○第二讀會第五十八回
明治十九年二月廿五日
欠席 箕作委員
仝 渡邊委員
仝 周布委員
仝 長森委員
仝 岸本委員
午前開會
（本尾委員）
昨日ロエスレル氏ニ卸責其他疑義ニ涉ルノ件質問シテ答辯ヲ得タレハ先之ヲ報吿スヘシ
第百九十三條卸責トハ結算事務結了ノ責任ヲ解キタル迄ニシテ結算人タルノ本職ヲ解キタルニハアラスヤ又ハ結算人ノ職務ハ此ニ於テ終ヲ吿クルノ意ナリヤ
答 結算人ノ事務ヲ了リタルモノニシテ則擔任事務ノ責任ヲ解ク迄ナリ
問 然ラハ第百九十五條ノ三ケ月以內ニ決算事務上ニ付申込ミタル者アルトキハ必ス該規定ニ從テ處分セサルヘカラス之ヲ處分スルノ權アレハ責任モ亦負擔スヘキハ論ヲ俟タサル如シト雖モ第百九十三條ニ於テ結算事務ノ責任ヲ解キタルモノトスルトキハ前後少シク矛盾スル所ナキニアラスヤ
答 第百九十五條ノ三ケ月云々ハ注意ノ爲メニ設クルモノニ外ナラサルナリ如何トナレハ卸責ヲ爲スニ當テハ決シテ第百九十五條ノ場合ヲ生起スルコトナシト雖モ或ハ洩ルニモノナキヲ保セサレハ此ニ其明條ヲ揭タルナリ然レトモ法律ニ於テ卸責ヲ與フルニ就テハ毫モ缺㸃ナキヲ認メサレハ與ヘサルモノナレハ敢テ實際ニ向テハ不都合ヲ呈スルコトナカルヘシト
問 第百九十一條ニハ結算計算ノ結了シタルトキハ云々トアリ第百九十八條ニハ結算ノ最終トアリ然ルニ卸責トハ其事務ノ結了シテ責任ヲ解キタルモノトスルトキハ後條ノ最終トハ如何ナルモノヲ云フヤ若シ第百九十一條ニシテ全ク結算人ノ解任トスルトキハ第百九十一條ニ卸責トナスハ不適當ナルカ如シ
答 結算人ノ職務ヲ終了セシハ第百九十八條ノ事柄ヲ爲シタル後ニ於テス然レトモ結算事務タル種々アルヲ以テ彼ノ第百九十一條ノ如キハ其內ノ一部ヲ卸責シタルモノニシテ假令ハ結算事務ヲ十箇トシ其中ノ八箇ヲ結了シタルモノニシテ未タ其殘二箇ハ存スル場合ノ如シ然レトモ其二箇ハ結算中ノ重要ナルモノニアラス其繁切ナルモノハ已ニ爲シタル所ノ八箇中ニアルモノトス要スルニ他ノ二箇ハ定式ニ過キサルモノナリ
問 其辯明ハ能ク了シタリ然レトモ我邦文ヲ以テスルトキハ終局ヲ再ヒスルノ嫌アルヲ以テ第百九十一條ノ卸責ヲ削除シテ結算人ハ第百九十八條ニ於テ解任ヲ爲スモノトセハ如何
答 敢テ不可ナカルヘシト雖モ廣吿ノ事タル結算事務ノ終リタル後ニアラサレハ爲スコトヲ得ス然ラハ卸責ト解任トヲ同一ニナスハ不可ナリ
問 卸責ヲ爲スニハ證據ヲ與フルヤ如何
答 證據ヲ渡スハ必要トセス如何トナレハ總會ノトキノ筆記アリテ詳細ニ決議ノ次第ヲ記載スルモノナレハ其筆記タル則證據物ナリトス尤モ與フルト爲スル强テ不都合アルヲ見ス
卸責ノ事ニ付テハ右陳スル所ノ如シ
○右ノ說明ニ依リ卸責ハ都テ卸任ト修正スルニ決セリ
○第百七十五條 原案第二百三十六條
會社解散ノ場合ニ於テハ仕掛リノ取引ヲ完結シ或ハ在來ノ會社義務ヲ盡スノ外直ニ業務ヲ停止ス可シ
取締役前項ノ範圍ヲ踰ヘテ營業ヲ爲ストキハ之ニ對シ自己ノ全財產ヲ以テ其責任ヲ負ハサル可ラス
（本尾委員）
本條質問ノ要㸃ハ左ノ如シ
本條ノ規定タル前條ノ事項生スルヤ否直ニ之ヲ適用スルノ精神ナルヤ果シテ然ルトセハ少シク酷ニ涉ルノ恐レナキニアラス依テ營業ヲ停止スルハ登記公吿ヲ終リタル後ヲ俟テ爲スモノトセハ如何答否前條ハ已ニ解散スヘキ場合ノ生シタルモノニシテ第一項第三項以下ハ其事柄ノ生シタルトキ直ニ本條ノ處分ニ移ルモノトス第二項ノ如キモ解散スヘシト思意スルトキハ直ニ營業ヲ停止セサルヘカラス要スル本條ノ精神タル若シ其事生スルモ一々決議ヲ待ツトセハ其間如何ナル弊害ヲ生起スルコトナキヲ保セサルヲ以テナリ
○本條ハ呈案ニ決ス
○第百九十八條 原案第二百五十九條
結算ノ最終ニ於テ結算人左ノ件々ヲ裁判所ニ屆出且廣吿ス可シ
一 支拂又ハ示談ニ依リ總債主ニ濟方ヲ爲シタル事
二 會社ノ殘餘財產ヲ株主ニ配當シタル事及其金額
三 結算費用ヲ支拂ヒ及結算ニ就テノ要求ヲ處分シタル事
四 總會ヨリ卸責ヲ得タル事
五 會社帳簿其他書類保存ニ關スル處置ヲ爲シタル事
六 會社ノ株劵又ハ債劵ハ總テ無効ト爲リタル事
結算人ハ亦地方廳ヲ經由シテ農商務大臣ニ本條ノ屆出ヲ爲ス可シ
（本尾委員）
本條結文ハ原案ニナクシテ修正委員之ヲ加ヘタルモノナリ故ニ本條ノ事ヲ質問スルニハ先ツ之ヲ加フルノ可否ヲ問ヒ然ル後屆出手續ノコトニ及ハサルヘカラス故ニ先ツ之ヲ設ケタルノ不可ヲ問ヒシニロエスレル氏モ之ヲ加フヘシトセリ而シテ本條ノミナラス第百七十八條ノ二項ニ之ヲ加フルモ可ナリ又ソノ方トモニ此意味ヲ揭載スルモ不可ナシト其ヨリ第二ノ㸃則屆出ハ地方廳ヲ經由シテ農商務省ニ屆出ルノ手續ヲ止メ裁判所ニ屆出ルモノナレハ之ヨリ轉報セシムルモ可ナルヘシ其之ヲ爲スノ人ハ結算人ヨリ株式ノ方相當ナルニハアラスヤトノ答辯ニ然ラス更ニ結算人ヨリ屆出サルヘカラス何トナレハ結算人ハ會社ノ代表者タルヲ以テナリ又此際ニ當テハ株主ナルモノヽ存スルナシト
（細川委員）
第百七十八條ニ記入スルハ其旨意ノ如何ニ依テハ之ヲ爲スコトヲ得ヘシ
（本尾委員）
前ニハ該條ノ二項トシ本條ニモ亦之ヲ存シ雙方ニ加フルヲ可トス而シテ前條ニハ會社ヨリ屆出サシムルモノトシ本條ハ結算人ヨリ之ヲ爲サシムルトセハ至極照應シテ可ナラン
○右ハ第百七十八條ニモ之ヲ加フルコトニ決ス則チ左ノ如シ
會社ハ亦地方廳ヲ經由シテ農商務大臣ニ前項ノ屆出ヲ爲ス可シ
○第百七十四條 原案第二百三十二條
會社ハ左ノ場合ニ於テ解散スルモノトス
一 定款ニ規定シタル場合
二 任意解散ノ場合
三 株主七名未滿ニ減シタル場合
四 資本四分一未滿ニ減シタル場合
五 支拂停止ノ場合
六 裁判上ノ處分
（本尾委員）
本條第五項ニ支拂停止トナシタルニ依リ合名ニモ同一ニ破產トアルヲ支拂停止ト改メテ差支ナキヤノ質議ニ對シ合名ノ部ニハ支拂停止シタルトキハ破產シタルモノトノ一條ヲ加ヘ置キタレハ更ニ第六十九條ノ四項ヲ支拂停止ト爲サヽルモ可ナリトノ答辯ニ依リ實ハ其次條ハ委員ノ決議ニ依テ削除シタルカ故ニ此ノ疑ヒヲ起シタルモノナリ該條ヲ削ルハ不可ナリ之レナキカ故ニ其疑モ亦生スルモノトス
或ハ貴設ノ如ク之ヲ加フルモ亦差支ナケレトモ又一方ヨリ考フルトキハ之ヲ削除シテ株式ト等シク支拂停止トナスモ不可ナキカ如シ
答 同一ノ精神ナレハ合名モ亦支拂停止トナスモ差支ナシト雖モ通例ハ會社ハ支拂停止シテ破產シタリトハ云ハスシテ破產ニ依テ支拂停止セリト云ヘリ其實ハ同一ナレトモ通例ニ依テ如此立案セシナリ
右ノ答辯ニ依レハ雙方トモ支拂停止トナスカ或ハ合名ノ方ハ破產トシテ原案ノ一條ヲ設クルトセハ如何
（細川委員）
本員ハ雙方トモ破產トシテ支拂停止云々ノ一條ヲ設クルヲ可トス（之ニ決ス）
（委員長）
細川委員ノ說ノ如ク雙方一二條ヲ設クヘシ
右ノ決議ニ依リ雙方トモ左ノ一條ヲ增加ス
○驫馨鹸骸次
會社支拂ヲ停止シタル時ハ破產シタルモノトス
第百七十四條ノ第五項ハ左ノ如ク改ム
會社破產ノ場合
于時十二時中止
午後一時開會
○第四節 社員ノ退社
（委員長）
退社ハ原案ニ從ヒ一節ヲ設クルモノトスルトキハ已ニ議定シタル如クニシテ差支ナキヤ
（本尾委員）
後條ハ少シク改メサルヘカラス
（細川委員）
第六十七條ノ期限ヲ例ヘハ一年トセンニ其期限內ニ責任ヲ負フヘキ事實ノ生スルコトナキトキハ其退社員ハ之ヲ免カルルノ精神ナリヤ
（本尾委員）
然リ假令ハ退社員一月中ニ滿期トナルヘキモノ三十一日ニ至リ負擔ノ事實發生シタルトキハ省其責任ヲ免カレスト雖モ二月一日ニ生シタルトキハ已ニ其義務ハ免カレタルモノトス
（細川委員）
期限ハ一年トスルモ可ナルヤ
（本尾委員）
一體五年ト改メシハ解散ノコトノ責任ト同一ニセンカ爲メナリ
第六十五條ノ二項ハ退社員ト會社トノ關係ニシテ第六十七條ハ債主ト退社員トノ關係ナリ故ニ債主ハ一年ノ後ハ退社員ニ掛リ償還ヲ受クルノ權ナシト雖モ會社ニ對シテハ之レカ要求ヲ爲スコトヲ得ヘシ而シテ其事柄ニシテ會社ト退社員トノ間ニ於テハ禾タ結了セサル所ノモノナレハ會社ハ自己ニ拂ヒタル高ヲ社員ニ割當テ其退社員モ亦一部ノ義務ハ免カルヽヲ得ス
第六十五條ノ二項ヲ左ノ如ク改ムヘキコトニ決ス
退社前ノ取引ニシテ未タ結了セサルモノハ其結了ヲ竢テ精算スルコトヲ得
（鶴田委員）
第六十七條ノ上文ト然レトモ以下トハ何分接續セサルカ如シ
（本尾委員）
原案ハ兩條ナリシモ修正委員ニ於テ之ヲ合併シタルナリ其理タル退社員ハ未結ノ取引ノ外ハ社外ニ對シテハ權利モ義務モナキモノナレ共會社ノ負債ニ對シテハ一年間無限責任ヲ負フモノトノ手續ナレハ敢テ接續セサルモ不可ナキカ如シ
○第六十七條ノ期限ハ一年ト決定ス
○第百九條 原案第百四十九條
會社ハ前條ノ金額拂込ノ後速ニ其本店及支店ノ地ニ於テ登記公吿ヲ受ク可シ
（本尾委員）
本條ノ質問ハ左ノ如シ
原案ノ第一項ヨリ六項迄ハ登記役所ニ呈出スヘキ旨ヲ示シ此數項ヲ一々記載スルノ規定ニアラス其公吿ノコトノ如キハ次條ニ之ヲ定メタリ合名ノ部ニ於テ登記ト公吿トハ一條ニ之ヲ設ケタリ然ルニ株式ニ至テ之ヲ別ニセシハ何ノ要用アルヤ又原案第百四十七條ノ書類ヲ役所ニ提出スルハ如何ナル理由アツテ然ルヤ
答 合名會社ハ無限責任ナルヲ以テ多數ノ人モ恰モ一人ト異ナルナシ故ニ登記公吿ソ手續ヲシテ密ナラシメサルモ可ナリト雖モ株式ハ有限會社ニシテ登記役所ニハ都テノ書類ヲ檢閱シ置カサレハ不可ナリ然ルニ之ヲ盡ク登記スルヤト云フニ全ク必要ナラサルモノアリ故ニ其內ニ就テ緊要ナルヲ取リ登記公吿スルモノトス若シ總テ登記公吿セヨト云ハヽ目論見定款迄モ亦揭ケサルヘカラス原案ノ意タル書類ヲ裁判所則登記役所ニ提出シテ其內ニ就キ登記公吿ヲナスヘキモノトス書類ノ提出ハ之ニ係ハラサルナリ就テハ修正案ノ如クシテ不可ナリヤ否毫モ差支ナシ
右ニ依リ修正案ニ決ス
○第百四十一條 原案第百九十條
臨時總會ハ臨時ノ事件ヲ議スル爲メ何時ニテモ之ヲ招集スルコトヲ得
總株金五分一以上ニ當ル株主ノ請求アルトキハ亦臨時總會ヲ招集セサル可カラス
（本尾委員）
本條質問ノ要㸃左ノ如シ
原案ニハ理由ヲ擧ケ申立ルトキトアリ其申立ヲ爲スニ理由ヲ擧クルハ必要ナリヤ若シ如此理由アルヲ以テ總會ヲ招集スヘシト請求セシニ取締役ニ於テ其理由ハ未タ以テ總會ヲ招集スルニ不足トシ之ヲ拒絕スルノ弊ヲ生スルアラン然レトモ此理由トセシハ總會ヲ招集スルニハ十四日以前ニ其議事ノ要旨ヲ通知セサルヘカラサレハ之レカ爲メニ其理由ヲ陳述スルノ意ナリヤ
答 理由ヲ擧ケトアルハ議事ノ要旨ヲ通知セサレハ總會ヲ開クコトヲ得サルヲ以テ之レカ爲メニ申立テヲ爲サシムルモノナリ
問 然ラハ之レナキモ實際ハ其要旨ヲ陳述スルモノナレハ削除シテ毫モ差支ナカルヘシ
答 若シ之ヲ削ラハ止タ總會ヲ招集セヨトノミ申立ルコトヲ得ルナレハ之ヲ招集センニ其議事ノ要旨ヲ記スルコト能ハサルヘシ否記載ナキモ其要旨ヲ申立テサレハ開會スルコトヲ得ス本員カ記載シタルノ精神ハ止タ通知ノトキ其要旨ヲ記載セサルヘカラサルヲ以テ之レカ爲メ理由云々トナシタルナリ然レトモ果シテ必要ナラストセハ隨意ニ削除スルモ可ナリト
○本條ノ二項ハ左ノ如ク改ム
總株金五分一以上ニ當ル株主ヨリ會議ノ目的ヲ擧テ申立タルトキハ亦臨時總會ヲ招集セサルヘカラス
○第百四十六條 原案第百九十七條
社名變更ノ許可ヲ得タルトキハ會社ハ其許可ノ旨ヲ付シテ登記公吿ヲ受ク可シ登記公吿前ニ在テハ新社名ヲ用フルコトヲ得ス
（本尾委員）
本條ノ負債證劵ハ外國ニ於テハ特別二條例ヲ設ケタリヤ又其條例ハ如何ナル方法ヲ以テ組立テシヤ
答 別二條例アルヲ聞カス然レトモ外國ニテハ株式會社ハ勿論一己人ト雖モ之ヲ發行セリ其發行ノ際ニ當テ官ヨリ許可ヲ與フモノナリ故ニ本案ニ於テ別一ニノ條例ヲ設ケスシテ之ヲ發行スル每ニ主務省ノ許可ヲ受クルモノトセハ可ナリ而シテ原案ニハ資本增減ノコトハ裁判所ニ屆出ルノ規定ナレトモ之ヲ主務省ノ許可ヲ受クルモノトシ債劵モ此中ニ包含セシメ其制限ハ第百五十八條ノ株劵ト同一ニセハ可ナリト右ノ答辯ニ依レハ資本增減モ亦主務省ノ許可ヲ受クルモノトナスノ精神ナレトモ本員ハ只タ債劵發行ニ限リ主務省ノ許可ヲ受クルモノトセハ不都合ナカル可シト信ス
（委員長）
之ヲ設クル可ナルヘシト雖モ我邦未タ其例アラサレハ或ハ實際上ニ不都合ナルヲ保セス
（細川委員）
人民ハ必ス之ヲ喜フナラン且事業ヲ起スニハ尤モ簡便ニシテ必要ナルモノナレハ事業者ハ發行スルニ至ルハ疑ヲ入ルヘカラス
（本尾委員）
本條ハ負債證劵ヲ發行スルモノトシ尙修正シテ呈出スヘシ
○第百五十九條 原案第二百十七條
會社ハ株金ノ全部又ハ一部ヲ株主ニ拂戾スコトヲ得ス又株主ニ在テモ之ヲ領收スル事ヲ得ス若シ拂戾シ又ハ領收シタルトキハ會社ノ債主ニ在テモ直接ニ其金額ヲ償還セシムルヲ得
（本尾委員）
本條 原案ニ於テハ罰金ノコトヲ揭タリ修正委員ニ於テハ之ヲ削除シタルニ罰金アルカ爲メ本條ヲ設クルモノナレハ罰金ヲ削ラハ本條ナキモ可ナルカ如シトノ議論アリシカ途ニ其罰金ニ付テ質問スルコトニ決シタリ依テ之ヲ質シタルニ罰金ノ項ヲ削ルモ差支ナシ第二項ハ會社又ハ債主ヨリ直ニ其金額ヲ辯償セシムルコトヲ得トシ罰金ハ委員ノ說ニ從テ削除シタリ
○本條ハ第二項ハ一旦削除ニ決セシモ尙之ヲ存スルモノトシ左ノ如ク修正シタリ
若シ拂戾シタルトキハ會社又ハ債主ヨリ其金額ヲ償還セシムルヲ得
○第百六十四條 原案第二百二十三條
利息又ハ分配金ハ各株ニ付キ平等ニ之ヲ拂渡ス可シ
（本尾委員）
本條質問ノ要㸃ハ原案ニ拂込ミタル金額ニ應シトアルハ同時ニ發行シタル株式ハ皆平均ニ金員ヲ拂込ムノ意ナルヤ又ハ同時ニ發行シタルモノト雖モ拂入ハ不平等ニナルモ差支ナキノ意ナリヤ若シ平均ニ拂入ルヽモノナレハ拂込ミタル金額トハ不要ナルカ如シ
答 株劵ノ同一ニシテ同時刻ニ發行シタルモノハ同一ニ拂込マサルヲ得ス然レトモ一回拂込ミタル後ニ都合アリテ拂込ノ出來サルモノアリ此等ハ會社ニ沒收シテ再度拂込ノ高ヲ以テ賣却スルニ依リ會社ニ損害ヲ受クルコトナシト雖モ未タ沒收セサル以前ニ於テ拂込ノ期到着シタルトキハ不平均ヲ生スルニ至ルヘシト
仍チ本條ハ左ノ如ク修正シタリ
利息又ハ分配金ハ各株ニ付拂込ミタル金額ニ應シ平等ニ之ヲ拂ヒ渡ス可シ
○第百六十九條 原案第二百二十八條
檢査官吏ハ檢査ノ次第及役員ノ供述ヲ筆記書トナシ之ヲ裁判所ニ報複ス可シ
檢査ノ申立ヲ爲シタル株主其他望ノ者ニハ前項ノ筆記書ノ寫ヲ下付スルコトヲ得
（本尾委員）
原案ニハ筆記書ノ寫ヲ會社ニ義務トシテ下付スルコトニ規定アリ然ルニ修正委員ニ於テ是ヲ變シテ株主其他望ノ者ノミ下付スルコトヽセハ如何
答 會社ニ下付スルヲ相當トス何トナレハ株主ハ會社ノ一部分ナレハ會社ニ下付スルトキハ皆之ヲ閱讀スルコトヲ得ヘシ
然レトモ株主ノ申立ニ依テ檢査シタルモノナレハ會社ニ下付スルハ少シク適當ナラサルカ如シ
答 否之ヲ削除スル不可ナリ
○本條第二項ハ左ノ如ク修正シタリ
裁判所ハ筆記書ノ寫ヲ會社ニ下付ス可シ又株主其他望ノ者ニハ之ヲ下付スルコトヲ得
于時四時閉會