○第五十五回
明治十八年六月廿五日
欠席 鶴田委員
仝 渡邊委員
午前第十時二十五分開會
第六款 罰則
○第二百六十條
合名會社又ハ合資會社ノ業務擔當社員又ハ取締役或ハ株式會社ノ取締役ハ左ノ場合ニ於テ五圓以上百圓以下ノ罰金ニ處セラル可シ
一裁判所ヨリ一回ノ督促ヲ受クルモ本條例ニ規定シタル登錄簿ノ登記ヲ怠リタル時（第三十八條第四十條第八十七條第九十九條第百四十七條第百四十九條第百八十條第九十七條第百九十八條第二百一條第二百五條第二百十二條第二百三十四條第二百三十九條第二百五十六條）
二本條例中社名及社員ノ使用ニ關スル規定#ニ印鑑ヲ裁判所ニ差出ス可キ規定ヲ犯シタル時（第十二條第十三條第十四條）
三登記公吿前ニ開業シタル時（第四十一條第百五十條）
（本尾委員）
原案ハ株式會社ノ罰則ナリシヲ立案者ニ於テ更ニ會社條例一般ノ罰則ニ改案セラレタルモノトス注ニ條數ヲ揭ケタルハ委員ノ參考ニ供シタルモノニシテ頒布ノ際ハ之ヲ削除スルノ精神ナリ
（河上委員）
本條第三ト第二百六十一條ノ事務又ハ職務上ノ事務ヲ執リタルトハ卽チ開業シタルノ云ヒニシテ同一ノ事柄ナラスヤ
（本尾委員）
第二百六十一條ハ取締役ヲ改選シタル場合ニ關スルヲ以テ本條第三トハ自ラ異ナレリ
（岸本委員）
一回ノ督促ナキ以上ハ罰スル事ヲ得サルノ精神ナルヤ
（本尾委員）
然リ本官モ督促ノ事ヲ削除セント欲シ質問セシニ別段差支ナケレハ置クモ可ナルヘシトノ答辯ナリシ
○本條ハ左ノ如ク修正セラレタリ
第二百六十條合名會社又ハ合資會社ノ業務擔當社員若クハ取締役又ハ株式會社ノ取締役（以下原案ノ儘）
一（原案ノ儘）
二「社員」ハ社印ノ誤寫ナルヲ以テ「社印」ニ改ム他ハ原案ノ儘
三（原案ノ儘）
○第二百六十一條
合資會社ノ業務擔當社員又ハ取締役或ハ株式會社ノ取締役ハ登記公吿前ニ於テ會社ノ事務又ハ職務上ノ事務ヲ執リタル時五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處セラル可シ（第百十一條第百八十條）
（長森委員）
本條ノ順序ハ金高ニ關係セサルカ如シ
（本尾委員）
然リ事柄ニ依リ順序ヲ設ケタリ
○本條ハ「社員又ハ」ヲ「社員若クハ」ニ「取締役或ハ」ヲ「取締役又ハ」ニ改メ「取締役ハ」ノ「ハ」ヲ削リ「時」ノ下ニ「ハ」ヲ加フ其他原案ノ儘ニ決ス
○第二百六十二條
株式會社ノ取締役ハ左ノ場合ニ於テ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處セラル可シ
一株主名簿ヲ製セス又ハ不正ノ記載ヲ爲シ又ハ之ヲ商事裁判所ニ呈示セサル時（第百五十五條第百五十八條）
二會社解散ノ場合ニ於テ規則上ノ總會招集解散決議ノ公吿及裁判所ヘシ屆出ヲ怠リタル時（第二百三十四條第二百四十二條）
（本尾委員）
第二ノ「公吿」ハ「廣吿」ノ誤ナラン歟
（箕作委員）
決算廣吿ト異ナリ解算公吿ナルヲ以テ誤リニハアラサルカ如シ
（岸本委員）
若シ公吿ナランニハ登錄セサル方ニテ既ニ罰セラルヽヲ以テ要用ナカルヘシ
（本尾委員）
然リ一應質問スル事トセン
（委員長）
商事裁判所トアルハ總テ「裁判所」ト修正スヘシ
○本條第一ハ「又ハ不正」トアルヲ「又ハ之ニ不正」ト爲シ「商事」ノ二字ヲ削除シ第二ハ質問ノ上修正スル事ニ決セリ
○第二百六十三條
株式會社ノ取締役ハ左ノ場合ニ於テ貳拾圓以上貳百圓以下ノ罰金ニ處セラル可シ
一會社ノ資本減少ノ場合（第二百八條）ニ於テ會社ノ債主ヲ隱匿シ又ハ此ニ關シテ不正ノ申立ヲ爲シタル時
二會社檢査ノ場合（第二百二十七條）ニ於テ會社ノ帳簿及書類ノ呈示及ヒ請求アル答辯ヲ肯セサル時
三第二百十八條ノ規定ニ背キ會社ノ爲メニ自己ノ株劵ヲ所有ト爲シ又ハ質ニ取リ或ハ成規ニ從テ之ヲ賣却セサル時
四第二百十七條ノ規定ニ背キ株金ヲ株主ニ拂戾シタル時
五第二百十九條乃至ニ百ニ十一條ノ規定ニ背キ利足又ハ配當金ヲ株主ニ拂曲波シタル時
六準備金蓄積ノ規則ヲ犯シタル時（第二百二十一條）
第五項ノ罰則ハ合資會社ノ取締役ニモ適用ス（第百八十七條）
（委員長）
債主ヲ隱匿シトアルハ少ク穩當ナラサルナリ何トナレハ債主ノ數ヲ增減シテ明述セサルノ謂ヒナレハナリ
（細川委員）
「之ニ關シテ不正ノ申立」トハ債主ニ關シテ不正ノ申立ヲ爲ス場合ヲ云ヒ資本減少ノ事ニハアラサルカ如シ
（本尾委員）
或ハ然ラン併シ爲念質問スル事トセン
○本條ハ質問ノ上後回ニ於テ修正スル事ニ決セリ
于時正午第十二時五分前閉會