○第二讀會第二十七回
明治十八年十月廿四日
欠席 細川委員
仝 渡邊委員
仝 周布委員
午前第 時開會
（本尾委員）
原案第六十九條ハ小委員ニ於テハ削除シタリ其理由タル本邦ニ於テハ羅馬ノ獅子會社ノ如キモノナキヲ以テ之ヲ揭クルモ其實用ナキヲ以テナリ具合名會社ノ初條ニ於テ云々スル所アルニ依テ旁之ヲ揭クルモ不用ニ屬スレハナリ第二項ノ如キモ契約ニ依テハ何等ノ配分モナスヲ得ルモノナレハ本條ハ全ク削除スルコトヽナセリ
（箕作委員）
獅子會社ノ由來ハ如何
（本尾委員）
羅馬法ニハ素ト之レアリシカ後ニ至リ削除シタリ後世此法ヲ規定セシモノハ羅馬法ニ其精神ヲ取リシナリ其之ヲ法文ニ揭クル理由トスル所ハ契約ハ各自隨意ノモノナレハ社員於テ或ル一名ニ全ク利益ヲ與フルノ契約ヲナシ異議ナケレハ之ヲ實行スルモ不可ナキモノナリトノ原則ヨリ傳來セシモノト信ス然レトモ如此契約ハ會社ノ性質ニ反スルモノナレハ之ヲ削除セリ
（箕作委員）
實ニ膾遺ニ等シキモノナリ然レトモ之ヲ贍遺トスルトキハ種々ノ手數ヲ煩ハス所アルヲ以テ此煩雜ナル手數ヲ避ケンカ爲メ如此方法ヲ設ケタルナラン
（委員長）
第六十九條ハ獨逸法ニハ揭載シアルヤ
（本尾委員）
獨法ニハ其明文ヲ揭ケス
（箕作委員）
佛ニハ千八百五十五條ニ揭ケタリ
（委員長）
原案第六十九條ハ削除スルヲ可トス
○第四十八條 原案第七十條
契約ニ定メタル出資ノ價額其時ノ實價ニ甚シク超過セシコトヲ發見シタルトキハ之ニ對シ異議ヲ述ルコトヲ得
（本尾委員）
本條ハ民法ノ原則ニ依テ然ルモノナレハ民法制定ノ時ハ當然規定スヘキモノタリ故ニ本條ニ之ヲ揭ケサルモ若シ本條ニ該當スルコトアリトセハ民法上ノ原則ヲ適用シテ毫モ差支ナキモノトス又一方ヨリ論スルトキハ本條タル法律ヲ知ラサル者ニ在テハ恐クハ解釋シ易カラサルヘシ依テ本官ハ寧ロ削除スルヲ可ナリト信ス
（箕作委員）
本條ハ差入レタル者ヨリ故障ヲ述フルカ如ク見ユ然ルニ精神ハ會社ヨリ故障ヲ述フル場合ナリト實ニ本員ハ其意義ヲ誤解シタリ
（鶴田委員）
本員モ亦然リ
（箕作委員）
獨逸法ニアリヤ
（本尾委員）
ナシ
（鶴田委員）
若シ其價ヲ低ク見積リタルトキハ社員ヨリ異議ヲ申立ルコトヲ得ルヤ
（本尾委員）
社員ヨリハ異議ヲ申立ルコトヲ得ス如何トナレハ素ト之ヲ低價ニ見積リシモノ沸自業自得ニシテ自カラ權利ヲ抛棄シタルモノナレハナリ
（鶴田委員）
自業自得トセハ超過シタルトキハ會社カ其權利ヲ抛棄シタルニアラスヤ
（本尾委員）
否會社ニ在テハ社外人ニ大ナル關係アルカ故ニ空價ヲ以テ資本金中ニ置クヲ得ス
又原案第二項ヲ削除シタル理由ハ多クハ詐僞ノ場合ヲ規定スルモソナレハナリ如何トナレハ賣渡シ讓渡シニ依テ異議フル時ハ前項ニ於テ充分異議ヲ述フルコトヲ得犬シ故ニ第二項ヲ論究スルトキハ詐僞ノ場合ヲ示スモノトス果シテ詐僞ノ場合トセハ次條ニ於テ充分損害ヲ賠償セシムルコトヲ得ルモノナリ如斯論シ來ルトキハ初項モ亦詐僞ニ陷ルヘシ故ニ本條ハ削除スルヲ可トス
（鶴田委員）
第一項ハ詐僞ナリト云フヲ得ス如何トナレハ詐僞ナレハ證據ヲ示サヽルヲ得ス然ルニ法文ニハ詐僞ノ證據ヲ示セトナキ"ヲ以テ之ヲ示スノ煩雜ヲ避ケテ單ニ其價ヲ正サシムルモノトセシナラン
（本尾委員）
若シ社員カ其實價ニ超過セシメタルトキニハ之ニ對シ異議ヲ述フルコトヲ得ヘシトノ規定ノミニ止マルトキハ餘リ鄭重ニ過キタル法文ト云ハサルヲ得ス
（箕作委員）
全ク詐僞ノミヲ云フニアラスシテ會社ヲ專ラ保護センカ爲ニ設ケタル條ナラン
（委員長）
餘リ綿密ニ過キタルモノナレハ削除スルヲ可トス
（岸本委員）
本條ヲ削除スルハ本員モ亦贊成スル所ナレトモ之ヲ削リタル時ハロエスレル氏ニ對スル辨明ハ如何ナル理由ヲ以テスルヤ又之ヲ削ルトセハ使用權ノ如モ亦削除スルモ不可ナカルヘシ然レトモ合資會社ニハ必要ナルヲ以テ該節ハ記載セサルヲ得サルヘシ
（本尾委員）
之ヲ削ルモロエスレル氏ヘノ辨明ハ民法ノ原則ヲ以テ充分ナシ得ルモノナレハ毫モ差支ナシトス
（鶴田委員）
若シ詐僞ニ定マルトキハ第四十九條ニ於テ制裁スルヲ得ヘシ若シ又若否ラサルトキハ契約ニ定メタル時ノ時價ニ從ハサルヘカラスト精神ヲ定ムルトキハ削除スルモ亦辨明ニ苦マサルヘ"シ
○本條ハ削除スルニ決ス
○第四十九條 原案第七十一條
社員會社ニ對シ詐僞ヲ行ヒ或ハ業務ニ與ラサル者ニシテ業務ヲ爲シタルトキハ會社ハ之ヲ除名シ且損害ヲ賠償セシムルコトヲ得
（本尾委員）
本條ハ原案ノ「會社ニ對シ甚シキノ義務ヲ缺キタルトキ」トアルヲ削除シタルノミ其之ヲ削リタル所以ハ主要ノ義務ヲ甚シク缺クトハ如何ナル㸃ヲ指ス乎實ニ其區域明了ナラサル所アルヲ以テ削除シタリ
（箕作委員）
業務ニ預カラサルモノニシテ之ヲ爲シタリトテ會社ニ不利益ヲ來スモノニアラサレハ除名スルニハ及ハサルカ如シ
（本尾委員）
業務ヲ擔當セサルモノハ公吿ニ依リ分明ナカル故ニ若シ擔當者ニアラサル者ニテ之ヲナストキハ會社ノ信用ヲ害スル實ニ大ナルヲ以テ若シ之ヲナストキハ除名スルモ亦不可ナカルヘシ
（鶴田委員）
小委員ニテ削除シタル原文ハ原第五十六條ニ於テ處辨シ得ルト云フノ意ニ出シナラン
（本尾委員）
然リ
（岸本委員）
主要ノ義務ヲ缺キタル者ハ勿論業務ニ與カラサル者トアル一句モ亦削除シテ可ナリ一體比業務云々ハ合資會社ニ在テハ餘程ノ關係ヲ有スレトモ合名ニハ格別ノ要ヲ見ス故ニ削除スルヲ可トス
○本條ハ左ノ如ク修正シタリ
第四十九條 社員會社ニ對シ詐僞ヲ行ヒ或ハ業務ニ與ラサル者ニシテ業務擔當ノ所爲ヲ行ヒ其他甚シク主要ノ義務ヲ缺キタルトキハ會社ハ之ヲ除名シ且損害ヲ賠償セシムルコトヲ得
于時第十二時ナルヲ以テ閉金日