○第一讀會第二十二回
明治十九年四月廿二日
欠席 周布委員
仝 岸本委員
○第四百十一條
雙方其每期限ノ末ニ計算ヲ完了シ契約上ノ期限又ハ相當ノ期限內ニ其計算書ヲ相手方ニ送付シテ其承認又ハ故障申立ヲ求ム可シ
○本條ハ別段異議ナク左ノ如ク修正ス
第四百十一條雙方每期限ノ末ニ計算ヲ完了シ契約上ノ期限又ハ相當ノ期限內ニ其計算書ヲ相手方ニ送付シテ其承認又ハ異議ノ申出ヲ求ム可シ
○第四百十二條
若シ故障申立テサルカ或ハ依然交互計算ノ關係ヲ繼續スルトキハ其計算ヲ默認シタル者ト看做ス可シ
（本尾委員）
依然トハ承諾モ又異議モ申越サヽルヲ云フ
○本條ハ左ノ如ク修正ス
第四百十二條異議ヲ申出テス或ハ依然交互計算ノ關係ヲ維續スルトキハ其計算ヲ默認シタルモノト看做ス可シ
○第四百十三條
交互計算ニ屬スル事件ニ付各個ニ爲ス要求權利ハ交互計算ノ關係ヲ廢スルカ或ハ計算ニ對シ故障ヲ申立ツル時ニアラサレハ之ヲ貫徹セシムルコトヲ得ス
（本尾委員）
交互計算ニ付キ異議ヲ申出ルハ計算全部ニ付キ爲スモノトス故ニ其計算中ノ一部分ニ對シ異議ヲ申立ルニハ交互計算ノ關係ヲ廢セサルヘカラス何トナレハ交互計算ハ不可分ノモノナレハナリ
○本條ハ左ノ如ク修正ス
第四百十三條交互計算ニ屬スル一個々々ノ要求權利ハ交互計算ノ關係ヲ廢スルカ或ハ計算ニ對シ爭論アル時ニアラサレハ之ヲ主張スルコトヲ得ス
○第四百十四條
計算ノ承認ヲ經タル上甲者若クハ乙者ニ屬ス可キ差引殘額ハ該計算ニ憑據スルニアラサレハ之ヲ要求スルヲ得ス
○本條ハ左ノ如ク修正ス
第四百十四條計算ノ承認ヲ經タル上甲者若クハ乙者ニ屬ス可キ差引殘額ハ單ニ其計算ニ憑據シテ之ヲ要求スルコトヲ得
○第四百十五條
反對ノ契約アルニアラサレハ每期限ノ末ニ生スル差引殘額ハ新負債額トシテ後期ノ計算ニ移スコトヲ得可シ
異議ナク原案ノ儘ニ決ス
○第四百十六條
他ノ契約若クハ慣例ナキトキハ總テ商事上ノ要求及ヒ負債ハ交互計算法ヲ以テ之ヲ處理スルコトヲ得ヘシ
○本條ハ左ノ如ク修正ス
第四百十六條他ノ契約若クハ慣習ナキトキハ總テ商事上相互ノ權利義務ハ交互計算ヲ以テ處理スルコトヲ得ヘシ
○第四百十七條
取引上甲者常ニ權利ヲ得乙者ハ時々計算ヲ以テ支拂ヲ爲シ之ニ依テ交互計算ヲ生スルトキト雖トモ其要求權利ハ交互計算ノ方法ニ憑據シ期限ヲ立ルニアラサレハ之ヲ貫徹スルコトヲ得ス
（本尾委員）
本條ハ重モニ銀行ト取引ヲ爲ス場合ナリ
左ノ如ク修正ス
第四百十七條取引上甲者常ニ權利ヲ得乙者ハ時々割拂ヲ以テ支拂ヲ爲シ之ニ依テ交互計算ノ關係ヲ生スルトキハ其要求權利ハ交互計算ノ方法ニ憑據シ其期限ニ於テ之ヲ主張スルコトヲ得
○第四百十八條
交互計算ノ要求金ハ契約上ノ取極ナキトキ又延滯ノ有無ニ拘ハラス債主ニ對シ相當ノ利足ヲ付ス可キ者トス
（本尾委員）
交互計算中ノ要求權ニ對シテハ其利子ヲ付スヘシト云フニ在リ故ニ總計算ノ「サルトー」卽チ差額ニ利子ヲ付スルニアラス
左ノ如ク修正ス
第四百十八條交互計算中ノ要求權利ニ付テハ延滯ノ有無ニ拘ハラス又契約上ノ取極ナキモ其金額ニ相當ノ利息ヲ付スヘキモノトス
○第四百十九條
每計算期限ニ生スル所ノ差引殘額ニ就テハ該期限ノ末日ヲ以テ其納期ト看做ス可シ
（本尾委員）
假令ハ一月ヨリ十二月迄ヲ交互計算時期トセハ十二月ニ至リ總計算シ殘額アルトキハ其殘額支拂期日ハ其十二月ノ末日ト爲スヲ云フ又其殘額ニハ利子ヲ付スルモノトス
○本條ハ左ノ如ク修正ス
第四百十九條每期限ニ生スル計算ノ差引殘額ニ就テハ其期限ノ末日ヲ以テ支拂期日ト看做ス可シ
○第四百二十條
交互計算ハ其中ニ在ル要求權利及ヒ負債上ニ就キ他人ニ對シテ其效ナキモノトス
（本尾委員）
例令ハ甲乙間ニ交互計算ノ關係アリトテ甲ノ振出シタル爲替又ハ裏書シテ他人ニ移轉シタル爲替ヲ乙ニ持參シ支拂ヲ乞フトキ乙ハ甲トノ交互計算アリトテ其支拂ヲ拒ムヲ得サルヲ云フ
○本條ハ左ノ如ク修正ス
第四百二十條交互計算ノ關係ハ其中ニ在ル要求權利及ヒ負債ニ就キ第三者ニ對シテ其效ナキモノトス
○第四百二十一條
交互計算ハ何時ニテモ一方ヨリ之ヲ辭スルコトヲ得一方ノ死亡シ又ハ身代限ト爲リタルトキハ自ラ解クル者トス
別段異議ナク左ノ如ク修正ヲ加フ
第四百二十一條交互計算ノ關係ハ何時ニテモ一方ヨリ隨意ニ之ヲ辭スルコトヲ得ルノ外一方ノ死亡又ハ破產ニ依テ自ラ解クルモノトス
○第九款 質入法
○第四百二十二條
商業取引上ヨリ生シタル要求權ヲ確實ニスル爲メノ動產ノ質入ハ書面ヲ以テ其契約ヲ爲ス可シ其契約書ハ特ニ要求ノ月日金額及ヒ理由並ニ質入ノ月日及ヒ物件ヲ記載シタルニ非サレハ其效ナキ者トス
○第四百二十三條
債主ハ質物ヲ賣却シ其要求額ヲ補償スルノ權利アル者トス但其質物債主又ハ代理者ノ現有ニ歸シタルトキニ限ルヘシ
別段異議ナク左ノ如ク修正ヲ加フ
○第九款質入
第四百二十二條商業取引上ノ要求權ヲ鞏固ナラシムル爲メノ動產ノ質入ハ總テ書面ヲ以テ其契約ヲ爲スヘシ其契約書ニハ要求權成立ノ年月日金額及ヒ原由並ニ質入ノ年月日特ニ其物件ヲ記載シタルニ非サレハ契約ノ效ナキモノトス
第四百二十三條債主ハ質物ヲ賣却シ其要求額ヲ補償スルノ權利アルモノトス但其質物債主又ハ其代理者ノ占有ニ歸シタルトキニ限ルヘシ
于時午後第三時閉會