○第二讀會第二十一回
明治十八年十月八日
欠席 細川委員
仝 渡邊委員
仝 周布委員
午前第十時開會
○第三十一條 原案第五十五條
業務擔當社員ハ代理者ヲ委任シ又ハ解任スルノ權アルモノトス
（本尾委員）
本條ノ精神ハ原案ニ異ナルコトナシ「各」ノ字ヲ削除シタルノミ之ヲ削除シタル理由ハ法律上ニ於テ之ヲ加ヘ「各」之レカ權利アリト示サヽルモ其意味ハ充分ニ了解シ得ラルニヲ以テナリ
（鶴田委員）
代理人トハ營業上ノ代理者ナリヤ
（本尾委員）
然リ則商業代理者ヲ云フナリ
（箕作委員）
業務擔當者ノミ此權アリトスルヤ
（本尾委員）
然リ尤モ業務擔當者ヲ置カサルトキハ各社員皆本條ノ權利アルハ言ヲ俟タサルナリ
（委員長）
業務ヲ擔當セシメタルトキハ其擔當者ニ代理ヲ任免スルノ權アルハ勿論ノコトナラスヤ
（鶴田委員）
然リト雖モ業務擔當者ハ元來總社員ノ代理ナレハ該擔當者カ代理ヲ命スルニハ普通法ノ如ク總社員ノ承諾ヲ得サレハ命スルコトヲ得サルヤノ疑ヒナキニアラサレハ特ニ此ニ明文ヲ揭ケタルモノナリ
（委員長）
業務擔當者一人ナルトキハ獨斷ヲ以テ任免ス可シト雖トモ二人以上アルトキハ同意ヲ以テ之ヲ爲スナラン若シ此內一人不同意ヲ唱フルトキハ他ノ擔當者ハ之レカ不同意ヲ閣キ施行スルコトヲ得サルハ恰モ合名社員ノ同意ヲ得ヘキ事柄ニシテ一人ノ不可トスルモノアルカ爲メ途ニ其事ヲ施行スルコト能ハサルモノト同一ナリヤ
（本尾委員）
同意ヲ得テ任免スルハ勿論ナリトス然ラサレハ甲者ノ任シタルモノハ乙者之ヲ免スルコトヲ得ルナレハナリ
（箕作委員）
本條ニ業務擔當社員ハ云々トアルヲ以テ其反對ヲ解釋スルトキハ擔當者代理人ヲ命セサルトキハ社員之ヲ命スルノ權ナキカ如シ
（長森委員）
各社員カ代理人ヲ任免スルノ權利アルハ普通主人ノ代理ヲ任スルト同一ニシテ其權アルハ論ヲ俟タサルモノト雖モ此ニ之ヲ示シタルモノハ擔當者ヲ任シタルトキハ其擔當者ニ於テ代理ヲ任免スルコトヲ得ルト云フニ過キス
（委員長）
代理人トハ擔當者ヲ代理スル者則チ擔當者ノ事務ヲ代理スルモノナルヘシ故ニ擔當者タルモノハ皆各自己ノ代理者ヲ任免スルノ權利アルヲ示スモノナラン
（本尾委員）
否本條ノ代理人トハ擔當者ヲ代理スル者ニアラス會社ヲ代理スル者ナリ若シ擔當者ヲ代理スル者トナストキハ會社ノ復代理人ト云ハサル得サルモ本條ノ代理人ハ卽チ會社ヲ直接ニ代理スルモノナリ故ニ擔當者モ會社ニ在テ商業ヲ取扱ヘハ代理者モ亦同シク會社ニ在テ事務ヲ取扱フモノトス本條代理人ハ普通ノ代理人ト其性質ヲ異ニスルナリ此事ニ付テハ商法草按第四十三條以下ニ明揭セリ
（箕作委員）
本條ハ削除スルヲ可トス如何トナレハ若シ擔當者ヲ置カサル時ハ各社員ニ於テ代理者ヲ任免スルノ權利ナキノ疑ヲ生スルコトアルヲ以テナリ已ニ擔當者ヲ置キタル以上ハ其擔當者カ代理者ヲ任免スルノ權アルハ修正第二十九條ヲ以テ明瞭ナレハ本條ハ寧ロ削除スルヲ可ナリトス實ニ本條ヲ存セハ爲メニ世人ノ疑ヲ生スル種子トナルハ本員ノ信シテ疑ハサル所ナリ
（本尾委員）
然リ斯ク論シ來ルトキハ本條ナキモ可ナルカ如シト雖モ本條ヲ刪ルトキハ擔當者ヲ任シタルトキト雖モ總員ノ同意ニアラサレハ代理人ヲ任免スルヲ得サルヤノ疑ヒナシトセス
（鶴田委員）
削除スルモ社員ニシテ代理者ヲ任免スルノ權利アルハ明瞭ナリト雖モ擔當者アルトキハ其擔當者ニテ代理者ヲ任免シ得ルハ明瞭ナラサル可シ
（本尾委員）
各自々己ノ代理人ヲ任免シ得ルハ明條ナキモ判然ナリト雖モ本條ニ云ル代理人卽チ會社ヲ直接ニ代理スル商業代理人ヲ任免スルハ擔當者ヲ任シタルトキト雖モ總社員ノ承諾ヲ得ルニアラサレハ之ヲ爲シ得スト解釋スルヲ普通ナリトス故ニ本條ヲ刪除シテハ不都合ナラン歟
（箕作委員）
擔當者於テ代理者ヲ任免スルノ權利ナキカ如ク見ユルモ差支ナシ何トナレハ合名會社ハ二人以上七人以下ノ少數ナレハ同意ヲ以テ任免スルニ敢テ困難ヲ生スルコトナキハ勿論能ク合名ノ性質ニモ亦適合スル所アレハナリ
（委員長）
說明ニ總員ノ同意ヲ以テスルハ固ヨリ言ヲ竢タトアリ如何
（本尾委員）
是レ擔當者ヲ任セサル場合ノ例ヲ擧ケタルモノナリ業務擔當者ヲ任セサル場合ニ於テハ總員ノ同意ヲ得テ任スルハ通常ナリトス然レトモ擔當者ヲ置キタルトキハ其擔當者ノ同意ヲ得テ任免スルヲ通常トス何トナレハ業務擔當ノ任アル各社員ハ其權利ヲ有スルヲ以テ甲者ノ任シタル者ハ乙者之ヲ免スルノ權アレハナリ故ニ之ヲ任免スルニハ實際總社員又ハ總業務擔當社員ノ同意ヲ得テ後之ヲ任命スルニ至ルヘシト云フノ意味ナリ
（委員長）
若シ甲乙共ニ同意シテ任免スルトキハ敢テ論スル所ナシト雖モ若シ全意ヲ求ムルトキ一人不服ヲ唱フルトキハ如何スルヤ
（本尾委員）
其時ニ至リテハ獨立シテ任免スルノ權アルヲ以テ直ニ自己ノ信スル所ノ者ヲ代理者ニ任スルモ妨ケナシ
（箕作委員）
他ノ一人ハ亦之ヲ免スルノ權アルヲ以テ直ニ之ニ解任スルナラン
（鶴田委員）
代理者トスルトキハ普通ノ代理ト誤ルノ恐レアルヲ以テ代務者トセハ如何
（本尾委員）
然リ而シテ委任シ又ハ解任シトアルヲ任免ストセハ如何
（長森委員）
各社員ノ權利ヲ云ハス直ニ擔當者ニ就テ云フハ穩當ナラサルヲ以テ左ノ如ク修正セハ如何
業務擔當者ヲ任シタルトキハ代理者ヲ任免スルノ權利ハ擔當者ニ移轉スルモノトス
（鶴田委員）
普通ニ用ユル委任狀ヲ渡スニハアラサルヘシ
（岸本委員）
否必ス其委任狀ヲ記シタル委任狀ヲ渡スナラン
（鶴田委員）
止タ裁判所ニ出頭スル時ニ於テ入用ナルヘシ
（本尾委員）
普通代理法ニ從フニ及ハサレトモ其證據トナルヘキモノハ必ス渡サヽルヘカラス而シテ第三者ニ知ラシムルニハ登記公吿ノ法アルヲ以テ別ニ不都合ナカルヘシ
○本條ハ左ノ如ク修正シタリ
第三十一條 代務者ヲ任免スルノ權利ハ業務擔當社員ニ屬スルモノトス
○第三十二條 原案第五十六條
各社員ハ會社ノ業務ニ對シ自己ノ業務ニ於ケルト齋シキ勉勵注意ヲ爲スノ義務アルモノトス其義務ヲ怠リ會社ニ損害ヲ生シタルトキハ之ヲ賠償セサル可ラス
（本尾委員）
本條ノ字句ハ原案ト大ヒニ異ナリト雖トモ其精神ノ異ナル㸃ハ「正當ナル」四字ヲ削除シタルニ過キスロエスレル氏ノ精神ハ酷ニ涉ルトノ理由ヲ以テ之ヲ削除シタルナリ
○本條左ノ如ク修正シタリ
「自己ノ」三文字ヲ削リテ「正當ナル商人其」ノ七字ヲ挿入シタリ他ハ修正案ノ如シ
正午第十二時ナルヲ以テ中止
午後第一時開會
退席箕作委員
○第三十三條 原案第五十七條
社員ノ供資ハ會社ノ所有ニ歸スルモノトス但シ利益配當ノ標準トシテ差入レタルモノハ此限ニ在ラス
社員ノ供資ハ契約ニ定メタル價額ヲ附シ財產目錄ニ記載ス可シ
（本尾委員）
本條ハ原案ニ但書ヲ加ヘタルノ外修正セシ所ナシ併シ之ヲ加ヘタルカ爲メ大ニ原案各條ニ關係ヲ及ホセリ則第六十一條第六十二條之レナリ抑此兩條タル會社ニ出資ヲ納ムルコト能ハサルニ到リシトキハ社員タルノ資格ハ此ニ於テ終ルモノトセリ本案ハ之ニ異ナリ如何ナル出資ノ性質ヲ問ハス一回出資トシテ會社ニ納ムルモノハ會社ノ所有ニ歸スルモノトス但シ勞力又ハ退社ノ節持歸ルヘキモノハ利益配當ヲ受クルトキハ比準ヲ示スカ爲メ差入レタルモノナレハ此等ノモノハ會社ノ所有トナスコトヲ得サルモノトセリ此但書ヲ加ヘタル精神ハ全ク獨逸法ニ取リシナリ同法第九十一條ニ其明文ヲ揭ケテ配當ノ標準ヲ示スニ止マルモノハ資產ト爲スコトヲ得サル旨ヲ示セリ此精神ニ基キ本條ハ之ヲ修正シタリ
（委員長）
比例トシテ差入ルヽモノハ勞力ナルヤ
（本尾委員）
然リ
（岸本委員）
人權ヲ會社ニ差入レタルトキハ會社ハ債主權卽チ財產ヲ有スルモノトス之レト同シク勞力ヲ差入レソト約スルトキハ其腕ヲ所有トスルニハアラサレトモ其之ヲ使用スルノ權利ハ會社ニアリトス卽チ權利ハ財產ナルヲ以テ其財產ハ會社ノ所有ニ歸スル勿論ナリ依テ本條ハ更ニ但書ヲ加フルノ必要ナキヲ感シタレハ此ニ削除說ヲ呈ス
（本尾委員）
否勞力ト財產トヲ差入レタルモノハ法律上必ス之レカ區別ヲ設ケサルヘカラス如何トナレハ財產ヲ差入レタルモノ退社ノトキハ之ヲ持チ歸ルコトヲ得ルノミナラス其財產ヨリ生シタル利益ヲ受クルコトヲ得ルト雖モ勞力ヲ差入レタルモノハ退社ノ際ニ當リ自己ニ得ル所ノモノナシ故ニ財產ト勞力トハ自カラ區別ヲ設ケ置カサルヘカラス
（岸本委員）
勞力ヲ差入レタルモノハ退社ノトキ其腕ヲ會社ニ於テ差押ヘルコト能ハサルハ勿論ナレトモ之ヲ使用スルノ權アルヲ以テ則其權利ハ會社無形ノ財產ナルモノナレハ但書ヲ設ケサルモ實際不都合アルコトナシ
（本尾委員）
否無形ノ財產ハ差押フルコトヲ得サルモノハ會社ノ財產トスルヲ得ス故ニ勞力ハ無形ノモノナレハ他ノ財產トハ同一ニ論スヘカラス
（岸本委員）
勞力ヲ差入ルト土藏ヲ差入ルエトハ其結果タル同一ナリトス例ヘハ勞力ヲ出資トスル社員ニ對シテハ破產ノトキ債主其勞力ヲ金額ニ見積リ其金額ニ充ル迄勞働ヲナサシムヘキヤ否爲スヘキノ義務ナレハ之ニ勞働ヲナサシムルヲ得ス止タ損害賠償ヲ求ムルニ過キサルモノトス又土藏ヲ金額ニ積リ目錄ニ記載シアルニ其實土藏ナキ場合ハ債主ハ會社ニ對シ其賠償ヲ要求スルコトヲ得ヘシ
（本尾委員）
一體岸本委員ノ說タル勞力ヲ財產ト同一視シ會社ノ所有ニ歸スルモノトスルトキハ勞力者ノ死亡ニ依テ會社カ損害ヲ受クル場合ニ臨ミ其遺族ヨリ賠償ヲ求ムルコトヲ得ルモノトナスカカ如シ凡勞力ヲ以テ財產ト爲スコトヲ得サルハ言ヲ俟タスシテ明カナリ彼ノ金銀其他ノ物件ノ如キハ隨意會社ニ於テ使用スルハ勿論之ヲシテ他ニ所有ヲ移轉セシムルコトヲ得ヘシト雖モ勞力ニ至テハ使用スルノ權アリト雖モ之ヲ所有トナスコトヲ得ス所有トハ自己會社ノ隨意ニ之ヲ傷ケ之ヲ破リ之ヲ賣リ之ヲ棄ツルコトヲ得ルモノニ限リ彼ノ勞力ノ如キ他ニ隨意移轉シ頁却シ損傷シ得ヘカラサルモノハ所有ノ權アリトスルヲ得サルハ明々タリ
（委員長）
但書ハ削除スル方可ナルカ如シ
（本尾委員）
若シ之ヲ削ラハ第六十一條ヲ記載セサレハ不可ナリ
（鶴田委員）
社員中ノ一人他ヨリ身代限ヲ受クルトキハ出資ノ千圓ハ本條ニ於テハ會社ヨリ之ヲ引取ルコトヲ得ルカ如シト雖モ注釋ニ依テ見ルトキハ之レヲ禁スルカ如シ就テハ其意味ヲ本條ニ揭クルヲ可トス
（本尾委員）
獨逸第九十一條ノ二項ニ云々スル如ク財產目錄ニ手署シタル以上ハ會社ノ所有トナルモノニシテ之ヲ爲サヽル以前ハ社員ノ財產ナリトス
（岸本委員）
一般契約法ノ原則ニ從ヒ實踐則引渡ヲ爲サヽルモ相互ノ承諾アリタルトキハ所有權ハ移轉スルノ精神ナルヘシ
（本尾委員）
ロエスレル氏ノ精神ニ於テハ引渡シ迄ハ如何ナル變更アルモ知ラサレハ契約ノミヲ以テ所有權ノ移轉シタルモノトハ爲サス是レ會社ハ一己人ト異ナルヲ以テ引渡シタル後ニ於テ初メテ其所有權ノ移リタルモノトナセリ
（岸本委員）
本文ノ主義ハロエスレル氏ノ精神トハ異ニスレトモ契約ヲ爲シタル以上ハ所有權ノ移轉シタルモノトセハ如何
（長森委員）
引渡ヲ要スルヤ否一應ロエスレル氏ニ質議シテ後決定セン（之ニ決ス）
○本條ハ質議ノ上修正スルコトニ決ス
○第三十四條 原案第五十八條
收實權又ハ使用權ヲ供資ト爲シタルトキハ其權利ノミ會社ニ移轉スルモノトス
（岸本委員）
使用權ノ中ニハ住居權ヲモ包含スルモノト看做スヤ民法家ハ常ニ之ヲ區別セリ如何
（委員長）
使用權中ニ包含スルナラン
（岸本委員）
若シ又其家屋ヲ他人ニ貸與シ其賃金ヲ得ルトキハ收實權ニ入ルモノトセハ不可ナカルヘシ
（鶴田委員）
然リ
（委員長）
箕作委員ノ意見ニ依レハ第二十四五ノ兩條ハ民法ヲ以テ制定スヘキ事柄ニシテ今此ニ之ヲ揭クルモ實際上ニ於テ却テ困難ヲ感スルナラン故ニ此兩條ハ民法ノ制定迄削除スルヲ可トスルノ見込ヲ呈出セリ
（本尾委員）
或ハ然ラン民法制定ノ時ハ此ニ權ノミナラス土地表面使用權ノ如キ又土地ノ權利義務卽チ「セルヒイチート」ノ如キモ亦加ヘサルヘカラサル場合ヲ生スルコトナシトセサレハナリ
（長森委員）
若シ民法ニ於テ土地表面使用權ノ如キ規定ヲ設ケタルトキハ其節ニ至リ本法ニ追加スルモ敢テ不可ナカルヘシ
（本尾委員）
修正委員ニ於テモ亦箕作委員ノ說ナキニアラス則收實使用兩權ノ如キモ均シク出資ニシテ到底論究スルトキハ第三十三條ニ於テ充分明瞭ナレハ此兩條ヲ削除スルモ敢テ不可ナシト雖モ餘リ然カスルトキハ原案ヲ破毀スルニ到ルヘケレハ先ツ本條ハ之ヲ存スルコトニセシナリ
○本條ハ修正案ノ通
○第三十五條 原案第五十九條
前條ノ場合ニ於テ物件ノ損耗又ハ減少シタルトキハ其所有權ノ損失ハ所有主ニ歸シ收實權又ハ使用權ノ損失ハ會社ニ歸スルモノトス
（鶴田委員）
損失ハ所有主ニ歸スルトスルヲ以テ僅カニ一部分ノ毀存モ亦所有主ノ損失ニ歸セシムルノ疑ヒナキニアラス
（本尾委員）
毀損シタルトキハ會社ノ損失ニシテ會社ニ於テ修理セサルヘカラサルハ勿論ナレハ毀損ノ二字ニ換ユルニ滅盡トセハ如何
（岸本委員）
然ルトキハ一部分滅盡シタルトキハ如何スルヤ一部分ノ減盡ト雖トモ本條ノ規定ニ從ハサルヘカラス故ニ毀損ノ二字ヲ削ルハ不都合ナルヘシ
（本尾委員）
本條ナキモ本條ノ働キハ第三十四條ニ於テ充分ナリトス如何トナレハ收實使用ノ兩權ノミ移轉スルモノナレハ其物件ノ毀損ニ止マルモノハ會社損失タルハ言ヲ俟タスシテ明カナリ故ニ本條ハ削除スルモ不可ナシ
（塩田委員）
一部分ノ損失モ滅盡ノ內ニ包含スルモノトセハ不可ナカラン
（岸本委員）
併シ代言者流ニ之ヲ論スルトキハ全部ノ滅盡トノミ解釋スルコトヲ得サルニアラス然ルトキハ大ニ不都合ナルヘシ
（鶴田委員）
然ラハ損區ト爲シ一部分ノ損區モ包含スルモノト爲スヘシ
（本尾委員）
原書ノ意ハ全部滅盡シタルトキノミヲ云ヘルナリ
○本條ハ左ノ如ク修正シタリ
第三十五條 前條ノ場合ニ於テ物件ノ損區シタルトキハ其所有權ノ損失ハ所有主ニ歸シ收實權又ハ使用權ノ損失ハ會社ニ歸スルモノトス
于時午後第三時閉會