○第二讀會第五十五回
明治十九年二月十八日
欠席 箕作委員
仝 渡邊委員
仝 周布委員
午前開會
○第十二節中質問及答辯
（本尾委員）
本節中質問ニ係ルモノロエスレル氏ノ答辯ヲ得タレハ左ニ陳述スヘシ
第二百三十條及其他ニ訴訟ヲナシトアリ右ハ原吿トナルヘキコトヲ云フノ意ナリヤ
答 訴訟ヲ爲シトハ原被吿トナルコトヲ得ヘキ精神ナリ最モ重ニ原吿トナルノ場合ヲ云フ而シテ起訴ノトキヨリ原吿トナルアリ又ハ中途卽控訴ニ依テ原吿トナル可キ場合アルニヨリ原吿被吿ト記載スルモ差支ナシ
問 修正案第百七十二條ニ於テ二十分一ニ當ル株主ハ云々トアリ此ニ故ラ二十分一ノ株主團結シテ訴ヲ爲スコトヲ得ヘキ旨ヲ記載セシハ如何株主ニ於テ取締役ノ處置不當ナルニ依リ訴ヲ爲スニ二十分一ノ團結ニアラサレハ能ハサルノ理ナカルヘシ能ク本條ノ精神ヲ玩味スルトキハ普通法ト毫モ異ナルナキカ如シ
答 第百七十一條ハ總株主ノ團結シテ訴ヲ爲スノ場合第百七十二條ハ株主ノ一部分團結シテ訴ヲ爲スノ場合ヲ示ス本條ハ株主ノ出訴上ニ付テノ特權ヲ與フルモノニシテ普通法ニ依ルトキハ三人ニテ訴ヲ爲サン騨二人ノ代言ヲ依賴スルトキハ三人ノ代理トシテ出庭スヘシ本條ハ之ニ反シ訴訟ノ事件ハ何人アルモ同一事ナルヲ以テ一人每ニ代理ヲ委任スルノ煩ナク二十分一以上ノ株主一ノ訴狀ヲ以テ訴フルコトヲ得故ニ普通法トハ全ク其趣ヲ異ニス若シ普通法ニ依ルトキハ一々委任狀ヲ交付シテ起訴ノ手續ニ及ハサルヲ得ス實ニ忙繁モ亦極マルト云フヘシ本條ハ是等ノ繁ヲ省カンカ爲メニ設ケタルモノトス
問 本條ノ場合ニ於テ佛法ニハ共通ノ利益云々トアリ本條ニ之ヲ加ヘハ如何
答 二人以上ニテ訴ヲ爲スハ皆共通ノ利益ナラサルハナシ故ニ之ヲ加ヘサルモ不可ナシ委員ノ說或ハ數人ニシテ一ノ訴ヲナスノ見込ヨリ論議アリタルナシヘシト雖モ原案ニ於テ已ニ其意味ハ充分解シ得ラルヘシ何トナレハ訴訟ハ一通ヨリ多ク爲スコトヲ得サレハナリ
又第百七十三條ニ兩條トアルハ不可ナリ本條ノ意ハ全ク第百七十二條ニ就テ云ヒシナリ總會ノ決議ハ多數ヲ以テ決定スルモノナシハ此決議ニ漏レタルモノニ於テ各自ニ訴ヲ起スコトヲ得ハ甚タ不都合ノ結果ヲ生スヘシ故ニ本條ハ全ク第百七十三條ノミニ係ルモモノニシテ同條ノ第二項トナスヲ可トス否ラサレニ原案ノ精神ト異ナルニ至ルヘシト
右ノ質問答辯ニ依テ第百七十二條第百七十三條ヲ修正シテ左ノ如ク改メラレタリ
第百七十二條會社資本ノ少ナクトモ二十分ノ一ニ當ル株主ハ代理委員ヲ以テ取締役又ハ檢査役ニ係ル訴訟ノ原吿又ハ被吿ト爲ルコトヲ得但之レカ爲メ株主各自ノ名ヲ以テ原吿被吿又ハ間吿ト爲ルノ權利ハ妨ケラルヽコトナシ
○第百七十一條ハ左ノ如ク再ヒ修正アリ
第百七十一條 云々又ハ檢査ニ係ル訴訟ニ付原吿又ハ被吿ト爲ルコトヲ得
○第十三節中質議答辯
問 決議ノ文字ハ如何ナル意味ヲ包含スルヤ第百七十四條ノ別項中ニハ總會ノ決議ヲ爲シ能ハサルモノアリ故ニ委員ニ於テハ原案第二百三十四條ノ場合ハ此決議ノ文字ヲ削除シタリ如何トナレハ同條第六項ノ如キハ裁判所ニ於テ解散ノ申渡シアリシトキ決議トセハ取締役ニ於テ其申渡シニ對シ速ニ總會ノ決議ヲ以テ解散セシムヘシトノ單ニ受書ヲ差出スニ止マリ其時已ニ解散ノ實ヲ行フコト能ハサルヘシ又破產ノ時ニ於テモ必要ナラス且第二項ノ如キハ本條ニ依テ決議シタルモノ尙後條ノ規定ニ依テ再ヒ同一事件ヲ決議セサルヘカラサルニ至ラン故ニ委員ニテハ之ヲ削除セント放スルナリ
答 決議ハ要用ナリ然レトモ委員ノ削ラント欲スルハ決議ニアラスシテ決議ヲ爲ス能ハサルモノアルヲ削ラント欲スルナリ本條第二項ハ再ヒ開會セサルモ不可ナシ止タ其手續ヲナスニ過キサレハ其序ニ於テセハ充分ナリ第五項ノ場合ハ決議ヲ取ルハ可ナリ何トナレハ支拂停止ニ係ルノ際ニテ總會ヲ開クトキハ又株主ニ於テ之ヲ維持スルノ道ヲ講スルモノナシトセサレハナリ第六項ニ至テハ少シク不都合ナキニアラス就テハ疑問ノ㸃ハ再ヒ修正シテ呈スヘシト吿ケ左ノ意味ヲ以テ修正セラレタリ
第二項ハ任意解散ノ場合トナシ解散スヘキトキハト云フノ精神トシ
第五項ハ支拂ヲ停止スル場合トナシ
第百七十六條ニハ第六項ノ場合ヲ除クノ外トセハ不都合ナカルヘシト
問 然ラハ第二項ノ決議法ハ酷トナシ第百五條ノ決議トシ第=二四五項ハ普通決議法ヲ用ユルモ差支ナキヤ
答 然リ
問 第百七十五條ハ解散ノ決議ヲ爲シタルトキヨリ適用スルモノナルヤ又ハ解散スヘキ場合ニ至テ之ヲ適用スルヤ
答 故ニ決議ヲ爲サヽルモ己ニ解散スヘキ場合ノ生スルトキハ本條ヲ適用スルモノトス然レトモ之ヲ救フノ方法アレハ强テ之ヲ解散セシムルニ及ハサルナリ
問 然ラハ第二項ハ未タ解散ヲ決議シタル場合ニハアラサルナリ然ルヲ直ニ停止ノ處分ヲ決行スルハ如何
答 決議ノ生シタル場合ハ營業ヲ停止セサルヲ得ス何トナレハ多クハ總會ヲ開クヘキ問合ナキモノナレハ直ニ解散ノ用意ヲナシ一時仕懸リノ事ニアラサレハ爲スコトヲ得ス役員ハ此事ノ生シタルトキハ直ニ總會開散ノ手續ヲナサヽルヘカラス要スルニ總會ノ決議迄商業ノ停止ヲ見合スルヨリ解散スヘキ場合ヨリシテ適用スルノ實際ニ多キヲ以テ之ニ準シタルモノナリ
（本尾委員）
右ノ次第二依テ第百七十四條第百七十六條ハ更ニ修正セサルヲ得ス故ニ此兩條修正ノコト修正委員ニ托セラレタシ
（委員長）
更ニ修正シテ呈出スヘシ
○第十四節 會社ノ結算
○第百八十三條 原案第百一條
結算人ハ會社ノ借方ヲ償却シ貸方ヲ取立テ物件ヲ賣却シ其他殘務ヲ結了ス可キモノトス
結算人ハ結算ノ爲メニアラサレハ營業ヲ保續シ又ハ新ニ取引ヲ爲スコトヲ得ス
（本尾委員）
原案第二百四十四條ニハ第百一條乃至第百七條ノ規定ハ云々トアリ然ルニ該條ヲ株式會社ニ照合スルニ全ク適用セラルヘキモノニアラス故ニ本條ニハ之ヲ援引シテ株式ニ適用スル如ク立案セリ已ニ他ノ條ニ於テ合資ノ條ヲ全ク株式ニ移シタルノ例モ少カラサレハ旁明瞭ニ之ヲ記載シタリ
○本條ハ原案ノ通リ
○第百八十四條 原案第百二條
結算人ノ擔任事務ハ之ヲ制限スルコトヲ得ス
（本尾委員）
本條ハ合名ノ規定ト精神ヲ同フス而シテ制限トハ會社則總會ヨリ制限スルコトヲ得サル旨ヲ云フ
○本條ハ修正案ニ決ス（第百八十六條照合）
○第百八十五條 原案第二百四十五條
結算人ノ擔任事務施行ニ付テハ總會ノ決議ヲ以テ訓示ヲ與ヘ又株主若クハ債主ノ申立アルトキハ裁判所ヨリ之ヲ與フルコトヲ得
結算人ハ前項ノ訓示及本法ノ規定ヲ遵守セサル可ラス
（本尾委員）
原案ト異ナルコトナシ
（委員長）
第百八十四條ノ擔任事務トアルハ少シク明瞭ヲ缺クニ似タリ
（本尾委員）
擔任事務トハ第百八十三條ノ場合ヲ云フ則是等ノコトヲ制限スルヲ得サルヲ云フ然レトモ本條ニ於テ總會ハ之ニ訓示ヲ與フルコトヲ得假令ハ負債辨償ヲナスニハ如此方法ヲ用ユ可シ又貸金取立ニハ如此方法ヲ用ユヘシトテ其事務取扱上ニ付方法仕方ヲ示スモノナリ
（岸本委員）
第二項ハ不用ナルカ如シ
（本尾委員）
否本條ハ訓示ヲ與フルノ規定ニシテ其訓示ハ本法ノ規定ニ反スルコトヲ得ストノ意味ヲ示スモノナレハ甚タ必要トス
（岸本委員）
訓示書ハ解散總會ノ時ニ於テ調製スヘキモノナルヤ
（本尾委員）
其際ニ作ルモ亦其後ニ於テ調製スルモ差支ナシ此場合ニ於テハ之レカ爲メ更ニ總會ヲ開カルヘカラス
（細川委員）
本法ノ規定ヲ遵守セサルヘカラストハ實ニ明々白々ナル事柄ナレトモ之ヲ此ニ揭ケタル理由如何
（本尾委員）
此ニ遵守スヘキ旨ヲ揭クルモノハ決算上ニ付若シ法律ヲ遵守セスシテ爲シタルカ爲メニ損害ノ生シタルトキハ決算人ニ於テ其義務ヲ負擔スヘキコトヲ示サンカ爲メナリ
○本條ハ第二項ヲ第一項ニ合セ而シテ「遵守セサルヘカラス」トアルヲ「遵守スルノ責任ヲ負フモノトス」ト修正シタリ
正午十二時中止
午後開會
○第百八十六條 原案第百二條
結算人ハ隨意ニ之ヲ解任スルコトヲ得ス但重要ノ事由アリテ總會ノ決議ニ依リ又ハ株主ヨリ申立ルトキハ裁判所ノ處分ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
（本尾委員）
本條ハ第七十五條ト異ナルナシ止タ名稱ヲ異ニセシノミナリ
（鶴田委員）
原案第百二條ヲ見ルニ淸算人云々但云々ト一ケ條ニ包括セシメタリ然ルニ修正案ニ於テハ之ヲ分揭シタリ故ニ其意味ヲ解セシムルニ少シク惑フコトナキヤ
（本尾委員）
一體ハ分離スヘキモノニアラサレトモ合名ノ部ニ於テ分離スヘキコトニ決シタレハ本條モ亦之ニ倣ヒテ分揭シタルナリ
（細川委員）
原案ニハ株主ノ申立ノミニテ總會ノコトヲ云ハス是レ株主ノ申立ニテ裁判所ニ申立ルコトヲ得ハ總會ニ於テハ無論之ヲ爲スヲ得ヘキモノナルニ依リ之ヲ揭ケサリシナラン本條モ亦之ニ從フヲ可トスルカ如シ
（本尾委員）
然レトモ若シ總會ノコトヲ示サヽレハ或ハ株主ハ裁判所ニ申立タル上ニアラサレハ決算人ヲ解任スルコトヲ得サレトモ總會ニ於テハ直ニ之ヲ爲スコトヲ得ヘキモノト解釋ヲ下サヽルコトナシトセス故ニ總會ノコトモ亦必ス法文ニ明揭セサルヘカラス尤モ總會モ株主ノコトモ削除シテ單ニ重要ノ事由アルトキハトナスモ可ナリ如何トナレハ此場合ハ債主ヨリモ亦申出ルコトアルモ計リ難ケレハナリ
○本條ハ討議ノ末原案ニ從ヒ第百八十四條ト合併スルコトニ決シ第百八十四條ノ文章ニ接續セシメテ左ノ如ク修正シタリ
云々然レトモ重要ノ事由アリテ總會又ハ株主ヨリ申立タルトキハ裁判所ノ處分ヲ以テ結算人ヲ解任スルコトヲ得
○第百八十七條 原案第二百四十六條
會社ノ債主至當ノ理由ヲ以テ申立タルトキハ總會ノ決議又ハ裁判所ノ處分ヲ以テ債主ノ利益ヲ監護スル爲メ債主ノ代理者一名又ハ數名ヲ結算人ニ參加セシムルコトヲ得
（本尾委員）
原案ニ異ナルナシ
○本條ハ左ノ如ク修正シタリ
第百八十七條會社ノ債主至當ノ理由ヲ以テ申立タルトキハ總會ノ決議又ハ裁判所ノ處分ヲ以テ其利益監護ノ爲メ債主ノ代理者一名又ハ數名ヲ結算事務ニ參加セシムルコトヲ得
○第百八十八條 原案第二百四十八條
結算人ハ其任ヲ受タル日ヨリ六十日內ニ會社ノ帳簿ヲ整理シ及負債主ニハ辨償期限ノ至リタルトキ直チ三負債ヲ辨償シ債主ニハ三十日以上ノ期限ヲ定メ其期限內ニ要求ヲ申込ム可キ旨ヲ通知及廣吿ヲ以テ督促ス可シ
債主ニ係ル通知及廣吿ニハ前項ノ期限內ニ申込ヲ爲サヽルトキハ其要求ヲ結算ニ加ヘサル旨ヲ附記ス可シ
（本尾委員）
原案ノ精神明瞭ナラサル所アルヲ以テ修正前ニ於テ一應ロエスレル氏ニ質問セリ其次第ハ左ノ如シ
原案ニ會社ノ負債主及債主ノ全名簿ヲ製シ某期限內ニ負債主ハ其負債ヲ會社ニ辨償シ債主ハ其要求ヲ申込ムヘキ旨廣吿ヲ以テ催促シ云々トアリ此文意ヲ以テ考フルニ債主ノ方ハ明瞭ナリト雖モ負債主ニ至テハ借用期限ノ三ケ年又ハ十年期ノモノアルヘシ此等ノモノニ向テ六十日又ハ一ケ月ノ期限ヲ定メテ返辨セシムルハ頗ル酷ニ涉ルノ感ナキニアラス又某期限內トハ已ニ約シタル三年又ハ十年ノ期限ヲ指稱スルヤ果テ然ラハ負債主ハ爲メニ益スル所アルヘシト雖モ債主ニ至テハ大ナル迷惑ヲ蒙ムルヘシ本條ノ精神甚タ解釋ニ惑アリ如何
答某期限內トハ支拂期限ノコトヲ云フ故ニ此期限ヲ經過シタルトキハ直ニ裁判上ノ手續ヲ履行セシムルノ精神ナリ而シテ債主ニハ假令ハ三十日ト定ムルトキハ其期日中ニ申込マシムルノ意ナリ然レトモ原案文意ノ明瞭ヲ缺クナキニアラサレハ更ニ修正シテ期限ノ到達シテ始メテ支拂ノコトアル旨ヲ明揭セラレタリ仍テ其意ヲ以テ之ヲ修正シタリ
又債主ノ申込期限ヲ立テサレハ或ハ今日申込ヲナシ明日之ヲ請求スルモノナキヲ保セサレハ其期限ヲ明定シテ三十日以上トセリ又原案ニハ負債主債主ノ名簿ニ限ルノ意味ナレトモ本案ハ之ヲ改メテ都テ帳簿トセリ又第二項ニ至テハ委員ニ於テモ未タ確定セス何トナレハ申込ヲ爲サヽルトキハ結算ニ加ヘサルハ頗ル嚴酷ニ過クルノ感ナキニアラサレハ尙ロエスレル氏ニ質議セシニ同氏モ異議ナク改案セラレタリ就テハ本條ハ之ヲ修正シテ呈出スヘキ筈ナリシカ其時間ナキヲ以テ本日ノ會議ニハ之ヲ呈スルコト能ハス仍テ本條ハ後回ニ讓リ議セラレンコトヲ
（委員長）
諾
○本條ハ更ニ修正ノ上後回呈出ノコトニ決ス
○第百八十九條 原案第二百四十九條
結算人ハ株金ノ未納額アルトキハ結算ノ爲メ之ヲ徵收スルコトヲ得
（本尾委員）
本條ハ原案ニ異ナラス
（鶴田委員）
本條ハ削除スルモ不可ナキカ如シ
（本尾委員）
否會社ノ已ニ解散セシ以上ハ株主ニ於テ之ヲ納ムルノ義務ナシトテ未納額ノ拂込ヲ拒ムモノナシトセス仍テ本條ハ必要ナリトス
○本條ハ「呈案ニ結算ノ爲メ」ノ下ニ「株主ヨリ」ノ四字ヲ加ヘタルノミ
○第百九十條 原案第二百五十條
結算人ニ於テ必用ト認ムルトキハ何時ニテモ總會ヲ招集スルコトヲ得
定款又ハ總會ノ決議ヲ以テ豫定シタルトキ或ハ總株金五分一以上ニ當ル株主ノ申立タルトキハ亦總會ヲ招集セサル可ラス
（本尾委員）
原案ト異ナラス
○本條ハ初項ヲ左ノ如ク修正シ第二項ハ呈案ニ決ス
結算人必要ト認ムルトキハ何時ニテモ總會ヲ招集スルコトヲ得
○第百九十一條 原案第二百五十二條
結算人計算ヲ結了シタルトキハ其計算書類ヲ總會ニ報吿シ其認定ヲ受ク可シ
（本尾委員）
原案ニハ第百三條云々トアレトモ第百三條ノミニテハ少シク明白ナラサルヲ以テ第百二條ノ一部分モ亦挿入シタリ則負債主債主ノ申込及其他結算上ニ付整頓ヲ吿クルトキハ總會ヲ開キ!テ其計算結了ノ認定ヲ受ケサルヘカラス而シテ此認定ノコトタル會社ノ存立中利益分配ニ付テモ之レカ認定ヲ受クルニ依リ本條結算ノ場合ニ於テハ爾之ヲ受クルノ必要アルニ依テナリ
○本條ハ呈案ノ通
○第百九十二條 原案第二百五十三條
前條ノ認定ヲ受タルトキハ結算人會社ノ負債ヲ完償シ殘餘ノ財產ヲ各株ニ應シ金圓ヲ以テ平等ニ配當ス可シ
總會ニ於テ金圓ニ非サル物件ヲ以テ其配當金ニ代ヘ拂渡ス可キ決議ヲ爲シタルトキト雖トモ株主ハ之ヲ請取ルノ義務ナキモノトス
（本尾委員）
第二項ノ決議トアルハ隨分關係ノ重大ナルモノニシテ假令總會ノ決議ト雖モ金圓ニアラサレハ受取ルノ義務ナキ旨ヲ示ス若シ此ニ決議ノ文字ヲ用ヒサルトキハ或ハ總會ノ決議ト云フヲ以テ之ヲ壓スルノ弊ヲ生スルコトナシトセス然レトモ相互ノ承諾上ヨリ成ル授受ハ本條ノ定規外ナリトスロエスレル氏ニ於テ第一項ト二項トノ問ニ更ニ一項ヲ增加セラレタリ其精神タル各株主ニ配當スヘキ金圓ハ第百八十八條ノ廣吿後一年ヲ經過スルニアラサレハ爲スコトヲ得ストノ意味ナリ若シ追加ナカリセハ決算完結ヲ速カナラシメソコトヲ欲シテ成ルヘク時日ヲ假サス配當ヲ了シタルトキ更ニ債主ノ要求ニ逢フテ取戾シテ爲サヽルヲ得サル場合ノ生スルコトナシトセサレハナリ
本條モ亦修正ノ暇ナキヲ以テ後回ニ讓ラレンコトヲ請
（委員長）
諾
○本條ハ更ニ修正シテ後回呈出ノコトニ決ス
○第百九十三條 原案第二百五十四條
結算事務結了シタルトキハ結算人總計算書及處務ノ緊報ヲ總會ニ差出シ卸責ヲ求ム可シ
（本尾委員）
本條ハ原案ニ異ナラス本條ノ場合ハ結算事務ヲ結了シタルヲ以テ此責ヲコトヲ總會ニ求ムルモノヲ云フ故ニ決算人ナル任ハ未タ有スルモノトス
○此間卸責ノ文字論アレトモ必要ナラサルヲ以テ省略ス
（委員長）
本條卸責ノコトニ付テハ總會ヨリ證據ヲ與フルヤ否ヤニ付一應質問スヘシ
（本尾委員）
諾
于時午後三時三十分閉會