ看做ス ト云ヘルトキハ別段ノ明文ナキ限ハ敢テ反證ヲ許サスト雖モ推定 ト云ヘルトキハ常ニ反證ヲ以テ擊破スルコトヲ得ルモノトス