○第二讀會第四十回
明治十八年十二月五日
欠席 細川委員
仝 渡邊委員
仝 周布委員
午前第十時開會
○第九十一條 原案第百二十五條
總會ハ事務年度ノ終リタル後直チニ之ヲ開キ其年度ノ計算書、貸借對照表及其業務ノ結果ヲ社員ニ示シ檢査認定ヲ受ク可シ其認定ハ出席社員ノ多數決ニ依ルモノトス
（本尾委員）
前回ノ決議ニ基キ本條ヲ修正シテ會社トアルヲ總會トシ事務年度ノ終リタル後直ニ之ヲ開キト改メタリ原案ニ依レハ事務年度ノ終リトノミアレトモ餘リ文字ニ區域ナケレハ直ノ文字ヲ增加シタリ其他ハ前回ニ呈出シタルカ如シ
（鶴田委員）
會社ノ契約ニ於テ半年一二回開クヘキモノト定ムルトキハ半年ヲ事務年度ノ終リトシ年ニ二回ヲ開クモ不可ナキヤ
（本尾委員）
然リ
（鶴田委員）
第九十二條ニ依レハ十四日後再會ヲ開カサルヲ得ス實際唯タ手數ヲ要スルニ過キサレハ一回トナサハ如何
（本尾委員）
小委員ニ於テモ其㸃ニ付キ議論アリタレトモ獨リ本法ノミナラス佛國ニモ亦本條同一ノ規定アルヲ以テ先ツ原案ニ從ヒ之ヲ置クコトヽセリ然レトモ其決議法ヲ改メテ三分ノ一或ハ半數以上ノ決議トシ而シテ總會ハ一回ニ止ムルコトヽセハ强テ不可ナカルヘシ
（箕作委員）
本條ノ總會スラ一回ノ招集ニ止ルモノナルニ此條ニ於テ二回ノ會議ヲ要スルハ如何ノ理由アリテ然ルヤ
（本尾委員）
原案ハ重ニ佛法ヲ取リシモノナリ一體合名會社ニハ人員ノ制限卽チ決議ノ法律ニ背キタルトキハ第二回ヲ開キテ其議決ノ認定ヲ得ヘシトアリ此場合ニハ其理由ナキニアラサレトモ本案ハ佛法ニ據リシノミニシテ未タ理由ニ適スルヤ否ヤノ㸃ニ付テハ充分ナラサル所アリ
（鶴田委員）
取締役ハ自己ノ意見ニ依テ臨時總會ヲ開クコトヲ得ルヤ
（本尾委員）
明文ニ依レハ取締役ハ一己ノ意見ヲ以テ開會スルコトヲ得サルカ如シト雖モ其精神ニ至テハ一己ノ意見ニ於テ開會スルコトヲ得ヘシ
（委員長）
第八十九條ノ總會中ニハ無論取締役ノ意見ヲ以テ開ク總會モ亦包含スヘシ而シテ社員四分ノ一以上トアルモ亦通常會ナラン若シ否ラストセハ總會中ニ取締役ノ開キ得ヘキ總會モ亦包含スト云フハ蓋根據ナキノ說ト云フヘシ
（鶴田委員）
然リ總會中ニ取締役ノ意見ニ依テ開ク總會モ亦包含スルナルヘシ
（岸本委員）
第九十條ノ十四日ハ七日或ハ十日ニ短縮セハ如何
（長森委員）
十四日前ニ報吿スルハ通常總會ノミニシテ臨時會ノ報吿ハ突然ニ發起スルコトナキニアラス依テ十四日トアルヲ前以テト改メ其期限ヲ明定セサルヲ可トス
（本尾委員）
第八十九條ヲ左ノ如ク修正セハ如何
「取締役ハ每年一回以上通常總會ヲ開ク可シ其他取締役ニ於テ必要ト認ムル時又ハ社員四分一以上ノ請求アルトキハ臨時總會ヲ開ク可シ」（之ニ決ス）
○第九十條モ尙左ノ如ク修正シタリ
總會ヲ開クニハ開會ヨリ少ナクモ七日以前ニ各社員ニ其議事ノ要旨ヲ通知シ及開示スヘキ書類ヲ送付ス可シ
○第九十一條ハ左ノ如ク修正シタリ
取締役ハ事業年度ノ終リタル後直ニ通常總會ヲ開キ其年度ノ計算書貸借對照表及事業報吿書ノ檢査認定ヲ受ク可シ其認定ハ出席社員ノ多一數決ニ依ルモノトス
○第九十二條 原案第百二十六條
前條記載外ノ事項ハ社員ノ半數以上出席シタル總會ニ於テ其多數ニ依リ之ヲ決シ爾後十四日ヲ過キ再ヒ總會ヲ開キ出席人ノ多數決ヲ以テ其認定ヲ受ク可キモノトス
○第九十三條 原案第百二十八條
會社契約ノ變更及合名會社ニ於テ總社員ノ承諾ヲ要スル事項ハ總社員四分三以上ノ多數ニ依テ之ヲ決スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ不同意ノ社員ハ退社スルノ權アルモノトス
（本尾委員）
第九十二條中ニ再ヒ總會ヲ開キトアルハ臨時會ノミニアラス通常總會ニ於テモ前條ノ項目以外ノモノニシテ該會ニ於テ議決ス可キ事柄ト雖モ本條ノ明文ニ依レハ更ニ開會ノ手數ヲ要スルモノトナル其實毫モ之レカ爲メ益スル所ナケレハ再ヒ總會ノ文字ハ之ヲ削除シ本條ハ止タ決議法ノミヲ示サハ如何
（岸本委員）
本尾委員ノ說ニ同意ス
（箕作委員）
本員モ第九十二條ハ決議ノ取リ方ノミヲ示シ而シテ第九十三條ハ故ラ一條トナスヲ要セサレハ第九十二條ニ接續セシメハ如何則臨時會ハ社員ノ半數ニ依テ議決スヘシ然レトモ會社契約云々トセハ不可ナキカ如シ
（鶴田委員）
兩條ヲ合併スルハ可ナリ然レトモ第九十三條ノ合名會社云々ハ體裁甚タ宜キヲ失ス故ニ承諾ヲ要スル事項トシテ一々讀者ノ査閱ヲ求ムルヨリ其總社員ノ承諾ヲ要スル條項ヲ此ニ揭記スルヲ以テ可ナリト信ス
（本尾委員）
然リ一々之ヲ記載スルモ妨ケナシ
（委員長）
兩條ヲ接續シテ合名社員ニ於テ總社員同意ノ決議又ハ承諾ヲ要スル事項トセハ如何
（箕作委員、本尾委員）
贊成
○第九十二條第九十三條ハ之ヲ合併シテ一ケ條トシ左ノ如ク修正シタリ
第九十二條臨時總會ニ於テ議ス可キ事項ハ總社員ノ過半數ニ依リ決スルモノトス但シ合名會社ニ於テ總社員同意ノ決議若クハ承諾ヲ要スル事項ハ總社員四分三以上ノ多數ニ依テ決ス可シ此場合ニ於テハ不同意ノ社員ハ退社スルコトヲ得
于時正午第十二時退散