船員規則

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第一節 総則 第一条 此法ノ規定ハ独逸国旗ヲ掲ルノ権利ヲ執行スルコトヲ許ス総テノ商船(千八百六十七年十月二十五日ノ法律第一条聯邦法律誌第三十五葉)ニ適用スルモノトス 第二条 此法ニ謂ヘル船長ハ船舶ノ運用者(船将)トス其運用者ノ缺員又ハ故障アルトキハ其代理者ナリトス 第三条 船員仲間ニハ船長ヲ除キ士官モ亦算入スルモノトス並ニ船員ニハ船長ヲ除キ各個士官モ亦包含スルモノトス 船員仲間ニ属スルコトナクシテ機関士、事務員又ハ其他ノ資格ニ於テ船舶ニ雇入レラレタル者ハ此法ニ於テ船員仲間ニ付キ定メタルト同一ノ権利及義務ヲ有スルモノトス此場合ニ於テハ其者船長又ハ船主ヨリ任用セラレタルト否トニ依テ区別スルコトナシ 第四条 船員官署ハ独逸国内ニ於テハ各邦ノ検査所ナリトス及外国ニ於テハ独逸国ノ領事庁ナリトス 独逸国内検査所ノ設置ノ権ハ各邦法律ニ従ヒ其政府ニ属スルモノトス検査所ノ行務ハ独逸国ノ上等監督ヲ受ルモノトス 第二節 航海簿並ニ検査 第五条 何人タリトモ其氏名、本籍及年齢ヲ船員官署ニ於テ証明シ及其官署ヨリ其公製シタル航海簿ヲ受取リタル後ニアラサレハ独逸国内ニ於テ船員トナリ職務ニ就クコトヲ許サス 船員独逸人ナルトキハ十四歳ニ満ル前ハ船務ヲ担任スルコトヲ許サス又其兵役関係ニ付キ之ヲ証明シ並ニ父権ニ従ヒ又ハ未丁年ナルトキハ船務担任ノ為メニ得タル父又ハ後見人ノ承諾ニ付キ之ヲ証明スヘキモノトス 船員ニハ航海簿ト共ニ船員規則及救助ヲ要スル船員引取ノ義務ヲ独逸商船ニ負ハシムル法律ノ刷本ヲ渡スヘキモノトス 第六条 父又ハ後見人ノ承諾第五条)ハ制限ヲ加ヘサルトキニ限リ始終之ヲ与ヘタルモノト看做スモノトス 其承諾ニ依リ未丁年者ハ雇入契約ヲ取結ヒ並ニ其契約ヨリ生スル権利及義務及之ニ付テノ裁判上手続ニ関スルモノニ限リ丁年者ト同一ニ看做サルヽモノトス 第七条 何人タリトモ既ニ公製シタル航海簿ヲ受取リタル者新航海簿ヲ得ントスルニハ旧航海簿ヲ差出シ又ハ其紛失ヲ証明スヘキモノトス船員官署ハ其之ヲナシタルコトヲ新航海簿ニ記入スルモノトス 其紛失ヲ証明シタルトキ此記入ニハ同時ニ前等給及職務ノ関係並ニ職務ノ期限ニ関スル船員官署ノ証ヲ附記スヘキモノトス但船員之ニ付キ充分ニ証明スルトキニ限ル 第八条 何人タリトモ其航海簿ノ旨趣ニ依リ検査ヲ受ケタル者ハ其前職務上関係ノ終リタルコトニ付キ航海簿ニ登記スヘキ記入(第二十条及第二十二条)ヲ以テ証明シタル後ニアラサレハ更ニ検査ヲ受ルコトヲ許サス 船員官署ノ見込ニ依リ此記入ヲ差出スコト能ハサルトキ此記入ニ代ハルモノハ職務上関係ノ終リタルコトヲ他ノ方法ヲ以テ証明スルトキ船員官署ニ於テ直ニ航海簿ニ登記スヘキ記入ナリトス 第九条 航海簿ノ調整及代価ハ独逸集議院之ヲ定ルモノトス其公製書ハ費用及印税ヲ要セサルモノトス 航海簿ハ其所有者ノ兵役関係(第五条)ニ付キ詳記スヘキモノトス 第十条 船長ハ以下数条(第十一条ヨリ第二十二条マテ)ノ規定ニ従ヒ船員ニ検査(就職検査、罷職検査)ヲ受ケシムヘキモノトス 船員ハ避クヘカラサル差支アルニアラサレハ自ラ検査ヲ受ル為メ出頭スヘキモノトス 第十一条 就職検査ハ船員ト取結ヒタル雇入契約ヲ船員官署ニ於テ陳述セシムルニアルモノトス其就職検査ハ独逸国内ニ碇泊スル船舶ニアリテハ航海ヲ始メ又ハ継続スル前航海簿ヲ呈出セシメテ之ヲナシ其他ノ船舶ニアリテハ船員官署ノ検査ヲ受ルコトヲ得ヘキトキ直ニ航海簿ヲ呈出セシメテ之ヲナスモノトス 第十二条 就職検査ノ筆記ハ船員官署ニ於テ之ヲ検査簿トシテ公製スルモノトス一船舶ノ船員ニ属スル者同時ニ一筆記ヲ以テ就職検査ヲナサヽルトキ公製書ハ最初ノ筆記ニ依リ之ヲ作ルモノトス 検査簿ニハ船舶ノ名号及本籍、船長ノ氏名及住地各船員ノ氏名、住地及職務上位置及雇入契約ノ条款及別段ノ約定アルトキハ其約定ヲ記載スヘキモノトス特ニ検査簿ヲ以テハ船員ニ供スル日々ノ食料及飲料ヲ判然ナラシムヘキモノトス其他検査簿ノ調整ハ独逸集議院之ヲ定ム 第十三条 船員検査簿ノ公製後初メテ就職検査ヲ受ルトキ船員官署ハ其検査ヲ其検査簿ニ登記スヘキモノトス 第十四条 独逸国内ニ於テナス各就職検査ニ方リテハ船員官署ニ於テ其検査ニ付キ及就職ノ事実ニ付テノ記入ヲ各船員ノ航海簿ニ登記スルモノトス其記入ハ同時ニ出発券又ハ航海券ノ効力ヲ有スルモノトス独逸国外ニ於テ此登記ハ航海簿ヲ之カ為メ呈出スルトキニ限リ之ヲナスモノトス 航海簿ハ其後直ニ船長ニ於テ職務上関係ノ継続中之ヲ保管スヘキモノトス 第十五条 就職検査ヲ受ケタル船員避クヘカラサル差支アルカ為メ就職スルコト能ハサルトキ其船員ハ之ニ付キ成ルヘク速ニ船長及検査ヲ受ケタル船員官署ニ対シ証明スヘキモノトス 第十六条 罷職検査ハ職務上関係ノ終リタルコトヲ船長及其関係ヲ離ルヽ船員ヨリ陳述セシムルニアルモノトス罷職検査ハ職務上関係ノ終リタルトキ直ニ之ヲナシ就中別段ノ契約ナキトキハ船舶ノ碇泊スル港ノ船員官署及船舶ノ喪失後初メテ達スルコトヲ得ル船員官署ニ於テ検査ヲ受クヘキモノトス 第十七条 船長ハ罷職検査ノ前罷職検査ヲ受クヘキ船員ノ為メ之マテノ等級及職務上関係及職務ノ期限ヲ航海簿ニ証明スヘキモノトス求メニ依リ品行証書モ亦交付スヘキモノトス品行証書ハ航海簿ニ登記スルコトヲ許サス 第十八条 其証明及証書(第十七条)ニナス船長ノ署名ハ罷職検査ヲナス船員官署ニ於テ費用及印税ヲ要セスシテ之ヲ公証スルモノトス 第十九条 船長品行証書(第十七条)ノ交付ヲ拒ムトキ又ハ其証書ニ船員ニ於テ当否ヲ争フ過失ヲ記載スルトキハ船員ノ申立ニ依リ船員官署事情ヲ捜査シ及捜査結果ニ付テ証書ヲ船員ニ交付スヘキモノトス 第二十条 其ナシタル罷職検査ハ船員官署ニ於テ罷職検査ヲ受ケタル船員ノ航海簿及検査簿ニ之ヲ記入スルモノトス 第二十一条 検査簿ハ検査簿トシテ公製シタル就職検査筆記(第十二条)ニ関スル航海又ハ期限ノ終リタル後罷職検査ヲナス船員官署ニ之ヲ納付スヘキモノトス 其船員官署ハ其検査簿ヲ本籍港ノ船員官署ニ送付スルモノトス 第二十二条 船員ニ於テ前数条ノ規定ニ従ヒ検査(第十条)ヲナスコト能ハサル変更アルトキ船長ハ船員官署ニ達スルコトヲ得ヘキトキ直ニ之ニ差支ノ理由ヲ挙ケテ検査ヲ受クヘキモノトス又此後日ノ検査ヲモ亦ナスコト能ハサルトキニ限リ事情ヲ届出ツヘキモノトス其届出ニ付テノ記入ハ船員官署ニ於テ関係シタル船員ノ検査簿及航海簿ニ之ヲ登記スヘキモノトス 第二十三条 検査簿ノ公製ヲ併セ検査筆記ニ付キ徴収スヘキ費用ハ船主ノ負担ニ帰スルモノトス独逸国内総テノ船員官署ニ於テ徴収スヘキ費用額ヲ同一ニ確定スルノ規定ハ之ヲ独逸集議院ニ任カス 此規定ヲ設ルニ至ルマテ費用額ニ付テノ規定ハ各邦政府規則ヲ以テ之ヲ定ルモノトス 第三節 契約ノ関係 第二十四条 給料契約ノ効力ハ文書ノ有無ニ関係ナキモノトス 第二十五条 給料契約ヲ取結フノ際給料ノ額ニ付キ明言シテ契約セサル場合ニ於テ疑シキトキハ其船員就職検査ヲ受ル港ノ船員官署ニ於テ就職検査ノ時其地ノ慣例トシテ言渡ス給料ヲ契約シタルモノト看做スモノトス 第二十六条 船員以前取結ヒタル契約ニ依リ雇入レラレタル期限間ニ於テ更ニ雇入レラルヽトキハ最初取結ヒタル契約ノ履行ニ付テノ請求先行スルモノトス 但就職検査ヲ前ノ契約ニ依テ受ケタルコトナクシテ後ノ契約ニ依リ受ケタルトキハ後ノ契約先行スルモノトス 第二十七条 船員検査簿公製ノ後雇入レラルヽ場合ニ於テ他ノ契約条款ナキトキハ其船員ニ対シ検査簿ノ旨趣ニ依リ他ノ船員ト取結ヒタル契約効力アルモノトス特ニ其船員ハ検査簿ニ依リ其同級ノ他ノ船員ノ受ルト同一ノ給料ニ限リ要求スルコトヲ得 第二十八条 船員其所持品ヲ以テ船舶ニ乗込ミ及船務ニ服スヘキノ義務ハ別段ノ契約ナキトキ就職検査ト共ニ始マルモノトス 船員就職ヲ二十四時間ヨリ長ク遅延スルトキ船長ハ雇入契約ヲ解クノ権アルモノトス但代人ノ為メ多額ノ費用ヲ要スルニ付キ及其他遅延ニ依リ生シタル損害ニ付テノ請求ハ之カ為メ変更ヲ受ルコトナシ 第二十九条 就職検査ヲ受ケタル後其職ニ就カス又ハ其職ヲ継続セサル船員ニ対シ船長ハ船員官署ニ依リ強テ其義務ヲ履行セシムルコトヲ得 船員ハ之ニ依テ生スル費用ヲ弁償スヘキモノトス 第三十条 船員ハ船務ニ関シテハ船長ノ命令ニ服従シ及何時タリトモ船舶及積荷ニ付キ負担セシメラレタル総テノ役務ヲ行フノ義務アルモノトス 船員ハ此義務ヲ船舶中及其端舟並ニ艀船陸上並ニ通常ノ状況及海難ノトキ尽スヘキモノトス 船員ハ罷職検査ヲ受ルニ至ルマテハ船長ノ許可ナクシテ船舶ヲ離ルヽコトヲ許サス船員ニ此許可ヲ与ヘタルトキ船員ハ確定セラレタル時ニ帰船シ此時ヲ確定セラレサルトキハ午後第八時前ニ帰船スヘキモノトス 第三十一条 船舶港内ニ碇泊スル間ハ船員ハ已ムヲ得サル場合ニアラサレハ十時ヨリ長ク日々労働スルノ義務ナキモノトス 第三十二条 海難特ニ船舶難破セントスルノ際並ニ船舶又ハ積荷ニ対スル暴行又ハ攻撃ノ際船員ハ船舶及積荷ヲ維持スル為メ命セラレタル総テノ保助ヲ必スナスヘキモノトス及船長船舶ニ在留スル間ハ船長ノ許可ナクシテ船舶ヲ離ルヽコトヲ許サス 船員ハ船舶難破ノ際人及其所持品ノ救助ノ為メ並ニ船舶ノ部分、器具及積荷ノ保全ノ為メ船長ノ命令ニ従ヒ及フヘキ丈ケノ力ヲ尽シ及救護ノ際給料及給養ヲ受ケテ助力ヲナスノ義務アルモノトス 第三十三条 船員ハ求メニ依リ海難具状ニ参加シ及其陳述ヲ宣誓ヲ以テ確カムルノ義務アルモノトス 船員ハ船舶ノ喪失ニ依リ給料契約ノ終リタル(第五十六条)トキト雖旅費及時日空過ニ付テノ費用ノ生スル場合ニ於テハ其支払ヲ受ケテ前項ノ義務ヲ尽スヘキモノトス 第三十四条 航海ヲ始メタル後船員其雇入レラレタル職務ニ堪ヘサルコトヲ発見スルトキ船長ハ舵取ヲ除クノ外船員ノ等級ヲ降シ其給料ヲ割合ニ応シテ減スルノ権アルモノトス 船長此権ヲ使用スルトキハ其命令ヲ成ルヘク速ニ関係者ニ言渡シ又船舶日記ニ其言渡ヲナシタル旨及時ヲ登記スヘキモノトス其言渡及登記前ニハ給料ノ減額ハ之ヲ実行セサルモノトス 第三十五条 給料ハ別段ノ契約ナキ場合ニ於テハ就職検査ノ時ヨリ之ヲ支払フヘキモノトス 第三十六条 給料ハ別段ノ契約ナキトキニ限リ船員ニ航海ノ終リタル後始メテ之ヲ支払ヒ又ハ其他航海ノ終ル前職務上関係ノ終ルトキハ其際之ヲ支払フヘキモノトス 但船員ハ中間航海ノ場合ニ於テハ就職検査ヲ受ケタル以来既ニ六月ヲ経過シタルトキニ限リ船舶全部又ハ過半部ノ荷卸ヲナス最初ノ港ニ於テ之マテ受取ルヘキ給料(第六十七条)ノ半額ノ払渡ヲ求ルコトヲ得又同一ノ手続ニ於テ船員ハ最初払渡ヲ受ケタル後次キノ六月ノ経過スル毎ニ前払渡ヲ受ケタル以来受取ルヘキ給料ノ半額ノ払渡ヲ更ニ要求スルノ権アルモノトス 第三十七条 航海ヲ始ル前給料ノ前払ヲナシ又ハ手付金ヲ支払フヘキヤ及其程度ハ契約ナキ場合ニ於テハ船員就職検査ヲ受ル港ノ慣例ニ依テ定マルモノトス 第三十八条 船員ニナス総テノ支払ハ別段ノ契約ナキトキハ其撰ヒニ従ヒ現金又ハ船主ニ振リ出シタル一覧直払差図切手ヲ以テナスヘキモノトス 第三十九条 船長ハ航海ヲ始ル前差引計算簿ヲ作ルヘキモノトス其計算簿ニハ給料ニ対シテナシタル総テノ前払及内払並ニ手付金ヲ与ヘタルトキハ其手付金ヲ登記スヘキモノトス其差引計算簿ニハ船員ニ於テ各個ノ支払ヲ受取リタルコトニ付テノ証ヲ記スヘキモノトス船長ハ各船員ニ其求メニ依リ尚ホ別段ノ給料帳ヲ交付シ及其所持人ノ給料ニ対シナシタル各個ノ支払ヲ之ニモ亦登記スヘキモノトス 第四十条 船員ノ数、航海中ニ減少シ再ヒ之ヲ補ハサルトキ別段ノ契約ナキ場合ニ於テハ之ニ依テ余リタル給料額ヲ現在ノ船員ニ其給料ノ割合ニ応シテ之ヲ分配スヘキモノトス但其分配ニ付テノ請求ハ船員逃亡ニ依テ減少シ及逃亡シタル船員ノ所持品船舶ニ残留セサルトキハ之ヲナスコトヲ得ス 船員ノ数、航海中六分一ヨリ多ク減少スルトキ船長ハ現在船員ノ求メニ依リ状況ニ於テ補充ヲ許ス限リハ其現数ヲ補充スヘキモノトス 第四十一条 船舶二年ヨリ長ク外国ニ止ル総テノ場合ニ於テ別段ノ契約ナキトキハ二年以来職務ヲ奉スル船員ノ為メ其給料ヲ増加スルモノトス但其給料期限ヲ以テ契約シタルトキニ限ル 其増加ハ左ノ如ク定ルモノトス 第一 下等水夫ハ三年目ノ初ニ至リ検査簿ニ定メタル中等水夫ノ給料又ハ検査簿ニ依リ平均給額トスヘキ中等水夫ノ給料及四年目ノ初ニ至リ検査簿ニ定メタル上等水夫ノ給料ヲ受ルモノトス 第二 中等水夫ハ三年目ノ初ニ至リ検査簿ニ定メタル上等水夫ノ給及四年目ノ初ニ至リ其五分一ノ増給ヲ受ルモノトス 第三 其他ノ船員ニアリテハ検査簿ニ定メタル給料ハ三年目ノ初ニ至リ其五分一及四年目ノ初ニ至リ其原額ノ更ニ五分一ヲ増加スルモノトス 第二ノ場合ニ於テハ中等水夫ハ三年目ノ初ニ至リ上等水夫ノ等級ニ進ムモノトス 第四十二条 独逸商法第八百六十六条及第八百六十七条ニ従ヒ失踪ト看做スヘキ船舶ニ乗込ミタル船長及船員ニ属スル人ノ職務契約及給料契約ヨリ生スル要求権ハ失踪期限ノ経過ト共ニ消滅スルモノトス此場合ニ於テ職務上関係ハ船舶ニ付キ最後ノ報告ノ達スル日以後半月ヲ経テ終リタルモノト看做ス 要求ノ額ハ之ヲ船籍港ノ船員官署ニ交付スヘキモノトス其官署ハ受領権利者ニ交付スルノ紹介ヲナスヘキモノトス 第四十三条 船員ハ就職ノ時ヨリ船舶ノ計算ヲ以テ賄ヲ受ルモノトス船員ハ受取リタル食料及飲料ヲ自己ノ需用ニ限リ消費スルコトヲ許スモノトス一モ之ヲ売譲シ浪費シ又ハ其他隠蔽スルコトヲ許サス 第四十四条 船員ハ船舶ノ内ニ於テハ其員数及船舶ノ大小ニ応シ自己及其所持品ノ為メニノミ供シタル堅固ニシテ充分ニ空気ノ流通スル寝室ヲ請求スルノ権アルモノトス 遭難又ハ其他ノ理由ニ依リ一時船舶内ニ於テ寝室ヲ与ルコト能ハサルトキハ他所ニ於テ相当ナル寝室ヲ与フヘキモノトス 第四十五条 船員ニ日々缺クヘカラサル食料及飲料(第四十三条)寝室ノ大小及搆造(第四十四条)及少ナクモ備ヘ置クヘキ薬品ハ疑シキ場合ニ於テハ船籍港ノ法律ニ従テ定マルモノトス 其細則ハ各邦政府規則ヲ以テ之ヲ発スルコトヲ得 第四十六条 船長ハ航海ノ時間非常ニ長キトキ又ハ遭難ノ為メ食料及飲料ニ付キ分量ヲ減少シ又ハ其種類ヲ変更セシムルノ権アルモノトス 船長ハ船舶日記ニ其減少又ハ変更ノ時、理由及方法ヲ記入スヘキモノトス 其記入ヲ怠リタルトキ又ハ船長ノ発シタル命令ヲ不当ナリトシ又ハ其過失ニ出テタリトシテ証明セラレタルトキ船員ハ其忍ヒタル不足ニ応スル賠償ヲ請求スルコトヲ得此請求ニ付テハ罷職検査ヲナス船員官署之ヲ裁決ス但之カ為メ司法裁判ヲ請フノ妨ケトナラサルモノトス 第四十七条 士官一名又ハ船員三名以上其就職検査ヲ受ケタル船舶航海ニ堪ヘサルコト又ハ船舶船員需用ノ食料及飲料ヲ備ヘ置ク貯蔵品ノ不足シ又ハ損敗シタルコトニ付キ船員官署ニ故障ヲ申立ルトキ船員官署ハ船舶又ハ貯蔵品ノ検査ヲナシ及其結果ヲ船舶日記ニ登記スヘキモノトス又其官署ハ故障理由アリト証明セラルヽ場合ニ於テハ其弊害ヲ除クニ適切ナル処分ヲナスヘキモノトス 第四十八条 船員就職後疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ル場合ニ於テ船主ハ左ノ給養及療養ノ費用ヲ負担スルモノトス 第一 船員疾病又ハ傷痍ノ為メ航海ヲ始メサルトキハ疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケタル以来三月ノ経過スルマテ 第二 船員航海ヲ始メ及船舶ト共ニ独逸港ニ帰着シタルトキハ船舶ノ帰着以来三月ノ経過スルマテ 第三 船員航海ヲ始メ及船舶ト共ニ帰着スルモ船舶ノ帰航ヲ独逸港ニ於テ終ラサルトキハ船舶ノ帰着以来六月ノ経過スルマテ 第四 船員航海中陸ニ残シ置カルヘキトキハ船舶ノ其後ノ航海以来六月ノ経過スルマテ 船員船舶ノ発航シタル港ニ船舶ト共ニ帰着セサル場合ニ於テハ其港ヘノ無賃送戻(第六十五条第六十六条)又ハ船長ノ撰ヒニ依リ相当ノ報酬ヲ受ルコトヲ得 第四十九条 疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケタル船員ハ左ノ時間其給料ヲ受ルモノトス 船員航海ヲ始メサルトキハ其職務ヲ罷ルマテ 船員航海ヲ始メ船舶ト共ニ帰着スルトキハ帰航ノ終ルマテ 船員航海中陸ニ残シ置カルヘキトキハ船舶ヲ離ルル日マテ 船員船舶ヲ防禦スルノ際傷痍ヲ受ケタルトキハ其他相当ノ賞与ヲ請求スルノ権アルモノトス必要ナル場合ニ於テハ裁判官之ヲ定ムヘキモノトス 第五十条 許サレサル行為ニ依テ疾病又ハ傷痍ヲ受ケ又ハ黴毒ニ感染シタル船員ニハ第四十八条及第四十九条ヲ適用セサルモノトス 第五十一条 船員職務ニ就キタル後死去スルトキハ船主ハ其死去ノ日マテ受取ルヘキ給料(第六十七条)ヲ支払ヒ及埋葬費ヲ担当スヘキモノトス 船員船舶防禦ノ際死去スルトキハ船主ハ其他相当ノ賞与ヲ支払フヘキモノトス必要ナル場合ニ於テハ裁判官之ヲ定ルモノトス 第五十二条 船員職務ニ就キタル後ニ於ケル船員ノ各死去ニ付テハ船長ハ二名ノ士官又ハ他ノ信認スヘキ人ノ立会ヲ以テ証書ヲ調製スヘキモノトス其証書ニハ死去ノ日時死者ノ氏名出生地又ハ住地及年齢並ニ死去ノ推測上ノ理由ヲ記載シ船長及立会ヒタル証人署名スヘキモノトス 死去シタル船員ノ遺留物船舶ニ存スルトキニ限リ船長ハ其遺留物ノ目録ヲ作リ及保管ヲナシ已ムヲ得サル場合ニ於テハ其売却ヲナスヘキモノトス其目録ハ二名ノ士官又ハ他ノ信認スヘキ人ノ立会ヲ以テ之ヲ調製スヘキモノトス 遺留物件又ハ其売得金アルトキハ売得金並ニ給料ノ受取残金アルトキハ其残金ハ前項ニ記載シタル目録及死去ニ付テノ証書ト共ニ最初ニナスコトヲ得ル船員官署ニ之ヲ引渡スヘキモノトス外国ニ於テ船員官署特別ノ理由ニ依リ遺留物件ノ受取リヲ拒ムトキハ船長其後初メテナスコトヲ得ル船員官署ニ之ヲ引渡スヘキモノトス 戸籍簿ノ登記ニ関スル各邦法律ノ規定ハ第一項及第三項ノ規定ノ為メ変更ヲ受ルコトナシ 第五十三条 船長航海中死去スルトキ舵取ハ前条ノ規定(第五十二条)ニ従ヒ死去ニ付テノ証書ノ調製及遺留物件ニ付キ処置スルノ義務アルモノトス 第五十四条 船員ハ中間航海ヲナストキハ之ヲ併セ全航海中帰航ノ終ルマテ其職ニ留マルヘキモノトス但給料契約ニ別段ノ定メアルトキハ此限ニアラス 前項ニ謂ヘル帰航ハ船舶其発航ヲ始メタル港ヘノ航海ナリトス但其船舶欧州外又ハ黒海又ハ「アツオウ」海ノ港ヨリ来リ其発航ヲ独逸港ヨリ始ル場合ニ於テハ左ニ掲ル各個ノ航海モ亦船長遅クトモ到着後直ニ船員ニ対シ航海ヲ終リタリト言渡ストキハ之ヲ帰航ト看做ス 第一 他ノ独逸各港ヘノ航海 第二 独逸外ナル北海ノ港又ハ海峡又ハ大不列巓ノ港ヘノ航海 第三 船舶発航ヲ東海ノ港ヨリ始メタルトキニ限リ亦独逸外ナル東海ノ港又ハ「ズレド」又ハ「カッテガート」ノ港ヘノ航海 船舶其発航ヲ始メタル港ニ於テ帰航ヲ終ラサルトキ船員ハ発航シタル港ヘノ無賃送戻(第六十五条及六十六条)及航海中給料ヲ受取リ又ハ相当ノ報酬ヲ受ルノ請求ヲナスハ其適意ニ任カスモノトス 第五十五条 航海ヲ終リタル後船員ハ積荷ヲ卸シ船舶ヲ掃除シ及港又ハ其他ノ場所ニ固繋シ海難具状ヲ要スルトキハ之ヲナシタル後ニアラサレハ其解雇ヲ求ルコトヲ得ス 第五十六条 給料契約ハ事変ニ依リ船主其船舶ヲ失フトキ特ニ左ノ場合ニ於テ消滅スルモノトス 船舶難破スルトキ 船舶修復不能又ハ修復無益ト言渡サレ(独逸商法第四百四十四条)及其修復無益ノ場合ニ於テハ遅延ナク公売スルトキ 船舶掠奪セラルヽトキ 船舶押取セラレ又ハ留置セラレ及分取物トシテ言渡サルヽトキ 船員ハ此場合ニ於テハ受ルヘキ給料(第六十七条)ノミナラス船舶其発航ヲ始メタル港ヘノ無賃送戻(第六十五条第六十六条)ノ請求ヲナシ又ハ船長ノ撰ヒニ依リ相当ノ報酬ヲ受ルコトヲ得 第五十七条 船長ハ給料契約ニ定メタル場合ヲ除クノ外左ノ場合ニ於テハ職務期限ノ経過前船員ヲ解雇スルコトヲ得 第一 未タ航海ヲ始メサル間ハ船員其雇入レラレタル職務ニ適セサルトキ 第二 船員重大ナル職務上ノ罪特ニ数回ノ悖令又ハ毎次ノ抗命又ハ脱荷積込ノ罪アルトキ 第三 船員窃盗、詐欺破信受寄盗、隠私偽造、変造ノ犯罪又ハ刑法ニ依リ懲役ヲ以テ罰セラルヘキ行為ノ罪アルトキ 第四 船員黴毒ニ感染シタルトキ又ハ許サレサル行為ニ依リ服務不能トナルノ疾病又ハ傷痍ヲ受ルトキ 第五 戦争、鎖港又ハ封港ノ為メ又ハ輸出入禁令ノ為メ又ハ其他船舶又ハ積荷ニ関スル事変ノ為メニ船員雇入レラレシ航海ヲ始メ又ハ継続スルコト能ハサルトキ 解雇並ニ其理由ハナスヲ得ルトキ直ニ船員ニ之ヲ通知シ及第二第三第四ノ場合ニ於テハ船舶日記ニ登記スヘキモノトス 第五十八条 船員ハ第五十七条ノ第一ヨリ第四マテノ場合ニ於テハ受取ルヘキ給料(第六十七条)ノ外請求スルコトヲ得ス第五ノ場合ニ於テ船員ハ航海ヲ始メタル後解雇セラルヽトキハ受取ルヘキ給料ノミナラス亦船舶其発航ヲ始メタル港ヘノ無賃送戻(第六十五条第六十六条)ヲ請求シ又ハ船長ノ撰ヒニ依リ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得 第五十九条 一航海ノ為メニ雇入レラレタル船員ニシテ第五十七条ニ掲ケタルヨリ他ノ理由ニ依リ給料契約ノ経過前解雇セラルヽ者ハ其受取リタル手付金及前払金アルトキハ其金慣例額ヲ超ヘサルモノニ限リ損害賠償トシテ収置スルモノトス但其解雇ヲ航海ヲ始ル前ニナストキニ限ル 手付金及前払金ノ支払ヲ受ケサルトキ船員ハ損害賠償トシテ一月分ノ給料ヲ要求スヘキモノトス 解雇ヲ航海ヲ始メタル後初メテナストキ船員ハ船舶其発航ヲ始メタル港ヘノ無賃送戻(第六十五条第六十六条)又ハ船長ノ撰ヒニ依リ相当ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得又其船員ハ受取ルヘキ給料(第六十七条)ノ外欧州内ノ港(第七十条)ニ於テ解雇セラレタルト又ハ欧州外ノ港ニ於テ解雇セラレタルトニ応シ尚ホ二月分又ハ四月分ノ給料ヲ受ルモノトス但航海ヲ終リタル後ニ初メテ解雇セラレタルトキ受取ルヘキ額ヲ超ルコトヲ得ス 第六十条 前条末項ノ規定ヲ適用スル場合ニシテ船員独逸内ノ港ニ於テ航海ノ終リタル後解雇セラルヽトキ其受取ルヘキ給料ノ外其船員ニ属スル給料ヲ定ルニハ左ニ掲ル帆走船ノ航海ノ期限ヲ準率トスルモノトス 第一 北海北緯六十一度以南及英領「カナール」ノ港ヨリ北海ノ港マテハ一月東海ノ港マテハ一月半 第二 東海及其近海ノ港ヨリ北海ノ港マテハ一月半東海ノ港マテハ一月 第三 欧州内英領「カナール」外「ジブラルタール」ノ海峡及「アツォール」海ニ至ル港並ニ北緯六十一度外ノ北海ノ港及北海外「ノールドカープ」ニ至ル港ヨリ北海ニ至ルマテハ一月半東海ノ港マテハ二月 第四 地中海黒海及「アツオウ」海ノ港ヨリ北海又ハ東海ノ港マテハ各二月 第五 欧州内「ノールドカープ」以東ノ港ヨリ北海又ハ東海ノ港マテハ各二月 第六 亜墨利加ノ東岸「クウェベツキ」ヨリ「リオ、デ、ジヤ子ロ」マテノ港ヨリ北海ノ港マテハ二月東海ノ港マテハ二月半 第七 「リオ、デ、ジヤ子ロ」以南「カープ、ホールン」マテノ港ヨリ北海ノ港マテハ二月半東海ノ港マテハ三月 第八 亜墨利加ノ西岸「カープ、ホールン」ヨリ「パナマ」マテノ港ヨリ北海ノ港マテハ三月半東海ノ港マテハ四月 第九 亜普利加ノ西岸赤道及「カナール」島「カープウエルト」島以北ノ港ヨリ北海ノ港マテハ二月東海ノ港マテハ二月半 第十 赤道以南喜望峰マテノ港ヨリ北海ノ港マテハ二月四分ノ一東海ノ港マテハ二月四分ノ三 第十一 喜望峰以東「カープコモリン」及紅海伯爾西亜湾以西ノ港ヨリ北海ノ港マテハ三月半東海ノ港マテハ四月 第十二 以上掲ケタルノ外他ノ港ヨリ北海又ハ東海ノ港マテハ各四月 第六十一条 船員左ノ場合ニ於テハ其解雇ヲ求ルコトヲ得 第一 船長船員ニ対シ負担スル義務ノ重キ背反特ニ暴行ヲ加ルノ罪又ハ故ナクシテ食料又ハ飲料ヲ給与セサルノ罪アルトキ 第二 船舶其国旗ヲ変更スルトキ 第三 発航ノ終リタル後中間航海ヲ決定シタルトキ又ハ中間航海ヲ終リタルトキ但其船舶欧州内ノ港(第七十条)ニ碇泊スルト又ハ欧州外ノ港ニ碇泊スルトニ応シ就職以来二月又ハ三月ヲ経過シタル後ニ限ル 船主又ハ船長ノ更迭ハ船員ニ解雇ヲ求ルノ権ヲ与ヘサルモノトス 第六十二条 第六十一条第三ノ場合ニ於テハ左ニ掲ル事由アルトキ解雇ヲ求ルコトヲ得ス 第一 船員前条第三ニ掲ケタルヨリ長キ期限ノ雇入契約ヲナシタルトキ但無定期限ノ契約又ハ発航ノ終リタル後更ニ決定スヘキ総テノ航海ニ付キ職務ヲ継続スヘキ一般ノ定メヲ以テスル雇入契約ハ前条第三ノ期限ヲ以テスル雇入契約ト看做サヽルモノトス 第二 帰航ヲ命シタルトキ 第六十三条 船員ハ第六十一条第一及第二ノ場合ニ於テハ第五十九条ノ場合ノ為メ定メタルト同一ノ請求権ヲ有スルモノトス第三ノ場合ニ於テハ受取ルヘキ給料(第六十七条)ノ外請求スルコトヲ得ス 第六十四条 外国ニ於テ自己ノ解雇ヲ求ル船員ハ国旗変更ノ場合ヲ除クノ外船員官署ノ許可(第百五条)ナクシテ其職務ヲ離ルヽコトヲ許サス 第六十五条 此法ノ規定ニ従ヒ無賃送戻ノ請求権ノ生シタルトキ其請求ハ亦航海中ノ賄ヲモ包含スルモノトス 第六十六条 労役ニ堪ル船員ニ対シ船員官署ノ許可ヲ得其船舶発航ヲ始メタル港又ハ之ニ近接スル港ヘ航海スル独逸商船ニ於テ前等級ニ応シ及相当ノ給料ヲ与ヘラルヘキ職務ニ就カシムルトキハ之ヲ無賃送戻ノ請求ニ応シタルモノト看做スモノトス但近接スル港マテノ無賃送戻ノ場合ニ於テハ船舶其発港ヲ始メタル港マテノ其後ノ無賃送戻(第六十五条)ニ代ヘ相当ノ報酬ヲ与フヘキモノトス 船員独逸人ニアラサルトキ其本籍ノ船舶ハ之ヲ独逸船舶ト同視スルモノトス 第六十七条 第三十六条第五十一条第五十六条第五十八条第五十九条及第六十三条ノ場合ニ於テ受取ルヘキ給料ハ期限ヲ定メスシテ全航海ニ付キ総額ヲ以テ約定シタルモノニ限リ尽シタル職務並ニ経過シタル航海ノ部分アルトキハ其部分ノ割合ニ応シ全給料額ヲ斟酌シテ之ヲ定ルモノトス第五十九条及第六十条ニ掲ケタル各月ノ給料ヲ算定スルニハ船舶ノ性質ヲ斟酌シ荷積及荷卸ノ時間ヲ併セ航海ノ平均時間ヲ準率トシ之ニ依テ各月ノ給料ヲ定ルモノトス 第六十八条 船主ハ職務及給料契約ヨリ生スル船長及船員ニ属スル人ノ要求ニ付キ船舶及運賃ニ止マラス無限責任ヲ負担スルモノトス 此規定ハ独逸商法第四百五十三条ニ代ルモノトス 第六十九条 船員ニ賞与トシテ帰シタル運賃又ハ利益ノ部分ハ之ヲ此法ニ謂ヘル給料ト看做サヽルモノトス 第七十条 第五十九条及第六十一条ノ場合ニ於テハ欧州外ナル地中海黒海及「アツオウ」海ノ港ハ之ヲ欧州内ノ港ト同一ニ看做スヘキモノトス 第七十一条 船長ハ船員官署ノ許可ナクシテ船員ヲ外国ニ残置クコトヲ許サス其残置ク場合ニアリテ船員ノ扶助ヲ要スルノ恐レアルトキ其許可ヲ与ルト否トハ船長扶助ニ充ル為メ三月以内ノ期限ヲ以テ保証ヲナスニ依テ定マルモノトス 第百三条ノ規定ハ本条ノ為メ変更ヲ受ルコトナキモノトス 第四節 懲戒規定 第七十二条 船員ハ船長ノ懲戒権ニ服従スルモノトス 其懲戒権ハ就職ヲ以テ始マリ解雇ヲ以テ消滅スルモノトス 第七十三条 船員ハ常ニ言行ヲ慎ミ及何人ニ対シテモ温良柔和ノ動作ヲ守ルノ義務アルモノトス 船員ハ船長及其他上官ニ対シ尊敬ヲ以テ接シ及其職務上ノ命令ニ必ス服従スヘキモノトス 第七十四条 船員ハ船長ニ対シ其求メニ依リ船務ニ関スル事件ニ付キ知了スルモノヲ誠実及完全ニ告知スヘキモノトス 第七十五条 船員ハ船長ノ許可ナクシテ荷物ヲ船舶ニ持込ミ又ハ持込マシムルコトヲ許サス此禁令ニ背キ持込ミタル自己又ハ他人ノ荷物ニ付キ船員ハ荷物引渡地ニ於テ其際同一ノ航海及荷物ニ付キ約定シタル最高運賃額ヲ償フヘキモノトス但之ヨリ大ナル損害ヲ証明シテ負担セシムル賠償義務ハ之カ為メ変更ヲ受ルコトナシ 船長ハ亦其荷物船舶又ハ積荷ヲ危険ナラシムルトキ其荷物ヲ投棄スルノ権アルモノトス 第七十六条 第七十五条ノ規定ハ船員船長ノ許可ナクシテ火酒又ハ其他ノ揮発性飲料又ハ旨趣トスル航海中其使用ニ要スルヨリ過量ノ煙草ヲ船舶ニ持込ミ又持込マシムルトキニモ亦之ヲ適用スルモノトス 此禁令ニ反シ持込ミタル揮発性飲料及煙草ハ船舶ニ没収スルモノトス 第七十七条 第七十五条及第七十六条ノ規定ニ従ヒ船長ノ発シタル命令ハナスコトヲ得ルトキ直ニ之ヲ船舶日記ニ登記スヘキモノトス 第七十八条 船長ハ船舶港ニ碇泊スルトキハ逃亡ヲ防ク為メ船員ノ所持品ヲ船舶ノ出航マテ保管スルノ権アルモノトス 第七十九条 船長ハ秩序ヲ維持シ及職務ノ整理ヲ確保スル為メ必要ナル総テノ処分ヲナスノ権アルモノトス之カ為メ船長ニハ罰トシテ慣例上職務ノ加重又ハ三日以内賄ヲ適宜減少セシムルコトヲ許スモノトス科料又ハ笞撻又ハ鎖錮ハ之ヲ罰トシテ加ルコトヲ許サス 船長ハ抵抗又ハ剛愎ノ場合ニ於テハ其命令ニ服従セシムル為メニ必要ナル総テノ方法ヲ用ルノ権アルモノトス其関係者ニ対シ適切ナル保安処分ヲナシ及已ムヲ得サル場合ニ於テ航海中其関係者ヲ束縛スルコトヲ許スモノトス 各船員ハ船長ニ対シ其求メニ依リ秩序ヲ維持シ並ニ抵抗ヲ防禦シ又ハ抑制スル為メ助力ヲナスヘキモノトス 外国ニ於テ船長ハ已ムヲ得サル場合ニアリテハ紀律ヲ維持スル為メ其ナスコトヲ得ル独逸軍艦ノ鑑長ニ其助力ヲ依頼スヘキモノトス 第八十条 第七十九条ノ規定ニ従ヒ船長ノナシタル各処分ハナスコトヲ得ルトキ直ニ事由ヲ併セ船舶日記ニ之ヲ登記スヘキモノトス 第五節 罰則 第八十一条 給料契約ヲ取結ヒタル後就職ヲ避ル為メ潜伏スル船員ハ二十「ターレル」以下ノ罰金ヲ以テ処刑セラルヽモノトス其糾罪ハ告訴アルトキニ限リ之ヲナスモノトス 船員職務ノ継続ヲ避ル為メ逃亡又ハ潜伏スルトキハ百「ターレル」以下ノ罰金又ハ三月以下ノ禁錮ニ処スルモノトス其糾罪ハ告訴アルトキニ限リ之ヲナスモノトス 担当シタル職務ヲ避ル為メ給料ヲ携テ逃亡シ又ハ潜伏スル船員ハ刑法第二百九十八条ニ於テ罰スヘキ一年以下ノ禁錮ニ処セラルヽモノトス 第八十二条 第八十一条第二項及第三項ノ場合ニ於テ船員船舶ノ出発前職務ヲ継続スル為メ任意ニ帰船セス及権制ヲ受ケテ帰船セサルトキハ之マテ受取ルヘキ給料ノ請求権ヲ失フモノトス給料及其不足スルトキニ限リ所持品ヲモ亦給料契約又ハ職務契約ヨリ生スル船主ノ損害要償ヲ充タス為メ之ヲ請求スルコトヲ得其給料ハ之カ為メ要セサルトキニ限リ第百七条ノ規定ニ従ヒ処分スルモノトス 第八十三条 船員第六十一条第一及第三ノ場合ニ於テ船員官署ノ許可ナクシテ(第六十四条)其職務ヲ離レタルトキハ一月ノ給料額以下ノ罰金ニ処スルモノトス 第八十四条 自己ノ職務上義務ノ重大ナル背反ノ罪アル船員ハ一月ノ給料額以下ノ罰金ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 此職務上義務ノ背反ト看做スモノハ特ニ左ニ掲ルモノナリトス 宿直ニ於ケル怠慢 長官ノ職務上命令ニ対スル悖戻 長官其他船員又ハ乗客ニ対スル不当ノ動作 許可ナクシテ船舶ヲ離レ又ハ確定シタル時限ヲ超テ帰船セサルコト 許可ナクシテ自己又ハ他人ノ物品ヲ船舶ヨリ持出シ及荷物又ハ其他ノ物品ヲ船舶ニ持込ミ又ハ持込マシムルコト 独断ヲ以テ他人ヲ船舶ニ乗込マシメ及他船ノ船舶ニ接スルコトヲ許スコト 船務ニ於ケル乱酔 飲食物ヲ浪費シ又ハ権利ナクシテ売譲シ又ハ隠蔽スルコト 士官ニ対シテハ其罰金ヲ二月ノ給料額マテ加重スルコトヲ得 給料期限ヲ定メスシテ約定シタルトキ其罰金ハ船員官署ノ見込ヲ以テ一月ノ給料ニ応スル金額ニ之ヲ定ルモノトス 其糾罪ハ告訴アルトキニ限リ之ヲナスモノトス其告訴ハ罷職検査マテハ之ヲナスコトヲ得 第八十五条 船長ハ職務上ノ義務ノ各背反(第八十四条)ヲナスコトヲ得ルトキ直ニ其事情ノ明細ヲ併セ船舶日記ニ登記スヘキモノトス及成ルヘク第八十四条ノ処罰ヲ明示シテ登記ノ旨趣ヲ船員ニ通告スヘキモノトス 其通告ヲナサヽルトキハ其理由ヲ船舶日記ニ登記スヘキモノトス其登記ヲナサヽルトキ糾罪ハ之ヲナサヽルモノトス 第八十六条 船長又ハ其他上官ノ発シタル数回ノ命令ニ対シ義務上ノ服従ヲ拒絶スル船員ハ三月以下ノ禁錮又ハ百「ターレル」以下ノ罰金ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 第八十七条 船員ニ属スル者二名以上契約シテ共同シ船長又ハ其他上官ニ対シ義務アル服従ヲ拒絶スルトキハ其各関係者ヲ一年以下ノ禁錮ニ処ス其巨魁ハ三年以下ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 減軽スヘキ情状アルトキハ二百「ターレル」以下ノ罰金ヲ言渡スコトヲ得 其巨魁ハ二年以下ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 第八十八条 第八十七条及第九十一条ニ従ヒ罰セラルヘキ行為ヲナサシムルカ為メ船員ニ属スル人ノ二名以上ヲ挑発スル船員ハ其挑発其罰セラルヘキ行為又ハ其罰セラルヘキ未遂犯罪ニ至ルノ結果ヲ生セシトキ教唆者ト等シク処刑セラルヘキモノトス 其挑発結果ナキトキ第八十七条ノ場合ニ於テハ百「ターレル」以下ノ罰金第九十一条ノ場合ニ於テハ二百「ターレル」以下ノ罰金又ハ一年以下ノ禁錮ニ処ス 第八十九条 暴力又ハ暴力ヲ施スヘキコトノ脅嚇又ハ職務ノ拒絶ヲ以テ船長又ハ其他上官ヲシテ其職務ヲ行ハシメ又ハ之ヲ止メシムルノ企図ヲナス船員ハ二年以下ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス減軽スヘキ情状アルトキハ二百「ターレル」以下ノ罰金ヲ言渡スコトヲ得 第九十条 船長又ハ其他上官ニ対シ暴力又ハ暴力ヲ施スヘキコトノ脅嚇ヲ以テ抗抵ヲナシ又ハ暴行ヲ以テ攻撃スルノ企図ヲナス船員ニモ亦同一ノ罰則(第八十九条)ヲ適用スルモノトス 第九十一条 船員二名以上契約シテ共同シ第八十九条及第九十条ニ記載シタル行為ノ一ヲナストキ其刑ハ最上限ノ二倍マテ之ヲ加重スルコトヲ得 巨魁並ニ船長又ハ其他上官ニ対シ暴行ヲナス者ハ五年以下ノ懲役又ハ同期限ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス亦警察監視ニ付セシムルノ言渡ヲナスコトヲ得減軽スヘキ情状アルトキハ三月以上ノ禁錮ニ処ス 第九十二条 第八十九条及第九十条ニ掲ケタル行為ノ防禦又ハ制止ニ関スル船長其他上官ノ命令ニ服従スルコトヲ拒ム船員ハ従犯トシテ処刑セラルヘキモノトス 第九十三条 船員左ノ場合ニ於テハ二十「ターレル」以下ノ罰金又ハ十四日以下ノ拘留ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 第一 航海簿ノ交付之ニナス登記又ハ検査ニ関スル審問ニ於テ船員官署ヲ誑惑スル為メ真実ノ事実ヲ変態シ又ハ掩蔽シ又ハ不実ノ事実ヲ示ストキ 第二 第十条ノ規定ニ従ヒ検査ニ出頭スルコトヲ怠ルトキ 第三 就職ノ妨ケトナル差支ノ場合ニ於テ第十五条ノ規定ニ従ヒ船員官署ニ其旨ヲ証明スルコトヲ怠ルトキ 刑法第二百七十一条ノ規定ハ本条第一ノ規定ノ為メ変更ヲ受ルコトナキモノトス 第九十四条 何人タリトモ真実ナラサルコトヲ知テ船舶ノ航海不能又ハ飲食物ノ缺乏ニ付キ不実ノ主張ニ憑拠スル故障ヲ船員官署ニ呈出シ及此主張ニ依テ審問ヲナスニ至ラシムル者ハ三月以下ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 何人タリトモ軽卒ヲ以テ船舶ノ航海不能又ハ飲食物ノ缺乏ニ付キ不実ノ主張ニ憑拠スル故障ヲ船員官署ニ呈出シ及此主張ニ依テ審問ヲナスニ至ラシムル者ハ百「ターレル」以下ノ罰金ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 第九十五条 此節ニ於テ又ハ刑法上規定ニ依テ処刑セラルヘキ刑ノ処決ハ犯人其責ニ帰セラレタル行為ニ依リ既ニ懲戒上罰セラレタルモ之カ為メ妨ケラルヽコトナキモノトス但其受ケタル懲罰ハ船員官署ノ処刑裁定(第百一条)並ニ裁判上処刑判決ニ於テ刑ヲ測定スルノ際斟酌スルコトヲ得 第九十六条 船員ニ対シ其懲戒権ヲ濫用スル船長又ハ其他上官ハ三百「ターレル」以下ノ罰金又ハ一年以下ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 第九十七条 船舶ニ相当ノ飲食物ヲ備フヘキノ義務ヲ故意ヲ以テ尽サヽル船長ハ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス之ト共ニ五百「ターレル」以下ノ罰金ニ処シ及公権ヲ剥奪スルコトヲ得 船長其義務ノ履行ヲ懈怠シテナサヽル場合ニ於テ之カ為メ船員ニ対シ其受クヘキ飲食物ヲ与ルコト能ハサルトキハ二百「ターレル」以下ノ罰金又ハ一年以下ノ禁錮ヲ言渡サルヘキモノトス 第九十八条 船員官署ノ許可ヲ受ルコトナクシテ船員ヲ外国ニ残シ置ク(第七十一条)船長ハ百「ターレル」以下ノ罰金又ハ拘留又ハ三月以下ノ禁錮ヲ以テ処刑セラルヽモノトス 第九十九条 船長左ノ場合ニ於テハ五十「ターレル」以下ノ罰金又ハ拘留ニ処セラルヽモノトス 第一 検査ニ付キ負担シタル義務ヲ尽サヽルトキ(第十条) 第二 検査又ハ航海簿ニナス登記ニ関スル審問ニ於テ船員官署ヲ誑惑スル為メ直実ノ事実ヲ変態シ又ハ掩蔽シ又ハ不実ノ事実ヲ示ストキ 第三 死亡ノ際規定上ノ証書ノ調製及引渡ヲナサス又ハ遺留物ニ付キ負担スル処分ヲナサヽルトキ(第五十二条及第五十三条) 第四 第七十七条及第八十条ニ規定シタル船舶日記ヘノ登記ヲナサヽルトキ 第五 軽罪及重罪ノ際第百二条及第百三条ニ従ヒ負担シタル義務ヲ尽サヽルトキ 第六 船員ニ対シ已ムヲ得サルノ理由ナクシテ船員官署ノ裁決ヲ求ルノ機会ヲ妨ルトキ(第百五条第百六条) 第七 船員ニ対シ故ナク飲食物ヲ給セサルトキ 第八 此規則並ニ飲食物及寝室ニ関スル規則ノ一本ヲ船員寝室ニ備ルノ義務ヲ怠リタルトキ(第百八条) 刑法第二百七十一条ノ規定ハ本条第二ノ規定ノ為メ変更ヲ受ルコトナキモノトス 第百条 第八十一条ヨリ第九十九条マテノ規定ハ罰セラルヘキ行為ヲ独逸領地外ニ於テナシタルトキニモ亦之ヲ適用スルモノトス 糾罪ノ期満免除ハ此場合ニ於テハ犯人所犯ノ時属セシ船舶ノ初テ船員官署ニ達スル日ヲ以テ始マルモノトス 第百一条 第八十一条第一項第八十四条第九十三条及第九十九条ノ場合ニ於テ其審問及裁決ハ船員官署之ヲナスモノトス船員官署ハ自己ノ責任ヲ以テ被罪者ヲ尋問シ及簡略ニ事実ヲ確定スヘキモノトス証人ノ宣誓ハ之ヲナスコトヲ許サス審問終結ノ後ハ理由ヲ備ヘタル裁定ヲナシ被罪者在席スル場合ニ於テハ之ヲ言渡シ在席セサル場合ニ於テハ公製書ヲ以テ之ヲ送致スヘキモノトス刑ヲ確定スルトキハ無資力ノ場合ノ為メ罰金ニ換ハルヘキ拘留ノ期限ヲ定ムヘキモノトス 其裁定ニ対シテハ被嫌疑者言渡又ハ送致ヲ受ケタル日ヨリ起算シ十日ノ期限内ニ裁判所ノ判決ヲ求ルノ申立ヲナスコトヲ得其申立ハ船員官署ニ口述シテ之ヲ筆記セシメ又ハ書面ヲ以テ之ヲナスヘキモノトス 船員官署其所在地ヲ外国ニ有スルトキハ其後ノ裁判手続ヲナス為メ船籍港所在地ノ裁判所管轄ヲ有シ其裁判所ナキトキハ処刑確定後船舶ノ初テ達スル独逸港ノアル地ノ裁判所管轄ヲ有スルモノトス 船員官署ノ裁定ハ罰金徴収ニ付テハ仮ニ之ヲ執行スルコトヲ得ルモノトス 第百二条 船舶海上又ハ外国ニアルトキ船員軽罪又ハ重罪ヲ犯ストキ船長ハ士官及其他ノ信認スヘキ人ノ立会ヲ以テ事実ノ証拠及処刑ニ関係ヲ有スルコトアル総テノモノヲ詳記スヘキモノトス特ニ殺害又ハ重大ノ身体傷害ノ場合ニ於テハ其傷痍ノ形状ヲ詳記シ亦被害者尚ホ生存セシトキハ其時間医薬ヲ施用シタルコトノ有無及医薬ノ種類並ニ被害者ノ用井タル飲食物ノ種類ヲ詳記スヘキモノトス 第百三条 船長ハ罰セラルヘキ行為ニ関与シタルノ嫌疑アル船員ノ所持品ヲ何時タリトモ捜索スル権アルモノトス 其他船長ハ重キ刑ヲ以テ罰セラルヘキ行為(第五十七条第三)ヲナシタル船員ヲ捕縛スルノ権アルモノトス犯人逃亡ノ恐レアルトキハ其義務アルモノトス 犯人ハ審問筆記ノ交付ト共ニ最初ニナスコトヲ得ル船員官署ニ之ヲ引渡スヘキモノトス外国ニ於テ船員官署別段ノ理由ニ依リ其引取ヲ拒ムトキハ船長ハ其後初テナスコトヲ得ル船員官署ニ引渡ヲナスヘキモノトス 船長ハ已ムヲ得サル場合ニアリテハ外国ニ於テ遅延ナク船員官署ニ達スルコト能ハサルトキ船籍港ノ管轄官署ニ送致ノ為メ犯人ヲ外国ノ官署ニ引渡スノ権アルモノトス船長ハ最初ニナスコトヲ得ル船員官署ニ其旨ヲ届出ツヘキモノトス 第六節 通則 第百四条 各船員官署ハ船長ト船員トノ間ニ於テ生シタル争ヲ知了スルトキ其和解ヲ試ルノ義務アルモノトス特ニ船員ノ罷職検査ヲナス船員官署ハ其争ニ付キ和解試ヲナスヘキモノトス 第百五条 船員ハ船長ニ対シ外国裁判所ニ出訴スルコトヲ許サス船員ハ此規定ニ違反スルトキハ之カ為メ生スル損害ニ付キ責任ヲ負担スルノミナラス又其時マテ受クヘキ給料ヲ失フモノトス 船員ハ延滞ヲ許サヽル場合ニ於テハ仮ニ船員官署ノ裁決ヲ求ルコトヲ得船長ハ已ムヲ得サルノ理由アルニアラサレハ其機会ヲ妨ルコトヲ許サス 其各方ハ船員官署ノ裁決ニ一時服従スヘキモノトス但其航海ヲ終リタル後管轄官署ニ其権利ヲ申立ルノ権ハ之カ為メ妨ケラレサルモノトス 船舶ノ権制売却ノ場合ニ於テハ職務契約又ハ給料契約ニ依テ生スル船員ノ要求ノ申立ニ付キ本条第一項ヲ適用スルコトヲ得ス 第百六条 内国ニ於テ就職検査ノ後船長ト船員トノ間ニ於テ就職又ハ続勤ニ付テ生スル争ハ船員官署司法裁判ヲ求ルノ権ヲ害スルコトナクシテ之ヲ裁決スルモノトス其裁決ハ仮ニ之ヲ執行スルコトヲ得 第百七条 本節ノ規定ニ依リ確定シタル罰金又ハ言渡シタル罰金ハ船員出納所ニ納マリ其出納所ナキトキハ犯人所犯ノ時属セシ船舶ノ船籍港所在地ノ貧民救助出納所ニ納マルモノトス但各邦ノ法律ヲ以テ之ニ類スル他ノ目的ヲ定ルトキハ此限ニアラス 第百八条 此規則並ニ飲食物及寝室ニ付キ船舶ノ為メ定メタル規定(第四十五条)ハ何時ニテモ船員ノ展閲ニ供スル為メ其一本ヲ船員寝室ニ備ヘ置クヘキモノトス 第百九条 各邦政府ハ規則ヲ以テ第五条ヨリ第二十三条マテ及第四十八条ヨリ第五十二条マテノ規定ヲ小舟(沿岸通行船等)ニ適用セサルコトヲ定ルヲ得 第百十条 此規則ハ千八百七十三年三月一日ヨリ其効力ヲ有スルモノトス 商法第五編第四章ハ同日ヨリ其効力ヲ失フモノトス 第百十一条 他ノ法律ニ於テ此規則ノ為メニ効力ヲ失ヒタル規定ヲ引用スル場合ニ於テハ此規則ノ之ニ相当スル規定ヲ以テ代ルモノトス