明治商法(明治32年)

商法決議案 (明治三十年十月九日配布)

参考原資料

第三編 商行為 第一章 総則 第二百二十四条 対話者間ニ於テ契約ノ申込ヲ受ケタル者カ直チニ承諾ヲ為ササルトキハ申込ハ其効力ヲ失フ 第二百二十五条 隔地者間ニ於テ承諾ノ期間ヲ定メスシテ契約ノ申込ヲ為シタル場合ニ於テ其申込ヲ受ケタル者カ相当ノ期間内ニ承諾ノ通知ヲ発セサルトキハ申込ハ其効力ヲ失フ 民法第五百二十三条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第二百二十六条 商人カ平常取引ヲ為ス者ヨリ其営業ノ部類ニ属スル契約ノ申込ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク諾否ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス若シ之ヲ発スルコトヲ怠リタルトキハ申込ヲ承諾シタルモノト看做ス 第二百二十七条 商人カ其営業ノ部類ニ属スル契約ノ申込ヲ受ケタル場合ニ於テ申込ト共ニ受取リタル物品アルトキハ其申込ヲ拒絶シタルトキト雖モ申込者ノ費用ヲ以テ其物品ヲ保管スルコトヲ要ス但其物品ノ価額カ其費用ヲ償フニ足ラサルトキ又ハ商人カ保管ノ為メニ損害ヲ受クヘキトキハ此限ニ在ラス 第二百二十八条 数人カ其一人又ハ全員ノ為メニ商行為タル行為ニ因リテ債務ヲ負担シタルトキハ其債務ハ各自連帯ニテ之ヲ負担ス 保証人アル場合ニ於テ債務カ主タル債務者ノ商行為ニ因リテ生シタルトキ又ハ保証カ商行為ナルトキハ主タル債務者及ヒ保証人カ各別ノ行為ヲ以テ債務ヲ負担シタルトキト雖モ其債務ハ各自連帯ニテ之ヲ負担ス 第二百二十九条 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ他人ノ為メニ或行為ヲ為シタルトキハ特約ナキモ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得 第二百三十条 商人間ニ於テ金銭ノ消費貸借ヲ為シタルトキハ利息ノ特約ナキモ貸主ハ法定利息ヲ請求スルコトヲ得 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ他人ノ為メニ金銭ノ立替ヲ為シタルトキハ其立替ノ日以後ノ法定利息ヲ請求スルコトヲ得 第二百三十一条 商行為ニ関シテハ法定利率ハ年六分トス 第二百三十二条 商行為ニ因リテ生シタル債務ノ履行ヲ為スヘキ場所カ其行為ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ因リテ定マラサルトキハ特定物ノ引渡ハ行為ノ当時其物ノ存在セシ場所ニ於テ之ヲ為シ其他ノ履行ハ債権者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス 指図債権及ヒ無記名債権ノ弁済ハ債務者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス 第二百三十二条甲 指図債権又ハ無記名債権ノ債務者ハ其履行ニ付キ期限ノ定アルトキト雖モ所持人カ其証券ヲ呈示シテ履行ノ請求ヲ為シタル時ヨリ遅滞ノ責ニ任ス 前項ノ規定ハ民法第四百七十一条ニ掲ケタル債権ニ之ヲ準用ス 第二百三十二条乙 金銭其他ノ物ノ給付ヲ目的トスル指図証券ノ所持人カ其証券ヲ喪失シタル場合ニ於テ公示催告ノ申立ヲ為シタルトキハ債務者ヲシテ其債務ノ目的物ヲ供託セシメ又ハ相当ノ担保ヲ供シ其証券ノ趣旨ニ従ヒテ履行ヲ為サシムルコトヲ得 第二百三十二条丙 第三百七十七条、第三百九十三条、第三百九十七条及ヒ第四百条ノ規定ハ金銭其他ノ物ノ給付ヲ目的トスル指図債権ニ之ヲ準用ス 第二百三十三条 法令又ハ慣習ニ依リテ取引時間ノ定アルトキハ其取引時間内ニ限リ債務ノ履行ヲ為シ又ハ其履行ノ請求ヲ為スコトヲ得 第二百三十四条 商人間ニ於テ其双方ノ為メニ商行為タル行為ニ因リテ生シタル債権ノ弁済期カ到来シタルトキハ債権者ハ其債務者トノ間ニ於ケル商行為ニ因リテ自己ノ占有ニ帰シタル債務者ノ所有物ヲ留置スルコトヲ得但別段ノ意思表示アルトキハ此限ニ在ラス 第二百三十四条甲 商行為ニ因リテ生シタル債権ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外五年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス但民法第百七十条、第百七十三条及ヒ第百七十四条ノ適用ヲ妨ケス 第二章 売買 第二百三十五条 商人間ノ売買ニ於テ買主カ其目的物ヲ受取ルコトヲ拒ミタルトキハ売主ハ其物ヲ供託シ又ハ相当ノ期間ヲ定メテ催告ヲ為シタル後之ヲ競売スルコトヲ得此場合ニ於テハ遅滞ナク其旨ヲ買主ニ通知スルコトヲ要ス 損敗シ易キ物ハ前項ノ催告ヲ為サスシテ之ヲ競売スルコトヲ得 前二項ノ規定ニ依リ売主カ売買ノ目的物ヲ競売シタルトキハ其代価ヲ供託スルコトヲ要ス但売主カ未タ代金ノ全部又ハ一部ヲ受取ラサリシトキハ之ヲ控除スルコトヲ妨ケス 第二百三十六条 契約ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ依リ一定ノ日時又ハ一定ノ期間内ニ履行ヲ為スニ非サレハ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハサル場合ニ於テ当事者ノ一方カ履行ヲ為サスシテ其時期ヲ経過シタルトキハ相手方ハ直チニ其履行ヲ請求スルニ非サレハ契約ヲ解除シタルモノト看做ス 第二百三十七条 商人間ノ売買ニ於テ買主カ其目的物ヲ受取リタルトキハ遅滞ナク之ヲ検査シ若シ其瑕疵アルコト又ハ数量ニ不足アルコトヲ発見シタルトキハ直チニ其旨ヲ売主ニ通知スルニ非サレハ其瑕疵又ハ不足ニ付キ異議ヲ述フルコトヲ得ス売買ノ目的物ニ直チニ発見スルコト能ハサル瑕疵アリタル場合ニ於テ買主カ後日之ヲ発見シタルトキ亦同シ 第二百三十八条 前条ノ場合ニ於テ買主ハ異議ヲ述ヘタルトキト雖モ売主ノ費用ヲ以テ売買ノ目的物ヲ保管スルコトヲ要ス但其物ニ付キ滅失又ハ毀損ノ虞アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ之ヲ競売シ其代価ヲ保管スルコトヲ要ス 前項ノ規定ニ依リ買主カ競売ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其旨ヲ売主ニ通知スルコトヲ要ス 前二項ノ規定ハ売主及ヒ買主ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所カ同一市町村内ニ在ル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百三十九条 前条ノ規定ハ売主ヨリ買主ニ引渡シタル物品カ注文セシ物品ト異ナリタル場合ニ之ヲ準用ス其物品カ契約ノ数量ヲ超過シタル場合ニ於テ其超過額ニ付キ亦同シ 第三章 交互計算 第二百四十条 交互計算ハ平常互ニ取引ヲ為ス商人ト他人トノ間ニ於テ一定ノ期間内ノ取引ヨリ生スル債権債務ノ総額ニ付キ相殺ヲ為シ其残額ノ支払ヲ為スヘキコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス 第二百四十一条 手形其他ノ有価証券ヨリ生シタル債権債務ヲ交互計算ニ組入レタル場合ニ於テ証券ノ債務者カ弁済ヲ為ササリシトキハ当事者ハ其債務ヲ交互計算ヨリ除去スルコトヲ得 第二百四十二条 当事者カ相殺ヲ為スヘキ期間ヲ定メサリシトキハ其期間ハ之ヲ六个月トス 第二百四十三条 当事者カ債権債務ノ各項目ヲ記載シタル計算書ヨリ生スル残額ノ承認ヲ為シタルトキハ其各項目ニ付キ異議ヲ述フルコトヲ得ス但錯誤又ハ脱漏アリタルトキハ此限ニ在ラス 第二百四十四条 相殺ニ因リテ生シタル残額ニ付テハ債権者ハ計算閉鎖ノ日以後ノ法定利息ヲ請求スルコトヲ得 前項ノ規定ハ各項目ヲ交互計算ニ組入レタル日ヨリ之ニ利息ヲ附スルコトヲ妨ケス 第二百四十五条 当事者ノ一方ハ何時ニテモ交互計算ヲ解除スルコトヲ得此場合ニ於テハ直チニ計算ヲ閉鎖シテ残額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得 第四章 匿名組合 第二百四十六条 匿名組合契約ハ当事者ノ一方カ他ノ一方ノ営業ノ為メニ出資ヲ為シ其営業ヨリ生スル損益ヲ分配スヘキコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス 第二百四十七条 匿名組合員ノ出資ハ営業者ノ財産ニ帰ス 匿名組合員ハ営業者ノ行為ニ付キ第三者ニ対シ権利義務ヲ有セス 第二百四十八条 匿名組合員カ其氏又ハ氏名ヲ商号ニ表示スルコトヲ許諾シタルトキハ其表示以後ニ生シタル債務ニ付キ営業者ト連帯シテ其責ニ任ス 第二百四十九条 出資カ損失ニ因リテ減シタルトキハ之ヲ填補シタル後ニ非サレハ匿名組合員ハ利益ノ配当ヲ請求スルコトヲ得ス 第二百五十条 組合契約ヲ以テ組合ノ存続期間ヲ定メサリシトキ又ハ或当事者ノ終身間組合ノ存続スヘキコトヲ定メタルトキハ各当事者ハ事業年度ノ終ニ於テ契約ヲ解除スルコトヲ得但六个月前ニ其予告ヲ為スコトヲ要ス 組合ノ存続期間ヲ定メタルト否トヲ問ハス已ムコトヲ得サル事由アルトキハ各当事者ハ何時ニテモ契約ヲ解除スルコトヲ得 第二百五十一条 前条ニ掲ケタル場合ノ外組合契約ハ左ノ事由ニ因リテ終了ス 一 営業者ノ死亡又ハ禁治産 二 営業者又ハ匿名組合員ノ破産 三 組合ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能 第二百五十二条 組合契約カ終了シタルトキハ営業者ハ匿名組合員ニ其出資ノ価額ヲ返還スルコトヲ要ス但出資カ損失ニ因リテ減シタルトキハ其残額ヲ返還スルヲ以テ足ル 第二百五十三条 第九十三条、第九十六条及ヒ第百条ノ規定ハ匿名組合員ニ之ヲ準用ス 代理 第二百五十四条 商行為ノ代理人カ本人ノ為メニスルコトヲ示ササルトキト雖モ其行為ハ本人ニ対シテ其効力ヲ生ス但相手方カ本人ノ為メニスルコトヲ知ラサリシトキハ代理人ニ対シテ履行ノ請求ヲ為スコトヲ得 第二百五十五条 商行為ノ受任者ハ委任者カ承諾スヘキモノト認ムヘキ場合ニ限リ委任外ノ行為ヲ為スコトヲ得 第二百五十六条 委任ニ因ル代理権ハ商行為ニ付テハ本人ノ死亡ニ因リテ消滅セス 第五章 仲立営業 第二百五十七条 仲立人トハ他人間ノ商行為ノ媒介ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ 第二百五十八条 仲立人ハ其媒介シタル行為ニ付キ当事者ノ為メニ支払其他ノ給付ヲ受クル権限ヲ有セス但別段ノ意思表示又ハ慣習アルトキハ此限ニ在ラス 第二百五十九条 仲立人カ其媒介スル行為ニ付キ見本ヲ受取リタルトキハ其行為カ完了スルマテ之ヲ保管スルコトヲ要ス 第二百六十条 当事者間ニ於テ行為カ成立シタルトキハ仲立人ハ遅滞ナク各当事者ノ氏名、行為ノ年月日及ヒ其要領ヲ記載シタル書面ヲ作リ署名ノ後之ヲ各当事者ニ交付スルコトヲ要ス 当事者カ直チニ行為ヲ履行スヘキ場合ヲ除ク外仲立人ハ各当事者ヲシテ前項ノ書面ニ署名ヲ為サシメタル後之ヲ其相手方ニ交付スルコトヲ要ス 前二項ノ場合ニ於テ当事者ノ一方カ書面ヲ受領シ又ハ之ニ署名スルコトヲ拒ミタルトキハ仲立人ハ遅滞ナク其旨ヲ其相手方ニ通知スルコトヲ要ス 第二百六十一条 仲立人ハ其帳簿ニ前条第一項ニ掲ケタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス 当事者ハ何時ニテモ仲立人カ自己ノ為メニ媒介シタル行為ニ付キ其帳簿ノ謄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得 当事者カ其氏名ヲ相手方ニ示ササルヘキ旨ヲ仲立人ニ命シタルトキハ前項ノ謄本ニ其氏名ヲ記載スルコトヲ得ス 第二百六十二条 仲立人カ当事者ノ一方ノ氏名ヲ其相手方ニ示ササリシトキハ之ニ対シテ行為履行ノ責ニ任ス 第二百六十三条 仲立人ハ第二百六十条ノ手続ヲ終ハリタル後ニ非サレハ報酬ヲ請求スルコトヲ得ス 仲立人ノ報酬ハ当事者双方平分シテ之ヲ負担ス 第六章 問屋営業 第二百六十四条 問屋トハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ物品ノ販売又ハ買入ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ 第二百六十五条 問屋ハ他人ノ為メニ為シタル行為ニ因リ相手方ニ対シテ自ラ権利ヲ得義務ヲ負フ 問屋ト委託者トノ間ニ於テハ本章ノ規定ノ外委任及ヒ代理ニ関スル規定ヲ準用ス 第二百六十六条 問屋ハ委託者ノ為メニ為シタル行為ニ付キ相手方カ其債務ヲ履行セサル場合ニ於テ自ラ其履行ヲ為ス責ニ任ス但別段ノ意思表示又ハ慣習アルトキハ此限ニ在ラス 第二百六十七条 物品ノ販売又ハ買入ノ委託ヲ受ケタル問屋カ委託者ノ指定シタル金額ヨリ廉価ニテ販売ヲ為シ又ハ高価ニテ買入ヲ為シタル場合ニ於テ自ラ其差額ヲ負担スルトキハ其販売又ハ買入ハ委託者ニ対シテ其効力ヲ生ス 第二百六十八条 問屋カ物品ノ販売又ハ買入ノ委託ヲ受ケタル場合ニ於テ其物品カ取引所ノ相場アルモノナルトキハ問屋ハ自ラ買主又ハ売主ト為ルコトヲ得此場合ニ於テハ売買ノ代価ハ問屋カ買主又ハ売主ト為リタルコトノ通知ヲ発シタル時ニ於ケル取引所ノ相場ニ依リテ之ヲ定ム 前項ノ場合ニ於テモ問屋ハ委託者ニ対シテ報酬ヲ請求スルコトヲ得 第二百六十九条 問屋カ物品買入ノ委託ヲ受ケタル場合ニ於テ委託者カ買入レタル物品ヲ受取ルコトヲ拒ミタルトキハ第二百三十五条ノ規定ヲ準用ス 第二百七十条 第三十三条乙及ヒ第三十三条己ノ規定ハ問屋ニ之ヲ準用ス 第二百七十一条 前六条ノ規定ハ自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ販売及ヒ買入ニ非サル行為ヲ為スヲ業トスル者ニ之ヲ準用ス 第七章 運送取扱営業 第二百七十二条 運送取扱人トハ自己ノ名ヲ以テ物品運送ノ取次ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ 運送取扱人ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外問屋ニ関スル規定ヲ適用ス 第二百七十三条 運送取扱人ハ運送品ノ授受、保管、運送人又ハ他ノ運送取扱人ノ選択其他運送ニ関スル注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ運送品ノ滅失、毀損、延著其他ノ損害ニ付キ賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス 第二百七十四条 運送取扱人ハ運送品ニ関シ受取ルヘキ報酬、運送賃其他荷送人ノ為メニ為シタル立替又ハ前貸ニ付テノミ其運送品ヲ留置スルコトヲ得 第二百七十五条 数人相次テ運送ノ取次ヲ為ス場合ニ於テハ其後者ハ前者ニ代ハリテ其権利ヲ行使スル義務ヲ負フ 前項ノ場合ニ於テ後者カ前者ニ弁済ヲ為シタルトキハ前者ノ権利ヲ取得ス 第二百七十六条 運送取扱人カ運送人ニ弁済ヲ為シタルトキハ運送人ノ権利ヲ取得ス 第二百七十七条 運送取扱人ハ別段ノ契約ナキトキハ自ラ運送ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ運送取扱人ハ運送人ト同一ノ権利義務ヲ有ス 第二百七十八条 運送取扱人ノ責任ハ運送品ノ引渡アリタル日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス 前項ノ期間ハ運送品ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ其引渡アルヘカリシ日ヨリ之ヲ起算ス 前二項ノ規定ハ運送取扱人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百七十九条 第二百八十五条及ヒ第二百九十一条ノ規定ハ運送取扱営業ニ之ヲ準用ス 第八章 運送営業 第二百八十条 運送人トハ陸上又ハ湖川、港湾ニ於テ物品又ハ旅客ノ運送ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ 第一節 物品運送 第二百八十一条 運送人ハ荷送人ニ対シ送状ノ交付ヲ請求スルコトヲ得 送状ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 運送品ノ種類、重量若クハ容積、荷造ノ種類、個数及ヒ記号 二 到達地 三 荷送人及ヒ荷受人ノ氏名、住所若クハ居所 四 送状ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日 第二百八十二条 荷送人ハ運送人ニ対シ貨物引換証ノ交付ヲ請求スルコトヲ得 貨物引換証ニハ左ノ事項ヲ記載シ運送人署名スルコトヲ要ス 一 前条第二項第一号乃至第三号ニ掲ケタル事項 二 運送賃 三 此他運送契約ノ要領 四 貨物引換証ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日 第二百八十二条甲 裏書ニ依リテ貨物引換証ヲ譲渡シタルトキハ運送品ノ譲渡ト同一ノ効力ヲ有ス 第二百八十三条 運送品ノ全部又ハ一部カ滅失シタルトキハ運送人ハ既ニ為シタル運送ノ割合ニ応シ運送賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得 第二百八十四条 運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ノ場合ニ於テ運送人ハ其授受、保管及ヒ運送ニ関スル注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス 第二百八十五条 貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ荷送人カ運送ヲ委託スルニ当タリ其種類及ヒ価額ヲ明告シタルニ非サレハ運送人ハ其滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス 第二百八十六条 数人相次テ運送ヲ為ス場合ニ於テハ各運送人ハ運送品ノ滅失、毀損又ハ延著ニ付キ連帯シテ其責ニ任ス 第二百八十七条 運送人ハ運送取扱人、使用人其他運送ノ為メ使用シタル者ノ故意又ハ過失ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス 第二百八十八条 運送品ノ全部滅失ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其引渡アルヘカリシ日ニ於ケル到達地ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム 運送品ノ一部滅失又ハ毀損ノ場合ニ於ケル損害賠償ノ額ハ其引渡アリタル日ニ於ケル到達地ノ価格ニ依リテ之ヲ定ム但延著ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス 運送品ノ滅失又ハ毀損ノ為メ支払フコトヲ要セサリシ運送賃其他ノ費用ハ前二項ノ賠償額ヨリ之ヲ控除ス 第二百八十九条 運送品カ運送人ノ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ滅失又ハ毀損シタル場合ニ於テ損害カ前条ニ定メタル賠償額ヲ超ユルトキハ運送人ハ損害ノ全部ヲ賠償スル責ニ任ス 第二百九十条 荷送人ハ運送人ニ対シ運送ノ中止、運送品ノ返還其他ノ処分ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ運送人ハ既ニ為シタル運送ノ割合ニ応スル運送賃、立替金及ヒ其処分ニ因リテ生シタル費用ノ弁済ヲ荷送人ニ請求スルコトヲ得 前項ニ定メタル荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地ニ達シタル後荷受人カ其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス 第二百九十一条 運送品カ到達地ニ達シタル後ハ荷受人ハ運送人ニ対シ運送契約ニ因リテ生シタル荷送人ノ権利ヲ行使スルコトヲ得 荷受人カ運送品ヲ受取リタルトキハ運送人ニ対シ運送賃其他ノ費用ヲ支払フ義務ヲ負フ 第二百九十二条 荷受人ヲ確知スルコト能ハサルトキハ運送人ハ運送品ヲ供託シ又ハ之ヲ競売スルコトヲ得此場合ニ於テハ遅滞ナク其旨ヲ荷送人ニ通知スルコトヲ要ス 運送人ハ荷送人ニ対シ相当ノ期間ヲ定メ運送品ノ処分ニ付キ指図ヲ為スヘキ旨ヲ催告シタル後ニ非サレハ前項ノ規定ニ従ヒテ競売ヲ為スコトヲ得ス 第二百九十三条 前条ノ規定ハ運送品ノ引渡ニ関シ争アル場合ニ之ヲ準用ス但運送人ハ遅滞ナク運送品ノ供託又ハ競売ヲ為シタルコトヲ荷受人ニモ通知スルコトヲ要ス 運送人カ競売ヲ為スニハ予メ荷受人ニ対シ相当ノ期間ヲ定メテ運送品ノ受取ヲ催告シ其期間経過ノ後更ニ荷送人ニ対スル催告ヲ為スコトヲ要ス 第二百九十四条 第二百三十五条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前二条ノ場合ニ之ヲ準用ス 第二百九十五条 運送人ノ責任ハ荷受人カ留保ヲ為サスシテ運送品ヲ受取リ且運送賃其他ノ費用ヲ支払ヒタルトキハ消滅ス但運送品ニ直チニ発見スルコト能ハサル毀損又ハ一部滅失アリタル場合ニ於テ荷受人カ引渡ノ日ヨリ二週間内ニ其旨ヲ運送人ニ通知シタルトキハ此限ニ在ラス 前項ノ規定ハ運送人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス 第二百九十六条 第二百七十四条、第二百七十五条及ヒ第二百七十八条ノ規定ハ運送人ニ之ヲ準用ス 第二節 旅客運送 第二百九十七条 旅客ノ運送人ハ運送ニ関スル注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ旅客カ運送ノ為メ受ケタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス 損害賠償ノ額ヲ定ムルニ付テハ裁判所ハ被害者及ヒ其家族ノ情況ヲ斟酌スルコトヲ要ス 第二百九十八条 旅客ノ運送人ハ運送ノ為メ旅客ヨリ引渡ヲ受ケタル手荷物ニ付テハ特ニ運送賃ヲ請求セサルトキト雖モ物品ノ運送人ト同一ノ責任ヲ負フ 手荷物カ到達地ニ達シタル日ヨリ一週間内ニ旅客カ其引渡ヲ請求セサル場合ニ於テハ第二百三十五条ノ規定ヲ準用ス但住所又ハ居所ノ知レサル旅客ニハ催告及ヒ通知ヲ為スコトヲ要セス 第二百九十九条 旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケサル手荷物ノ滅失又ハ毀損ニ付テハ自己ニ過失アル場合ヲ除ク外損害賠償ノ責ニ任セス 第三百条 第二百八十七条ノ規定ハ旅客ノ運送人ニ之ヲ準用ス 第九章 寄託 第一節 総則 第三百一条 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス 第三百二条 旅店、飲食店、浴場其他公衆ノ来集スヘキ場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因レルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス 客カ特ニ寄託セサル物ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス 客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス 第三百三条 貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス 第三百四条 前二条ニ定メタル責任ハ場屋ノ主人カ寄託物ヲ返還シ又ハ客カ携帯品ヲ持去リタル後一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス 前項ノ期間ハ物ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ客カ場屋ヲ去リタルトキヨリ之ヲ起算ス 前二項ノ規定ハ場屋ノ主人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス 第二節 倉庫営業 第三百五条 倉庫営業者トハ他人ノ為メニ物品ヲ倉庫ニ保管スルヲ業トスル者ヲ謂フ 第三百六条 寄託者ハ倉庫営業者ニ対シ寄託物ノ預証券及ヒ質入証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得 第三百七条 預証券及ヒ質入証券ニハ左ノ事項ヲ記載シ且之ニ番号ヲ附記シ倉庫営業者署名スルコトヲ要ス 一 受寄物ノ種類、品質、数量、荷造ノ種類、個数及ヒ記号 二 寄託者ノ氏名、営業所若クハ住所 三 保管ノ場所 四 保管料 五 保管ノ期間ヲ定メタルトキハ其期間 六 受寄物ヲ保険ニ付シタルトキハ保険金額、保険期間及ヒ保険者ノ氏名、営業所 七 此他寄託契約ノ要領 八 預証券及ヒ質入証券ノ作成地並ニ其作成ノ年月日 九 倉庫営業者ノ営業所 第三百八条 預証券及ヒ質入証券ヲ寄託者ニ交付シタルトキハ倉庫営業者ハ其帳簿ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 預証券及ヒ質入証券ノ番号及ヒ其作成ノ年月日 二 前条第一号、第二号及ヒ第四号乃至第七号ニ掲ケタル事項 第三百九条 預証券及ヒ質入証券ノ所持人ハ倉庫営業者ニ対シ寄託物ヲ分割シ且其各部分ニ対スル預証券及ヒ質入証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ所持人ハ前ノ預証券及ヒ質入証券ヲ倉庫営業者ニ還付スルコトヲ要ス 前項ニ定メタル寄託物ノ分割及ヒ証券ノ交付ニ関スル費用ハ所持人ノ負担トス 第三百十条 倉庫営業者カ預証券及ヒ質入証券ヲ発行シタルトキハ寄託者又ハ其承継人ハ其証券ヲ以テスルニ非サレハ寄託物ニ付キ一切ノ処分ヲ為スコトヲ得ス 第三百十一条 預証券及ヒ資入証券ハ其記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡シ又ハ質入スルコトヲ得 預証券ノ所持人カ未タ質入ヲ為ササル間ハ預証券及ヒ質入証券ハ各別ニ之ヲ譲渡スコトヲ得ス 第三百十一条甲 第二百八十二条甲ノ規定ハ預証券ニ之ヲ準用ス 第三百十二条 預証券又ハ質入証券カ滅失シタルトキハ其所持人ハ相当ノ担保ヲ供シテ更ニ其証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得 第三百十三条 質入証券ニ第一ノ質入裏書ヲ為スニハ債権額、其利息及ヒ弁済期ヲ記載スルコトヲ要ス 第一ノ質権者カ前項ニ掲ケタル事項ヲ預証券ニ記載シテ之ニ署名スルニ非サレハ質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第三百十四条 預証券ノ所持人ハ質入証券ニ記載シタル債権ノ弁済期前ト雖モ其債権ノ全額及ヒ弁済期マテノ利息ヲ倉庫営業者ニ供託シテ寄託物ノ返還ヲ請求スルコトヲ得 前項ノ規定ニ従ヒテ供託シタル金額ハ質入証券ト引換ニテ之ヲ其所持人ニ支払フコトヲ要ス 第三百十五条 質入証券ノ所持人カ弁済期ニ至リ支払ヲ受ケサルトキハ為替手形ニ関スル規定ニ従ヒ拒絶証書ヲ作成セシムルコトヲ要ス 質入証券ノ所持人ハ拒絶証書作成ノ日ヨリ一週間ヲ経過シタル後ニ非サレハ物品ノ競売ヲ請求スルコトヲ得ス 第三百十六条 倉庫営業者ハ競売代金ノ中ヨリ競売ニ関スル費用、受寄物ニ課スヘキ租税、保管料其他保管ニ関スル費用及ヒ立替金ヲ扣除シタル後其残額ヲ質入証券ト引換ニテ其所持人ニ支払フコトヲ要ス 競売代金ノ中ヨリ前項ニ掲ケタル費用、租税、保管料、立替金及ヒ質入証券所持人ノ債権額、利息、拒絶証書作成ノ費用ヲ扣除シタル後余剰アルトキハ倉庫営業者ハ之ヲ預証券ト引換ニテ其所持人ニ支払フコトヲ要ス 第三百十七条 競売代金ヲ以テ質入証券ニ記載シタル債権ノ全部ヲ弁済スルコト能ハサリシトキハ倉庫営業者ハ其支払ヒタル金額ヲ質入証券ニ記入シテ其証券ヲ返還シ且其旨ヲ帳簿ニ記載スルコトヲ要ス 第三百十八条 質入証券ノ所持人ハ先ツ寄託物ニ付キ弁済ヲ受ケ尚不足アルニ非サレハ債務者其他ノ裏書人ニ対シテ請求ヲ為スコトヲ得ス 第三百十九条 質入証券ノ所持人カ弁済期ニ至リ支払ヲ受ケサリシ場合ニ於テ拒絶証書ヲ作成セシメサリシトキ又ハ拒絶証書作成ノ日ヨリ二週間内ニ物品ノ競売ヲ請求セサリシトキハ裏書人ニ対スル請求権ヲ失フ 第三百二十条 債務者其他ノ裏書人ニ対スル質入証券所持人ノ請求権ハ弁済期ヨリ一年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス 第三百二十一条 寄託者又ハ預証券ノ所持人ハ営業時間内ニ限リ何時ニテモ倉庫営業者ニ対シ物品ノ点検若クハ其見本ノ摘出ヲ求メ又ハ其保存ニ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得 質入証券ノ所持人ハ営業時間内ニ限リ何時ニテモ倉庫営業者ニ対シ物品ノ点検ヲ求ムルコトヲ得 第三百二十二条 物品ノ滅失又ハ毀損ノ場合ニ於テ倉庫営業者ハ其保管ニ関スル注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス 第三百二十三条 倉庫営業者ハ物品出庫ノ時ニ非サレハ報酬及ヒ立替金其他物品ニ関スル費用ノ支払ヲ請求スルコトヲ得ス但物品ノ一部ノ出庫ノ場合ニ於テハ割合ニ応シテ其支払ヲ請求スルコトヲ得 第三百二十四条 当事者カ寄託物返還ノ時期ヲ定メサリシトキハ倉庫営業者ハ物品入庫ノ日ヨリ六个月ヲ経過シタル後ニ非サレハ其返還ヲ為スコトヲ得ス但已ムコトヲ得サル事由アルトキハ此限ニ在ラス 第三百二十五条 寄託者又ハ預証券ノ所持人カ物品ヲ受取ルコトヲ怠リタル場合ニ於テハ第二百三十五条ノ規定ヲ準用ス 第三百二十六条 第二百九十五条ノ規定ハ倉庫営業者ニ之ヲ準用ス 第三百二十七条 寄託物ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル倉庫営業者ノ責任ハ其出庫ノ日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス 前項ノ期間ハ寄託物ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ倉庫営業者カ預証券ノ所持人、若シ其所持人カ知レサルトキハ寄託者ニ対シ其滅失ノ通知ヲ発シタル日ヨリ之ヲ起算ス 前二項ノ規定ハ倉庫営業者ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス 第十章 保険 第一節 損害保険 第一款 総則 第三百二十八条 損害保険契約ハ当事者ノ一方カ偶然ナル一定ノ事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ヲ填補スルコトヲ約シ相手方カ之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス 第三百二十九条 保険契約ハ金銭ニ見積ルコトヲ得ヘキ利益ニ限リ之ヲ以テ其目的ト為スコトヲ得 第三百三十条 保険金額カ保険契約ノ目的ノ価額ヲ超過シタルトキハ其超過シタル部分ニ付テハ保険契約ハ無効トス 第三百三十一条 同一ノ目的ニ付キ同時ニ数個ノ保険契約ヲ為シタル場合ニ於テ其保険金額カ保険価額ヲ超過シタルトキハ各保険者ノ負担部分ハ其各自ノ保険金額ノ割合ニ依リテ之ヲ定ム 数個ノ保険契約ノ日附カ同一ナルトキハ其契約ハ同時ニ為シタルモノト看做ス 第三百三十二条 相次テ数個ノ保険契約ヲ為シタルトキハ先ニ保険ヲ為シタル者先ツ損害ヲ負担シ若シ其負担額カ損害ノ全部ヲ填補スルニ足ラサルトキハ次ノ保険者之ヲ負担ス 第三百三十三条 既ニ保険価額ノ全部ヲ保険ニ付シタル後ト雖モ左ノ場合ニ限リ更ニ保険契約ヲ為スコトヲ得 一 前ノ保険者ニ対スル権利ヲ後ノ保険者ニ譲渡スコトヲ約シタルトキ 二 前ノ保険者ニ対スル権利ノ全部若クハ一部ヲ放棄スヘキコトヲ後ノ保険者ニ約シタルトキ 三 前ノ保険者カ損害ノ填補ヲ為ササルコトヲ条件トシタルトキ 第三百三十四条 同時ニ又ハ相次テ数個ノ保険契約ヲ為シタル場合ニ於テ保険者ノ一人ニ対スル権利ノ放棄ハ他ノ保険者ノ権利義務ニ影響ヲ及ホサス 第三百三十五条 保険価額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テ当事者カ別段ノ意思ヲ表示セサリシトキハ保険者ハ其保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ応シテ損害ヲ填補ス 第三百三十六条 保険価額カ保険期間中著シク減少シタルトキハ保険契約者ハ保険者ニ対シ保険金額及ヒ保険料ノ減額ヲ請求スルコトヲ得但保険料ノ減額ハ将来ニ向テノミ其効力ヲ生ス 第三百三十七条 保険者カ填補スヘキ損害ノ額ハ其損害カ生シタル地ニ於ケル其時ノ価額ニ依リテ之ヲ定ム 第三百三十八条 前条ノ規定ニ拘ハラス当事者カ契約ヲ以テ保険価額ヲ定メタルトキハ保険者ハ其価額ノ著シク過当ナルコトヲ証明スルニ非サレハ其填補額ノ減少ヲ請求スルコトヲ得ス 第三百三十九条 戦争其他ノ変乱ニ因リテ生シタル損害ハ特約アルニ非サレハ保険者之ヲ填補スル責ニ任セス 第三百四十条 保険契約ノ目的ノ性質若クハ瑕疵、其自然ノ消耗、保険契約者、被保険者又ハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ故意若クハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル損害ハ保険者之ヲ填補スル責ニ任セス 第三百四十一条 保険契約ノ当時当事者ノ一方又ハ被保険者カ事故ノ発生セサルコト又ハ既ニ発生シタルコトヲ知レルトキハ其契約ハ無効トス 第三百四十二条 保険契約者保険契約ヲ為スニ当タリ故意又ハ重大ナル過失ニ因リ重要ナル事実ヲ告ケス又ハ重要ナル事項ニ付キ不実ノ事ヲ告ケタルトキハ其契約ハ無効トス但保険者カ其事実ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシトキハ此限ニ在ラス 第三百四十三条 保険契約ノ全部又ハ一部カ無効ナル場合ニ於テ保険契約者及ヒ被保険者カ善意ニシテ且重大ナル過失ナキトキハ保険者ニ対シ保険料ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得 第三百四十四条 保険契約ノ当事者カ特別ノ危険ヲ斟酌シテ保険料ノ額ヲ定メタル場合ニ於テ保険期間中其危険カ消滅シタルトキハ保険契約者ハ将来ニ向テ保険料ノ減額ヲ請求スルコトヲ得 第三百四十五条 保険契約ハ他人ノ為メニモ之ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ保険契約者ハ保険者ニ対シ保険料ヲ支払フ義務ヲ負フ 他人ノ為メニ保険契約ヲ為ス意思カ分明ナラサルトキハ保険契約者自己ノ為メニ之ヲ為スモノト看做ス 第三百四十五条甲 保険契約者カ委任ヲ受ケスシテ他人ノ為メニ契約ヲ為シタル場合ニ於テ其旨ヲ保険者ニ告ケサルトキハ其契約ハ無効トス若シ之ヲ告ケタルトキハ被保険者ハ当然其契約ノ利益ヲ亨受ス 第三百四十六条 保険契約ハ書面ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ証明スルコトヲ得ス但其書面カ不可抗力ニ因リテ滅失シタルトキハ此限ニ在ラス 第三百四十七条 保険契約者ハ保険者ニ対シ保険証券ノ交付ヲ請求スルコトヲ得 保険証券ニハ左ノ事項ヲ記載シ保険者署名スルコトヲ要ス 一 保険契約ノ目的 二 保険者ノ負檐シタル危険 三 保険価額ヲ定メタルトキハ其価額 四 保険金額 五 保険料及ヒ其支払ノ方法 六 保険期間ヲ定メタルトキハ其始期及ヒ終期 七 保険契約者ノ氏名、住所 八 保険契約書ニ非サル者カ保険金額ヲ受取ルヘキトキハ其者ノ氏名、住所 九 保険契約ノ年月日 十 此他保険契約ノ要領 十一 保険証券作成ノ年月日 第三百四十八条 被保険者カ保険契約ノ目的ヲ譲渡シタルトキハ同時ニ保険契約ニ因リテ生シタル権利ヲ譲渡シタルモノト推定ス 第三百四十九条 保険者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ保険契約者ハ相当ノ担保ヲ供セシメ又ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得 前項ノ規定ハ保険契約者カ破産ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ之ヲ準用ス但保険契約者カ既ニ保険料ノ全部ヲ支払ヒタルトキハ此限ニ在ラス 第三百四十九条甲 他人ノ為メニ保険契約ヲ為シタル場合ニ於テ保険契約者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ保険者ハ被保険者ニ対シ保険料ノ支払ヲ請求スルコトヲ得但被保険者カ其権利ヲ放棄シタルトキハ此限ニ在ラス 第三百五十条 保険者ノ負担シタル危険カ発生セサルニ至リタルトキハ保険契約ハ其効力ヲ失フ此場合ニ於テハ保険契約者ハ其支払ヒタル保険料ノ半額ノ返還ヲ請求スルコトヲ得 第三百五十一条 保険期間中危険カ著シク変更又ハ増加シタルトキハ保険者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但其解除ハ将来ニ向ツテノミ其効力ヲ生ス 第三百五十二条 保険契約者又ハ被保険者カ危険ノ著シク変更又ハ増加シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク之ヲ保険者ニ通知スルコトヲ要ス若シ其通知ヲ怠リタルトキハ保険者ハ危険ノ変更又ハ増加ノ時ヨリ保険契約カ其効力ヲ失ヒタルモノト看做スコトヲ得但保険者カ既ニ危険ノ変更又ハ増加ヲ知レルトキハ此限ニ在ラス 保険者カ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク契約ノ解除ヲ為スニ非サレハ其契約ヲ承認シタルモノト看做ス 第三百五十三条 保険者ノ負担シタル危険ノ発生ニ因リテ損害カ生シタル場合ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ其損害ノ生シタルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク其旨ヲ保険者ニ通知スルコトヲ要ス 第三百五十三条甲 保険契約ノ目的ニ付キ保険者ノ負担スヘキ損害カ生シタルトキハ其後ニ至リ其目的カ保険者ノ負担ニ帰セサル事故ニ因リテ滅失シタルトキト雖モ保険者ハ其損害ヲ填補スル責ヲ免ルルコトヲ得ス 第三百五十四条 被保険者ハ損害ノ防止ヲ力ムルコトヲ要ス但之カ為メニ必要又ハ有益ナリシ費用及ヒ填補額カ保険金額ヲ超過スルトキト雖モ保険者之ヲ負担ス 第三百三十五条ノ規定ハ前項但書ノ場合ニ之ヲ準用ス 第三百五十四条甲 保険契約ノ目的ノ全部カ滅失シタル場合ニ於テ保険者カ保険金額ノ全部ヲ支払ヒタルトキハ被保険者カ其目的ニ付キ有セル権利ヲ取得ス但保険金額ノ一部ヲ保険ニ付シタル場合ニ於テハ保険者ノ権利ハ保険金額ノ保険価額ニ対スル割合ニ依リテ之ヲ定ム 第三百五十五条 損害カ第三者ノ行為ニ因リテ生シタル場合ニ於テ保険者カ被保険者ニ対シ負担額ノ全部ヲ支払ヒタルトキハ其支払ヒタル金額ノ限度ニ於テ保険契約者又ハ被保険者カ第三者ニ対シテ有スル権利ヲ取得ス 第三百五十六条 保険金額支払ノ義務ハ二年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス保険料支払ノ義務ニ付キ一年ヲ経過シタルトキ亦同シ 第三百五十七条 本節ノ規定ハ相互保険ニ之ヲ準用ス但其性質カ之ヲ許ササルトキハ此限ニ在ラス 第二款 火災保険 第三百五十八条 火災ニ因リテ生シタル損害ハ其火災ノ原因如何ヲ問ハス保険者之ヲ填補スル責ニ任ス但第三百三十九条及ヒ第三百四十条ノ場合ハ此限ニ在ラス 第三百五十九条 消防又ハ避難ニ必要ナル処分ニ因リ保険契約ノ目的物ニ付キ生シタル損害ハ保険者之ヲ填補スルコトヲ要ス 第三百六十条 賃借人其他他人ノ物ヲ保管スル者カ其支払フヘキ損害賠償ノ為メ其物ヲ火災保険ニ付シタルトキハ所有者ハ保険者ニ対シ直接ニ其損害ノ填補ヲ請求スルコトヲ得 第三百六十一条 火災保険証券ニハ第三百四十七条第二項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 保険ニ付シタル建物ノ所在地、構造及ヒ用方 二 動産ヲ保険ニ付シタルトキハ之ヲ貯蔵セル建物ノ所在地、構造及ヒ用方 第三款 運送保険 第三百六十二条 保険者カ負担シタル危険ハ特約ナキトキハ運送人カ運送品ヲ受取リタル時ヨリ之ヲ荷受人ニ引渡ス時マテニ生スルコトアルヘキ運送品ノ滅失又ハ毀損ノ一切ノ場合ヲ包含ス 第三百六十三条 運送品ノ保険ニ付テハ発送ノ時ニ於ケル其他ノ価額及ヒ到達地マテノ運送賃其他ノ費用ヲ以テ其保険価額トス 運送品カ正常ノ時期ニ於テ無事ニ到達スレハ荷受人カ受クヘカリシ利益ハ特約アルトキニ限リ之ヲ保険価額中ニ算入ス 第三百六十四条 運送保険証券ニハ第三百四十七条第二項ニ掲ケタル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス 一 運送ノ道筋及ヒ方法 二 運送人ノ氏名 三 運送人カ運送品ヲ受取リタル場所及ヒ其引渡ヲ為スヘキ場所 四 運送期間ノ定アルトキハ其期間 五 航行中寄港スヘキトキハ其場所 第三百六十五条 保険契約ハ特約アルニ非サレハ運送上ノ必要ニ因リ一時運送ヲ中止シ又ハ運送ノ道筋若クハ方法ヲ変更セシトキト雖モ其効力ヲ失ハス 第二節 生命保険 第三百六十六条 生命保険契約ハ当事者ノ一方カ相手方又ハ第三者ノ生死ニ関シ一定ノ金額ヲ支払フヘキコトヲ約シ相手方カ之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス 第三百六十七条 保険金額ヲ受取ルヘキ者ハ被保険者、其相続人又ハ親族ナルコトヲ要ス 保険契約ニ因リテ生シタル権利ハ被保険者ノ親族ニ限リ之ヲ譲受クルコトヲ得 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ死亡シタルトキ又ハ被保険者ト保険金額ヲ受取ルヘキモノトノ親族関係カ止ミタルトキハ保険契約者ハ更ニ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ定メ又ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ノ払戻ヲ請求スルコトヲ得 第三百六十八条 生命保険証券ニハ第三百四十七条第二項ニ掲ケタル事項ノ外保険契約ノ種類、被保険者ノ氏名、住所及ヒ被保険者ト保険金額ヲ受取ルヘキ者トノ親族関係ヲ記載スルコトヲ要ス 第三百六十九条 左ノ場合ニ於テハ保険者ハ保険金額ヲ支払フ責ニ任セス 一 被保険者カ自殺、決闘、死刑ノ執行又ハ犯罪ノ直接ノ結果ニ因リテ死亡シタルトキ 二 保険金額ヲ受取ルヘキモノカ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ但其者カ保険金額ノ一部ヲ受取ルヘキ場合ニ於テハ保険者ハ其残額ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス 前項第一号ノ場合ニ於テハ保険者ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ払戻スコトヲ要ス 第三百七十条 第三百三十九条、第三百四十一条乃至第三百四十六条、第三百四十七条第一項、第三百四十九条乃至第三百五十三条、第三百五十五条乃至第三百五十七条ノ規定ハ生命保険ニ之ヲ準用ス 第三百三十九条及ヒ第三百四十九条乃至第三百五十二条ノ場合ニ於テ保険者カ保険金額ヲ支払フコトヲ要セサルトキハ保険者ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ払戻スコトヲ要ス 第四編 手形 第一章 為替手形 第一節 総則 第三百七十一条 為替手形ニ署名シタル者ハ其手形ノ文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ 第三百七十二条 代理人カ本人ノ為メニスルコトヲ記載セスシテ為替手形ニ署名シタルトキハ本人ハ手形上ノ責任ヲ負フコトナシ 第三百七十三条 偽造又ハ変造シタル為替手形ト雖モ手形トシテ其効力ヲ有ス但偽造者又ハ変造者及ヒ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リテ其手形ヲ取得シタル者ハ手形上ノ権利ヲ有セス 無能力者カ為替手形ニ因リテ生シタル債務ヲ取消シタルトキト雖モ他ノ手形上ノ権利義務ニ影響ヲ及ホサス 第三百七十四条 変造シタル為替手形ニ署名シタル者ハ其変造手形ノ文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ 署名者ハ変造前ニ署名シタルモノト推定ス 第三百七十五条 本章ニ規定ナキ事項ハ之ヲ為替手形ニ記載スルモ手形上ノ効力ヲ生セス 為替手形ニ記載シタル事項ヲ抹消シタルトキハ其事項ハ之ヲ記載セサリシモノト看做ス 第三百七十六条 為替手形ノ債務者ハ本章ニ規定ナキ事由ヲ以テ手形上ノ請求ヲ為ス者ニ対抗スルコトヲ得ス但直接ニ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ事由ハ此限ニ在ラス 第三百七十七条 何人ト雖モ悪意又ハ重大ナル過失ナクシテ為替手形ヲ取得シタル者ニ対シ其手形ノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス 第三百七十八条 為替手形ノ引受又ハ支払ヲ求ムル為メニスル呈示拒絶証書ノ作成其他手形上ノ権利ノ行使及ヒ保全ニ付キ利害関係人ニ対シテ為スヘキ行為ハ其営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所又ハ居所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス但其者ノ承諾アルトキハ他ノ場所ニ於テ之ヲ為スコトヲ妨ケス 利害関係人ノ営業所、住所又ハ居所カ知レサルトキハ拒絶証書ヲ作成スヘキ公証人又ハ執達吏ハ其地ノ官署又ハ公署ニ問合ヲ為スコトヲ要ス若シ問合ヲ為スモ営業所、住所又ハ居所カ知レサルトキハ其役場ニ於テ拒絶証書ヲ作成スルコトヲ得 第三百七十九条 為替手形ノ引受人ニ対スル債権ハ満期日ヨリ三年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス 所持人ノ振出人其他ノ前者ニ対スル償還請求権ハ支払拒絶証書作成ノ日ヨリ裏書人ノ振出人其他ノ前者ニ対スル償還請求権ハ償還ヲ為シタル日ヨリ六个月ヲ経過シタルトキ亦同シ 第三百八十条 為替手形ヨリ生シタル債権カ時効又ハ手続ノ欠缺ニ因リテ消滅シタルトキト雖モ所持人ハ振出人又ハ引受人ニ対シ其受ケタル利益ノ限度ニ於テ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 第二節 振出 第三百八十一条 為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載シ振出人署名、捺印スルコトヲ要ス 一 一定ノ金額 二 支払人ノ氏名又ハ商号 三 受取人ノ氏名又ハ商号 四 一定ノ満期日 五 単純ナル支払ノ委託 六 振出ノ年月日 第三百八十二条 為替手形ノ主タル部分ニ記載シタル金額カ他ノ部分ニ記載シタル金額ト異ナリタルトキハ主タル部分ニ記載シタル金額ヲ以テ手形ノ金額トス 第三百八十三条 振出人ハ自己ヲ受取人又ハ支払人ト定ムルコトヲ得 第三百八十四条 振出人ハ為替手形ニ予備支払人ヲ記載スルコトヲ得 第三百八十五条 為替手形ハ其金額三十円以上ノモノニ限リ之ヲ無記名式ト為スコトヲ得 第三百八十六条 満期日ハ左ニ掲ケタル種類ノ一タルコトヲ要ス 一 確定セル日 二 日附後確定セル時期ヲ経過シタル日 三 一覧ノ日 四 一覧後確定スル時期ヲ経過シタル日 第三百八十七条 振出人カ為替手形ニ満期日ヲ記載セサリシトキハ一覧ノ日ヲ以テ其手形ノ満期日トス 第三百八十八条 振出人カ特ニ為替手形ニ支払地ヲ記載セサリシトキハ其手形ニ記載シタル支払人ノ住所地ヲ以テ其支払地トス 第三百八十九条 支払地カ支払人ノ住所地ト異ナルトキハ他人ヲ以テ支払担当者トシテ為替手形ニ記載スルコトヲ得 第三百九十条 振出人ハ為替手形ニ其支払地ニ於ケル支払ノ場所ヲ記載スルコトヲ得 第三節 裏書 第三百九十一条 所持人ハ為替手形カ記名式ナルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得但振出人カ裏書ヲ禁スル旨ヲ手形ニ附記シタルトキハ此限ニ在ラス 第三百九十二条 振出人、引受人又ハ裏書人カ裏書ニ依リテ為替手形ヲ譲受ケタルトキハ更ニ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得 第三百九十三条 裏書ハ為替手形、其謄本又ハ補箋ニ被裏書人ノ氏名若クハ商号及ヒ裏書ノ年月日ヲ記載シ裏書人署名、捺印スルニ依リテ之ヲ為ス 裏書ハ裏書人ノ署名ノミヲ以テ之ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ爾後為替手形ハ引渡ノミニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得 第三百九十四条 裏書人ハ裏書ヲ為スニ当タリ予備支払人ヲ記載スルコトヲ得 第三百九十五条 裏書人ハ裏書ヲ為スニ当タリ手形上ノ責任ヲ負ハサル旨ヲ附記スルコトヲ得 第三百九十六条 裏書人カ裏書ヲ為スニ当タリ爾後裏書ヲ禁スル旨ヲ附記シタルトキハ其裏書人ハ被裏書人ノ後者ニ対シテ手形上ノ責任ヲ負フコトナシ 第三百九十七条 裏書人カ其署名ノミヲ以テ裏書ヲ為シタルトキハ所持人ハ自己ヲ被裏書人ト為スコトヲ得 第三百九十八条 支払拒絶証書作成ノ期間ヲ経過シタル後所持人カ裏書ヲ為シタルトキハ被裏書人ハ裏書人ノ有セシ権利ノミヲ取得ス此場合ニ於テハ裏書人ハ手形上ノ責任ヲ負フコトナシ 第三百九十九条 所持人ハ裏書ニ依リテ為替手形ノ質入ヲ為シ又ハ其取立ノ代理ヲ委任スルコトヲ得此場合ニ於テハ裏書ニ其目的ヲ記載スルコトヲ要ス 前項ノ場合ニ於テ被裏書人ハ同一ノ目的ヲ以テ更ニ裏書ヲ為スコトヲ得 第四百条 裏書アル為替手形ノ所持人ハ其裏書カ連続スルニ非サレハ其権利ヲ行フコトヲ得ス但署名ノミヲ以テ為シタル裏書アルトキハ次ノ裏書人ハ其裏書ニ因リテ手形ヲ取得シタルモノト看做ス 第四節 引受 第四百一条 為替手形ノ所持人ハ何時ニテモ支払人ニ手形ヲ呈示シテ其引受ヲ求ムルコトヲ得 第四百二条 一覧後定期払ノ為替手形ノ所持人ハ其日附ヨリ一年内ニ支払人ニ手形ヲ呈示シテ其引受ヲ求ムルコトヲ要ス但振出人ハ手形ニ一年ヨリ短キ呈示期間ヲ定ムルコトヲ得 所持人カ前項ニ定メタル呈示ヲ為ササリシトキハ振出人其他ノ前者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 第四百三条 所持人カ一覧後定期払ノ為替手形ヲ呈示シタル場合ニ於テ支払人カ其引受ヲ拒ミ又ハ引受ノ日附ヲ手形ニ記載スルコトヲ拒ミタルトキハ所持人ハ呈示期間内ニ拒絶証書ヲ作成セシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ其拒絶証書作成ノ日ヲ以テ呈示ノ日ト看做ス 所持人カ拒絶証書ヲ作成セシメサリシトキハ振出人其他ノ前者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 引受人カ引受ノ日附ヲ記載セサリシ場合ニ於テ所持人カ拒絶証書ヲ作成セシメサリシトキハ呈示期間ノ末日ヲ以テ呈示ノ日ト看做ス 第四百四条 引受ハ為替手形ニ其旨ヲ記載シ支払人署名スルニ依リテ之ヲ為ス 支払人カ手形ニ署名シタルトキハ其引受ヲ為シタルモノト看做ス 第四百五条 支払人ハ手形金額ノ一部ニ付キ引受ヲ為スコトヲ得 前項ノ場合ヲ除ク外支払人カ為替手形ノ単純ナル引受ヲ為ササリシトキハ其引受ヲ拒絶シタルモノト看做ス但引受人ハ其引受ノ文言ニ従ヒテ責任ヲ負フ 第四百六条 支払人ハ為替手形ノ引受ニ因リ満期日ニ於テ其引受ケタル金額ヲ支払フ義務ヲ負フ 第四百七条 引受人カ為替手形ノ支払ヲ為ササリシ場合ニ於テ其所持人又ハ償還ヲ為シタル裏書人若クハ振出人ニ対シテ支払フヘキ金額ハ第四百二十八条又ハ第四百二十九条ノ規定ニ依リテ之ヲ定ム 第四百八条 支払地カ支払人ノ住所地ト異ナル場合ニ於テ振出人カ手形ニ支払担当者ヲ記載セサリシトキハ支払人ハ其引受ヲ為スニ当タリテ之ヲ記載スルコトヲ得若シ支払人カ之ヲ記載セサルトキハ支払地ニ於テ自ラ支払ヲ為ス責ニ任ス 振出人ハ手形ニ其引受ヲ求ムル為メ之ヲ呈示スヘキ旨ヲ記載スルコトヲ得此場合ニ於テ所持人カ拒絶証書ニ依リ其呈示ヲ為シタルコトヲ証明セサルトキハ振出人其他ノ前者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 第四百九条 支払人ハ引受ヲ為スニ当タリ為替手形ニ其支払地ニ於ケル支払ノ場所ヲ記載スルコトヲ得 第五節 担保ノ請求 第四百十条 支払人カ為替手形ノ引受ヲ為ササリシトキハ所持人ハ振出人其他ノ前者ニ対シ手形金額及ヒ費用ニ付キ相当ノ担保ヲ請求スルコトヲ得 支払人カ手形金額ノ一部ニ付キ引受ヲ為シタルトキハ所持人ハ其残額及ヒ費用ニ付キ相当ノ担保ヲ請求スルコトヲ得 第四百十一条 為替手形ノ所持人カ前条ノ請求ヲ為サント欲スルトキハ引受拒絶証書ヲ作成セシメ且担保ヲ供セシメント欲スル者ニ対シ遅滞ナク其通知ヲ発スルコトヲ要ス 第四百十二条 裏書人ハ振出人其他ノ前者ニ対シ前二条ノ規定ニ従ヒテ担保ノ請求ヲ為スコトヲ得 第四百十三条 前三条ノ規定ニ依リ担保ノ請求ヲ受ケタル者ハ遅滞ナク引受拒絶証書ト引換ニテ相当ノ担保ヲ供スルコトヲ要ス但担保ニ代ヘテ相当ノ金額ヲ供託スルコトヲ得 第四百十四条 振出人其他ノ前者カ担保ヲ供シ又ハ供託ヲ為シタルトキハ其後者全員ノ為メ且其後者全員ニ対シテ之ヲ為シタルモノト看做ス 所持人又ハ裏書人カ第四百一条ニ定メタル通知ヲ発シタルトキハ其通知ヲ受クル者ノ後者全員ノ為メニシタルモノト看做ス 第四百十五条 左ノ場合ニ於テハ第四百十三条ノ規定ニ依リテ供シタル担保ハ其効力ヲ失ヒ又供託シタル金額ハ之ヲ取戻スコトヲ得 一 後日ニ至リ為替手形ノ単純ナル引受アリタルトキ 二 手形金額及ヒ費用ノ支払アリタルトキ 三 担保ヲ供シ若クハ供託ヲ為シタル者又ハ其前者カ償還ヲ為シタルトキ 四 手形上ノ権利カ時効又ハ手続ノ欠缺ニ因リテ消滅シタルトキ 五 担保ヲ供シ又ハ供託ヲ為シタル者カ満期日ヨリ一年内ニ償還ノ請求ヲ受ケサリシトキ 第四百十六条 引受人カ破産ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ相当ノ担保ヲ供セス且為替手形ニ記載シタル予備支払人カ単純ナル引受ヲ為ササリシトキハ所持人ハ振出人其他ノ前者ニ対シ相当ノ担保ヲ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ第四百条乃至第四百十四条ノ規定ヲ準用ス 前項ノ場合ニ於テ予備支払人ノ引受ヲ求ムルニハ拒絶証書ヲ作成セシメ且遅滞ナク其通知ヲ発スルコトヲ要ス 第四百十七条 左ノ場合ニ於テハ前条ノ規定ニ依リテ供シタル担保ハ其効力ヲ失ヒ又供託シタル金額ハ之ヲ取戻スコトヲ得 一 予備支払人カ後日ニ至リ単純ナル引受ヲ為シタルトキ 二 引受人カ後日ニ至リ相当ノ担保ヲ供シタルトキ 三 第四百十五条第二号乃至第五号ノ場合 第六節 支払 第四百十八条 一覧払ノ為替手形ノ所持人ハ其日附ヨリ一年内ニ手形ヲ呈示シテ其支払ヲ求ムルコトヲ要ス但振出人ハ手形ニ一年ヨリ短キ呈示期間ヲ定ムルコトヲ得 所持人カ拒絶証書ニ依リ前項ニ定メタル呈示ヲ為シタルコトヲ証明セサルトキハ手形上ノ権利ヲ失フ 第四百十九条 支払ハ為替手形ト引換ニ非サレハ之ヲ為スコトヲ要セス 支払ヲ為ス者ハ為替手形ニ受取ノ旨ヲ記載セシメ且之ニ署名セシムルコトヲ得 第四百二十条 手形金額ノ全部ニ付キ引受アリタルトキト雖モ所持人ハ其一部ノ支払ヲ拒ムコトヲ得ス 一部ノ支払アリタルトキハ所持人ハ其旨ヲ手形ニ記入シ且一部受取ノ旨ヲ記載シタル謄本ヲ交付スルコトヲ要ス 第四百二十一条 為替手形ノ支払ノ請求ナキトキハ引受人ハ支払拒絶証書作成ノ期間ヲ経過シタル後手形金額ヲ供託シテ其債務ヲ免ルルコトヲ得 第四百二十二条 銷除 第七節 償還ノ請求 第四百二十三条 支払人カ為替手形ノ支払ヲ為ササリシトキハ所持人ハ振出人其他ノ前者ニ対シ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 第四百二十四条 所持人カ前条ノ請求ヲ為サント欲スルトキハ支払ヲ求ムル為メ手形ヲ支払人ニ呈示シ、若シ手形金額ノ支払ナキトキハ満期日又ハ其後二日内ニ支払拒絶証書ヲ作成セシメ且償還ヲ為サシメント欲スル者ニ対シ拒絶証書作成ノ翌日マテニ其通知ヲ発スルコトヲ要ス 所持人カ前項ニ定メタル手続ヲ為ササリシトキハ振出人其他ノ前者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 第四百二十五条 為替手形ノ所持人ハ支払拒絶証書ヲ作成セシメサリシトキト雖モ其作成ヲ免除セシ者ニ対シテハ手形上ノ権利ヲ失フコトナシ 所持人カ支払拒絶証書ヲ作成セシメタルトキハ其作成ヲ免除セシ者ト雖モ其費用ヲ償還スル義務ヲ免ルルコトヲ得ス 第四百二十六条 裏書人ハ振出人其他ノ前者ニ対シ前三条ノ規定ニ従ヒテ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 第四百二十七条 支払地カ支払人ノ住所地ト異ナル場合ニ於テ所持人カ償還ノ請求ヲ為サント欲スルトキハ為替手形ニ記載シタル支払担当者ニ対シ、若シ手形ニ支払担当者ノ記載ナキトキハ支払地ニ於テ支払人ニ対シ手形ヲ呈示シテ其支払ヲ求ムルコトヲ要ス此場合ニ於テ支払担当者又ハ支払人カ支払ヲ為ササリシトキハ所持人ハ支払地ニ於テ第四百二十四条ノ規定ニ従ヒ支払拒絶証書ヲ作成セシメ且其通知ヲ発スルコトヲ要ス 為替手形ニ支払担当者ノ記載アル場合ニ於テ所持人カ前項ニ定メタル手続ヲ為ササリシトキハ引受人ニ対シテモ手形上ノ権利ヲ失フ 第四百二十八条 為替手形ノ所持人ハ左ノ金額ニ付キ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 一 支払アラサリシ手形金額及ヒ満期日ノ翌日以後ノ法定利息 二 拒絶証書作成ノ手数料其他ノ費用 前項ノ金額ハ償還ノ請求ヲ受クル者ノ住所地カ支払地ト異ナル場合ニ於テハ支払地ヨリ償還ノ請求ヲ受クル者ノ住所地ニ宛テ振出シタル一覧払ノ為替手形ノ相場ニ依リテ之ヲ計算ス若シ支払地ニ於テ其相場ナキトキハ償還ノ請求ヲ受クル者ノ住所地ニ最モ近キ土地ニ宛テ振出シタル一覧払ノ為替手形ノ相場ニ依ル 第四百二十九条 償還ノ請求ヲ受ケタル裏書人ハ振出人其他ノ前者ニ対シ左ノ金額ニ付キ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 一 其支払ヒタル金額及ヒ支払ノ日以後ノ法定利息 二 其支出シタル費用 前条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第四百三十条 為替手形ノ所持人又ハ裏書人ハ償還ノ請求ヲ為ス為メ振出人其他ノ前者ヲ支払人トシテ更ニ為替手形ヲ振出スコトヲ得 第四百三十一条 前条ノ規定ニ依リ所持人カ振出ス為替手形ハ本為替手形ノ支払地ヲ以テ其振出地ト定メ償還ノ請求ヲ受クル者ノ住所地ヲ以テ其支払地ト定メタル一覧払ノモノナルコトヲ要ス 裏書人カ振出ス手形ニハ其住所地ヲ以テ振出地ト定ムルコトヲ要ス 第四百三十二条 償還ハ為替手形、支払拒絶証書及ヒ償還計算書ト引換ニ非サレハ之ヲ為スコトヲ要セス 償還ヲ為ス者ハ償還計算書ニ受取ノ旨ヲ記載セシメ且之ニ署名セシムルコトヲ得 第四百三十三条 第三百十四条ノ規定ハ償還ノ請求ニ之ヲ準用ス 第八節 保証 第四百三十四条 為替手形ヨリ生シタル債務ヲ保証スル為メ手形、其謄本又ハ補箋ニ署名シタル者ハ其債務カ無効ナルトキト雖モ主タル債務者ト同一ノ責任ヲ負フ 第四百三十五条 何人ノ為メニ保証ヲ為シタルカ分明ナラサルトキハ其保証ハ為替手形ノ引受人ノ為メニ為シタルモノト看做ス但未タ手形ノ引受アラサリシトキハ其振出人ノ為メニ為シタルモノト看做ス 第四百三十六条 保証人カ其債務ヲ履行シタルトキハ所持人カ主タル債務者ニ対シテ有シタル権利及ヒ主タル債務者カ其前者ニ対シテ有スヘキ権利ヲ取得ス 第九節 参加 第一款 参加引受 第四百三十七条 為替手形ノ所持人カ引受拒絶証書ヲ作成セシメタル場合ニ於テ其手形ノ支払地ニ於ケル予備支払人アルトキハ其予備支払人ニ手形ノ引受ヲ求メタル後ニ非サレハ振出人其他ノ前者ニ対シ担保ヲ請求スルコトヲ得ス 第四百三十八条 為替手形ノ所持人ハ予備支払人ニ非サル者ノ参加引受ヲ受諾スル義務ナシ 第四百三十九条 参加引受ヲ為サントスル者数人アルトキハ所持人ハ其選択ニ従ヒ其一人ノ引受ヲ受諾スルコトヲ得 第四百四十条 参加引受ハ為替手形ニ其旨ヲ記載シ参加引受人署名スルニ依リテ之ヲ為ス 参加引受人カ手形ニ被参加人ヲ定メサリシトキハ其引受ハ振出人ノ為メニ之ヲ為シタルモノト看做ス 第四百四十一条 所持人ハ引受拒絶証書作成ノ費用ノ支払ト引換ニ其証書ヲ参加引受人ニ交付シ且其証書ニ参加引受アリタル旨ヲ記載セシムルコトヲ要ス 参加引受人ハ遅滞ナク前項ノ拒絶証書ヲ被参加人ニ送付スルコトヲ要ス 第四百四十二条 参加引受人ハ支払人カ手形金額ノ支払ヲ為ササル場合ニ於テ被参加人ノ後者ニ対シ支払アラサリシ手形金額及ヒ費用ヲ支払フ義務ヲ負フ但所持人カ満期日又ハ其後二日内ニ支払ヲ求ムル為メ手形ヲ参加引受人ニ呈示セサルトキハ参加引受人ハ其義務ヲ免ル 第四百四十三条 為替手形ノ所持人及ヒ被参加人ノ後者ハ参加引受ニ因リテ担保ヲ請求スル権利ヲ失フ 第二款 参加支払 第四百四十四条 為替手形ノ所持人カ支払拒絶証書ヲ作成セシメタル場合ニ於テ其手形ノ支払地ニ於ケル予備支払人又ハ参加引受人アルトキハ所持人ハ満期日又ハ其後二日内ニ参加引受人ニ、若シ参加引受人ナキトキ又ハ参加引受人カ支払ヲ為ササルトキハ予備支払人ニ手形ヲ呈示シテ其支払ヲ求ムルコトヲ要ス此場合ニ於テ其者カ支払ヲ拒ミタルトキハ其旨ヲ支払拒絶証書ニ記載セシムルコトヲ要ス 所持人カ前項ニ定メタル手続ヲ為ササリシトキハ予備支払人ノ指定者又ハ被参加人及ヒ其後者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 第四百四十五条 為替手形ノ所持人ハ予備支払人又ハ参加引受人ニ非サル者ノ参加支払ト雖モ之ヲ拒ムコトヲ得ス若シ之ヲ拒ミタルトキハ被参加人及ヒ其後者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 第四百四十六条 参加支払ヲ為サントスル者数人アルトキハ所持人ハ最モ多数ノ者ヲシテ債務ヲ免レシムル効力ヲ有スル支払ヲ受クルコトヲ要ス 第四百四十七条 所持人ハ手形金額及ヒ費用ノ支払ト引換ニ支払拒絶証書及ヒ為替手形ヲ参加支払人ニ交付シ且其拒絶証書ニ参加支払アリタル旨ヲ記載セシムルコトヲ要ス 第四百四十八条 参加支払人カ支払ヲ為シタルトキハ引受人、被参加人及ヒ其前者ニ対スル所持人ノ権利ヲ取得ス 第十節 拒絶証書 第四百四十九条 拒絶証書ハ為替手形ノ所持人ノ請求ニ因リ公証人又ハ執達吏之ヲ作成ス 第四百五十条 拒絶証書ニハ左ノ事項ヲ記載シ公証人又ハ執達吏署名スルコトヲ要ス 一 為替手形、其謄本及ヒ補箋ニ記載シタル事項 二 拒絶者及ヒ被拒絶者ノ氏名又ハ商号 三 拒絶者ニ対シテ為シタル請求ノ旨趣及ヒ拒絶者カ其請求ニ応セサリシコト又ハ拒絶者ニ面会スルコト能ハサリシ理由 四 前号ノ請求ヲ為シ又ハ之ヲ為スコト能ハサリシ土地及ヒ年月日 五 法定ノ場所外ニ於テ拒絶証書ヲ作成スルトキハ拒絶者カ之ヲ承諾セシコト 六 参加引受又ハ参加支払アルトキハ参加ノ種類及ヒ参加人並ニ被参加人ノ氏名又ハ商号 第四百五十一条 数人ニ対シ手形上ノ請求ヲ為スヘキトキハ其請求ニ付キ一通ノ拒絶証書ヲ作成スルヲ以テ足ル 第四百五十二条 公証人又ハ執達吏カ拒絶証書ヲ作成シタルトキハ其帳簿ニ其証書ノ全文ヲ記載スルコトヲ要ス 拒絶証書カ滅失シタルトキハ利害関係人ハ其謄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得此謄本ハ原本ト同一ノ効力ヲ有ス 第十一節 為替手形ノ複本及ヒ謄本 第四百五十三条 為替手形ノ所持人ハ振出人ニ対シテ其手形ノ複本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得但受取人以外ノ所持人ハ其前者ヲ経由シテ之ヲ請求スルコトヲ要ス 振出人カ為替手形ノ複本ヲ作成シタルトキハ各裏書人ハ各通ニ其裏書ヲ為スコトヲ要ス 第四百五十四条 為替手形ノ複本ニ其複本タルコトヲ示ササルトキハ其各通ハ独立ノ為替手形トシテ其効力ヲ有ス 第四百五十五条 為替手形ノ複本ヲ作成シタル場合ニ於テ其一通ノ支払アリタルトキハ他ノ各通ハ其効力ヲ失フ但引受アルモノハ此限ニ在ラス 二人以上ニ各別ニ数通ノ為替手形ノ裏書ヲ為シタル者又ハ数通ノ為替手形ニ引受ヲ為シタル者ハ支払ノ時ニ於テ返還アラサリシ各通ニ付キ手形上ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス 第四百五十六条 為替手形ノ複本ノ所持人カ引受ヲ求ムル為メ其一通ヲ送付セシトキハ他ノ各通ニ其送付先ヲ記載スルコトヲ要ス 前項ノ記載アル為替手形ノ所持人ハ引受ヲ求ムル為メニ送付シタル一通ノ為替手形ヲ受取リタル者ニ対シ其返還ヲ求ムルコトヲ得若シ其者カ之ヲ返還セサルトキハ拒絶証書ニ依リ其事実及ヒ他ノ一通又ハ数通ノ為替手形ヲ以テ引受又ハ支払ヲ受クルコト能ハサリシコトヲ証明シタルトキニ限リ振出人其他ノ前者ニ対シ担保又ハ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 第四百五十七条 為替手形ノ所持人ハ其謄本ヲ作成スルコトヲ得 為替手形ノ謄本ニ或事項ヲ記載シタルトキハ其事項ト原本ニ記載シタル事項トヲ区別スルコトヲ要ス 第四百五十八条 所持人カ為替手形ノ引受ヲ求ムル為メ其原本ヲ送付セシ場合ニ於テ其謄本ヲ作成シタルトキハ之ニ其原本ノ送付先ヲ記載スルコトヲ要ス 前項ノ記載アル謄本ノ所持人ハ原本ヲ受取リタル者ニ対シ其返還ヲ求ムルコトヲ得 第四百五十九条 引受ヲ求ムル為メニ送付シタル為替手形ヲ受取リタル者カ之ヲ返還セサル場合ニ於テ其謄本ノ所持人カ拒絶証書ニ依リ其事実ヲ証明スルトキハ謄本ニ署名シタル者ニ対シ担保ノ請求ヲ為シ又謄本ニ記載シタル満期日カ到来セシ後ハ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得 第二章 約束手形 第四百六十条 約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載シ振出人署名スルコトヲ要ス 一 一定ノ金額 二 受取人ノ氏名又ハ商号 三 一定ノ満期日 四 単純ナル支払ノ約束 五 振出ノ年月日 第四百六十一条 振出人カ特ニ約束手形ニ支払地ヲ記載セサリシトキハ其手形ニ記載シタル振出地ヲ以テ其支払地トス 第四百六十二条 一覧後定期払ノ約束手形ノ所持人ハ其日附ヨリ一年内ニ振出人ニ手形ヲ呈示スルコトヲ要ス但振出人ハ手形ニ一年ヨリ短キ呈示期間ヲ定ムルコトヲ得 所持人カ拒絶証書ニ依リ前項ニ定メタル呈示ヲ為シタルコトヲ証明セサルトキハ振出人以外ノ前者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 第四百六十三条 所持人カ一覧後定期払ノ約束手形ヲ呈示シタル場合ニ於テ振出人カ呈示ヲ受ケタル旨及ヒ其日附ヲ手形ニ記載スルコトヲ拒ミタルトキハ所持人ハ呈示期間内ニ拒絶証書ヲ作成セシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ其拒絶証書作成ノ日ヲ以テ呈示ノ日ト看做ス 所持人カ拒絶証書ヲ作成セシメサリシトキハ振出人以外ノ前者ニ対スル手形上ノ権利ヲ失フ 振出人カ呈示ノ日附ヲ記載セサリシ場合ニ於テ所持人カ拒絶証書ヲ作成セシメサリシトキハ呈示期間ノ末日ヲ以テ呈示ノ日ト看做ス 第四百六十四条 第三百七十一条乃至第三百八十条、第三百八十二条、第三百八十五条乃至第三百八十七条、第三百八十九条乃至第三百九十三条、第三百九十五条乃至第四百条、第四百七条、第四百十六条乃至第四百三十六条、第四百四十四条乃至第四百五十二条及ヒ第四百五十七条ノ規定ハ約束手形ニ之ヲ準用ス 第三章 小切手 第四百六十五条 小切手ニハ左ノ事項ヲ記載シ振出人署名スルコトヲ要ス 一 其小切手タルコトヲ示スヘキ文字 二 一定ノ金額 三 支払人ノ氏名又ハ商号 四 受取人ノ氏名若クハ商号又ハ所持人ニ支払フヘキコト 五 単純ナル支払ノ委託 六 振出ノ年月日 第四百六十六条 小切手ノ振出人ハ自己ヲ受取人ト定ムルコトヲ得 第四百六十七条 小切手ハ一覧払ノモノトス 第四百六十八条 小切手ノ支払人カ其引受ヲ為シタルトキハ之ニ記載シタル金額ヲ支払フ義務ヲ負フ 第四百六十九条 小切手ノ所持人ハ其日附ヨリ一週間内ニ小切手ヲ呈示シテ其支払ヲ求ムルコトヲ要ス 所持人カ前項ニ定メタル呈示ヲ為ササリシトキハ振出人其他ノ前者ニ対シ償還ノ請求ヲ為スコトヲ得ス 第四百七十条 小切手ノ所持人カ振出人其他ノ前者ニ対シ償還ノ請求ヲ為スニハ支払拒絶証書ヲ作成セシムルニ代ヘ支払人ヲシテ前条第一項ニ定メタル期間内ニ支払拒絶ノ旨及ヒ其年月日ヲ小切手ニ記載セシメ且之ニ署名セシムルヲ以テ足ル 第四百七十一条 小切手ノ振出人又ハ所持人カ其表面ニ二条ノ平行線ヲ画キ其線内ニ銀行ナル文字ヲ記載シタルトキハ支払人ハ銀行ニ対シテノミ支払ヲ為スコトヲ得 振出人又ハ所持人カ平行線内ニ特定セル銀行ノ商号ヲ記載シタルトキハ支払人ハ其銀行ニ対シテノミ支払ヲ為スコトヲ得 第四百七十二条 左ノ場合ニ於テハ振出人ハ五円以上五百円以下ノ過料ニ処セラル 一 資金ナク又ハ信用ヲ得スシテ小切手ヲ振出シタルトキ 二 小切手ニ虚偽ノ日附ヲ記載シタルトキ 第四百七十三条 第三百七十一条乃至第三百八十条、第三百八十二条、第三百八十八条、第三百九十一条、第三百九十三条、第三百九十五条乃至第三百九十八条、第四百条、第四百四条、第四百七条、第四百十九条乃至第四百二十六条、第四百二十八条、第四百二十九条、第四百三十二条乃至第四百三十六条、第四百四十九条、第四百五十条及ヒ第四百五十二条ノ規定ハ小切手ニ之ヲ準用ス