民法證據篇再調査案第四十四回議事筆記
自第千四百八十一條至第千五百一條
明治二十一年十二月二十五日午前第十時開會
(委員長)
ヤリマシヨウ
第千四百八十一條朗讀ス
第六章 動產ノ取得時効
第千四百八十一條 正名義且善意ニテ有體動產物ノ占有ヲ取得スル者ハ卽時ニ其所有者ト爲ル
此場合ニ於テ反對カ證セラレサルトキハ占有者ハ正名義ニテ占有スルモノト推定セラル
(村田委員)
後チニナゼ正名義ト云フカ前條ニテ善意ニテ占有セラルル者ト推定セラルルデシヨウ正名義ト云フト善意ガ拔ケテ仕舞フガ略シタノデスカ
(栗塚委員)
矢張リ略シタノダロウト思ヒマス
(箕作委員)
前ニアリハセンカ
(栗塚委員)
善意デ占有スルト推定セラルルハ六ケ敷ダロウ
(村田委員)
善意デ出來ンコトハナイ
(栗塚委員)
正名義デ持ツテ居ル人ナラ推定スルトキハ無論善意ト推定スルゾヨト申セマシヨウ
(村田委員)
其レ丈ケノ區別ハ付カン樣デス
(南部委員)
之ハ斯フ云フ理窟ガ御座リマス成程正名義ニテ且善意ト前ニ言ツテアリマスガ正名義ノモノニハ善意ノ占有者ト推定セラルルト前ニ言ツテアリマスカラ其レデ除イタノデアリマス
(村田委員)
正名義ナレバ無論善意ハ含ンデ居ルノダ成程其レナラ宜シイスルト實ハ前モ善意ト云フノハ入ランノデス
(南部委員)
此方ハ反對ノ證ガナイトキハト言ツタカラ始メハ有體動產ノ占有ヲ得ルモノハアルカラ唯正名義デハ足リンカラデス
(淸岡委員)
宜シイ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百八十二條朗讀ス
第千四百八十二條 動產物ノ占有者カ正名義ヲ有シ且善意ナル場合ニ於テモ其物カ所有者ノ盜取セラレ又ハ遺失シタルモノナルトキハ其所有者ハ遺失又ハ盜難ノ時ヨリ一ケ年間ハ占有者ニ對シテ其物ノ回復ヲ請求スルコトヲ得但占有者カ其物ヲ有償名義ニテ受ケタルトキハ其讓渡人ニ對スル求償ヲ妨ケス
背信ニ因リテ隱竊シ又ハ詐欺ヲ以テ得タル物ニ本條ヲ適用セス前條ノ規定ニ從フ
(村田委員)
回復ト云フ字ハ英文ニハ取戻シト云フ字ニ書イテアリマス之デナケレバナリマセン
(淸岡委員)
刑法ニハドウカ
(栗塚委員)
日本刑法附屬中ニハナイソウデ御座イマス
(委員長)
背信ト云ツテモ詐欺ト違ツテ向フガ偽ヲ云ツタモノヲ欺クカ
(箕作委員)
背信ト云フノハ預ツタ物ヲ賣ツタ樣ナモノデス
(南部委員)
自毀財產デ御座イマス
(委員長)
今デハ詐欺デモ矢張リ取返スコトハ一旦其レハ臓物トナツタ以上ハ盜品モ何ニモ區別ハナシダロウ
(淸岡委員)
隱竊ノ字ハドウカ
(箕作委員)
隱竊ニシマシタ
(大尾崎委員)
詐欺ヲ以テ取ラレタトキハ本條ハ適用センノダネ
(村田委員)
ソレダカラ取返スコトガ出來ンノデ所有權ガ移ツテ仕舞フノデス
(淸岡委員)
一年ト云フノハドウカ知ラン
(箕作委員)
佛蘭西ハ三年デ御座イマス
(淸岡委員)
一年ハ短イト思フガナソトカ理窟ガアリマスカ
(村田委員)
一年ハ日本ノ遺失物ノ場合ヲ言ツタノデハナイカ遺失物ハ一年經ツテ廣吿シテ求メガナイト所有權ガ移ル
(淸岡委員)
ソレハ屆ヲスルカラ丸デ違イマス
(箕作委員)
「ボアソナード」ガ之ヲ明記シテ仕舞フノハドウカ知ラン
(村田委員)
詐欺ハ斯ウシテ宜シイ實ニ詐欺計リノ契約ハ無效ニナランノデアリマスカラ詐欺ノ場合ニハ民法ノ三百三十二條ヲ御覽ナサルト分ル民法デハ詐欺計リデハ無效ニハナラン外ノ強暴ノ時ハ無效ニナルガ詐欺ニハ無效ニナランカラ全ク詐欺デヤツタラ唯取消ヲ求ムルノト賠償ヲ求ムルノデ御座イマス
(委員長)
自毀財產ハ少シ違フガ詐欺ト云フモノハ一般ノ人ガ取返サルルモノト思フ處ガ豈計ラン向フノ手ニアツテ費消シテ仕舞フトカ今早ク取ツテシマハント彼レノ手ニアルトナクナシテ仕舞フカ知ラン
(箕作委員)
外ハ注意スレバ防ゲルト云フ處ガ詐欺取財ハ注意シテモ盜人ニ合フ人ト同ジダカラト云フカラシテ詐欺盜品ト同ジ譯ケニナルノデス
(委員長)
公債證書ナド欺イテ取ツタリスルカラ
(南部委員)
公債證書ハ別デ御座イマス
(栗塚委員)
物デナケレバナリマセン無記名證券ヲドウシタトカ云フコトハ四十四條ト六條ニアリマス
(箕作委員)
「ムーロン」ノ草案ニ馬ヲ盜マレタ處ノ例ガアリマス盜人ニハ注意ガ深クテモ出會フ又詐欺ノ如キモ矢張リ注意ガ深クテモ免ガレマセン左スレバ法律ノ精神カラ云フト盜人ト同ジ取戻スコトガ出來ント云ハナケレバナリマセン併シ佛蘭西盜品トアルカラ矢張リ詐欺ノ中ニ込メラレナイトアリマス
(淸岡委員)
御最モデス
(委員長)
背信丈ケニシテドウカ
(村田委員)
一體詐欺ノ契約ハ無效ニナラナケレバナランカ
(委員長)
詐欺ガ分ツテ來ル迄ハナントモ云ヘマセン
(淸岡委員)
一年ト云フハ二年トカ三年位ニシナケレバナラント思フ
(槇村委員)
三年位ニシタイ
(南部委員)
年限ノ處ハ違イハセンカ何時迄モ長ク持ツテ居ルコトハ出來ズアヤフヤニ持ツテ居ナケレバナリマセン
(淸岡委員)
アヤフヤニスルノデハナイ取返サレル迄ハ分ランノデアリマス
(南部委員)
長イト從テ動產ノ所有權ノ確定ガ久シク不安ニ於テ置ク憂ヒガアリマス
(淸岡委員)
善意デ占有シタラ良イト思ツテ居ルノデス
(村田委員)
私ハ反對ノ論デアリマスガ年限ヨリ本來云フト四百八十一條ノ元トノ條デ見ルト正名義ト善意デアツタラ所有權ヲ得ル原則デアリマス
(南部委員)
ソウスルト皆ナ取返ス樣ニシナケレバナラント云フ話シデ一年ニスル三年ニスルカト云フ論ニハ照應シマセン詐欺ノ方ハ良ウ御座イマシヨウガ年限ハ一年デ宜シウ御座イマス
(淸岡委員)
一年ト云フ理窟ハ分ラン
(南部委員)
ソウスレバ三年ト云フモ理窟ハ分ラン同ジデス
(渡委員)
詐欺ヲ入レ樣
(箕作委員)
一年デモ空期デ瞬間ノ中ニ時效ニナルソレ丈ケ猶豫ヲ與ヘタノデス
(村田委員)
本當ハ取返サセンノダ
(淸岡委員)
力ヅクデ引立テルノデハナイ矢張リ有償名義ノモノハ償ヲシナケレバナラン求償權モ與ヘテアリマス
(南部委員)
盜マルルト直グ屆ヲシマス
(淸岡委員)
屆ヲシテモ之ハ遺失物見タ樣ナモノデハナイ
(大尾崎委員)
買ツタ奴ハ三年モ四年モ經ツテ只取ラルルハ溜ラン
(淸岡委員)
愈々分ツタラ今デモ五年デモ七年デモ往クノデ之ヲ三年ト見ルト尙ホ短カク見ノデス何處デ見當テモ愈々自分ノモノナラ取返サルル
(南部委員)
其ハ時效ガナイカラ動產卽時動ト云フモノハ日本ニナイカラ其デ占有ヲ得ルコトハ出來ン其レハ盜品ニ限ツタコトハアリマセン
(淸岡委員)
盜品ノ外他人ノ買ツタモノヲ取ツテ來ルニ何ニカアルカ
(南部委員)
自分ノ所有品ナラ幾等轉輾シテモ取ラルル取レント云フ法律ハ御座イマセン時動ノ法律ガアツテコソ初メテ言ハレルノデ理窟上カラ時動ヲ立テルコトハ出來マセンモノデアリマス法律制限シテアリマス
(渡委員)
背信ニ因テ取返サレント云フハドウ云フ譯カ
(村田委員)
詐欺ハ輕ク見タカラデアリマシヨウ
(箕作委員)
背信ハ取ラレタ奴ノ不注意ガアルト云フノデ其デ買ツタ奴ハ善意ノモノヲ責メルガ良イカ又迂闊ニ信ジタモノヲ責メルガ良イカト云フト寧ロ信ズ可カラザルコトヲ信ジタモノヲ責メルト云フガ良イト云フノデアリマス
(大尾崎委員)
詐欺ハ盜人ト同ジニシテ宜シイ
(渡委員)
細カニ言ツテ見ルト權衡ガ斯ウナツテ居ルト云フハ別デ民法デ細カニシテ見ルトドウモ私ハ其丈ケノ動ハナイト思ヒマス
(大尾崎委員)
詐欺ト云フ者ハ智者モ詐欺セラルルトキハ欺カルルハ免ガレマセンカラスルト背信ト云フモノハ此人ハト思ツテ信ジタモノガ多クアルノデス
(箕作委員)
買フモノト背信者ト比較シナケレバナリマセン
(村田委員)
騙マサルルハ自分ニモ落度ガアルカラデス
(大尾崎委員)
先ヅ一年間ヲ定メマシヨウ
(村田委員)
一ケ年デ宜シイ
(渡委員)
之ハ二ケ年デ良イト思ヒマス
(槇村委員)
盜マレタモノガ一ケ年ノ間脇ニアツタノヲ見當ラント云フコトハ滅多ニハナイト思フ
(南部委員)
私ハ其反對デアリマス
(淸岡委員)
遺失物ハ捨テタ者モ拾ツタモノモ屆ケルガ盜品ハ一方シカ屆ケナイ又善意デ買ツタ奴モ屆ケ樣ハアリマセン
(渡委員)
品觸レ方デ探ス法ガアルカラ先ヅ一年位デ良イト思フ
(槇村委員)
スルト一年ノ間ハ必ズ隱スノデアリマス
(南部委員)
隱シタラ惡意ニナルカラ往カン
(委員長)
兎ニ角長クスルカ短カクスルカ多少數ニ因テ定メマシヨウ
(大尾崎委員)
私ハ二年トシタイ
(淸岡委員)
一年トスルナラ買ヒ取ツタ日カラトスルガ良イ盜ンダ日カラ一年デハ往カン
(南部委員)
其ハ往カン買取ツタ日カラト云フト轉輾シテ往クカラソンナ馬鹿ナコトハ出來マセン私ハ一年デ良イト思フ
(村田委員)
私ハ原案
(渡委員)
私ハ一年デ良イト思フ
(北畠委員)
私ハ延ル方デス
(槇村委員)
私モ延ベル方デス
(淸岡委員)
私モ延ベル方デス
(委員長)
私モ延ベル方トシテ其カラ二年ト三年ト致方ガ宜シイカ
(村田委員)
遺失物ハ一年ノ期滿免除ニナツテ居ルカラオカシイ
(委員長)
遺失物カラ見タラドウカ知レンガ必ズ一年ニシナケレバナラン必要モナイト思フカラ私ハ二年デ良イト思フ
(南部委員)
ソレデ二年ニシマシヨウ
(渡委員)
其レデハ二年ニシテ一項ハ一項ニ組込ミタイ
(委員長)
所有者ノ竊取セラレ詐欺セラレ又ハ遺失セラレトシテ其カラ遺失ヲ下ヘ遣ラント工合ガ惡ク詐欺盜品又ハトスルカ
(村田委員)
詐欺ヲ入レナケレバナランカ知ラン
(南部委員)
詐欺セラレトデモ言ハナケレバナリマセン
(村田委員)
刑法デモ詐欺ト盜品トハ違イマス本統云フト此際ハ取除ケテアリマス
(委員長)
南部サンハ詐欺ハドウカ
(南部委員)
私ハ村田サンノ理窟ハ面白イト思フ
(村田委員)
遺失物ハ承知シテ落シタノデハナイカラ其レヲ取レバ竊盜ヲ以テ論ズル詐欺ハ向フガ承知シテ渡スノデアリマス
(南部委員)
原案ガ宜シイ
(委員長)
承知シテモ詐欺ト知ツテハ渡サン當然ノ如クヤラレルカラデアリマス
(南部委員)
詐欺ハ契約ノ無效ニハナランノデアリマスナゼナラバ騙サレナガラ承知シテヤツタノデアリマス共議デ取ツタトキカ知ラントキニ取ツタ時ハ區別ガアリマスガ承知ガナイトハ言ハレマセン
(北畠委員)
渡ス方ハ注意ガ足ランノデアリマス私ハ村田サンノ說ヲ贊成
(渡委員)
注意ノ足ランノハ何方デモアリマス
(南部委員)
契約ノ無ニナラント云フ時ガアリマス
(村田委員)
其レ丈ケハ區別シナケレバナラント思ヒマス
(槇村委員)
拂蘭西ハドウデス
(箕作委員)
拂蘭西ハ二項ガナイノデ詐欺ハ盜罪デナイカラ止ムヲ得ズ這入ランケレドモ精神ハ良クナイト云フノデアリマス
(大尾崎委員)
宜シクナイ今迄ノ慣習トモ違フ詐欺デ取ラレタモノハ取戻スコトガ出來ント云フト不都合デス
(渡委員)
詐取セラレヲ入レマシヨウ
(南部委員)
其レハ入ラン
(渡委員)
其レデハ原案ニシテ置キマシヨウ私ハ詐欺ト背信トハ其區別ガ仕惡イト思イマスソレデ詐欺ヲ入レテ背信丈ケヲ除クト云フノナラ何方モ入レタイ詐欺丈ケ入レルト云フノハ不同意デ御座イマスガ其レナラ止ムヲ得ズ背信ヲ入レナイナラ原案ノ通リデ良イト云フ條件附デ御座イマス
(委員長)
其デハ私ハ詐取セラレヲ入レマシヨウ其レデ二項ハナシニシテ仕舞フ
(南部委員)
ソレハ言ハナイト往ケマセン背信ノ場合ハドウナルカ知レマセン
(委員長)
分ケテアルカラ宜シイ詐欺遺失盜品トアルカラ宜シイ
(南部委員)
明カニアルモノヲ刪ツテ曖昧ニシテ法律ヲ出スノハ分ラン
(委員長)
ソレナラ皆ナ書ナケレバナラン
(南部委員)
盜取セラレテハ往カンカラデス詐取ヲ入レタラ背信ト云フノハ何處ヘ付クカ論ガ起リマス
(委員長)
背信ハ這入ツテ居ラント云ヘバ宜シイ
(南部委員)
這入ツテ居ランカラ佛蘭西ニ論ガ起ツタノデアリマス
(委員長)
背信ノミヲ云フノハ善クナイ
(栗塚委員)
詐欺ト云フハ證據立ツルハ六ケ敷カロウ、詐欺デアツタナイト云フノハ二年ノ後チニ言フノハ餘程六ケ敷デシヨウ
(委員長)
詐欺取財ト云フノハ檢事ガ見テ良シ又豫審判事マデ云フカラ詐欺取財ト云フ名ガ附テ居ルト公判ニマデハ暇ガ入ルダロウ
(栗塚委員)
二年程經テ詐欺デアルト申スハ中々六ケ敷デシヨウ或ハ公債證書ヲ取ラレタ例ニ因ルト金時計ヲ取ラレタト見ルト又罪人ガ出來ント盜マレタハ分ツテ居ルガ詐欺ダト云フ證據立ハ六ケ敷其レデ自カラ竊盜トハ違フノデハナイカ
(委員長)
最初竊盜ト見テヤル後チニ公判上詐欺トナツテモ同ジ適用ヲ受ケルト原案ノ通リダト區別ガ困難ダロウ
(南部委員)
併シ背信ニナルト終リニ置カナケレバナリマセン
(委員長)
ソレデハ置キマシヨウ
(箕作委員)
盜難又ハ遺失トヤツテ宜シイ
(委員長)
二項ハ背信ニ因リ隱竊シタル者ニハ適用セズカ
(栗塚委員)
左樣デス
本條ハ左ノ如ク改ム
動產物ノ占有者カ正名義ヲ有シ且善意ナル場合ニ於テ其物カ所有者ノ盜取セラレ詐欺セラレ又ハ遺失シタルモノナルトキハ其所有者ハ盜難詐欺又ハ遺失ノ時ヨリ二ケ年間ハ占有者ニ對シテ其物ノ回復ヲ請求スルコトヲ得但占有者カ其物ヲ有償名義ニテ受ケタルトキハ其讓渡人ニ對スル求償ヲ妨ケス背信ニ因リテ隱竊シタルモノニハ本條ヲ適用セス前條ノ規定ニ從フ
第千四百八十三條朗讀ス
第千四百八十三條 遺失シ又ハ盜取セラレタル物ヲ競賣又ハ公ノ市場ニ於テ又ハ此類ノ物ノ商人若クハ古物商人ヨリ善意ニテ買受ケタルトキハ所有者ハ其買受代價ヲ辨償スルニ非サレハ回復ヲ爲スコトヲ得ス此場合ニ於テハ右ノ代價ニ付キ所有者ハ賣主ニ對シ又賣主ハ讓渡人ニ對シテ求償權ヲ有シ終ニ盜取者又ハ拾得者ニ遡ル
(栗塚委員)
遺失盜取セラレ又ハ詐取セラレタル物デス
(箕作委員)
盜取セラレ詐取セラレ又ハ遺失シタル物トシテ宜シイ終リハ盜取者又ハトシテ宜シイ
(栗塚委員)
宜シイ買受ケタル者アルトキデ宜シイ
(箕作委員)
宜シイ
(委員長)
宜シイ
本條ハ冒頭「遺失シ又」ヲ刪リ「盜取セラレ詐取セラレ又ハ遺失シタル物」云々ト改メ「買受ケタル」ノ下ヘ「者アル」ノ三字ヲ加ヘ其他原案ニ決ス
第千四百八十四條朗讀ス
第千四百八十四條 無記名債權證書ヲ遺失シ又ハ之ヲ盜取セラレタル場合ニ於テ其證書回復ノ期間及ヒ條件ハ特別規則ヲ以テ之ヲ定ム
(栗塚委員)
之ヲ質問中ト御座イマスノハ間違ヒデアリマス
(南部委員)
盜取セラレ又ハ遺失シタル場合ニ於テハ云々トシマス
(箕作委員)
特別規則ト云フノハドウカ
(栗塚委員)
大藏大丞ガ勅令デ以テ遣ルノデシヨウ
(村田委員)
只今ハ斯ウ云フノハアリマセン
(箕作委員)
規則ハナイガ大藏大丞ガ遣ルノデアリマス
(村田委員)
只ナクナツタト云フ丈ケデアリマス
(栗塚委員)
其レモ大藏省デ勘定シテアル位デアリマス
(栗塚委員)
特別ノ下ヘ「ノ」ノ一字ヲ入レマス
本條ハ「盜取セラレ詐取セラレ又ハ遺失シタル場合ニ於テ」云云ト改ム特別ノ下ヘ「ノ」ノ一字ヲ加ヘ其他原案ニ決ス
第千四百八十五條朗讀ス
第千四百八十五條 前記ノ場合ニ於テ回復者カ占有ノ無名義タリ又ハ惡意タルコトヲ證スルトキハ時效ハ三十ケ年ヲ經過スルニ非サレハ成就セス
(委員長)
前記ノ場合ハ何處マデカ
(南部委員)
總テデ御座イマス
(淸岡委員)
回復者ト云フハ所有者カ
(栗塚委員)
ソウデス元トノ本當ノ所有者デ取戻サウト云フ入デアリマス盜マレタカ知ランガ商人カラ買ツタト云フ人ハ一言モナイカラ栗塚ノ時計ト知ツテ買ツタ人ハ三十ケ年デナケレバ時效ハ得ント云フノデアリマス
(淸岡委員)
ソレデハ回復デハナイ
(栗塚委員)
回復者ガ證スルトキハデス
(村田委員)
百九十三條ヲ見ルト無償名義ノコトガアリマスカラ良ク分ツテ居ル
(栗塚委員)
惡意タルコトヲ回復者ガ證スルトキハデモ良シイ
(村田委員)
自分ガ盜ンデ居ツテ證スルコトハナイカラ分ツテ居ル
(槇村委員)
斯ウ云フコトニナルト云フト回復請求ハ三十ケ年ノ中取戻スコトガ出來ルノダ
(大尾崎委員)
向フガ詐欺シタモノトカ共謀シテ取ツテ居ツタトカ云フ惡意ガ證セラレタラ三十ケ年マデ往クノデス
(箕作委員)
詐欺ノ原因ト知ツタ折ニハト言ツタ方ガ宜シイ
(淸岡委員)
盜品タルコトヲ知ツタモノハダ
(栗塚委員)
惡意タルコトヲ此方ガ證スルノデアリマス
(村田委員)
彼ノ人ハ善意デナイト云フトキデアリマス
(渡委員)
良カロウ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百八十六條朗讀ス
第千四百八十六條 前記ノ規定ハ用方ニ因リテ不動產ト爲リタル動產カ其附着シタル不動產ヨリ分離セラレタル場合ニ於テハ其動產ニ之ヲ適用ス
前記ノ規定ハ記名債權又ハ文學技術若クハ工藝ノ所有權ノ如キ無體動產ニモ又動產ノ包括ニモ之ヲ適用セス但此等ノ物ニ關スル時效ノ期間ハ第千四百七十四條乃至第千四百七十六條ニ記載シタル區別ニ從ヒ不動產ニ關スルモノト同一ナリ
(栗塚委員)
第千四百七十四條以下ニ記載シタルト起案者ガ直シマシタ
(箕作委員)
以下ト云フト廣スギル
(村田委員)
之デ宜シイ
(南部委員)
刑法治罪法モ皆ナソウデス
(村田委員)
一項刪除建議ト云フハドウカ
(南部委員)
一項ハ刪除デ御座イマス
(村田委員)
刪ル方ガ宜シイ
(南部委員)
ナゼナレバ動產トナツタ動產ハ附着シタル動產ヨリ分離セラレタラ卽チ動產ト云フハ分ツタ話シデアリマス
(村田委員)
併シ叮寧ガ良イデハナイカ元ト用方ニ困ル動產ト云フノダカラ云ツテ居ル方ガ宜シイ
(箕作委員)
アツテモ宜シイ詐欺背信ニ因ル遺失サヘ入レルナラ疑ガイヲ防グ爲メニ宜シイ
(渡委員)
之ハ入ラン
(大尾崎委員)
入リ樣ハナイ
(北畠委員)
害ハナイカラ置クガ宜シイ
(槇村委員)
置クガ良シイ
(委員長)
刪ル說ハ誰々カ
(渡委員)
刪リマス
(南部委員)
刪リマス
(委員長)
ソレデハ少數デス
本條ハ「第千四百七十四條以下ニ記載シタル」ト起案者ガ改メ原案ニ決ス
第千四百八十七條朗讀ス
第七章 免責時效
第千四百八十七條 義務ノ免責時效ハ債權者カ其權利ヲ行フコトヲ得ヘキ時ヨリ三十ケ年間之ヲ行ハサルニ因リテ成就ス但法律上別段短キ期間ヲ定メ又ハ債權ヲ時效ニ罹ラサルモノト定メタルトキハ此限ニ在ラス
(村田委員)
義務ノ免責時效ハ通常ト云フ字ガアルガ原文ニハアリマセンカ
(栗塚委員)
一般ト云フノガアルノデス
(村田委員)
通常三十年ト云ツタガ良イダロウ
(栗塚委員)
併シ但書ガアリマス
(箕作委員)
又ハカラ先キハ愚文デス
(栗塚委員)
時效ニ罹ラザルモノト定メタルトキハ此限ニ在ラズハオカシイ
(箕作委員)
三十年ハ言ヘルト併シ五年トカ七年ハ別ト云フノカ
(南部委員)
併シナガラ時效ニ罹ルモノハ權利ヲ行ヒ得ベキヨリ三十年ト云フコトガナイカラ時效ニ罹ラザルモノヲモ三十年罹ルカト云フ疑ヒガ起ルカラデス
(箕作委員)
三十年ノ期限ト時效ニ罹ル罹ランカヲ混淆シテ居ルノデス
(栗塚委員)
ソウデ御座イマス
(委員長)
毫モアリマスマイカラ良シウ御座イマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百八十八條朗讀ス
第千四百八十八條 債務ノ元本カ年賦ニテ辨濟ス可キモノタルトキハ利息ヲ包含スルト否トヲ問ハス時效ハ各年賦ノ要求期ニ達シタル時ヨリ格別ニ之ヲ算ス
本條ハ原案ニ決ス
第千四百八十九條朗讀ス
第千四百八十九條 債權カ年金權ナルトキハ無期又ハ終身ノモノト雖モ其時效ハ證書ノ日附ヨリ三十ケ年ヲ以テ成就ス
然レトモ右ノ日附ヨリ二十八ケ年ノ後ニ至リ債權者ハ債務者ニ對シ時效ヲ中斷スル爲メ双方ノ費用ヲ以テ其權利ノ追認證書ヲ得ント要求スルコトヲ得
若シ債務者右ノ要求ヲ拒絕シ債權者裁判上自己ノ權利ヲ追認セシムルノ必要アルトキハ其費用ハ全ク債務者ノ負擔タリ
(村田委員)
此留保ハドウカ
(栗塚委員)
之ハ來テ居リマス「日附又ハ第八百八十七條ニ從ヒ債務者ノ原本ヲ償還スルヲ得ヘキ時ヨリ三十年ヲ以テ成就ス」トシテ來マシタ
(南部委員)
宜シイ
(箕作委員)
一體年金權ト云フモノハ無期カ終身カニ限ルト云フガ雖モト云フト外ニアル樣デアリマス
(南部委員)
債權ガ無期又ハ終身ノ年金權ナルトキト雖モトシテ宜シイ
(栗塚委員)
ソウ致シマシヨウ
本條第一項「債權カ無期又ハ終身ノ年金權ナルトキト雖モ其時效ハ證書ノ日附又ハ第八百八十七條ニ從ヒ債務者ノ原本ヲ償還スルヲ得ヘキ時ヨリ三十ケ年ヲ以テ成就ス」ト改メ其他原案ニ決ス
第千四百九十條朗讀ス
第千四百九十條 動產質又ハ不動產質ノ返還ヲ得ル爲メノ對人訴權ハ適法ナル方法又ハ免責時效ニ因リテ債務ノ消滅シタル後ニ非サレハ時效ニ罹ラス其時效ハ第千百十九條ニ記スル如ク債權者ガ質ヲ有スル事實ノミニ因リ停止セス
(栗塚委員)
悉皆刪除ニナラント往カンノデス免責時效ニ因テ債務ノ消滅ト云フノハ往カンノデス
(箕作委員)
免責時效ニ因リテト云フノハ債務者カ
(栗塚委員)
時計ヲ貴君ニ質ニ置キ金ヲ借リタラバ時效ニ催ラントナツタ免責時效ニ因リテトハ申セン金ヲ貰ツタラ債務消滅シタラ後トデ取戻スト云フコトガ出來ルノデス
(大尾崎委員)
適法ナル方法ニ因リテナルカ
(南部委員)
左樣
(栗塚委員)
又ハ免責時效ト云フ字丈ケ刪レバ宜シイ
(村田委員)
其時效ハ云々以下ハ無論刪レマス
(南部委員)
左樣デス
(箕作委員)
宜シイデシヨウ
本條ハ「適法ナル方法」ノ下「又ハ免責時效」ノ六字ヲ刪リ「其時效ハ第千百十九條ニ記スル」云々ノ數字ヲ刪リ其他原案ニ決ス
第千四百九十一條朗讀ス
第八章 特別ノ時效
第千四百九十一條 人ノ身分ニ關スル訴權ハ法律カ其行使ヲ特別ノ期間ニ繋カラシムル場合ニ非サレハ時效ニ罹ラス
(村田委員)
人ノ身分ニ關スルト云フノハ分リマセン
(箕作委員)
人ノ身分ニ關スル訴權ハ時效ニ罹ランガ當リ前ダガ罹ラシムルトキハ此限ニ在ラズデス併シ實ハ人事編ガナイト仕樣ガ御座イマセン
(村田委員)
人間違イデ夫婦ニナツテ六七ケ月デ間違ヒト云フコトハ往カント云フ樣ナコトデス
(委員長)
宜カロウ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百九十二條朗讀ス
第千四百九十二條 相續人又ハ包括名義ノ受遺者若クハ受贈者ノ分限ヲシテ效用ヲ致サシムル爲メノ遺產請求ノ訴權ハ相續人又ハ包括名義ノ受贈者若クハ受遺者ノ名義ニテ占有スル者ニ對シテハ相續發開ノ時ヨリ三十ケ年ヲ經過スルニ非サレハ時效ニ罹ラス
(村田委員)
之ハ妙ナモノデス
(栗塚委員)
之ハ相續人サヘ定マレバ宜シイ
(淸岡委員)
受贈者受遺者ハドウカ
(栗塚委員)
遺言デ貰フノト云フト受遺者デ御座イマス
(村田委員)
原文ニハ正當トアル
(栗塚委員)
正當ト云フノハ困ルノデアリマス
(箕作委員)
包括名義モ皆ナ正當ト云ハナケレバナラン樣ニナル
(南部委員)
正當ト云フノハアル方ガ宜シイ
(栗塚委員)
ナイ方ガ宜シイ
(南部委員)
名義ニテ占有スルモノトアルカラ正當ト入レタ方ガ分リ易イト思ヒマス
(渡委員)
原案デ宜シイ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百九十三條朗讀ス
第千四百九十三條 免責時效ハ左ニ揭クル諸件ノ辨濟ノ訴權ニ對シテハ五ケ年トス
第一 明額ナル金額ノ塡補又ハ遲延ノ利息
第二 無期又ハ終身ノ年金權ノ年金
第三 養料又ハ恩給ノ一期ノ支拂金
第四 借家賃又ハ借地賃
第五 果實又ハ日用品ノ每期ノ給與額
第六 敎師、番頭、手代、使用人、僕婢、乳母ノ謝金又ハ給料ニシテ一ケ年每ニ定メラレタモノ
此他一般ニ一ケ年每ニ定メタル金額又ハ有價物ノ債務但其辨濟ハ更ニ短キ時期ヲ以テ爲サル可キトキト雖モ亦同シ
債務者ハ右ノ時效ヲ申立ツルニ於テハ債權者ノ積帶セシメタル金額又ハ有價物ヲ辨濟セサリシコトヲ自白スルトキト雖モ其時效ノ利益ヲ失ハス
(栗塚委員)
第一「明額」ハ「明確」デアリマスソレカラ終リノ此他一般云々ハ修正シテ「此他一般ニ一ケ年每ニ又ハ更ニ短キ時期ヲ以テ定メタル金額又ハ有價物ニ係ル債務ニ付テモ亦同シ但其辨濟ノ方法如何ニ拘ハラス且下ニ規定シタル場合ハ此限ニ在ラス」ト致シ末項ハ報吿委員デモ刪ル論デアリマシタ
(箕作委員)
之デ宜シイ
(淸岡委員)
五ケ年ハ定マリマシタカ
(南部委員)
日本ノハ違ツテ居ル貸金ヲ五ケ年ナドト云フ問違ヒガアリマス
(淸岡委員)
一ケ年ニ定メラレタモノデナケレバ往カンカ
(南部委員)
此他デアリマスカラナンデモ往ク
(村田委員)
第五ノ果實又ハ日用品一期支拂金トシテ良イダロウ前ニモ恩給ノニ期ノ支拂金トアルダロウ
(南部委員)
彼處ハ滿期トアルカラデス
(箕作委員)
每年ト云フコトハ惡イ
(南部委員)
元トハ每年デアリマシタガ每年ト云フノハ足リナイト云フノデ滿期トアリマシタ
(栗塚委員)
果實ハ良イガ炭薪木ト云フト工合ガ惡イ
(村田委員)
一期ノ支拂ハト云ツテ良カロウ果實モ一期ト云ヘバ一年ダカラ日用品モ一期每ニヤルノデアリマス
(箕作委員)
同ジデス
(渡委員)
宜カロウ
(村田委員)
之ハ聞イテ貰ハナケレバナリマセンガ僕婢ト云フコトハ云ヘン雇人計リデアリマシヨウ前ニモ僕婢ト云ツテ居リマス
(箕作委員)
手代番頭使用人マデ僕婢デハナイガ本當ノ下女下男ト云フ奴デアリマス
(栗塚委員)
下女下男トナスツテハドウカ
(村田委員)
ソウスレバ良シイ新律綱領ニアツタノヲ改定律領デ直シタカラ僕婢ト云フ人ヲ雇人トスレバ宜シイ
(栗塚委員)
親方師匠ナドト云フ字モ改定律ニハ御座イマセン
(南部委員)
二百五十六條ヲ御覽下サイ彼ノ時ニドウ云フ譯ケデ僕婢ト云ヒマシタロウ
(淸岡委員)
宜カロウ
本條ハ第一「明額」ハ「明確」ト正誤シ終リノ「此他一般」云云ヲ「此他一般ニ一ケ年每ニ又ハ更ニ短キ時期ヲ以テ定メタル金額又ハ有價物ニ係ル債務ニ付テモ亦同シ其辨濟ノ方法如何ニ拘ハラス且下ニ規定シタル場合ハ此限ニ在ラス」ト修正ニ決シ末項ハ刪除其他原案ニ決ス
第千四百九十四條朗讀ス
第千四百九十四條 時效ハ左ノ訴權ニ對シテハ三ケ年トス
第一 內科外科ノ醫師產婆製藁者ノ世話治術及ヒ調剤ニ關スル其訴權
第二 前條第六號ニ指定シタル敎師使用人其他ノ者ノ給料カ一ケ年ヨリ短ク一ケ月ヨリ長キ時期ヲ以テ定メラレタル場合ニ於テハ其訴權
第三 技師工匠測量師製圖師ノ雇使ノ終ラサルトキト雖モ其經畵意見及ヒ工事ニ關スル其訴權
第四 不動產ニ關スル築造地均其他ノ工作ニ付テノ請負人ノ訴權
(渡委員)
内科外科ハ刪リマシヨウ佛蘭西字ニハ使テアルガ日本ニハ入ラン
(淸岡委員)
醫師產婆デ良シイ
(北畠委員)
内外科ハ刪テ良シイ
(栗塚委員)
「製藥者」ハ「藥剤者」デアリマス
(箕作委員)
藥剤師デ良シイ
(村田委員)
ソレデ良シイ
(淸岡委員)
藥剤師ト云フハドウ云フモノカ
(栗塚委員)
資生堂ノ如キモノデス
(淸岡委員)
アレハ調剤者ダロウ
(北畠委員)
世話ト云フハドウカ
(栗塚委員)
醫師ガ病人ヲ世話スルトカ產婆ガ世話スルトカ云フノデス
(南部委員)
藥剤師ト云フノハアリマス
(北畠委員)
醫學部ニモ藥剤師ト云フノガアリマス
(箕作委員)
藥剤者ニシヨウ
(栗塚委員)
宜シウ御座イマス
(村田委員)
第二「其他ノ者ノ謝金又ハ給料」トシテハ如何
(淸岡委員)
良シイ
(南部委員)
良シイ
(村田委員)
第三ノ意見ト云フノハドウカ
(南部委員)
積リ書トカ云フヨウナモノデス
(栗塚委員)
代言人ナラ見込トカ云フノデ見込ナラ意見モ同ジデス
(大尾崎委員)
仕樣帳抔ト云フカラ仕樣デモ良シイ
(栗塚委員)
仕樣見込デアリマス
(村田委員)
意見ト云フハオカシイ
(淸岡委員)
鑑定、ガ意見デ良カロウ
(村田委員)
地均ハドウカ
(南部委員)
之ハ良シイ
(村田委員)
佛蘭西ニ地均ト云フ字ガアルカ
(栗塚委員)
アリマス
(村田委員)
ソンナラ良シイ
(箕作委員)
其他ノ工事トアルカラ詰リドンナデモ良シイ
(渡委員)
良シイ
本條ハ第一ノ「内科外科ノ」ノ五字ヲ刪リ「製藥者」トアルハ「藥剤者」ト改メ第二ノ「其他ノ者ノ給料」トアルヲ「其他ノ者ノ謝金又ハ給料」ト改メ其他原案ニ決ス
第千四百九十五條朗讀ス
第千四百九十五條 公證人辯護士執達吏其他訴訟代人若クハ輔佐人カ職務ニ關シテ受ク可キモノニ付テノ其訴權ニ對スル時效ハ二ケ年トス
此場合ニ於テ時效ハ右各人ノ債權ヲ生セシメタル行爲又ハ訴訟ノ了終後ニ非サレハ進行ヲ始メス
然レトモ了終セサル事件ニ關シテハ右各人ハ五ケ年餘ニ溯ル行爲ノ爲メニ謝金ヲ要求スルコトヲ得ス
此規定ハ右各人カ其職務ノ爲メニ爲シタル立替金及ヒ支出金ニ之ヲ適用ス
(村田委員)
了終ト云フノハ終了ト直シマシタラ
(栗塚委員)
終了デ御座イマスガ此處ハ終了終結ヲ併シテ了終トヤツタノデ御座イマス
(村田委員)
前ハ皆終了デ御座イマスカラ終了ニシテ置ウデハナイカ
(栗塚委員)
終了デモ宜シウ御座イマス
(箕作委員)
其訴權ニ對スルト云ハナケレバナランカネ
(淸岡委員)
上ニモ對スルト云フノガアリマシタ
(村田委員)
英文ニハ謝金ヲ要求スルコトヲ得トアルガ間違イカ
(南部委員)
間違イデシヨウ
(淸岡委員)
二年デ時效ガ成就シテ五年ニ延ビルト云フノハドウ云フ理窟カ
(南部委員)
二年デ時效ヲ得ル併シナガラ時效ト云フモノハ訴訟行爲ガ終タ後デナケレバナラント云フノデハ長クナリ過ギテ工合ガ惡イカラ五年ノ前遡ラント云フノデアリマス
(大尾崎委員)
五年前デ了終シナカツタトキハ矢張要求シテ行ケルカ
(南部委員)
往キマス
(箕作委員)
默ツテヤツテ居ルトキハ前ノハ取レナクナル
(南部委員)
之ノ旨意ハ公證人訴訟代人ハ人民ノ便益ノ爲メ拵イタモノダカラ無クナツタ上モ請求サセルト云フノハ却テ人民ノ迷惑ヲ係ルト云フ旨意カラ出テ居ルノデアリマス
(淸岡委員)
五年ニ遡ルハ照應シナイ二年デ了終スルノハ五年マデ續クト云フノカドウカ了終シタラ二年デス置クト五年マデ往クト云フノハドウカ
(南部委員)
佛蘭西ノ通リデスネ
(箕作委員)
ソウデ御座イマス
(栗塚委員)
日本ノ代言人抔ハ五ケ年モ取ラズニ居ル抔ト云フコトハアリマセン先ニ取テ係ルノデス
(村田委員)
此規定ハ右デハナイカ
(淸岡委員)
之ハ三年デ良シイナ
(箕作委員)
此規定デ良シイ
(大尾崎委員)
良シイ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百九十六條朗讀ス
第千四百九十六條 時效ハ左ノ訴權ニ對シテハ一ケ年トス
第一 非商人ニ爲シタル供給ニ關スル日用品衣服其他動產物ノ御賣又ハ小賣商人ノ訴權但商人又ハ工業人ニ爲シタル供給ト雖モ其者ノ商業又ハ工業ニ關セサル場合ニ於テハ亦同シ
第二 前記ノ區別ヲ以テ注文者ノ材料又ハ動產物ニ付キ仕事ヲ爲ス居職ノ職工又ハ製造人ノ訴權
第三 生徒又ハ習業者ノ敎育飮食及ヒ止宿ノ代料ニ關スル校長塾頭又ハ師匠ノ訴權
(栗塚委員)
塾頭ト譯シタハオカシイヨウダガ偖テ教師ト云フト次ノ條ニアルシ自分デ生徒ヲ養フテ世話ヲスル意味ガナケレバナラン日本ニハ家塾ヲ立テ居ル先生ト云テモ良シイ
(村田委員)
私立學校ノ方デシヨウ
(栗塚委員)
左樣デス
(村田委員)
居職ノ職工ト云フハオカシイ
(栗塚委員)
居職ト云フ己レノ家デ働クハ居職ト云ヒマス
(村田委員)
職工又ハ製造人デハ往カンカ
(栗塚委員)
往キマシヨウ鍍金師彫物師トカ云フヨウナモノデアリマスカラ
(北畠委員)
非商人ニ爲シタル供給ニ關シテト云フハ其他動產物御賣ト云フノハドウカ非商人御賣ト云フノハドウカ
(栗塚委員)
新川ノ酒屋ガ御賣ダアレヲ受次ハ小賣商人ト云フ區別ガアル然ルニ栗塚ガ新川デ以テ酒ヲ買フコトガアルソレカラ米屋カラ米ヲ買ハズニ何俵ト云フ米ヲ買フコトガアル其トキハ矢張御賣ト云フコトニ定マツタノデス
(北畠委員)
御賣ト云フノハ非商人ニ對シテ御賣ダナ
(村田委員)
御賣ト云フト小賣デハナイ
(北畠委員)
御賣商人ダネ
(栗塚委員)
左樣デス
(南部委員)
御賣商人又ハ小賣商人ト云ヘバ良シイ
(村田委員)
御賣又ハ小賣商人ト云ヘバ良シイ
(栗塚委員)
處ガソレハ往カン御賣小賣ト云フモノノ形容詞デアリマス
(南部委員)
御賣ト云フヲ入レヨウ
(大尾崎委員)
入レヨウ
(箕作委員)
入レヨウ
(栗塚委員)
御賣商人又ハ小賣商人ト入レマシヨウ
(村田委員)
九百六十五條ニ師匠親方トアルガ彼處ト同ジダカラ師匠又ハ親方トシテ良シイ
(大尾崎委員)
親方ハ困タネ
(栗塚委員)
親方又ハ師匠デモ宜シイ
(北畠委員)
塾頭ノ訴權ト云フノハ何ウ云フモノカ塾頭ハ一番弟子ノコトデハナイカ
(栗塚委員)
ソレデハ困ル生徒ヲ世話シテ意見ヲ留メル人デアリマス
(箕作委員)
塾頭ハ生徒ノ中一番出來ル奴デスネ
(村田委員)
私塾學校ダネ
(箕作委員)
左樣デス
(北畠委員)
塾主トシテ置コウカ
(南部委員)
塾長ガ良シイ
(箕作委員)
塾長ト云テモ慶應義塾ノ福澤デハナイ
(淸岡委員)
校長ガ良シイ
(南部委員)
校長塾主師匠又ハ親方トスルカ
(大尾崎委員)
親方ハ刪ルガ良イ
(村田委員)
前ニモアリマス
(北畠委員)
師匠中ニ含蓄シテ居ルト見テ宜シイ
(委員長)
前ニモアルカラネ無イト訴權ガナイヨウニナルカラ字ノ體裁ヨリモ事柄ヲ申ス方ガ宜シイカラ他日困難ヲ見ルヨウニナルヨリモ體裁ハ惡クモ盡シテ置ク方ガ良シイ
(栗塚委員)
其心配ハ御座イマセン
(委員長)
校長生徒抔ト書カズ校長ト謂タラ塾主モ皆這入ルト云ハナケレバナランソレハ二ツ書キ師匠ト親方ヲ書カント論ガ合ハン
(栗塚委員)
校長ト云フ字ヲ御置キニナレバ塾主ハ刪テモ良シイ
(委員長)
刪ルトハ言ハンガナゼ校長塾主丈ケ書イタト云フ
(南部委員)
處ガ原書ニハ御座イマセン
(委員長)
無クトモ何方ガ區別シテ分ルヨウシナケレバナラン
(南部委員)
貫クコトハ出來マセン此處バカリデハ御座イマセン
(委員長)
ソコサニ念ヲ入レテシナケレバナラン
(栗塚委員)
民法ハ意味ヲ取ラント字ニ拘泥シテハ民法ハ分リマセン親方ト云フ字ガ無イト訴權ガ無クナルト見テハ大變デアリマス
(委員長)
元ト親方ト云フ字ガ無クテモ師匠デ良イト云フ報吿委員ノ論ナラ良イガ併シナガラ村田サンガ言テ幾ンド親方ト云フ字ヲ入レントシテ又刪ロウト云フカラデス
(栗塚委員)
ソンナコトハ御座イマセン充分研究シテ居リマスアツテ決シテ甚イコトハアリマセン
(南部委員)
親方ノ訴權ト云フハ民法ノ改リニナリマス
(箕作委員)
併シナガラ使タ以上ハ仕方ガナイ
(村田委員)
此處デオカシイト言フノハ往カン
(委員長)
入レルカドウカ
(箕作委員)
入レルガ良シイ
(村田委員)
入レルガ良シイ
(淸岡委員)
入レル
(槇村委員)
入レルガ良シイ
(委員長)
ソンナラ入レルトシヨウ
本條ハ第一「御賣」ノ下「商人」ノ二字ヲ加ヘ第三「塾頭又ハ」ヲ「塾主師匠又ハ親方ノ訴權」ト改メ其他原案ニ決ス
第千四百九十七條朗讀ス
第千四百九十七條 時效ハ左ノ訴權ニ對シテハ六ケ月トス
第一 第千四百九十三條第六號及ヒ第千四百九十四條第二號ニ指定シタル敎師、使用人、僕婢其他ノ者ノ給料カ一ケ月又ハ更ラニ短キ時期ニ定メラレタル場合ニ於テハ其訴權
第二 旅店又ハ料理店ノ主人ヨリ供給シタル宿泊料飮食料及ヒ消費物ニ關スル其訴權
第三 日雇月雇ノ職工又ハ勞力者ノ給料及ヒ其仕事ニ際シ爲シタル些少ノ供給ニ關スル其訴權
(村田委員)
給料ノ上ヘ「謝金又ハ」ト入レナケレバナラン
(栗塚委員)
左樣
(箕作委員)
入レマシヨウ
(南部委員)
時效ヲ以テ定メタルトヤリマシヨウ
(淸岡委員)
定メタルトシヨウ
(箕作委員)
前ノ九十四條モ定メタルトシマシヨウ
(栗塚委員)
定メラレタルデナケレバナリマセン
(南部委員)
定メラレタルデ良シイ
(村田委員)
定メラレタルデ宜シイ
(委員長)
短キ時期ヲ以テトスルカ
(村田委員)
第三ノ給シタル材料地金トカナントカ云フノダガ其樣ニ見ヘマセン
(栗塚委員)
見ヘル積リデアリマス
(淸岡委員)
第二ノ處ハ宿泊人カラ貸スノデスカ
(村田委員)
供給シタ宿泊人ニナルノデアリマス
(委員長)
仕事ニ際シト云フノハ職人カラト云フニ見ヘルカ知ラン
(淸岡委員)
供給ハ宿泊料ヲ供給トナリマス
(箕作委員)
料理屋ヘ往ツテ向フカラ金ヲ呉レタ樣ニ見ヘルガ宿泊人ト切ツテ讀マナケレバナリマセン正シク字ノ通リ云フト淸岡サンノ言フ通リデアリマス
(委員長)
仕事ニ際シ云々トドウカ
(栗塚委員)
訴權デ御座イマスカラ宜シイデシヨウ
(南部委員)
勞力者ノ給料ト前ニアリマス
(委員長)
仕事ニ際シト云フト供給物ヲ宿主カラ出シテ遣ツタラドウカ
(南部委員)
共ト云フノハ職工ヲ承ケテ居リマス
(委員長)
爲シタルハ何ニガ爲シタルカ
(南部委員)
共訴權ト云フハ職工ト勞力デ御座イマス
(委員長)
文章カラ云フト分ラン
(箕作委員)
日雇月雇ノ職工又ハ勞力者ノ爲シタル些少ノ供給及ビ給料ニ關スル其訴權トシテハドウカ
(栗塚委員)
主タルモノヲ先キイ言ハズ從タルモノヲ先キイ言フ嫌イガアリマス
(委員長)
文字丈ケヲ讀ムト分ラン及ビ仕事ニ際シ其爲シタルト言ハナケレバナラン其些少ニ於ケルデハドウカ
(村田委員)
上ハ及ビダカラ上ノ其ハ刪ツテモ宜シイ
(委員長)
仕事ニ際セシデハ供給シハセンカラ供給ハ日雇職工等ガ遣ル事柄ハ仕事ニ際セシコトハ無イト云ツテモ宜シイ
(南部委員)
刪ランデモ宜シイデシヨウ
(淸岡委員)
是等ノ者ト云フヲ入レテ宜シイ
(箕作委員)
仕事ヲ爲シタル是等ノ者デ宜シイ
(委員長)
是等ノ者ノ爲シタルトシマシヨウ
本條ハ第一「第千四百九十三條第六號及ヒ第千四百九十四條第二號ニ指定シタル教師、使用人、僕婢其他ノ者ノ謝金又ハ給料カ一ケ月又ハ更ニ短キ時期ヲ以テ定メラレタル場合ニ於テハ其訴權」ト改メ第三「其仕事ニ際シ」ノ下ヘ「是等ノ者ノ」ノ數字ヲ加ヘ其他原案ニ決ス
第千四百九十八條朗讀ス
第千四百九十八條 前四條ニ規定シタル時效ノ期間中債權者ノ不行爲ヨリ生スル辨濟ノ推定ハ自發ニ因リ又ハ判事ノ訊問ニ因リ現實ニ辨濟セサリシコトヲ自白シタル債務者之ヲ援用スルコトヲ得ス
若シ債務者ノ相續人、寡婦其他ノ一般承繼人カ右ノ場合ノ一ニ於テ債務者ノ權ニ基キ時效ヲ援用スルニ於テハ其前主カ此名義ニテ原吿ニ對シ何等ノモノヲモ負擔セスト善意ニテ思考スル旨ヲ確言ス可キノ要求ヲ受クルコト有リ
(栗塚委員)
第二項ハ刪除デ御座イマス其カラ修正ハ第一項自發ニ因リ又ハ判事ノ訊問ニ因リハ刪ルノデアリマス其理由ハ自白シタ債務者ト云フノデ自發ト云ヘバ兩方ニ當ルノデアリマス
(箕作委員)
言ハナクテモ濟ムト云フノデス
(栗塚委員)
左樣デス
(村田委員)
之ハ入ラン
(南部委員)
前四條トアルハ前五條トナリマス
(栗塚委員)
成程前五條ニ規定シタルトシナケレバナリマセン
(箕作委員)
前五條ノ時效ハ現實ニ辨濟セザリシコトヲ自白セザリシ債務者之ヲ援用サルルコトヲ得ズトシテハドウカ
(村田委員)
宜シイ
(栗塚委員)
前五條ニ規定シタル時效ハデ宜シイ
(大尾崎委員)
宜シイニ項ハドウカ
(栗塚委員)
二項ハ刪リマス
(村田委員)
二項ハオカシイコトデス
本條ハ第一項左ノ如ク修正シ第二項ハ刪除
前五條ニ規定シタル時效ハ現實ニ辨濟セサリシコトヲ自白シタル債務者之ヲ援用スルコトヲ得ス
第千四百九十九條朗讀ス
第千四百九十九條 公證人裁判所書記辯護士執達吏ハ三ケ年ノ後ハ其職務ノ事件ニ關シテ交付セラレタル書類ノ責任ヲ免カレ其書類返還ノ證ヲ提示スルノ義務ヲ免除セラル然レトモ右等ノ者ハ豫メ規則ニ定メタル搜索手數料ヲ辨濟ヲ受ケテ一ケ月內ニ其記錄保藏所ニ於テ搜索ヲ爲サシム可キノ要求ヲ受クルコト有リ
(栗塚委員)
末項然レドモ以下ハ刪リタイ之ハ書記ガ物ヲ探ス爲メニ手數料ヲ取ルト云フノデアリマス
(村田委員)
無論刪ツテ宜シイ
(委員長)
刪リマシヨウ
(淸岡委員)
民法ニハ入ランコトデス
(南部委員)
佛蘭西ノ二千二百七十六條ニモアリマスガ之ハナケレバナリマセン
(村田委員)
書類ニ付キト云ツテハドウカ
(栗塚委員)
宜シウ御座イマシヨウ
(委員長)
ニ付キハ宜シイ
本條ハ第一項書類ノ責任トアルヲ書類ニ付キ責任ト改メ其他原案ニ決ス
第千五百條朗讀ス
第千五百條 本章ニ規定シタル時效ハ當事者ノ間ニ明確ナル計算書定マリタル數額ニ付テノ債務ノ追認書又ハ債務者ニ對スル判決書アルトキハ之ヲ適用スルコトヲ得ス
(村田委員)
本章ニ規定シタル時效ハ云々定マリタル數額ニ付テ云云トアルカ處ガ數額ノ揭ゲタル債務ノ追認書デ同シダカ其方ガ良クハナイカ
(南部委員)
同ジコトデス
(渡委員)
良カロウ
(栗塚委員)
數額ノ記載アルトシテハドウカ
(村田委員)
ソレデモ宜シイ
(箕作委員)
「數額ノ」デハ往カン「數額ヲ」デアリマス
(栗塚委員)
數額ヲ記載シタルデ宜シイ
(委員長)
宜シイ
(槇村委員)
「定マリタル」ハ入ラン
(委員長)
「定マリタル」ヲ刪ツテ數額ヲ記載シタル債務ノ云々デ宜シイ先キヘ遣リマシヨウ
本條ハ「定マリタル」ノ五字ヲ刪リ數額ヲ記載シタル債務ノ追認書」云々ト改ム
第千五百一條朗讀ス
補則
第千五百一條 本法領布ノ當時ニ於テ進行中ナル時效ハ上ニ定メタル規則ニ從フ
然レトモ其繼續期ニ關シ舊時效カ新時效ヨリ一層長キ期間ヲ要スル場合ニ於テ債務者又ハ占有者ヘ本法領布ノ時ヨリ算シタル新時效ノ期間ヨリ舊時效ノ經過ス可キ殘期カ短キトキハ舊時效ヲ利スルコトヲ得
新時效ヨリ一層短キ繼續期ノ舊時效ニ關シテハ其期間ハ本法ニ定メタルモノニ同シキ期間ニ達スルマテ之ヲ伸長ス可シ
(箕作委員)
補則ト云フハドウ云フモノデシヨウカ
(委員長)
補則ハ澤山アリハセンカ民法ノ終リニ補則ト書クト全部ニ付テノ樣ニ見ヘル
(栗塚委員)
全部デハ御座イマセン時效篇ニ付テノ補則デ御座イマス
(委員長)
一篇ノ終リニ補則ト言ツテ宜シイ
(南部委員)
部ノ補則ト言ツテモ宜シイ
(委員長)
澤山アリマシヨウカ何分デモ氣ハ付カンガ民法全部ニ付テ補則ガ澤山アルダロウカ其レヲ一處ニシテハドウカ
(箕作委員)
私モ委員長ノ御說ノ樣ニ考ヘヤスガ斯ウ云フ類ノモノハ刑法附則ノ如キモノガ出來ナケレバナラント思ヒヤス
(村田委員)
之ハニ時限リノモノダカラ別ニシテ宜シイ
(委員長)
事柄丈ケヲ議シテ置イテ置キ場所ヲ定メテ置キヤシヨウ
(渡委員)
意味ハ宜シイ
(淸岡委員)
意味ハ宜シイ
(委員長)
然レバ之デ置イテ置キ處ハ報吿委員デ調ベテ下サイ
(栗塚委員)
承リマシタ是カラ直グ元老院ヘ出ヤスカ
(委員長)
何レ補則ノ斯フ云フコトガ幾箇モアルカラ別ニシテダスト辯解スレバ宜シイ
(箕作委員)
意味ハ之レデ宜シイ
(委員長)
ソレデハ之レデ千秋萬歳デアリヤス
本條ハ原案ニ決シ「補則」ハ全部ヲ通シ報吿委員ニ於テ取調ヘルコト