○第二讀會第十五回
明治十八年九月十七日
欠席 細川委員
仝 箕作委員
仝 周布委員
○第一條 原案第一條
商事會社ハ法律上禁セサル商業ヲ共同シテ營ム爲メ之ヲ設立スルコトヲ得
（本尾委員）
本條ハロエスレル氏ノ提出セシ修正案ニ「商事會社ハ共同シテ商業ヲ營ムカ爲メ且其目的法律上許サレタルモノナルトキノミ之ヲ設立スルコトヲ得」トアリ而シテ原案ヲ斯ク修正セシ理由ハ原案第一條ノ二項中「公ケノ秩序」以下ヲ刪除シ「無効トス」以上ノ精神ヲ第一項ニ挿入シタルニ過キサルナリ又鶴田委員ノ修正案ニ「商事會社ハ法律ニ禁セサル事ヲ目的トシテ共同ノ商業ヲ營ム爲メ之ヲ設立スルコトヲ得」トアリ
然ルニ委員ニ於テ斯ク修正セシモノハ法律ニ禁セサル事ヲ目的トスルトハ卽チ法律ニ禁セサル商業ト云フニ外ナラサルヲ以テナリ何トナレハ法律ニ禁シタル營業卽チ阿片賣買又ハ賭博營業ノ爲メ會社ヲ設立シ得サラシメ又設立スルモ初ヨリ無効タラシムルニ在レハナリ
（長森委員）
「法律上禁セサル」ノ數語ハ不用ナルヘシ何トナレハ第三條ニ至リ會社ハ法律規則ハ勿論其他特別ノ命令ニモ服從セサルヘカラストアルノミナラス法律上禁シタル商業ヲ營ムコトヲ得サレハ明文ナキモ當然ナレハナリ
（本尾委員）
第一條ハ會社ヲ設立スル場合ニ就テ云ヒ第三條ハ既ニ成立シタル會社ニ就キテ云フトノ區別アリ而シテ本條ニ「法律上禁セサル」ノ語ヲ揭ケタルハ原案第二項ニ「法律ニ背戾スル目的ノ會社ハ初ヨリ無効トス」トアルノ精神ヲ記載シタルモノナリ
（長森委員）
本條ノ修正ハ短縮シ過キタルカ如シ故ニ之ヲ一閱スルニ少ク不明了ナルヲ以テロエスレル氏ノ原案ノ精神ヲ失フノ恐レアリ就テハ原案ノ如ク之ヲ二項ニ區分シテ記載アランコトヲ望ム
（鶴田委員）
第一條ハ俗ニ云フ看板ナルヲ以テ體裁ノ宜ヲ得タルモノヲ可トス
（岸本委員）
本條ノ修正ハロエスレル氏ノ提出セシ修正案ニ基キタルモノナリ故ニ原案ト精神ヲ異ニスルコトナシ
（本尾委員）
原案ハ第一項ニ「商事會社ハ共同シテ商業ヲ營ムカ爲メニスルトキノミ之ヲ設立スルヲ得」第二項ニ「法律ニ背戾スル目的ノ會社ハ初ヨリ無敷トス公ケノ秩序又ハ風敏ヲ紊亂スヘキ營業ヲ爲ス會社ハ裁判上ノ判決ヲ以テ解散セシムルコトヲ得ヘシ」トアリ然ルニ公ケノ秩序以下ハ第九十七條第二百三十三條ニ明條アルヲ以テロエスレル氏之ヲ削除シ而シテ「無効トス」以上ヲ第一項中ニ挿入シタルモノナレハ同氏ノ提出セシ修正案ハ字句ハ異ナリト雖モ精神ニ至テハ原案ト毫モ異ナルコトナキナリ
（鶴田委員）
全體法律ニ禁セサルノ文字ハ不用ナリト雖モ之ヲ除クトキハ餘リ簡短ニ過クルヲ以テ記載シタルナラン
（長森委員）
法律上禁セサル商業云々トアリテハ法律ニ背戾シタル目的ノ會社ハ無効ナリトスルノ意明カナラス故ニ法律上禁シタル商業ヲ爲シタルモノハ無効ナリトスト云フヲ可トス
（岸本委員）
法律ヲ知ラサル者ハ或ハ其疑ヲ生スルナラン然レトモ「法律上禁セサル商業ヲ營ムカ爲メ設立スルコトヲ得」トアル以上ハ法律ニ禁シタル商業ヲ營ムカ爲メ設立シタルモノノ無効タラサルヲ得サルハ無論タル可シ
（委員長）
一己商人ト云ヒ會社ト云ヒ法律上禁シタル商業ヲ營ムヲ得サルハ言ヲ待タスシテ明カナリ然ルニ今玆ニ法律ニ禁セサル商業ヲ營ム云々トアルトキハ一己商人ハ法律ニ禁シタル商業ト雖モ尙ホ營ムヲ得ヘシト解釋スルノ嫌ナキニアラス
（本尾委員）
一己商人ト雖モ法律ニ禁シタル商業ヲ營ミ得サルハ言ヲ俟タサルナリ而シテ今玆ニ之ヲ揭ケタルハ單ニ會社ニ對シテ言フモノニシテ一己商人ニ對シテ云フモノニアラサレハ如斯誤解ハアラサル可シ委員長ノ如ク論スルトキハ第三條モ亦削除セサルヲ得サルニ至ル可シ而シテ本條ハ商事會社ノ義解ヲ揭ケタルニアラスシテ商事會社ハ何レノ場合ニ於テ設立シ得ルヤヲ示スニ在ルナリ
（委員長）
獨法モ亦本條ノ如キ規定ヲ設ケタルヤ
（本尾委員）
獨逸商法中ニ商社ノ總則ナキヲ以テ本條ノ如キ規定ナシ唯各會社ニ就キ其義解ヲ設ケタリ
（委員長）
「商事會社ハ商業ヲ共同シテ營ムカ爲メ此法ニ從テ設立スルコトヲ得」ト云ヘハ了解シ易スキカ如シ
出席渡邊委員
（渡邊委員）
法律上禁セサルト云フヨリハ法律上許サレタル商業ヲ營ム爲メトセハ如何
（本尾委員）
法律上禁セサル云々ノ文字ニ付キ論議多クシテ本條ヲ決スル能ハサルハ遺憾ト云フ可シ故ニ「法律上禁セサル」ノ數字ヲ刪除シテハ如何之ヲ削除スルモ敢テ不可ナカルヘシ何トナレハ禁制セサル商業ニ限ル事ハ明文ナキモ明瞭ナルヘク又ロエスレル氏ニ對シ削除シタル理由ヲ辯明スルモ亦難キニアラサル可シ
（岸本委員）
然ハ「商事會社ハ商業ヲ共同シテ營ムモノヲ云フ」トセハ如何
（渡邊委員）
「商事會社ハ法律上聽許スル商業ヲ共同シテ營ムモノヲ云フ」ト爲スモ可ナリ
（本尾委員）
岸本渡邊兩委員ノ提出セラレタル如ク修正スルトキハ商事會社ノ義解トナルナリ本條ヲ義解トナスハロエスレル氏ノ欲セサル所ナリ故ニ原案ノ如ク設立ノ場合ヲ示スノ條ト爲シテハ如何
（渡邊委員）
修正案ニ依レハ商事會社ノ義解ハ既ニ了解シタルモノト看做シ而シテ本條ハ商事會社設立ノ場合ヲ示スニ止ルナリ是穩當ナルカ如シ故ニ本條ヲ以テ商事會社ノ義解ト爲スニ不可ナラン
（鶴田委員）
先ツ第一條ニハ會社ノ性質ヲ說明スルカ又ハ會社設立ノ場合ヲ示スカ孰レニカ之ヲ決定セサレハ修正ヲ加フルコトヲ得ス
退席渡邊委員
（長森委員）
「商事會社ハ商業ヲ共同シテ營ム爲メ之ヲ設立スルモノトス」トセハ如何
（河上委員）
第一條ニ寧ロ削除シテハ如何
（委員長）
否一閱スルトキニ不用ナルカ如シト雖モ先ツ會社設立ノ根據ヲ示シ而シテ其支葉ニ導クモノナレハ必用ナル條ニハアラサレトモ又敢テ不用ト爲シ削除スルニモ及ハサルナリ
○本條ハ左ノ如ク修正セラレタリ
第一條 商事會社ハ共同シテ商業ヲ營ム爲メ設立スルモノトス
○第二章 合名會社
○第一節 會社ノ設立
○第十八條 原案第三十五條
二人以上七人以下金圓其他有價物件或ハ勞力ヲ集合シテ共有資本ト爲シ各社員連帶無限ノ責任ヲ負フテ商業ヲ營ムモノヲ合名會社ト爲ス
（本尾委員）
修正案ノ法文ハ原案ト異ナリタリト雖モ其精神ニ至テハ毫モ變更セシ所ナキナリ「共通計算ヲ以テ」並ニ「責任其供資ニ止マラサルモノ」ヲ刪除シ之ニ代ルニ「連帶無限ノ責任」ヲ以テトセシニ普通ニ了解シ易カラシメンカ爲メナリ
（長森委員）
「共通計算」ノ語ヲ削除シタル理由如何
（岸本委員）
第一條ニ「共同シテ」ト云ヒ又本條ニ「集合シテ共有資本ヲ爲シ」ト云ヒ又「連帶」ノ語モアリ皆共通計算ノ意ヲ包含スルヲ以テ之ヲ削除シタリ
（委員長）
有價物件トアルモ哲學上ヨリ論スルトキハ世界ニ無價ノ物件アルコトナシ
（本尾委員）
然ル可シ然レトモ商業上ニ於テハ無價ノ物件アルコトヲ認定セリ
（岸本委員）
有價ノ二字ニ付キ議論アラハ之ヲ削除スルモ不可ナシ
（本尾委員）
然リ之ヲ削除スルモ無價ノ物件ヲ供資トナシ社員タラント欲スルモ實際得可カラサレハ必ラス有價物件ヲ要スルコトハ言ヲ待タスシテ明瞭ナルヘシ
（長森委員）
有價ナルニ字ヲ勞力ニ冠セサル理由如何ト問フモノアルトキニ如何答辯スルヤ
（岸本委員）
勞力ナルモノハ決シテ無價ナルコトナシ何トナレハ勞力ハ人ノ用ヲ爲スモノナレハナリ
本條ニハ他ニ異論ナシト雖モ玆ニ一ノ論㸃アリ卽チ七人以下ノ制限是ナリ若シ八人ニテ共議シ會社ヲ設立センニ本條二七人トアルヲ以テ中一人ハ之レカ其團結ニ入ルコトヲ得ス大ニ失望スルコトアルヘシ
（本尾委員）
之ニ反シ合名會社ハ社員皆連帶責任ヲ負フモノナレハ相互ニ信用スルノ人ナラサルヘカラス故二人數多ナルトキハ從テ其信用モ共同シ易カラス然ルトキハ會社ノ信用上ニ就キ一般ニ其影響ヲ及ホスコト大ナリトス故ニ制限ヲ設クル方可ナルヘシ
（岸本委員）
然レトモ歐州各國ニ於テ會社法ヲ施行スルコト數十年其實際上未タ人數多キカ爲メ弊害アリタリト云フヲ聞カサルノミナラス未タ其制限ヲ設ケタルノ法律アルヲ知ラサルナリ
（鶴田委員）
共ニ理由ナキニアラス
（本尾委員）
又制限ヲ設ケテ後日之ヲ解クニ容易ニシテ害少ナシト一雖モ始メ無制限ニシテ後日制限ヲ設クル如キ容易ナラサルノミナラス實際上ノ弊害モ亦少々ニアラサル可シ
（岸本委員）
歐米ノ法ヲ閱スルニ制限ヲ設タルハ英國ノミニシテ制限ナキ方ヲ多數ナリトス然ラハ制限ナキヲ普通トシ制限アルヲ例外ト爲サヽルヘカラス然ラハ例外ヲ採ルヨリハ普通ヲ用フルヲ正當ト爲ス若シ實施シタル後弊害アルコトヲ發見セハ其時ニ至リ制限ヲ設クルモ遲シトセサルナリ
第十二時十五分中止
第十二時三十分開會
（鶴田委員）
第一節ニ會社ノ設立トアレトモ設立ノ事柄ノミニアラス會社ノ性質屆出等ノ規定ナレハ會社ノ成立トカ又ニ組織トカ爲サヽレハ題目ニ適當ナラサルナリ
（岸本委員）
題目充分ナラスト雖モ會社設立ト爲シ「ノ」ノ字ヲ削除セハ如何
「七人以下」ノ四字ヲ削除シテ二人以上金圓云々トシ制限ヲ設ケサル事ト爲スヲ可トス
（河上委員）
我邦地方ノ實際ヲ察スレハ七人以下ノ制限ヲ付スルハ適當ナルコトト信ス
（岸本委員）
我邦ニ於テハ未タ合名無限ノ會社アラサルヘシ
（河上委員）
否責任無限ノ會社ナキニアラス
（岸本委員）
歐州ニ於テ會社ノ弊害ヲ爲スハ有限責任會社ニ在リテ合名會社ニ至リテハ人員ノ制限ナキモ弊害ヲ爲シタルコトナシ若シ合名會社ニシテ人員ノ多キトキハ卽チ業務擔當者ヲ置キテ業務ヲ取扱ハシムルノ便法アリ傍ラ以テ制限ヲ廢セラレンコトヲ望ム
（本尾委員）
合名會社ニ業務擔當者ヲ設クルヲ許スト雖モ全體合名會社ハ無限責任ナルヲ以テ社員ニ於テ自ラ業務ヲ擔當スルヲ好ムノ精神ナレハ決シテ擔當者ヲ許シタルノ一事ヲ以テ多數ノ人ヲ集合スルモ可ナリトノ論旨ト爲スヲ得サルナリ
（委員長）
先ツ制限ヲ廢スルノ說ハ見合セト爲シ七人ヲ十人トセハ如何
（河上委員）
七人トセシハ半數ノ都合アルヲ以テノ故ナルヘシ
（長森委員）
若シ强テ制限ヲ設クルコトトセハ十人又ハ十五人ト爲シテハ如何
（岸本委員）
七人以下ノ制限ノコトニ付テハ商法會議所ヘ下問スルモ可ナリ
（委員長）
然リ
（河上委員）
各社員トアレトモ未タ會社ノ設立ナキモノニ社員ト云フニ穩當ナラサルヲ以テ各人トセハ如何
（岸本委員）
第一條ニ既ニ會社トアル以上ハ玆ニ社員ト稱スルモ差支ナカルヘシ
（長森委員）
冒頭ニ二人云々トアルヲ以テ各社員ハ削テ可ナリ何トナレハ連帶無限トアレハ二人以上云々ニ係ル所アレハナリ
（河上委員）
未タ會社ノ設立セサル前ニ於テ社員ト云フコトヲ得ス
（岸本委員）
否各社員カ連帶責任ヲ負フヲ以テ始メテ會社トスルモノナレハ此各社員トハ合名社員トスルニハアラス
（本尾委員）
鶴田委員ノ說ニ若シ各社員ノ語ヲ刪ルトキハ或ハ業務擔當者ノミ連帶責任ヲ負フモノナルヘシトノ誤解ナキヲ保セサレハ原案ノ儘之ヲ存スヘシト
○第一節「會社ノ設立」ヲ「會社設立」ニ改メ第十八條中「社員」ノ二字ヲ刪ル他ハ原案ノ通リニ決ス
○第十九條 原案第三十六條
社名ハ社員ノ一名或ハ數名若クハ全員ノ人名ニ會社ノ語ヲ加ヘタルモノトス
社名ハ第十一條ニ揭タル裁判所管轄內ニ於テ既ニ設立セル會社ノ社名ト區別セサル可ラス
（鶴田委員）
「數名」ノ內ニ全員モ亦包含スヘシ故ニ「全員」ヲ削リテモ可ナラン
（長森委員）
會社ノ語トアル以上ハ組合又ハ商會等ト稱スルコトヲ得サルナルヘシ
（本尾委員）
然リ原案ニハ會社タルヲ表ス可キ附號トアルヲ以テ組合又ハ商會若クハ會社ト稱スルヲ得ヘシト雖モ修正案ハ「會社」ノ語ニ限ルモノトナセシナリ
（岸本委員）
若シ本法ヲ實施シ會社ノ語ハ一人ニテ之ヲ稱スルコトヲ得ス又從前ノ合名會社ニシテ組合又ハ商會ト稱スルモノヲシテ改稱セシムルノ布達ヲ發布セサルヘカラス此布達ヲ發シ得ルヤ否ノ㸃ニ至テハ少シク疑ナキニアラス
（本尾委員）
一人ノ營業ニシテ會社ト稱シ來ルモノハ僅々ナル可シト雖モ商會又ハ社又ハ組合抔ト稱シ來ルモノ夥多ナル可シ若シ本條ヲ原案ノ如クナストキハ總テ一人ノ營業ニシテ會社又ハ商會又ハ組合抔ト稱シ來レルモノヲシテ改稱セシメサルヲ得ス之ニ反シ本條ニ於テ會社ノ語ニ限ルモノト爲ストキハ單ニ會社ト稱シ來レルモノヲシテ改稱セシムルミ過キサルノ便アリ又將來會社ノ盛陶ヲ聞クトキハ其會社ノ合名會社ナルコトヲ知ルノ便アリトス
（長森委員）
然ラハ「氏又ハ名」ト爲スヘシ
（河上委員）
一體ノ精神ハ民ノミナルヘシ何トナレハ多ク人ニ知ラルニモノハ名ニアラスシテ民ナレハナリ又歐州ニ於テハ名ヲ社名ニ付スルコト絕テナシ
（岸本委員）
然レトモ我邦ニ於テ氏ノミト爲ストキハ大ニ不都合ヲ來スヘシ假令ハ道八ハ名ナルニ依リ何々會社ト氏ヲ冠スルトキハ人之ヲ知ラサルヲ以テ信用少シ若シ之ヲ道八會社ト爲セハ從來ノ信用モ厚ケレハ需用モ亦多カルヘシ然ルニ今之ヲモ禁スルトセハ信用上ニ大ナル弊害ヲ與フルコトヽナルヘシ
（河上委員）
道八トハ數代之ヲ用フルモノナレハ恐クハ屋號ニ等シキモノニシテ名ト稱スルヲ得サルヘシ
（岸本委員）
業名モ亦用フルコトヲ許スヤ
（鶴田委員）
通用スル以上ハ業名ト雖モ用ヒテ差支ナカルヘシ
（河上委員）
屋號モ亦氏名ト同一ニ用フルヲ許ストキハ實際上大ニ便宜ナル事ト思考ス
（鶴田委員）
屋號ニモアラサルモノ卽チ天正年間ヨリ民間ニテ稱用スル略名例之ハ丸善ト云フカ如キ付牒語ハ如何
（岸本委員）
業名及ヒ藝名ノ如キハ用フルコトヲ許サルヽコトヽ爲スヘシ
（長森委員）
業名及ヒ屋號ヲ用フルヲ得ルヤ否ヲ決定スヘシ是レ一己商人ノ大ニ關係ヲ有スルモノナレハナリ
（岸本委員）
業名屋號ハ決シテ用フルヲ得サルモノトシ氏名ニ限ルモノト決定セハ如何（之ニ決ス）
（委員長）
原文ニハ「ケセルシヤフトフエルヘルトニス」トアリ此中ニ會社ノ業名ヲ包含スルモノニハアラサルヤ
（本尾委員）
否「ケセルシヤフトフエルヘルトニス」トハ「會社タル」ト云フ意ニ過キサルナリ業名ノコトハ此中ニ包含セサルナリ
（長森委員）
三井物產會社又ハ伊勢勝製靴會社ト稱スルヲ得ヘキモノトスヘシ
（岸本委員）
然リ
（長森委員）
「會社ノ語ヲ付スヘシ但シ業名ヲ加フルコトヲ得」トセハ如何
（岸本委員）
夫レハ注釋ニ記載シ業名ヲ加ヘ用ルコトヲ得ルモノト爲スヘシ（之ニ決ス）
又區別トハ音訓一方ニ異ナル所アレハ差支ナシ若シ同一トセハ晉訓モ許サコルコトエナルヘシ本條ノ區別トハ元尾ト本尾ハ許スコトニ爲セリ依テ同一ノ社名ヲ願出ルトキハ先ノ本尾會社ニ對シ後設ノ本尾會社ハ自己ノ氏名ナルヲ以テ之ヲ改ムヘカラサレハ第二本尾會社ト區別セシムルカ如シ
（鶴田委員）
文字ヲ異ニスル以上ハ差支ナキモノトセハ如何
（岸本委員）
夫レニテ可ナルヘシ
（委員長）
私立銀行ハ本法ニ從フヘキモノナルヤ
（鶴田委員）
然リ
○本條ハ左ノ通リ修正セラレタリ
第十九條社名ハ社員ノ一人或ニ數人ノ氏又ハ名ニ會社ノ字ヲ附スヘシ
社名ハ登記ヲ受クヘキ裁判所管轄內ニ於テ他ノ會社ノ社名ト區別セサル可カラス
午後第三時二十分閉會