商法草按議事速記第九回
自第百五十三條至第百六十七條
明治二十年十二月廿一日午前第九時開議
（委員長）
初メマシヨウ
（本尾）
本會議ノ前二百四十四條ノ修正文ヲ修正委員ヨリ提出スル樣ニト云フコトテ御座イマシテ提出致シマシタカラ先キヘ願ヒマス
修正按
第百四十四條擔當ノ任アル社員及取締役ヲ除クノ外社員ハ自己ノ計算ニテモ第三者ノ計算ニテモ會社ノ商業區域內ニ屬スル取引ヲ爲シ又ハ之ニ參與スルコトヲ得
（松岡）
第三者ノコトヲ云ハナイテ自己ノ爲メニ出來レハ第三者ニハ尙更出來ナケレハナラン
（委員長）
「モ」ノ字カアルカラ惡ルイ、「ニテ」テ宜シイ
（村田）
「自己又ハ第三者ノ計算ニテ」トスレハ宜シイ
（松岡）
自己ノ爲メト云フト計算ト云フノハ可笑シイ、第三者テ始メテ計算ト云フコトカ云ヘルノタ
（本尾）
實ハ計算ト云フ字ニ餘程論カ御座イマシタ、計算ト云フ字ヲ削ツテ「自己ノ爲メ第三者ノ爲メ」トスレハ宜シウ御座イマス
（委員長）
「自己ノ計算又ハ第三者ノ計算ニテ」トシテハトウカ
（本尾）
宜シウ御座イマス
（淸岡）
矢張リ「ニテモ」ヲ入レタ方カ宜シイ「ニテ」ト云フト少シ限ツタ樣ニナル
本條「自己ノ計算ニテモ」ヲ「自己ノ計算又ハ」ト改メ「第三者ノ計算ニテモ」ヲ「第三者ノ計算ニテ」ト改ム
○第百五十三條朗讀
（議按入）
（本尾）
「少ナクモ」ハ「少ナクトモ」テ御座イマス
（尾崎）
提出スヘキ書類ハ
（本尾）
議按トカ又ハ通常會ナレハ成績報吿書ナトテ御座イマス
（西）
五十三條ハ「少ナクトモ」トナリマスカ五十二條ノ「モ」ハトウシマス
（本尾）
之モ既往ニ遡リマスカ御改メテ願ヒマス
（淸岡）
此書類ハ雙方カシテ居ラン樣テス
（本尾）
左樣テ御座イマシヨウ
（村田）
會社ニ依テハヤツテ居ル樣テス
（松岡）
尤モ總合ニ掛ケル事柄ハ僅力ノモノテス
（本尾）
次キノ條ニ御座イマス
（委員長）
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ「少ナクモ」ハ「少ナクトモ」ノ誤リニ付キ改ム
○第百五十四條朗讀ス
（議案入）
（鶴田）
之ハ原文ニアルカラ入レタノテシヨウ、「常ニ」ト云フ字ハ前ニアツタノヲ刪ツタ處カ又入レテ來タカ「常ニ」ハ刪ツテ宜シイ
（委員長）
「常ニ」ヲ刪ルト「直チ」トナツテ仕舞ウ
（本尾）
「常ニ」ト云フ字テ年々一度開クト云フ意味ヲ見セタノテス
（鶴田）
刪ツテモ差支ナカロウ
（松岡）
意味カラ云フト是非ナケレハナランカ日本文ニ直セハナクテモ宜シイ
（渡）
「常ニ」「直チニ」ト云フ字ハトウ云フ意味タロウ
（本尾）
年度ノ終リニ「直チニ」ト云フコトテ御座イマス
（委員長）
通常會ト云フ字カアレハ常ニハ入ラン樣ニナル
（鶴田）
日本文テハ「會ニ於テハ」トカ何トカ書カナケレハ跡ノ都合ハ惡ルイカ元老院ノ案ハ開キトアツタ
（松岡）
開キト云フノハ命令ノ意味カアルノテシヨウ「ハ」ノ字ハナイ方カ宜シイ
（本尾）
ナイ方カ宜シウ御座イマス
（鶴田）
終リ二人トスレハ宜シイ何處カ「ハ」ノ字ヲ付ケナケレハ可笑シイ
（委員長）
通常會ト云フ字カアレハ分ルカラ「常ニ」ト云フ字ハ刪ツテ良カロウ
（本尾）
差支アリマセン
本條ハ「常ニ」ノ二字ヲ刪除ス
○第百五十五條朗讀ス
（議案入）
（鶴田）
五十四條ト五十五條ト決ノ採リ方カ三通リアル通常總會ハ出席社員ノ多數、臨時會ハ總社員ノ過半數五十五條ノ前項ハ總社員ノ三分ノニトナル
（松岡）
成程人ノ壓制ヲ受ケル樣ニ退社スルノハ宜シイカ元々合資會社テ人ノ名前テ以テ居ルシ自分モ登記公吿カアツテ抵當ニモナツテ居ルシ不同意ノ人ハ隨意ニ脫ケル樣テハ實際影響ヲ及ホス樣ナコトモアロウ
（本尾）
百人ノ會社テ四分ノ三以上ノ多數ト云フト七十五人殘リマス跡ノ七十五人カ出ヨウト云フ其中多數テ決スレハ宜シイト云フモノモアリマシヨウ二十五人カ出テ仕舞ウト云フコトハ通常御座イマスマイ總社員ノ同意ヲ要スルト云ツテ一ニノ社員ノ不同意ノ爲メニ定款ヲ變更シナイ方カ宜シイカ四分ノ三テ決シテ不同意ノモノヲ退社サセタ方カ宜シイカ
（松岡）
總社員ノ大多數ヲ以テ來タノテアルカラ七十六人ニナルト多ク予モ二十四人ヨリナイ、其人ハ多數壓制ニ服從サセテ仕舞ツテハ一トウタロウカト思ヒマス大抵世間ノコトカ全會一致ヲ得ルコトハ難イコトテ、ソレタカラ過半數ニヨリソレヲ以テ切リ込ンテ四分ノ三以上トナレハ殆ント總數ニナルカラ四分ノ三以上トシタラ良カロウト思ヒママス
（鶴田）
此退社ハ六ケ月以前ヨリ豫吿スレハ出來ナイコトハナイ
（松岡）
コレハ直チニトナルソレハ壓制タ此處テハ云ハナイ方カ宜シイ豫吿スレハ格別此處ハ多數ノ本體ヲ弱メル樣ナ勢ニ當ルタロウト思フ
（委員長）
之ハ他國ノ商法ニモ斯ウ云フ例カアリマスカ
（本尾）
獨逸ニハアリマセン尤モ合資會社ノ組立カ全ク違ツテ居リマス之ハ英國テ御座イマス
（松岡）
或ハ少シク理論ニ過キハシナイカ多數テ決スルトキハ少數ノ人カ屈從シナケレハナラント云フコトハ政事テモ何ンテモ普通ノ規則タ
（本尾）
株式ナレハ實際多數テ決シテ參リマス、其多數ヲ不服ニ思ヘハ賣ツテ仕舞ツテ直クニ出ラレマスカ「ロエスレル」ハ合資會社ハ七人以上ナレハ株式會社ト同樣ニ思ツテ居リマス
（松岡）
人間ニ關係ハ持タン話タ私カ持分ヲ人ニ賣ルコトハ自由ニナツテ居ルカ私カ出シタ資本ヲ引込マシテ仕舞ウト人員ハカリ四分ノ三テヤツテ居ルカ金高ヲ多クシテ居ラン出資ノ人カ引込ムト社カ潰レルカ知レン
（本尾）
直チニ出ラレルト六ケ月丈ケテ第三者ニハ係ツタコトハナイ
（松岡）
第三者ハ同シテアルカ社ニ對シテハ「豫吿」ト「直チニ」トハ大變違ウ
（村田）
公吿ハ社員カ承諾ノナケレハ出來ンコトタロウ、ソレタカラ四分ノ三テヤル併シ社員ニ退社スル權利カアルト云フコトタカラ是レテ差支ナイ
（本尾）
反對ノ論ヲ申セハ若シ私カ無限社員テ這入ツテ他ノ有限社員ノ四分ノ三テ決シラレタトキハ私ハ大變迷惑テアリマスケレトモ矢張リ六ケ月ノ豫吿テ出ナケレハナラント云フト私ノ迷惑カ甚タシイ其處ニ至ルト是レカ宜シイ樣テ御座イマス
（西）
無限責任ノコトハ別ニアリマス若シ不同意ノトキニ苦ミカアリマスカラ
本條ハ原案ニ決ス
○第百五十六條朗讀ス
（議案入）
（本尾）
是レニハ報吿委員ノ修正カ御座イマス「要スル」ノ下ニ「多數ヲ得サルトキ又ハ」ト入レマス其理由ハ百五十五條テ決スルトキ過半數ノ人カ出ナイトキハ假リニ決議ヲシテ五十六條ノ手續ヲスルノカ原案ノ旨意テ御座イマス、處カ要スル人員カ出テ說カ三ツニモ四ツニモ分レテ四分ノ三ノ多數ヲ得ラレナイ場合カ御座イマス其場合ハトウスルカト云フ論カ出マスカラ是レニ「多數ヲ得サルトキ」ト云フ字ヲ入レマスト人カ出席シテ多數ヲ得ラレナイトキモ百五十六條ヲ適用セラルル樣ニナリマス
（松岡）
是レハ合名會社ノ例カラ云ヘハ人カ出タケレトモ總會ノ決議ヲ得ラレナイトキハ大キニ依ルト云フノテアリマスカ其處ニ歸ヘル
（本尾）
合名會社テハ七人以下テ御座イマス、七人共ニ無限責任テ御座イマス、一人テモ不同意ヲ云ヘハ契約ノ變更ハ出來ナイ、此場合テハ七人以上百人モ二百人モ御座イマス、處カ總會ヲ一度モニ度モ三度モヤツテ見マシタカ多數ヲ得ラレナイ、又人モ出ナイトキカアル、其トキハ決セスニ濟マセナケレハナラン、其場合ニハ幾分力ノ法ヲ以テ寬リヲ付ケナケレハナラン、然ルトキハ前ニ會議ヲ開イタ所カ是レ々々ノ人カ出ナイ或ハ多數カ得ラレナイカラ假リニ決議ヲシタ此度新タニ總會ヲ開イテ決スル積リタカラ皆サン御饒舌リナサイ默ツテ居レハ決シテ仕舞フソヨト云フノテ御座イマス、是レハ佛蘭西ニモ御座イマス
（松岡）
修正ノ多數ヲ得サルトキハト云フノハ酷イ結果ニナル社員カ出ナイトキハ云々ト云フノハ出ント云フノハ餘程物カ違ウ若シ要スル人員カ出テ來テモ四分ノ三ノ多數ヲ得サルトキハト云フト不同意ヲ表スル人カ出テ來テモニ度目ニハ多數ノトキハ有效トスルト云フ
（村田）
是レハ原案ノ方カ宜シイ
（渡）
六十人宛出テ六十人ノ中ノ多數テソレハ出席人員ノ多數テアルソレテモ多數決トナル
（松岡）
前項ノ儘テ云フト七十六人ノ處カ七十人ナリ六十人ナリ出ナイトキハ其多數テ決スルニ度目ニハ五十人ノ多數テ決スルト云フコトニナル
（本尾）
今度報吿委員テ云フ通リ多數ヲ得サルトキ又ハト云フト百五十五條ノ議カ出テ一ト纏メニナラントキハ定數ノ社員カ出席シナイトキト同シニ多數テ決スル
（松岡）
ソレハ甚タ酷イ裁判ナレハ是非トモ其物ヲ片付ケテ仕舞ハナケレハナランカ此會社ハ一ツノモノカ約束シテ固ツテ居ルノタカラソレヲ變更スルトキ一致セント云フノハ矢張リ元トノカ良イノタカラ
（渡）
其上ニ議論カ多岐ニ涉ツテ若シ四ツニナツタトキハ二十四五名ノ多數テ行ケレハ二十七八人テ決スル、ソウスルト三分ノ一テ決シナケレハナラン場合カアリマス
（本尾）
銘々勝手ナコトヲ云ヘハ百人ノ內二人ノ可ト云フトキニ決スル場合カ御座イマス
（淸岡）
修正ノ文字ヲ入レルト分ル原案テハ分ラン
（本尾）
原案ノ意味カ分ランケレハ一應申シマスカ、前條ニ揭ケタル出席セントキハト云フノハ四分ノ三テ決スルトキ七十六人出レハ無論出來マスカ、處カ出マセン百五十五條ノ一項テハ五十一人出レハ宜シイカソレカ出マセン、其假リニ決スルト云フノハ總會ニ爲シタル決スルト云フノテ總會ニ爲シタル決議ハト云フノテ假リニシテ置クト云フコトカ分リマス、ソレ丈ケノ字ヲ入レヨウト云フコトカアリマシタカ定數ノ社員カ出ナイトキハ必ラトス假リ決議ヲシナケレハナラン樣ニナル二三度モヤツテ出ナイトキ假リニ決議スルカ宜シイト云フ意味ヲ見セタイ爲メニ原案ノ儘テ置キマシタ
（南部）
ソレマテノ旨意カ見ヘルカネ、決議ヲシタト云フコトハ分リマシヨウカ決議ヲスルモノハ再ヒ招集スルカト云フコトヲ此ノ內テ見ルコトハ六ケ敷イ
（渡）
修正ハ加ヘナイ方カ宜シイ
（西）
加ヘナイ方カ宜シイ
（淸岡）
加ヘテ差支ナイ、四分ノ三ノ多數ハ得ラレナイカ、半數ハ得ラレルニ違ヒナイ
（渡）
若シ百人ノトキ說カ四ツニ分レレハ二十五人テ決スル樣ニナル
（淸岡）
兔ニ角ニヤルト云フコトテハナイ、後ノ總會ニ於テ認可シタトキハ前ノ四分ノ三ニ當ラン決議テモ有效トスルソヨト云フコトタ
（松岡）
ニ度目ニ出ナケレハ又三度目ヲヤルカラ大吉ノ出ルマテ御籤ヲ引クト云フ樣ニナル
（南部）
原案ノ儘カ宜シイ
（本尾）
多數ヲ得サルトキハト申スノハ決議ニヨル多數ヲ得サルトキハテ御座イマスカラ百五十五條ニ云ツテアルコトテ御座イマス
（松岡）
文章テハ只社員ノ出席カ不足ノトキハカリ見テ居ルカソレハイケナイ、四分ノ三カ出席シテモ四分ノ三ノ多數ヲ得サルトキハ其決議ヲ採ルト云フ法ハナイカラ四分ノ三ノ決議カ出來ナカツタトキハ又ヤリ何時迄モスル、ソウスルト四分ノ三ノ目的ヲ途ケルマテ一人殘ツテモ會議ヲスルカト云フノテ御座イマス
（淸岡）
四分ノ三ノ不同意ノ人カ多ケレハ元トノ儘テヤルホカニ仕方カナイ
（委員長）
多數ヲ得サルトキハニ度ヤルト云フコトハ五十五條ノ四分ノ三ヲ得ラレナイトキハト云フ意味テアロウ、ソレ限リテ止メテ仕舞ウカ五十六條ノ手續ヲスルカ
（淸岡）
會議ヲスルトキハニ度モ三度モヤツテ宜シイテアリマシヨウ
（委員長）
人ノ出ナイトキハ出來ル爲メナラハ五十五條テヤレル
（松岡）
五十五條ノ本旨ハニ度目ノ招集狀ヲ出シテモ出ナイニ度目ニ出シテモ行ク要用ハナイ
（鶴田）
只此處ニ淸岡サンカ仰シヤツタ定數ノ社員カ出席セサルトキ假リニ決議ヲスルト云フ原則カナクテ爲シタル決議トカ認可スルト云フ字テ其意ヲ見セテ置クト云フノハ分ラント云ヘハ私共ニモ分ラン
（委員長）
假リト云フ字ヲ書イテハ面白クナイノタロウ
（本尾）
假リニ決議ヲ爲スコトヲ得ルト云フ位ノコトヲ入レタイノテ御座イマスカ、トウモ入レラレマセン
（南部）
爲シタル決議アラハトシタラ良カロウ
（村田）
原案カ宜シイ
（渡）
決議ヲ之ヲト云フハ必ラス決議スルコトヲ强イタ樣テアルカラ、決議ヲ爲シタルコトアラハトスレハ弱クナツテ良カロウ
（本尾）
「爲シタルトキハ其決議ヲ總社員ニ」トシマスカ
（渡）
ソウテス
（淸岡）
是レハ直シテ貰ハント困ル
（委員長）
總會ニ於テ爲シタル決議アラハ之ヲ總社員ニ通知シ迄ヲ括孤ニスレハ分ル
（松岡）
其意味テハナイソウテス、必ラススヘシト云フノテハナイ
（委員長）
ソウテハナイ
（本尾）
決議ヲシマセントキハ本當ノ決議ヲ開イテモ宜シイ此條テ云ヒマスルノハ前ノ會ニ定數ノ社員カ出席致シマセントキハ假リニ決議ヲシテモ宜シイ、若シモ假リニ決議ヲスレハ再ヒ總會ヲ招集スヘシ
（委員長）
ソウスルト二ツノ意味ニナル
（本尾）
一ツテ御座イマス、假決議ヲスルカセンカ法律ハ問ヒマセン若シ假決議ヲシヨウト思ヘハスルカ宜シイ、決シテ百五十六條テ再ヒセヨトハ云ハナイニ度開イテモ異議ハナイ從前ノ決議ヲ遵奉シヨウト思ヘハソレマテテ御座イマスカ其事柄ハ是非ヤラナケレハナランカラ今一應開イテ見ヨウト思ヘハ又招集スルカ宜シイ、ソレモ法律テハ何トモ云ヘナイ、第二ノ場合テ此事柄ハ是非ヤリ負ハセナケレハナランカ、今日四分ノ三ノ社員カ來ナイカ假リニ決ヲ採ツテ見ヨウト思ツテ決ヲ採ツテ見レハ五十六條ヲ適用シテ社員ニ通知シテ再ヒ總會ヲスル其通知ニハ第一ノ總會ノ決議ヲ認可セヨト云フコトヲ通知セヨ
（委員長）
社員ノ出席モセス、多數モ得ントキハ五十五條テソウ云フ場合カアレハ止メテモ又ハモウ一遍開イテモ何トモ云ハナイ前ノトキ多數ヲ得ナカツタラ今一遍出テ來イト何遍ヤツテモ同シコトタ
（南部）
其ノトキハ日延ヲシテモ宜シイ
（委員長）
多數ヲ得ソトキハトウスルカ
（南部）
修正案テ多數ヲ得サルトキトアリマスカソレテ宜シクナイ
（委員長）
延ヘルコトハ出來マイ
（南部）
ソレハ出來マス
（岡村）
報吿委員カ憂ヘマシタノハ斯ウ云フ樣ナコトニ大キニ差支ヲ生シヨウト思ツテ修正ヲ加ヘマシタ臨時會テ取締人ヲ選擧スルコトヲ此法律テハ何分ノ一以上トアリマス、比較多數テハアリマセン、四分ノ一以上ノ多數テ決スルト云フ規定テ御座イマス、處カ人ヲ選ムニ（或ハソウ云フコトハアリマスマイケレトモ）我ハ彼レカ良イト云フト、到底ハラハラニナツテ望ノ人ハ入レス此法律ノ規定通リニ多數ヲ得ラレナイ場合カアリマス、其時ハ得ラレナイト云フコトニナツテ選擧ヲ止メテ仕舞ヒマス、ソウスルト到底事務ヲ執ル人ヲ決定スルコトカ出來ナイ、次會ニシヨウト云ツテ次會ヲ招集スル、其時定數ノ人カ揃ツタカ法律テ望ム四分ノ三ノ多數カ得ラレナイ、其時ハ法律カ元トノ人ヲ其儘置クカト云フニ法律カ其儘置クト云フコトハナイカラ事務擔當人ヲ置クコトニ差支ヘル其時ハ法律カ比較多數ヨリモ十人ナラ十人、二十人ナラ二十人ノ四分ノ三ノ多數ヲ得レハ宜シイカ若シ得ラレナイトキハ途ニ事務擔當人ヲ選フコトカ出來ナイ、其時ハ補缺法カナケレハ會社カ困ル、若シ議決前ナラ多數ヲ得ラレナイカラ元トノ通リニシテ置クコトカ出來マスカ今ノ處テハ置クコトカ出來マセンカラ其時ノ防キカナケレハナラン、其コトヲ百五十六條テ云フノテアル、此處テ二遍ヤツテモ多數ヲ得ラレナイ、比較多數テ決シマス、比較多數ナレハ得ラレナイコトハナイ決スルト云フ決議ヲ採ツテ而シテ後ニ第二ノ總會ヲ開イテ比較多數テヤルカラ決議カ採レル彌々仕方カナイトキハソウシナケレハナラント云フノテ百五十六條ノ法律ヲ起草委員カ立テラレタノテ御座イマス、其場合テアリマスカラ出席シナイトキハカリテアツテハ補缺カ採レルケレトモ此條ハ臨時會テモ總會テモ百五十六條ヲ引クノテ御座イマス、種種ノ會カアルトキ人員ハ揃ツタケレトモ四分ノ一トカ四分ノ三トカ比較テナイカラ殊ニ依ルト多數ノ得ラレナイトキカ御座イマス、其場合ニハ五十六條テ二次會ヲ開イテ出席員ノ多數ヲ以テ第一總會ノ決議ヲ認可スルト云フノカ卽チ比較多數テ決シサセヨウト思ツテ補充法カ必要テ御座イマス、假令出席シテモ今ノ法律カ定メタ處ノ四分ノ一トカ四分ノ三ト力ノ多數カ得ラレナイトキハ決スルコトハ出來ナイ
（南部）
百四十六條モ刪除ニナツタ況ンヤ百四十二條ノ二項ニ云々トアツテ、初メ業務擔當ノ社員ヲ置カントキハ業務擔當ノ社員カナクテ事カ足リテ行カナカツタ今日業務擔當人ヲ置クト云フ多數カ得ラレナイトキハ元トノ儘テ行クト云フコトニナリマシタ
（岡村）
株式ヘ行クト初メカラ何モナイモノテ御座イマスカラ
（南部）
ソレカ株式タロウ
（岡村）
之レハ株式會社ノ總會ノ處ヘ適用スルコトカ出テ居リマス
（南部）
其處ニ必要ナラ其處ヘ御出シナサイ
（本尾）
若シ其總會ニ於テ決議ヲ爲シタルトキハ總社員ニ通知トシテハトウテス、尙ホ報吿委員テ立案シテ提出致シマス
（委員長）
ソレテハソウシテ貰ヒマシヨウ
本案ハ報吿委員ニテ更ニ立案ノ上提出スルコトニ決ス
○第百五十七條朗讀ス
（議案入）
（渡）
之カ眼目タ
（松岡）
資本額ニ減少アル以上ハ分配ハ出來ンソトアルカ若シ減少カアルノニ分配シテ株主カ受取ツテ居ル其債權者カ出テ來テ現ハレタトキハ債權者カ出サレル權利カアルカナイカ
（本尾）
大元ノ「ロエスレル」ノ案テアリマス、處カソレヲ刪除シマシタ其理由ハ百十九條テ社員ノ債權者カ會社ノ財產カラ取リ出スコトノ出來ルモノカアル、取リ出スコトノ出來ルモノテナケレハ取リ出スコトハ出來ナイ社員ノ取リ出スコトノ出來ナイモノモ會社カラ取リ出スコトモ出來ルシ第三者カラハ無論取戾スコトカ出來ルト云フコトヲ起案者ニ話シタ處カ如何樣理窟ヲ推シテ見レハソウタカ入レテ貰イタイト云フコトテ御座イマス
（松岡）
百五十七條テ減少ノアルトキハ利益分配ハ出來ントアル然ルニ減少ノアルコトヲ承知シテ社員ニ利益ヲ配當スル然ルニ會社ニ對スル債權者カ出テ來テ資本カ減少シテ居ルノニ配當シテヤル、其時再ヒ吐キ出サナケレハナランカ、トウカソレハ「ロエスレル」ノ元トノ案ニ出テ居リマス、ソレテ此規則ト牴觸スル
（委員長）
此法律施行後ニソウ云フコトカアレハ書キ出サナケレハナラン、若シ此法律發行前ナレハ吐キ出サセル譯ニハイカン
（松岡）
施行カ出來タ後得スト云フノヲ株主カ知ラナイテ配當ヲ受ケテ居タ
（南部）
ソレハ分ツテ居ル
（淸岡）
株主カ知ランテ受取ツタトハ云ヘナイ見テカラ受取ツタモノト見ナケレハナラン
（南部）
此條カアル以上ハ無效タ
（委員長）
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
○第百五十八條朗讀ス
（議案入）
（松岡）
株式ハ株カ敷金ニナルト云フコトタロウ
本條ハ原案ニ決ス
○第百五十九條朗讀ス
（議案入）
（本尾）
之ハ民法ト牴觸シテ居リマス、其コトハ說明ニ申シテアリマス
（松岡）
斯ウナツテ見ルト「ボアソナード」ト「ロエスレル」ト申合セヲシナイト良クナイ
（本尾）
尤モ「ボアソナード」ノ民法中ニハ商法カナクテモ出來ル位ノ積リテヤツテ居ルノテアリマス
（淸岡）
若シ商業ニ關係セン農業抔テ那須野原ナトハ開墾者カ一株百圓カ五十圓テソレヲ年々拂ヒ込ンテ小作人ヲ雇ツテ頭取カアツテスル全ク農業一派ノコトヲヤツテ居リマス
（村田）
隨分商業テナクテヤルノモアリマス
（淸岡）
是レカラ開墾會社抔カ起ツテ來テ盡ク是レテヤツテ行クノト民事會社テアルノト違ウ
（委員長）
一向差支ハナイ
（松岡）
只「ロエスレル」ト「ボアソナード」ト相談シテヤツテ吳レレハ宜シイ
（委員長）
其レハ云ハンテモヤツテ吳レルテス
本條ハ民法ト牴觸ニ付未定
○第百六十條朗讀ス
（議案入）
（委員長）
七人ト云フノハ何處モ斯樣テスカ
（本尾）
之ハ英國ニ依リマシタ
（淸岡）
今ノ日本ノハトウナツテ居リマス
（本尾）
今日ハ人ノ制限ハ御座イマスマイ
（村田）
佛蘭西モ七人テス
（松岡）
政府ノ免許ヲ要スル譯ハ、トウ云フ譯カ
（本尾）
「ロエスレル」ノ大元ノ案ハ政府ノ免許ナシテアリマスカ其後ノ委員カ株式ハ政府ノ免許ヲ受ケナケレハ損害ヲ被ムルモノカ多イカラト云ツテ「ロエスレル」ニ話シマシタ處カ御尤モテアル私ノハ英國ノヲ元トニシテアルカ私共モ日本テヤツテ居ル通リノ經驗ヲ經テ居ルカラト云フノテ許可ヲ受ケテ參リマシタトウシテモナケレハナラン說テ御座イマス、其レニ反シテ初メニハナクテ宜シイ論テアリマス
（松岡）
鐵道ノ如キハ鐵道テ行カナケレハナラン吳服屋ヲスルニハ農商務省ヘ行カナケレハナラン、農商務省カ許可ヲ與ヘルノハ詐僞ヲ防ク實效カ何處カラ出ルカ
（本尾）
發起者ノ如何ニ依リマス發起者カ山師ハカリテアレハ許サナイ充分ニ其事業ヲ以テ自分ノ身代ヲ抛ケ打ツテモヤルト云フノハ許ス其他定款カ正當カ或ハ計算ノ積リ方カ良イカ惡ルイカト云フコトモアリマシヨウカ發起人ノ如何ニアリマス
（松岡）
地方官テ見テ彼ノ人間ナラ良カロウト云ツテ許ス極ク不確カナモノナレハ國立銀行ノ樣ニ資本ヲ押ヘテ居ツテ紙幣ヲ發行サセルコトハ出來ナイカラ免許トカ何ントカヤツテ安心シテヤル樣ニナル「ロエスレル」ノ案ヲ讀ンテ實ニ感服シタ裁判所ヘ行ツテ何ウ云フ人カ居ル力ヲ知ツテ信用スル今迄ノ縣廳ヘ御屆トカ府縣認可トカ云フモノハナクナツタカラ相對テ注意シテ組立ルカラ山師カナクナルト思ツテ喜ンタコトカアル然ルニ政府ノ免許ヲ受ケナケレハナラント云フ政府ノ免許ハトレ程ノ效能カアルト云フコトハ要用ニナリマス
（本尾）
「ロエスレル」ト種々論シマシタカ詰リ私ノ大元ノ案ト御達ノ論ヲ聞イテ書クノハ民論法テアル民法カ獨立シテ自分ノ財產ヲ保護スル丈ケニナツテ居レハ私ノ元ノ案カ宜シイカ委員ノ云フ處ハ私カ五六年日本ニ居ル有樣トヲ比較シテ見レハ民度カ進ンテ居ランカラ官ヨリ監督シナイト愚夫愚婦カ騙サレテ金ヲ取ラレルコトカアルカラ免許ハ贊成スル初メハソウシテ見テ調ヘテ置イテモ政府ハ神樣テハナイカラ不良ノモノヲ善良ト看做スコトカナイトモ云ヘント申シマシタ處カ二百二十八條以下ニ裁判所ニ申出テ檢査ヲシテ貰ウコトモ出來マスケレトモ主務ノ省カラ檢査ヲサセルコトモ出來マス、檢査ノ場合ニハ金額又ハ財產ノ現在高帳簿檢査ヲスルコトモ論シテアリマス、其他分ラントキハ取締役其他役員ニ說明サセルコトカアリマス
（松岡）
大元ハ裁判ハカリタ
（本尾）
大元モアリマス
（松岡）
鐵道ノ如キハ兵事ニモ警察ニモ要カアルカラ其主務ノ省カ關係スルノハ尤モテアルカ商業テナイモノヲ株式ニ設ケヨウト云フノテアルカラ日本ノ株或ハ國立銀行ヨリナイ位テアル鐵道ノ樣ナ經濟兵略警察ニ關係ノアルノハ政府ノ許可ヲ得ルノハ尤モテアルカ一般ノモノヲ政府ノ許可ヲ受ケナケレハナラント云フノハ分ラン
（本尾）
其レハ民法論ニナリマス
（松岡）
右ノ通リ政府ニ關係ノアルモノハ監督ヲ受ケルノハ當リ前テソレテナク尋常ナモノハ政府ノ監督ヲ受ケルノヲ止メテ裁判所ノ管督ニ付シテ仕舞ツテ裁判所ノ監督トナルト之ハ卽チ幾分カ行政ノ性質ヲ持ツテ居ルカラ卽チ無訴訟事件ノ部類ニ這入ラナケレハナラン、其レテ司法大臣カ上監督其下ハ裁判所ノ監督ノ部類ニ入レテ政府ノ監督ニスルノハ株式ノ部類ヲ限ツタ方カ宜シイ如何トナレハ民法論ト云フカ民法論ニ害カアル今日マテ何テモ箇テモ政府ノ許可ヲ受ケタト云フト人民カ安心スル甚タシク云フト商業モ工業モ公用トカ何ントカ云フ樣ニナル之ハ止メテ「ロエスレル」ノ元トノ案ニ戾ル方カ良カロウト思フ
（渡）
原案カ宜シイ
（松岡）
政府カラシタラ何處ニ利益カアルタロウ
（渡）
其レハ想像ニ
（松岡）
今マテ許可ヲ得ルトカ御屆スルトカ云ツテ何ノ益モナイ
（南部）
此間東京府テ認可シタノテ裁判テ效カナイト云フコトニナリマシタ
（淸岡）
有限責任ハ政府ヘ願ツタ上テナケレハイカン
（南部）
地方官テ行ケマスカラ有限ノコトハ無效ニナリマス途ニ本人カラ出スコトニナリマス
（淸岡）
農商務テ認ムレハ有效トナルヘキヲ東京府テヤツタラハ無效トナリマスカ
（南部）
何處テ認メテモ公吿スル道カナイカラ有限ナルコトヲ知ツテ居レハ兔モ角モ知ツテ居ラナイトキハ仕方カナイ
（淸岡）
公吿ヲシテ世間ニ知ラセンカラ無效ト云フコトニナリマスカ
（南部）
今迄ハソウテス
（松岡）
其レカ不都合テ效カアルト云ハナケレハ效カナイ、農商務テ認可シテモ效カナイ法律カ裁判ノ監督ヲ受ケテ成立ツト云ヘハ成立ツ日本テハ何カシヨウト云フト政府ノ許可ヲ蒙ラントイケナイ政府カ看板ニ使ハレテ居ル實際監督スルコトモ保護スルコトモ保證スルコトモナクシテ只山師ノ機械ニナルト云フヨリ外ニナイ國立銀行ハ抵當ヲ押ヘテ居ルカ是レカラ七人以上カ續々出テ來ル此株式ヲ政府カ免許スルソト云フ其法律ハ何處ヲ利益トシテ免許スルタロウ又如何ナル業ヲスルタロウト云フト害カアツテ益カナイ
（淸岡）
民業ニ商ヒスルモノテアレハ政府テ許可ヲスル假令ハ此道ヲ開クトカ山ヲ切リ開クノモアロウ
（松岡）
其レハ商事テハアリマセン道路ヲ作ルノハ天下ノ公益ニ關係スルソウ云フモノハ政府ニ關係ヲ持ツ今吳服屋酒屋ヲ始メルノハ關係ハナイ
（尾崎）
酒屋吳服屋ノ株式ハナイ
（松岡）
ソレハアリマス
（尾崎）
政府ノ認可ヲ受ケナケレハナランソヨト云フト願ツテ來タトキハ相當ノ身分モ質サナケレハナラン
（淸岡）
政府カ保證ヲシテモ潰レルトキハ潰レルト保證ノ㸃ハカリ見ルトソウタカソウテハナイ
（村田）
國立銀行テモ潰レルトキハ潰レル
（松岡）
國立銀行生命保險會社道路抔ハ政府カラ關係ヲ持ツソウシテ株式會社ハ吳服屋酒屋ニナイト云フノハ可笑シイ
（本尾）
「エスレル」ノ意見ヲ朗讀シマス
株式會社官許ニ關スル意見書ハー、リヨウスレル稿
余カ商法草案第六十九條ノ說明ニ陳述シタル理由ニ依リ該草案ニハ其目的行政及警察ノ區域ニ屬スル會社ノ設立ニ限リ官許ヲ要スルモノトセリ故ニ其目的通常ノ商業ナルトキハ官許ヲ要スルコトナシ既ニ說明中ニ述ヘタルカ如ク往時ノ法律ニ於テハ總テ株式會社ノ設立ハ官許ヲ要ス可シトナスモ現今ノ法律ニ於テハ槪ネ此主義ヲ排斥セリ卽チ英佛獨ノ如キ皆然リ其通說タル株式會社ニ對スル政府ノ監督ハ其目的ヲ達スルヲ得ス又之ヲ達スルコト能ハサルモノナレハ公衆ハ宜シク自己ノ實驗ニ依テ自ラ保護セサル可ラス
故ニ不正不確實ナル株式會社ヲ防壓スルハ之ヲ公衆ノ視カニ放任スルト株式會社ニ對スル條例中適應ノケ條ヲ設クルトノ外他ニ良法アルコトナシトセリ
然レトモ此主義ハ主トシテ英國ニ行ハルヽ所謂自由貿易論ニ根據スルモノニシテ實驗上好果ヲ得タルモノニアラサルコト誣ユヘカラサルナリ此主義ニ基キタル法律ノ爲メ一時株式會社ノ數非常ニ增加シタリト雖皆確實ニシテ破產ニ至ラサリシモノアリヤ否ヤ前世紀中歐洲ニ於テ株式會社ニ自由ヲ與ヘタルヤ直チニ株式會社ヲ設立セントスル者比々相踵キ爲メニ無數ノ株式會社ヲ世上ニ現出セリ然レトモ槪ネ皆破產スルニアラサレハ利益ヲ得ルコト能ハサルニ至レリ又其會社ノ設立タル公衆ノ財產ヲ掠奪シ發起人ノ己ヲ利セントスル目的ニ出ルモノ多キニ居レリ是ニ因テ之ヲ觀レハ公衆ノ欺カン且煽動セラレ易クシテ監督ヲ公衆ノ視カニ放任シ能ハサルコト自ラ明ナリ此實驗タル今日世人ノ前通ニ是認スル所ニシテ之レカ爲メ幾多ノ資財ヲ蕩盡シタルヤ亦知ル可ラサルナリ是ヲ以テ獨逸及英國ハ株式會社ニ對スル自由主義ハ變セサルモ或ハ會社法ヲ嚴ニシ或ハ破產法ニ因テ此弊害ヲ救ハンコトヲ索メタリ然レトモ此方法ヲ以テ實際其弊害ヲ救ヒ得ルト否トニ付テハ尙疑フ所アルカ如シ又株式會社ハ斯ク危險ナルモノニシテ其弊害多キヲ以テ蜜丁其肌收立ヲ全ク林示スルヲ優レリトスルノ払細者ナキニアラス已ニ斯クノ如クナルカ故ニ株式會社ノ目的如何ニ拘ハラス總テ官許（發起ノ認可及設立ノ免許ヲ併セ云フ）ヲ得ルニアラサレハ設立シ得サルモノト規定スルコト其當ヲ得タルモノト云ハサルヲ得ス其他今日本ニ於テ株式會社ノ設立ヲ自由ニナストキハ既ニ歐洲ニ行レタルカ如ク人民ハ其資財ヲ減損シ從テ一箇人モ亦其財產ヲ蕩盡スルニ至ルノ恐レアリ之レニ反シ凡ソ株式會社ハ官許ヲ得ルニアラサレハ發起及設立スルコトヲ得ストシ而シテ其目的、定款、利害、利潤及發起人ニ關スル諸件ヲ職權ヲ以テ審査シタル後之ヲ許可スルトキハ輕忽不正ノ擧ヲ以テ會社ヲ設立スルノ恐レナク又發起人ノ政府ノ命ニ應シ其保護ヲ受ケ隨テ株式會社ノ制ヲ其度ニ適シ步ヲ進ムルニ至ルコトヲ得ヘキナリ加之既ニ日本ニ於テモ輕忽不正ニ設立スル會社ノ多キヲ憂ヒ是レカ爲メ其法度ヲ設ケントスル今日ニ當リ前陳ノ主義ニ據リ條例ヲ制定スルハ最其宜ヲ得ルモノト云フ可シ余カ商法草案中株式會社ノ款ニ於テモ會社ノ發起及設立並ニ其事務取扱上ニ關シ確實ヲ主トシ規定スルアリト雖モ尙ホ株式會社ハ總テ官許ヲ得ルニアラレハ設立スルコトヲ得サルモノト規定スルトキハ株式會社ヲシテ益々鞏固ナラシムルコトヲ得可シ又斯ク規定スルモ已ニ日本ニ於テハ從前ヨリ會社ノ設立ハ總テ官許ヲ要スルモノタルカ故ニ是カ爲メ障碍ヲ惹起スルノ患ナカル可シ是ヲ以テ商法草案第六十九條ノ第一項ヲ變更スルコト左ノ如シ
總テノ株式會社ハ其發起及設立ニ付又行政及警察ノ區域ニ屬スル事業ヲ目的トスル合名及合資會社ハ其設立ニ付政府ノ許要ス
（渡）
至レリ盡セリ誠ニ妙タ
（尾崎）
私等ハ共立商社ニ這入ツテ居ルカ實ニ妙タ五百何名ハカリテ二十圓ノ株テ只薪炭位ノ會社タカ貯金課ヲ設ケテ利益ヲ以テ一割トカニ割トカ利ヲヤル段々利益ヲ取ツタ處カ貯金課ノ奴カ米商賣ヲヤツテ七萬圓程損ヲシタ貯金課ハ株主ハ知ラン處カ訴ニナツテ貯金課ノ奴ハ共立商社ノ負債タト云フ共立商社テハ知ラント云フ七十何名カ催シタ貯金課ノモノカシタノタ裁判所テ貯金課ハ共立商社ノ內ニアルト云ツテ銘々ノ頭ニ來ルカラ大事ナ處タ
（委員長）
松岡サンノ論モ贊成カナイ
（南部）
益カナクテモ害カナクモ一方カラ見レハ利益カアルカラ原案ノ方カ宜シイ
（委員長）
松岡サンノ說ハ贊成カナイカラ消滅シテ是レテ食事ニ致シマシヨウ
于時午後零時二十分休憩
午後一時三十分開會
○第百六十一條朗讀ス
（議案入）
修正案本條第二項「署名捺印シ」ヲ「署名捺印スヘシ」トナシ「其署名」以下ノ全文ヲ削除ス
（本尾）
是レニハ報吿委員ノ修正カ御座イマス
（淸岡）
之ヲ削レハ百六十三條ヲ附シテ仕舞ヘハ宜シイ只署名捺印スヘシトシテ又殊更二條ヲ設ケテ地方長官ヲ經由シテ差出スト云フノハ可笑シイ百六十一條ノ作用カアルカラ宜シイカナケレハ百六十三條ヲ附ケタ方カ宜シイ
（本尾）
大元ノ「ロエスレル」ノ案ニハ株式會社ハ關係ヲ有スルト云フコトテ御座イマセンカラ目論見帳抔ヲ鄭重ニシテ置カナケレハナラン要用カアリマス處カ株式ハ官許ヲ得ナケレハナラント云フコトテアリマスカラ前ノ主意カ消ヘテ仕舞ヒマシタ
（淸岡）
其レタカラ百六十三條ヲ之ヘ合ハセルノタロウ
（本尾）
目論見書假定款ヲ作レト云フテ下ノ條ニ何々ト書イタノテ御座イマス
（委員長）
修正案ノ通リ捺印スヘシトシテ其下ヲ削ルノハトウテスカ
（村田）
削ル方カ宜シイ
（松岡）
私ハ此處ニ至ツテ反對テ御座イマス、元來此商法ヲ拵ヘテ來タ處ハ第一番ハ何々カト云フト第一號第ニ商事裁判ニ屬スルト云フノハ骨子ニナツテ居ル然ルニ政府ノ許可ヲ受ケル樣ニナルト株式ハカリ裁判所ノ監督ヲスル樣ニナル獨リ商法中カラ引離シタモノヲ拵ヘテ來ル樣ニナル其處テ大元ノ意味カラ推シテ見レハ會社カニ樣アツテ性質ニ依レハ政府ノ免許ヲ得ナケレハナランモノモアル又其レニ及ハン裁判所ノ監督ニ屬スルモノモアル其二ツノモノカ裁判所ニ申出シテ公吿ヲシテ云々トアル其レヲ外シテ仕舞ヘハ監督ニ屬スルト云フ精神ハ外シテ仕舞ウ
（南部）
名前ノ違ウカ違ハンカ印カ違ウカ違ハンカト云フノカ主テアル其レハ裁判所テモ何處テモ出來ル名前ト印形ヲ取ラン丈ケタカラ之ヲ削ツテモ裁判所カ會社ヲ監督スル權ヲ失ウト云フコトテモ何テモナイ
（鶴田）
未タ會社カ成立タナイトキタ
（村田）
之ハ要用テナイ
（尾崎）
之ハ修正テ宜シイ
（委員長）
其レテハ修正ニ決シマス
（村田）
七人以上テハ少ナイ樣タ
（本尾）
英吉利テハ七人テハ多過キル切角ノコトカ議カ纏マラン爲メニ成立センコトカアルカラ四人トシタラ良カロウト云フコトテ御座イマシタ
（村田）
外二四人ト云フ處カ御座イマスカ
（本尾）
外ニハ御座イマセン七人ト云フノハ總數タカラ其中カラ發起人カ出來ル三人トシテハ少ナイ七人ノ半數ヨリ少ナクシテハナランカラ四人トシタト云フコトテ御座イマス
（委員長）
良ケレハ先キヘ行キマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
○第百六十二條朗讀ス
（議案入）
（本尾）
期限ハ時限ト御改メヲ願ヒマス第二ノ商號ノ上ニ「會社ノ」ノ三字ヲ御加ヘヲ願ヒマス
（村田）
元トノハ事務所ヨリ所在地ハカリニナツテ居リマスカ目論見書ニ書クノハ事務所ヨリ何處其處何番地ト書カナケレハナランカラ所在地ノ方カ良クハナイカ
（本尾）
之ハ原文ヲ變ヘマシタ
（村田）
事務所ト云フト何々三菱會社ト書イテ事務所ト書ク樣ニ見ヘル
（南部）
因由ト云フ例ハ
（本尾）
因由ノ方ハ「モチーフ」テ御座イマス鐵道ヲ布クノハ「モチーフ」テ御座イマス、鐵道ヲ布クニハトウシテ布クカト云フノハ因由テ北海道ノ產物ヲ東京ヘ引ケハ利益カアルトカ何ントカ云フノハ因由テ御座イマス
（淸岡）
發起ヲスルニハ是非因由カ必用タ
（本尾）
目論見書ニ之ヲ書イテ置クト株ヲ買ウモノカ便利テ御座イマス、此鐵道ノ株ヲ買ウニ北海道ヘ鐵道ヲ引ケハ斯ウ云フ利益カアルトカ何トカ云フコトヲ知ル便利カ御座イマス、又許可スル方テモ便利カ御座イマス
（松岡）
使用ノ產額ト云フノハ
（本尾）
鐵道ヲ靑森マテ布クソレニ付テハ株金ヲ何萬出シテ一ツノ株カ幾ラ總額カ幾ラテ「レール」ヲ買ヒ車ヲ仕掛ルマテハ幾ラ、保存費カ幾ラ、役員ノ給料カ幾ラト云フ凡ソノ積リテ御座イマス之モ許可スル參考ニナリマス
（松岡）
企業ノ「企」ノ字ハ十八條ヨリ前ニ起ノ字カアリマシタカ彼レトハ違ヒマスカ
（本尾）
彼レモ直ス積リテ御座イマス、起業テハ初メハカリノ樣ニ見ヘマスカラ穩カテアルマイト云フノテ企業ト云フ字ニ直シマシタ
（松岡）
ソウスルト初マリハカリテハナイ、營業ト云フコトカアリマスカ
（本尾）
營業トモ云ヒ惡クイ營業ト云フト商ヒヲシテ居ル所作ヲ云フ樣ニナリマス
（尾崎）
創業費用ヲ除イタノハトウ云フ譯テス
（本尾）
是レハ種々論カ御座イマシテ株式ヲ四分ノ一收メサセナイ前ニ創業費用ヲ書ク、株主カラ取立マスルコトヲ「ロエスレル」ノ案テ許シテアリマスカ前ノ委員テ其レハ面白クナイト云フノハ會社カ成立タ成立タンカ知レンニ手附金ヲ取ツテ惡ルイ奴カアツテ跡ハ滅茶苦茶ニヤルカラ創業費用ハ止メサセタラトウタロウ彌彌官許ヲ受ケテ拂込マセル方カ良カロウ
（尾崎）
創業費ハ損カ
（本尾）
會社創立總會ヘ持チ出シテ認定ヲ受ケマス認定ヲシナケレハ損ヲシナケレハナラン、其レハ前ニ出テ居リマス
本條第三ハ左ノ如ク改ム
會社ノ商號及ヒ事務所
第七「期限」ヲ「時期」ト改ム
○第百六十三條朗讀ス
（議案入）
（淸岡）
主務ノ省ト云フモノカ二ツアルコトハアリマスマイカ、鐵道ノ如キハ鐵道局テヤル處カ商事會社ニナツテ仕舞ウカラ農商務省ヘモ行カナケレハナラン
（本尾）
原案ノ旨意テハ鐵道ナレハ鐵道局ヘ行キマス鐵道事業ノ如キハ地方ニ關係カアリマスカラ鐵道局カラ主務ノ內務省又ハ農商務省ニ關係カアレハ打合セヲシナケレハ許可ヲシナイ、併シ人民カラ願ウノハ鐵道ナレハ鐵道局、反物商ナレハ農商務省ヘ出マス
（淸岡）
主務省ト云フト農事會社テ爲スノハ原野ヲ開墾スル之ハ商事テナイ地所ノコトテアルカラ內務テスルカ知レン併シ株式ヲ募レハ商事會社ニナルカラ農商務省ヘ行カナケレハナラン兩方ヘ跨ツテ之ハ人民ノ方カラヤルカ或ハ省ノ方テ農商務ヘ出シタモノヲ內務ヘ回ハシテヤルカ內務カラ農商務省ヘ回ハシテヤルカ其邊ハ是レテハ何レヘ出シテ宜シイカ商事會社タカラ農商務省ヘ出シテモ宜シイソンナラ鐵道ノコトヲ農商務ヘ云ツテハ困ル
（南部）
主務ノ官廳カ宜シイ二ツ出來ル處マテ此處テ定メルト云フコトハ出來マイ今ノ規則テモ主務ノ省テスルト云ツテ一々何處ヘ持ツテ行ケト云フコトハナイ
（淸岡）
其レハ內輪ノコトテ人民カラ願ツテ來ルモノニハナイ
（南部）
登記ノコトニ付テ或ハ請願カアレハ內務大臣ト司法大臣宛テ出テ來ルソウ云フコトカ間々アリマス其處マテ規定スヘキモノテナイ
（鶴田）
農商務省ヘ一切出シテ農商務テ之ハ鐵道局ヘ出サナケレハナラント云フトキハ農商務省カラ鐵道ヘヤル又大藏省ヘヤツテ其レカラ先キハ農商務省カ引受ケテヤル樣ニシタラ良カロウ
（尾崎）
主務ノ省テ良サソウナモノタ
（委員長）
農商務ヨリ外ニ出ヨウハナイ
（鶴田）
鐵道ハ內閣ニテナケレハナラン
（委員長）
今迄ハ內務省ヘ出タ
（鶴田）
銀行ハ大藏省ヘ出ル
（委員長）
實際主務テナケレハ出來ナイ
（松岡）
元ト主務ノ省ト云フノハ政府ノ許可ヲ受クヘキモノハ主務ノ省ヘ出スト云フノテ御座イマシヨウ
（淸岡）
此處丈ケテハソウ云フ譯ニハ出來ナイ
（鶴田）
農商務省ト書イタトキハ何テモ箇テモ農商務ヘ持ツテ行ク
（松岡）
政府ノ許可ヲ受クヘキモノハ主務ノ省ニ出セト云フト鐵道ナラ鐵道田地ナラ田地ト云フト主務ノ字カ働イテ來ル何モ箇モ農商務ヘ行クト云フナレハ農商務ト書カナケレハナラン
（委員長）
地方長官ヲ經テ來ルカラ差支ナイ人民ハ地方廳ヘ出シテ主務ノ省ヘ出シテ吳レト書ケハ宜シイ
（松岡）
總テ農商務ヘ出スト云ヘハ人民ノ方テニケ所ニ出ルト云フ考モ何モナクテ良カロウ
（本尾）
大元ノ「ロエスレル」ノ案ニ主務ノ省ト御座イマシタノハ其時分ニハ株式カ或ル營業ニ限ツテ官ノ許可ヲ得ルトアルカラ主務ノ省テ宜シウ御座イマシタカ總テ株式ハ許可ヲ得ナケレハナラント云フ樣ニナツテ百六十三條ヲ商務ト代ヘマシタ、其レヲ「ロエスレル」ニ見セマシタ他ニ行クニハ及ハン若シモ鐵道鑛山等カアツテ外ノ省ニ通シナケレハナラントキハ農商務ノ職權テハイカンカラ默ツテ居テ其省ニ尋ネルニ相違ナイト申シマシタ處カソレハ分ラン成程日本ノ今迄ノ所ハ農商務省テ管轄スルコトニナツテ居ルカラ宜シイカ會社ハ裁判所ノ管轄ヲ受ケテ居ルトナス以上ハ許可ヲ得ルノハ行政ノ爲メテハナイカソレヲ農商務省テ許可ヲ受ケルト云フコトハナイ會社全體ノコトハ裁判所テ見テ居ル之ハ營業上ノコトタカラ農商務省ニ集メルニ及ハント云フコトテ御座イマス
（松岡）
日本ノ精神ヲ知ランカラタ聞屆トカ政府ノ許可ハアル方カ良カロウト云フノテ定ツタノテアルカラ鐵道中何力ノ種類テナク株式ハ皆出來ル、其レハ農商務省ノ主務ト云ハナケレハナラン
（本尾）
民事上ノ關係ハ登記公吿テ裁判所ニ任セテ仕舞ツテアル只株式ヲ發スルカラ行政上ニ關係カアルト云フノハ細カイ商人ニ損ヲサセテハナラント云フノハ行政上テアル民事上ノ團結テハ裁判所ノ管轄テ登記公吿テ管轄シテ行ク
（松岡）
併シ商事會社ハ農商務ノ許可ヲ受ケテスルヨリ外ニ仕方カナイ
（渡）
之ハ何レニシテモ大層ナ違ハナイ位ナ事柄テアロウト考ヘマス
（委員長）
主務ノ省テ宜シウ御座イマシヨウカ主務ノ省ト云フト政府ノ許可ヲ受ケルト云フコトカ六十條ニ見ヘル
（本尾）
初メニ政府ノ許可ヲ受ケルト云フノハ百六十三條テ認可ヲ受ケマス認可ヲ受ケテ株主ヲ募集シマス偖テ一ツノ會社トナル場合ニ纏マリヲ付ケマシテ百七十條テ今一應主務ノ省ヘ持チ出シマス偖持チ出シマシタ處テ前ノ認可ヲ受ケタ通リ會社ヲ成立シ終ツタト云フ處テ主務ノ省テ免許シテ商ヲ始メル主務ノ省テ許ス場合ト許サン場合カアリマス鐵道ハ內閣ヘ出サナケレハナラン其他鑛山テモ何テモ大事業ニナレハ內閣ニ出サナケレハナラン其レハ商法ノ關スル所テナクシテ主務ノ省ノ權利ハトレ丈ケアルカト云フ處テ分ツテ來マス
（松岡）
免許スル處モ認可スル處モ一ツタカラ普通ノコトナラ農商務テ免許モ認可モ與ヘル樣ニナル
（淸岡）
普通ニ非サルモノハアルマイ
（松岡）
船ヲ作ル爲メニ會社ヲ設ケルノハ何處ヘ行キマス
（本尾）
遞信省ヘ行キマス
（松岡）
醬油會社ハ何處ヘ行キマス
（本尾）
其レハ農商務省ヘ行キマス
（淸岡）
鐵道ハ何會社カト云フト商事會社ト定メテアル
（委員長）
「ロエスレル」ノ案テハ生命保險會社テモ商事會社ト見テアルカラ農商務省ヘ行カナケレハナラン
（淸岡）
內輪ノ話ハアルケレトモ體面ニ商事會社ト定メタ以上ハ農商務テ關セサルモノハナイ
（鶴田）
此趣意ハ農商務省カ是非管轄シナイテモ宜シイ
（委員長）
行政上テ或ル省ノ職掌トシテ與ヘラレテ居ル部分ニ付テ主務ノアル處ノ省ヘ出セト云フコトテアルカラ現今ノ章程ニ於テモ此先キノ章程テモ農商務省ト云ヘハ宜シイカ今ノ儘テハ遞信省ハ遞信省、農商務省ハ農商務省テヤル
（松岡）
併シ之ハ農商務ヘ行カナケレハナラン
（委員長）
其レハ構ハン遞信省ハ遞信省テ宜シイ
（淸岡）
商事會社カ幾ツアツテ資本カ幾ラアルト云フ統計ヲ作ルニハ農商務省ノ會社カ幾ツ遞信省ノ會社カ幾ツトナル
（委員長）
其レハ此處テ論シテモ出來ンテス「ボアソナード」ト「ロエスレル」ト相談カ定マラナケレハ其レハ一定スルコトハ出來ン其論ノ定ツタトキ行政上テ都合ノ良イコトニナルカラ之ヲ論シタ處カ彼等兩人ヲ從ハセルコトハ出來ンカラ彼抔ノ相談ノ纏ツタ處テ行政テ都合ノ良イ樣ニシタ方カ宜シイ
本條ハ原案ニ決ス
○第百六十四條朗讀ス
（議案入）
（渡）
「ヘシ」カ這入ツテ宜シイ
（松岡）
此廣吿ハ登記公吿ト違ツテ私ニ募ルト云フコトヲ書イタノテスカ
（本尾）
左樣テス
（委員長）
廣吿ハ自分テヤルノテ裁判所テヤルノテハナイカ
（本尾）
自分テヤルノテ御座イマス
（鶴田）
併シ之ハ今テモ斯ウヤツテ居ル
（松岡）
今ノ國立銀行ノヤリ方ト同シコトタ
（淸岡）
認可ヲ得タ上テ募ツテ免許ヲ得ルコトニナル
（南部）
初メハ定款モ假定款テアルカラ前ニ許可ヲ得ルコトカナクナツテ仕舞ウト切角株金ヲ募集スル手續ヲシタイ處テ許可ヲ受ケルコトニナツテ見ルト前ノコトカ利益ニナルソウシテ仕舞ノ文ヲ廢シテ初メノヲ存スルト創立シテ假定款カ出來テ發起ニナツテモ未タ定マラン中ニ許可ヲ受ケル樣ニナルテシヨウ
（淸岡）
之レ丈ケニスレハ元トヨリ行キ屆イタ譯テ完全センコトハナイカ隨分厄介ナモノタ東京府下ナレハシ易イカ遠イ處テハ手數タカラ一遍テ宜シイ但開業ノ上ハ屆出ツ可シトスレハ宜シイ
（鶴田）
貴君ノ說ハ願出ヲニ度スルノハ手數タト云フノテスカ廣吿ハ今一遍シナケレハナラン願ハ先キノ願ノ處ニ行ツテ述ヘタ方カ宜シイ
（南部）
初メ募集スルコトヲ得トアリマスカラ初メハナイ方カ却ツテ宜シイ
（委員長）
先キヘ行キマシヨウ
○第百六十五條朗讀ス
（議案入）
（南部）
株式申込簿ニ貼リ付ケルカ或ハ添ヘテ置クカ
（本尾）
代理人カ行キマス
（南部）
代理人ヲ以テ申込ムトキハ委任狀ハ取ツテ置キマスカ
（本尾）
正式ノ委任狀ハ入リマセン會社ヘ見セマシテ貴君ノ株ハ是レ々々ニ買ツテ吳レト云フテ參リマス、ソウスルト大阪ノ本尾幾株ト云フコトヲ書クノテアリマス
（委員長）
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
○第百六十六條朗讀ス
（議案入）
（南部）
申込人ハ上ニアツタ方カ宜シイ樣タ
（松岡）
下ニアツテモ宜シイ
（鶴田）
設立ニ至レハ拂ウ其レ迄ハ拂ハンテ宜シイト云フコトタ
（本尾）
會社設立ニ至リマセンナラハ拂ヒマセンテ宜シイ
（松岡）
義務ヲ負ウノタカラ跡テイヤトハ云ハサン
（村田）
實際申込ンタトキハ幾ラカ拂ヒ込マセルコトヲヤツテ居ルタロウ今日鐵道會社テモナンテモソウヤツテ居ルカラ
（淸岡）
申込ト云フノハ
（本尾）
申込カナケレハ此義務ハ負ハント云フノテスカ大切テ御座イマス
（渡）
因ノ字抔ハ意味深重ナ處タ
（淸岡）
申込ノトキニ證據金トシテ百圓ニ付テ一圓トカ五十錢トカ出シテ拂ハントキハ手付流シニナル
（本尾）
是レカラ後ハソレハサセマセン
（松岡）
尾崎サンカ二十圓ノ株瞬ニ圓ホカ出シテ置カナイテモ一萬圓ノ配當ヲ受ケル
（委員長）
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
○第百六十七條朗讀ス
（議案入）
（本尾）
「株主ヲ招集ス」ト云フノハ「總申込人ヲ招集ス」ト御直シヲ願ヒマス「認否ヲ決シ」ハ「承認ヲ議定シ其他物件ヲ差入レ」トアルノヲ金錢ニ非ラサル出資ヲ差入レト致シマス是レカ原案テ御座イマス、是レニ對シテ報吿委員ノ修正カ御座イマス、修正ノ槪略ヲ申シマス假定款ヲ確定シハ申シマスコトト承認ヲ議定シ置クヘキモノアルトキハ議定スト云フコトカ重モナルコトニナツテ居リマスカ後ニ「ロエスレル」カ二ツカ議定テ前ノハ確定テ御座イマス申込人カ死ンテ仕舞ツタ後テ發起人カ創業總會ヲ開キ假定款ヲ見セテ御前達ハ申込ム時分ニ之ヲ見テ御這入リナスツタカ今日滿員ニナツテ皆サン御不承知ハアルマイカ今一應見セルト云フノカ確定スルノテ御座イマス後ニ設定々々トアルノハ創業人カ是レ丈ケ出資ヲ出シタ斯ウ云フ契約ヲ結ンテ置イタ之ヲ議シテ下サイ又是レマテ倉ヲ受ケタトカ出資ヲ出シテ株金ヲ幾ラヤルト云フコトヲ許シテアツタ皆サン御承知カトウカ分ラン此處テ議シテ下サイト云フ前ノ假定款ヲ見セルノト議スルノトノ一條ニ定メテ仕舞ヒマシタ「ロエスレル」ノ原トノ草案テモ別ニナツテ居ル其レ故二百六十七條ハ假定款ヲ確定スル丈ケノ所作ヲ示シ次キニ創業ノ爲メ發起人ノ爲シタル契約ノ規定ハ別ニシマス詰リ百六十八條ト之ト合シテ種類ヲ分ケテ二ツニシヨウト云フノテ御座イマス
（淸岡）
修正ノ方カ宜シイ樣ナ心持カスル
（本尾）
定款ハ政府ノ認可ヲ得テ居ルノテアリマス、其レヲ一所ニシテ置クト申込人カ議ス樣ニナルカラ
（松岡）
併シ修正ノ樣ニシテモ其レハ分ラン
（本尾）
大元ノ原案ト同シテ今日ノ原案ト違ツテ來ル樣ニ見ヘマス併シナカラ今日ノ原案テモ假定款ヲ議スルノテハナイ
（南部）
此方カ良イ樣タ只手數ト云フ譯ハトウ云フ譯テスカ
（本尾）
「ロエスレル」ハ四分ノ三以上テ其人等ノ株金カ半額ニ至ルモノトシテアツテ少シ酷テ御座イマス、若シ其レ丈ケノコトカ出來マセントキハニ度開カナケレハナリマセン
（松岡）
見セタノミテ何ントモ箇トモ云ハセソナレハ宜シイカ半額以上ノ承認ヲ經ナイトキハ憂ヘタルタロウ
（本尾）
初メ政府ノ許可ヲ得テ此通リテ良ケレハ這入レト云ツテ這入ツタ上テ見セル丈ケテアリマス若シ之ヲ變ヘレハ政府カラ成ルトカ成ラントカ云ハナケレハナリマセン
（淸岡）
確定シト云フト少シ弊害カアル樣タ未決ト云フコトカ出テ來ルカラ念ノ爲メニ遍見セルト云フ丈ケノコトテ之ハ政府マテ出シテ許可ヲ得テ下付シタモノテアルカラ云ハハ御念ノ入ツタコトテ確定スルト云フトぐらぐらスル樣ニナル
（本尾）
假ト云フ字ヲ取ル丈ケテス今日マテ假ト云フ字ヲ付ケテ置イタカ是レカラ取ルカ宜シイト云フ丈ケテ御座イマス
（西）
何カ異存ヲ云フコトカ出來ンウタ
（南部）
未タ定款トスヘキモノテナイト云フコトカ云ヘルテシヨウ
（本尾）
假定款モ確定スルト云フト假リノモノヲ確定スル樣ニナル
（南部）
假定款ヲ確定スル方カ宜シイ定款ヲ確定スルト云フト亦定款ヲ確定スル樣ニナル
（松岡）
其レハ宜シイカ二ツテ分ランテ良カロウ
（南部）
其レハイケナイ混スル
（本尾）
トウシテモ一條ニ詰メルコトハ出來マセン議スヘキモノト議サナイモノト一條ニ混シテハ違ヒカ起リマスカラ
（淸岡）
前ノテハ半額申込抔ト云フコトハナラン
（本尾）
總株主カ宜シイト云ツテ本定款ニナリマス、併シ株式會社テハ總人員出ルコトカアリマセンカラ切メテハ半數ハ出テ貰ハナケレハナラン併シ株金ヲ多ク注凋ツテ居ルモノカアリマスカラ頭ハカリ半數テモ宜シクナイ株金ノ半額ハ出テ吳レロト云フノカ要用テ御座イマシヨウ
（淸岡）
之ヲ削ツテ殊更ニ議決權ヲ次キノ條ニ定メルノハ議決權ハトウ云フ譯テ出タカ前ノ處テモ手數トカ四分ノ三トカ四分ノ一トカ云フ場合カアリマシヨウ
（本尾）
議決權ハ議シテ決ヲ採ルトキニ要用テ御座イマス、百六十七條テハ議ス要用ハ御座イマセン、若シ百六十七條テ議シテ多數テ決スルナレハ議決權カ必要テ御座イマスカ議スヘキコトカナイカラ入用カアリマセン
（鶴田）
定款ヲ確定スルト云フト假カ取レル樣ニナル
（松岡）
假定款カアル
（鶴田）
大キナ會社テ鐵道會社トカ郵船會社ナトノ樣ナ何萬ト云フ人數カアツテ申込ノ半數ト云フコトカ出來ヨウカ知ラン
（委員長）
其レハ出來ルタロウ今ノ郵船會社テモヤツテ居ルカラ
（淸岡）
日本ノ株主ハ冷淡ナモノテス
（鶴田）
鐵道抔ハ五十株以上テナケレハ出ラレナイ
（村田）
銀行テ何テモソウテス
（松岡）
百株持ツテ居ルカラ我ハ百人前云フト云フコトハ出來マイ
（委員長）
申込入ヲシテ定款ノ確定ヲ承認セシムルトシタ方カ宜シイ、其レト今一ツハ申込人ノ半數ニシテト云フト半數以上ニ相違ナイケレトモ是非半數テナケレハナラン樣ニ見ヘル
（本尾）
之ハ半數以上テ御座イマス
（委員長）
承認ヲ經テト云フト承認シナイコトカ云ヘル樣ニナル
（南部）
承認ヲ經テ假定款ヲ本定款ニスル
（委員長）
西サンノ說テハ本定款ト認メナサイト云フ樣ニナル
（南部）
其レハイケナイ、之ヲ本定款ニスルカ、センカト云フトハ半數半額ノ議定ヲ經ナケケレハナラン
（委員長）
半數以上ノコトハ見テ居ルカ之ハ動カスコトハ出來ント云フト此通リタト云フコトハ定ツテ居ル
（南部）
本定款ヲ假定款ニスル
（委員長）
若シ承認シナイトキハトウスル
（南部）
承諾シナケレハ會社カ成立チマセンカ其ンナ暴ナモノハアリマセン
（西）
是ニハ最早一言モ云フコトハ出來ナイ
（松岡）
假定款ハ此間增減カ出來ル
（本尾）
前ノ條ニ依リマスト疑カアリマス、疑カアリマシテ商法編纂委員ノ時分ニモ之ハ全體會社契約テアルカラ發起人カ拵ヘテ其假定款ヲ見テ申込ヲシタト總會ニ於テ充分定メルコトノ出來ルモノテアルト云フ論カ出マシタ、其レハ決シテソウテナイト申シマシタ處カ中々承知シマセン「ロエスレル」ニ充分聞イテ見ルカ宜シイト云フ論カラ段々追ツテ見マシタ處カ其レハ迚モ出來ント云フモノハ自分テ是レナラ宜シイト云ツテ申込ンタモノテハナイカ、其レヲ彼ノ折ハ宜シカツタカ今日ハ嫌忌タト云フト拂込ヲシヨウト云ツテ後ニ金ヲ拂ウトキニナツテ定款カ嫌忌タト云ツテ會社カ成立センコトニナル、承諾テアルカラ後ニ金ヲ出スノハ都合カ惡ルイカラ定款ヲ議スルトキハ反對シテ會社ヲ成立サセナイ樣ニナルト云フコトテ御座イマシタ
（松岡）
議決タ
（委員長）
トウシテモ動カスコトカ出來ンモノニ違ヒナイ
（鶴田）
一體議決テモナイモノヲ頭ヲ算ヘタリ金ヲ算ヘタリスルニハ及ハン
（松岡）
一モニモ云ハレンモノトスルコトハ出來ナイ
（本尾）
前ニ私カ見タ定款ト今お前ガ認諾シロト云フ定款ト違ウト云フコトハ云ヘマシヨウ
（松岡）
其レハ勿論
（西）
論カ容レラレル樣ニナル
（村田）
承認シナイコトカ出來ル
（南部）
嫌忌ナラ確定セント云ツタラ良カロウ
（西）
ソウ云ヘト云フカラ其ウ云ヘルノテ書イテナクテハ出來ナイ
（南部）
承認ヲ經テ假定款ヲ變更スルナンハ兎モ角モ確定スルタケノコトタ本定款ニセント云フ人カアリマシヨウ
（西）
斯ウシテ吳レト云フコトカ出來ヨウ
（松岡）
其レハ出來ナイカ、外テ斯ウ云フコトカアルカラ斯ウ云フコトヲ入レヨウト云フコトハ出來ヨウ
（南部）
其筋ノ認可ヲ經テ居ルカラ一箇條テモ決シテ變ヘルコトハ出來ナイ、變ヘタナラハ初メニ許可ヲ受ケタトキト違ウ樣ニナル
（村田）
假令ハ西サント假リノ契約ヲシテ彼レヲ確定シマシヨウト云フコトタ
（西）
私カ承知ヲシナケレハ確定ハ出來マセン
（尾崎）
主務省ノ許可ヲ得テ居ルモノタカラ變更スルコトハ出來ナイ
（西）
皆サン差支カナイト仰シヤレハ宜シイカ私カ株式會社ヘ這入ルニハ此規則ヲ見ルト前ニ假リテハナラント云フコトカアル後ニ承認ヲ經テ確定スルトアルカラ動カスコトカ出來ルト思フカ知レン前ニ假定款ヲ見テ勘定ノ惡ルイト云フコトカアツテ、其レヲ知ツテ居テモヤラレル知ランテモ苦情カ起リハセンカ動カスコトハナラン、ソンナコトヲ云ツテモイケナイ、承認ヲ經テ確定スルトアルカラ私ノ云フ通リニナレハ這入ル、云フ通リニシナケレハ這入ラント云ツタラ困ル
（南部）
誰モ贊成シナイ
（渡）
本定款トスルニハトウスルカト云フト、集ツタ人ノ金ヲ澤山出シタ人ヲ募集シテ本定款ニスル其際ニナツテ金ヲ拂ウノハ都合カ惡ルイカラ承認ヲシマセント云フモノカアルカ知レン、其人カ云ツテモ動スコトハ出來ント云フコトハ知レテ居ル、一旦云込ンタトキハ拂込マナケレハナラント云フコトカアルカラ差支ナイ
（委員長）
修正ノ通リニスルコトハ論ハアリマスマイ
（鶴田）
私ハ修正案ノ方ヲ採ツテ居リマスケレトモ善ク見レハ原案ノ方カ良クハナイカト思フ原案ハ決議ハ頭數ト金數トニ依ツテ決議ヲスルト云フノハ卽チ後チノ創業總會ノ契約ト入費ト出資ノ額ヲ定メルコトヲ頭數ト金數ニ依ツテ定メル前ノ定款ヲ確定スルハ頭數ヤ金ノ數ヲ算ヘテ決スルノテナイカラ人數ニ關係ハナイ、今度ノ修正ハ頭數ヤ金ノ數ヲ持ツテ來テ假定款ヲ確定スル場合ニ持ツテ來ルノハ宜シクナイ
（淸岡）
起案者ハ定款確定ノ處ヘ頭數ヤ金數ヲ入レテ居ル樣テス
（渡）
ソウスルトトウシテ確定シマス
（鶴田）
總會カ開ケルカラ今度假定款カ本定款ニナツタカラ承知シテ下サイト云ヘハ宜シイ
（南部）
鶴田サンノ御說ニシタ所カ仕舞ノ條ヲ削ツテ御論ハアリマスマイ、只少ナクモ何々ト云フ處ニ議論カアル丈ケテシヨウ
（鶴田）
ソウテス
（本尾）
前ノ百十條ニ前條ノ事項ハ三分ノ一以上トアリマス事項ト云フノハ確定ト決シト議定ノ三ツテ御座イマス、ソウ致シマスト會社ノ條例ノ精神ハ決シテ百十條ノ後ノ二ツノコトヲ決スル爲メニ置イタノテナクシテ定款ヲ確定スル爲メニモ置イタノテス
（委員長）
鶴田サンノ樣ニ書イテモ宜シイカ總會ヲ開イテ皆ノ承認ヲ得ルト云フ樣ニモナル又五人カ三人ニ承諾サセテモ宜シイ樣ニナルカラ斯ウアツテモ差支ナイ先ツ修正ヲ採用スルコトニ決シテ其上テ西サンノ說カ出ルノテシヨウ
（淸岡）
之ハ矢張リ定款カ宜シイ
（本尾）
是レマテ假定款、假定款ト云ツテ來マシタ是レマテ云ツテアル假定款ヲ確定スルコトニナリマシヨウ
（鶴田）
定款ヲ確定スル方カ宜シイ
（西）
承認ノコトサヘ確定スレハ假ノ字ハ入ラン
（委員長）
西サンノ說ハトウテス
（西）
是レテ宜シイト云フ御說カアレハ仕方カナイ
（委員長）
ソレテハ是レニ決シマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
總株式ノ申込アリタル後ハ發起人創業總會ヲ開キ少ナクトモ總申込人ノ半數ニシテ總株主ノ半額以上ニ當ル申込人承認ヲ經テ定款ヲ確定ス
于時午後四時半閉會