梅謙次郎文書「司法省指令/後見ニ関スルモノ」
参考原資料
- 梅謙次郎文書「司法省指令/後見ニ関スルモノ」 (目録第1部門7-42) , 1-14枚 [法政大学学術機関リポジトリ]
- 梅謙次郎文書「司法省指令/後見ニ関スルモノ」 (目録第1部門7-41) , 1-16枚 [法政大学学術機関リポジトリ]
司法省指令
後見ニ関スルモノ
十九年
四月二十七日 東京府伺ニ對スル指令
親族ノ恊議ヲ経タル以上ハ甲者ハ乙者ノ後見人トシテ乙者所有ノ地所建物賣讓渡主トナリ又丙者ノ後見人トシテ該地所建物ノ買讓受主トナルコトヲ得ヘシ
賣買讓渡證文ノ公證ヲ拒絶スルコトヲ得ス
四月二十九日 山形縣
先代戸主タル尊族親身代限ノ處分ヲ受ケ未タ返償ヲ終ヘサルトキ隠居シ其跡ヲ相續シタル後戸主㓜少ニ付其隠居後見致候義ハ不若様認候得共戸主ニアラサル尊族ニテ身代限リノ處分ヲ受ケ未タ弁償ヲ終ヘサル中後見致候義モ不若候ヤ
前條不若義ニ候ハ■甲家ノ戸主身代限リノ處分ヲ受ケ弁償未濟中乙家卑㓜ノ後見致候義モ不若候ヤ
伺ノ趣両條トモ親族恊議ニテ撰定スル上ハ後見為致不若
十月六日 静岡
追テ法律制定マテ後見人ノ名印ノミヲ以テスルモ又ハ㓜戸主連署スルモ其地方ノ慣習ニ依リ各自ノ適冝ニ任カスト雖モ㓜戸主ノ連署ハ効力ヲ有セサルモノトス
後見人ハ部理代人ハ親族恊議ヲ為サスシテ委任スルコトヲ得總理代人ハ親族恊議ノ上タリトモ委任スルコトヲ得ス
十月八日 兵庫
後見人ノ選定ハ内外親戚ノ恊議ヲ要ス其恊議ニ至ラサルモノハ裁判所ノ處分ヲ求メシムル儀ト心得ヘシ
十一月十九日 山形
後見人撰定ノ儀假令親族恊議二名以上ノ連署ヲ以テ届出ツルモ㓜戸主ノ尊族連署ナキモノハ戸長ニ於テ受理セサルモノト心得ヘシ従前受理シタル届書ハ却下セシムルニ及ハス若シ尊族親又ハ親族䓁ヨリ不當ノ届ナルコトヲ申出タルトキハ裁判所ノ處分ニ任カスヘキモノトス
従前受理シタル届書ハ却下セシムルニ及ハサルニ付此ノ如キ後見人カ為シタル調印ハ有效トシ公證ニ関スル調印アリトモ之ヲ引直サシムルニ及ハス
止ムヲ得サル事由アリ恊議ヲ遂ケ難キ塲合ヲ除クノ外假令親族ハ多数ナルカ又ハ遠隔ナルモ被後見人ノ利益ニ関スル親族ハ總テ恊議ヲ要スヘキモノトス親族ノ恊議調ハサル塲合ハ裁判所ノ處分ニ委スル義ト心得ヘシ
父又ハ祖父ハ㓜戸主ノ後見人トナルニハ親族ノ恊議ヲ要セス毋又ハ祖毋ニ於テハ親族恊議ノ上連署届出サスヘシ
十二月一日 愛知
御省御達ニ基キ不動産賣買讓渡質入書入䓁ノ證書又ハ願書ニハ親族連署ノ上ニアラサレハ戸長ニ於テ其公證ヲ與ヘサル儀ニ有之候處動産中ト雖モ無記名公債證書(記名公債證書ハ不動産ニ凖スル旨滋賀縣ヘ御指令アリ)又ハ株券䓁徃々巨額ノモノアリ此ヲ後見人ノ一判ヲ以テ取計ヒ得ルハ不可ナルヲ以テ不動産ニ凖シ必ス親族連署致サセ其旨管内ニ令達シ尚他府縣ヘモ右ノ趣旨告示ノ儀照㑹致差支無之哉ノ伺ニ對シ㔫ノ指令ヲ與ヘタリ
伺之趣追テ法律制定迄従前ノ通心得ヘシ立案ノ理由ハ後見人職務権限ニ係ル事項ハ地方官ニ於テ令達告示䓁ヲ以テ定メ得ヘキモノニ非サルハ勿論動産ニ付後見人ノ取扱ニ制限ヲ立ツルハ立法上ノ問題ナルヲ以テ追テ民法制定迄ハ姑ク従来ノ通差置方可然ト言フニアリ
十二月十四日 愛知縣知事ヘ民事局長ヨリ囬荅
後見人ハ㓜者ノ代理ヲ爲スモノナルヲ以テ二人並立シテ事務ヲ行ハシムルトキハ處分権統一セス却テ齟齬扞格ノ患ヲ釀成スルノ恐アルヲ以テ御聞届難相成儀ト存候
十二月二十二日 冨山
親族無之乎或ハ有之モ未丁年者ナルトキハ其町村戸長ヲシテ適冝後見人ヲ撰定セシメテ可ナリ而シテ㓜戸主所有ノ不動産賣讓渡書質入䓁ノ塲合ニ後見人ノミ署名セシ證書ニ對シ戸長ニ於テ公證付與致シテ可ナリ
二十年
一月二十七日 山口
後見人二名以上ヲ撰定スルハ不相成義ト心得ヘシ
二月三日 静岡
後見人ハ其後見ヲ受クル㓜年者ト動産不動産ヲ不問相互ニ賣買ノ契約ヲ為スヲ得サルモノナクト雖モ既ニ賣渡シタル物品ヲ為引戾候義ハ裁判所ノ處分ヲ仰カシム可キ儀ト心得ヘシ
二月四日 静岡
後見人ト同居ノ子弟親族ニ限リ被後見者ト互ニ賣買讓與不相成義ト心得ヘシ
五月十二日 滋賀
㓜者ニ後見人ヲ附スル義ニ付テハ追テ法律制定迄従前ノ通
七月二十三日 東京
女戸主タル盲人ヲ後見人ト認メテ可然
九月七日 山梨
身代限リノ處分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終ヘサル者タリトモ親族恊議ニテ撰定スル上ハ後見人又ハ管財人トナルコトヲ得ル義ト心得ヘシ
九月九日 福島
㓜戸主ノ後見人ヲ撰定スルニ當リ親戚貧窮ニシテ相當ノ者無之又他人ヘ依頼スルモ承諾無之塲合ニ於テハ戸長ヲシテ適宜後見人ヲ撰定セシムルコトヲ得
伯叔毋及ヒ姉ハ後見人トナルコトヲ得サルモノトス
九月二十一日 東京府書記官ヘ民事局次長ヨリ囬荅
貸附金負債者㓜稚ナルヲ以テ本人父後見タリシ處此程該後見人発狂セリ右ハ既ニ其後見タルノ資格ヲ失ヒタル者ト看認メ更ニ後見人撰定セシムヘキ儀ト存候得共為念及御問合トノコトニ對シ御見込ノ通ト囬荅セリ
二十一年
一月十二日 山梨
平民ニシテ㓜少ノ者ヲ戸主トナシ家族ニ於テ補佐シ一定ノ後見人ヲ置クヲ欲セサルモノアリ右䓁ハ必スシモ之ヲ置カシムルニ及ハサル儀ニ候哉トノ伺ニ對シテノ指令
伺之趣不得止事故アルモノヽ外必ス後見人ヲ立テシムヘキト心得可シ
日無 東京(伺日附ハ四月廿一日)
戸主瘋癲病ニ罹リタルニ付其妻ヲ以テ後見人ト定ムル旨親族連署ノ上届出ノ者有之右ハ他ニ相當ノモノ無之塲合ニ於テハ其届出ヲ受理シ可然哉
伺之通
五月十六日 東京
身代限リノ處分ヲ受ケ又ハ身代限リノ處分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終ヘサル者ト雖モ親族恊議ノ上之ヲ後見人ト為サンコトヲ届出ツルニ於テハ聞届苦シカラス
十二月十一日 千葉縣書記官ヘ民事局長ヨリ囬荅
後見人ト同居ノ子弟親族ニ限リ被後見人ト互ニ賣買讓與質入書入䓁不相成義ト致思考候
二十二年
四月四日 愛知
親戚䓁ハ固辞スル塲合ハ戸長ヲシテ適冝後見人ヲ撰定セシメ尚其撰定ニ應スル者無之トキハ更ニ事情ヲ具シ伺出ツヘシ
四月三十日 静岡
戸主㓜少ニ付同人寡獨ノ毋ヘ入夫ヲ迎ヘ後見人ト致願出候ニ付聞届可然哉
㓜戸主ヘ入夫ヲ迎ヘ願ノ件ハ事情不得巳モノニ付聼許若シカラス
五月二十八日 静岡
戸主ノ毋ヘ入夫ヲ貰受ケ度旨願出候右ハ後見ノ為メ入籍セシムルモノニシテ事情不得止モノト認メ候間聼許致可然哉ニ對シ入夫願之件聼許若シカラス
仝月 静岡
戸主ノ毋ヘ後夫ヲ迎ヘ後見為致義願出ノ趣キ寡婦ヘ入夫ノ儀聼許シ不若
六月六日 愛知縣知事ヘ民事局長ヨリ囬荅
十五歳以上二十歳以下ノ者ニテ家督ヲ為ス者ト雖モ親戚ノ評議見込アル者ニ限リ當初ヨリ後見人ヲ設ケサルモ可ナリ其事由ヲ戸長ニ届出サシムヘシ又其他同上ノ㓜年者ニシテ家督ヲ為シ後見人ヲ届出サルトキハ一應區戸長ニ於テ事實取糺シ必ス後見人ヲ撰定届出サシムヘキ乎御問合セノ趣凡テ御意見ノ通
日無 内務省ヨリ恊議(六月一日ノ日附ヲ以テ徳島縣知事ヨリ内務司法両大臣ヘノ伺ニ付キ)
継毋ヲ後見人ト為ス届ハ其儘受理シ親族中異議アルモノハ裁判處分ヲ受ケシムヘシ
九月二十七日 冨山
女戸主㓜年ナルヲ以テ一家族ニアル叔父後見人トナリシモ尚■家計上差支ノ亷アルヲ以テ該叔父(女戸主ノ後見人)ヲ女戸主ノ相續人ト為シ家名ヲ讓渡ノ儀親戚恊議ヲ以テ出願スルモ許可スヘキ限リニ無之ヤ
伺之通
十月二十三日 東京府知事ヘ民事局長ヨリ囬荅
實父又ハ實祖父ニ於テ後見人トナルトキハ親族ノ恊議ヲ要セス実毋又ハ実祖父毋継父毋ニ於テハ親族ノ恊議ヲ要スヘキ義ト致思考候
二十三年
二月十七日 京都
生毋タル父ノ妾ハ親族恊議ノ上ニアラサレハ後見人タルヲ得サルモノトス
生毋ヲ後見人ト為スニ付親族恊議整ハサルトキハ裁判所ノ處分ヲ受ケシムヘキモノトス
四月十七日 山口
㓜者ニ後見人ヲ付スル義ハ追テ法律制定迄従前ノ通
後見人カ㓜者ノ為メ不利益ナルコトヲ悟リタルトキハ最初之ヲ撰定セシ父毋又ハ親族ニ於テ之ヲ改選スルヲ得若前ノ後見人觧任ヲ肯セサルトキハ裁判所ノ處分ヲ仰カシムヘキモノトス
七月三十一日 岡山
被後見者所有ノ動産不動産ヲ被後見者亡父ノ遺言アリト唱ヘ遺書アリ確實ナリト認ムル塲合ニ於テ親族恊議相整候上ハ之ヲ後見人ニ賣渡シ讓與スル不若哉ノ件ハ親族ニ於テ遺言ヲ執行スルニ出テタルモノハ見込ノ通
九月十八日 山口
聾唖盲者ト雖モ人事ヲ弁知シ得サルモノヽ外ハ後見人ヲ置可カラサル義ト心得ヘシ
十二月二十七日 東京
後見人カ其後見ヲ為ス㓜者ヲ退カシメ若クハ其㓜者單身ナル塲合ニ於テ㓜者ヲ他ノ養子女ト為ス䓁ノ目的ヲ以テ其家ヲ廃スルカ如キハ假令親族ノ叶議ヲ以テスルモ不相成義ニ候哉ノ伺ニ對シ
伺之通
二十四年
一月二十七日 長崎縣知事ヘ民事局長ヨリ囬荅
身代限リノ處分ヲ受ケ未タ弁償ノ義ヲ終ヘサルモノニシテ㓜年戸主ノ後見人ト為ルコトヲ得ルヤ否ヤノ件右ハ御見觧ノ通親族恊議ノ上ト雖モ其成ラサル義ト思考ス
三月十六日 愛知縣知事ヘ民事局長ヨリ囬荅
㓜年戸主ノ毋後見ノ件右ハ親族恊議ノ上届出ルニ於テハ許可相成差支ナキ義ト思考ス
十月日無 東京
家族者ニ後見ヲ附スル義ハ公認スヘキモノニ非ス
指令月日無 伺日附ハ十一月十八日東京府知事ヨリ内務司法両大臣ヘ伺
後見人ニ於テ㓜者ノ家ヲ廃スル件ニ付テハ客年十二月二十七日(三十三ニアリ)付指令ノ次苐モ有之候處若シ其㓜者養子若クハ分家ノ戸主ニシテ一家維持難相成為メ實家ヘ退身セントスルモノ又ハ遺兒棄兒ニシテ立戸シタルモノ若クハ㓜年其他ノ戸主ニシテ資産ナク他ニ扶助スルモノアラス到底自活ノ目途相立タサルカ為メ廃戸ノ上縁組若クハ婚姻セントスルモノヽ如キハ事情已ムヲ得サルモノニ付キ特ニ廃戸ノ儀聼許シ不若哉ニ對シ
㓜者ノ家ヲ廃スル件客年十二月二十七日司法省指令苐二六九九号ノ通心得ヘシ
(修正伹書)伹事情已ムヲ得サルモノニ限リ親族恊議出願ノ上ハ聼許若シカラス
二十五年
一月日無 香川
女戸主ノ外毋ト祖毋ニ限リ親族恊議ノ上他家ノ後見人ト為ルヿヲ得ヘシ
一月日無 愛知縣知事代理書記官ヘ總務局長ヨリ囬荅
單身戸主ニシテ老衰精神痴鈍症ニ罹リシ者ニ後見人ヲ附スルノ件御見觧ノ通リ瘋癲白痴ノ無能力者ニ凖シテ後見人ヲ附スルモ差支ヘナキ義ト思考ス
三月日無 愛知縣知事ヘ總務局長ヨリ囬荅
丁年以上ノ戸主健亡症ニ罹リ後見人ヲ設クルヲ届出ツルモノアリ右ハ該病者ト雖モ能力アルモノハ後見人ヲ設定スヘキ限リニ無之被存候得共實際該病ノ為メ治産上䓁無餘儀差支アリ親戚連署醫師診断書相添届出ツルトキハ受理セシメ不若哉ニ對シ
御見觧ノ通
四月日無 嶋根縣知事ヘ總務局長ヨリ囬荅
毋祖毋後見人ト為ルハ夫ノ有無ヲ問ハサルヤノ件御問合セノ趣了承右ハ毋祖毋ハ其配偶者ノ有無ヲ問ハス子孫ノ後見人ト為ルヲ得ヘキ義ト思考ス
五月日無 東京
瘋癲白痴ナル戸主ニ其妻ヲ以テ後見人ト為スノハ差支ナキヤノ伺ニ對シ
伺之通
七月日無 東京
後見人自己ノ責任ヲ以テ他人ヲ財産管理人トスルハ格別更ニ財産管理人ヲ置クハ相成ラサル義ト心得ヘシ
十月日無 東京
後見人ヲ更攺スルニ際シ親族ノ恊議ヲ以テスル以上ハ前後見人ノ承諾ヲ得サルモ差支ナシ伹前後見人ニ於テ觧任ヲ肯セサルトキハ裁判處分ヲ仰カシムヘキモノトス
十一月日無 大阪
㓜戸主ノ毋カ其㓜者ノ後見人ト為ル手續ニ関シ明治十三年堺縣伺ニ對スル内務省指令ニハ親族ノ恊議ヲ要ストシ十八年
德嶋縣伺ニ對スル同省指令ニハ恊議ヲ要セストシ十九年山口縣伺ニ對スル司法省指令ニハ恊議ヲ要ストアリ何レノ御指令ニ據リ取扱可然哉ノ伺ニ對シ
山形縣伺ニ對スル十九年十一月十九日當省指令ノ通心得ヘシ(五ニアリ)
伹本件ハ當省主管ニ付指令ス 司法大臣
二十六年
別紙金澤地方裁判所撿事正上申ノ件ハ後見人ヲ撰定罷黜スル方法及其權限等ヲ規定スル法律ナキニ依リ種々弊害アルヲ以テ曩ニ和歌山地方裁判所撿事正上申ノ如ク民法實施マテ民法人事編第十章ニ規定スル後見人及後見監督人䓁ニ関スル部分ヲ急施セラルヽカ若クハ特別法ヲ以テ之カ匡濟方法ヲ制定アリタシト云フニ在リ
依テ之ヲ案スルニ後見人ノ權限及其監督䓁ニ関スル法律ナキヲ以テ往〻弊害アルニ付キ既ニ民法ノ制定アリ而シテ其實施ハ延期セラレタリト雖トモ他日修正ノ上急施ヲ要スル塲合ニ限リ實施セラルヘキ義ニ付キ今日後見人ニ関スル場合ノミ特別法ヲ以テ制定セサルモ差支ナカルヘシト思考ス
右供電覽(何人ヨリ供セシカヲ書セス)
五月日無 東京
家族中ノ伯母ヲ後見人トナスノ件ハ認許スヘカラサル義ト心得ヘシ
六月日無 東京
後見人ニ於テ被後見者ヲ養子ト為スノ件ハ親族恊議出願ノ上事情止ムヲ得サルモノニ限リ聽許若カラス
九月七日 香川
後見人ハ一人ニ限ル義ト心得ヘシ
九月日無 東京
後見ヲ要セサル㓜戸主廢家䓁ノ件ハ親族連署出願ヲ要スヘキ義ト心得ヘシ
二十七年
一月十七日 長﨑縣知事ヘ民刑局長ヨリ囬答
㓜戸主後見人ノ儀ハ其親戚ニ於テ撰定スヘキ當然ノ処村長ヨリ再三説ヲ加フルモ親戚ニ於テ撰定ヲ肯シセサルトキハ村長ヲシテ相當人物ヲ撰定セシメ可然哉トノ照㑹ニ對シ貴見ノ通リ
二月十六日 東京
丁年以上ノ戸主腦溢血症ニ罹リ事理ヲ辨明セサルヲ以テ後見人ヲ附セントスルモノアリ醫師ノ證明アルトキハ前例ニ準シ後見人ヲ承認シ可然哉ノ伺ニ對シ伺ノ通リ
四月日無 德島
後見解嘱ノ届出ナキモ戸主丁年ニ達シタル日ヲ以テ自然當初後見届出ノ効力ハ消滅シタルモノト見做後見ノ證明ヲ町村長ヨリ與フル限リニ無之義ト存候得共為念伺フトニ對シ伺ノ通リ
月日無 京都
二人以上ノ後見人ハ此際総テ一人ニ攺メシムヘシ即チ伺ノ通リ
親族連署ヲ以テ後見ヲ届出ツルトキハ後見人ノ諾否及攺撰ノ當否ヲ問ハス市町村長ハ有効ニ其届書ヲ受理スヘシ
二十八年
一月日無 和歌山
伯叔毋又ハ姉ハ後見人ト為ルコトヲ得ス
大審院判决例
裁判粹誌
貢巻
十四年 八月廿九日 言渡
親屬恊議ノ上正當ニ任シタル後見人ハ之ニ與ラサル尊屬親ニ於テ猥リニ其任ヲ解カシムルヲ得ス
後見撰任以後四年間其職ヲ行フニ一人ノ異議者ナキハ經久追認ノ證トスルニ足レリ
後見人カ親屬ニ謀ラス㓜者ノ不動産ヲ賣拂フタリト言フノミニテハ未タ其本分ヲ欠キタルモノト云フヲ得ス
十六年 三月三日 言渡
未丁年者契約ノ取消シ得ヘキヤ否ハ其事柄ニ就テ判断ス而テ其智能完全ノ所為ト認メ難キ者ハ之ヲ取消スヲ得
豫メ定マリタル後見人ナキ時其父若クハ毋ハ自カラ之ヲ後見スルノ任アルヲ以テ㓜者ノ所為ニ付訴權ヲ有ス
㓜者賣主ノ代價不相當ナル土地ノ賣買ハ適法ナラス後見ノ任アル者其取消ヲ求ル時ハ買主之ヲ拒ムヿヲ得ス
明治二十一年 十月三十一日 言渡
㓜者及後見人連印ノ約定書ハ其相續権ヲ奪フニ足ラス
後見人若クハ法律上代人ハ臨時㓜者ノ身体財産ヲ保護スルニ止マリ其相續権ヲ失却セシムル䖏分ヲナスヲ得ス
十五年 二月八日 言渡
本分家ノ関係ハ後見ノ義務ヲ生セス
㓜者カ為セル委任ハ無効ナリ
假令其後養子ヲ離別スルモ相續爭論中ハ尚養子ヲ戸主ナリトス後見権訴訟中ノ後見人ハ其権利ヲ實行スルヲ得ス
第一巻
十九年 十月二十二日
我國後見人ノ権利義務ニ付テハ制定法ナク慣習モ亦種族ニ従ヒ區々ノ慣行アリテ一定ノ看ルヘキモノナケレハ一ニ其事實ニ就テ判別セサルヘカラス
十九年 六月十九日
後見人ハ被後見人ノ財産䖏分ニ係ル收支計算諸帳簿調製ノ義務アリ後見人ノ任ヲ解ントスルニハ其人ノ認諾ヲ得サルヘカラス
第二巻
二十年 三月三十日
後見人ノ職務ハ被後見人ノ財産ヲ保護スルニアリ
後見人ハ被後見人ノ財産ヲ益スルカ又萬不得止ノ理由ナケレハ其債権ヲ抛棄スルヲ得ス
後見人カ被後見人ヘ送金シタリト云フノミニシテ其證ヲ舉示セサルハ後見事務取扱ノ不正實ナル一理由トナスニ足ル
二十年 三月三十日
㓜者ノ為メ後見人ノ為シタル契約ハ有効ナリ
㓜者自ラ為シタル契約ハ無効ナリ
第四巻
廿二年 五月廿二日
父ハ子ニ對シ自然ノ後見人ナリトスルハ通理ナルヲ以テ父カ後見人ノ名義ヲ以テ子ノ為メニ取引シタルハ濫用ニ出タルモノト云フヲ得ス
父ハ後見人トシテ特ニ公然ノ届出ヲ要セス
凡ソ訴訟ノ取引ニ関係シタルモノハ後見人ナルヤ否其爭ヲ判决セサルモノハ要㸃ヲ判セサルノ不法アル裁判ナリトス
廿二年 十一月六日
後見人ノ所為ハ不正ノ證據ナキ限リハ被後見人ニ對シ有効ナリトス
後見人ノ所為ヲ非認スルモノハ其無効ナル立證ヲ為スノ責任アリ
第五巻
廿三年 九月十四日
後見人ノ行為ト雖モ後見人カ無能力ナリトノ證明アルトキハ其行為ヲ無効ナリトスルヲ得
第六巻
廿四年 十二月十一日
吾國ニ於テ婦女ノ後見人タルヿヲ禁スル慣習ナシ
廿四年 十一月十一日
現時後見人ニ選任セラレタル者ハ必ス先ツ被後見人ノ財産目錄ヲ調製スルニアラサレハ其職務ヲ執行スルコト能ハストノ成規ナキモノトス
廿三年 十月二十日
人カ丁年以上ナルトキハ通常已ニ後見ヲ免レ自已ニ訴訟䏻力ヲ有スルモノナレハ特ニ後見ヲ要スヘキ正當ノ理由ナキ限リハ假令一家ノ都合ニ依リ親屬恊議上且村役塲ニ届濟ミ後見ヲ付シアルモ之ヲ以テ法律上後見人トシテ之ヲ認諾セサル第三者ニ對シ當然其効ヲ及ホスヲ得ス
廿四年 十二月八日
後見人ナキ未丁年者ハ必ス丁年者ト同シク權利義務ヲ行フヿヲ得ヘキモノト云フヲ得ス
我國ニ於テハ未丁年者ハ必ス後見人ヲ設ケサルヘカラサル制法アラス
第七巻
廿五年 一月廿二日
吾國ニ於テ平民ニ後見人ヲ置クノ規定ナキヲ以テ裁判官ハ㓜者智識ノ程度ト其家ノ事情トヲ審查シテ後見人ヲ設クルノ必要ナシトノ判决ヲ為シ得ヘシ
廿五年 二月八日
父ノ死亡後其子㓜年ナルトキハ遺跡相續又ハ後見人撰定等ノ塲合ニ母ノ承諾ヲ必要トス
第八巻上
廿六年 三月七日
公正證書ニヨリ指定セラレタル死後ノ後見人ハ法律上有効ナリトス
廿六年 三月廿一日
後見人ハ所謂法律上代理人ニシテ其權限ニ付未タ法律ノ規定ナキ限リハ㓜者ノ為メ貸借ヲ為スノ權アルモノト見サル可カラス
後見人カ為セシ貸借ノ果シテ㓜者ノ為メニ必要ナリシヤ否ハ㓜者ト後見人間ノ関係ニ於ケル責任如何ヲ判定スルノ憑據タルヘキモ債主ニ對シテハ㓜者ニ必要ナシトノ事實ヲ以テ對抗スルヲ得ス
第八巻下
廿六年 十二月十六日
人ハ丁年ニ達スルトキハ當然䏻力者トナリ従テ自ラ有効ノ権利行為ヲ為シ得ヘキコトハ普通ノ法則ナルヲ以テ㓜者ノ為メニ設ケタル後見ハ其㓜者丁年ニ達スルトキハ當然解除セラルヽモノナリトス
廿六年 七月六日
後見人トシテ届出アルモ無効ナリシ後見人ヨリ被後見人ノ所有地ヲ買取ルモ有効ナル賣買成立スルモノニ非ルヲ以テ其買得者ノ善意ナリシト否トニ関セス更ニ其買得者ヨリ善意ヲ以テ轉買シタルモノハ轉買地ノ追奪ヲ免レス
他家ヲ相續シタル子ノ父ハ其子ノ後見人ト為リタル時ニ於テ通常ノ後見人ト毫モ権限上ニ差異ナシ
被後見人所有ノ不動産ノ如キ貴重ナル財産ハ後見人恣ニ之ヲ䖏分スヘキ権利ナキヲ以テ必ス親族恊議ヲ経サルヘカラス之ヲ経スシテ後見人ノ為シタル一已ノ賣買ハ當然無効ニ屬スヘキコトハ裁判上已ニ公認セラレタル慣例ニシテ條理上モ亦當サニ然ルヘキ䖏ナリ
後見届ノ未タ取消サレサル間ニ其後見届ヲ信用シ後見人ト為シタル賣買ト雖モ其後ニ至リ後見人タル資格ナカリシモノト决定セラレタルトキハ其賣買ハ全然無効ニ帰ス
廿六年 十月六日
親族㑹ニ於テ撰定セラレタル後見人ハ其権利ヲ實行シ且㓜者ヲ保䕶スルニ當リ妨害ヲ受ケタルトキハ其妨害者ニ對シ妨害ヲ除去スル為メ起訴シ得ヘキハ勿論ナリ
廿六年 十月十六日
實母カ㓜者ノ財産管理人タリシ時虚偽ノ負债ヲ作リ為メニ㓜者ヲシテ身代限ヲ為サシメ㓜者ノ地所ヲ賣却シ又ハ虚偽ノ债権ヲ作リ他人ニ讓渡シタル䓁ノ事實アルヨリシテ更ニ後見人ヲ撰定セシヲ至當ト認メテ裁判シタルニ對シ普通ノ親権ヲ論シテ後見人ノ撰定ヲ非議スルコトヲ得ス
判例彙報(二十九年二月)
廿八年 六月十日
尊屬親ト雖モ後見人ノ職務執行ヲ妨礙スルコトヲ得ス
廿八年 六月十五日
親権ヲ有スルモノハ不當ナル後見人ノ職務實行ヲ隨意ニ拒絶スルコトヲ得ルモノトス
大審院藏版二十六年判決録
一月十八日
後見人ノ付シアル以上ハ被後見人タル未成年者ノ結ヒタル契約ハ無効ナリ
一月廿七日
㓜者ノ最近親族ハ㓜者ノ財産権上ニ関係ヲ有セサルモノト雖モ後見人ノ㓜者ニ對スル詐害行為ニ付テハ資格上之カ救濟ヲ求ムル詐権ヲ有スルモノトス
三月七日
公正ノ證書ヲ以テ證明シタル後見人ハ法律上有効ニ認ム可キモノナリ
十月六日
親族㑹ニ於テ選定サレタル後見人カ㓜者ヲ保護スルニ當リ妨害ヲ受クルヿアレハ妨害者ニ對シ妨害ヲ除去スルカ為メ起訴シ得ルハ論ヲ竢タス其資格ニ付爭ヒナケレハ裁判所ニ於テ職權ヲ以テ之ヲ調查スヘキモノニアラサレハ其資格ニ對シ不服ヲ唱フルヿヲ得ス
仝二十七年
九月二十日
未成年者ノ後見ハ未成年者カ成年ニ達スルト同時ニ終了シ後見人ハ其資格ナク隨テ被後見者ヲ代表スル所ノ訴訟䏻力ヲ有セサルヿ論ヲ俟タス
十二月十九日
父母ハ其子ノ後見人ヲ選定スルノ権アルヲ以テ母カ其女ノ後見人ヲ撰定スルニ當リ親族ノ恊議ヲ経サリシトテ直チニ之ヲ無効トスルヲ得ス而シテ後見人ハ他人ヲシテ平常ノ雜務ヲ代理セシムルヿヲ得
大審院判決録東京法學院発行
二十八年 九月十四日
後見制度ニ関スル法律未タ實施セラレサルニ由リ後見人カ被後見人ノ財産中ノ或ル一部ヲ管理セル者ト認ムルモ不法ニアラス
二十八年九月三十日
後見人ナキ㓜者ニ戸主タル祖父ト家族タル父アリテ共ニ同居スル場合ニハ其父ヲ以テ㓜者保護ノ自然代理人ト為スヘキモノニシテ戸主ヲ以テ該代理人ト為スノ慣例ナキモノトス