第一編 総則
第一章 法例
第一条 商事ニ関シ本法ニ規定ナキモノニ付テハ商慣習ニ従フ商慣習ナキトキハ民法ヲ適用ス
第二章 商行為及ヒ商人
第二条 左ニ掲ケタル行為ハ之ヲ商行為トス(仮決)
一 利益ヲ得テ譲渡ス意思ヲ以テスル動産、不動産又ハ有価証券ノ有償取得及ヒ其譲渡
二 供給契約及ヒ其履行ノ為メニスル有償取得
三 取引所ノ取引
四 手形其他ノ指図債権ニ関スル行為
五 営業ノ譲渡及ヒ取得
第三条 左ニ掲ケタル行為ハ営業トシテ之ヲ為ストキハ之ヲ商行為トス(仮決)
一 賃貸スル意思ヲ以テスル動産若クハ不動産ノ有償取得又ハ賃借及ヒ其賃貸
二 製造又ハ加工ニ関スル取引
三 運送ニ関スル取引
四 作業又ハ労務ノ請負
五 出版又ハ印刷ニ関スル取引
六 娯遊場ニ関スル取引
七 船舶ノ修繕、艤装又ハ船員ノ雇入ニ関スル取引
八 銀行取引
九 保険
十 寄託ノ引受
十一 仲立、取次及ヒ問屋取引
十二 商行為ノ代理ノ引受
第四条 商人ガ其営業ノ為メニスル行為ハ之ヲ商行為トス
商人ノ行為ハ其営業ノ為メニスルモノト推定ス
第五条 当事者ノ一方ノ為メニ商行為タル行為ニ付テハ本法ノ規定ヲ双方ニ適用ス
第六条 公法人ノ商行為ニ付テハ法令ニ別段ノ定ナキトキニ限リ本法ノ規定ヲ適用ス
第七条 本法ニ於テ商人トハ自己ノ名ヲ以テ商行為ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ
商事会社ノ無限責任社員ハ之ヲ商人トス
第八条 商業ヲ営ム許可ヲ得タル未成年者ハ登記ヲ為スコトヲ要ス
第九条 後見人ガ親族会ノ認許ヲ得テ被後見人ノ為メニ商業ヲ営ムトキハ登記ヲ為スコトヲ要ス
後見人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第十条 戸戸ニ就キ又ハ道路ニ於テ物ヲ売買スル者、専ラ賃金ヲ得ル目的ヲ以テ物ヲ製造シ又ハ労務ニ服スル者其他小商人ニハ商人ニ関スル規定ヲ適用セス
第三章 商業登記簿
第十一条 本法ノ規定ニ依リ登記スヘキ事項ハ関係商人ノ請求ニ因リ其営業所ノ裁判所ニ備ヘタル商業登記簿ニ之ヲ登記ス
第十二条 登記シタル事項ハ裁判所遅滞ナク之ヲ公告スルコトヲ要ス
第十三条 登記スヘキ事項ハ之ヲ登記シタルモ公告ノ後ニ非サレハ之ヲ以テ過失ナキ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス公告ノ後ト雖モ第三者ガ正当ノ事由ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキ亦同シ
第十四条 何人ト雖モ登記簿ノ一覧又ハ其謄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
第十五条 登記シタル事項ニ変更ヲ生シ又ハ其事項ガ消滅シタルトキハ当事者ハ変更又ハ消滅ノ登記ヲ請求スルコトヲ要ス
第四章 商号
第十六条 商人ハ其氏、氏名其他ノ名称ヲ以テ商号ト為スコトヲ得
第十七条 会社ノ商号ニハ其種類ニ従ヒ合名会社、合資会社又ハ株式会社ナル文字ヲ附スルコトヲ要ス
第十八条 会社ニ非スシテ商号ニ会社タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用ユルコトヲ得ス会社ノ営業ヲ取得シタルトキト雖モ亦同シ
第十九条 商号ノ登記ヲ為シタル者ハ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ同一又ハ類似ノ商号ヲ使用スル者ニ対シテ其使用ヲ止ムルコトヲ得但損害賠償ノ請求ヲ妨ケス
同一ノ市町村内ニ於テ同種ノ営業ノ為メニ他人ノ登記シタル商号ヲ使用スル者ハ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ之ヲ使用スルモノト推定ス
第二十条 商号ト共ニ営業ヲ譲渡シタル場合ニ於テ当事者ガ別段ノ意思ヲ表示セサリシトキハ譲渡人ハ同市町村内ニ於テ二十年間同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ス
譲渡人ガ同一ノ営業ヲ為ササル特約ヲ為シタルトキハ其特約ハ同府県及ヒ三十年ヲ超エサル範囲内ニ於テノミ其効力ヲ有ス
譲渡人ハ前二項ニ定メタル地域外ト雖モ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ス
第二十一条 前条ノ規定ハ営業ノミヲ譲渡シタル場合ニ之ヲ準用ス
第五章 商業帳簿
第二十二条 商人ハ帳簿ヲ備ヘ之ニ日日ノ取引其他財産ニ影響ヲ及ホスヘキ一切ノ事項ヲ整然且明瞭ニ記載スルコトヲ要ス但家事費用ハ一个月毎ニ其総額ヲ記載スルヲ以テ足ル
小売ノ取引ハ現金売ト掛売トヲ分チ日日ノ売上総額ノミヲ記載スルコトヲ得
第二十三条 商人ハ開業ノ時及ヒ毎年一回一定ノ時期ニ於テ動産、不動産、債権、債務其他ノ財産ノ総目録及ヒ貸方借方ノ対照表ヲ作リ特ニ設ケタル帳簿ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
財産目録ニハ動産、不動産、債権其他ノ財産ニ其時ノ価格ヲ附スルコトヲ要ス
第二十四条 年二回以上利益ノ配当ヲ為ス会社ニ在リテハ其配当ヲ為ス毎ニ前条ノ規定ニ従ヒ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作ルコトヲ要ス
第二十五条 商人ハ十年間其商業帳簿ヲ保存スルコトヲ要ス
前項ノ期間ハ商業帳簿ニ付テハ其帳簿閉鎖ノ時ヨリ之ヲ起算ス
第六章 支配人、番頭、手代其他ノ使用人
第二十六条 商人ハ支配人又ハ番頭ヲ選任シ其本店又ハ支店ニ於テ其商業ヲ営マシムルコトヲ得
第二十七条 支配人ハ主人ニ代ハリテ其営業ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
支配人ハ番頭、手代其他ノ使用人ヲ選任又ハ解任スルコトヲ得
支配人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第二十八条 支配人ノ選任及ヒ其代理権ノ消滅ハ之ヲ置キタル本店又ハ支店ノ所在地ニ於テ主人之ヲ登記スルコトヲ要ス
第二十九条 番頭ハ左ニ掲ケタル行為ヲ除ク外主人ニ代ハリテ其営業ニ関スル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スルモノト推定ス
一 不動産上ノ物権ニ関スル行為
二 手代其他ノ使用人ノ選任又ハ解任
三 訴訟行為
第三十条 支配人及ヒ番頭ハ主人ノ許諾アルニ非サレハ自己又ハ第三者ノ為メニ商行為ヲ為スコトヲ得ス
支配人又ハ番頭ガ前項ノ規定ニ反シテ自己ノ為メニ商行為ヲ為シタルトキハ主人ハ之ヲ以テ自己ノ為メニ為シタルモノト看做スコトヲ得
前項ニ定メタル権利ハ主人ガ其行為ヲ知リタル時ヨリ二週間内ニ之ヲ行使スルコトヲ要ス
第三十一条 商人ハ手代ヲ選任シ其営業ニ関スル或種類又ハ特定ノ事項ヲ処理セシムルコトヲ得
手代ハ其委任ヲ受ケタル事項ニ関シ一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スルモノト推定ス
第三十二条 支配人、番頭及ヒ手代ヲ除ク外本店又ハ支店ニ於テ労務ニ服スル者ハ明示又ハ黙示ノ委任ヲ受クルニ非サレハ主人ニ代ハリテ法律行為ヲ為スコトヲ得ス
第三十三条 雇傭契約ニ因リテ主人ト支配人、番頭、手代其他ノ使用人トノ間ニ生スル関係ニ付テハ民法ノ規定ヲ適用ス
第七章 代理商
第三十三条甲 代理商トハ使用人ニ非スシテ一定ノ商人ノ為メニ平常其営業ノ類類ニ属スル商行為ノ代理又ハ媒介ヲ為ス者ヲ謂フ
第三十三条乙 代理商カ本人ノ為メニ代理又ハ媒介ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其旨ヲ本人ニ通知スルコトヲ要ス
第三十三条丙 代理商ハ本人ノ許諾アルニ非サレハ自己又ハ第三者ノ為メニ本人ノ営業ノ部類ニ属スル商行為ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ得ス
第三十条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十三条丁 売買ノ目的物ノ瑕疵又ハ其数量ノ不足其他売買ノ履行ニ関スル通知ハ物品販売ノ委託ヲ受ケタル代理商ニ之ヲ為スコトヲ得
第三十三条戊 当事者カ契約ノ期間ヲ定メサリシトキハ各当事者ハ何時ニテモ其契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リテ契約ノ解除ヲ為サント欲スルトキハ二个月前ニ其予告ヲ為スコトヲ要ス但已ムコトヲ得サル事由アルトキハ此限ニ在ラス
第三十三条己 代理商ハ本人ノ為メニ代理又ハ媒介ヲ為シタルニ因リテ生シタル債権ニ付キ本人ノ為メニ受取リタル物ノ上ニ留置権ヲ有ス
第二編 会社
第一章 総則
第三十四条 商行為ヲ業トスル会社ハ合名会社、合資会社及ヒ株式会社ノ三種ニ限リ之ヲ設立スルコトヲ得
第三十五条 会社ハ之ヲ法人トス
会社ノ住所ハ其本店ノ所在地ニアルモノトス
第三十六条 会社ハ定款ヲ作ルニ因リテ成立ス
第三十七条 会社ノ設立ハ其本店ノ所在地ニ於テ登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
登記シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキ亦同シ
第三十八条 会社ハ其本店ノ所在地ニ於テ登記ヲ為スニ非サレハ事業ニ著手スルコトヲ得ス
第三十九条 会社ガ本店ノ所在地ニ於テ登記ヲ為シタル後六个月内ニ開業ヲ為ササルトキハ裁判所ハ検事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ解散ヲ命スルコトヲ得但正当ノ事由アルトキハ裁判所ハ其会社ノ請求ニ因リ此期間ヲ伸長スルコトヲ得
第四十条 会社ガ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル行為ヲ為シタルトキハ裁判所ハ検事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其解散ヲ命スルコトヲ得
第二章 合名会社
第一節 設立
第四十一条 合名会社ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 目的
二 商号
三 社員ノ氏名、住所
四 営業地
五 社員ノ出資ノ種類及ヒ価格又ハ評価ノ標準
第四十二条 合名会社ハ定款ヲ作リタル日ヨリ二週間内ニ其本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 前条第一号乃至第三号ニ掲ケタル事項
二 本店及ヒ支店
三 設立ノ年月日
四 存立時期ヲ定メタルトキハ其時期
五 社員ノ出資ノ種類及ヒ金銭其他ノ財産ヲ目的トスル出資ノ価格
六 会社ヲ代表スヘキ社員ヲ定メタルトキハ其氏名
会社設立ノ後支店ヲ設ケタルトキハ一週間内ニ前項ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ要ス会社ガ其本店又ハ支店ヲ移転シタルトキ亦同シ
第四十三条 前条第一項ニ掲ケタル事項中ニ変更ヲ生シタルトキハ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ為スコトヲ要ス
第二節 会社ノ内部ノ関係
第四十四条 会社ノ内部ノ関係ニ付テハ定款又ハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ組合ニ関スル民法ノ規定ヲ準用ス
第四十五条 社員ガ債権ヲ以テ出資ノ目的ト為シタル場合ニ於テ債務者ガ弁済期ニ弁済ヲ為ササリシトキハ社員ハ其弁済ノ責ニ任ス
此場合ニ於テハ民法第六百六十九条ノ規定ヲ準用ス
第四十六条 各社員ハ会社ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有シ義務ヲ負フ但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第四十七条 支配人ノ選任及ヒ解任ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第四十八条 定款ノ変更其他会社ノ目的ノ範囲ニ属セサル行為ヲ為スニハ総社員ノ承諾アルコトヲ要ス
第四十九条 社員ガ他ノ社員ノ承諾ヲ得スシテ其持分ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ譲渡シタルトキハ其譲渡ハ之ヲ以テ会社ニ対抗スルコトヲ得ス
第五十条 社員ハ他ノ社員ノ承諾アルニ非サレハ自己又ハ第三者ノ為メニ会社ノ営業ノ部類ニ属スル商行為ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル他ノ会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ得ス
第三十条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三節 会社ノ外部ノ関係
第五十一条 定款又ハ総社員ノ承諾ヲ以テ特ニ会社ヲ代表スヘキ社員ヲ定メサルトキハ各社員会社ヲ代表ス
第五十二条 会社ヲ代表スヘキ社員ハ会社ノ営業ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
前項ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
民法第四十四条第一項ノ規定ハ会社ニ之ヲ準用ス
第五十三条 会社財産ヲ以テ会社ノ債務ヲ完済スルコト能ハサルトキハ各社員ハ連帯ニテ其弁済ノ責ニ任ス
第五十四条 設立ノ後会社ニ加入シタル社員ハ其加入前ニ生シタル会社ノ債務ニ付テモ亦責任ヲ負フ
第五十五条 社員ニ非サル者ト雖モ第三者ガ之ヲ社員ナリト信スヘキ正当ノ理由アルトキハ社員ト同一ノ責任ヲ負フ
第五十六条 社員ノ持分ノ減少ハ之ヲ以テ会社ノ債権者ニ対抗スルコトヲ得ス但債権者ガ二年間之ニ対シテ異議ヲ述ヘサルトキハ此限ニ在ラス
第五十七条 会社ハ損失ヲ填補シタル後ニ非サレハ利益ノ配当ヲ為スコトヲ得ス
前項ノ規定ニ反シテ為シタル配当ハ会社ノ債権者之ヲ返還セシムルコトヲ得
第四節 社員ノ退社
第五十八条 定款ヲ以テ会社ノ存立時期ヲ定メサリシトキ又ハ或社員ノ終身間会社ノ存続スヘキコトヲ定メタルトキハ各社員ハ事業年度ノ終ニ於テ退社ヲ為スコトヲ得但六个月前ニ其予告ヲ為スコトヲ要ス
会社ノ存立時期ヲ定メタルト否トヲ問ハス已ムコトヲ得サル事由アルトキハ各社員ハ何時ニテモ退社ヲ為スコトヲ得
各社員ハ他ノ社員ノ承諾アルトキハ前二項ノ規定ニ依ラスシテ退社ヲ為スコトヲ得
第五十九条 前条ニ掲ケタル場合ノ外社員ハ左ノ事由ニ因リテ退社ス
一 死亡
二 破産
三 禁治産
四 除名
第六十条 社員ノ除名ハ左ノ場合ニ限リ他ノ社員ノ一致ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得但除名シタル社員ニ其旨ヲ通知スルニ非サレハ之ヲ以テ其社員ニ対抗スルコトヲ得ス
一 出資ヲ為スコト能ハサルトキ又ハ催告ヲ受ケタル後相当ノ期間内ニ出資ヲ為ササルトキ
二 第五十条ノ規定ニ違反シタルトキ
三 会社ノ業務ヲ執行シ又ハ会社ヲ代表スルニ当リ会社ニ対シ不正ノ行為ヲ為シタルトキ
四 会社ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有セサル場合ニ於テ其業務ノ執行ニ干与シタルトキ
五 此他社員ノ重要ナル義務ヲ尽ササルトキ
第六十一条 退社員ハ労務又ハ信用ヲ以テ出資ノ目的ト為シタル者ト雖モ其持分ノ払戻ヲ受クルコトヲ得但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第六十二条 退社員ハ退社ノ登記前ニ生シタル会社ノ債務ニ付キ責任ヲ負フ此責任ハ退社ノ登記後五年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
前項ノ規定ハ他ノ社員ノ承諾ヲ得テ持分ヲ譲渡シタル社員ニ之ヲ準用ス
第五節 解散
第六十三条 会社ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 存立時期ノ満了其他定款ニ定メタル解散事由ノ発生
二 会社ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能
三 総社員ノ同意
四 会社ノ合併
五 社員ガ一人ト為リタルコト
六 会社ノ破産
七 裁判所ノ命令
第六十四条 会社ノ解散ハ破産ノ場合ヲ除ク外一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ為スコトヲ要ス
第六十五条 会社ノ合併ハ総社員ノ一致ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得
第六十六条 会社ガ合併ノ決議ヲ為シタルトキハ決議ノ日ヨリ一週間内ニ其債権者ニ対シ異議アラハ一定ノ期間内ニ之ヲ述フヘキ旨ヲ公告シ且知レタル債権者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコトヲ要ス
前項ノ期間ハ二个月ヲ下ルコトヲ得ス
第六十七条 債権者ガ期間内ニ会社ノ合併ニ対シ異議ヲ述ヘサセルトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス
債権者ガ異議ヲ述ヘタルトキハ会社ハ之ニ弁済ヲ為シ、其弁済ノ目的物ヲ供託シ又ハ之ニ相当ノ担保ヲ供スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ反シテ合併ヲ為シタルトキハ之ヲ以テ異議ヲ述ヘタル債権者ニ対抗スルコトヲ得ス
第六十八条 会社ガ第六十六条ニ定メタル公告ヲ為サスシテ合併ヲ為シタルトキハ其合併ハ之ヲ以テ其債権者ニ対抗スルコトヲ得ス
会社ガ知レタル債権者ニ催告ヲ為サスシテ合併ヲ為シタルトキハ其合併ハ之ヲ以テ其催告ヲ受ケサリシ債権者ニ対抗スルコトヲ得ス
第六十九条 会社ガ合併ヲ為シタルトキハ合併後存留スル会社ニ付テハ変更ノ登記ヲ為シ、合併ニ因リテ消滅シタル会社ニ付テハ解散ノ登記ヲ為シ、合併ニ因リテ設立シタル会社ニ付テハ第四十二条第一項ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ要ス
第七十条 合併後存留スル会社又ハ合併ニ因リテ設立シタル会社ハ合併ニ因リテ消滅シタル会社ノ権利義務ヲ承継ス
第七十一条 已ムコトヲ得サル事由アルトキハ各社員ハ会社ノ解散ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但裁判所ハ社員ノ請求ニ因リ会社ノ解散ニ代ヘテ或社員ヲ除名スルコトヲ得
第六節 清算
第七十二条 会社ハ解散ノ後ト雖モ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ尚ホ存続スルモノト看做ス
第七十三条 定款又ハ総社員ノ一致ヲ以テ会社財産処分ノ方法ヲ定メサルトキハ後十四条ノ規定ニ従ヒ清算ヲ為スコトヲ要ス
会社財産ハ債権者ニ弁済ヲ為シ又ハ相当ノ担保ヲ供シタル後ニ非サレハ之ヲ処分スルコトヲ得ス但債権者ノ承諾ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
第七十四条 会社ガ解散シタルトキハ第六十三条第四号及ヒ第六号ノ場合ヲ除ク外清算ハ総社員共同ニテ又ハ其選任シタル者ニ於テ之ヲ為ス
清算人ノ選任ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第七十五条 清算ニ関シ社員ノ協議調ハサル場合及ヒ第六十三条第五号ノ場合ニ於テハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ清算人ヲ選任ス
第七十六条 会社ガ裁判所ノ命令ニ因リテ解散シタルトキハ裁判所ハ利害関係人又ハ検事ノ請求ニ因リ清算人ヲ選任ス
第七十七条 会社ガ事業ニ著手シタル後其設立ガ取消サレタルトキハ解散ノ場合ニ準シ清算ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テハ第七十五条ノ規定ヲ準用ス
第七十八条 清算人ヲ選任シタルトキハ其清算人ハ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ自己ノ氏名、住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第七十九条 清算人ノ職務左ノ如シ
一 現務ノ結了
二 債権ノ取立及ヒ債務ノ弁済
三 残余財産ノ分配
清算人ハ前項ノ職務ヲ行フ為メニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第八十条 清算人数人アルトキハ清算ニ関スル一切ノ行為ハ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス但第三者ニ対シテハ各自会社ヲ代表ス
第八十一条 清算人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第八十二条 清算人ハ就職ノ後遅滞ナク会社財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作リ之ヲ社員ニ交付スルコトヲ要ス
清算人ハ社員ノ請求ニ因リ毎月清算ノ状況ヲ報告スルコトヲ要ス
第八十三条 重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ本人又ハ社員ノ請求ニ因リ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第八十四条 清算人ノ解任又ハ変更ハ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ之ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十五条 清算人ノ任務ガ終了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク決算報告ヲ為シテ各社員ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
前項ノ決算報告ニ対シ社員ガ一个月内ニ異議ヲ述ヘサリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス但清算人ニ不正ノ行為アリタルトキハ此限ニ在ラス
第八十六条 清算ガ結了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク其登記ヲ為スコトヲ要ス
第八十七条 会社ノ帳簿及ヒ清算ニ関スル一切ノ書類ハ清算ノ結了後十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス但其保存者ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第八十八条 第五十三条ニ定メタル社員ノ責任ハ会社解散ノ登記後五年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
分配セサル残余財産尚ホ存スル場合ニ於テ会社ノ債権者ガ之ニ対シテ弁済ヲ請求シタルトキハ前項ノ期間ハ之ヲ以テ其債権者ニ対抗スルコトヲ得ス
第三章 合資会社
第八十九条 合資会社ハ有限責任社員ト無限責任社員トヲ以テ之ヲ組織ス
第九十条 合資会社ニハ本章ニ別段ノ定メアル場合ヲ除ク外合名会社ニ関スル規定ヲ準用ス
第九十一条 合資会社ノ定款ニハ第四十一条ニ掲ケタル事項ノ外各社員ノ責任ノ有限又ハ無限ナルコトヲ記載スルコトヲ要ス
第九十二条 合資会社ハ定款ヲ作リタル日ヨリ二週間内ニ其本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ第四十二条第一項ニ掲ケタル事項ノ外各社員ノ責任ノ有限又ハ無限ナルコトヲ登記スルコトヲ要ス
第九十三条 有限責任社員ハ金銭其他ノ財産ノミヲ以テ出資ノ目的ト為スコトヲ得
第九十四条 各無限責任社員ハ定款ニ別段ノ定メナキトキハ会社ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有シ義務ヲ負フ
無限責任社員数人アルトキハ会社ノ業務執行ハ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第九十五条 支配人ノ選任及ヒ解任ハ無限責任社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第九十六条 有限責任社員ハ会社ノ財産目録及ヒ貸借対照表ノ閲覧ヲ求メ且其当否ヲ調査スル為メ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ有限責任社員ノ請求ニ因リ何時ニテモ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ノ検査ヲ許スコトヲ得
第九十七条 有限責任社員ハ無限責任社員ノ承諾アルトキハ其持分ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得
第九十八条 有限責任社員ハ自己又ハ第三者ノ為メニ会社ノ営業ノ部類ニ属スル商行為ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル他ノ会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ得
第九十九条 定款又ハ総社員ノ一致ヲ以テ特ニ会社ヲ代表スヘキ無限責任社員ヲ定メサルトキハ各無限責任社員会社ヲ代表ス
第百条 有限責任社員ハ会社ノ業務ヲ執行シ又ハ会社ヲ代表スルコトヲ得ス
第百一条 有限責任社員ト雖モ之ヲ無限責任社員ナリト信スヘキ正当ノ理由アルトキハ善意ノ第三者ニ対シテハ無限責任社員ト同一ノ責任ヲ負フ
第百二条 有限責任社員ガ死亡シタルトキハ其相続人之ニ代ハリテ社員ト為ル
有限責任社員ハ禁治産ノ宣告ヲ受クルモ之ニ因リテ退社セス
第百三条 合資会社ハ無限責任社員又ハ有限責任社員ノ全員ガ退社シタルトキハ解散ス但有限責任社員ノ全員カ退社シタル場合ニ於テ無限責任社員ノ一致ヲ以テ合名会社トシテ会社ヲ継続スルコトヲ妨ケス
第四章 株式会社
第一節 設立
第百四条 株式会社ノ設立ニハ七人以上ノ発起人アルコトヲ要ス
第百五条 発起人ハ定款ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 目的
二 商号
三 資本ノ総額
四 株式ノ総数及ヒ一株ノ金額
五 取締役カ有スヘキ株式ノ数
六 営業地
七 会社カ公告ヲ為ス方法
八 発起人ノ氏名、住所
第百六条 前条第五号乃至第七号ニ掲ケタル事項ヲ定款ニ記載セサリシトキハ創立総会又ハ株主総会ニ於テ之ヲ補足スルコトヲ得
前項ノ株主総会ノ決議ハ第百六十四条ノ規定ニ従ヒテ之ヲ為スコトヲ要ス
第百七条 左ニ掲ケタル事項ヲ定メタルトキハ之ヲ定款ニ記載スルコトヲ要ス
一 存立時期
二 株式ノ額面以上ノ発行
三 発起人カ受クヘキ特別ノ利益及ヒ之ヲ受クヘキ者ノ氏名
四 金銭以外ノ財産ヲ以テ出資ノ目的ト為ス者ノ氏名、其出資ノ種類、価格及ヒ之ニ対シテ与フル株式ノ数
五 会社ノ負担ニ帰スヘキ設立費用及ヒ発起人カ受クヘキ報酬ノ額
第百八条 発起人カ株式ノ総数ヲ引受ケタルトキハ会社ハ之ニ因リテ成立ス此場合ニ於テハ発起人ハ遅滞ナク株金ノ四分ノ一ヲ下ラサル第一回ノ払込ヲ為シ且取締役及ヒ監査役ヲ選任スルコトヲ要ス此選任ハ発起人ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第百九条 発起人カ前条ノ手続ヲ終リタルトキハ遅滞ナク第百七条第三号乃至第五号ニ掲ケタル事項及ヒ第一回ノ払込ヲ為シタルヤ否ヤヲ調査セシムル為メ検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
裁判所ハ検査役ノ報告ヲ聴キ第百十七条ノ規定ニ準拠シテ相当ノ処分ヲ為スコトヲ得
第百十条 発起人ガ株式ノ総数ヲ引受ケサルトキハ株主ヲ募集スルコトヲ要ス
第百十一条 株式申込人ハ株式申込証ニ其引受クヘキ株式ノ数ヲ記載シ之ニ署名スルコトヲ要ス
株式申込証ハ発起人之ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 定款作成ノ年月日
二 第百五条及ヒ第百七条ニ掲ケタル事項
三 各発起人カ引受ケタル株式ノ数
四 株式発行ノ価額
五 第一回払込ノ金額但其金額ハ株金ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ス
第百十二条 株式発行ノ価額ハ均一ナルコトヲ要ス
株式発行ノ価額ハ券面額ヲ下ルコトヲ得ス
第百十三条 株式総数ノ引受アリタルトキハ発起人ハ各株ニ付キ第一回ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
額面以上ノ価額ヲ以テ株式ヲ発行シタルトキハ其額面ヲ超ユル金額ハ第一回ノ払込ト同時ニ之ヲ払込マシムルコトヲ要ス
第百十四条 各株ニ付キ第一回ノ払込アリタルトキハ発起人ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スルコトヲ要ス
創立総会ニハ株式引受人ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ヲ引受ケタル者出席シ其議決権ノ過半数ヲ以テ一切ノ決議ヲ為ス
第百三十三条第一項、第百三十八条乃至第百四十条ノ規定ハ創立総会ニ之ヲ準用ス
第百十五条 創立総会ニ於テハ株式引受人中ヨリ取締役及ヒ監査役ヲ選任スルコトヲ要ス
第百十六条 取締役及ヒ監査役ハ左ニ掲ケタル事項ヲ調査シ之ヲ創立総会ニ報告スルコトヲ要ス
一 株式総数ノ引受アリタルヤ否ヤ
二 各株ニ付キ第一回ノ払込アリタルヤ否ヤ
三 第百七条第三号乃至第五号ニ掲ケタル事項ノ正当ナルヤ否ヤ
取締役又ハ監査役カ発起人中ヨリ選任セラレタルトキハ創立総会ハ特ニ検査役ヲ選任シ之ニ代ハリテ前項ノ調査及ヒ報告ヲ為サシムルコトヲ得
第百十七条 創立総会ニ於テ第百七条第三号乃至第五号ニ掲ケタル事項ヲ不当ト認メタルトキハ之ヲ削除又ハ変更スルコトヲ得
創立総会ニ於テ引受ナキ株式又ハ第一回ノ払込ノ未済ナル株式アルコトヲ発見シタルトキハ発起人ハ其株式ヲ引受ケ又ハ其払込ヲ為スコトヲ要ス
前二項ノ規定ハ発起人ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ケス
第百十八条 発起人カ株式ノ総数ヲ引受ケサリシトキハ会社ハ創立総会ノ終結ニ因リテ成立ス
第百十九条 株式引受人カ第一回ノ払込ヲ為シタル後六个月内ニ発起人カ創立総会ヲ招集セサルトキハ其株式引受人ハ其引受ヲ取消シ払込ミタル金額ノ返還ヲ請求スルコトヲ得
第百二十条 会社ハ発起人カ株式ノ総数ヲ引受ケタルトキハ第百九条ニ定メタル調査終了ノ日ヨリ又発起人カ株式ノ総数ヲ引受ケサリシトキハ創立総会終結ノ日ヨリ二週間内ニ其本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 第百五条第一号乃至第四号ニ掲ケタル事項
二 本店及ヒ支店
三 設立ノ年月日
四 存立時期ヲ定メタルトキハ其時期
五 各株ニ付キ払込ミタル金額
六 取締役及ヒ監査役ノ氏名、住所
第四十二条第二項及ヒ第四十三条ノ規定ハ株式会社ニ之ヲ準用ス
第二節 株式
第百二十一条 株式会社ノ資本ハ之ヲ株式ニ分ツコトヲ要ス
株主ノ責任ハ其引受ケタル株式ノ金額ヲ限度トス
第百二十二条 株式ノ金額ハ均一ナルコトヲ要ス
株式ノ金額ハ五十円ヲ下ルコトヲ得ス但設立ノ際株金ノ全額ヲ払込ムヘキ場合ニ限リ之ヲ二十円ト為スコトヲ得
第百二十三条 株式ハ之ヲ分割スルコトヲ得ス
株式カ数人ノ共有ニ帰シタルトキハ共有者ハ其一人ヲ株主ト定ムルコトヲ要ス
第百二十四条 株券ハ第百二十条第一項ニ定メタル登記ヲ為シタル後ニ非サレハ之ヲ発行スルコトヲ得ス
前項ノ規定ニ反シテ発行シタル株券ハ之ヲ無効トス但之ヲ発行シタル者ニ対スル損害賠償ノ請求ヲ妨ケス
第百二十五条 株券ニハ左ノ事項ヲ記載シ且之ニ番号ヲ附記スルコトヲ要ス
一 会社ノ商号
二 第百二十条第一項ニ定メタル登記ノ年月日
三 資本ノ総額
四 株式ノ総数及ヒ一株ノ金額
五 取締役ノ氏名
設立ノ際株金ノ全額ヲ払込マシメサル場合ニ於テハ払込アル毎ニ其金額ヲ株券ニ記載スルコトヲ要ス
額面以上ノ価額ヲ以テ新株ヲ発行シタルトキハ其発行ノ価額及ヒ払込ミタル金額ヲ株券ニ記載スルコトヲ要ス
第百二十六条 株式ハ定款ニ別段ノ定ナキトキハ会社ノ承諾ナクシテ之ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得但第百二十条第一項ノ登記ヲ為スマデハ之ヲ譲渡スコトヲ得ス
第百二十七条 記名株式ノ譲渡ハ譲受人ノ氏名、住所ヲ株主名簿ニ記入スルニ非サレハ之ヲ以テ会社其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第百二十八条 会社ハ自己ノ株式ヲ取得シ又ハ質権ノ目的トシテ之ヲ受クルコトヲ得ス
株式ハ資本減少ノ規定ニ従フニ非サレハ之ヲ消却スルコトヲ得ス但定款ノ定ムル所ニ従ヒ株主ニ分配スヘキ利益ヲ以テスルハ此限ニ在ラス
第百二十九条 株金ノ払込ハ少クトモ二週間前ニ之ヲ各株主ニ催告スルコトヲ要ス
株主カ期日ニ払込ヲ為ササルトキハ会社ハ更ニ一定ノ期間内ニ之ヲ為スヘキ旨及ヒ其期間内ニ払込ヲ為ササルトキハ株主タル権利ヲ失フヘキ旨ヲ通知スルコトヲ要ス但其期間ハ二週間ヲ下ルコトヲ得ス
第百三十条 会社カ前条ニ定メタル手続ヲ践ミタルモ株主カ払込ヲ為ササルトキハ会社ハ株主名簿ニ記入シタル株式ノ各譲渡人ニ対シ二週間ヲ下ラサル期間内ニ払込ヲ為スヘキ旨ヲ催告スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ最モ先ニ滞納金額ノ払込ヲ為シタル譲渡人株式ヲ取得ス
譲渡人カ払込ヲ為ササルトキハ会社ハ株式ヲ公売スルコトヲ要ス若シ公売ニ依リテ得タル金額カ滞納金額ニ満タサルトキハ従前ノ株主ハ其不足額ヲ弁済スル責ニ任ス但従前ノ株主カ二週間内ニ之ヲ弁済セサルトキハ会社ハ各譲渡人ニ対シテ其弁済ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ会社カ定款ヲ以テ定メタル違約金ノ請求ヲ妨ケス
第百三十一条 前条ニ定メタル譲渡人ノ責任ハ譲渡ノ記入後五年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
第百三十二条 株金全額ノ払込アリタルトキハ株主ハ其株券ヲ無記名式ト為スコトヲ請求スルコトヲ得
株主ハ何時ニテモ其無記名株ヲ記名式ト為スコトヲ請求スルコトヲ得
第三節 会社ノ機関
第一款 株主総会
第百三十三条 総会ヲ招集スルニハ会日ヨリ二週間前ニ各株主ニ其通知ヲ発スルコトヲ要ス
前項ノ通知ニハ総会ノ目的及ヒ総会ニ於テ決議スヘキ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
会社カ無記名式ノ株券ヲ発行シタルトキハ会日ヨリ三週間前ニ総会ヲ招集スヘキ旨及ヒ前項ニ掲ケタル事項ヲ公告スルコトヲ要ス
第百三十四条 通前総会ハ毎年一回一定ノ時期ニ於テ取締役之ヲ招集スルコトヲ要ス
年二回以上利益ノ配当ヲ為ス会社ニ在リテハ其配当ヲ為ス毎ニ総会ヲ招集スルコトヲ要ス
第百三十五条 通常総会ハ取締役カ提出シタル書類及ヒ監査役ノ意見書ヲ調査シ且利益ノ配当ヲ決議ス
前項ニ掲ケタル書類ノ当否ヲ調査セシムル為メ総会ハ特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
第百三十六条 臨時総会ハ必要アル毎ニ取締役之ヲ招集ス
第百三十七条 資本ノ五分ノ一ニ当タル株主ハ会議ノ目的及ヒ其理由ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ総会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
取締役カ前項ノ請求アリタル後二週間内ニ総会招集ノ手続ヲ為ササルトキハ其請求ヲ為シタル株主ハ裁判所ノ許可ヲ得テ其招集ヲ為スコトヲ得
第百三十八条 総会ノ決議ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外出席シタル株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
無記名式ノ株券ヲ有スル者ハ会日ヨリ五日前ニ其株券ヲ会社ニ供託スルニ非サレハ其議決権ヲ行フコトヲ得ス
株主ハ代理人ヲ以テ其議決権ヲ行フコトヲ得但其代理人ハ委任状ヲ会社ニ差出スコトヲ要ス
総会ノ決議ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル者ハ其議決権ヲ行フコトヲ得ス
第百三十九条 各株主ハ一株ニ付キ一個ノ議決権ヲ有ス但十一株以上ヲ有スル株主ノ議決権ハ定款ヲ以テ之ヲ制限スルコトヲ得
第百四十条 総会ノ決議カ法令又ハ定款ニ違背スルトキハ裁判所ハ株主ノ請求ニ因リ其決議ノ無効ヲ宣告スルコトヲ得但株主ハ決議ノ日ヨリ一个月内ニ之ヲ請求スルコトヲ要ス
前項ノ請求ヲ為シタル株主ハ其株券ヲ供託シ且会社ノ請求ニ因リ相当ノ担保ヲ供スルコトヲ要ス
株主カ悪意ニテ決議無効ノ請求ヲ為シタルトキハ会社ニ対シテノミ損害賠償ノ責ニ任ス
第二款 取締役
第百四十一条 取締役ハ株主総会ニ於テ株主中ヨリ之ヲ選任ス
第百四十二条 取締役ハ三人以上タルコトヲ要ス
第百四十三条 取締役ノ任期ハ三年ヲ超ユルコトヲ得ス但其任期満了ノ後之ヲ再選スルコトヲ妨ケス
第百四十四条 取締役ハ株主総会ノ決議ヲ以テ何時ニテモ之ヲ解任スルコトヲ得但任期ノ定アル場合ニ於テ其任期前ニ之ヲ解任シタルトキハ其取締役ハ会社ニ対シ解任ニ因リテ生シタル損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
第百四十五条 取締役ハ就任ノ際定款ニ定メタル員数ノ株券ヲ監査役ニ供託スルコトヲ要ス
第百四十六条 会社ノ業務執行ハ取締役ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス支配人ノ選任及ヒ解任亦同シ
第百四十七条 第五十二条ノ規定ハ取締役ニ之ヲ準用ス
第百四十八条 取締役ハ株主名簿及ヒ株主総会ノ決議録ヲ本店及ヒ支店ニ備ヘ置クコトヲ要ス
株主名簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 各株主ノ氏名、住所
二 各株主ノ株式ノ数及ヒ株券ノ番号
三 各株式ニ付キ払込ミタル金額及ヒ払込ノ年月日
四 各株式ノ取得ノ年月日
五 無記名式ノ株券ヲ発行シタルトキハ其数、番号及ヒ発行ノ年月日
株主ハ何時ニテモ株主名簿及ヒ株主総会ノ決議録ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第百四十九条 取締役ハ会社カ其資本ノ半額ヲ失ヒタルトキハ遅滞ナク株主総会ヲ招集シテ之ヲ報告スルコトヲ要ス
会社財産ヲ以テ会社ノ債務ヲ完済スルコト能ハサルニ至リタルトキハ取締役ハ直チニ破産宣告ノ請求ヲ為スコトヲ要ス
第百五十条 取締役ハ株主総会ノ認許アルニ非サレハ自己又ハ第三者ノ為メニ会社ノ営業ノ部類ニ属スル商行為ヲ為シ又ハ同種ノ営業ヲ目的トスル他ノ会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ得ス
第三十条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百五十一条 取締役カ会社ト取引ヲ為スニハ監査役ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
第百五十二条 取締役カ法令又ハ定款ニ反スル行為ヲ為シタルトキハ株主総会ノ決議ニ依リタル場合ト雖モ第三者ニ対シ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ其行為ニ対シ株主総会ニ於テ異議ヲ述ヘ且監査役ニ其旨ヲ通知シタル取締役ニハ之ヲ適用セス
第百五十三条 株主総会ニ於テ取締役ニ対シテ訴ヲ提起スルコトヲ決議シ又ハ資本ノ十分ノ一以上ニ当タル株主カ之ヲ監査役ニ請求シタルトキハ会社ハ決議又ハ請求ノ日ヨリ一个月内ニ訴ヲ提起スルコトヲ要ス
前項ノ請求ヲ為シタル株主ハ監査役ノ請求ニ因リ相当ノ担保ヲ供スルコトヲ要ス
会社カ敗訴シタルトキハ右ノ株主ハ会社ニ対シテノミ損害賠償ノ責ニ任ス
第百五十四条 取締役カ受クヘキ報酬ハ定款ニ其額ヲ定メサルトキハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
第三款 監査役
第百五十五条 監査役ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任ス
第百五十六条 監査役ハ何時ニテモ取締役ニ対シテ事業ノ報告ヲ求メ又ハ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ調査スルコトヲ得
監査役ハ株主総会ヲ招集スル必要アリト認メタルトキハ其招集ヲ為スコトヲ得此総会ニ於テハ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ調査セシムル為メ特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
第百五十七条 監査役ハ取締役カ株主総会ニ提出スヘキ書類ヲ調査シ株主総会ニ其意見ヲ報告スルコトヲ要ス
第百五十八条 監査役ハ取締役又ハ支配人ヲ兼ヌルコトヲ得ス
第百五十九条 会社カ取締役ニ対シ又ハ取締役カ会社ニ対シ訴ヲ提起スル場合ニ於テハ其訴ニ付テハ監査役之ヲ代表ス但株主総会ハ他人ヲシテ之ヲ代表セシムルコトヲ得
資本ノ十分ノ一以上ニ当タル株主カ取締役ニ対シテ訴ヲ提起スルコトヲ請求シタルトキハ特ニ代表者ヲ指定スルコトヲ得
第百六十条 監査役カ其任務ヲ怠リタルトキハ之ニ因リテ生シタル損害ニ付キ会社及ヒ第三者ニ対シ賠償ノ責ニ任ス
第百六十一条 監査役ハ左ノ事由ニ因リテ退任ス
一 破産
二 禁治産
第百六十二条 第百四十三条、第百四十四条及ヒ第百五十四条ノ規定ハ監査役ニ之ヲ準用ス
第四節 定款ノ変更
第百六十三条 定款ハ株主総会ノ決議ニ依リテノミ之ヲ変更スルコトヲ得但会社ノ目的タル事業ノ種類ヲ変更スルコトヲ得ス
第百六十四条 定款変更ノ決議ハ総株主ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ニ当タル株主出席シ其議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
前項ニ定メタル員数ノ株主カ出席セサルトキハ出席シタル株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮決議ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ其仮決議ノ旨趣ヲ各株主ニ通知シテ更ニ一个月ヲ下ラサル期間内ニ第二回ノ株主総会ヲ招集スルコトヲ要ス
前項ノ総会ニ於テハ出席シタル株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮決議ノ認否ヲ決ス
第百六十五条 会社カ優先株ヲ発行シタル場合ニ於テ定款ノ変更カ優先株主ニ損害ヲ及ホスヘキトキハ株主総会ノ決議ノ外優先株主ノ総会ノ決議アルコトヲ要ス
優先株主ノ総会ニハ株主総会ニ関スル規定ヲ準用ス
第百六十六条 会社ノ資本ハ株金全額払込ノ後ニ非サレハ之ヲ増加スルコトヲ得ス
会社ハ其資本ヲ増加スル場合ニ限リ優先株ヲ発行スルコトヲ得
第百六十七条 各新株ニ付キ四分ノ一以上ノ払込アリタルトキハ取締役ハ遅滞ナク株主総会ヲ招集スルコトヲ要ス
第百十九条ノ規定ハ新株発行ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百六十八条 監査役ハ左ニ掲ケタル事項ヲ調査シ之ヲ株主総会ニ報告スルコトヲ要ス
一 株式総数ノ引受アリタルヤ否ヤ
二 各株ニ付キ四分ノ一以上ノ払込アリタルヤ否ヤ
三 金銭以外ノ財産ヲ以テ出資ノ目的ト為シタル者アルトキハ其財産ニ対シテ与フル株式ノ数ノ正当ナルヤ否ヤ
前項ノ調査及ヒ報告ヲ為サシムル為メ株主総会ハ特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
第百六十九条 株主総会ニ於テ金銭以外ノ財産ニ対シテ与フル株式ノ数ヲ不当ト認メタルトキハ之ヲ減少スルコトヲ得
株主総会ニ於テ引受ナキ株式又ハ四分ノ一以上ノ払込ノ未済ナル株式アルコトヲ発見シタルトキハ取締役ハ其株式ヲ引受ケ又ハ其払込ヲ為スコトヲ要ス
第百七十条 資本増加及ヒ新株ニ対スル払込ノ登記ハ前三条ニ定メタル株主総会結了ノ日ヨリ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ登記ヲ為スマテハ新株券ノ発行及ヒ新株ノ譲渡ヲ為スコトヲ得ス
第百二十四条第二項ノ規定ハ新株発行ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百七十一条 額面以上ノ価額ヲ以テ新株ヲ発行シタルトキハ其額面ヲ超ユル金額ハ少クモ株金ノ払込ト同一ノ割合ヲ以テ之ヲ払込マシムルコトヲ要ス
第百十二条ノ規定ハ新株発行ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百七十二条 株主総会ニ於テ資本減少ノ決議ヲ為ストキハ同時ニ其減少ノ方法ヲ決議スルコトヲ要ス
第六十六条乃至第六十八条ノ規定ハ資本減少ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五節 会社ノ計算
第百七十三条 取締役ハ株主総会招集ノ通知ヲ発スル前ニ左ノ書類ヲ監査役ニ提出スルコトヲ要ス
一 財産目録
二 貸借対照表
三 事業報告書
四 損益計算書
五 準備金及ヒ利益配当ニ関スル議案
第百七十四条 取締役ハ前条ニ掲ケタル書類及ヒ監査役ノ意見書ヲ本店及ヒ支店ニ備ヘ置クコトヲ要ス
株主及ヒ会社ノ債権者ハ何時ニテモ前項ノ書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第百七十五条 取締役ハ監査役ノ意見書ト共ニ第百七十三条ニ掲ケタル書類ヲ株主総会ニ提出シ其承認ヲ求ムルコトヲ要ス
取締役ハ前項ノ承認ヲ得タル後貸借対照表ヲ公告スルコトヲ要ス
第百七十六条 株主総会ニ於テ前条ノ承認ヲ為シタルトキハ会社ハ取締役及ヒ監査役ニ対シ其責任ヲ解除シタルモノト看做ス但取締役又ハ監査役ニ不正ノ行為アリタルトキハ此限ニ在ラス
第百七十七条 会社ハ損失ノ填補ニ備フル為メ其資本ノ四分ノ一ニ達スルマテハ利益ヲ配当スル毎ニ其利益ノ二十分ノ一以上ヲ準備金トシテ積立ツルコトヲ要ス
額面以上ノ価額ヲ以テ株式ヲ発行シタルトキハ其額面ヲ超ユル金額ハ前項ノ額ニ達スルマテ之ヲ準備金ニ組入ルルコトヲ要ス
第百七十八条 会社ハ損失ヲ填補シ且前条第一項ニ定メタル準備金ヲ控除シタル後ニ非サレハ利益ノ配当ヲ為スコトヲ得ス
前項ノ規定ニ反シテ為シタル配当ハ会社ノ債権者之ヲ返還セシムルコトヲ得
第百七十九条 裁判所ハ資本ノ十分ノ一以上ニ当タル株主ノ請求ニ因リ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ調査セシムル為メ検査役ヲ選任スルコトヲ得
検査役ハ其調査ノ結果ヲ裁判所ニ報告スルコトヲ要ス此場合ニ於テ裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ監査役ヲシテ株主総会ヲ招集セシムルコトヲ得
第六節 社債
第百八十条 社債ハ第百六十四条ニ定メタル決議ニ依ルニ非サレハ之ヲ募集スルコトヲ得ス
第百八十一条 社債ノ総額ハ払込ミタル株金額ヲ超ユルコトヲ得ス
最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル財産カ前項ノ金額ニ満タサルトキハ社債ノ総額ハ其財産ノ額ヲ超ユルコトヲ得ス
第百八十二条 社債権者ニ償還スヘキ金額カ其払込ミタル金額ヲ超ユヘキコトヲ定メタルトキハ其金額ハ各債券ニ付キ同一ナルコトヲ要ス
第百八十三条 社債ヲ募集セントスルトキハ取締役ハ左ノ事項ヲ公告スルコトヲ要ス
一 社債ノ総額
二 債券ノ総数及ヒ其金額
三 社債ノ利率
四 社債償還ノ方法及ヒ期限
五 前ニ社債ヲ募集シタルトキハ其償還ヲ了ヘサル総額
六 債券発行ノ価額又ハ其最低価額
七 会社ノ資本及ヒ払込ミタル株金ノ総額
八 最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル財産ノ額
第百八十四条 社債ノ募集カ完了シタルトキハ取締役ハ各債券ニ付キ其全額ヲ払込マシムルコトヲ要ス
取締役ハ前項ノ規定ニ従ヒ全額ノ払込ヲ受ケタル日ヨリ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ前条第一号乃至第四号ニ掲ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第百八十五条 債券ニハ第百八十三条第一号乃至第四号ニ掲ケタル事項、会社ノ商号、取締役ノ氏名及ヒ番号ヲ記載シ取締役之ニ捺印スルコトヲ要ス
第百八十六条 記名社債ノ譲渡ハ譲受人ノ氏名、住所ヲ社債原簿ニ記入スルニ非サレハ之ヲ以テ会社其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第七節 解散
第百八十七条 会社ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 第六十三条第一号、第二号、第四号、第六号及ヒ第七号ニ掲ケタル事由
二 株主総会ノ決議
三 株主カ七人以下ニ減シタルコト
第百八十八条 前条第二号及ヒ合併ノ決議ハ第百六十四条ノ規定ニ従フニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
第百八十九条 会社カ解散シタルトキハ破産ノ場合ヲ除ク外取締役ハ遅滞ナク之ヲ各株主ニ通知シ且会社カ無記名式ノ株券ヲ発行シタル場合ニ於テハ之ヲ公告スルコトヲ要ス
第百九十条 第六十四条及ヒ第六十六条乃至第七十条ノ規定ハ株式会社ニ之ヲ準用ス
第八節 清算
第百九十一条 会社カ解散シタルトキハ合併及ヒ破産ノ場合ヲ除ク外取締役其清算人ト為ル但定款ニ別段ノ定アルトキ又ハ株主総会ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此限ニ在ラス
第百九十二条 前条ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ清算人ヲ選任ス
第百九十三条 会社カ事業ニ著手シタル後其設立ノ無効ナルコトヲ発見シタルトキハ解散ノ場合ニ準シテ清算ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
第百九十四条 清算人ハ就職ノ後遅滞ナク会社財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作リ監査役ノ意見書ト共ニ之ヲ株主総会ニ提出シテ其承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第百三十五条第二項及ヒ第百七十五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百九十五条 会社ニ現存スル財産カ会社ノ債務ヲ完済スルニ足ラサルトキハ清算人ハ払込時期ニ拘ハラス未タ払込アラサル株金ノ払込ヲ為サシムルコトヲ得
第百九十六条 清算人ハ何時ニテモ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ監査役又ハ資本ノ十分ノ一以上ニ当タル株主ノ請求ニ因リ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第百九十七条 清算人ハ会社ノ債務ヲ弁済シタル後ニ非サレハ会社財産ヲ株主ニ分配スルコトヲ得ス
第百九十八条 残余財産ハ各株主カ払込ミタル株金額ニ応シテ之ヲ分配スルコトヲ要ス但会社カ優先株ヲ発行シタル場合ニ於テ之ニ異ナリタル定アリタルトキハ此限ニ在ラス
第百九十九条 清算人ノ任務カ終了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク決算報告書ヲ作リ監査役ノ意見書ト共ニ之ヲ株主総会ニ提出シテ其承認ヲ求ムルコトヲ要ス
第百三十五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百条 会社ノ帳簿及ヒ清算ニ関スル一切ノ書類ハ清算結了ノ登記後十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス但其保存者ハ清算人其他ノ利害関係人ノ請求ニ因リ裁判所之ヲ選任ス
第二百一条 第七十二条、第七十六条、第七十八条乃至第八十一条、第八十四条、第八十六条、第百三十六条、第百三十七条、第百五十三条及ヒ民法第七十九条乃至第八十一条ノ規定ハ株式会社ノ清算ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五章 株式合資会社
第二百二条 株式合資会社ハ無限責任社員ト株主トヲ以テ之ヲ組織ス
第二百三条 左ノ事項ニ付テハ合資会社ニ関スル規定ヲ準用ス
一 無限責任社員相互間ノ関係
二 無限責任社員ト株主及ヒ第三者トノ関係
三 無限責任社員ノ退社
右ノ外株式合資会社ニハ本章ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外株式会社ニ関スル規定ヲ準用ス
第二百四条 無限責任社員ハ発起人トナルコトヲ要ス
第二百五条 発起人ハ定款ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 第百五条第一号乃至第四号及ヒ第六号乃至第八号ニ掲ケタル事項
二 無限責任社員ノ氏名
三 無限責任社員ノ株金以外ノ出資ノ種類及ヒ価格又ハ評価ノ標準
第二百六条 発起人ハ株主ヲ募集スルコトヲ要ス
株式申込証ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 第百七条、第百十一条第二項第一号、第三号乃至第五号及ヒ前条ニ掲ケタル事項
二 無限責任社員カ株式ヲ引受ケタルトキハ其各自カ引受ケタル株式ノ数
第二百七条 創立総会ニ於テハ監査役ヲ選任スルコトヲ要ス
無限責任社員ハ監査役ト為ルコトヲ得ス
第二百八条 無限責任社員ハ創立総会ニ出席シテ其意見ヲ述フルコトヲ得但株式ヲ引受ケタルトキト雖モ議決ノ数ニ加ハルコトヲ得ス
無限責任社員カ引受ケタル株式其他ノ出資ハ議決権ニ関シテハ之ヲ算入セス
前二項ノ規定ハ株主総会ニ之ヲ準用ス
第二百九条 監査役ハ第百十六条第一項ニ掲ケタル事項ヲ調査シ之ヲ創立総会ニ報告スルコトヲ要ス
第二百十条 会社ハ創立総会終結ノ日ヨリ二週間内ニ其本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 第百二十条第一項第一号乃至第五号ニ掲ケタル事項
二 無限責任社員ノ氏名、住所
三 無限責任社員ノ株金以外ノ出資ノ種類及ヒ金銭其他ノ財産ヲ目的トスル出資ノ価格
四 会社ヲ代表スヘキ無限責任社員ヲ定メタルトキハ其氏名
五 監査役ノ氏名、住所
第二百十一条 会社ヲ代表スヘキ無限責任社員ニハ株式会社ノ取締役ニ関スル規定ヲ準用ス但第百四十一条乃至第百四十五条及ヒ第百五十四条ノ規定ハ此限ニ在ラス
第二百十二条 合資会社ニ於テ総社員ノ一致ヲ要スル事項ニ付テハ株主総会ノ決議ノ外無限責任社員ノ一致アルコトヲ要ス
第百六十四条ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第二百十三条 監査役ハ株主総会ノ決議実行ノ責ニ任ス
第二百十四条 株式合資会社ハ合資会社ト同一ノ事由ニ因リテ解散ス但第七十一条ノ場合ハ此限ニ在ラス
第二百十五条 無限責任社員ノ全員カ退社シタル場合ニ於テ株主ハ第百六十四条ニ定メタル決議ニ依リ株式会社トシテ会社ヲ継続スルコトヲ得此場合ニ於テハ株式会社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス
第二百十六条 会社カ解散シタルトキハ合併、破産又ハ裁判所ノ命令ニ因リテ解散シタル場合ヲ除ク外清算ハ無限責任社員ノ全員若クハ其相続人又ハ其選任シタルモノ及ヒ株主総会ニ於テ選任シタル者之ヲ為ス但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
無限責任社員カ清算人ヲ選任スルトキハ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第二百十七条 無限責任社員ハ何時ニテモ其選任シタル清算人ヲ解任スルコトヲ得此場合ニ於テハ前条第二項ノ規定ヲ準用ス
第二百十八条 清算人ハ第百九十四条及ヒ第百九十九条ニ定メタル計算ニ付キ無限責任社員全員ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
第二百十九条 株式合資会社ハ無限責任社員ノ一致及ヒ株主総会ノ決議ニ依リ其組織ヲ変更シテ株式会社ト為スコトヲ得
第百六十四条ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第二百二十条 前条ノ場合ニ於テハ株主総会ハ直チニ株式会社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス此総会ニ於テハ無限責任社員モ亦其引受クヘキ株式ノ数ニ応シテ議決ノ数ニ加ハルコトヲ得
第二百二十一条 第六十六条及ヒ第六十七条第一項、第二項ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百二十二条 会社ハ組織変更ニ付キ債権者ノ承認ヲ得又ハ第六十七条第二項ニ定メタル義務ヲ履行シタル後一週間内ニ其本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ株式合資会社ニ付テハ解散ノ登記ヲ為シ株式会社ニ付テハ設立ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第六章 外国会社
第二百二十三条 外国会社カ日本ニ支店ヲ設ケタルトキハ日本ニ成立スル同種ノモノ又ハ最モ之ニ類似セルモノト同一ノ登記及ヒ公告ヲ為スコトヲ要ス
右ノ外日本ニ支店ヲ設ケタル外国会社ハ其日本ニ於ケル代表者ヲ定メ前項ノ登記中ニ其氏名、住所ヲ掲クルコトヲ要ス
民法第四十九条第一項但書及ヒ第二項ノ規定ハ外国会社ニ之ヲ準用ス
第二百二十四条 日本ニ本店ヲ設ケ又ハ日本ニ於テ商業ヲ営ムヲ以テ主タル目的トスル会社ハ外国ニ於テ設立スルモノト雖モ日本ニ於テ設立スル会社ト同一ノ規定ニ従フコトヲ要ス
第二百二十五条 第百二十四条、第百二十六条、第百二十七条、第百三十二条第一項、第百七十条第二項、第三項及ヒ第百八十六条ノ規定ハ日本ニ於ケル外国会社ノ株式ノ発行及ヒ其株式若クハ社債ノ譲渡ニ之ヲ準用ス
第二百二十六条 外国会社カ日本ニ支店ヲ設ケタル場合ニ於テ其代表者カ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル行為ヲ為シタルトキハ裁判所ハ検事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其支店ノ閉鎖ヲ命スルコトヲ得
第七章 罰則
第二百二十七条 発起人、会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、外国会社ノ代表者又ハ清算人ハ左ノ場合ニ於テハ五円以上二百円以下ノ過料ニ処セラル
一 本編ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
二 本編ニ定メタル公告若クハ通知ヲ怠リ又ハ不正ノ公告若クハ通知ヲ為シタルトキ
三 第三十八条ノ規定ニ違反シテ事業ニ著手シタルトキ
四 第百十一条第二項及ヒ第二百六条第二項ノ規定ニ反シ株式申込証ヲ作ラス、之ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
五 第百二十四条又ハ第百七十条第二項ノ規定ニ違反シテ株券ヲ発行シタルトキ
六 株券又ハ債券ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス又ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
七 定款、株主名簿、社債原簿、株主総会ノ決議録、財産目録、貸借対照表、事業報告書、損益計算書及ヒ準備金並ニ利益配当ニ関スル議案ヲ本店若クハ支店ニ備ヘ置カス又ハ之ニ不正ノ記載ヲ為シタルトキ
八 第百四十九条第一項ノ規定ニ反シテ株主総会ヲ招集セサルトキ
第二百二十八条 会社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役、外国会社ノ代表者、監査役又ハ清算人ハ左ノ場合ニ於テハ十円以上五百円以下ノ過料ニ処セラル
一 官庁又ハ株主総会ニ対シ不実ノ申立ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
二 第六十六条乃至第六十八条ノ規定ニ違反シテ合併、資本ノ減少又ハ組織ノ変更ヲ為シタルトキ
三 検査役ノ調査ヲ妨ケタルトキ
四 第百二十八条第一項ノ規定ニ反シ株式ヲ取得シ若クハ質権ノ目的トシテ之ヲ受ケ又ハ同条第二項ノ規定ニ違反シテ之ヲ消却シタルトキ
五 第百三十二条第一項ノ規定ニ違反シテ株券ヲ無記名式ト為シタルトキ
六 第百七十七条ノ規定ニ反シ準備金ヲ積立テス又ハ第百七十八条ノ規定ニ違反シテ配当ヲ為シタルトキ
七 第百八十一条ノ規定ニ違反シテ社債ヲ募集シタルトキ
八 民法第七十九条ノ期間内ニ或債権者ニ弁済ヲ為シ又ハ第百九十七条ノ規定ニ違反シテ会社財産ヲ株主ニ分配シタルトキ
九 第百四十九条第二項又ハ民法第八十一条ノ規定ニ反シ破産宣告ノ請求ヲ為スコトヲ怠リタルトキ