○第一讀會第一回
明治十九年三月廿四日
○總則
○第一條
此商法中ニ規定ナキ商事ニ就テハ商業ノ習慣及ヒ一般民法ノ條例ヲ適用スヘシ
（本尾委員）
說明ニ第一商法第二慣習第三民法ト適用ノ順序ヲ示スト雖モ場合ニ依リ慣習ト民法トヲ併用スルコトナキニアラサレハ法文ハ特ニ先ツ商法ヲ適用シ次ニ慣習及ヒ民法ト爲シタル所以ナリ
（岸本委員）
慣習ト民法ト牴觸シタルトキハ慣習ヲ適用スルモノナルヘシ
（長森委員）
其場合ニ於テハ預メ先後ヲ定ムルコトヲ得ス何トナレハ慣習ヲ用ユルコトアリ又民法ヲ適用スルコトアレハナリ故ニ法文ハ敢テ先後ヲ示サス慣習及ヒ民法トセラレシナリ
（箕作委員）
刑法ノ例ニ依リ第一編總則ト爲セハ如何
（岸本委員）
「商事ニ付キ此商法ニ定期ナキ者ハ商事上ノ慣習又ハ普通民事ノ法則ニ從フヘシ」トセハ如何
○本條ハ左ノ如ク修正セラレタリ
第一條 商事ニ付キ此商法ニ規定ナキモノハ商事習慣及ヒ民法ノ條款ヲ適用ス可シ
○第二條
外國人モ亦前條ニ記載シタル諸例規ニ服從スヘキモノトス但シ現行國際條約ニ於テ特例ヲ定メタルモノハ此限ニ在ラス
（委員長）
本條ハ條約改正後ニアラサレハ適用スルコトヲ得サルナリ
（箕作委員）
本條ハ刪除スルニ若カサルヘシ
（細川委員）
本條アルモ其效力ナシ他日條約改正ニ至ラハ本條ナキモ外國人ニ適用スルコトヲ得ヘシ
（本尾委員）
本條ハ刪除セハ如何ナルヤヲ質問シテ後決定セン夫レ迄ハ先ツ未定ト爲セハ如何
（委員長）
然リ
○本條ハ質問ノ上存廢ヲ決スルコトトナル
○第三條
各種ノ商業人又ハ商事ニ就テ特ニ頒布シタル法律、布達及ヒ規則ハ商法ノ爲メニ其効力ヲ變スルコト無シ
（鶴田委員）
本條ニ於テハ商人ニ就テト商業ニ就テトヲ區別アリ其區別ハ之ヲ明瞭ニ示スコトヲ得サルカ如シ
○本條ハ左ノ如ク修正セラレタリ
第三條 各種ノ商人又ハ商事ニ付キ特ニ頒布シタル法律、命令、及ヒ規則ノ條款ハ此商法ノ爲メニ效力ヲ變スルコトナシ
○第一篇 商ヒ一般ノ事
○第一卷 商事及商人
○第四條
商事トハ第一ニ商人ニ於テ爲シタルト其他ノ人ニ於テ爲シタルトヲ別タス總テノ商ヒノ取引ヲ謂ヒ第二ニ右ノ外此商法中別ニ規則ヲ揭ケタル各事項ヲ謂フ
○本條ハ譯字ノ適否ニ付キ種々論議アリシカ途ニ左ノ如ク修正セラレタリ
○第一篇 商賣通規
○第一章 商事及ヒ商人
第四條 商事トハ商人ニ於テ爲シタルト非商人ニ於テ爲シタルトヲ剔タス總テ商賣ノ行爲其他此商法ニ規定シタル各事項ヲ謂フ