○第三十九回
明治十七年十二月十穴日
○午前第十時開會
欠席 塩田委員
仝 周布委員
（本尾委員）
本條會社ノ負債ニ對シテハ未タ支拂期限ノ到來セサルモノト雖モ繰上ケ拂込マシムルノ精神ナルヤ否ヲ質セシニロエスレル氏ノ答ニ期限ノ至ラサルモノト雖モ矢張拂込マシムルノ精神ナリト問フ就テハ他條ニ牴觸ニハアラスヤ彼ノ第百八十五條ニハ「定款ニ隨ヒ各株ニ對スル拂込ノ義務ヲ負擔スルモノトス」トアルヲ以テ假令ハ定款ニ於テ會社ノ創立ヨリニケ年ヲ以テ株金ヲ拂入ルヘシト定メタルトキハ株主ハ定款ニ背キテ其期限前ニ拂入ルルノナシト云フニ至ラン則チ本條仕拂期限ノ到來前ニ拂込マシムルノ精神ト少シク牴觸スルニアラスヤノ答本條ト雖モ拂込ノ順序ハ無論定款ニ隨ハサルヲ得ス尤モ此場合ニ際シテハ總會ヲ開キ定款ヲ改正シテ後拂込マシメサルヘカラス否ラサルトキハ貴問ノ如ク牴觸ヲ來スヲ以テ總會ヲ開キ期限前ノモノハ其期限ヲ短縮シテ直ニ拂込マシムルノ方法ヲ設ケルモノナリト間フ能ク其意ヲ了セリ然レトモ本條ノミニ於テハ何分今說明アリシ丈ノ意味ヲ含有スルモノトハ解スル事ヲ得ス故ニ其精神ノ在ル所ヲ何レノ條ニカ明載アランコトヲ望ム答然ルニ第百八十五條ヲ改正シテ其精神ヲ顯ハウ置クヘシトテ左案ノ如ク改正セラレタリ
第百八十五條記名ヲ爲シタルトキハ會社設立ニ至リ其株主トナリ定款又ハ會社ノ決議ニ任セ各株ニ對スル拂込ノ義務ヲ負捻シタルモノトス以下元ノ如シ
又問フ第百八十五條ノ改正ニ依テ本條ノ精神ハ充分解スルコトヲ得タリト雖モ第二百九十八條ノ場合ニ於テハ如何答該條ハ解散ノ場合ナレハ本條トハ同一ナラス如何トナレハ解散ニ際シテハ未納額ヲ拂込マシムルノコトナケレハナリ問否ス正當ノ理由ヲ以テ解散スルノ會社ニハ無論本條ノ場合ヲ生スルコトナシト雖モニ三年間ニ株金拂込ノ會社ニシテ其納期ノ未タ終ラサル以前ニ解散スルトキハ未納額ナシトハ云フヲ得ス此場合ニ於テハ如何ス答若シ貴問ノ如キ場合アルトキハ期限前ト雖モ拂込ノコトヲ株主ニ向テ請求スルコトヲ得間然ラハ第二百十六條ノ場合ト同シク總會ヲ開キ其決議ヲ經テ後拂込マシムルノ手續ナキヤ答否解散ノ場合ナレハ總會ノ決議ヲ要セス已ニ決算人ノ委任權內ノモノト看做シ直ニ拂込マシムルヲ得ト果シテ然ラハ第二百九十八條ノ文面ニノミニ於テハ其意ヲ了解スルコトヲ得ス故ニ尙質問セント欲セシカトモ未タ校正該條ニ及ハサレハ更ニ間ヒヲ起サヽリシ
（岸本委員）
此改正案ニ依テ見ルニロエスレル氏ノ精神ハ期限ノ到來セサルモノハ拂込マシメサルモノナリ如何トナツハ其拂込ハ期限前ニアラスシテ已ニ定款改正ノ上ハ其定款ニ依テ拂込ムモノナレハナリ單ニ之レヲ言ヘハ已ニ期限ノ至リタルモノ已ニ當然拂込マサルヲ得サルモノトス
（本尾委員）
然ラス原案ニ於テハ期限前ニ取立ルノ精神ナリシカ改正案ニ於テハ總會ノ決議ヲ要メテ拂込マシムルモノトナセハ其精神ニ於テハ全ク相反スルモノトス
（鶴田委員）
總會ニ於テ期限前ノモノハ其期限ヲ短縮シテ直ニ拂込マシムル如ク決議セハ本條ノ意ヲシテ滿足セシムルモノト雖モ若シ總會ニ於テ期限ノ到來セサルモノハ其前ニ拂込ムニ及ハストノ決議ヲナシタルトキハ如何一體總會ナルモノハ株主ヨリ成立ツモノナレハ期限短縮ノコトノ如キ自己ニ不利益ナル事柄ハ本條ノ精瀞ニ反シテ以前ノ定款ヲ確守セストセハ言ヒ難シ此場合ニ際シテハ倒產ノ外他ニナキヤ
（本尾委員）
然リ總會ニ於テ拂込マサルコトニ決議スルトキハ止ムヲ得ス倒產ニ陷ルモノナリ
（岸本委員）
第二百九十八條ニ於テハ契約ニ拘ラス之ヲ請求スルト云フニアラスヤ
（河上委員）
改正案ノ精神ニ依ルトキハ第二百十六條ノ注解ハ適用スルコトヲ得ス
（本尾委員）
然リ
（箕作委員）
株式會社ニ於テ若シ負債アルトキハ總會ヲ開キ定款ヲ改正シテ拂込期限ヲ短縮シ負債辯償ニ當ルトスルトキハ無形人ト看做スノ原則ニ戾ルノ嫌ナキニアラス如何トナレハ無形人ト看做ス以上ハ尋常獨立ノ一己人タルニ依リ負債ノ義務ニ付テハ彼此ニ厚薄ナカルヘシ然ルニ株主ニハ期限前ノモノヲ徵收シテ社外入ノ義務ヲ補償セシムルハ妥當ナラサルカ如シ
（本尾委員）
否ラス先ツ會社ト株主トノ間ト會社ト社外人トノ間ニ、於テ何レカ會社ニ向テ義務ノ重キモノナルヤヲ考察スルニ社外人ヨリ株主ン方會社ニ向テハ重シト云ハサルヲ得ス如何トナレハ株主ハ會社負債アルトキハ之レカ辯濟ヲ負擔スルハ無論例ヘヲ以テ云ハヽ會社ノ負タル義務ハ其期限ノ未タ至ラサル以前ニハ之カ返濟ヲ爲サヽルヲ得ス之ニ反シ會社ノ負債主ニ對シテハ未タ期限ノ至ラサルモノニ向テハ要求スルコトヲ得ス株主ヨリ拂込ノ金額ハ定款ニ依テハ隨血息ノ徵收ノ期限ヲ短縮スルコトヲ得ルモノニシテ則チ社外人ト社內人ト卽チ株主トヲ比較スルトキハ社外ノモノヲ保護スルノ精神ナリ是故ニ無形人ト看做スノ原則ニハ毫モ戾ル事アルナシ
又本條質問ニ對シロエスレル氏ノ答辯中要用ナル部分ヲ筆記シタルヲ以テ左ニ之ヲ朗讀セン
各株主ハ支拂期限ノ來リタル金額ノミヲ拂込ノ義務アル者ト雖モ其支拂期限ハ定款ニ之ヲ定メ又ハ要スル場合ニ至リ總會ノ決議ヲ經テ其定款ヲ變更シテ之ヲ左右スル事ヲ得ルモノナリ而シテ現在ノ株主ハ勿論退社シタル株主ト雖モ會社ニ對シ備ホ義務ヲ有スル株主ハ其總會ノ決議ニ服從セサルヲ得ス
（箕作委員）
定款ヲ改正スルカ爲メ總會ヲ開ク所以ノモノハ例ヘハ三年ヲ以テ拂入レノ期限ト定メタルニ會社ノ都合ヲ以テ之ヲニ年トナサンカ爲メニ開クモノナルヤ或ハ債主ヨリノ催促アルカ爲メニ拂込期限ヲ短縮シテ債主ニ辯償ノ義務ヲ盡サンカ爲メナルヤ
（本尾委員）
多クハ會社ノ將ニ倒產セント欲スル場合ニ至リテ是迄ナシタル負債ノコトヲ服充シ總會ヲ開設スルモノナリ則會社ノ支拂上ニ差支アルヲ以テ特ニ之ヲ開キ三年ノモノハニ年トナシ拂込マシムルノ晶精吐胛ナリトス
（岸本委員）
夫レハ身代限ノ場合ナラスヤ如何トナレハ株主ハ未タ期限ノ到ラサルヲ以テ之カ利益ヲ失スルハ當然ナリト雖モ本尾委員ノ說明ノ如キハ身代限前ノ處分ナルカ如シ
（本尾委員）
然リ身代限前ノコトナリトス
（岸本委員）
然ラハ總會ハ株主ナルヲ以テ皆己レノ利益ヲ失フノ場合ナレハ之ヲ決議センコトハ絕テナカルヘシ
（本尾委員）
若シ倒產シタルトキハ本條ノ要用ヲ見ス岸本委員ノ說帶ハ第二首九十八條ノ場合ナリ則チ倒產ニ差臨ムトキハ諸條ヲ適用シテ決算入隨意ニ株主アリ未納額ヲ徵收スルモノナレハ毫モ其際ニ至テ不都合ヲ生スルコトナシ而シテ本條タルヤ毫モ倒產處分ニ關係ナキモノトス
（箕作委員）
一ロエスレル氏ノ意見ニ依レハ第二百十六條ノ一年間トアルハ全ク不用ナルカ如シ
（本尾委員）
然ラス例ヘハ甲者ヨリ乙者ヘ賣渡シタルトキハ甲者ハ一其賣渡ツタル卽チ退社ノ日ヨリ一年間ノ義務ヲ有シタルニ其一年間ニ於ケルヤ會社ハ益業務ノ旺盛ヲ極メ全ク事故ノ生スルナリシ一ヲ經過シタルカ其翌年ニ至テ仕拂停止ノ困難ヲ生スルトキハ甲者ハ全ク其義務負擔ヲ遁レテ乙者ノミ之ヲ負擔スルニ至ルモノナレハ決シテ不用ナリト云フヲ得ス
（長森委員）
若シ會社ニ於テ倒產セントスル場合ニ臨ミ之レカ爲メ總「會ヲ開キニ年間ノ拂込期限ヲ今明日ニ短縮セントスルニ株主ニ於テ皆己レノ不利益ナルヲ以テ必ス決スルニ至ラン然ルトキハ會社ハ不得止倒產スルニ至ルヘシ而シテ株主ハ會社ノ倒產ニ拘ハラス拂込期限ハニ年ノ後ナルヲ以テ大ニ便宜トスルニ至ル豈不都合ト云ハサルヲ得ソヤ
（本尾委員）
然リト雖モ他ニ方法アルコトナシ
一盟獨逸ニ於テハ別段ノ契約アルニアラサレハ全額拂込ノ上ナラサレハ之ヲ賣買スル得ス故ニ本案ノ如キ混雜ヲ生スルノ憂アルナシ
（委員長）
改案ノ如クセハ一年間ノ期限ハ如何ナルヤ
（本尾委員）
例ヘハ玆ニ五千圓ノ株金ヲ五ケ年間ニ拂込ムヘキ株主アランニ一年期分一千圓ヲ拂込ミタル上乙ナルモノニ讓渡シタルニ於テハ第二ノ株主部乙ナルモノハ四ケ年間ニ殘額四千圓ヲ拂込ムノ義務アリ而シテ第一株主ハ一ケ年間ハ殘額四千圓ヲ以テ負債ヲ擔任スルノ義務アルモノトス然ルニ第一株主退社後ニ年ノ末ニ至リ會社負債アルカ爲メ總會ヲ開キテ未納期限ヲ短縮シタルトキハ第二ノ株主ニ於テハ拂込期限ノ利益ヲ失スルモ第一ノ株主ニ於テハ已ニ退社後一ケ年ヲ經過シタレハ此決議ニ依テ損益ヲ得ルコトナシ要スルニ第一ノ株主ニ義務ヲ負擔セシムルニハ退社前ニ生シタル件ニシテ退社後一ケ年內ニ決議シタル事件ニ限ルモノトス
（本尾委員）
第二百十三條本條ニ於テ株劵ヲ沒收スルニ第一ノ株主ニ縣勘リヘカラサル以前ナルヤ否ノ質問ナリシカロエスレル氏ノ答辯ニハ第二百六十四條ニ其株劵ヲ沒收スルコトヲ得ルノ明文アルヲ以テ直ニ現所有者ヨリ沒收シテ賣拂フモ先第一ノ株主ニ懸リ然ル後現所有者ヨリノ株劵ヲ沒收スルモ會社ノ見込ニ任ス故ニ會社ニ於テ株劵ヲ賣拂フコトヲ利益トスルトキハ先ツ之ヲ賣拂フヘシ又株劵ノ價格下落シテ賣拂フモ利益ナシト見認ムルトキハ第一ノ株主ニ懸リテ拂込ムヘシ其取捨ハ會社ノ見込ニ任スルナリト
（箕作委員）
若シ會社ヨリ之ヲ沒收スルトキハ沒收セラレタル者ハ一ケ年間殘額ノ義務ヲ負擔スルヤ
（本尾委員）
沒收セラレタル退社員ハ一ケ年ノ義務ナシト思考ス
（委員長）
負債ノ爲ノミナラス會社ノ都合ヲ以テ拂込マシムルニ其義務ヲ負擔スル場合ノ質問ハ如何
（本尾委員）
本條ハ借金ノ場合ノミニ限ラス假令ヘハ會社ヲ設立スルニ運送營業ナレハ船ヲ買入レタランニ其代金ヲ拂フ事能ハス途ニ負債トナリタルトキヲ云フ別ニ借金ヲナスノミニ關スルモノニアラス右ノ場合ヲモ包含スルモノナリ
（箕作委員）
其場合ハ第二百十五條ノ半額ノ場合ナラスヤ
（本尾委員）
否然ラス該條ハ未タ拂入レサル以前ノ事ヲ云フ
（長森委員）
第百八十五條ノ定款云々ハ第二百十六條ニ關係ヲ有スル事ヲ知ラルヽヤ
（本尾委員）
夫ハ未タ期限ノ至ラサルヲ以テ拂入レノ事申立ルモノアランニ既ニ會社ニ於テハ總會ヲ開キ早ク納メシムル事ニ決議シタルニ依テ徵收スルモノト答ヘテ負捲セシムルモノナリ
（岸本委員）
定款又ハ會社ノ決議トアレトモ孰レカ一ツヲ以テ足レリトス如何トナレハ定款ヲ改定セスツテ會社ノ決議ヲ以テ爲スモ同一ナレハナリ
（委員長）
本條ハ到底論スルモ際限ナキヲ以テ修正會ノトキモ討議スヘシ
正午十二時中止
○午後十二時十分開會
○第 條 商法草案第二百十九條
（本尾委員）
本條ノ撰擧ハ都テノ場合ニ適用セシムルモノナリ併シ本條ハ重モニ設立ノ時ヲ云フ而シテ一ケ月トアル時ハ設立ノ際ハ事務繁忙ナルヲ以テ是非一ケ月前ニ撰擧セサルヘカラス又其後ノ撰擧ハ前役ヨリ引繼キノ事務等アリテ既ニ執務迄ハ一月ノ猶豫ナカルヘカラストテロエスレル氏ハ此一ケ月前トアルハ極メテ必要～ナリトノ事ナリシ
○第 條 商法草案第二百二十一條
本條ハ取締役執務云々ト左ノ如改案セラレシヲ以テ別ニ說明スル所ナシ
第二百二十一條取締役ノ執務マテハ會社ノ發起人ニ於テ其財務ヲ擔當スルモノトス（之ニ決ス）
說明了
○第 條 商法草案第二百二十三條
會社ノ申合規則ニ頭取ニ撰ハルヘキ株主ノ所有株數ヲ定ムヘシ頭取在任中ハ此株式ヲ讓渡、賣渡、質入、書入、其他々人ノ利益ニ歸スヘキノ處置ヲ爲ス事ヲ得ス
（委員長）
利益ニ歸スヘキトハ全ク不用ナリ如何トナレハ本條ハ株式ヲ失ハサルカ爲メニ設ケタルモノニシテ毫モ他入ノ利益トナスシ許サヽルヲ云フ
（箕作委員）
他人ニ貸スモノハ差支ナキヤ
（本尾委員）
貸スモ方法ニ依ルヘシ他人ノ利益トナルヘキ貸方ナレハ不可ナルヘシ
○本條ハ左ノ如ク修正ヲ加ヘラレタリ
第二百二十三條株主ノ取締役ニ選マルエ爲メ所有スヘキ株數ヲ會社ノ定款ニ於テ之ヲ定ムヘシ取締役在任中ハ其株式ノ讓渡、賣渡、質入、買入其他株式ノ利益ヲ他人ニ移スヘキ處置ヲ爲ス事ヲ得ス
○第 條 商法草案第二百二十四條
頭取ノ任期ハ三ケ年ニ越ユ可カラス
○本條ハ別段異議ナク左ノ修正ヲ加ラレタリ
第二百二十四條取締役ノ任期ハ三ケ年ニ超ユ可カラス但シ再撰スルハ妨ケナシ
○第 條 商法草案第二百二十五條
若シ頭取其職務上ニ就キ給料又ハ其他ノ報酬ヲ受クヘキトキハ之ヲ申合規則ニ確定シ置クカ又ハ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
○本條亦異議ナク左ノ如ク修正ヲ加ヘラレタリ
第二百二十五條取締役甘六職一務ノ爲メ給料又ハ其他ノ報酬ヲ受ク一ヘキトキハ定款又ハ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ確定スヘシ
○第 條 商法草案第二百二十六條
頭取ハ何時ニテモ會社ヨリ解任スル事ヲ得ヘシ但シ解任セラレタル者ハ之カ爲メ會社ニ對シテ償金ヲ請求スル事ヲ得ス
（本尾委員）
解任スルトハ總會ノ決議ヲ經テ爲スヲ云フ又償金トハ未タ務メサル先キノ給料又ハ其他ノ報酬ヲ云フナリ
○本條ハ左ノ如ク修正ヲ加ヘラレタリ
第二百二十六條會社ハ何時ニテモ取締役ヲ解任スル事ヲ得ヘシ其解任セラレタル者ハ之レカ爲メ會社ニ對シテ賠償ヲ要求スル事ヲ得ス
○第 條 商法草案第二百二十七條
頭取ハ其職掌義務ヲ盡スト否ト又申合規則及ヒ會社ノ決議ヲ確守スルト否トニ就キ會社ニ對シテ責任ヲ有スル者トス
（本尾委員）
本條ハ取締役ノ定款ニ從ヒ義務ヲ盡スト職務ヲ勉勵スルトノ規定ハ合名會社ニ於テ通常商人ト同一ノ勉勵注意ヲ爲スヘシトアルニ照應スルモノナリ
（長森委員）
第二百ニ十二條ト殆ント同一ノ條ナリ
（本尾委員）
本條ノ如キモノハ合名株式會社ニ限ラサルモノナレハ宜シク總則中ニ之ヲ揭載スヘキモノトス若シ之ヲ總則ニ揭載セシムルトキハ彼是重復ニ記載スルヲ要セサルナリ
（箕作委員）
本條ニ對スル罰則アリヤ
（本尾委員）
第三百十四條ノ一般ノ罰則ヲ適用スルヲ過キス
（箕作委員）
本條ハ第二百ニ十二條ト重復ノ如ク又合名會社ノ規定ト同一ナルヤ質問セラレタシ
（本尾委員）
諾
（委員長）
本條ハ質問ノ上修正スヘシ
○第 條 商法草案第二百二十八條
頭取ノ會社義務ニ對スル責任ハ各株主ノ責任ト異ナル事ナシ但シ申合規則ニ於テ其在任內ニ生シタル義務ニ就キ解任後一年間其全財產ヲ以テ連帶責任ヲ有スヘキ事ヲ定ムル事ヲ得ヘシ
（箕作委員）
何人ト連帶スルヤ
（本尾委員）
數名ノ取締役ノ連帶スルヲ云フ
○本條ハ左ノ如ク修正ヲ加ヘラレタリ
第二百二十八條會社ノ負債ニ對スル取締役ノ責任ハ各株主ト異ナル事ナシ然レトモ其在任中ニ生シタル負債ニ就キ解任後一ケ年間全財產ヲ以テ連帶責任ヲ負フヘキ事ヲ定款ニ於テ定ムル事ヲ得ヘシ
○第 條 商法草案第二百二十九條
頭取更迭スル每ニ之ヲ商業簡明簿ニ登記シ且之ヲ公吿スヘシ新任頭取ハ右登記公吿前ニ於テハ其職務ヲ執行スル事ヲ得ス
○本條ハ異議ナク左ノ如ク修正ヲ加ヘラレタリ
第二百二十九條取締役更迭スル每ニ之ヲ商業登錄簿ニ登記シ且公吿スヘシ新任取締役ハ其登記公吿前ニ職務ヲ執行スル事ヲ得ス
（委員長）
是迄單ニ登錄簿ト改メシモノハ總テ商業登錄簿ト爲シ商業ノ二字ヲ冠スヘシ
○第 條 商法草案第二百三十條
申合規則ニ預定シ置クカ或ハ否サルモ會社ニ於テ便宜ト認ムルトキハ株主中ヨリ三名以上五名以下ヲ選擧シテ取締役ト爲スヘシ其任期ハ二ケ年トス滿期後復選スルモ亦妨ケナシ
（本尾委員）
取締役トアルハ總テ檢査役ト改ムヘシ
（岸本委員）
三名以上ト爲セシ理由ハ如何
（本尾委員）
一名乃至ニ名ヲ選ムモ實際餘リ効ナカルヘシ寧ロ之ヲ選マシムルニハ効アルヲ欲スルヲ以テ三名ヨリ五名トシ爲シタルナラン
（岸本委員）
之ヲ選擧スルト否トハ會社ノ隨意ナラスヤ然ラハ法律ヲ以テ人數ヲ規定スルニ及ハサルナリ
（本尾委員）
ニ名以下ニテハ有名無實ノ恐レアリテ更ニ其効ナキヲ以テ三名ト爲セシモノナルヘシ
（鶴田委員）
檢査役ハ總會ニ於テ之ヲ撰擧スルヤ
（本尾委員）
然リ
（長森委員）
檢査役ヲ總會ニ於テ撰擧スヘキ事ハ載テ第百九十一條ニアリ
○本條ハ左ノ如ク修正ヲ加ヘラレタリ
第二百三十條定款ニ預定シタルトキ或ハ會社ニ於テ便宜ト認ムルトキハ株主中ヨリ三名乃至五名ノ檢査役ヲ選擧スヘシ其任期ハニケ年トス滿期後再選スルモ妨ケナシ
午後第二時閉會