明治商法(明治32年)

商甲第三号 (明治二十九年六月十日配付)

参考原資料

第一編 第四章 商名 第十七条 商人ハ其氏、氏名其他ノ称号ヲ以テ商名ト為スコトヲ得 第十八条 会社ノ商名ニハ其種類ニ従ヒ合名会社、合資会社又ハ株式会社ナル文字ヲ附スルコトヲ要ス 第十九条 会社ニ非スシテ商名ニ会社タルコトヲ示スヘキ文字ヲ用ユルコトヲ得ス会社ノ営業ヲ取得シタルトキト雖モ亦同シ 第二十条 商名ノ登記ヲ為シタル者ハ其営業ニ付キ一市町村内ニ於テ其商名ヲ専用スル権利ヲ取得ス 本店所在ノ市町村外ニ設ケタル支店ニ於テ本店ノ商名ヲ専用スルニハ其支店ノ所在地ニ於テ更ニ登記ヲ為スコトヲ要ス 第二十一条 前条ノ規定ニ依リテ商名ノ専用権ヲ取得シタル者ハ其商名ヲ使用スル者ニ対シテ其使用ヲ止ムルコトヲ得但損害賠償ノ請求ヲ妨ケス 前項ノ規定ハ同市町村外ノ者カ不正ノ競争ノ目的ヲ以テ其商名ヲ使用スルモノト認ムヘキ場合ニ之ヲ準用ス 第二十二条 商名ノ登記ヲ為シタル者カ其商名ヲ廃止シ又ハ之ヲ変更シタル場合ニ於テ其廃止又ハ変更ノ登記ヲ請求セサルトキハ利害関係人ハ其登記ノ抹消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 前項ノ場合ニ於テ裁判所ハ登記ヲ為シタル者ニ対シ相当ノ期間ヲ定メ異議アラハ其期間内ニ之ヲ申立ツヘキ旨ヲ催告シ若シ其期間内ニ異議ノ申立ナキトキハ直チニ其登記ヲ抹消スルコトヲ要ス 第二十三条 商名ヲ譲渡シタルトキハ営業ト共ニ之ヲ譲渡シタルモノト推定ス 第二十四条 商名ト共ニ営業ヲ譲渡シタル場合ニ於テ当事者カ別段ノ意思ヲ表示セサリシトキハ譲渡人ハ同市町村内ニ於テ二十年間同一ノ営業ヲ為スコトヲ得ス 譲渡人カ同一ノ営業ヲ為ササル特約ヲ為シタルトキハ其特約ハ同府県及ヒ三十年ヲ超エサル範囲内ニ於テノミ其効力ヲ有ス 第二十一条ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第二十五条 前条ノ規定ハ営業ノミヲ譲渡シタル場合ニ之ヲ準用ス