第七回
同十七年七月廿二日
午前第九時開會
○第九十二條
記入ノ許否及ヒ記入事件ニ付テノ爭論ハ裁判所ニ於テ之ヲ裁決スヘシ此裁決ニ對シテ不服ヲ訴ルコトヲ得ス以前ノ記入ヲ改正、シ又ハ取消サソトスルトキノ爭論ニ就テモ亦同樣ナリトス
（本尾委員）
本條ハ別段說明スル所ナシ唯許否ト記入事件トヲ區別スルノ要アルノミ許否トハ登記スヘキ事柄ナルヤ又ハ法律ニ背反スルコトナキヤヲ檢閱シテ許否スル場合ヲ云ヒ記入事件トハ記入ス可キ事柄ニ付テ云フナリ
（箕作委員）
不服トハ如何
（本尾委員）
不服ヲ唱フルコトヲ得ストハ終審ノ判決ナリト云フニ異ナラス卽チ不服ヲ訴ルコトヲ許サスト云フニ在ルナリ此不服ヲ訴フルヲ許サヽル理由ハ既ニ裁判所ニ屆出其登記ヲ拒マレタルモノヲ再ヒ裁判ノ判決ヲ許シタル以上ハ省此上不服ヲ訴エシムルノ要ナキナリ
（委員長）
許否スルトハ何人ナルヤ
（本尾委員）
裁判所ノ登記ヲ主トスル者之ヲ許否ス例ヘハ登記ヲ屆出ルトキ裁判所ニ於テ其登記ヲ拒ミタル場合是ナリ
（委員長）
夫レハ許否ナルヤ
（本尾委員）
然リ原文ニハ「ツーレツシキカイト」卽許スコトニ付テノ爭論トアリテ否ノ字ナケレトモ許否ニ付テノ爭論ト云フ意ナリ
（委員長）
記入スル裁判所ハ通常裁判所ト異ナルヤ
（本尾委員）
然リ通常裁判所ナリ然リト雖本條例ノ實施セラルニ時ニ至リテハ其裁判所內ニ於テ登記ヲ取扱フ者ヲ確定セサル可カラス
（箕作委員）
登記擔當ノ役員ハ裁判官ナルヤ
（本尾委員）
必ラス然ル可シ
（委員長）
爭論トハ願人相互ノ爭論ヲ云フ
（本尾委員）
願人相互間ノ爭論モ之レナシトセサレトモ本條ニ於テハ登記役人ト願人トノ間ニ生スルモノヲ主トシテ云フカ如シ我邦ニ於テ裁判官ノ法律適否ニ付控訴スルヲ得ルカ如シ
（鶴田委員）
我カ裁判官未タ法律ニ練熟セサルニ出レハ其裁判官ヲ訴フル如ク見ユルモ是レ其人ヲ訴フルニアラスシテ其事件ノ適否ヲ訴フルニ在リ
（本尾委員）
本條ハ商法草案第二十一條ト精神毫モ異ナル所ナシ
（箕作委員）
草案ノ方明亮ナリ
（塩田委員）
登記擔當ノ裁判官其登記擔當ノ際ハ裁判官ニアラスシ`テ登記役員ト看做スノ意ナルヤ
（本尾委員）
然リ
（周布委員）
本條裁決ノ內ニハ他人故障ヲ述フルコトモ包含スルノ精神ナルヤ
（箕作委員）
他人之ヲ妨クル場合ヲ云フナラン
（本尾委員）
裁判所ニテ登記ヲ拒ミタル場合ハ勿論他人登記事件ニ付故障ヲ申出タルトキト雖モ亦本條ニ依ルノ意ナリ
（箕作委員）
登記役具眞羲判官ナーヤ又ハ佛國ニテ込撲ル」又ハ「ウ樅シ響」訟スル如薯之掌ルモナルヤ
（本尾委員）
必ラス裁判官ヲ以テ其職ニ當ラシムル意ノ如シ普國ニマ於テ乄ハ土地ノ登記ハ裁判所ニ於テ之ヲ取扱其登記役員ハ裁判官ニ、シテ之ヲ爲セリ
（周布委員）
同一ノ裁判所ニ於テ取扱フトセハ登記上ノ紛紜ニ付テ;ハ同一ノ裁判官之ヲ裁判スルノ憂ヲ生スルニ至ラン
（本尾委員）
同一ノ裁判官之ヲ裁判スルノ患ナカル可シ何トナレハ登錄簿主任ノ裁判官ト裁判ヲ爲ス裁判官トハ之ヲ區別セサル可カラサレハナリ
（委員長）
本條ヲ修正センニ六商法草案第二十一條ノ如クスルヲ可トス
（本尾委員）
本條ノ精神ト商法草案第二十一條ノ精神ト異ナル所ナキヲ以テ委員長ノ命ノ如ク修正スルモ可ナル可シ
（渡邊委員）
不服云々ハ終審トセハ如何
（本尾委員）
終審トハ第一又ハ第二ノ判決ニ對スルコトニシテ此場合ニ於テハ始審ヲモ經サルモノナレハ不服云々ト云フヲ可トセン一歟一-
（鶴田委員）
若シ終審トセハ上吿スルコ掛ヲ得ルナリ
（本尾委員）
本條ノ精神ハ上吿ヲモ爲シ得サル精神ナラン
（箕作委員）
上吿ハ特別ナルモノナレハ本條ニ關セス必ス爲シ得ヘキ潭士ナルヘシ
（本尾委員）
上吿ノ事ニ付テハロエスレル氏別段說明スル所ナキヲ以テ同氏ニ質問スヘシ
（箕作委員）
本條ハ缺席裁判ノ故障毛許坑虻現ノ精神ナラン
（注意）
本條ハ衆議ノ上左ノ如ク修正セリ
「第九十二條記入ノ許否及ヒ記入事件ニ付テノ爭論ハ裁判所ノ裁決ヲ以テ終結トス以前ノ記入ヲ改正シ又ハ取消サニ滿ソトスルトキノ爭論ロ一就テモ亦同シ」
○第九十三條
記入事件ハ職權ヲ以テ其拔書ヲ官報及ヒ其裁判所ノ官誌或ハ官ヨリ示定スヘキ他ノ地方新誌ニ公吿スヘシ
（本尾委員）
本條ハ記入事件ノ拔書ヲ官報ト裁判所官誌又ハ地方新誌ニ公吿スルコトヲ示スモノナリ其公吿ハ裁判所ノ職權ヲ以テ之」フ爲スナリ公吿ヲ爲ス可キ期限及地方新誌ノコトハ第九十四條及第九十五條ニ詳ナツ
（細川委員）
官報ニ公吿スルニハ費用ヲ徵セサルヤ
（本尾委員）
必ラス徵收スルナラン嚠
（鶴田委員）
官ヨリ示定スヘキ他ノ地方新誌トハ如何齡
（本尾委員）
裁判所ノ宿誌アルトキハ其官誌然ラサルトキハ第九十五條ニ依リ司法卿ヨリ示定ス可キ新誌ニ公吿スルナリ故ニ司法卿ハ官誌ナキ地方ノ爲メ年々之ヲ定メサル可カラス例之ハ東京ニ於テ添東京日々新聞ヲ以テ記入ノ新誌トナストキハ該新紙ニ於テ公吿シタルモノハ官誌ニ公吿シタルモノト同樣ノ効用アリト定ムル厂如キナリ
（委員長）
本條ノ原文ヲ見ルニ公吿ハ本人ヨリ之ヲ爲ス可キモノノ如シ如何
（本尾委員）
本條ノ原文ニハ各記入ハ職權ヲ以テ公吿セラル可シトアシ是レ卽チ裁判所ハ職權ヲ以テ記入事件ノ拔書ヲ公吿ス可シト云フ意ナリ
（箕作委員）
「示定スヘキ」島アルハ邦文ニテ云フ時ハ「示定シタル」ト爲スヘキ場合ナラン
（長森委員）
裁判所ハ職權ヲ以テ記入事件ノ拔書云々小セハ如何
（本尾委員）
夫可ナラン
○第九十四條
記入及ヒ公吿ハ其屆出タル日ヨリ五日內ニ之ヲ爲スヘシ
（本尾委員）
商法草案ニハ記入ハ卻日或ハ翌日中ニ登記ス可シトアルニ本條ニハ之ヲ改メテ五日內トセリ是レ其差違アル所ニシテ其他ハ都テ商法草按涉異ナル所ナシ又遠隔ノ地ニ在テ官報ニ公吿スルハ屆出タル日ヨリ五日以內ニ爲シ得ヘキモノニアラストノ疑問アル可シ此場合ニ於テハ五日以內ニ於テ官報ニ公吿セラル可キ手續ヲ爲スヲ以テ足レリトス例ヘハ長崎ニ於テ七月ニ十ニ日ニ記入」事件ヲ屆出ル時ハ其裁判所ニ於テ同月ニ十七目迄ニ文書局ヘ通知ハ高乙爲スヲ以テ足レリトスルナリ
（河上委員）
記入事件ニ付爭論ノ起タル場合ニ五日間ヲ經過シタルヘマ時塾如何「
（本尾委員）
如斯場合ニ於テ漆爭論ノ裁決アリタル日ヲ以テ屆出ノ日小爲サヽル可カラス
（委員長）
記入ヲ屆出テタル時ヨリ五日內ニ公吿スヘシトノ意ナル一ヤ娼
（本尾委員）
然リ
（委員長）
「然ラハ記入モ五日內公吿モ五日內トスルノ意ナルヤ
（本尾委員）
然リ
（委員長）
公吿ハ原案ノ如クスルモ差支ナシト雖モ記入ノコ小ハ記入ヲ許可シタル日ヨリトスルヲ可トス如何トナレハ記入ヲ出願スルモ必ス許可アルヘキニアラサレハ許可アリタル日ヨリトセハ疑ヒヲ解クニ近シ
（本尾委員）
第九十二條ニ記入ノ許否トアルヲ以テ別段ニ許可ヲ與ラルカ如ク見ユレトモ此許否ハ商法草按第六十九條ノ許可シ如キモノニアラス只不適法ナル記入事件ニ付テハ其登錄ヲ拒ムニ止マルナリ
（委員長）
然ラハ別胴ニ箇ノ役所ヲ設ケ記入事件ノ正否ヲ檢閱セシメテ適法ナルトキニ更ニ登記局ニ屆出ヲ爲サシメサルヘカラス
（本尾委員）
記入事件ン正否及適法不適法ヲ檢閱スルハ登記役員ノ任ル可シ而シテ記入事件ハ之ヲ屆出登錄ヲ乞フニ止マリテ其許否ニフ要セサルナリ
（委員長）
只タ屆出ニ止マルモノナレハ五日間ノ時日ヲ與フルニ及ハス
（本尾委員）
此時日ナキトキハ屆出タル後一ケ月又ハ二ケ月モ經過ヘシテ公吿ヲ爲スコト之レナシトセス然ルトキハ會社ノ利害ニ大ヒナル關係ヲ及ホス可シ
（委員長）
裁判所ニ於テ記入ヲ掌ルン理由如何
（渡邊委員）
裁判所ハ權利義務ヲ裁決スル所ナルヲ以テ平常ヨリ之レカ事件ヲ取扱カハシムルトキハ爭訟ノ起リタル場合ニ至テ差支、ヲ生スルコト少ナカルヲ以テナリ
（鶴田委員）
屆出トハ遠方ヨリ記入ア屆出ルモノハ其屆書文書局ニ到着シ、タルヨリ五日內トスルノ精神ナリ丁云フト雖トモ此文章ヲ以テ右ノ如ク解釋シ得ラルルヤ
（箕作委員）
屆出トハ裁判所ニ屆出ツルコトヲ指スモノニシテ決シテ文書局ニ屆出ルモノト見ルヲ得サルナリ
（岸本委員）
本條ノ義務ハ裁判所ニアルヲ以テ屆出トハ裁判所ニ屆出ルヲ云フナルヘシ若シ記入公吿文書局ノ義務トセハ或ハ文書局ヘ屆出ツルモノト見ルモ可ナラン
（鶴田委員）
然リ此五日トハ記入公吿手數ノ日ト見ハ可ナラン
（本尾委員）
ロエスレル氏ノ精神ニテハ裁判所ヘ屆出ノ日ヨリ五日內ニ記入及ヒ公吿セヨト云フニ止マルモノナリ
（細川委員）
第九十三條ノ官報トハ文書局ノ官報ナリヤ
（本尾委員）
然リ
（細川委員）
第九十五條ニ官報ノ字ナシ故ニ官報ノ費用ノコトヲ脫セリ
（本尾委員）
第九十五條ハ地方新誌ノ公吿費用ヲ定ムルニアラスシテ翌年中官誌ト同一ノ効力アルヘキ新誌ヲ定ムヘシトノ條ナリ故ニ地方新誌ニ公吿スル費用ヲ定ムルニアラスシテ地方新誌ノ種類ヲ定ムルノ意ナリ
（箕作委員）
登記ト記入トハ區別アリヤ
（本尾委員）
然リ登記ノ費用ト公吿ノ費用ト云フ意ナリ
（岸本委員）
預メ定ムルトアレトモ其公吿ノ文字多寡ニ由テ其費用ヲ一定スルコト能ハサルヘシ然ラハ前以テ確定スルハ爲シ難キコトナラスヤ
（細川委員）
本條ノ費用ハ手數料ニシテ公吿ノ實費ヲ云フニアラス
○第九十五條
第九十三條ニ揭ケタル地方新誌及ヒ登記公吿ノ費用ハ少クモ翌年分豫メ司法卿ヨリ布達ヲ以テ之ヲ定ムヘシ輛
（本尾委員）
本條ハ別ニ說明ヲ要スルコトナシ則チ一年分ヲ其前年ニ於テ確定シ置クヘシト云フニ在リ
（委員長）
一年分ヲ預メ決定スヘシトアレトモ二回以上公吿ヲナスモノナキニアラサルヲ以テ豫メ之レカ費用ヲ定メ難カルヘシ本條ノ意味ハ一月ヨリ十ニ月迄ノ費用ハ何程トスルノ意ナラン
（本尾委員）
本條中「登記公吿ノ費用云々」ハ登記ノ手數料ハ一度或ハ一葉ニ付若干ナリト定メ公吿ハ每度或ハ一葉ニ付若干ナリト定ムルヲ云ヒ一ケ年中ノ總額ヲ定ムルニアラサルナリ
（委員長）
少クトモ一年前ト云フノ意ナルヤ
（本尾委員）
然リ前年ニ於テ翌年中又ハ翌年翌々年中ノコトヲ定ムルナリ
（箕作委員）
「翌年分」トアルヲ「翌年間」トセハ如何
○第九十六條
裁判所ヨリ一回ノ督促ヲ蒙ルモ法律ニ規定シタル登記ノ屆出ヲ怠ル者ハ五圓以上百圓以下ノ罰金ヲ科シテ其屆出ヲ爲サシム可シ
（本尾委員）
本條モ別ニ說明ヲ爲スヘキ所ナシ商法草案第二十三條ト同一ナリ
（鶴田委員）
登記公吿ヲ爲サヽレハ會社ハ設立セサルニ本條ニ據レハ屆出ヲ爲サシム可シトアリ然ラハ其事業店ハ會社ノ如シト云ヒ之ヲ取調ヘ屆出ヲ爲サシムルモノナルヤ
（本尾委員）
然リ法律ニ定メタル登記公吿ノ屆出ヲ爲サヽル會社アルトキハ之ヲ爲サシムルナリ
（渡邊委員）
法律ニ規定シタル登記トセハ如何
（岸本委員）
督促ヲ受ケテヨリ何日間ニ爲スノ規定ナルヤ
（本尾委員）
其規定ナシ他ノ諸條ニ於テハ一日ニ付キ罰金何程ト定メアルモ本條ハ單ニ五圓以上百圓以下トアルヲ以テ其範圍內ニ於テ科スルマテナリ
（塩田委員）
督促ヲ受ルトアリ裁判所ハ如何シテ其會社ナルコトヲ知ルヲ得ヘキヤ
（本尾委員）
例之ハ某會社ニシテ營業ヲナスト雖モ登記公吿ノ屆出ヲ爲サヽルモノアランニ登記役員又ハ司法官吏若クハ警察官吏ノ之レヲ發見スルカ又ハ他人ノ吿發ニ依テ之ヲ知リタルトキハ本條ニ依リ其處分ヲ爲スナリ
（箕作委員）
本條ハ第八十六條ト牴觸スルカ如シ
（本尾委員）
第八十六條ハ第八十五條ノ事項ヲ變更シ又ハ約定ヲ更メタルトキニ就テ云ヒ本條ハ會社ニ對シ普通ニ之ヲ規定シタルカ如シ
○第九十七條
登錄簿ハ各人之ヲ展閱スルヲ得ヘシ都テ登記且公吿シタル事柄ハ公然ニシテ裁判所ノ認知シタルモノト見倣シ其事實ヲ知ラサル亷ヲ以テ義務ヲ免ルヽコトヲ得サルヲ通例トス
（本尾委員）
本條ハ商法草案第二十二條ト精神ヲ同フス要スルニ登錄簿ハ裁判所ニ於テ各人ニ縱覽セシム可キモノナルヲ示シ而シテ登記公吿シタル事柄ハ公衆ノ之ヲ知リ得タルモノト看做サレ裁判所モ亦之ヲ認知シ居ルモノトナスナリ故ニ何人ト雖モ事實卽チ登記公吿ヲ知ラストテ之ヲロ實ト爲シ義務ヲ避ルヽコトヲ得サラシムルナリ然レトモ其實ニ之ヲ知リ得ヘカラサリシ事情アリタルヲ證明スルトキハ之ヲ例外トナササル可カラサル無論ナリトス
（箕作委員）
裁判所ノ認知云々ハ裁判上ニ於テ之ヲ知リ得タルモノト見做サルヽノ意ナラン
（本尾委員）
然リ裁判所ノ認知シタルハ卽チ裁判上ノ認知シタルト同一ナル可シ
（箕作委員）
サレハ「所」ニテハ聊カ適當ナラサルカ如シ
（委員長）
已ニ裁判所ニ屆出トアル以上ハ看做スト云フニ及ハサルカ如シ
（本尾委員）
裁判所ニ屆出トアルハ裁判所ノ登記公吿ヲ主トスル官署ヲ云ヒ融裁判所ノ認知トアル晶裁判所ハ軸聽訟ヲ爲ス乢裁判所ヲ云フナリ
（委員長）
銑ニ屆出トアレハ之ヲ「認知シタルモノト看做ス」ト云フハ語氣適應セサルヲ以テ「公然」ノ字ヲ省キ「裁判所ノ公認シタルモノト」修正セハ如何
（長森委員）
裁判所ノ認知トハ一般ノ人民之レヲ認知シタルモノト看做スノ意ナラン
（本尾委員）
否裁判所ノ認知シタルモノト看做ストハ裁判所既ニ其事柄ヲ知リ得タルモノト爲スト云フノ意ナリ而シテ「公然」ノ字ハ一般ノ人民ニ樹シテ云ヘル語ナリ
（長森委員）
矢張リ「裁判上」ハ「裁判所」トスルヲ可トス
（本尾委員）
「其事實ヲ知ラサル」以下ヲ「何人ト雖モ事實ヲ知ラサルヲ以テ義務ヲ免ルルコトヲ得ス」ト修正セハ如何
（委員長）
詞看做スノ譯字適當ナルヤ醉
（本尾委員）
獨乙文順=アハ「看做」スト云ハサルヲ得サレトモ邦文ナレハ「トス」又ハ「爲ス」トシテモ可ナラン
午前十二時三十五分閉會