第三編 契約
第一章 総則
第二百二十四条 対顔者間ニ於テ申込ヲ受ケタル者カ直チニ承諾ヲ為ササルトキハ申込ハ其効力ヲ失フ
第二百二十五条 隔地者間ニ於テ承諾ノ期間ヲ定メスシテ申込ヲ為シタル場合ニ於テ其申込ヲ受ケタル者カ相当ノ期間内ニ承諾ノ通知ヲ発セサルトキハ申込ハ其効力ヲ失フ
民法第五百二十二条及ヒ第五百二十三条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二百二十六条 商人カ平常取引ヲ為ス他人ヨリ其営業ノ部類ニ属スル契約ノ申込ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク諾否ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス若シ之ヲ発スルコトヲ怠リタルトキハ申込ヲ承諾シタルモノト看做ス
前項ノ場合ニ於テ申込ヲ拒絶シタルトキト雖モ申込ト共ニ受取リタル物品アルトキハ申込者ノ費用ヲ以テ之ヲ保管スルコトヲ要ス但其物品ノ価額カ其費用ヲ償フニ足ラサルトキ又ハ商人カ保管ノ為メニ損害ヲ受クヘキトキハ此限ニ在ラス
第二百二十七条 数人カ其一人又ハ全員ノ為メニ商行為タル契約ニ因リ債務ヲ負担シタル場合ニ於テ当事者カ別段ノ意思ヲ表示セサリシトキハ其債務ハ各自連帯ニテ之ヲ負担ス其一人カ保証人ナルトキ及ヒ数人ノ保証人アル場合ニ於テ債務カ主タル債務者ノ商行為ニ因リテ生シタルトキ又ハ保証カ商行為ナルトキ亦同シ
第二百二十八条 商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ他人ノ為メニ法律行為ヲ為シ又ハ労務ニ服シタルトキハ特約ナキモ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得
第二百二十九条 商人間ニ於テ金銭ノ消費貸借ヲ為シタルトキハ特ニ利息ヲ約セサルモ貸主ハ法定利息ヲ請求スルコトヲ得
商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ他人ノ為メニ金銭ノ立替ヲ為シタルトキハ其立替ノ日以後ノ法定利息ヲ請求スルコトヲ得
第二百三十条 商行為タル契約ニ関シテハ法定利率ハ年六分トス
第二百三十一条 契約ノ履行ヲ為スヘキ場所カ其契約ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ因リテ定マラサルトキハ特定物ノ引渡ハ契約成立ノ当時其物ノ存在セシ場所ニ於テ之ヲ為シ其他ノ履行ハ債権者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
指図債権及ヒ無記名債権ノ弁済ハ債務者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
第二百三十二条 法令又ハ慣習ニ依リテ取引時間ノ定アルトキハ契約ノ履行ハ其履行期日ノ取引時間内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第二百三十三条 商人間ニ於テ其双方ノ為メニ商行為タル契約ニ因リテ生シタル債権ノ弁済期カ到来シタルトキハ債権者ハ其債務者トノ間ニ於ケル商行為ニ因リテ自己ノ占有ニ帰シタル債務者ノ所有物ヲ留置スルコトヲ得但別段ノ意思表示アルトキ又ハ債権者ノ義務ノ性質カ之ヲ許ササルトキハ此限ニ在ラス