民法證據篇再調査案第三十九回議事筆記
自第千三百八十六條至第千四百十條
明治二十一年十二月十八日午前九時五十分開會
(大尾崎)
始メマシヨウ
第千三百八十六條朗讀ス
第五節 反對證書
第千三百八十六條 當事者ハ秘密ニ存シ置ク可キ反對證書ヲ以テ公正證書又ハ私署證書ノ效力ノ全部又ハ一分ヲ變更シ又ハ滅却スルコトヲ得然レトモ其反對證書ハ公正證書又ハ確定ノ日附ヲ有スル私書ニ係ルトキト雖モ署名者及ヒ其相續人ニ對スルニ非サレハ效力ヲ有セス
然レトモ各當事者ノ債權者及ヒ特定名義ノ承繼人カ當事者ト約定スルニ當リ反對證書アルヲ知リタルコトノ證セラルヽニ於テハ反對證書ヲ以テ其債權者及ヒ承繼人ニ對抗スルコトヲ得
(南部)
私署證書ニトアル可キ「證書」ノ字ガ脫シテ居リマシタ
(栗塚)
之ハ寫字ノ誤リデアリマス私署證書タルトキト雖モト云フノデアリマス
(元尾崎)
ドウ云フモノカ
(南部)
返リ證文デアリマス
(栗塚)
他人ニ示ス證文デハナイ世間ノ人ニ千圓デ得タト云フガ其實ハ八百圓デアツタノデソレヲ言ハレルト貴君ガ困ルコトデアリマス
(元尾崎)
他人ニ見セルコトノ出來ン場合ニドウシテ何レノ證據ガ擧ゲラルルカ
(南部)
第三者ニ對シテ效ノナイノデアリマス
(元尾崎)
返リ證文デ本當ノ證文ノ效ヲナクスコトガ出來ルノデシヨウ
(栗塚)
其人丈ケシカ出來ナイノデアリマス然レドモ其署名者ト其相續人デナケレバ效ヲ生ジナイト云フテ居リマス
(元尾崎)
確定ノ日附ヲ有スルト云フコトハドウカ
(松岡)
若シ削ル樣ナラバ削リマス
(箕作)
係ルト云フ字ヲタルト遣ツテハ往ケマセンカ
(栗塚)
タルトキデ宜シイ
(村田)
各當事者ト云フノハナクツテモ良カリソウナモノデス
(箕作)
アル方ガ分リ宜シイ
(村田)
下ノ反對證書ヲ以テハ言ハナクテモ宜シイ「之ヲ以テ」デモ宜シイ
(栗塚)
其レデ宜シイ
(松岡)
之ヲ以テト致シマシヨウ
(元尾崎)
知リタルコトヲ證セラルルニ於テデ良カリソウナモノデス
(南部)
コトヲ證セラレデアリマス
(松岡)
コトヲ證スルニ於テハ宜シイ
(南部)
ソウスルト承繼人ハト云ハナケレバナリマセン
(箕作)
證アルニ於テハ之ヲ以テデドウカ
(栗塚)
宜シウ御座イマシヨウ
本條ハ第一項「私署ニ係ルトキト雖モ」トアルモ「私署證書タルトキト雖モ」云々ト改メ第二項「知リタルコトノ證セラルルニ於テハ反對證書ヲ以テ」トアルヲ「知リタルコトノ證アルニ於テハ之ヲ以テ」云々ト改メ其他原案ニ決ス
第千三百八十七條朗讀ス
第千三百八十七條 不動產權利ニ關スル反對證書カ或ハ登記、記入ニ因リ或ハ其緣邊附記ニ因リテ公ニ爲サレタルトキハ其反對證書ハ表顯證書ノ通常ノ效力ヲ取得ス
(松岡)
表顯證書ト云フノハ工合ガ惡イ
(村田)
當リ前ノ效力ヲ得ルト云フノデ表顯ト云フ字ハナイノデシヨウ
(栗塚)
英文ニハ譯サレンノデシヨウガアルノデアリマス
(箕作)
アルノデアリマス
(村田)
表顯證書ト云フノハ惡イ
(松岡)
惡イ
(村田)
通常證書ノ效力ヲ取得ストヤツテハドウカ
(栗塚)
其レデモ宜シイ
(松岡)
宜シイ
(渡)
宜シイ
本條ハ「表顯證書ノ」ノ五字ヲ削リ「通常證書ノ效力ヲ取得ス」ト改メ其他原案ニ決ス
第千三百八十八條朗讀ス
第千三百八十八條 總テノ場合ニ於テ各當事者ノ一般及ヒ特別ノ承繼人ハ他ノ當事者及ヒ其相續人ニ反對證書ヲ以テ對抗スルコトヲ得
(粟塚)
今度ハ相續人ノ方カラ言フノデス
(村田)
凡テノ場合トアリマスカ
(栗塚)
孰レノ場合ニ於テモト云フノデス逆押シニナツテ呉ルカラ其レデ良カロウト思フ凡テノ場合ト云ツタ處モアリマス
(松岡)
ドウデモ宜シイ一般ト特別ト云フモナケレバナリマセン
(村田)
入ラン樣デアリマス各當事者ノ承繼人ト言ツタラナンデモ這入ソウナモノデス
(渡)
一般特別ハ削リマシヨウ
(栗塚)
孰レノ場合ニテモ各當事者ノ凡テノ承繼人トヤリマシヨウカ
(村田)
只承繼人ト言ハズシテ兩方這入ルノデアリマス
(南部)
千三百六十八條中各當事者云々トアリマスカラ其レデ言ツタノデアリマスアレト混淆スルカラ書イテ置イテモ宜シイ
(栗塚)
孰レノ場合ニ於テモ各當事者ノ凡テノ承繼人トヤツテハドウカ
(渡)
宜シイ
本條ハ「孰レノ場合ニ於テ各當事者ノ凡テノ承繼人ハ」云々ト改ム
第千三百八十九條朗讀ス
第六節 追認證書
第千三百八十九條 當事者ノ一方カ從來ノ公正又ハ私署ノ證書ノ成立ヲ己レニ對シテ追認スル證書ナリ
右ノ證書ハ債權者ヲシテ其原證書ヲ差出スノ義務ヲ免カレシメス又其證書中ニ原證書ヨリ更ニ多ク又ハ更ニ少ナキ事項ヲ記シ又ハ之ト異ナリタル事項ヲ記スルモノハ其效ナシ
(栗塚)
追認證書ハ、ノ數字ガ拔ケタノデアリマス
(松岡)
此儘デ己レニ對シテト云フ字ヲ止メテ宜シイ
(箕作)
原證ト云フノハ己レノ利益ニナラン公證又ハ私署證書ノ追認スル證書ト云フノデアリマス
(栗塚)
追認證書ハ當事者ノ一方ガ己レニ不利ナル公正及ビ私署原證書ノ追認スル證書ト云フノデアリマス「對シテ」丈ケヲ削レバ宜シイ
(元尾崎)
アルガ宜シイ
(箕作)
詰リ義務ノ成立ヲ認メル丈ケデアリマス原證書又ハ私署ノ原證書デアリマス
(栗塚)
ノ原ノ字ヲ入レマス
本條ハ第一項左ノ如ク改メ其他原案ニ決ス
追認證書ハ當事者ノ一方カ己レニ不利ナル公證又ハ私署ノ原證書ノ成立ヲ追認スル證書ナリ
第千三百九十條朗讀ス
第千三百九十條 然レトモ左ノ三箇ノ場合ニ於テハ追認證書ハ原證書ニ代ハルモノトス
第一 追認證書ニ原證書ノ包有事項ヲ再揭シタル旨ヲ記載スルトキ
第二 追認證書ニ之ヲ原證書ニ代用ス可キ旨ヲ明示スルトキ
第三 追認證書ノ日附ヨリ二十个年ヲ經過シ且債權者カ其證書ノミヲ既ニ權利ノ行使ニ用ヒタルトキ
(元尾崎)
包有事項ハ趣旨トヤツテハ分ラン
(北畠)
包有事項ニシタイ
(松岡)
趣旨デ宜シイ
(元尾崎)
重ナルコトヲ云ハンノ趣旨デアリマス
(栗塚)
拔萃シテ書イテモ良イノデス
(南部)
趣旨ト言ヘバ證人ノ旨サヘ書ケバ宜シイガソレトハ違フノデス
(松岡)
候ト云フ字ガアルカラト云ツテ候ト云フ字ヲ書カナケレバ譯ケハナイ
(栗塚)
追認證書ノ原證ノ事項デハ往カンカ
(渡)
趣旨デ宜シイ
(箕作)
事項デ宜シイ
(栗塚)
原證書ノ事項デ宜シイ
(南部)
ソレデハ事項デ宜シイ
(渡)
第三ハドウ云フ譯デ二十ケ年ト云フカ
(南部)
二十年經ツテ其證書ヲ使ツタト云フノデス
(渡)
二十年ト定メタノハドウ云フ譯カ
(南部)
ソレハツイ定メタノデアリマス
(箕作)
既ニ權利ノ行使ト云フコトハドウカ
(南部)
既ニハ宜シイ
本條ハ「包有」ノ二字ヲ削リ其他原案ニ決ス
第千三百九十一條朗讀ス
第千三百九十一條 前記ノ場合ノ外債權者カ原證書ヲ差出スコトヲ得サルトキハ追認證書ハ其利益ニ於テハ書面ニ因ル證據端緖トシテ有效ナリ
總テノ場合ニ於テ追認證書ハ時效ヲ中斷ス
本條ハ原案ニ決ス
第千三百九十二條朗讀ス
第七節 證書ノ寫
第千三百九十二條 證書ノ寫ハ之ヲ援用スル者ヲシテ其正本ヲ差出スノ義務ヲ免カレシメス但其者カ正本ノ滅失ヲ證シタルトキハ此限ニ在ラス
公正ノ正本又ハ裁判上追認アリタル私署ノ正本カ公吏ノ原本中ニ藏メラレタルトキハ裁判所ヘ其正本ヲ差出スコトハ民事訴訟法及ヒ公吏ノ規則ニ從ヒ裁判所ノ定メタル方式及ヒ條件ヲ以テ之ヲ爲ス
(南部)
之ハ訴訟法ニアリマスカ
(栗塚)
アリマシヨウ
(村田)
原本中ニ藏メラレタト云フノハドウ云フノカ之ハ綴込ムノダロウ
(南部)
綴込ムノデス
(村田)
藏メラレタルハオカシイ
(松岡)
訴訟法ノ第三百四十六條ニアリマス
(村田)
公吏ノ規則ト云フノハドウカ
(箕作)
公證人規則デアリマス
(南部)
原本ヲ失フタトキハ裁判所ノ命令デナレケバナランコトガアリマス
(松岡)
從ヒ之ヲ爲スデ良カロウ
(渡)
良ササウデス
(箕作)
ソレデ良カロウ
本條ハ「裁判所ノ定メタル方式及ヒ條件ヲ以テ」ノ數字ヲ削リ「從ヒテ之ヲ爲ス」ト改ム其他原案ニ決ス
第千三百九十三條朗讀ス
第千三百九十三條 正本ノ滅失シタルトキ其寫ハ左ノ四箇ノ場合ニ於テハ正本ト同一ノ證據力ヲ有ス
第一 公正證書ヲ受ケタル公吏ノ作リシ正式謄本タルトキ
第二 公正證書又ハ裁判上追認アリタル私署證書ニシテ公吏ノ原本中ニ藏メタルモノヽ寫ヲ當事者ノ要求ニ因リ其面前ニテ其公吏ノ作リタルトキ
第三 適法ニ正本ヲ預カリタル公吏カ裁判所ノ命ニ依リ當事者出席ノ上又ハ合式ニ之ヲ召喚シタル上ニテ其寫ヲ作リタルトキ
第四 右ノ三箇ノ場合ノ外適法ニ正本ヲ預カリタル公吏ノ作リシ寫カ異議ヲ受ケスシテ其日附ヨリ二十个年ヲ經過シタルトキ
寫ニハ左ノ諸件ヲ附記スルコトヲ要ス
右第一ノ場合ニ於テハ其寫ハ正式謄本タルコト
右第二ノ場合ニ於テハ當事者ノ出席シタルコト
右第三ノ場合ニ於テハ當事者ヲ裁判所ノ命ニ依リテ召喚シタルコト及ヒ當事者ノ出席シ又ハ出席セサリシコト
總テノ場合ニ於テ其寫ヲ正本ト校合シタル旨又ハ其寫ノ正本ニ符合スル旨ヲ之ニ附記スルコトヲ要ス
(栗塚)
右第一右第二右第三ハ初メ一ツデ良クハ御座イマセンカ
(南部)
初メノ公正證書ト云フコトハ例ニ依ツテ公正證書ヲ作リタルトシテ宜シイ
(松岡)
預リト云ツテハドウカ構成法ニモアツタト思フ
(箕作)
第三ノハ本當ニ預ツテ居ルノデアレトハ違フ樣デス
(松岡)
アスコノ預リトハ違ヒマス
(栗塚)
公吏ノ作リタルカ
(箕作)
公正證書ヲ「ノテル」ガ拵イテ「ノテル」ハ卽チ其人ガ作ラナケレバナランデシヨウ
(槇村)
公正證書ヲ作リタルデ差支ナイ
(松岡)
作リタル人ガ必ズスルニハ限ランノデス
(南部)
原本ト同時ニ作ルコトモアリ作ラントキハ裁判所ノ命令ニ因テデアリマス元トノ管轄ノ公證人デナケレバナリマセン
(村田)
元トノ公證人デナケレバナリマセヌ
(松岡)
元トノ公證人ガ虎列刺デ死ンダラ翌日カラドウスルカ
(村田)
受ケタル處ノ公證人ニ因テトアル
(松岡)
ソウナツテハ大變デス
(箕作)
作ツタ當人カ又ハ後ト續ギ人ノ一人デアリマス
(松岡)
ソウシヨウ公吏ノ作ツタ公正證書ノ謄本ト言ツテ宜シイ
(箕作)
公吏ノ作リタル公正證書デ良カロウ
(栗塚)
公吏ノ作リシ公正證書ノ正式謄本タルトキトシテ宜シイ
(松岡)
第二ノ下ノ「其」ノ字ハ削ツテ宜シイ
(南部)
終リノ右ト云フ字ハ削ルカ
(箕作)
次ノ原本中藏メラレタルモノノ寫シト云フノハ公證人規則ニナントアリマスカ
(栗塚)
公正證書ヲ見テ引合セタラ良ク合ヒマシタガ效能ノアルモノ丈ケ名ヲ付ケタノデアリマス
(松岡)
寫シト云フノハ丸寫シデアリマシヨウ
(箕作)
公證人規則デハ確カ寫シト云フ字ハ御座イマセン
(南部)
御座イマセン
(栗塚)
藏メタルノハドウデスカ
(村田)
綴込ミデハ往カンカ
(栗塚)
佛蘭西デハ細カニ書イテ日附デ分ツタモノガアリマス
(南部)
第一調書第二調書ト云フガアツテアノ時右第一トシテ後トハ右ハナカツタト思フ
(栗塚)
末項ダカラ始メニ右ガアレバ後トハナクテモ宜シイ
(松岡)
宜シイ
(南部)
其面前ニ於テ其公吏ハ云々ト云ヘバ宜シイ
(槇村)
前ノ其ハ當事者ヲ指シ後トノハ藏メタモノヲ指スノデシヨウダカラ其字ハナイ方ガ宜シイ
(松岡)
其ハナイ方ガ宜シイ第三ノ場合ハドウ云フコトヲ云フノダロウ
(南部)
第三ノ場合ハ之ハ正本ヲ預ツテ居ル公吏ガ後トカラ作ツタコトデ御座イマス
(村田)
裁判所カラ呼出シテ置イテ作ルノデシヨウ
(松岡)
ドウ云フ時ニカ
(南部)
正式謄本ヲ後トデ作ルトキハ義務ガ立合ハナケレバナリマセン若シ立合ハントキハ管轄裁判所ニ出願シテスルノデアリマス其コトヲ云フノデアリマス
(栗塚)
ドウ云フ場合デ御座リマスカ調ベテ見マシヨウ
(箕作)
第二ハ雙方承諾ノ上期ウ云フ寫シガ欲シイカラト求メテ面前デ公吏ガ作レバ效力ヲ有スト云フ第三ハ當事者雙方カラ言ハズ一方ノモノガ願ツテ所長ガ命令ヲ下シテ他ノ原本ガアルカイ其ニ因テ寫シヲ取レト命令シテ相手方モ出テ來イト命令ヲ下ススレバ第二ト同ジニナル出ナクテモ構ハント云フノデアリマス
(松岡)
之ハドウ云フモノカ公證人規則ノ考ヘガナイトドウカ知ラン
(南部)
一、二ハ無論宜シイ
(松岡)
二ハ工合ガ惡イ面前ト云フノハ兩方ノ面前トデモナイト一人要求シタ人間計リノ樣ニ聞ヘル
(南部)
當事者ノ出席トアルカラ兩方デアリマス
(箕作)
當事者雙方ノ合意マデ面前デスル一方ハソウデナイ所長ニ願ツテ所長ノ命令デ寫シヲ取ルノデ呼出シテ出テ來レバ二ト同ジニナルノデアリマス出ナケレバ缺席デ通ツテ仕舞フノデアリマス
(大尾崎)
合式ニ召喚シタルハ義務者ヲ呼ブノデシヨウ
(箕作)
相手方ヲ呼ブノデアリマス當事者出席ノ上ト云フノハ願ツタモノハ素ヨリ出ルガ相手方ガ出ルダロウガ出ナケレバ召喚シタ上デ良イト云フノデアリマス
(大尾崎)
其面前ト云フノハ權利者ノ要求トシカ見ヘナイガドウカ
(南部)
併シ第二ノ場合ニ於テハトアルカラ分ルデシヨウ
(松岡)
當事者雙方ト云ツテ置クガ宜シイ
(南部)
當事者ト云ヘバ兩方デス決シテ一方計リノコトハ御座イマセン當事者一方ト云ヘバ一方ダガ左モナケレバ兩方デス
(村田)
第三モ雙方デ御座イマセンカ
(箕作)
雙方デ御座イマスガ一方ハ願フノデアリマスカラ向フノ者ガ呼出ニ應ジテ來レバ第二ノ場合ト同ジニナルガ若シ出ナイト缺席デ自分ガ承諾シタ如キ結果ヲ生ズルノデアリマス
(村田)
第三ハ裁判所カラ言付カツタノデスカ
(箕作)
所長ガ命ズルノデアリマス
(南部)
公證人規則ハ斯ウナツテ居ルノデ義務者ト立合ヒデ作ル、出ナイトキハ裁判所ノ命令デ外ノ公證人ノ一人ト裁判所ノ檢察官カ書記ガ一人立合フテ作ルトナツテ居リマスカラ成程此處ハ違ツテ居リマス
(松岡)
之ハヤリ直シテ貰フテデナイカ
(栗塚)
第二ハ其雙方ノ面前ニ於テトヤリマスカ
(箕作)
當事者雙方ノ面前ニ於テトヤルガ良シイ
(南部)
一方ガ要求シテ義務者ガ立合ツテヤルト云フノデアリマス
(箕作)
雙方カラ願フ積リデアリマス
(栗塚)
第二裁判所ノ命ニ因リ其寫シヲ作リタルトキトシテ第三ノ場合ニ於テハ裁判所ノ命ニ因リタルトキトシテハドウカ
(箕作)
第三ノ處ハ當事者出席ノ上合式ニ云々トアルガ公證人規則ト違フカラ削ラナケレバナリマセン
(元尾崎)
ソウデス
(栗塚)
第三ノ場合ニ於テハ裁判所ノ命ニ因リタルコトトシテ宜シイ
(箕作)
第二ハ當事者ノ面前ニ於テ作リタルモノトシヨウソウスルト第四右三箇ノ場合ニ於テハ公吏ノ作リシ寫シガ有ルトスレバ宜シイ
(栗塚)
宜シウ御座イマシヨウ
本條ハ左ノ如ク改ム
正本ノ滅失シタルトキ其寫ハ左ノ四個ノ場合ニ於テハ正本ト同一ノ證據力ヲ有ス第一公吏ノ作リシ公正證書ノ正式謄本タルトキ第二公正證書又ハ裁判上追認アリタル私署證書ニシテ公吏ノ原本中ニ藏メタルモノノ寫ヲ當事者ノ要求ニ因リ其雙方面前ニ於テ公吏ノ作リタルトキ第三公吏カ裁判所ノ命ニ因リ其寫ヲ作リタルトキ第四右三個ノ場合ノ外公吏ノ作リシ寫カ異議ヲ受ケスシテ其日附ヨリ二十ケ年ヲ經過シタルトキ寫ニハ左ノ諸件ヲ附記スルコトヲ要ス右第一ノ場合ニ於テハ其寫ハ正式謄本タルコト第ニノ場合ニ於テハ當事者ノ面前ニ於テ作リタルコト第三ノ場合ニ於テハ裁判所ノ命ニ因リ作リタルコト總テノ場合ニ於テ其寫ヲ正本ト校合シタル旨又ハ其寫ノ正本ニ符合スル旨ヲ之ニ附記スルコトヲ要ス
第千三百九十四條朗讀ス
第千三百九十四條 前條ニ記載シタル四箇ノ場合ノ外ハ公吏ノ作リタル證書ノ寫ハ書面ニ因ル證據端緖ノ用ヲ爲スノミ
(箕作)
書面ニ因ル證書端緒ト云フハ前ニモアリマシタガ書面ニ因ルト云フ字ガアルノデスカ一體唯言ツタ丈ケデ證據端緒ノ用ヲ爲スノミデ良カリソウナモノデス
(南部)
證據トハ言ヘンノデ證據ト云フト廣イノデアリマス
(箕作)
證據端緒ハ人證ガ出來ルノデシヨウ書面ニ因ルト云ハンデモ孰レ書面デアリマシヨウ
(栗塚)
證據端緒ト云ヘバ分リマス
(松岡)
之デ良カロウ
(渡)
良カロウ
本條ハ原案ニ決ス
第千三百九十五條朗讀ス
第千三百九十五條 公吏ノ作リタル寫ノ複寫ハ人證ヲ許ス可キ場合ニ限リ單純ナル參考書ノ用ヲ爲スノミ
然レトモ登記又ハ記入ノ公簿ニ於ケル公正證書ノ寫又ハ謄本ノ附記ハ書面ニ因ル證據端緖ナリ
裁判上追認アリタル私署證書ノ正本ノ右ニ同シキ寫又ハ附記ハ又書面ニ因ル證據端緖ノ效力ノミヲ有ス然レトモ寫カ全文ノモノニシテ且異議ヲ受クルコト無ク其日附ヨリ二十ケ年ヲ經過シタルトキハ其寫ハ第千三百九十三條第四號ニ從ヒテ完全ノ證トス
(栗塚)
寫ヲ附記シテ良イト思フガドウカ
(松岡)
附記シテ宜シイ
(箕作)
公吏ガ作ツタ寫デアツテ複寫ハ只ノ人間ガ寫デアリマシヨウ
(栗塚)
左樣デス
(元尾崎)
證書ノ寫ガ書面ノ證據端緒ト云フ輕クナリハセンカ
(南部)
公簿ニ記載トアリマス
(元尾崎)
公簿ニ於ケル公正證書ノ寫ト云フト公簿ノ寫デアルヲ云フラシイ
(淸岡)
謄本ノ附記ト云フノハオカシイ
(大尾崎)
附記ヲ寫シテ來タノデアリマス
(淸岡)
公正證書ノ附記ノ寫デハナイカ
(松岡)
附記ノ寫記入ノ寫デアリマス又ハ謄本ノ附記ハト云フノデス
(淸岡)
謄本ノ附記ト云フノハドウ云フノカ謄本ト云フノハ卽チ寫デ寫ノ附記ハ些トモ分リマセン
(南部)
公正證書ノ寫ヤラ公簿ニ於ケル寫デアリマス
(箕作)
「ノテル」ガ拵ヘタ公正證書登記役所ノ官吏ガ公正證書ノ寫ニ因テ書イタト云フ意味デアリマシヨウ
(栗塚)
左樣デス
(箕作)
登記又ハ記入ノ公簿ノ寫又ハ公正證書謄本ヲ附シタモノト云フノデシヨウ
(栗塚)
左樣デス
(南部)
公正證書ノ寫若クハ謄本ヲ公簿ニ附記ダト思フ
(栗塚)
公正證書ノ寫又ハ其謄本ノ附記ハト云フノデス
(槇村)
ソレナラ宜シイ
(栗塚)
記入ノ公簿ニ於ケルハ入ランノデアリマス公簿ノ上公正證書ヲ寫シテ置ケバ其寫ハ書面ニ因ル證據端緒ダシ又記入ノ上ニ謄本ヲ附記シテ置ケバ書面ニ因ル證據端緒ト云ツテ居ルノデス
(淸岡)
謄本ハ公正證書ノデシヨウ
(粟塚)
左樣デス、附記ノ字ヲ止メテハドウカ
(箕作)
然レドモダカラ實ハ複寫ダケレドモ公簿ニ書イタカラ力ニナルト云フノデアリマスカラ、然レドモ公正證書ノ登記又ハ記入ハ書面ニ因ル證據端緒ナリト云ツテモ宜イダロウ
(栗塚)
左樣デス
(箕作)
詰リ公正證書ヲ登記官吏ガ作ルノデハナイ只書ク丈ケデアリマス公正ダカラト云ツテモ書面ニ因ル證據端緒ニシカナランノデアリマス
(栗塚)
登記帳簿ニ公證人ノ書イタモノガアリデモ其ハ證據端緒ダト云フノデアリマス
(松岡)
之ハ書キ直シテ貰フ
(栗塚)
謄本ノ寫若クハ附記ハデ宜シイ
(箕作)
公正證書ノ謄本ガアル其謄本ヲ登記簿ヘ始テ書クノデアリマス
(南部)
寫スハ全部ヲ寫シ附記ハ書キ拔キヲ言フノデス處デ末項ニ然レドモ寫ガ全文ノモノニシテトアルト附記セントドウ云フノカト尋ネタラ附記セン分デナイカラト言ツテデス
(栗塚)
公正證書ノ寫ト書イタノガ惡イノデ公正證書謄本ノ寫又ハ附記ハデアリマス
(南部)
ソウ直シテ置キマシヨウ
(箕作)
然レドモ公正證書ノ謄本ヲ登記又ハ記入ノ公簿ニ寫シ又ハ附記シタルモノハ書面ニ因ル證據端緒ナリトシテハドウカ
(栗塚)
宜シイ
(村田)
宜シイ
(栗塚)
謄本ニシテデス、寫又ハ附記シタルトキハ其寫又ハ附記ハ書面ニ因ル證據端緒ナリトシテ宜シイ
(渡)
宜シイ
(村田)
登記又ハ記入ノ公簿ニ爲シタル公正證書謄本ノ寫又ハ附記ハトシタラ良イダロウ
(淸岡)
公簿ニ爲シタル公簿ノ寫ト云フコトハ分リマセン
(南部)
村田君ノ說ハ宜シイ
(箕作)
爲シタル寫ハ往カン爲スト云フコトハ働キヲ云フノデアリマス
(栗塚)
ソウデス公簿ニ爲シタル公正證書ト見テ仕舞フ恐ガアリマス
(渡)
分リ良イ方ガ良シイ
(箕作)
三百九十三條ノ第四ハ重モニ公證人ヲ言フノデ處デ九十三條ノ二ニハ公證人ノ作ツタノデハナイ登記官吏ノ作ツタノデアリマシヨウソウスルト二十年經過シタトキハト云フハ三條ノ第四デ往キマシヨウカ
(栗塚)
ソレデ斷リヲ書イタモノデアリマシヨウ
(箕作)
寫ガ全文ノモノ以下ヲ別項トシテ宜シイ
(村田)
宜シイ
(南部)
然レドモヲ削ツテソウシテモ宜シイ
(栗塚)
然レドモヲ削ツテ寫ガ全文ノモノニシテト以下別項ニナリマス
本條ハ第二項「然レトモ公正證書謄本ヲ登記又ハ記入ノ公簿ニ寫シ又ハ附記シタルトキハ其寫又ハ附記ハ書面ニ因ル證據端緒ナリ」ト改メ第三項「然レトモ」ノ三字ヲ削リ「寫カ全文」ノ以下別項トシ其他原案ニ決ス
第千三百九十六條朗讀ス
第八節 證人陳述
第千三百九十六條 物權又ハ人權ヲ創設シ、移轉シ、變更シ又ハ消滅セシムル性質アル總テノ所爲ニ付テハ其所爲ヨリ各當事者又ハ其一方ノ爲メニ生スル利益カ當時五十圓ノ價額ヲ超過スルトキハ公正證書又ハ私署證書ヲ作ルコトヲ要ス
人證ハ右ノ價額ヲ超過セサルトキ又ハ法律上明示若クハ默示ニテ例外ト爲シタルトキニ非サレハ裁判所之ヲ受理セス但此事ニ關シ商法ニ定メタルモノハ此限ニ在ラス
(栗塚)
五十圓ト定メタハ起案者カラ請求ニナツテ定マツタノデアリマス
(松岡)
商法モ矢張リ五十圓ニナツテ居リマス
(箕作)
商法モ五十圓デ御座イマス
(栗塚)
商法ヲ今少シ殖シテハドウカ
(南部)
我輩ハナンデモ人證ヲ許スト言ツタノデアリマス
(栗塚)
證據端緒ガアレバ宜シイ卽チ手紙デモアレバ宜シイ
(元尾崎)
金ヲ五十圓貸シテ下サレバ辱ナイト手紙デモアレバ良シイカ
(粟塚)
アレバ宜シイ
(南部)
但此事ニ關シ云々ハ削リタイ
(箕作)
但書ハ削ルカ
本條但以下削除其他原案ニ決ス
第千三百九十七條朗讀ス
第千三百九十七條 双務契約ニ於テハ證書ノ必要ニ付テハ最高ナル權利ノ價額ノミヲ考察ス
然レトモ第七百六十六條ノ明文ニ從ヒテ無形人ノ性質ヲ有スル會社ニ於テハ其關係アル利益ノ評價ハ會社資本ノ全額ニ付キ之ヲ爲ス
(村田)
之ハオカシイ
(栗塚)
實ハ愚ナコトデアリマス
(南部)
アツテモ宜シイ
(箕作)
民法會社デアリマス
(淸岡)
田舎ヘ往クトナイトモ言ヘン考察ト云フ字ヲドウカシテハドウカ
(渡)
考察ハ入ラン
(大尾崎)
考察ナドハ入ラン
(渡)
價額ニ因ルト言ツテ良イダロウ
(箕作)
双務契約ニ於ケル證書ノ必要ハト仕樣
(栗塚)
双務契約デハ證書ノ必要ヲ最高ノ權利價額ヲ目安ニ立テルト云フノデス
(松岡)
於ケルガ宜シイ
(栗塚)
價額ニ依ルデ良イデシヨウ
(元尾崎)
良シイ
本條第一項「双務契約ニ於ケル證書ノ必要ハ最高ナル權利ノ價額ニ依ル」ト改メ其他原案ニ決ス
第千三百九十八條朗讀ス
第千三百九十八條 請求ノ目的カ金額ニ非サル場合ニ於テ被吿カ爭ノ價額五十圓ヲ超過スル旨ヲ陳述シテ人證ニ異議ヲ申立ツルトキハ裁判所ハ訴訟ノ元素ニ從ヒ又ハ鑑定ニ從ヒテ豫メ假ノ評價ヲ爲ス
(松岡)
訴訟ノ元素ニ從ヒハオカシイ
(箕作)
ドウ云フコトガ元素ト云フノカ
(淸岡)
「バチルレン」ダロウ
(村田)
元素ハ入ラン
(栗塚)
事情ノ方ガ宜シイノデシヨウ
(箕作)
事情ト云フト意味ガ違イハセンカ訴訟ノ本ニナルコヲ云フノデアリマス
(南部)
目的物ニ從ヒデハドウカ
(槇村)
目的物ノ方ガ宜シイ
(村田)
宜シイ
(元尾崎)
寧ロ元素ガ宜シイ
(渡)
目的ガ宜シイ
(栗塚)
此馬ハ何方カト云フノデ定メルノデアリマス
(松岡)
目的ノ方ガ分リマス
(淸岡)
目的デ良カロウ
(北畠)
多數ナラ宜シイ
本條ハ「元素」トアルヲ「目的」ト改メ其他原案ニ決ス
于時正午十二時休憩
于時午後一時十分開會
(松岡)
ヤリマシヨウ
第千三百九十九條朗讀ス
第千三百九十九條 書面ヲ作リタル場合ニ於テハ書面ニ反スル事項若クハ書面外ノ事項ヲ證スル爲メ又ハ書面ノ意義ヲ變更ス可キ樣其錄製ノ際若クハ其前後ニ申述シタルモノヲ證スル爲メニハ縱令五十圓ヨリ少ナキ利益ニ關スルモ人證ヲ許サス
此禁止ハ辨濟、免除、更改其他ノ義務消滅ノ原因ヲ證スル爲メ又ハ書面ヲ以テ證シタル權利ノ日後ノ變更ヲ證スル爲メ上ニ定メタル制限內ニ於ケル人證ヲ阻却セス
總テノ場合ニ於テ主張セラレタル事實ノ日附及ヒ場所又ハ履行ノ爲メニ定メタル時期及ヒ場所ノ脫漏ハ人證ヲ以テ之ヲ補足スルコトヲ得但此事ヨリ生スル利益ヲ主タル利益ニ加ヘテ價額五十圓ヲ超過セサルトキニ限ル
(元尾崎)
末項ノ場合デ五十圓以上ノ證文ガアツテ之ニ期限ガ脫漏シテ居ルト之ヲ別段ニ人證デモ益ニ立タンカ
(栗塚)
ソウデス
(元尾崎)
書付ケガアレバ證據端緒ニナルノデシヨウ
(南部)
此處ハ證據端緒ヲ言ツタ場合デハアリマセン五十圓以上證文ガアルガ處ガ日附ヤ場所ノ利益ガナイト見レバ良イ證スルコトガ出來ン少シデモ附帶シタコトガアルナラ元トノ利益ト較ベテ超過スレバ往カンノデ利益ガナケレバ人證ヲ許スノデアリマス
(元尾崎)
證文ガアルガ返ス期限ガ書イテナイ場合ニハ人證デ補足ガ出來ルノデシヨウ
(南部)
此問題ハ利益ガアルカ否ヤヲ見ナケレバナランアツテ元トノ主タル利益ヲ超ヘテ五十圓過ギテハ往カンノデアリマスカラ理窟ハ分ツテ居ル
(槇村)
五十圓以上ノ證書ダロウ
(元尾崎)
前ノ補足スルマデハ以下デモ以上デモデシヨウ
(村田)
金ノコトハ言ツテナイ
(元尾崎)
ケレドモ證書デ六十圓デモ百圓デモ往クデシヨウ
(松岡)
幾錢デモ往ク
(元尾崎)
ダカラ六十圓以上ノモノト見ルト證文ハアツタ併シナガラ其ニハ脫漏ガアツタ
(南部)
人證デ往ケルノデアリマス
(松岡)
五十圓以上デモ爲メニ少シデモ利益ノ價額ノ見積ルモノガ往カンノデ一向利益ニ關係センモノナラ宜シイ
(元尾崎)
日附補充位ハ人證デヤツテ宜シイ
(松岡)
許シテ金額ニ關係シテ來テハ往カンノデ京橋デ引渡スト云フノト江戶橋デ渡スト云フ如キ場所ノコトナラ宜シイ
(栗塚)
京橋デ引渡スト云フヲ其他ノ場所デ渡シタカラ是レ之レノ損ガアツタトカ云フノハ往カンノデアリマス日附ヲ換ヘタ爲メニ利息ノ手形ガ違ツテ來ル樣ナコトデハ往カント云フコトデアリマス
(松岡)
細カイ規則デアリマス
(淸岡)
第一項ノ少キ利益ニ關スルモ人證ヲ許サズト云フノハドウカ
(南部)
之ハ新ウナケレバナリマセン
(北畠)
書面デ拵ヘタコトヲ人ヲ以テ崩スコトハ出來マセン
(淸岡)
阻却スルコトハ許サズト云フノハ人證ヲ許スト云フノカ
(槇村)
ソウデス
(委員長)
妨ゲズト云フノデシヨウ
(槇村)
其外人證ヲサセルト云フノデス
(元尾崎)
一體書キ方ハ宜シクナイ
(村田)
但此事ヨリト云フハ分リマセン脫漏トモ見ヘルシ又前ノ日附場所トモ見ルカモ知レマセン
(南部)
何方カラ見テモ差支ハナイ
(北畠)
事ト云フ字丈刪ツテモ宜シイ
(委員長)
阻却セズハ妨ゲズトシテ宜シイ
(松岡)
宜シイ
(渡)
宜シイ
本條第二項「阻却セス」トアルヲ「妨ケス」ト改メ其他原案ニ決ス
第千四百條朗讀ス
第千四百條 爭ノ利益カ五十圓ヲ超過スル場合ニ於テハ原吿ハ縱令其以下ノ數項ニ請求ヲ減スルモ證人ヲ以テ之ヲ證スルコトヲ得ス
五十圓ヲ超過セサル價額ノ請求カ此數額ヲ超過シタル價額ノ殘餘ナルトキモ亦同シ
本條ハ原案ニ決ス
第千四百一條朗讀ス
第千四百一條 前條ニ規定シタル二箇ノ場合ニ於テ人證ノ效ニ依リ最初五十圓ヲ超過シタル利益ナルコトヲ發見シタルトキハ人證ヲ許シタル裁判所ハ之ヲ取消スコトヲ要ス
此他人證ニ依リ法律上之ヲ許サヽル事情ヲ發見シタル場合ニ於テモ亦同シ
(松岡)
二箇ハ入ラヌモノデハナイカ
(元尾崎)
二箇ハ入ラン
(栗塚)
少シモ違イマシヨウ二箇ノ場合丈ケト卽チ前條ノ場合ノミデ御座リマス
(箕作)
二箇ノ場合ト言ツタラ二箇ニナルノデス人證ノ效ニ依リ裁判上ノ利益ハ五十圓ヲ超過シタルトキハ云々トヤルト兩方トモ入ランノデス
(栗塚)
併シ法律上許サン場合モアリマスカラ宜シイデシヨウ
(箕作)
許サン場合ハ五十圓以上超過シタ場合デアリマシヨウ
(松岡)
法律デ許サザルコトヲ發見シタルト云ヘバ此儘デヨウ御座リマシヨウ
(栗塚)
人證ノ效ニ依リトアルハ本來ハ證人訊問ノ效ニ依リト云フテ宜シイ
(松岡)
證人訊問ニ依リナシテ宜シイ
(委員長)
良カロウ
本條ハ一、二項トモ「人證ノ效ニ依リ」トアル「證人訊問ニ依リ」ト改メ其他原案ニ決ス
第千四百二條朗讀ス
第千四百二條 前記ノ規定ハ塡補利息又ハ過怠約款ヲ加フルカ爲メニ五十圓ノ額ヲ超過スル場合ニ於テ原吿カ證人ヲ以テ其主タル債權ヲ證スル爲メ此ノ從タル債權ヲ抛棄シ得ルノ妨ト爲サス
右ノ超過カ遲延利息又ハ要約セサル損害賠償ノミヨリ生スルトキハ全部ニ付キ人證ヲ許ス
(元尾崎)
過怠約款トカ云フ定マリガアルニ證文ガナイト云フノハオカシイ殆ンドナイコトデアリマス
(箕作)
若シアツタラバデアリマス
(栗塚)
右ノデ「ノ」ノ字ヲ入レマス
本條ハ末項「右」ノ下ヘ「ノ」ノ一字ヲ加ヘ其他原案ニ決ス
第千四百三條朗讀ス
第千四百三條 書面ニ依リ全ク證セラレスシテ人證ノ許サル可キ數箇ノ請求ヲ爲スコトヲ得ヘキ者ハ其原因ノ如何ニ拘ハラス一箇ノ訴狀ニ其數箇ノ請求ヲ併合スルヲ要ス但其請求カ總テ滿期ノモノニシテ同一裁判所ノ管轄ニ屬スルモノタルトキニ限ル
右ノ手續ヲ爲サヽルニ於テハ最早其脫漏シタル請求ヲ證人ヲ以テ證スルコトヲ得ス
(元尾崎)
全ク證セラレズシテト云フノハ半分證セラレタノカ
(南部)
丸デ證セラレナイノデアリマス
(松岡)
人證ヲ許サレタラ是非一處ニシナケレバナランカ
(元尾崎)
貸金催促カラ幾口モアルヲ一ツニスルノカ
(栗塚)
一ト切リニシテ百圓ノ貸金アルニ皆ナ三十圓宛三度ニスルノハ往カン百圓デアツタラ證書ヲ作ラスゾヨト云フ主意デアリマス
(南部)
人證ノ規則ヲ避ケル爲メニ數口ニ貸シテ居ツタト言ハセナイト云フノデアリマス
(松岡)
時ヤ場所原因ノ違フモノデアツタラ數箇ノ請求ト云ツテ分ラン本ガ一處ノモンデナケレバナラン併合シテ五十圓過ギタラ出來ンノダロウ
(栗塚)
左樣デス
(南部)
數箇ノ請求ヲ爲スコトノ得ベキモノデナケレバナリマセン
(栗塚)
別口ニシテ往ケルモノデソウシテ滿期ニナツテ居ツタラデス一口デアルト見ルノデス
(松岡)
ソウハ往カン
(南部)
原因ト云フノハソウ云フ意味デハナイ起リノデス原因卽チ期限ダカラ起リガデス
(松岡)
數箇ノ請求ヲ爲スコトヲ得ベキト云フト數個アルニドンナ原因デモ一ツニ合セソウシテ五十圓過ギタラ人間ノ證據ヲ許サント云フハ生キテ居ルモノヲ殺ス樣ニ聞ヘル
(元尾崎)
百圓貸シテ居ツテ證文ガナケレバナラン三十圓宛ニ貸シテ此法ヲ避ケルト往カンカラ其ヲ妨グ爲メダ之ハ入ラン條デス
(松岡)
此文ノ通リニスルト原因ノ如何ニ拘ラズダカラ貸金モアレバ賣上ゲ代金モアル其ヲ是非合併スルト五十圓以上ニナルスルト往カン云フ樣ニナリマス
(栗塚)
四十圓貸シガアツテ利息ガ二十圓アツタトキハ證文ガナケレバナリマセント云フノデソレ丈ケハ許シタノデシヨウ
(松岡)
此文デハ賣揚ゲ貸金種々アル之ヲ一處ニシテ來イト云フハ五十圓ヲ過ギント往カントナリマス
(栗塚)
實際五十圓マデノ高ヲ三口アツテ例ヘバ貴君カラ賣揚ゲ代金二十圓借リテ居リ時借リ十五圓借リテ居ルトテモ五十圓超ヘナケレバ宜シイ外ニアツテモ其人ガ言ハントキハ宜シイ脫漏ト云フノハ一ト口ニナツテ居ルカラ賣揚代金ト云フ名デモ貸金デモ五十圓借リテ居ルヲ細カニ分ツコトハ出來ント云フ精神デアリマス
(箕作)
訴訟ノコトヲ言ツタノハドウカ
(松岡)
訴訟法ニ因テ見ルト共同訴訟ノ種類ハドウカト云フノデス
(栗塚)
細カイ口デ御座リマスカラ一ツ々デハ二十圓三十圓デ御座リマスカラト云ツテ出タラ證文ガナケレバナラント云ヘルノデアリマス
(南部)
之ハ宜シクナイ我輩ハ證人ノコトハ別ダガ私ガ考ヘルニ宜敷ナイナゼナレバ初メ契約ヲ結ブ時分一ツ賣揚契約ヲ結ビ金ハ五十圓以下證書ハ入ラントシテ今度約束ヲスル時分ニハ再ビ金ヲ貸シタリスル時分ニハ證書ヲ取ラナケレバナラン
(松岡)
原因ガ違ツテ居レバ其ニ付テ五十圓以下人證ヲ許サナケレバナラン一ツハ立替一ツハ賣揚代金ト原因ガ違ツタルモノナラ之ヲ一處ニスルト云フハ亂棒極ツタモノデアリマス
(栗塚)
ソウデナイ原因ガ違ツテ來タラ百圓ノ貸金デ居ナガラ四十九圓ハ賣揚代金三十圓ハ貸金二十一圓ハ立替金トシテ遣ツテ來ルダロウカラ其ヲ防グト云フ主意デアリマス
(松岡)
ソウナラ文章ガ制限付ニ出來レバ宜シイ
(南部)
五十圓過グレバ人證ヲ許サント云フ主意デアリマス
(箕作)
訴狀ト云フノハ書面許リデハナイト思フ訴ヘヲスル方ガ主意ダロウト思フ
(松岡)
若シヤ入費ヲ省ク精神ナラ削ツテ下サイ訴訟法ノ共同訴訟ノ方ニ盡シテアリマス
(箕作)
私ハ訴訟ノコトデアツテ入費ヲ省ク方ノコトト思ヒマス
(松岡)
其名義ノ如何ヲ問ハズ本ノ「チートル」ハ何ンデアロウト云フノダカラ我々ハ決シテ同意ハ出來ン文章デアリマス
(箕作)
初メ二十圓貸シ後ト賣揚代金二十圓貸金二十圓「チートル」ハ違フガ一番終リノ二十圓サヘ書面ニシテ置ケバ能イト云フノデ
(栗塚)
之ハ出來ル方ノコト計リデ禁ズル方ハ言ハンノダカラ宜シイダロウ
(松岡)
如何ナル原因ニ拘ハラズ同ジ人ト同ジ人トデアツテモ五十圓過ギタラ是非書面ヲ作ラナケレバナラント云フ主意デ不適當ト言ハナケレバナラン
(南部)
數箇ノ請求ヲ爲スモノトシテ其原因ニ拘ハラズト云フノハ削ツテハドウカ
(松岡)
ソウスレバ不充分ナガラ通リマス
(淸岡)
詰リ此後ノコトトシテ置カナケレバナラン
(松岡)
原因ガ違ヘバ異外ナルノハ無論デアリマス
(箕作)
之ハ今一度起案者ニ聞キタイ
(栗塚)
ソウ致シマシヨウ
(淸岡)
一ツ二百圓トカ六十圓借リタトカ云フモノハ分ケルコトハ出來ンカラ私等ハ此通リデナケレバナラント思フ原案維持デアリマス
(栗塚)
同一ノ原因ナラ良イト云フノデスカ
(松岡)
ソウデス
(委員長)
ソレデハ之ハ問フコトニシテ先キヘ往キマシヨウ
本條ハ起案者ニ質問スルコトニ付未定
第千四百四條朗讀ス
第千四百四條 當事者ノ一方カ他ノ一方ニ對シテ數箇ノ別異ナル權利ヲ利唱シ之ヲ併合スレハ五十圓ノ價額ヲ超過スルトキハ此ノ權利ヲ併合シ證人ヲ以テ之ヲ證スルコトヲ得ス但此權利カ相異ナレル人及ヒ相異ナレル原因ヨリ生スルトキハ此限リニ在ラス
(栗塚)
相異ナレルハ異ナルト云フニナル兩方トモレノ字ヲ削除ヲ願ヒマス之デ相異ナル原因ノトキハ此限ニ在ラズト云ツテ居リマス
(松岡)
此處ハ言フマデモナイ他ノ一方ニ對シテ利唱スルト云フノハ防グノカ
(栗塚)
請求スルノデアリマス
(松岡)
當事者甲ガ乙ニ向ツテ三口主張スル賣揚代金貸金ガアルソレヲ併合スレバ五十圓ノ價額ヲ超過スル其時分五十圓以上ノ價額ニ付テ證人ヲ以テ證スルガ矢張リ之モ前條ト同ジダ
(箕作)
前ノ條ト此條ト原案者ガ能ク練レテ居ラン樣ニ見ヘル
(松岡)
相異ナル原因ニ因リ生ズレバ此限ニ在ラズト云フコトハ言ハナクテモ知レテ居ル之ハ合シテ問フコトニシテ宜シイ
(箕作)
異外ノ時ハ異別ノ原因カラ生ズル時デナケレバ證據人ヲ以テ證スルコトヲ得ズト同ジコトデス
(南部)
相異ナル人及ビハ惡ルカツタ之ハ人ガ違ツテ居ランノダ
(箕作)
違ツタ原因ノ生ズルトキデモダ
(栗塚)
左樣デス
(南部)
相異ナル及ビハ削ルガ宜シイ
(箕作)
此條丈ケデモ置イテハ如何
(松岡)
前條ヲ削ツテ之レ計リナラ能ク聞ヘル
(箕作)
別異ナルヲ削ツテ直グ權利デ良クハナイカ
(松岡)
宜シイ
(南部)
宜シイ
(松岡)
佛蘭西ニハ前條トアベコベニナツテ居ルデシヨウ
(箕作)
四百四條ノ方ハ原因ガ同ジナラ一ツニハ往カン前ハ原因ガ違ウテモ訴訟ニ併合シナケレバト云フト一向訴訟ノ事計リデアリマス
(松岡)
本體ハ數箇ノ權利ヲ利唱シテ合併シテ五十圓ヲ過グレバ人證ハ許サン併シナガラ原因ガ違フハ取除ケニスル併シナガラ取除ケヲ見ズシテ人證ヲ許サント言ヘバ同原因ノモノハ一ツニ押入レンデ來ルト往ケル樣ニナルガ前條ト前後ニシタラ宜カロウ
(南部)
前後ニシマシヨウ
(箕作)
聞イテ見タ上ニ仕マシヨウ
(委員長)
宜シイ
本條ハ第千四百三條ト改メ前條ヲ第千四百四條ト改ム「別異ナル」ノ四字ヲ削リ此ノ下「ノ」ノ一字ヲ削リ但以下「相異ナル人及ヒ」ノヒ字ヲ削リ其他原按ニ決ス
第千四百五條朗讀ス
第千四百五條 左ノ場合ニ於テハ爭ノ價額ノ如何ニ拘ハラス又書面外ノ事項又ハ書面ニ反スル事項ヲ證セントスルトキト雖モ人證ヲ許ス
第一 書面ニ因ル證據端緖ノ存スルトキ證據端緖トハ之ヲ以テセラルヽ人又ハ其人ヲ代表シタル者ヨリ出テタル總テノ書面ニシテ主張シタル事柄ヲ實ラシク爲スモノヲ謂フ
第二 債權者カ自己ノ過失又ハ懈怠ニ歸ス可カラサル不可抗力又ハ意外ノ事ニ因リ其證書ヲ失ヒタルコトヲ證スルトキ
第三 主張シタル事柄ノ有リタル當時原吿カ書證ヲ得ル能ハサリシトキ
(栗塚)
第一ハ佛蘭西ヲ盜ンデ修正シタノデアリマス
(箕作)
「トキ」デ切レルノデスカ
(栗塚)
左樣デス
(箕作)
證據端緒カラ下ハ削ツテハドウカ
(栗塚)
色々工夫シマシタガ證據端緒ト云フコトハ何ンノ事柄ト云ツテ居リマセンカラデス
(箕作)
ソレデハ別項ニシマシヨウ
(栗塚)
一字下ゲノ別項ニ致シマシヨウ
(元尾崎)
實ラシクハドウカ
(淸岡)
實ラシクハ實ハナイヲ實ラシクト云フノダロウ
(栗塚)
本當ノ樣ニ見セルノデアリマス
(箕作)
事實ニ近カラシムルト云フノデシヨウ
(淸岡)
實ラシクト云フノハ僞ヲ實ラシクト云フノデアリマス
(松岡)
ラシウト云フノハ僞物デス
(箕作)
事實ニ近カラシムルト言フノハドウカ
(淸岡)
其ノ方ガ宜シイ
(大尾崎)
端緒ダカラ實ラシクデ宜シイ
(北畠)
事實ニ近カラシムルデ宜シイ
(南部)
近イト云フノハ弊ガアリマス
(委員長)
事實ト認メ易キモノヲ謂フト云ツタラドウカ
(松岡)
實ラシク爲スト云フ字ヲ止メテスルモノヲ云フトシテハドウカ
(箕作)
實ラシカラシムルト云ツテハドウカ
(栗塚)
實ラシクスルモノデハドウカ
(箕作)
宜カロウ
(村田)
代表ハ代人トナリマシタロウ
(栗塚)
之ハ代表デ良イデシヨウ
(南部)
代人ト云フト狹クナリマス
本條ハ第一ヲ左ノ如ク改メ其他原案ニ決ス
第一書面ニ因ル證據端緒ノ存スルトキ證據端緒トハ之ヲ以テ對抗セラルル人又ハ其人ヲ代表シタル者ヨリ出テタル總テノ書面ニシテ主張シタル事柄ヲ實ラシクスルモノヲ謂フ
第千四百六條朗讀ス
第千四百六條 前條第三號ノ例外ハ殊ニ左ノ場合ニ之ヲ適用ス
第九百十六條及ヒ第九百十七條第一項ニ規定シタル急迫寄託
事變、不期ノ危險又ハ急迫ナル必要ノ場合ニ於テ負擔シタル義務
合意以外ノ原因ヲ有スル義務
然レトモ此末ノ場合ニ於テ不當ノ利得、不正ノ損害又ハ法律ノ規定ヨリ生シタリト主張スル義務カ書面ヲ以テ證ス可キ性質ノモノタル權利行爲ヲ豫想セシムルトキハ豫メ此證ヲ供スルコトヲ要ス
本條ハ原案ニ決ス
第千四百七條朗讀ス
第千四百七條 法律カ人證ヲ許ス場合ノ外人證ヲ爭フニ利益ヲ有スル當事者カ人證ニ依リテ證ヲ立ツルコトヲ承諾スルトキハ裁判所ハ人證ヲ拒絕シ又ハ事件ヲ簡單ナリト思料スルトキハ之ヲ許スコトヲ得但人證ヲ許シタルトキハ簡略ナル證人訊問ノ方式ノミヲ以テス可シ
(箕作)
簡略ナル證人訊問ト訴訟法ニアリマスカ
(今村信)
アリマセン
(松岡)
此處丈ケハ削ツテ貰ヒタイ
(栗塚)
訴訟法トハ大變違フノデアリマス
(今村信)
證人訊問ハ簡略デアリマスカラ別ニ簡略ト云フ字ハ入ランノデシヨウ
(松岡)
但以下ハナイ方ガ宜シイ
(委員長)
但以下ハ削リマシヨウ
(箕作)
其ハ宜シイガ「又ハ事件ヲ簡單ナリト思料スルトキハ」ハ入リマシヨウカ
(南部)
ナイ方ガ宜シイ
(栗塚)
ソレデハ削リマシヨウ
(松岡)
一方ガ縱令承知ヲシテモ面倒ト見レバ往カント云フノデシヨウ
(箕作)
許シテ良ケレバ許スト許否ノ權限アリトシテ置クノダ
(栗塚)
「拒絕又ハ之ヲ許スコトヲ得」ト致シマス
(松岡)
宜シイ
本條ハ「事件ヲ簡單ナリト思料スルトキハ」ノ數字ヲ削リ「但」以下削除其他原案ニ決ス
第千四百八條朗讀ス
第千四百八條 證人ハ陳述ヲ爲スニ先チ誠實ノ陳述ヲ爲スヘキコトニ付キ定マリタル方式ニ從テ誓ヲ爲ス
證人訊問並ニ反證人訊問ノ方式、期間ニ關スル規則、證人ヲ以テ證ス可キ事實ニ於テ必要ナル性質及ヒ證人ノ忌避又ハ異議ノ原由ハ民事訴訟法ニ之ヲ定ム
(栗塚)
此條ハ□ ラズ削除デ御座リマス
(松岡)
訴訟法ニ悉皆アリマス
(今村信)
訴訟法ノ三百六條ニアリマス
(委員長)
宜シイバ先キヘヤリマシヨウ
本條ハ削除ニ決ス
第千四百九條朗讀ス
第千四百九條 相手方ノ利益ニ於テ反證人訊問ノ方法ニ依リ證人ヲ差出シタルト否トヲ問ハス又當事者ノ一方及ヒ他ノ一方ヨリ差出シタル證人ノ員數並ニ分限ノ如何ニ拘ハラス證人訊問カ終結シテ其證人カ有效ニ忌避セラレス又ハ異議ヲ申立テラレサルトキト雖モ判事ハ證人ノ證ニ因リテ拘束セラレス其心證ニ從ヒテ裁決ス
(栗塚)
之ハ「判事ハ證人ノ證ニ因リテ」云々トシテ其マデハ削除デ御座イマス
(今村信)
之モ御削リヲ願ヒマス
(元尾崎)
皆ナ入ランデハナイカ
(栗塚)
マツテモ宜シイデシヨウ
本條ハ「相手方ノ利益ニ於テ云々異議ヲ申立テラレサルトキト雖モ」ノ數字ヲ削リ其他原案ニ決ス
第千四百十條朗讀ス
第九節 世評
第千四百十條 法律上特ニ世評ニ因ル證ヲ許ス場合ノ外法律カ其規定ヲ或ル事實ヲ顯著ナルトキ其事實ニ適用ス可キコトヲ定メタル各箇ノ場合ニ於テハ此證ヲ用フルコトヲ得
世評ニ因ル證ニ於テハ證人ハ事實ニ付キ直接ニ自ラ知ラサルモ公然顯著ナルニ因リテ知リタル所ノモノヲ陳述スルコトヲ得
(本多)
之モ訴訟法ニアリマス
(栗塚)
「法律カ其規定ヲ或ル事實カ顯著ナルトキ」ハ質問中デアリマス
(委員長)
世評ト云フノハ商法ニアリマシタ
(南部)
商法ニハアリマシタ
(今村信)
訴訟法ノ二百十八條ニアリマス
(栗塚)
其條令ヲ或ル顯著ナル事實ニ適用ス可キコトヲ定メタル各箇ノ場合ニ於テトシテ宜シイ併シナガラ質問中ダカラ直シマセン問ホ返事ガ參ツタトキニ文章モ改メテ提出致シマス
本條ハ質問中ニ付
于時午後三時閉會