仏国商事会社条例

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第一章 株式差金会社 第一条 差金会社ハ資本二十万法以下ナルトキハ百法以下又二十万法以上ナルトキハ五百法以下ノ株式若クハ部株ニ別ツヲ得ス 差金会社ハ資本全額ノ申込アルノミナラス少クモ各株主ノ申込タル株高四分一ノ払込アリタル後ニ非レハ確立セラルヽヲ得ス 申込及ヒ払込ハ支配人ノ陳述ニ依リ公証人之ヲ証記ス 陳述書ニハ申込人名簿払込明細書創立証書及ヒ其私証書ナルトキハ複本一通或ハ公証書ナルトキハ其陳述ヲ受ケタル公証人外ノ公証人ノ作リタル謄本ヲ添付ス可シ 私証書ハ社員ノ数ニ拘ワラス原本二通ヲ作リ其一通ハ前項ニ示スカ如ク資本金申込及四分一払込ノ陳述書ニ添付シ他ノ一会ハ通社ニ留ム 第二条 株式又ハ部株ハ四分一払込ノ後ハ取引セラルヽヲ得 第三条 株式又ハ部株ハ其半額払込ノ後株主総会ノ協議ヲ経テ無記名株式ニ変更スルコトヲ約定スルヲ得 右ハ会社創立規約書ノ該定款アルトキニ限ルモノトス 株主総会ニ協議後株式ノ記名ニテ存スルト無記名ニ変セラルヽトニ拘ワラス半額払込ノ前株式ヲ譲渡シタル最初ノ申込人及ヒ其譲受人ハ株主総会ノ協議ニ依リ二年間該株式全額ヲ弁済スルノ責任アリトス 第四条 社員金円ニ非ルモノヲ以テ供資トシ又ハ自己ノ為メ格段ナル利得ヲ要約スルトキハ第一株主総会ニ於テ供資ノ価額又ハ要約セラレタル利得ノ原由ヲ検定セシム会社ハ更ニ召集セラレタル第二株主総会ノ該供資若クハ利得ヲ認可シタル後ニ非サレハ確立セラレサルモノトス 第二株主総会ハ少クモ会議ノ五日前ニ報告書ヲ印刷シ之ヲ株主ノ手許ニ送附シタル後ニ非ザレハ供資若クハ利得ノ認可ノ当否ヲ判定スルヲ得ス 議事ハ参会セル株主多数ノ同意ニ依テ決定ス多数ハ株主全員ノ四分一ヲ占メ金円上資本ノ四分一ヲ代表スヘキモノトス供資ヲ為シ若クハ特別ノ利得ヲ要約シテ此事ヲ総会ノ検定ニ付シタル社員ハ発議権ヲ有セス 認可ナキ場合ニ於テハ会社ハ諸社員ニ対シ無効タル可シ 認可ハ後ニ詐欺ノ原由タルヘキ訴権執行ノ妨害タラス 金円ヲ以テセル供資ノ検定ニ関スル本条ノ規則ハ該供資ヲ受クル会社カ之ヲ未分ニテ所有スル者ノミノ間ニ創立セラルヽ場合ニ適用セス 第五条 株式差金会社ニ取締役ヲ置クヘシ取締役ハ少クモ株主三人ヨリ組織セラル可シ取締役ハ会社確立ノ後其諸般ノ事業ヲ行フ前直ニ株主総会ニ於テ任ス可シ 取締役ハ職務ノ満期ニ会社創立規約ニ定メタル条件ニ従ヒ再撰ヲ受ク 然レトモ最初ノ取締役ハ任期一個年ヲ限リトス 第六条 最初ノ取締役ハ其任ヲ受クルヤ直ニ前数条ノ規則ヲ遵守シタリヤ否ヤヲ審査ス可シ 第七条 第一条乃至第五条ノ規則ニ違ヒ設立セラレタル株式差金会社ハ関係人ニ対シテ無効ナリ 社員ハ此無効ヲ以テ第三者ニ対抗スルヲ得ス 第八条 前条ニ従ヒ会社ノ無効タリシトキハ最初ノ取締役ハ会社若クハ第三者ニ対シ会社ノ無効ヨリ生スル損害ニ付支配人ト共ニ任ス可シトノ宣告ヲ受クルコトアル可シ 社員中供資若クハ利得ノ第四条ニ循ヒ審査及ヒ認諾セラレサル者ニ対シテハ前項ト同シキ責任ヲ宣告スルコトヲ得 第九条 取締役ハ管理(会社ノ)及ヒ其結果ニ付テハ何等ノ責ニ任セス 取締役ハ委任執行中自身ノ為シタル過失ニ付普通法ノ規定ニ循ヒ責ニ任ス 第十条 取締役ハ会社ノ帳簿、金庫、手形類、及ヒ価物ヲ調査ス取締役ハ毎年株主総会ニ報告ヲ為ス該報告ニハ目録上ノ不規則不精密ヲ記述シ又必要アルトキハ支配人ノ起按セル配当金ノ分付ニ抵触スル理由ヲ証記ス可シ 配当金取戻訴権ハ何等ノ目録ヲモ作ラス若クハ証明スル結果ニ従ハスシテ配当金ノ分付ヲ為シタル場合ニ非サレハ株主ニ対シテ行フヲ得ス 取戻訴権ハ其開始セル場合ニハ配当金分付ノ為メ定メラレタル日ヨリ起算シ五年ヲ以テ時効トス 本条例頒布ノ日時効既ニ開始シ旧法ニ循ヘハ本条例頒布ノ日ヨリ起算スルモ尚ホ五年以上ヲ要スル者ハ五年ヲ以テ成就ス可シ 第十一条 取締役ハ株主総会ヲ召集シ総会ノ意見ニ従ヒ会社ノ解散ヲ言立ルヲ得 第十二条 株主ハ少クモ総会議ノ十五日前ニ自身若クハ代人ヲ以テ会社ニ於テ結算明細書目録及ビ取締役ノ報告書ヲ閲覧スルヲ得 第十三条 本条例第一乃至第三条ノ規定ニ背キ創立セラレタル会社ニシテ株券又ハ部株券ヲ発行スルトキハ五百法以上一万法以下ノ罰金ヲ科ス 左ニ列記セラレタル者亦同シ 支配人ニシテ未タ取締役ノ職務ヲ執ラサル前社業ヲ始ル者 株又ハ部株ノ自身ニ属セサルモノヲ属シタルカ如ク視セ詐欺ヲ以テ株主総会ニ於テ人為ノ多数ヲ作リタル者但シ為メニ損害ヲ生セシトキハ会社又ハ第三者ニ対シ其賠償ヲ為ス可シ 詐欺ノ便用ヲ為ス為メ株券ヲ交附セシ者前二項ニ定メタル場合ニ於テハ罰金ノ外十五日以上六月以下ノ禁錮ノ刑ヲ言渡スコトアル可シ 第十四条 株又ハ部株四分一ノ払込ヲ実際ニ為サスシテ之ヲ取引スルトキハ五百法以上一万法以下ノ罰金ヲ科ス 右ノ取引ニ参加シ及ヒ右ノ株式ヲ広告シタル者亦同シ 第十五条 左ニ掲クル者ハ刑法第四百五条ニ定メタル刑ニ処セラル但シ詐欺取財ヲ組成スル一切ノ所為ニ本条ヲ適用スルニ付抵触スルコト無ル可シ 一 申込又ハ払込ヲ為シタル如ク視セ若クハ尚ホ未タ成立サル申込又ハ払込ノ広告又ハ其他総テ偽妄事件ノ公示ヲ悪意ニテ為シ以テ申込又ハ払込ヲ受ケ又ハ受ケント試ミタル者 二 申込又ハ払込ヲ誘嗾スル為メ或ル名義ヲ以テ会社ニ附属ストシ又ハ附属スヘシトシテ事実ニ戻リテ指示セラレタル人ノ氏名ヲ悪意ニテ公示シタル者 三 目録ナク又ハ詐欺ノ目録ヲ以テ株主間ニ仮想ノ配当金ノ分附ヲ為シタル支配人 取締役ハ支配人ノ犯罪ニ付民法上ノ責ニ任セス 第十六条 刑法第四百六十三条ハ前三条ニ記載シタル所為ニ適用スルヲ得 第十七条 株主ニシテ少クモ会社ノ資本二十分一ヲ代表スルトキハ自身ノ利益ノ為メ自費ヲ以テ一名又ハ数名ノ代人ヲ委任シ原告若クハ彼告トシテ支配人又ハ取締役ニ対シ訴権ヲ維持セシメ且ツ裁判所ニ於テ代理セシムルヲ得但シ各株主ノ其名義ヲ以テ自ラ訴訟ヲ起スコトニ抵触スル無ル可シ 第十八条 千八百五十六年七月七日ノ法律以前ニ創立シタル会社ニシテ本条例第十五条ニ適合セサル者ハ六月ノ猶予期限内ニ前数条ノ規定ニ循ヒ必ス取締役ヲ置ク可シ前項ニ定メタル猶予期限内ニ取締役ヲ置カサルトキハ各株主ハ会社ノ解散ヲ宣告セシムルノ権アリ 第十九条 本条例頒布以前ニ創立シタル株式差金会社ニシテ其創立規約書ニ因リ政府ノ認可セル旡名会社ニ変更スルヲ得ル者ハ本条例第二章ニ定メタル法条及ヒ変更ニ付創立規約書中ニ望約シタル条件ニ循ヒ無名会社ニ変更セラルヽヲ得 第二十条 千八百五十六年七月十七日ノ法律ハ之ヲ廃止ス 第二章 旡名会社 第二十一条 自今旡名会社ハ政府ノ許可ナクシテ組織セラルヽヲ得ヘシ 無名会社ハ其社員ノ数如何ンニ拘ワラス二通ノ正本ヨリ成ル私証書ヲ以テ組織セラルヽヲ得可シ 又旡名会社ハ商法第二十九条第三十条第三十二条第三十三条第三十四条及ヒ第三十六条並ニ本章ニ規定シタル以下ノ諸条例ニ従フ 第二十二条 旡名会社ハ社員中ヨリ撰任シ任期ヲ定限シタル一名若クハ数名ノ代人ニ依テ支配セラル其代人ハ有給若クハ無給ニシテ何時ニテモ之ヲ廃止スルヲ得 此代人ハ同役中ヨリ一名ノ頭取ヲ撰定シ若クハ会社規約書ニ於テ認可スルトキハ社員外ノ人ヲ以テ其職務ニ代ラシムルヲ得但シ会社ニ対スル責任ハ自身之ヲ負担ス可シ 第二十三条 社員ノ数七名以下ナルトキハ無名会社ハ組織セラルヽヲ得ス 第二十四条 本条例第一条乃至第四条ノ法条ハ旡名会社ニ之ヲ適用ス 第一条ヲ以テ有名会社ノ支配人ニ命シタル公示ハ無名会社ニ於テ其発起人之ヲ為スヘシ且ツ其公示ハ必要ナル書類ト共ニ之ヲ最初ノ株主総会ニ付シ其真否ヲ調査セシム 第二十五条 株主総会ハ如何ナル場合ニ於テモ資本ノ申込及ヒ現金ヨリ成立スル資本四分一ノ払込ヲ認メタル後発起人ノ請求ニ因テ召集セラル此総会ニテ最初ノ支配人ヲ撰任シ且ツ初期ノ為メ以下第三十二条ニ規定シタル報告委員ヲ撰任ス 支配人ノ任期ハ六箇年ヲ超ユルヲ得ス且ツ反対ノ約束アラサルトキハ之ヲ再撰スルヲ得然レトモ其撰任ヲ株主総会ノ認可ニ付セサルヘキ明約ヲ規約書ニ指定スルヲ得此場合ニ於テハ其任期三箇年ヲ超ユルヲ得ス 総会ニ出席シタル支配人及ヒ報告委員ノ承諾ハ議事録中ニ之ヲ記載ス 会社ハ此承諾アリタルトキヨリ組織セラル可シ 第二十六条 支配人ハ規約書ニ定メタル株数ノ所有者タルヘシ支配人所有ノ株券ハ其社務管理ノ所為ニ就テハ勿論尚ホ支配人中一身上ノ所為ニ付担保ニ供セラル可シ 右ノ株券ハ記名ニシテ譲渡スヘカラサルモノトス且ツ其券面ニ不譲渡ヲ指示シタル証印ヲ付シテ会社ノ金庫ニ貯蔵ス 第二十七条 規約書ニ定メタル時機ニ於テ毎年少クモ一回ノ総会ヲ開クヘシ且ツ所有主ノ名義タルト代人ノ名義タルトヲ問ハス議員ノ資格ヲ得ル為メ株主ノ所有スヘキ株数並ニ其所有ノ株数ニ応シテ各自株主ノ有スヘキ投票ノ数ハ規約書ニ之ヲ定限ス 然レトモ社員各自供資ノ調査最初ノ支配人ノ撰任及ヒ第二十四条第二項ニ従ヒ発起人ノ為シタル広告真否ノ調査ニ関シテ召集スル総会ニ於テハ株主ハ其所有ノ株数ニ拘ワラス総テ規約書ニ定メタル投票ノ数ヲ以テ議決議ニ与ルヲ得且其数十票ヲ超ユルヲ得ス 第二十八条 総会ノ議決ハ総テ投票ノ多数ニ拠ル可シ 且株主名簿ヲ製シ之ニ其住所氏名及ヒ所有ノ株数ヲ記載ス 総会ニ於テ検認シタル株数名簿ハ会社ニ保存シ閲覧ヲ請フ者アル毎ニ之ヲ示ス可シ 第二十九条 左ノ二条ニ予定シタル場合外ノ事件ヲ議決スヘキ総会ハ少クモ資本四分一ヲ代表スル株主ノ数ヨリ組成セラル可シ 又右ノ総会ノ出席員数前項ニ定限シタル株主ノ数ニ満タサルトキハ規約書ニ規定シタル法式及ビ期限ニ従ヒ更ニ総会ヲ召集ス且ツ此総会ハ其出席株主ノ代表シタル会社資本ノ金額如何ニ拘ワラス有効ニ決議スルヲ得 第三十条 社員供資ノ調査、最初ノ支配人ノ撰任及ビ第二十四条第二項ニ従ヒ会社発起人ノ為シタル公示真否ノ調査ニ関シ決議スヘキ総会ハ少クモ資本ノ半額ヲ代表スル株主ヨリ組成セラル可シ 調査半額ノ供資ニ提出セラルヘキ資本ハ単ニ調査ニ附スルヲ要セサル供資残半額ヨリ組成セラル可シ 総会ノ出席員数資本ノ半額ヲ代表スル株主ノ数ニ充タサルトキハ只仮ノ議決ヲ為ス其議決ハ正式ノ公示ヲ為サンカ為メ指定シタル新聞紙上総会ノ開日ヨリ少クモ一月前ニ八日ヲ隔テヽ二回公示シ各株主ヲシテ之ヲ知ラシム可シ且ツ此仮議決ハ少クモ資本五分一ヲ代表スル株主ヨリ組成セラレタル新総会ノ認可ヲ経テ確定ス 第三十一条 規約書ノ改正予定期限外ニ係ル会社ノ継続若クハ予定期限内ニ係ル会社ノ解散ニ関シテ議決スヘキ総会ハ少クモ資本半額ヲ代表スル株主ヨリ成レルニ非サレハ組織シ且有効ニ議決スルヲ得ス 第三十二条 期年総■ハ其社員タルト外人タルトヲ問ハス一名若クハ数名ノ報告委員ヲ指定ス其委員ハ次年ノ総会ニ於テ前年度ニ係ル会社ノ、状況、貸借ノ決算及ヒ支配人ヨリ提出シタル勘定ノ報告ヲ為スノ職ニ任ス 決算及ヒ勘定ノ包含シタル議決ニシテ報告委員ノ報告前ニ係ルモノハ総テ無効タル可シ 総会ニ於テ報告委員ヲ撰任セサルカ若クハ既ニ撰任シタル委員中一名若クハ数名ノ任命ヲ拒絶シタルトキハ関係人ノ請求ニ因リ会社所在地ノ商事裁判所長ノ命令ヲ以テ支配人立会ノ上之ヲ撰任シ若クハ之カ欠員ヲ補撰ス可シ 第三十三条 総会召集ニ付規約書ニ定メタル期限前三ケ月以内ハ報告委員ハ会社ノ利益ニ適当ト思量スル毎ニ諸帳簿ヲ閲覧シ且ツ社務ヲ検査スルノ権利ヲ有ス 又委員ハ急迫ノ場合ニ於テハ何時ニテモ臨時総会ヲ召集スルヲ得 第三十四条 凡無名会社ハ一期(六ケ月)毎ニ其貸借ノ概況書ヲ作ル可シ 此概況書ハ委員ニ差出スヘキモノトス 其他商法第九条ニ従ヒ毎年動産、不動産及ヒ貸借高ヲ明示セル目録ヲ作ル可シ 此目録結算明細書及ヒ計算書ハ総会ノ開日ヨリ遅クトモ四十日前ニ委員ニ差出ス可シ又此目録結算明細書損益計算書ハ総会ニ提出スヘキモノトス 第三十五条 株主ハ総会開日ヨリ遅クモ十五日前ニ本社ニ至リ目録及ヒ株主人名簿ヲ閲覧シ結算明細書ノ写目録ヲ略記シタル及ヒ委員ノ報告書ノ写ヲ求ムルコトヲ得ヘシ 第三十六条 会社ノ純益中ヨリ予備金ニ充ル為メ少クモ其二十分ノ一ヲ毎年控除ス可シ此控除ハ予備金額資本十分一ニ達シタルトキハ必スシモ之ヲ為スニ及ハス 第三十七条 資本四分ノ三ノ損耗アル場合ニ於テハ会社ノ解散ヲ為ス可キヤ否ヤノ問題ヲ決スル為メ支配人ヨリ株主総会ヲ召集ス可シ 何レノ場合ニ於テモ総会ノ議決ハ公行ス可キ者ノトス 支配人ノ総会ヲ召集セサルトキハ規則ニ違ヒテ総会ヲ構成シタル場合ト同シク関係人ヨリ会社ノ解散ヲ裁判所ニ訟求スルコトヲ得可シ 第三十九条 第十七条ハ無名会社ニモ之ヲ適用ス 第四十条 支配人ハ会社ト共ニ若クハ会社ノ為メニ為シタル事業又ハ売買ニ間接若クハ直接ノ利益ヲ得又ハ之ヲ保存スルヲ禁ス但シ総会ニ於テ之ヲ認可シタル場合ハ此限ニ在ラス 前項ノ法文ニ循ヒ総会ノ認可ヲ経タル工商業ノ執行ニ係ル特別計算ハ毎年総会ニ於テ之ヲ為ス可シ 第四十一条 第二十二条乃至第二十五条ノ規定ヲ遵守セサル無名会社ハ総テ関係者ニ対シ無効ナリトス 第四十二条 前条ニ従ヒ会社又ハ証書及ビ総会議決ノ無効言渡アリタルトキハ其責任無効ノヲ負フ創立者及ヒ無効言渡ノ当時在職ノ支配人ハ第三者ニ対シ連帯シテ責任ヲ負フ可シ但シ株主ノ権利ト抵触スルコト無ルヘシ 右同一ノ連帯責任ハ第二十四条ニ従ヒ供資及ヒ利益ノ調査ヲ径及認可ヲ受ケサル社員ニ対シテ言渡スコトヲ得ヘシ 第四十三条 会社ニ対スル委員責任ノ区域及ヒ其効果ハ代理委任ノ一般ノ規則ニ従フ 第四十四条 支配人ハ本条例ノ犯則或ハ其管理事件就中仮想ノ配当ヲ為シ又ハ人ノ之ヲ為スヲ知テ故障ヲ申述サル罪過ニ付普通法ノ条目ニ従ヒ場合ニ因リ各自若クハ連帯ニテ会社又ハ第三者ニ対シテ責任ヲ負フ可シ 第四十五条 本条例第十三条乃至第十六条ノ規定ハ現ニ存在スル会社ト本条例ニ因テ設立ス可キ会社トノ別ナク総テ旡名会社ニ適用ス可シ目録ヲ作ラサルカ又ハ詐欺ノ目録ヲ作リ仮想ノ配当ヲ為シタル支配人ハ同一ノ所為アル差金会社ノ支配人ニ対スル第十五条第三項ノ規定ニ従テ之ヲ処断ス可シ 第十条最終三項ノ規定モ亦旡名会社ニ適用ス 第四十六条 現ニ存在無名会社ハ其継続ノ間ハ従前ノ規則ニ従フ可シ 前項ノ無名会社ハ政府ノ許可ヲ得且其社則ノ変更ニ付キ定メタル法式ヲ履行シ本条例ニ導ヒ設立シタル無名会社ニ更改スルコトヲ得可シ 第四十七条 有限責任会社ハ其社則ノ変更ニ付定メタル条件ニ従ヒ本条例ヲ以テ設立シタル無名会社ニ更改スルコトヲ得可シ 商法第三十一条第三十七条第四十条及ヒ有限責任会社ニ関スル千八百六十三年五月二十三日ノ法ハ之ヲ廃止ス 第三章 不定資本会社ニ関スル特別規則 第四十八条 凡ソ資本ハ規約書ヲ以テ社員漸次ノ払込又ハ新社員加入ニ依テ増加シ及ヒ既ニ払込ミタル供資ノ全部若クハ一部ノ規約書取戻ニ依リ減少シ得可キ旨ヲ要約スルヲ得 前項ノ要約ヲ掲クル会社ハ其特別ナル体裁ニ従フノ外下条ノ規定ニ従フ可シ 第四十九条 資本ハ創立規約書ヲ以テ二十万法以下ト為スヲ得ス 資本ハ毎年開会スル総会ノ協議ニ依リ増加スルヲ得但シ一回ノ増加額二十万法ヲ超過スルヲ得ス 第五十条 株式又ハ部株ハ其全部払込ノ後ト雖トモ必ス記名タル可シ此株式又ハ部株ハ一個ニ付五十法以下タルヲ得ス 株式及ヒ部株ハ会社確立後ニ非サレハ取引ヲ為スヲ得ス 右ノ取引ハ会社ノ帳簿上株式移転方法ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ為スヲ得ス且規約書ヲ以テ此移転ニ故障ヲ為スノ権利ヲ管理役又ハ総会ニ与フルヲ得 第五十一条 第四十八条ヲ以テ許可シタル供資ノ取戻ニ依テ若于ノ金額以下ニ資本ヲ減シ得サル旨ヲ規約書ニ定ム可シ 前項ノ金額ハ会社資本ノ十分ノ一以下タルヲ要ス 不定資本会社ハ資本金額十分一ノ払込後ニ非サレハ確立スルヲ得ス 第五十二条 各社員ハ反対ノ契約アル場合及ヒ前条第一項ノ場合ヲ除キ自身ノ適当ナリト断定スル時退社スルヲ得可シ 総会ハ規約書ノ変更ノ為メ定メタル多数決ニ依リ一名若クハ数名ノ社員ノ退社ヲ決スルノ権ヲ有スル旨ヲ要約スルコトヲ得 自ラ好ンテ退社シ又ハ総会ノ決議ニ依リ退社セシメラレタル者ハ社員及ヒ第三者ニ対シテ退社ノ当時既ニ存在シタル義務ヲ五ケ年間担当ス可シ 第五十三条 会社ハ其体裁ノ如何ンヲ問ハス其支配人ヲシテ裁判所ニ於テ有効ニ代理セシムルコトヲ得 第五十四条 会社ハ社員一名ノ死去、退社、禁治産、倒産、又ハ分散ニ由テ解散スルコトナシ 第四章 会社設立証書ノ公示ニ関スル規則 第五十五条 凡ソ商事会社ノ設立ハ私証書ヲ以テシタルトキハ正副二通、公証書ヲ以テシタルトキハ謄本一通ヲ其仮立シタル月内ニ会社所在地ノ治安裁判所及ヒ商事裁判所ノ書記局ニ差出スヘシ 株式差金会社及無名会社ノ仮立証書ニハ第一、会社資本ノ申込及ヒ資本四分一ノ払込ヲ証明スル公証書ノ謄本第二、第四条及ヒ第二十四条ニ定メタル場合ニハ総会ニテ為シタル協議ノ確証セラレタル写書ヲ添付ス可シ其他無名会社ナルトキハ其設立証書ニ各申込人ノ氏名身分住所及ヒ株数ニ掲クル所ノ適法ニ確証セラレタル申込人名簿ヲ添付ス可シ 第五十六条 一ケ月内ニ法律上ノ広告ヲ掲載スヘキ新聞紙中ノ一ニ会社仮立証書ノ抜書及ヒ添付書類ノ抜書ヲ公示ス可シ 此抜書ハ印刷者ノ保証シ邑長ノ確認シ及ヒ日附ヨリ三ケ月内ニ登記シタル新聞紙一部ヲ以テ其掲載ヲ証セラル 前条及ヒ本条ニ定メタル法式ハ必ス之ヲ履行ス可シ然ラサレハ関係人ニ対シ会社設立ノ効無ル可シ然レトモ社員ハ是等ノ法式ヲ欠クコトアルモ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第五十七条 抜書ニハ株主又ハ差金以外ノ社員ノ性名会社ノ名号又ハ会社ニ於テ用ユル名称及ヒ会社居所ノ町名番地会社ヲ管理シ及ヒ会社ニ代テ署名スル権ヲ有スル社員ノ指名資本額株主又ハ差金社員ヨリ既ニ供出シ又ハ供出ス可キ金額会社開業ノ年月日同開閉ノ時期及ヒ治安裁判所並ニ商事裁判所ニ書類ヲ差出シタル日附ヲ記ス可シ 第五十八条 抜書ニハ設立スル所ノ会社カ合名会社ナルカ又ハ単純ナル差金会社ナルカ又ハ株式差金会社ナルカ又ハ無名会社ナルカ又ハ不定資本会社ナルカヲ記ス可シ 無名会社ナルトキハ抜書ニハ金額其他ノ物件ヲ以テスル会社ノ資本額予備金組成ノ為メ純益中ヨリ引去ル可キ金額ヲ不定資本会社ナルトキハ若干ノ金額以下ハ資本ヲ減スルコトヲ得サル限度ヲ掲ク可シ 第五十九条 会社其商店ヲ数部ニ仮立シタルトキハ第五十五条ニ定メタル書類差出及ヒ第五十六条ノ公示ハ商店所在ノ各郡ニ於テ之為ス可シ 数郡ニ区分シタル都府ニ於テハ唯主タル商店所在地ノ治安裁判所書記局ニ書類ヲ差出スヲ以テ足レリトス 第六十条 証書及ヒ書記局ニ差出ス可キ書類ノ抜書ニハ公証書ナルトキハ公証人之レニ署名シ私証書ナルトキハ合名会社ニ於テハ社員差金会社ニテハ支配人又無名会社ニテハ管理人之レニ署名スルモノトス 第六十一条 左ノ書類ハ第五十五条及ヒ第五十六条ニ定メタル法式及ヒ罰科ニ従フモノトス 規約書ノ変更予定期限以外ノ会社ノ継続、予定期限前会社ノ解散及ヒ精算ノ方法並ニ社員ノ変換又ハ退社及ヒ会社ノ名号ノ変更等ヲ目的トスル各種ノ証書及ヒ決議書 第十九条第三十七条第四十六条第四十七条及ヒ第四十九条ニ定メタル場合ニ為シタル議決モ亦第五十五条及ヒ第五十六条ノ規則ニ従フ可キモノトス 第六十二条 第四十八条会社資本ノ増加減少ヲ証明スル証書又ハ第五十二条ニ従テ為ス所ノ支配人又ハ管理人以外ノ社員ノ退社ヲ証明スル証書ニハ裁判所書記局ニ差出スノ法式及公示ノ法式ヲ履行スルニ及ハス 第六十三条 株式差金会社又ハ無名会社ニ関スルトキハ何人タリトモ治安裁判所及ヒ商事裁判所ノ書記局ニ差出シタル書類ヲ閲覧シ又ハ裁判書記又ハ細字本書ノ預リ人タル公証人ヨリ私費ヲ以テ其謄書又ハ抜書ヲ申受ルノ権ヲ有ス 又何人ト雖モ本社ニ至リ一法ヲ超過セサル費用ヲ払ヒ保証セラレタル規約書ノ写書ノ下附ヲ要求スルコトヲ得 右差出シタル書類ハ会社ノ事務所ニ於テ公衆ノ見易キ様掲示スヘシ 第六十四条 無名会社又ハ株式差金会社ヨリ発スル一切ノ証書売品覚書公示其他印刷シ又ハ手記シタル書類ニハ文字ヲ略セスシテ読易キ様無名会社又ハ株式差金会社ト書記シ及ヒ会社ノ資本額ヲ記載シ其前若クハ後常ニ会社ノ称号ヲ記スヘシ 若シ会社カ第四十八条ヲ以テ許サレタル権能ヲ使用シタル時ハ不定資本ノ語ヲ附記ス可シ 凡ソ前条ノ規定ヲ犯シタル者ハ五十法以上千法以下ノ罰金ニ処ス 第六十五条 商法第四十二条乃至第四十六条ハ之ヲ廃止ス 第五章 共済及ヒ保険会社 第六十六条 共済ノ性質ヲ有スル結社及ヒ生命共済又ハ定料プリーム保険会社ハ政府ノ許可ヲ受ケ及ヒ政府ノ監督ニ従フ可シ 前項以外ノ保険会社ハ政府ノ許可ヲ受ケスシテ設立スルコトヲ得可ク行政規則ヲ以テ其設立ニ就テ要スル条件ヲ定ム可シ 第六十七条 前条第二項ニ掲ケタルモノニシテ現ニ存在スル保険会社ハ政府ノ許可ヲ受クルニ及ハスシテ唯其社則ノ変更ニ就テ定メタル法式及ヒ条件ニ従ヒ行政規則ヲ以テ設ケタル規則ノ支配ヲ受ク可シ