旧民法・法例(明治23年)

法果譲産相続新案

参考原資料

法果讓產相續新案
報吿委員 磯部四郎
第四節 讓產相續
第千五百八十一條第一 讓產相續ヲ二種ニ區別ス
第一 任意ノ讓產相續
第二 法果ノ讓產相續
第一款 任意ノ讓產相續
(原案第千五百八十一條乃至第千五百九十八條)
第二款 法果ノ讓產相續
第 條 法果ノ讓產相續トハ戶主タル養子カ法律ノ認許スル原因ニ從ヒ離緣ト爲リテ養家ヲ去ルニ由リテ發開スル相續ヲ謂フ
第 條 養家ト養子トノ協議離緣ニ原因スル讓產相續ニ付テハ總テ任意ノ讓產相續ニ關スル規則ヲ適用ス但第千五百八十四條第一及ヒ第千五百九十八條ノ規定ハ此限ニ在ラス
下ノ數條ハ裁判上ノ離緣ニ原因スル讓產相續ニノミ之ヲ適用ス
第 條 法果讓產者ハ養家ニ遺スヘキ財產ニ付テハ處分シ得ル部分ト雖モ之ヲ其卑屬親ノ一人又ハ數人ニ分與スルコトヲ得ス
其財產ノ相續方法ハ無遺言ノ家督相續ト同視ス
第 條 戶主タル養子カ養家ニ遺スヘキ財產ニ付離緣ノ請求ヲ受ケ又ハ之ヲ爲シタル後ニ第三者ノ利益ニ爲セシ無償處分ハ離緣ノ宣言ニ依リテ當然無効ニ歸ス但身分取扱人ノ帳簿欄外ニ離緣ノ請求ヲ記入シタル後ニアラサレハ善意ノ第三者ニ無償處分ノ無効ヲ對抗スルコトヲ得ス
不動產ノ無償處分ニ付テハ更ニ其不動產ノ登記簿ノ欄外ニ離緣ノ請求ヲ記入スルコトヲ要ス
第 條 離緣請求書ノ記入ハ養家ノ財產保存ニ權利ヲ有スル者之ヲ爲スコトヲ得
第 條 戶主タル養子カ養家ニ在リタル間ニ取得シタル權利又ハ負擔シタル債務ハ養家ニ遺スヘキ財產ノ包括中ニ含蓄ス但第三者ノ贈與又ハ贈遺ニ原因スルモノハ此限ニ在ラス
又戶主タル養子カ身上ノ過失又ハ特有財產ノ保存ニ原因シテ負ヒタル債務ニ付テハ讓產後ト雖モ自ラ辨償ノ義務ヲ免レス但債權者ハ同時ニ養家ノ相續人ニ對シテ其辨償ヲ請求スルコトヲ得
第 條 戶主タル養子ノ取得シタル權利及ヒ債務ハ反對ノ證據アルニアラサレハ養家ニ遺スヘキ財產ノ包括中ニ含蓄スルモノト見做ス
此反對ノ證據ハ總テノ證據方法ニ依リテ之ヲ立ツルコトヲ得