旧商法(明治23・26年)

会社条例編纂委員会 商社法第一読会筆記 第47回

参考原資料

備考

  • 未校正のテキストデータです.
○第四十七回
欠席 本尾委員
午前ハ農商務省上申會社設立處分方布達案ニ付討議アリシヲ以テ本會ハ午后ヨリ開會スルコトヽナレリ
○第   條 商法草案第二百六十七條
會社ハ自己所有ノ爲ニ株式ヲ所得スル事ヲ得ス又質物トシテ受取ル事ヲ得ス沒收シタル株式及ヒ辨償ノ爲ニ會社ニ交付セラレタル株式若クハ受込タル株式ハ四週日以內ニ相場所ニ於テ之ヲ賣却シテ其代金ヲ會社ニ入ルヘシ
(渡邊委員)
原文ニ於テハ自己ノ株式ヲ買受ケ又ハ質物トシテ受取ル事ヲ得ストアルヲ以テ「所有ノ爲ニ」ノ五字ハ不用ナリトス
(細川委員)
會社カ自己ノ株式ヲ所有スルヲ得ストハ如何
(箕作委員)
注解ニ依ハ一人ニシテ負債主ト債主ト合併スルノ理ナキヲ以會社カ自己ノ發ル所ノ株式ヲ所有スルヲ得ストノ原則ナリ
(細川委員)
然レ供若シ株劵ノ價下落シテ原價ヨリ引込ム時ハ何程カ價ヲ引上ケソカ爲メ會社自カラ買入レ置クノ場合ハ商買上敢テ其事ナレトハ斷言シ難カラン此場合ノ如キハ卽チ自己ノ株劵ヲ自己ニテ買入ルヽニハアラスヤ
(鶴田委員)
細川委員ノ說ノ如ク自己ノ株劵ヲ買入ルヽコトナシトハ云ヒ難シト雖供斯クナス時ハ止タニ會社ノ財產ヲ滅スルノミニシテ決シテ益スル所ナケレハ會社ニ於テハ容易ニ成シ得サルコトナルヘシ
又本條ニ「自己所有ノ爲ニ」トアルトキハ他人ヨリ買入ルハ勿論開業ノ始メヨリ會社所有ノ株劵トナス事ヲ得サル義ナルヘシ
(渡邊委員)
然リ
(長森委員)
受込タルトハ如何
(渡邊委員)
受込ミタルトハ不得止會社ノ所有トナルモノヲ云フ假令ハ身代限リノ爲メニ不得止株劵ヲ會社ニ受取リタル場合又ハ四分一拂込タル後記名者死亡シ跡引受人ナキ時ノ如キ會社其株劵ヲ受込マサルヘカラサル場合ヲ云フナルヘシ
(河上委員)
若シ自己ノ株劵ヲ質取リシタルトキハ如何
(渡邊委員)
書入レスル事ハ爲シ得ルト雖モ質物トナス事ヲ得ス
(細川委員)
株劵ヲ賣却スルニ若シ負債ノ金額ニ不足ヲ生スルトキハ株主ノ義務ハ未タ消滅シタリト云フヲ得サルカ
(渡邊委員)
負債主ノ義務ハ相場所ニテ賣却シタル時ニ於テ已ニ消滅スルモナシ
(箕作委員)
然ラス已ニ會社ニ於テ引受ケタル時ニ其義務ハ終ルモノナラン
(渡邊委員)
若シ引受ケタル時ニ義務ノ終ルモノトセハ相場所ニ於テ賣却スル其株劵ハ何某ノ名義トナスヤ
(塩田委員)
夫ハ負債主ノ名義ヲ以テスルナラン
(渡邊委員)
然ラハ其時ニ至ルマテ負債主ノ義務アルモノト認メサルヲ得ス
(細川委員)
引受タル云々ハ一時負債辨濟ノ爲メ會社ニ株劵ヲ預クル等モ包含スルナラン
(渡邊委員)
如此場合モ亦包含スヘシ
(周布委員)
株劵ヲ賣却スルニ負債主ノ名義ヲ以テスルヤ否ハ隨分重大ナル問題ト認ムレハ一應質問セハ如何
(鶴田委員)
可ナルヘシ
○本條ハ左ノ如ク修正アリ
第二百六十七條會社ハ自己ノ株劵ヲ所有トナス事ヲ得ス又質ニ取ル事ヲ得ス沒收シタル株劵及負債辨償ノ爲ニ會社ニ交付セラレ若クハ其引受トナリタル株劵ハ四週日以內ニ株式取引所ニ於テ之ヲ賣却シ其代金ヲ會社ノ金庫ニ納ムヘシ