○第三讀會第三回
明治十九年三月六日
午後開會
○再議
○第十九條
（本尾委員）
本條ハ先回ニ於テロエスレル氏案ノ如ク會社タルノ稱號ヲ付スヘシト爲シ商會、組合等之ヲ隨意ニ任スルコトトセハ如何ノ議アリシ是ハ就レニ決定スヘキヤ
（委員長）
「會社ノ字ヲ付スヘシ」ト爲スコトニ決スヘシ
○第二十二條第三十三條
（本尾委員）
兩條ヲ按スルニ代務者ヲ任スルモ登記公吿スルノ方法ナシ然レトモ合名會社ニ在テ代務者ヲ任スルトキハ業務擔當者ト異ナラス且ツ商法ニ於テハ數人ニテ代理者ヲ任シタルトキハ之ヲ登記公吿スルヲ以テ通則トスルニ依リ本條モ亦之ヲ公吿セシムルコトニセハ如何ナルヤノ質問ヲ爲スコトニ決セシカ之レハ如何スヘキヤ
（委員長）
質問スヘシ
以上再議了
○第六十二條 原案第八十六條第一仝 第八十八條
社員ハ會社契約ノ有期又ハ無期ナルニ拘ハラス總社員ノ承諾ヲ得テ退社スルコトヲ得
社員ノ退社ハ重要ノ事由アルニ非サレハ事業年度ノ末ニ限ル可シ
異議ナシ
○第六十三條 原案第八十六條
左ニ揭ケタル者ハ退社シタルモノトス
一 除名セラレタル者
二 嗣員ナキ死亡者
三 破產者
四 無能力者
五 其他商業ヲ營ム能力ヲ失フタル者
異議ナシ
○第六十四條 原案第八十七條
社員退社シタルトキハ會社ハ速ニ其登記公吿ヲ受ク可シ
異議ナシ
○第六十五條 原案第九十一條仝 第九十二條
會社ハ退社員ノ爲メ特ニ精算書ヲ製シ退社ノ時ノ割合ヲ以テ其持分ヲ拂渡ス可シ但會社ノ負債其貸方ニ超過スル場合ニ於テハ退社員ハ其負擔ニ歸スヘキ負債高ヲ會社ニ仕拂フノ義務アルモノトス
退社前ノ取引ニシテ未タ結了セサルモノハ其結了ヲ竢テ精算スルコトヲ得
「精算」ヲ總テ「淸算」ニ改ムルコトニ決ス
○第六十六條 原案第九十三條第一
退社員ノ持分ハ特約アルニ非サレハ其出資ノ種類ヲ問ハス金圓ヲ以テ拂渡ス可シ但出資勞力ナルトキハ其價格ヲ償フノ義務ナキモノトス
異議ナシ
○第六十七條 原案第九十條仝 第九十四條
退社員ハ未結ノ取引ニ付會社ト關係ヲ有スルノ外社員タルノ權利義務ナキモノトス然レトモ退社前ニ係ル會社ノ負債ニ付テハ退社後一年間尙ホ無限ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス
異議ナシ
○第六十八條 原案第八十九條
社員ノ退社ノ爲メ會社ハ解散セサルモノトス
「社員ノ」ノ「ノ」ヲ削ル
○第五節 會社ノ解散
○第六十九條 原案第九十五條
會社ハ左ノ場合ニ於テ解散スルモノトス
一 會社存立期限ノ終リタル時
二 會社契約ニ定メタル解散事由ノ生シタル時
三 總社員ノ承諾
四 會社ノ破產
五 裁判所ノ處分
異議ナシ
○第七十條 原案第九十六條
會社支拂ヲ停止シタル時ハ破產シタルモノトス
異議ナシ
○第七十一條 原案第九十七條
會社其目的ヲ達スル能ハス若クハ其地位ヲ維持スル能ハサルニ至リ一名又ハ數名ノ社員ヨリ其理由ヲ以テ解散ヲ申立ルトキハ亦裁判所ノ處分ヲ以テ之ヲ解散セシムルコトヲ得
「能ハス」ノ上ニ「コト」ノ二字ヲ挿入ス
○第七十二條 原案第九十八條
第六十九條、第一項第二項ノ場合ニ於テハ總社員又ハ一部社員ニ於テ會社ヲ保續スルコトヲ得但之ニ加ハラサル社員ハ退社シタルモノトス
異議ナシ
○第七十三條 原案第九十九條
會社解散スルトキハ總社員ノ多數決ヲ以テ結算人一名又ハ數名ヲ撰定シ速ニ其解散ノ事由、年月日及結算人ノ氏名ノ登記公吿ヲ受ク可シ但破產ニ依リ解散スル場合ハ此限ニ在ラス
（本尾委員）
「會社解散スルトキハ破產ニ依リ解散スル場合ノ外總社員云々」ト爲シ但書ヲ削ルヘシ（之ニ決ス）
○第七十四條 原案第百一條
結算人ハ會社ノ借方ヲ償却シ貸方ヲ取立テ物件ヲ賣却シ其他殘務ヲ結了ス可キモノトス
結算人ハ結算ノ爲メニ非サレハ營業ヲ保續シ又ハ新ニ取引ヲ爲スコトヲ得ス
異議ナシ
○第七十五條 原案第百二條
結算人ノ擔任事務ハ社員之ヲ制限スルコトヲ得ス然レトモ重要ノ事由アリテ社員ヨリ申立ルトキハ裁判所ノ處分ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
異議ナシ
○第七十六條 原案第百三條
結算人擔任ノ事務ヲ結了シタルトキハ各社員ニ其計算書ヲ報吿シ第四十八條及第六十六條ニ照シテ其財產ヲ分配ス可シ但支障ナキ財產ハ結算中ト雖モ之ヲ分配スルコトヲ得
異議ナシ
○第七十七條 原案第百六條
會社帳簿其他書類ノ保存ハ第十條ニ從ヒ社員ニ於テ之ヲ擔任ス可シ
異議ナシ
○第七十八條 原案第百八條
社員會社ノ負債ニ對スル無限責任ノ期滿免除ハ其解散後五ケ年トス但他ノ法律ニ定メタル五年以內ノ期滿免除ニ係ルモノハ此限ニアラス
未タ分配セサル會社財產ニ對シテハ前項ノ期限ニ拘ハラス會社ノ債主其要求ヲ爲スコトヲ得
異議ナシ
○第三章 合資會社
○第七十九條 原案第百九條
社員中ノ一名又ハ數名ノ責任ニ付特約アルニ非サレハ總社員ノ責任出資ト爲シタル金圓又ハ有價物件ノ額ニ限ル會社ヲ合資會社ト爲ス
合資會社ハ社員ノ數ニ制限ナキモノトス
（細川委員）
ロエスレル氏案ノ方却テ明瞭ナリ
○本條ハ「社員ノ責任其一名又ハ數名ニ對シ特約アルニ非サレハ其出資ト爲シタル金圓云々」ニ修正ス
○第八十條 原案第百十條
合資會社ハ本章ニ定メタル規則ノ外總テ合名會社ノ規則ニ從フモノトス
異議ナシ
○第八十一條 原案第百十一條
合資會社ノ登記公吿中ニハ第二十二條ニ列記シタルモノヽ外尙ホ左ノ事項ヲ揭ク可シ
一 會社資本ノ總額
二 各社員ノ出資額
三 無限責任社員アルトキハ其氏名
四 取締役ノ責任有限若クハ無限及其氏名
異議ナシ
○第八十二條 原案第百十二條
社名ニハ社員ノ氏名ヲ用ユルコトヲ得スト雖トモ無限責任社員アルトキハ其氏名ヲ用ユルコトヲ得
社名ニハ必ス合資會社ノ字ヲ附ス可シ
社名ニ氏名ヲ用ヒタルトキハ其社員ハ會社ノ負債ニ對シ無限責任ヲ負フモノトス
異議ナシ
○第八十三條 原案第百十三條
社員ハ會社ノ營業ト同種ノ取引ヲ爲シ又ハ之ニ與カルコトヲ得
（細川委員）
本條及ヒ第四十七條共ニ「與カル」トアルヲ「參與スル」ト改ムヘシ（之ニ決ス）
○第八十四條 原案第百十五條
會社契約又ハ會社ノ決議ヲ以テ社員中ヨリ一名又ハ數名ノ取締役ヲ撰定ス可シ
異議ナシ
○第八十五條 原案第百十六條
取締役ハ會社ヲ代表スルノ全權ヲ有スルモノトス但會社契約又ハ會社ノ決議ヲ遵守セサル可カラス
異議ナシ
○第八十六條 原案第百十七條
取締役ノ代表權利ノ制限ハ善意ヲ以テ取引ヲ爲シタル社外ニ對シ無効トス
（鶴田委員）
本條ニハ社外人トアリ第五十四條ニハ社外アリ何レカ一定スヘシ前條ニ「人」ヲ加フ可シ（之ニ決ス）
（本尾委員）
無効ノ上ニ其制限ハト改ムヘシ
○本條ハ左ノ如ク修正ス
取締役ノ代表權利ニ制限ヲ立ルモ善意ヲ以テ取引ヲ爲シタル社外人ニ對シ其制限ハ無効トス
○第八十七條 原案第百十八條
有限責任社員ハ特約アルニ非サレハ取締役ノ承諾ヲ得テ其持分ヲ他人ニ賣渡讓渡スコトヲ得其買受讓受人ハ舊社員ノ權利義務ヲ繼承シタル者トス
（本尾委員）
「特約アルニ非サレハ取締役」ヲ「會社」ニ改ムヘシ（之ニ決ス）
于時午後第四時閉會