第二編
第二章
第六節 清算
第七十三条 会社ハ解散ノ後ト雖モ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ尚ホ存続スルモノト看做ス
第七十四条 定款又ハ総社員ノ一致ヲ以テ会社財産処分ノ方法ヲ定メサルトキハ後十三条ノ規定ニ従ヒ清算ヲ為スコトヲ要ス
会社財産ハ債権者ニ弁済ヲ為シ又ハ相当ノ担保ヲ供シタル後ニ非サレハ之ヲ処分スルコトヲ得ス但債権者ノ承諾ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
第七十五条 会社カ解散シタルトキハ第六十五条第四号及ヒ第六号ノ場合ヲ除ク外清算ハ総社員共同ニテ又ハ其選任シタル者ニ於テ之ヲ為ス
清算人ノ選任ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第七十六条 清算ニ関シ社員ノ協議調ハサル場合及ヒ第六十五条第五号ノ場合ニ於テハ裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ清算人ヲ選任ス
第七十七条 会社カ裁判所ノ命令ニ因リテ解散シタルトキハ裁判所ハ利害関係人又ハ検事ノ請求ニ因リ清算人ヲ選任ス
第七十八条 会社カ事業ニ著手シタル後其設立カ取消サレタルトキハ解散ノ場合ニ準シ清算ヲ為スコトヲ要ス
此場合ニ於テハ第七十六条ノ規定ヲ準用ス
第七十九条 清算人ヲ選任シタルトキハ其清算人ハ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ自己ノ氏名、住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十条 清算人ノ職務左ノ如シ
一 現務ノ結了
二 債権ノ取立及ヒ債務ノ弁済
三 残余財産ノ分配
清算人ハ前項ノ職務ヲ行フ為メニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
第八十一条 清算人数人アルトキハ清算ニ関スル一切ノ行為ハ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス但第三者ニ対シテハ各自会社ヲ代表ス
第八十二条 清算人ノ代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第八十三条 清算人ハ就職ノ後遅滞ナク会社財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作リ之ヲ社員ニ交付スルコトヲ要ス
清算人ハ社員ノ請求ニ因リ毎月清算ノ状況ヲ報告スルコトヲ要ス
第八十四条 重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ本人又ハ社員ノ請求ニ因リ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第八十五条 清算人ノ解任又ハ変更ハ一週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ之ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十六条 清算人ノ任務カ終了シタルトキハ清算人ハ遅滞ナク計算ヲ為シテ各社員ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
前項ノ計算ニ対シ社員カ一个月内ニ異議ヲ述ヘサリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス但清算人ニ不正ノ行為アリタルトキハ此限ニ在ラス
第八十七条 会社ノ帳簿及ヒ清算ニ関スル一切ノ書類ハ十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス但其保存者ハ社員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第八十八条 第五十六条ニ定メタル社員ノ責任ハ会社解散ノ登記後五年ヲ経過シタルトキハ消滅ス
分配セサル残余財産尚ホ存スル場合ニ於テ会社ノ債権者カ之ニ対シテ弁済ヲ請求シタルトキハ前項ノ期間ハ之ヲ以テ其債権者ニ対抗スルコトヲ得ス