○第二讀會第六回
明治廿年三月九日
欠席 細川委員
仝 箕作委員
仝 岸本委員
午前
○第三章 商號
○第二十四條
各商人ハ商號ヲ有シ之ヲ店前ニ揭示シ商業上ノ署名ノ時其他業務取扱ニ付自己ヲ表示スル爲メ同形ニ以テ之ヲ書スヘシ若シ一人ニシテ數種ノ營業ヲ爲ス時ハ各營業ニ付キ別箇ノ商號ヲ有セサルヘカラス
（委員長）
同形ト云ヘハ楷書ナル時ハ總テ楷書ニ署スヘシトノ意ナルヤ
（本尾委員）
否文字ヲ變更セサル以上ハ楷行草執レヲ問ハス之ヲ同形ト云フ意義ナリ
（委員長）
「同形」ノ文字ハ削除スルヲ可トス獨法ハ如何
（本尾委員）
獨法ニハ同形ノ文字ナシト雖モ届出ノ時登錄簿ニ押花ヲ爲ス之レ卽チ本朝ノ印鑑ヲ納メタルニ當ルナリ
（周布委員）
商號ハ略シテ用フル事ヲ得スト爲セハ充分ナリ
（鶴田委員）
「同形」ノ字ハ削除セサレハ不都合ナリ
（委員長）
然リ質問ノ付箋ヲ爲シ置キ先ツ削除ス可シ（之ニ決ス）
○本條ハ「同形ニ」ヲ削ル事ヲ質問スル事ニ決ス
○第二十五條
商號ノ新設變更及廢止ハ之ヲ商業登錄簿ニ登記ス可シ他ノ地方ノ支店ニ付テモ亦此手續ヲ爲ス可シ右登記ニ由リ一地方ニ於テハ其商號ヲ專有スルノ權利ヲ得ルモノトス
○本條ハ異議ナシ
○第二十六條
商號ハ一地方ニ於テ同一ナル可カラス若シ同一商號ノ主者數名アル時ハ附號ヲ加ヘテ互ニ區別ス可シ
商號ハ營業者ノ氏名又ハ氏ヲ以テスルヲ通例トス若シ商號主數名ニテ一箇ノ商號ヲ有スル時ハ其一名以上ノ氏名又ハ氏ニ會社タル事ヲ表ス可キ附號ヲ加フ可シ但シ責任有限ノ社員ノ氏名又ハ氏ハ商號中ニ用ユル事ヲ得ス
（委員長）
商號ハ慣例ノ如ク氏名ニアラサル方便益ナリ何トナレハ氏名ノ商號ナル時ハ之ヲ他人ニ賣ル事ヲ得サルナリ
○本條ハ修正ナシ
○第二十七條
家督相續ニ因テ商業ヲ讓受ル者又ハ契約ニ依テ商業ト共ニ商號引受クル者ハ第八十二條ニ規定シタル場合ヲ除クノ外亦從前ノ商號ヲ繼續スル事ヲ得可シ
又社員ノ退社又ハ入社シタル後ト雖モ從前ノ商號ヲ改ムル事ヲ要セス但シ退社員ノ氏ヲ商號中ニ保續セントスル時ハ本人ノ許諾ヲ受ク可シ
○本條ハ修正ナシ
○第二十八條
商號ハ其營業ト供ニスルニ非サレハ他人ニ販賣讓與スル事ヲ得ス若シ營業ヲ廢スル時ハ商號モ隨テ消滅スルモノトス
○本條ハ異議ナシ
于時午後第十二時散會