第三編
第二章 売買
第二百三十四条 商人間ノ売買ニ於テ買主カ其目的物ヲ受取ルコトヲ拒ミタルトキハ売主ハ其物ヲ供託シ又ハ相当ノ期間ヲ定メテ催告ヲ為シタル後之ヲ競売スルコトヲ得此場合ニ於テハ遅滞ナク其旨ヲ買主ニ通知スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ売主カ売買ノ目的物ヲ競売シタルトキハ其代価ヲ供託スルコトヲ要ス但之ニ付テ先取特権ヲ行使スルコトヲ妨ケス
第二百三十五条 契約ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ依リ一定ノ日時又ハ一定ノ期間内ニ履行ヲ為スニ非サレハ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハサル場合ニ於テ当事者ノ一方カ履行ヲ為サスシテ其時期ヲ経過シタルトキハ相手方ハ直チニ其履行ヲ請求スルニ非サレハ契約ヲ解除シタルモノト看做ス
第二百三十六条 商人間ノ売買ニ於テ買主カ其目的物ヲ受取リタルトキハ遅滞ナク之ヲ検査シ若シ其瑕疵アルコト又ハ数量ニ不足アルコトヲ発見シタルトキハ直チニ其旨ヲ売主ニ通知スルニ非サレハ其瑕疵又ハ不足ニ付キ異議ヲ述フルコトヲ得ス売買ノ目的物ニ直チニ発見スルコト能ハサル瑕疵アリタル場合ニ於テ買主カ後日之ヲ発見シタルトキ亦同シ
第二百三十七条 前条ノ場合ニ於テ買主ハ異議ヲ述ヘタルトキト雖モ売主ノ費用ヲ以テ売買ノ目的物ヲ保管スルコトヲ要ス但其物ニ付キ滅失又ハ毀損ノ虞アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ之ヲ競売シ其代価ヲ保管スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ買主カ競売ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其旨ヲ売主ニ通知スルコトヲ要ス
前二項ノ規定ハ売主及ヒ買主ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所カ同一市町村内ニ在ル場合ニハ之ヲ適用セス
第二百三十八条 前条ノ規定ハ売主ヨリ買主ニ引渡シタル物品カ注文セシ物ト異ナリタル場合ニ之ヲ準用ス其物品カ契約ノ数量ヲ超過シタル場合ニ於テ其超過額ニ付キ亦同シ